JPH089752Y2 - 電子ドラム - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、ステイツクでパツドを叩くことによつ
て、電子音による各種ドラム等の打楽器音を発生させる
ための装置である電子ドラムに関し、特にその本体構造
に関する。

〔考案の概要〕

この考案は、電子ドラムにおいて、上面にパツドを備
えた本体の底面に内部方向へ凹陥する補強用リブを設
け、このリブによつてステイツクを収納するステイツク
収納部を形成することにより、本体の強度を高めると共
に、不使用時にステイツクを本体に収納できるようにし
て、持ち運びや保管に便利なようにしたものである。

〔従来の技術〕

電子ドラムは、少なくともステイツクによつて叩かれ
るパツドとその打撃振動を検出してトリガ信号を発生す
る信号発生手段とを備え、そのトリガ信号に同期して予
め選択した各種ドラム等の打楽器に似た音色及びエンベ
ロープの楽音（以下「打楽器音」という）を電子的に発
生するための装置であり、簡単な操作で本格的な各種の
電子ドラム音が得られるので、リズム楽器の新しい形態
としてドラマやパーカツシヨニストはもちろん、ボーカ
リストやキーボーデイストにも広く用いられている。

このような電子ドラムは、従来は個々のパツドユニツ
トと、それを支えるスタンドと、パツドを打撃するため
のステイツクと、音源部やアンプを内蔵する音源ユニツ
トと、スピーカユニツト等によつてシステム構成されて
いた。

しかし、近年より簡易な電子ドラムとして、本体に複
数のパツドと少なくともその各パツドの打撃振動を検出
してトリガ信号と好ましくはその打撃の強さにも応じた
信号を発生する信号発生手段、あるいはさらにその信号
によつて電子的に打楽器音を発生する音源ユニツト等も
内蔵した一体型のものも開発されている（例えば、特開
昭58−118699号公報参照）。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、このような従来の電子ドラムにあつて
は、演奏中にパツドを打撃するために使用する他の電子
鍵盤，電子ギター等では必要なかつた本体とは別体のス
テイツクが必要であつたが、そのステイツクを演奏後や
持ち運び時に収納するところがなく、ステイツクの保管
が面倒なだけでなく、往々にしてステイツクを紛失し易
いという問題点があつた。

この考案は、このような問題点を解決し得る電子ドラ
ムを提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記の目的を達成するため、この考案による電子ドラ
ムは、本体の底面に内部方向へ凹陥する補強用リブを設
け、このリブによつてパツドを打撃するためのステイツ
クを収納するステイツク収納部を形成したものである。

そして、本体が樹脂によつて成形された上ケースと下
ケースとからなる電子ドラムにあつては、その下ケース
にステイツク収納部を形成する補強用リブと上ケースを
ねじ止めするためのボスとを連接して形成し、そのボス
穴がステイツク収納部に連通してステイツク取出時の指
挿入部となるようにしたものである。

〔作用〕

上記のように構成することにより、使用後はステイツ
クを本体の底面に設けたステイツク収納部に収納するこ
とができ、このステイツク収納部は本体の内部方向へ凹
陥する補強用リブによつて形成されているので、持ち運
び時にも他物に触れて脱落する恐れがなく、本体の補強
にも極めて有効である。

さらに、上ケースと下ケースとからなる電子ドラムの
下ケースにステイツク収納部を形成する補強用リブと上
ケースをねじ止めするためのボスと連接して形成し、そ
のボス穴がステイツク収納部に連通するようにすれば、
このボス穴がステイツク取り出し時の指挿入部となつて
ステイツクの取り出しが容易になる。

〔実施例〕

以下、添付図面を参照してこの考案の実施例を説明す
る。

第１図乃至第３図はこの考案の一実施例を示すもの
で、第１図は平面図、第２図は一部を破断して示した側
面図、第３図は底面図である。

この電子ドラムの本体10は上ケース１と下ケース２と
からなり、それぞれABS等の樹脂によつて成形されてい
る。

上ケース１の上面には、第１図に示すように向つて左
側にそれぞれ振動センサを備えた４個のパツド３を上下
左右に等間隔で装着し、その右側に操作パネル７及びス
ピーカ18を内部に取付けたスピーカグリル８を配設して
いる。

その操作パネル７には、例えばバスドラム，スネアド
ラム，シンバル等の各種打楽器音を選択するための４個
のフアンクシヨンキー4_A〜4_D及び８個のセレクトキー4a
〜4hと、オートリズムの種類を選択するための４個のリ
ズムセレクトキー5a〜5dと、そのオートリズムのスター
ト・ストツプを指示するためのスイツチ5_Sと、電源のオ
ン・オフと音量ボリユームを兼ねた操作子６とを設けて
いる。

一方、下ケース２の底面には、第２図及び第３図に示
すように、底面から内部方向へ凹陥する補強用リブ９を
設け、このリブ９によつて形成した断面Ｕ字状の凹溝に
より２本のステイツク20（第３図）を収納し得るステイ
ツク収納部11を形成している。

そして、このステイツク収納部11の第３図で左端側の
リブ9aには、２本のステイツク20の各先端部20aがそれ
ぞれ嵌入し得る一対の穴が形成されており、右端側には
弾性を有する一対の爪片12が突設して形成されている。

さらに、この実施例ではステイツク収納部11の長手方
向の中間部にも、間隔を置いて３個の連接円弧状（第２
図参照）のセパレータ19を設けている。

また、この下ケース２に形成した補強用リブ９に連接
して、上ケース１をねじ止めするためのボス13を形成
し、そのボス穴13aをステイツク収納部11に空間により
連通させてステイツク20を取り出す時の指挿入部とし、
一部はこのボス13を用いて他は直接に下ケース２と上ケ
ース１とを複数の止ねじ14によつて一体に固定してい
る。

なお、15は補強用リブを兼ねた電池ケース、16は下ケ
ース２の底面に設けた４個の足部である。また、17は本
体の側面に設けたMIDI規格の信号出力端子,ACアダプタ
端子，外部スピーカ端子等の外部端子である。

そして、図示はしていないが、この本体10内には、各
パツド３に取付けられた振動センサによつて各パツド３
のステイツク20による打撃振動を検出してトリガ信号と
その打撃の強さに応じた信号を発生する信号発生回路
と、そのトリガ信号に同期してその打撃の強さに応じた
大きさで電子的に各種の打楽器音を発生する音源部及び
アンプも内蔵している。

このように構成された電子ドラムにおいて、４個のパ
ツド３には32種類の音源から４種類の打楽器音を選んで
任意に設定することができる。

例えば、第１図の操作パネル７に設けられた４個のフ
アンクシヨンキー4_A〜4_Dによつて８個のセレクトキー4a
〜4hの各セレクト機能をそれぞれ４種類に切り換えるこ
とができ、このフアンクシヨンキーとセレクトキーの組
合せによつて32種類の音源を選択することができる。

そして、フアンクシヨンキー4_A〜4_Dのいずれか１個と
セレクトキー4a〜4hのいずれか１個とを一方の手の指で
押しながら、他方の手に持つたステイツク20でパツド３
を叩くと、そのパツド３に対して選択した音源（バスド
ラム，スネアドラム，シンバル等）がセツトされる。

このようにして、４個のパツド３にそれぞれ音源（打
楽器音）を選択してセツトしておけば、演奏時にステイ
ツク20によつて意図するパツド３を打撃すると、そのタ
イミングでその打撃の強さに応じた所望の打楽器音が発
生してスピーカ18から放音される。

演奏が終つたら、２本のステイツク20を本体の下ケー
ス２の底部に設けたステイツク収納部11に収納すること
ができる。

その際、ステイツク20の先端部20aをリブ9aの穴に嵌
入させた後、その後端部20bを爪片12を若干撓ませなが
ら押し込むと、その弾性力によつて先端部20aが下ケー
ス２の内側壁に当接されて強固に収納保持される。

したがつて、この電子ドラムを持ち運ぶ際にステイツ
クを忘れたり、収納したステツクが他の物に接触して脱
落するような恐れはない。

また、ステイツク収納部11を形成するリブ９は、下ケ
ース２の底面にほぼ垂直な面を有しているので下ケース
２の補強に有効に作用する。

ステイツク20をこの収納状態から取り出す場合には、
ボス穴13aに指を挿入して引き出すようにすれば、ステ
イツク20を爪片12の保持力に抗して容易に外部に取り出
することができる。

なお、ステイツク収納部11の両端部にステイツク20の
先端部20a及び後端部20bがそれぞれ嵌入する凹部を設
け、少なくともそのいずれか一方の凹部に弾性を有する
爪片を内設し、ステイツク収納時にはその爪片の弾性力
に抗してステイツク20の一端を一方の凹部に挿入した
後、その押圧力を解除して他端を他方の凹部に嵌入させ
て保持させるようにしてもよく、この場合にはセパレー
タ19を特に設ける必要はない。

以上説明した実施例は、この考案を音源部とアンプ及
びスピーカまで全て内蔵した電子ドラムに適用した場合
の例であるが、これに限るものではなく、スピーカを内
蔵しないもの、アンプとスピーカを内蔵しないもの、あ
るいは音源部をも内蔵しない電子ドラムにもこの考案を
適用することができる。

さらに、鍵盤部や撥弦部等を併設してメロデイや伴奏
の演奏も可能な電子ドラムにも、同様にこの考案を適用
することができる。

〔考案の効果〕

以上述べたように、この考案による電子ドラムは、充
分に余分のスペースがある本体の底面に内部方向へ凹陥
する補強用リブを設け、このリブによつてステイツク収
納部を形成したので、ステイツク収納部のために本体を
大きくすることなくステイツクを本体内へ完全に収納す
ることができる。

そのため、持ち運びや保管が便利になり、ステイツク
を紛失するおそれがなくなると共に、ステイツク収納部
を形成するリブが本体を補強するので、パツドの打撃振
動によつて本体が割れたりたわんだりする恐れがなく、
耐久性が著しく向上する。

また、この補強用リブに連接して上下ケースをねじ止
めするためのボスを設け、そのボス穴がステイツク収納
部に連通するようにすれば、ボス穴がステイツク取り出
し時の指挿入部になり、ステイツクの取り出しを容易に
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す平面図、 第２図は同じくその一部を破断して示す側面図、 第３は同じくその底面図である。 １…上ケース、２…下ケース ３…パツド、７…操作パネル ８…スピーカグリル、９…補強用リブ 10…本体、11…ステイツク収納部 12…爪片、13…ボス 13a…ボス穴、20…ステイツク

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】本体の上面にパツドを備え、該パツドの打
   撃振動を検出して打楽器音を発生するための信号発生手
   段を内蔵する電子ドラムにおいて、 前記本体の底面に内部方向へ凹陥する補強用リブを設
   け、該リブによつて前記パツドを打撃するためのステイ
   ツクを収納するステイツク収納部を形成したことを特徴
   とする電子ドラム。
2. 【請求項２】本体が樹脂によつて形成された上ケースと
   下ケースとからなり、その下ケースにステイツク収納部
   を形成する補強用リブと上ケースをねじ止めするための
   ボスとを連接して形成し、そのボス穴がステイツク収納
   部に連通してステイツク取り出し時の指挿入部となるよ
   うにしたことを特徴とする請求項１記載の電子ドラム。