JPH0898387A - 過電流リレー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】シーケンス動作確認の実施を可能にする過電流
リレーを提供すること。 【構成】過電流リレー５の補助リレー１０の外部にバッ
テリー１７とスイッチ１８を備え、補助リレー１０を強
制的に動作させる。 【効果】遮断器を開路させるという一連のシーケンス動
作テストを変流器の二次電流がなくとも実施することが
可能となり、この過電流リレーは配電線路やその保護装
置の運用上及び保全上、有効な手段となる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、一般の受配電設備にお
ける配電線に短絡故障又は過負荷が生じた場合に、過電
流リレー内の補助リレーにより遮断器を動作させ配電線
を母線より切り離す過電流リレーに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般の受配電設備において、故障時に遮
断器により配電線を母線より切り離す保護設備のひとつ
に過電流リレーが用いられる。この過電流リレーは、配
電線路に一定以上の負荷電流または故障電流が流れた場
合に動作するものであり、主に短絡故障保護用に使用さ
れる。

【０００３】ここで、配電線路において故障が発生した
場合の過電流リレー及び周辺設備の動作手順を、図２を
参照して簡単に説明する。母線１より分岐した配電線２
に負荷電流を測定する変流器４（ＣＴ）が接続されてお
り、過電流リレー５はこの変流器４の二次側コイルに接
続される。過電流リレー５は、入力電流検出部７、電源
部６、補助リレー１０、スイッチングトランジスタ１２
等からなる。過電流リレー５の外部出力端子１９ａ，１
９ｂ（補助リレー１０の接点１１の外部出力端子）は遮
断器３のトリップコイル１３（ＴＣ）に接続される。遮
断器３（ＣＢ）は、前述の配電線２に直列に挿入されて
いる。

【０００４】次に、動作手順を説明すると、配電線路に
おいて短絡故障が発生したとすると、変流器４の二次側
に過電流が流れる。この過電流は、過電流リレー５に入
力され過電流リレー５内で入力電流検出部７と電源部６
に分かれて供給される。入力電流検出部７では予め入力
電流値が整定されており、変流器４の二次側電流がこの
値を超えて入力電流検出部７に入力されると、スイッチ
ングトランジスタ１２に検知信号が送られる。電源部６
は、整流器、定電圧素子（共に図示せず）等からなり、
変流器４の二次側電流を整流して過電流リレー５の入力
電流検出部７及び補助リレー１０を動作させるための直
流電源が得られるものである。

【０００５】検知信号を受けたスイッチングトランジス
タ１２は、補助リレー１０を動作させる。この補助リレ
ー１０の動作によりその接点１１が閉じられ、外部に接
続されたトリップコイル１３に電流が流れる。この電流
によって、トリップコイル１３は励磁し、配電線２に接
続されている遮断器３を開路させ、配電線２を母線１よ
り切り離す。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】以上が、配電線路にお
ける故障時の過電流リレー及びその周辺設備の動作手順
であるが、実際に故障がおこった場合にこの手順どおり
に正しく動作するかどうかを常に確認しておくことは、
配電線路やその保護装置の運用上及び保全上、重要かつ
必要なことである。

【０００７】保全のひとつの方法として、過電流リレー
内の補助リレーを模擬的に動作させてトリップコイルを
励磁させ、遮断器を開路させるという一連のシーケンス
動作を試験的に実施して確認するという方法がある。こ
のシーケンス動作確認をしようとした場合、過電流リレ
ーの補助リレーを負荷電流の有無とは無関係に動作させ
ることが必要であり、また、無負荷状態で試験すること
が一般的である。この補助リレーはその制御電源を変流
器の二次電流より得ているため、配電線の負荷電流がな
い（無負荷）場合は補助リレーを動作させることができ
ない。

【０００８】そこで、本発明の目的は、上述の技術的課
題を解決し、過電流リレー内部の補助リレーに外部より
供給電源を与え、かつその補助リレーを外部より強制的
に動作させることにより、一連のシーケンス動作確認の
実施を可能にする過電流リレーを提供することである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めの本発明の過電流リレーは、変流器の二次側電流より
制御電源を得る過電流リレーであって、過電流リレーの
補助リレーに直流電源を供給するバッテリーと、前記バ
ッテリーにより補助リレーを動作させる強制動作スイッ
チとを備えることを特徴とするものである。

【００１０】

【作用】前記の構成によれば、配電線が無負荷、換言す
ればシーケンス動作確認が可能のときでも過電流リレー
の外部に設けられた強制動作スイッチをオン操作する
と、バッテリーにより過電流リレーの補助リレーに直流
電圧が印加されるので、補助リレーが動作しその接点が
閉じられる。補助リレーの接点閉によりトリップコイル
が励磁され遮断器は開路する。

【００１１】このように過電流リレーの外部に、バッテ
リーと強制動作スイッチを持つことにより、過電流リレ
ーの補助リレーを強制的に動作させることができるので
配電線無負荷時にも一連のシーケンス動作確認が可能と
なる。

【００１２】

【実施例】以下に添付図面を参照して実施例を詳細に説
明する。図１は、過電流リレー５とその周辺設備及び過
電流リレー５に接続された強制動作装置１５の内部接続
図である。配電線２は母線１より分岐され、それには遮
断器３（ＣＢ）と負荷電流を測定する変流器４（ＣＴ）
とが接続されている。

【００１３】変流器４の二次側コイルには過電流リレー
５がつながり、過電流リレー５は変流器４からの負荷電
流が入力されその信号検知を行う入力電流検出部７、過
電流リレー５の入力電流検出部７及び補助リレー１０に
電源を供給する電源部６、補助リレー１０及びスイッチ
ングトランジスタ１２等からなる。補助リレー１０の接
点１１は、過電流リレー５の外部出力端子１９ａ，１９
ｂにつながっており、その出力端子には、遮断器３を動
作されるトリップコイル１３（ＴＣ）と遮断器３の開閉
操作と連動し、遮断器３が開放したときに開となる補助
開閉器１４が直列に接続され、別置きの直流電源２２
ａ，２２ｂと共に閉回路を形成している。

【００１４】一方、強制動作装置１５には、過電流リレ
ー５の補助リレー１０に直流電圧を印加するバッテリー
１７と、その補助リレー１０を動作させる強制動作スイ
ッチ１８が設けられる。バッテリー１７は、過電流リレ
ー５の外部端子２０ａ，２０ｂに接続されるが、過電流
リレー５の電源部６でつくられる内部電源が、バッテリ
ー１７側に回り込まないよう、強制動作装置１５内で逆
電流防止用のダイオード１６が、バッテリー１７に直列
に挿入されている。

【００１５】また、強制動作装置１５の強制動作スイッ
チ１８は、過電流リレー５の外部端子２１に接続され、
この端子２１は過電流リレー５内でスイッチングトラン
ジスタ１２のコレクタ端子に接続される。次に強制動作
装置１５の動作を説明すると、過電流リレー５の補助リ
レー１０には強制動作装置１５のバッテリー１７によ
り、直流電源が印加される。このとき強制動作スイッチ
１８を手動でオン状態にすると、補助リレー１０が動作
しその接点１１が閉じられる。接点１１が閉じられる
と、遮断器３のトリップコイル１３は、直流電源２２
ａ，２２ｂの電圧により励磁され、遮断器３を開路させ
る。遮断器３が開路されることにより、配電線２は母線
１より切り離される。

【００１６】従来、過電流リレー５の補助リレー１０及
びその周辺設備の一連のシーケンス動作確認は、補助リ
レー１０が変流器４の二次電流から制御電源を得ていた
ため無負荷時には不可能であったが、以上の動作手順に
よって、すなわち、過電流リレー５に強制動作装置１５
を接続し、強制動作装置１５内のバッテリー１７より電
源を得て補助リレー１０を動作させることによって、シ
ーケンス動作確認が可能となる。

【００１７】上記実施例において、外部のバッテリー１
７の電源容量は、過電流リレー５の補助リレー１０を十
分動作させるものであればよい。例えば、市販の単一乾
電池で１２Ｖ程度のバッテリーである。その他、本発明
の要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を施すことが
可能である。

【００１８】

【発明の効果】以上のように、本発明の過電流リレーの
外部にバッテリーと強制動作スイッチを設けることによ
り、強制的に過電流リレーの補助リレーを動作させ、遮
断器を開路させるという一連のシーケンス動作テスト
を、変流器の二次電流がなくとも実施することが可能と
なり、配電線路や保護装置の運用上及び保全上、有効な
手段となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】過電流リレーと過電流リレーの周辺設備及びそ
れに接続された強制動作装置の内部接続図である。

【図２】従来の過電流リレーと過電流リレーの周辺設備
の内部接続図である。

【符号の説明】

５ 過電流リレー １５ 強制動作装置 １７ バッテリー １８ 強制動作スイッチ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】変流器の二次側電流より制御電源を得る過
   電流リレーであって、 過電流リレーの補助リレーに直流電源を供給するバッテ
   リーと、前記バッテリーにより補助リレーを動作させる
   強制動作スイッチとを備えることを特徴とする過電流リ
   レー。