JP3843749B2 - 電子弦楽器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術の分野】
本発明は、弦部材の操作を検出して楽音を電気的に発生するようにした電子弦楽器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、弦部材を備え、この弦部材の操作を検出して楽音を電気的に発生するようにした電子弦楽器が知られている。この電子弦楽器では、例えば、楽器全体をギター型に構成し、楽器本体部に設けた弦部材の撥弦動作を、振動や撓み等を介してピエゾ素子等で検出し、その検出信号をトリガとして楽音を発生するようにしている。この楽器では例えば、棹部に設けた操作子で音高を決定すると共に、弦部材を撥いて楽音発生のタイミングの決定や自動演奏の歩進の制御等を行うようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の電子弦楽器では一般に、1つの弦部材について撥弦動作を検出するセンサ部は1つであり、弦部材の移動方向を区別することまではできなかった。例えば、ギターを想定した電子弦楽器では、アップ/ダウンストロークによる奏法に合うように、弦部材は楽器本体の長手方向に直交する方向に移動自在に構成される。しかし、アップストロークの場合もダウンストロークの場合も、撥弦強さが同じであれば出力される検出信号は同一であった。その結果、発生する楽音はアップ/ダウンストロークの区別なく同様のものとならざるを得なかった。
【0004】
従って、従来の電子弦楽器では、実際のギター等のように、アップ/ダウンストロークで音色等を微妙に異ならせ、それによって楽音に豊かな表情を与える、といった演奏表現を実現することが困難であるという問題があった。
【0005】
本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、演奏表現力を向上することができる電子弦楽器を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の請求項1の電子弦楽器は、楽器本体の長手方向に沿って延び、前記長手方向に直交する方向に移動自在に前記楽器本体に並列的に取り付けられた複数の弦部材と、前記各弦部材に対応して設けられ、それぞれ、一部が対応する弦部材にリンクされると共に他の一部が前記楽器本体に対して固定関係にあり、前記対応する弦部材の移動に伴い撓み得るように構成された2枚で一対の板バネと、前記各一対の板バネのうち第1、第2の板バネにそれぞれ取り付けられ、前記第1、第2の板バネ(14x、14y)の撓みによって前記対応する弦部材の撥弦動作を独自に検出する第1、第2のセンサ部(15x、15y)と、前記各第1、第2のセンサ部のいずれかから撥弦動作検出信号が出力されたとき、該撥弦動作検出信号をトリガとして楽音を発生させる楽音発生手段とを備え、前記第1の板バネ及び前記第2の板バネは、前記楽器本体に対して固定関係にある前記他の一部を基端として片持ち梁状に延設され、前記第1の板バネと前記第2の板バネとは、前記対応する弦部材の互いに異なる方向への移動にのみ伴ってそれぞれ撓むように構成され、且つ、前記弦部材の並び方向における、隣接する弦部材間の間隔よりも狭い幅内に互いに平行に並設されたことを特徴とする。
【0012】
これにより、弦部材を撥弦により移動させる方向によって異なるセンサ部から撥弦動作検出信号が出力されるので、撥弦方向を区別してそれに応じて異なる処理が可能になる。例えば、撥弦方向に応じて異なる楽音を発生させ、ギターでいうアップストロークとダウンストロークとで音色を変える等の制御が可能になる。よって、演奏表現力を向上することができる。
【0013】
請求項の電子弦楽器は、上記請求項記載の構成において、前記第1のセンサ部による撥弦動作検出信号と前記第2のセンサ部による撥弦動作検出信号とで、前記楽音発生手段により発生される楽音の特性を異ならせる楽音特性制御手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
これにより、弦部材を撥弦により移動させる方向によって、発生する楽音の特性が異なるように制御することができるので、例えば、ギターでいうアップストロークとダウンストロークとで、音色を変える等の制御が可能になる。よって、演奏表現力を向上することができる。
【0015】
請求項の電子弦楽器は、上記請求項記載の構成において、前記第1、第2のセンサ部は、前記弦部材を撥弦する強さに応じた撥弦強さ信号をそれぞれ出力可能に構成され、前記楽音特性制御手段は、前記第1、第2のセンサ部による各撥弦強さ信号に応じて、前記楽音発生手段により発生される楽音を制御することを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、第1、第2のセンサ部による、弦部材を撥弦する強さに応じた各撥弦強さ信号に応じて、発生される楽音がさらに制御される。よって、撥弦の方向と強さとに応じて楽音を種々変えられるので、演奏表現力を一層向上することができる。
上記目的を達成するために本発明の請求項5の電子弦楽器は、楽器本体の長手方向に沿って延び、前記長手方向に直交する方向に移動自在に前記楽器本体に並列的に取り付けられた複数の弦部材と、前記各弦部材に対応して設けられ、それぞれ、一部が対応する弦部材にリンクされると共に他の一部が前記楽器本体に対して固定関係にあり、前記対応する弦部材の移動に伴い撓み得るように構成された一対の弾性体と、前記各一対の弾性体のうち第1、第2の弾性体にそれぞれ取り付けられ、前記第1、第2の弾性体の撓みによって前記対応する弦部材の撥弦動作を独自に検出する第1、第2のセンサ部と、前記各第1、第2のセンサ部のいずれかから撥弦動作検出信号が出力されたとき、該撥弦動作検出信号をトリガとして楽音を発生させる楽音発生手段とを備え、前記第1の弾性体と前記第2の弾性体とは、前記対応する弦部材の互いに異なる方向への移動にのみ伴ってそれぞれ撓むように構成され、且つ、前記弦部材の並び方向における、隣接する弦部材間の間隔よりも狭い幅内に平行に並設され、前記各弦部材は、前記楽器本体の長手方向に沿って延びた撥弦部と、前記一対の弾性体の前記一部とリンクするリンク部と、前記撥弦部及び前記リンク部間において前記楽器本体の長手方向に沿って延び、前記楽器本体に軸支された回動軸部とから構成され、前記撥弦部が撥弦されたとき、前記弦部材が前記回動軸部を中心に回動し、前記リンク部が前記撥弦部の移動方向とは逆の方向に移動するように構成されたことを特徴とする。
【0017】
なお、上記請求項1、2において、弦部材を複数(例えば6本)設け、トリガ信号出力手段及び移動検出手段を各弦部材毎に設けてもよい。また、上記請求項3〜5において、弦部材を複数(例えば6本)設け、各弦部材に各々、同様の構成の一対の弾性体(第1、第2のセンサ部込み)を設けるようにしてもよい。これらにより、いずれの弦部材についても、撥弦方向によって楽音特性が異なるように制御することができる。さらに、これらに加えて、複数の弦部材毎に楽音特性を異ならせるようにしてもよい。これにより、弦部材毎に異なる楽音が発生するだけでなく、各弦部材の撥弦の方向によってもそれぞれ楽音特性が異なるように制御することができる。よって、表現力を一層向上するだけでなく、弦楽器としての利用範囲を拡大することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0019】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電子弦楽器の平面図である。本電子弦楽器はギター型に形成され、胴体部1(楽器本体)及び棹部2から成る。棹部2のギターでいう指盤部に相当する部分には、音高スイッチ部3が設けられ、棹部2から胴体部1に至る部分にはパネル操作部4が設けられる。胴体部1には、弦入力部5及びメモリスロット6が設けられる。後述するように、本電子弦楽器は、左手でギターのフレット間を押さえるときのようにして音高スイッチ部3で音高を設定すると共に、右手でギターの弦を撥弦するようにして弦入力部5の弦部材51(後述)を撥くことで、電気ギターの演奏操作や発音を擬似的に実現したものである。
【0020】
パネル操作部4は楽器種類やモードの設定の入力等に用いられる。メモリスロット6には所定のメモリカードが挿入可能で、メモリカードに格納された曲データを本装置で鳴らしたり、楽曲の進行に従って押弦操作を光でガイドしたりすることができる。
【0021】
また、他の楽器に対し、メモリカードに格納された曲データをMIDI信号の形でケーブルコード60を介して送信することもできる。
【0022】
図2は、弦入力部5を胴体部1から取り外し、裏側からみた裏面図である。図3は、図2のA−A線に沿う矢視部分断面図である。図4は、センサ体10(トリガ信号出力手段、移動検出手段、撥弦強さ検出手段(図2参照))の分解斜視図である。なお、図2には、下ケース25、基板26は表されていない。基板26の内側には、音源回路及び/又はその制御回路の部品がはんだ付けされている(図示せず)。
【0023】
図1に示すように、弦部材51(図3参照)は、6本(51a〜51f)設けられ、ギターの弦の太さに倣い、弦部材51aが最も太く、51b…51fという順序で細くなっている。各弦部材51の長手方向における両端近傍には、弦部材51a〜51fに対応して、発光素子LD6〜LD1が設けられている。
【0024】
図3に示すように、弦部材51は、撥弦部51Wが棹部2の長手方向に延び、撥弦部51Wの両端部が胴体部1側に屈曲した後、再び棹部2の長手方向に軸部51Xとして延び、さらに両軸部51Xから胴体部1側に屈曲して一端部51Y、他端部51Z(図2参照)が形成されている。なお、弦部材51a、51c、51eでは、棹部2側が他端部51Z、反棹部2側(棹部2の反対側)が一端部51Yとなり、弦部材51b、51d、51fでは、棹部2側が一端部51Y、反棹部2側が他端部51Zとなる。弦入力部5にはさらに軸支部(軸受部)18が設けられ、弦部材51は両軸部51Xで軸支部18に軸支されている。これにより、弦部材51は、両軸部51Xを中心として回動し、弦部材51の並び方向に移動可能にされる。
【0025】
図2に示すように、弦入力部5には、各弦部材51に対応してセンサ体10が6個設けられている。センサ体10は、各弦部材51の一端部51Y側に配置される。すなわち、センサ体10は、弦部材51a、51c、51eに対応するものが反棹2部側に配設され、弦部材51b、51d、51fに対応するものが棹部2側に配設されている。
【0026】
弦入力部5にはさらに、1対のストッパ用ゴム材19が設けられている。ストッパ用ゴム材19は、各弦部材51に対応して設けられ、弦部材51の他端部51Z側に配設される。1対のストッパ用ゴム材19で形成される各間隙に各弦部材51の他端部51Zが挿通される(図2)。弦部材51が軸部51Xを中心として回動するとき、ストッパ用ゴム材19は弦部材51の回動角度を規制する役割を果たす。棹部2側及び反棹部2側共に、弦部材51の並び方向において、センサ体10とストッパ用ゴム材19とは交互に配置されており、いわゆる千鳥状の配置となっている。これにより、弦部材51の並び方向において隣接するセンサ体10間の間隔が大きくなっている。弦入力部5には、基板26がネジ止め固定され、さらに弦入力部5は下ケース25にネジ止め固定される(図3)。
【0027】
図4に示すように、センサ体10は、板バネ体14、ゴム体16(16x、16y)、保持部材11、ピエゾセンサ15(15x、15y)(第1、第2のセンサ部)及びブロック材17等で構成される。板バネ体14は金属等で構成され弾性を有し、その基端部14aが保持部材11にネジ12で取り付けられている。基端部14aからは、2枚の板バネ14(14x、14y)(第1、第2の弾性体)が僅かな間隙を保って略平行に片持ち梁のように延設されている。ブロック材17は弦入力部5の台座27(図2、図3)に固着され、ブロック材17に保持部材11がネジ13で取り付けられる。
【0028】
各板バネ14x、14yの先端部(自由端部)14b(14xb、14yb)には、それぞれゴム体16x、16yが取り付けられている。図2(吹き出し図)に示すように、ゴム体16x、16yは、各板バネの先端部14bをアウトサートして形成される。従って、ゴム体16x、16yの肉部が板バネの両先端部14xb、14ybの内側にまで少し回り込んでいる。両ゴム体16x、16yは、わずかに接触しており、これによって、2枚の板バネ14(14x、14y)間の上記間隙が確保される。
【0029】
ゴム体16x、16yはいずれも半円状の欠肉部を有し、1組のゴム体16x、16yを合わせたとき、両欠肉部によって穴16aが形成される。そして、この穴16aを弦部材51の一端部51Yが貫通している(図3)。これにより、板バネ14xの先端部14xbが、ゴム体16xを介して弦部材51の一端部51Yとリンクすると共に、板バネ14yの先端部14ybが、ゴム体16yを介して弦部材51の一端部51Yとリンクする。ただし、ゴム体16xとゴム体16yとは分離しているので、弦部材51の一端部51Yの移動方向によって、板バネ14xまたは板バネ14yのいずれかが独立して撓むことになる。
【0030】
なお、図2(吹き出し図)に示すように、両ゴム体16x、16yと弦部材51の一端部51Yとの間には、遊びW1、W2が形成される。この遊びW1、W2によって、弦部材51に不用意に触れても、少々の外力であればピエゾセンサ15は反応しないようになっている。例えば、第3弦のみを撥弦するつもりが、第2弦までも少し移動させてしまったような場合でも、第2弦の撥弦動作は検出されないようになっている。
【0031】
ピエゾセンサ15(15x、15y)はそれぞれ板バネ14x、14yに設けられている。各ピエゾセンサ15x、15yは、ピエゾ素子でなり、板バネ14x、14yの長手方向における略中央にそれぞれ取り付けられ、各板バネ14x、14yが撓む現象を介して弦部材51の撥弦動作を検出する。すなわち、弦部材51が軸部51Xを中心として回動するとき、各板バネ14x、14yのいずれかが撓んで、対応するピエゾセンサ(15xまたは15y)が出力信号を発生する。これにより、弦部材51の撥弦動作及び撥弦強さが各弦部材51別に検出されるだけでなく、検出信号がピエゾセンサ15x、15yのいずれから出力されたかによって、撥弦の方向、すなわちダウンストロークであるかアップストロークであるかを検出することができる。各弦部材51に関し、ピエゾセンサ15xは専らアップストローク検出用、ピエゾセンサ15yは専らダウンストローク検出用に用いられることになる。
【0032】
かかる構成において、奏者は、通常はピッキングと同じ要領で弦部材51を指またはピックではじけばよい。例えば、撥弦のために弦部材51に弦の並び方向への力を加えると、弦部材51が軸部51Xを中心に回動し、一端部51Y、他端部51Zが撥弦部51Wとは平面的にみて反対方向に移動する。一端部51Yとゴム体16がリンクされていることで、板バネ14x、14yのいずれかが撓む。
【0033】
例えば、ダウンストロークの場合を例にとれば、撥弦部51Wが図2に示すD1方向に移動すると、弦部材51が軸部51Xを中心に回動し、一端部51Y、他端部51Zが反対方向であるD2方向に移動する。そのとき一端部51Yによりゴム体16yが駆動され、板バネ14yがD2方向に撓む。一方、アップストロークの場合はこれとは方向が反対となり、一端部51Yによりゴム体16xが駆動されて板バネ14xがD1方向に撓む。
【0034】
なお、強い力を加えた場合は、他端部51Zがストッパ用ゴム材19に当接して弦部材51の回動が停止する。弦部材51をはじく、すなわち弦部材51を付勢した状態からその付勢力を解除すると、板バネ14x、14yの弾性によって弦部材51が初期位置に急激に戻ろうとする。そのとき弦部材51に大きな加速度が与えられ、ピエゾセンサ15x、15yが検出信号(撥弦動作検出信号、撥弦強さ信号)を出力する。ダウンストロークの場合はピエゾセンサ15yから検出信号が出力され、アップストロークの場合はピエゾセンサ15xから検出信号が出力される。
【0035】
ピエゾセンサ15は、移動加速度に応じた信号を出力するので、弦部材51に弦の並び方向に向かって急激な力を作用させるような演奏時にも、出力を発生する。なお、ピエゾセンサ15は、弦部材51の移動ファクタとして、通常は、弦部材51の移動加速度を検出し、それに応じた信号を出力すると捕らえることができるが、弦部材51に対する力の変化(率)に応じた信号を出力すると捕らえることもできる。通常は、奏者からみれば、弦部材51を撥弦する強さに応じた出力が得られることになる。
【0036】
図5は、図1のB−B線に沿う部分断面図である。
【0037】
棹部2は、下ケース40、上ケース30、基板20等で構成され、さらに棹部2には、フレット34及びフレット部材35(音高決定用スイッチ部)がそれぞれ複数設けられている。フレット34はギターにおけるフレットに対応する位置に設けられる。本実施の形態におけるフレット34は、振動する弦の長さを規定するというギターのフレットとしての機能を果たすものではなく、押弦の際における位置のめやすとなるものである。フレット34はまた、フレット部材35の押下時におけるガイド機能をも果たす。各フレット34の間隔は、ギターの場合に倣い高音域ほど狭くなっている。
【0038】
フレット間領域は12音階の設定を最低限可能とすべく12個存在する。ここで、例えば、図1に示す「FR」が1つのフレット間領域である。なお、上記12音階よりも高音域側のフレットは、通常のギターにおいても上級者以外はあまり用いないため、本電子弦楽器では、上記高音域にフレット間領域を設ける代わりに、パネル操作部4を配置する領域として利用することで、省スペース化及び操作性の向上が図られている。
【0039】
フレット部材35は、図1に示すように、各フレット34間に設けられ、フレット部材35は、各弦部材51の長手方向に沿ってそれぞれ列状に12個配設され、同一のフレット間領域では6個ずつ並列配置される。各フレット部材35の棹部2の長手方向における長さは、その両端のフレット34の間隔と略同じ長さ、すなわち略フレット間長となっている。フレット部材35は、全体が透光材で形成される。フレット部材35は、下方に押し込み可能になっており、さらに押弦解除後には、下方に設けた弾性体(後述の可動接点31aにより兼用される)によって元の非押下位置に復帰するようになっている。
【0040】
基板20はフレット部材35の下方に設けられ、この基板20上に固定接点21とそれに対応する可動接点31aとの組で構成される押弦スイッチ31がフレット部材35毎に設けられる。押弦スイッチ31は、フレット部材35の数と同じ、72組存在する。この押弦スイッチ31では、フレット部材35の押下、及び押下解除の動作によって、固定接点21と可動接点31aとが離接して、フレット部材35の押下動作が検出される。また、上記基板20上においてフレット部材35の直下には、LEDで構成される表示部22(視認表示部)が各フレット部材35毎に設けられる。表示部22が発光するとその光がフレット部材35を透過し、フレット部材35が光ってみえる。
【0041】
フレット部材35は、上ケース30から突出した被押さえ部35Bが指で押下されることで、下方に押し込み可能になっている。フレット部材35が押し込まれると、押されたフレット部材35の直下にある可動接点31aが固定接点21に当接する。本実施の形態では、図5に示すように、1つのフレット部材35につき2つの押弦スイッチ31(固定接点21と可動接点31aとの対が2つ)が構成されるが、両押弦スイッチ31の少なくとも1つがオンすることで、当該フレット部材35の押下操作が検出されるようになっている。これにより安定した検出が可能になる。例えば、フレット部材35を押下するときには、必ずしも被押さえ部35Bの長手方向における中央が押下されるとは限らず、いずれかの端部に近い位置で押下されることがある。その場合、通常は押下位置に近い側の押弦スイッチが先にオンすることになるが、当該先にオンした押弦スイッチによって押下動作のオンが検出される。
【0042】
図6は、本実施の形態の電子弦楽器の機能構成を示すブロック図である。
【0043】
本電子弦楽器は、フレットスイッチ群66、撥弦検出部67、その他スイッチ群68、通信I/F(インターフェイス)76、自動演奏メモリ65、CPU60(楽音特性制御手段)、RAM61、ROM62、音源63(楽音発生手段)、オフレベル検出77及び表示制御回路64が、バス75を介して互いに接続されて構成される。音源63にはD/A変換器78及びアンプ79を介してサウンドシステムSSが接続され、オフレベル検出77は音源63にも接続されている。表示制御回路64には表示部22が接続されている。
【0044】
フレットスイッチ群66は、上述した72組の押弦スイッチ31で成る。各押弦スイッチ31の検出信号は音高信号(チャネル指示データ)の元となるものであり、CPU60に供給される。撥弦検出部67は、各弦部材51毎に2つ設けられ、全部で12個存在する。同図には、撥弦検出部67のうちピエゾセンサ15xからの検出信号を処理するものが図示されている。
【0045】
例えば、ピエゾセンサ15xからの検出信号は、整流部69で整流され、エンベロープ検出部70でエンベロープ曲線が形成され、P・H(ピークホールド)検出部71で波形のピークが検出され、スレッショルド比較部72による比較の結果、ピークが所定の閾値を超えた場合は、A/D変換器73によって検出信号がデジタル変換される。この変換されたデジタルデータは、撥弦の強さを示す例えば8ビットのデータであり、そのうちの1ビットのデータからトリガ検出部74によって撥弦があったことが検出されると共に、デジタルデータはA/D変換器73からCPU60に撥弦強さ信号(発音強さデータ)として供給される。
【0046】
ピエゾセンサ15yの検出信号や他の弦部材におけるピエゾセンサ15x、15yの検出信号を処理するための撥弦検出部67についても同様に構成される。
【0047】
その他スイッチ群68には、パネル操作部4に設けられた各種スイッチ等が該当する。自動演奏メモリ65には、メモリスロット6に挿入されたメモリカード等が該当する。通信I/F(インターフェイス)部76は、複数種類のインターフェイスを有し、他のMIDI機器等の外部装置からMIDI信号を入力したり、MIDI信号を外部装置に出力したりするほか、パーソナルコンピュータ等とデータの送受信を行うこともできるように構成されている。
【0048】
CPU60は、本楽器全体の制御を司る。RAM61は、各種データを記憶し、CPU60がプログラムを実行する際のワークエリアとしても機能する。ROM62は、CPU60が実行する制御プログラム等を格納している。音源63は、CPU60によって発音タイミング及びタッチ等がコントロールされ、このコントロール下において、楽音形成のためにプリセットされたパラメータを時変動させながら楽音を発生するセクションである。音源ソースが波形メモリである場合は、波形ROM及びその読み出し手段も含んで構成される。サウンドシステムSSは、アンプ79及びスピーカ80からなり、A/D変換器73からの楽音信号を音響信号に変換する。また、オフレベル検出77は、音源63から出力される楽音信号からオフレベル信号を検出してそれをCPU60に供給する。表示制御回路64は、CPU60による制御に基づき表示部22の表示を制御する。
【0049】
図7は、本実施の形態におけるメインルーチンの処理のフローチャートを示す図である。
【0050】
まず、各種レジスタやカウント値等の初期化を実行し(ステップS1)、音色等楽音パラメータの設定処理を実行する(ステップS2)。次に、後述する図7のイベント取り込み処理を実行し(ステップS3)、その他処理を実行して(ステップS4)、前記ステップS2に戻る。「その他処理」では、デジタルボリュームや各種スイッチにより、後述する定数A、Bの値等を設定することができる。
【0051】
図8は、図7のステップS3で実行されるイベント取り込み処理(発音準備&発音処理)のフローチャートを示す図である。
【0052】
まず、トリガイベントの発生がなされると、いずれかのトリガイベントがあったか否かを判別する(ステップS801)。ここでいうトリガイベントには、フレット部材35の押下による押弦スイッチ31のオンオフ((以下、「フレットオン、フレットオフ」と称する))、弦部材51の撥弦動作(アップストロークとダウンストロークとがある)、及びオフレベル検出77からの完全オフを示すリターン信号の受信がある。フレットオン、オフのイベント発生はフレットスイッチ群66からの信号により判別され、弦部材51の撥弦動作のイベント発生は、ピエゾセンサ15x、15yの検出信号に基づく撥弦検出部67からの信号により判別される。
【0053】
次に、チャネルCHをサーチし、処理すべきチャネルCHを決定する(ステップS802)。ここで、本実施の形態において処理されるチャネルCHは、12個存在し、以下、そのチャネル番号を「n」(n=0〜11)で表す。上記チャネルCHの決定は、上記トリガイベントがフレットオンまたはオフであったか否かに基づきなされ、トリガイベントがフレットオンまたはオフであった場合は、n=(G−1)×2+1によってチャネル番号nを求める。ここで、Gは、フレットオン、オフがあった押弦スイッチ31に対応する弦部材51を示す値であり、弦部材51a、b、c、d、e、fに対してG=6〜1が対応している。従ってチャネル番号nは奇数になる。なお、弦部材51a〜fを以下、第6〜第1弦とも称する。一方、トリガイベントがフレットオン、オフでない場合は、撥弦検出部67からの信号またはオフレベル検出77からのリターン信号によって、チャネル番号nが0〜11のいずれかに一義的に定まる。
【0054】
図9は、イベントバッファ(EVTBUF)の構成の例を示す概念図である。イベントバッファは、例えばRAM61に格納される。チャネル番号n(0〜11)に対応して、KCDREG(キーコードレジスタ)及びSTATEREG(ステートレジスタ)が書き込み可能になっている。なお、チャネル番号nの「0、1」、「2、3」…「10、11」は、それぞれ第1弦(G1)、第2弦(G2)…第6弦(G6)に対応している。例えば、トリガイベントが撥弦動作であった場合は、それがダウンストロークであればチャネル番号nは奇数となり、アップストロークであれば番号nは偶数となる。
【0055】
KCDREGには、「リターン信号の場合」、「フレットオン」、「フレットオフ」、「撥弦動作(UP/DOWNのオン)」のそれぞれに対応して2進法により「00」、「01」、「10」、「11」のいずれかが書き込まれる。STATEREGには、「完全キーオフ状態」、「フレットオン状態」、「発音指示中」、「発音指示後発音中」のそれぞれに対応して2進法によりステート「00」、「01」、「10」、「11」のいずれかが書き込まれる。
【0056】
図10は、キーコードテーブル(TBL)の構成の例を示す概念図である。キーコードテーブルは、例えばRAM61に格納される。チャネル番号n(0〜11)とフレットFとで、キーコードデータKCDが規定される。フレットFは、上記フレット部材35に対応するもので、開放弦を含めて各弦につき0〜12の13個の値をとり得る。なお、同図中、例えば、「C4」は「中央のハ音」を表す。
【0057】
図8に戻り、次に、イベントバッファ(EVTBUF)のnCHに、トリガイベントに対応する弦部材51の開放弦キーコードとトリガイベントの種類(上記00〜11のいずれか)を書き込む(ステップS803)。例えば、第2弦(弦部材51e)がダウンストロークで撥弦された場合を例にとると、まず、チャネル番号nは「3」となる。そして、キーコードテーブルにおけるフレットFの列の開放弦のデータから、KCDはB3となる。従って、この場合は、図9(a)に示すように、イベントバッファのn=3の列において、トリガイベントレジスタに「01」、KCDREGに「B3」がそれぞれ書き込まれる。
【0058】
以降、トリガイベントに応じて異なる処理を行う。すなわち、上記トリガイベントが何であったかを判別する(ステップS804)。この判別は、EVTBUFにおけるトリガイベントレジスタに書き込まれたデータによりなされる。
【0059】
ステップS804の判別の結果、上記トリガイベントが、「01」、すなわちフレットオンである場合は、ステップS805に進み、EVTBUFのnCH部のSTATEREGにステート「01」を書き込むと共に、押下されたフレット部材35に対応するKCDをKCDREGに書き込む。ここで、KCDはキーコードテーブルを参照することで得られ、例えば、第2弦に対応するフレット部材35のうちフレットF=1(棹部2の先端から1番目のフレット部材35)が押下された場合を例にとると、チャネル番号nは前記ステップS802で「3」になっていることから、KCDは「C4」となる。従って、この場合は、図9(b)に示すように、イベントバッファのn=3の列において、STATEREGに「01」、KCDREGに「C4」がそれぞれ書き込まれる。なお、各レジスタに既に値が書き込まれていた場合は上書きされる。ステップS805の処理後、本処理を終了する。
【0060】
前記ステップS804の判別の結果、上記トリガイベントが、「10」、すなわち「フレットオフ」である場合は、ステップS806に進み、EVTBUFの該当するnCH部におけるSTATEREGのキーオフを表すステートデータ「00」を、CHデータ(n)と共に音源63に送出して、本処理を終了する。この場合は、押下したフレット部材35に対応する音高の楽音につき消音指示がなされ、音源63はこれを受けて速やかに消音処理し、わずかなタイムラグの後、オフレベル信号をオフレベル検出77からCPU60に返す。
【0061】
前記ステップS804の判別の結果、上記トリガイベントが、「11」、すなわち「撥弦動作(UP/DOWNのオン)」である場合は、ステップS807に進み、後述する図11のタッチデータ表示制御処理を実行する。次にステップS808に進んで、EVTBUFの該当するnCH部におけるSTATEREGに「10」(発音指示中)を書き込み、さらに、現在書き込まれているKCDREGのKCDを、チャネルCHnのタッチ強度データTC(n)(TC(n)は、上記タッチデータ表示制御処理で求められる)とキーオンを表すステートデータ「10」とCHデータ(n)と共に、音源63に送出する。次に、ステップS809に進み、STATEREGに「11」(発音指示後発音中)を上書きして、本処理を終了する。この場合は、弦部材51が撥弦されたタイミングにて、KCDに従った音高の楽音が発生する。すなわち、押下されているフレット部材35に対応する音高(開放弦の場合は開放弦に対応する音高)の楽音が発生する。
【0062】
ここで、本実施の形態では、各弦部材51の撥弦に伴う楽音の発音に際し、アップストロークとダウンストロークとで音色を異ならせるように制御する。実際のギター等では、アップ/ダウンストローク間で音色が微妙に異なり、それによって楽音に豊かな表情が与えられる。そこで、本電子弦楽器では、これを電子的に実現した。これを実現するために、各弦種Gに係るnについて、偶数と奇数(例えば、第1弦でいえば「0」と「1」)とで音色パラメータを異ならせている。これにより、演奏表現力が向上する。
【0063】
なお、これの応用として、12個のn値について個々に音色パラメータを設定すれば、撥弦された弦とその撥弦方向(アップ/ダウン)の双方を考慮した楽音制御が可能になる。また、各弦種間で音色パラメータを著しく異ならせ、例えば、第1弦ではアコースティックギター音、第2弦ではエレクトリックギターの音、第3弦では琴の音…第6弦ではアストロノート(複数の音高データからなる持続形成音やノートレス音)というように、異なる楽器音を発生させるようにしてもよい。もちろん、n値によって変化させるパラメータは、音色に限るものではなく、各種楽音パラメータについて適用可能である。このようにして、表現力を一層向上するだけでなく、弦楽器としての利用範囲を拡大することができる。例えば、弦楽器でなく打楽器音も発生可能となる。
【0064】
前記ステップS804の判別の結果、上記トリガイベントが、「00」、すなわち、オフレベル検出77からのオフレベル信号受信によるイベント「リターン信号の場合」(完全オフ)である場合は、ステップS810に進み、EVTBUFの該当するnCH部におけるすべてのデータをクリアして、本処理を終了する。これは、発音中に弦部材51に触れて強制的に消音するような場合も含むが、一般的には、図6に示すオフレベル検出77からのリターン信号を受けて、完全オフトリガ信号がオフレベル検出77で形成され、この信号によって該当するチャネルCHnの発音が消音される。
【0065】
図11は、図8のステップS807で実行されるタッチデータ表示制御処理(強度可変)のフローチャートを示す図である。
【0066】
まず、チャネルCHnのタッチ強度データTC(n)にタッチデータPz(n)を代入する(ステップS101)。ここで、タッチデータPz(n)は、n番目の撥弦検出部67から供給される信号により定まり、撥弦の強さが強いほど大きい値を執る。また、上述したように、nの値によって、撥弦された弦部材51及びその撥弦方向(UP/DOWN)が規定される。
【0067】
次に、キーコードテーブルを参照し、EVTBUFに現在書き込まれているKCDREG(n)のKCDからフレットFを割り出す(ステップS102)。すなわち、KCDREG(n)のKCDとキーコードテーブルの第n列におけるKCDとが合致するところのフレットFの番号を求める。
【0068】
次に、上記割り出したフレットFに対応するLED(表示部22)に流す電流値L(F)を、L(F)=A×TC(n)によって決定すると共に、決定した電流値L(F)によって表示部22の発光表示を行って(ステップS103)、本処理を終了する。なお、定数Aに代えて、例えばA=TC(n)/Bのように(Bは定数)、関数を用いてもよい。このステップにより、KCDに対応する表示部22が弦部材51の撥弦強さに応じた明るさで発光し、奏者は撥弦した強さを感覚的に把握することができる。なお、発光は、オフレベル検出77からのリターン信号によりSTATEREGが「11」から「00」になるまで継続される。
【0069】
本実施の形態によれば、例えば、あるフレット部材35を押下して対応する弦部材51を撥弦すると、それに応じた音高で楽音が発生すると共に、そのフレット部材35に対応する表示部22が発光する。その際、表示部22は、弦部材51の撥弦の強さが強いほど明るく発光する。従って、実際にある弦部材51を撥弦した場合において、表示部22の発光輝度によって、フレット部材35を通じてその撥弦強さを視覚により把握することができ、演奏状態の確認ができることから、撥弦の練習等に役立てることができる。よって、撥弦強さを視覚により認識容易にして有用性を高めることができる。さらに、押下したフレット部材35を視認して確認ができるので、押弦の練習にも役立つ。
【0070】
本実施の形態ではさらに、ピエゾセンサ15(15x、15y)によって、各弦部材51毎に撥弦動作及びその撥弦方向(アップ/ダウン)を検出して12チャネルとしてn値を求め、各弦種Gに係るnについて、偶数と奇数とで音色パラメータを異ならせるようにしたので、実際のギターにおけるアップストロークとダウンストロークとの音色の違いを擬似的に実現でき、楽音に豊かな表情を与えて演奏表現力を向上することができる。しかもその際、弦部材51を撥弦する強さに応じて発生する楽音がさらに制御されるようにしたので、撥弦の方向と強さとに応じて楽音を種々変えることができ、演奏表現力を一層向上することができる。
【0071】
なお、本実施の形態では、撥弦の方向の検出は、アップ/ダウンストロークの2方向に限定して区別するようにしたが、これに限るものでなく、弦部材51に直交する複数の方向からの外力による弦部材51の移動を検出するようにすれば、各種奏法による演奏表現を実現する多彩な楽音制御が可能になる。
【0072】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、撥弦強さに応じて表示部22の発光強度を異ならせるようにしたが、本第2の実施の形態では、表示部22の発光色を異ならせるようにする。従って、基本的構成は第1の実施の形態と同様であるが、図1〜図10に図12を加え、発光表示に関する構成を説明すると共に、タッチデータ表示制御処理を、図11に代えて図13を用いて説明する。
【0073】
図12は、第2の実施の形態に係る電子弦楽器の表示制御回路及び表示部の構成を示す回路図である。本第2の実施の形態では、第1の実施の形態における表示部22に代わり表示部82(視認表示部)がフレット部材35毎に設けられる。
【0074】
表示部82は、互いに近接配置された赤色発光ダイオード(RL)及び緑色発光ダイオード(GL)の組で成る多色を実現するLED部である。第1の実施の形態の場合と同様に、表示部82は各弦部材51に対応して12個ずつ設けられ、全部で72個存在する。レベル検出器83は、表示制御回路64内に構成される。各表示部82には、論理回路部84が接続されており、論理回路部84には、フレット信号ラインLFRとOR回路93、95が接続されている。ダイオード(RL)、(GL)の各アノード側には所定の電圧Vが常に印加されている。
【0075】
レベル検出器83からの3本の信号ラインL1、L2、L3のうち、信号ラインL1はOR回路93の一方の入力に、信号ラインL2はOR回路93の他方の入力に、それぞれ接続されている。また、信号ラインL2はOR回路95の一方の入力に、信号ラインL3はOR回路95の他方の入力に、それぞれ接続されている。
【0076】
論理回路部84は、AND回路91、92を有する。フレット信号ラインLFRはAND回路91の一方の入力及びAND回路92の一方の入力に接続されている。OR回路93の出力はAND回路91の他方の入力に接続されている。OR回路95の出力は、AND回路92の他方の入力に接続されている。AND回路91の出力はインバータ94を介してダイオード(RL)のカソードに接続され、AND回路92の出力はインバータ96を介してダイオード(GL)のカソードに接続されている。各表示部82、論理回路部84、レベル検出器83はそれぞれ複数が同様に構成される。
【0077】
後述する図13の処理により、発光表示すべき表示部82及びその表示色を規定するための信号TC(F)が設定されるが、フレット信号ラインLFRは、各弦部材51毎に、発光表示すべき表示部82に接続されたものがオンとされる。一方、レベル検出器83は、信号TC(F)に基づいて、弦部材51毎に、3本の信号ラインL1、L2、L3のいずれか1つを「HIGH」とするか、または3つすべてを「LOW」とする。
【0078】
例えば、フレット信号ラインLFRがオンとなっている表示部82に関し、信号ラインL1のみが「HIGH」のときは、ダイオード(RL)のカソードが「LOW」となって、印加電圧によりダイオード(RL)のみが発光する。これにより表示部82が赤色に発光してみえる。また、信号ラインL3のみが「HIGH」のときは、ダイオード(GL)のカソードが「LOW」となってダイオード(GL)のみが発光する。これにより表示部82が緑色に発光してみえる。また、信号ラインL2のみが「HIGH」のときは、ダイオード(RL)及びダイオード(GL)の両カソードが「LOW」となって両ダイオード(RL)、(GL)が発光する。両ダイオード(RL)、(GL)が近接配置されていることから、混色によって表示部82は黄色に発光してみえる。また、信号ラインL1、L2、L3のすべてが「LOW」のときは、ダイオード(RL)及びダイオード(GL)の両カソードが「HIGH」となって両ダイオード(RL)、(GL)共に発光しない。この場合は、表示部82は消灯状態のままである。
【0079】
図13は、図8のステップS807で実行されるタッチデータ表示制御処理(変色)のフローチャートを示す図である。
【0080】
まず、図11のステップS101と同様に、チャネルCHnのタッチ強度データTC(n)にタッチデータPz(n)を代入する(ステップS301)。以降、タッチ強度データTC(n)の値に応じて異なる処理を行う。すなわち、TC(n)値と比較閾値a、b、cとを大小比較し(ステップS302)、その結果に基づいて、TC(n)に値TC0、TCg、TCy、TCrのいずれかを設定する。従って、撥弦強さが4段階で評価される。ここで、本第2の実施の形態では、値TC0、TCg、TCy、TCrは、図7のステップS4の「その他処理」で設定が可能である。なお、a<b<cという大小関係に設定されるものとする。
【0081】
前記ステップS302での大小比較の結果、TC(n)<aである場合はTC(n)に値TC0を設定し(ステップS303)、a≦TC(n)<bである場合はTC(n)に値TCgを設定し(ステップS304)、b≦TC(n)<cである場合はTC(n)に値TCyを設定し(ステップS305)、c≦TC(n)である場合はTC(n)に値TCrを設定して(ステップS306)、いずれの場合もステップS307に進む。
【0082】
ステップS307では、図11のステップS102と同様に、キーコードテーブルを参照し、EVTBUFに現在書き込まれているKCDREG(n)のKCDから、発光表示すべきフレットFを割り出し、フレット指定信号fを表示制御回路64に送出する。これにより、発光表示すべき表示部82に接続されているフレット信号ラインLFRがオンとされる。
【0083】
次に、ステップS308では、割り出されたフレットFに対応する表示部82に流す電流値をTC(n)値によって決定して発光表示を行う。すなわち、信号TC(F)を、TC(F)=TC(n)により求め、求めたTC(F)を表示制御回路64に送出する。これにより、レベル検出器83を介して信号ラインL1、L2、L3が「HIGH」または「LOW」となる。
【0084】
具体的には、TC(n)=TC0である場合は、撥弦強さが最も弱い場合であり、表示部82は発光しない。TC(n)=TCgである場合は、撥弦強さが2番目に弱い場合であり、表示部82は緑色に発光する。TC(n)=TCyである場合は、撥弦強さが3番目に弱い(2番目に強い)場合であり、表示部82は黄色に発光してみえる。TC(n)=TCrである場合は、撥弦強さが最も強い場合であり、表示部82は赤色に発光する。このようにして、撥弦した強さが表示部82の発光色により区別され、奏者は撥弦した強さを感覚的に把握することができる。なお、発光は、オフレベル検出77からのリターン信号によりSTATEREGが「11」から「00」になるまで継続される。ステップS308の処理後は本処理を終了する。
【0085】
本実施の形態によれば、表示部82は、弦部材51の撥弦の強さに応じて3段階で変色(無発光を含めて4段階)して発光する。よって、第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0086】
なお、本実施の形態では、図8のステップS807のタッチデータ表示制御処理は、変色による処理(図13)としたが、これに加えて、第1の実施の形態で示した発光強度可変による処理(図11)を併せて行うようにしてもよい。これにより、視認効果が増大し、撥弦強さの把握をより容易にすることができる。
【0087】
なお、第1、第2の実施の形態において、表示部22(表示部82)とは別に発光部を各弦部材51毎に1つ以上設け、開放弦で撥弦した場合に、表示部22(表示部82)と同様に撥弦強さに応じて上記発光部の発光強度(または発光色)を異ならせるようにしてもよい。これにより、開放弦での撥弦についても撥弦強さを視覚により把握することができる。
【0088】
なお、第1、第2の実施の形態において、撥弦強さに応じて表示部22(82)の表示態様を異ならせることができれば、発光強度や発光色以外のもの、例えば、発光領域の大きさや模様の変化等で発光態様を異ならせてもよい。
【0089】
(第3の実施の形態)
第1、第2の実施の形態では、押下されたフレット部材に対応する表示部を発光させるようにしたが、本第3の実施の形態では、撥弦された弦部材に対応する表示部の列全部を発光させるようにする。従って、基本的構成は第1の実施の形態と同様であるが、図1〜図10に図14を加え、発光表示に関する構成を説明すると共に、タッチデータ表示制御処理を、図11に代えて図15を用いて説明する。
【0090】
図14は、第3の実施の形態に係る電子弦楽器の表示制御回路及び表示部の構成を示す回路図である。本第3の実施の形態では、論理回路部84及びフレット信号ラインLFRを除いた点が第2の実施の形態における表示制御回路及び表示部(図12)と相違している。ダイオード(RL)のカソードには、信号ラインL1、L2が接続され、ダイオード(GL)のカソードには、信号ラインL2、L3が接続されている。
【0091】
後述する図15の処理により、発光表示すべき表示部82の列を規定する弦種G及びその表示色を規定するための信号TC(G)が設定される。レベル検出器83は、信号TC(G)に基づいて、該当する弦部材51に対応する3本の信号ラインL1、L2、L3のいずれか1つを「LOW」とするか、または3つすべてを「HIGH」とする。
【0092】
例えば、信号ラインL1のみが「LOW」のときは、ダイオード(RL)のカソードが「LOW」となって、印加電圧によりダイオード(RL)のみが発光する。これにより表示部82が赤色に発光してみえる。また、信号ラインL3のみが「LOW」のときは、ダイオード(GL)のカソードが「LOW」となってダイオード(GL)のみが発光する。これにより表示部82が緑色に発光してみえる。また、信号ラインL2のみが「LOW」のときは、ダイオード(RL)及びダイオード(GL)の両カソードが「LOW」となって両ダイオード(RL)、(GL)が共に発光する。これにより表示部82が黄色に発光してみえる。また、信号ラインL1、L2、L3すべてが「HIGH」のときは、ダイオード(RL)及びダイオード(GL)の両カソードが「HIGH」となって両ダイオード(RL)、(GL)共に発光しない。この場合は、表示部82は消灯状態のままである。
【0093】
図15は、図8のステップS807で実行されるタッチデータ表示制御処理(全体発光)のフローチャートを示す図である。
【0094】
まず、発光すべき表示部82の列に対応する弦種G(1〜6)を、G=INT(n/2)+1により算出し(ステップS501)、TC(G)にタッチデータPz(n)を設定する(ステップS502)。ここで、関数「INT」は「INTEGER」の意であり、(n/2)の解の小数を切り捨てた整数値を求めるための関数である。次に、TC(G)=A×TC(G)によって新たなTC(G)値を求め、この新たなTC(G)によってフレット列全体の表示部82を発光表示させる(ステップS503)。すなわち、TC(G)を表示制御回路64に送出する。これにより、レベル検出器83を介して、TC(G)の値に応じて信号ラインL1、L2、L3が「HIGH」または「LOW」となる。
【0095】
具体的には、図13の処理と同様に、TC(G)によって処理が4段階に分かれる。撥弦強さが最も弱い場合は表示部82の列は発光しない。撥弦強さが2番目に弱い場合は表示部82の列は緑色に発光する。撥弦強さが3番目に弱い(2番目に強い)場合は表示部82の列は黄色に発光してみえる。撥弦強さが最も強い場合は表示部82の列は赤色に発光する。いずれの場合も、撥弦された弦部材51の延長上に存在する表示部82の一列全部が発光するので、対応関係からその弦部材51が明確に認識される。それと同時に、撥弦した強さが表示部82の発光色により区別され、奏者は撥弦した強さを感覚的に把握することができる。
【0096】
なお、前記ステップS503において、定数Aに代えて、例えばA=TC(G)/Bのように(Bは定数)、関数を用いてもよい。なお、定数A、Bはその他スイッチ群68に含まれるロータリーデジタルスイッチによる操作や、図7のステップS4の「その他処理」において変更が可能である。なお、発光は、オフレベル検出77からのリターン信号によりSTATEREGが「11」から「00」になるまで継続される。ステップS503の処理後は本処理を終了する。
【0097】
本実施の形態によれば、ある弦部材51を撥弦すると、それに対応する表示部82の列全部が発光する。発光した表示部82の列は、指盤部において特定の弦が光っているかように視認されるので、表示部82の列と弦部材51との対応関係から、撥弦した弦部材51を明確に認識することができる。従って、撥弦した弦を確認しつつ演奏の練習ができ、電子弦楽器としての利用範囲を拡大することができる。よって、撥弦した弦を視覚により認識容易にして有用性を高めることができる。なお、本実施の形態ではまた、フレット部材35を認識させるための表示部82を撥弦にかかわる弦の認識に利用するようにしたので、構成が簡単である。
【0098】
本実施の形態ではまた、表示部82の列を発光させるに際し、撥弦強さに応じて発光色を異ならせるようにしたので、撥弦された弦と共にその撥弦の強さをも視覚的に把握することができる。従って、撥弦した弦及びその撥弦強さを確認しつつ演奏の練習ができ、有用性を一層高めることができる。なお、表示部82は単色LEDとして構成し、発光色の代わりに発光強度を変えるようにしてもよい。
【0099】
なお、本実施の形態では、撥弦した弦部材51の延長上に存在する表示部82の列全部を発光させるようにしたが、撥弦された弦を認識させるという観点からは、必ずしも全部発光でなくてもよく、一列の表示部82中の一部(複数)を発光させるようにしてもよい。例えば、フレット部材35の押下等で規定された音高に対応する表示部82とその近傍(例えば、同じ列の前後1つずつ等)の表示部82を発光させるようにしてもよい。特に、フレット部材35が押下された状態では、フレット部材35が指で隠れて視認されにくいことから、撥弦された弦を認識させるという観点からは、同じ列において、押下された表示部82以外の少なくとも1つの表示部82を発光させるようにすればよい。
【0100】
なお、本実施の形態では、表示部82群は、対応する弦部材51を撥弦した場合に発光するようにしたが、これに代えて、フレット部材35が押下操作がされたとき、それに対応する表示部82を含む表示部列全部を発光させるようにしてもよい。このようにすれば、奏者が押下したフレット部材35に対応する弦部材51が撥弦すべき弦として容易に視認され、特に初心者にとって、撥弦の練習に役立てることができる。
【0101】
すなわち、押弦を確認した上で発光に係る弦をはじくような初心者的奏法がやりやすくなっている。なぜなら、撥弦する位置の近傍まで発光表示させることができるからである。なお、図1に示すように、弦部材51の両端近傍に設けた発光素子LD1〜LD6を、撥弦した弦部材51の延長上に存在する表示部82の列全部と共に発光させるようにしてもよい。そのようにすれば、撥弦すべき弦がよりわかりやすくなる。ところで、全列発光させる場合、LEDの発光による電力消費が大きいため、電池駆動した場合は電池の消耗が激しい。そこで、発光素子LD1〜LD6以外の表示部80を液晶表示器(LCD)で構成するようにしてもよい。その場合にあっても、発光素子LD1〜LD6だけは、発光素子LEDを採用するのが望ましい。なぜなら、暗い場所でも練習が可能になると共に、ステージ演奏においても、イルミネーション的な視覚効果を出して、エンターティメント効果を発揮することができるからである。
【0102】
なお、第2、第3の実施の形態で、各信号ラインL1、L2、L3に流す電流配分を制御して、赤色発光ダイオード(RL)及び緑色発光ダイオード(GL)の発光強度をそれぞれ変化させることにより、赤、黄、緑以外の色に発光させてみせるような多色LEDを実現することが可能である。これにより、撥弦強さをより細かく把握することができる。
【0103】
(第4の実施の形態)
第1の実施の形態では、演奏者の操作(フレット部材35の押下及び弦部材51の撥弦)に基づいて、発光すべき表示部22(82)が決定された。本第4の実施の形態では、自動演奏データとしてのMIDI信号(音源指示データ)に基づいて表示部22の発光制御を行う。本実施の形態では、基本的構成は第1の実施の形態と同様であるが、メインルーチンの処理が異なるため、図7に代えて図16を用い、さらに図17及び図18を加えることで、図1〜図6、図8〜図11、図16〜図18を用いて本実施の形態を説明する。
【0104】
図16は、本実施の形態におけるメインルーチンの処理のフローチャートを示す図である。
【0105】
まず、ステップS601、S602では、図7のステップS1、S2と同様の処理を実行し、続くステップS603では、後述する図17、図18の演奏ナビ&自動演奏処理を実行する。次に、ステップS604、S605では、図7のステップS3、S4と同様の処理を実行して、前記ステップS602に戻る。なお、ステップS605の「その他処理」では、上述した各種値のほか、自動演奏の実行許可を「1」で示す自動演奏実行フラグAUTOや、後述する図17のステップS704でセットされるタイマTの所定時間t(例えば、5mmsec)の設定等も行われる。
【0106】
図17及び図18は、図16のステップS603で実行される演奏ナビ&自動演奏処理のフローチャートを示す図である。
【0107】
まず、自動演奏実行フラグAUTOが「1」に設定されているか否かを判別し(ステップS701)、その判別の結果、AUTO=1でない場合は本処理を終了する一方、AUTO=1である場合はステップS702に進み、通信I/F部76を介してMIDI信号を受信し、受信したMIDI信号中のキーコードデータKCDをサーチする。なお、本実施の形態では、通信I/F部76を介して受信したMIDI信号を基に制御処理を行う場合を例示するが、MIDI信号としては、自動演奏メモリ65(乃至メモリスロット6に挿入されたメモリカード)に格納されたものを利用するようにしてもよい。
【0108】
受信されるMIDI信号中のデータには、タイミングデータのほか、イベントデータであるキーコードデータKCDとそれに付随するタッチデータTCAで構成されるデータ列とが含まれ、データ列の連番を以下、「N」で表す。
【0109】
次に、受信したMIDI信号中にキーコードデータKCDがあるか否かを判別し(ステップS703)、その判別の結果、キーコードデータKCDがない場合は本処理を終了する一方、キーコードデータKCDがある場合は、ステップS704に進み、タイマTを所定時間tにセットして始動する(ステップS704)。
【0110】
次に、キーコードデータKCDと該キーコードデータKCD受信の直後に送信されるMIDIデータを受信してこれをEVTBUFに取り込み(ステップS705)、所定時間tが経過したか否かを判別する(ステップS706)。そして、所定時間tが経過するまで前記ステップS705の実行を繰り返す。その結果、キーコードデータKCDがサーチされた直後、所定時間t内におけるMIDIデータのすべてが受信され、キーバッファKEYBUFに格納される。
【0111】
前記ステップS706の判別の結果、所定時間tが経過した場合は、EVTBUFをサーチし、N番目のキーコードデータKCDであるKCD(N)と、それに付随するタッチデータTCA(N)とをセットにして自動演奏用キーコードレジスタKDREGに取り込んで(ステップS707)、キーバッファKEYBUFをオールクリアし(ステップS708)、カウント値Cを「0」に設定する(ステップS709)。
【0112】
次に、キーコードテーブルを参照し、KDREG(C)のKCDからフレットFを割り出す(ステップS710)。すなわち、KDREG(C)のKCDとキーコードテーブルの第n列におけるKCDとが合致するところのフレットFの番号を求める。次に、KDREG(C)のKCDがキーオンデータであるか否かを判別する(ステップS711)。
【0113】
その判別の結果、KCDがキーオンデータである場合は、ステップS712に進み、上記割り出されたフレットFに対応するLED(表示部22)に流す電流値L(F)を、L(F)=A×TCA(N)によって決定すると共に、決定した電流値L(F)によって表示部22の発光表示を行う。なお、定数Aに代えて、例えばA=TCA(N)/Bのように(Bは定数)、関数を用いてもよい。これにより、MIDI信号中のKCDに対応する表示部22が、MIDI信号が示す弦部材51の撥弦強さに応じた明るさで発光し、奏者は撥弦すべき強さを感覚的に把握することができる。
【0114】
次に、ステップS713に進んで、キーコードテーブルを参照し、チャネルCHnに関するキーオンとKCD(n)とTCA(n)とを音源63に送出する。これにより、MIDI信号に従って楽音が発音される。次に、カウント値Cを、「1」だけインクリメントして(ステップS714)、KDREG(C)のデータがなくなったか否かを判別する(ステップS715)。その判別の結果、KDREG(C)のデータが存在する場合は前記ステップS710に戻って残りのデータの処理に移行する一方、KDREG(C)のデータがなくなった場合は、本処理を終了する。
【0115】
前記ステップS711の判別の結果、KCDがキーオンデータでない場合は、ステップS716に進み、キーコードテーブルを参照し、チャネルCHnに関するキーオフとKCD(n)とを音源63に送出する。これにより、MIDI信号に従って楽音が消音される。次に、フレットFに対応する弦種Gに対応するすべての表示用データをクリアし(ステップS717)、前記ステップS714を実行する。
【0116】
本実施の形態によれば、受信したMIDI信号で規定される音高に対応して、楽音が発生すると共に対応する表示部22が発光する。その際、MIDI信号中のタッチデータTCAに応じて表示部22の発光強度が異なるように制御され、弦部材51を撥弦すべき強さが強いほど表示部22が明るく発光する。従って、表示部22の発光輝度によって撥弦すべき強さを視覚により把握することができる。MIDI信号を演奏ガイド用として用いれば、撥弦の強さが感覚的に把握されると共に、操作すべきフレット部材35が視認されるので、撥弦及び押弦操作の練習等に役立てることができる。よって、撥弦すべきフレット部材及び撥弦すべき強さを視覚により認識容易にして有用性を高めることができる。
【0117】
なお、本実施の形態における図18のステップS712では、MIDI信号に基づく撥弦すべき強さに応じて、対応する表示部22の発光強度を可変制御するようにしたが、発光強度に代えて第2の実施の形態で示したような発光色の可変制御を行うようにしてもよい。このようにすれば、同様の効果を奏することができる。
【0118】
また、本実施の形態では、MIDI信号に基づく音高に対応する表示部22のみが発光するようにしたが、第3の実施の形態で示したような、対応する表示部22を含む対応する表示部列の全体発光制御を行うようにしてもよい。このようにすれば、MIDI信号に基づき撥弦すべき弦部材51を明確に認識することができ、演奏練習に役立てることができる。よって、撥弦すべき弦を視覚により認識容易にして有用性を高めることができる。
【0119】
なお、本実施の形態においては、図8のステップS807のタッチデータ表示制御処理は、第1の実施の形態で示した発光強度可変による処理(図11)によるものとしたが、これに代えて、第2の実施の形態で示した変色による処理(図13)、または第3の実施の形態で示した全体発光による処理(図15)を適用してもよい。また、図8のステップS807のタッチデータ表示制御処理は、モード設定によって任意に省略可能に構成してもよい。
【0120】
なお、上記第1〜第4の実施の形態では、ギター型の電子弦楽器を例示して説明したが、これに限るものでなく、疑似弦を有して構成され得る電子ハープ等の電子弦楽器にも適用可能である。例えば、電子ハープでは、各疑似弦にそれぞれ対応してLED等の表示部を設け、第1の実施の形態と同様に、検出した撥弦した強さ(MIDI信号による場合は撥弦すべき強さ)に応じて、対応する表示部の発光強度を可変制御するか、あるいは、第2の実施の形態と同様に表示部の発光色を可変制御すれば、撥弦強さが視覚的に把握される。これにより、電子ハープについて第1、第2の実施の形態と同様の効果を奏することができる。また、電子ハープの各疑似弦の上方及び下方に、表示部を少なくとも1つずつ設け、第3の実施の形態と同様に、撥弦した疑似弦(MIDI信号による場合は撥弦すべき疑似弦)に対応する上下の表示部を発光させるようにすれば、撥弦にかかわる疑似弦が明確に視認される。これにより、電子ハープについて第3の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0121】
なお、上記各実施の形態において、発音される楽音は弦楽器の音に限らず、打楽器の音であってもよい。また、上記各実施の形態において、発音タイミングは弦の撥弦によって規定されるものを例示したが、これに限るものでなく、例えば、ダイナコードのように、外観は電子ギターのような形(棹とボディがある形態)でありながら、弦に代わって押しボタン型等の発音タイミング決定手段を有する楽器にも適用可能である。この場合は、発音タイミング決定手段は、パッドセンサ及びパッドスイッチのような入力手段で構成してもよい。その場合でも、タッチレスポンスを入力できるように構成するのが望ましい。
【0122】
なお、上記第1〜第4の実施の形態において、表示部22(82)は、LEDで構成したが、発光機能は不可欠ではなく、例えば、光の反射を視認する原理を応用した液晶表示装置のように電子的に表示態様を変化させることができるものであれば適用の余地がある。また、第2、第3の実施の形態において、発光色を可変するために、赤色発光ダイオード(RL)及び緑色発光ダイオード(GL)の組み合わせで表示部を構成したが、発光色を可変可能という観点からは、3色のLEDを組み合わせてよりきめ細かく発光色を変えてもよいし、逆に、混色を利用することなく、撥弦強さに応じて複数色のLEDのいずれか1つを独立して発光させることで多色発光を実現するようにしてもよい。
【0123】
なお、本実施の形態において、本発明を達成するためのソフトウェアによって表される制御プログラムを記憶した記憶媒体を、本電子弦楽器に読み出すことによっても、同様の効果を奏することができる。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、プログラムコードが電送媒体等を介して供給される場合は、プログラムコード自体が本発明を構成することになる。
【0124】
なお、これらの場合の記憶媒体としては、ROMのほか、フロッピディスク、ハードディスク、光ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード等を用いることができる。
【0125】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1によれば、演奏表現力を向上することができる。
【0128】
請求項によれば、演奏表現力を向上することができる。
【0129】
請求項によれば、撥弦の方向と強さとに応じて楽音を種々変えられるので、演奏表現力を一層向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態に係る電子弦楽器の平面図である。
【図2】 弦入力部を胴体部から取り外し、裏側からみた裏面図である。
【図3】 図2のA−A線に沿う部分断面図である。
【図4】 センサ体の分解斜視図である。
【図5】 図1のB−B線に沿う部分断面図である。
【図6】 同形態の電子弦楽器の機能構成を示すブロック図である。
【図7】 同形態におけるメインルーチンの処理のフローチャートを示す図である。
【図8】 図7のステップS3で実行されるイベント取り込み処理(発音準備&発音処理)のフローチャートを示す図である。
【図9】 イベントバッファ(EVTBUF)の構成の例を示す概念図である。
【図10】 キーコードテーブル(TBL)の構成の例を示す概念図である。
【図11】 図8のステップS807で実行されるタッチデータ表示制御処理(強度可変)のフローチャートを示す図である。
【図12】 本発明の第2の実施の形態に係る電子弦楽器の表示制御回路及び表示部の構成を示す回路図である。
【図13】 同形態において図8のステップS807で実行されるタッチデータ表示制御処理(変色)のフローチャートを示す図である。
【図14】 本発明の第3の実施の形態に係る電子弦楽器の表示制御回路及び表示部の構成を示す回路図である。
【図15】 同形態において図8のステップS807で実行されるタッチデータ表示制御処理(全体発光)のフローチャートを示す図である。
【図16】 本発明の第4の実施の形態におけるメインルーチンの処理のフローチャートを示す図である。
【図17】 同形態において図16のステップS603で実行される演奏ナビ&自動演奏処理のフローチャートを示す図である。
【図18】 演奏ナビ&自動演奏処理の図17の続きのフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
1 胴体部、 2 棹部、 3 音高スイッチ部、 4 パネル操作部、 5弦入力部、 6 メモリスロット、 10 センサ体(トリガ信号出力手段、移動検出手段、撥弦強さ検出手段)、 14 板バネ体、 14x 板バネ(第1の弾性体)、 14y 板バネ(第2の弾性体)、 15x ピエゾセンサ(第1のセンサ部)、 15y ピエゾセンサ(第2のセンサ部)、 16x、16y ゴム体、 16a 穴、 22 表示部(視認表示部)、 31 押弦スイッチ、 35 フレット部材(音高決定用スイッチ部)、 51 弦部材、 51W 撥弦部、 51X 両軸部、 51Y 一端部、 51Z 他端部、 60 CPU(楽音特性制御手段)、 61 RAM、 63 音源(楽音発生手段)、 64 表示制御回路、 65 自動演奏メモリ、 66 フレットスイッチ群、 67 撥弦検出部、 68 その他スイッチ群、 76 通信I/F(インターフェイス)、 82 表示部(視認表示部)

Claims (5)

  1. 楽器本体の長手方向に沿って延び、前記長手方向に直交する方向に移動自在に前記楽器本体に並列的に取り付けられた複数の弦部材と、
    前記各弦部材に対応して設けられ、それぞれ、一部が対応する弦部材にリンクされると共に他の一部が前記楽器本体に対して固定関係にあり、前記対応する弦部材の移動に伴い撓み得るように構成された2枚で一対の板バネと、
    前記各一対の板バネのうち第1、第2の板バネにそれぞれ取り付けられ、前記第1、第2の板バネ(14x、14y)の撓みによって前記対応する弦部材の撥弦動作を独自に検出する第1、第2のセンサ部(15x、15y)と、
    前記各第1、第2のセンサ部のいずれかから撥弦動作検出信号が出力されたとき、該撥弦動作検出信号をトリガとして楽音を発生させる楽音発生手段とを備え、
    前記第1の板バネ及び前記第2の板バネは、前記楽器本体に対して固定関係にある前記他の一部を基端として片持ち梁状に延設され、
    前記第1の板バネと前記第2の板バネとは、前記対応する弦部材の互いに異なる方向への移動にのみ伴ってそれぞれ撓むように構成され、且つ、前記弦部材の並び方向における、隣接する弦部材間の間隔よりも狭い幅内に互いに平行に並設されたことを特徴とする電子弦楽器。
  2. 前記第1のセンサ部による撥弦動作検出信号と前記第2のセンサ部による撥弦動作検出信号とで、前記楽音発生手段により発生される楽音の特性を異ならせる楽音特性制御手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の電子弦楽器。
  3. 前記第1、第2のセンサ部は、前記対応する弦部材を撥弦する強さに応じた撥弦強さ信号をそれぞれ出力可能に構成され、前記楽音特性制御手段は、前記第1、第2のセンサ部による各撥弦強さ信号に応じて、前記楽音発生手段により発生される楽音を制御することを特徴とする請求項2記載の電子弦楽器。
  4. 前記第1、第2のセンサ部はそれぞれ、前記弦部材の並び方向において、前記弦部材の長手方向一側と他側とに千鳥状に配置されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子弦楽器。
  5. 楽器本体の長手方向に沿って延び、前記長手方向に直交する方向に移動自在に前記楽器本体に並列的に取り付けられた複数の弦部材と、
    前記各弦部材に対応して設けられ、それぞれ、一部が対応する弦部材にリンクされると共に他の一部が前記楽器本体に対して固定関係にあり、前記対応する弦部材の移動に伴い撓み得るように構成された一対の弾性体と、
    前記各一対の弾性体のうち第1、第2の弾性体にそれぞれ取り付けられ、前記第1、第2の弾性体の撓みによって前記対応する弦部材の撥弦動作を独自に検出する第1、第2のセンサ部と、
    前記各第1、第2のセンサ部のいずれかから撥弦動作検出信号が出力されたとき、該撥弦動作検出信号をトリガとして楽音を発生させる楽音発生手段とを備え、
    前記第1の弾性体と前記第2の弾性体とは、前記対応する弦部材の互いに異なる方向への移動にのみ伴ってそれぞれ撓むように構成され、且つ、前記弦部材の並び方向における、隣接する弦部材間の間隔よりも狭い幅内に平行に並設され、
    前記各弦部材は、前記楽器本体の長手方向に沿って延びた撥弦部と、前記一対の弾性体の前記一部とリンクするリンク部と、前記撥弦部及び前記リンク部間において前記楽器本体の長手方向に沿って延び、前記楽器本体に軸支された回動軸部とから構成され、前記撥弦部が撥弦されたとき、前記弦部材が前記回動軸部を中心に回動し、前記リンク部が前記撥弦部の移動方向とは逆の方向に移動するように構成されたことを特徴とする電子弦楽器。
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