JP2002287749A - 電子弦楽器 - Google Patents

電子弦楽器

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JP2002287749A
JP2002287749A JP2001084483A JP2001084483A JP2002287749A JP 2002287749 A JP2002287749 A JP 2002287749A JP 2001084483 A JP2001084483 A JP 2001084483A JP 2001084483 A JP2001084483 A JP 2001084483A JP 2002287749 A JP2002287749 A JP 2002287749A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 演奏表現力を向上することができる電子弦楽
器を提供する。 【解決手段】 ピエゾセンサ15x、yは各弦部材51
毎に板バネ14x、yに設けられ、弦部材51が撥弦に
より回動するとき、各板バネ14x、yのいずれかが撓
んで、対応するセンサ15xまたは15yが出力信号を
発生することで、各弦毎に撥弦動作、撥弦強さ及びその
撥弦方向(アップ/ダウン)が独自に検出される。チャ
ネル番号n(0〜11)の「0、1」…「10、11」
は、それぞれ第1弦…第6弦に対応し、アップ/ダウン
ストロークではnは偶数/奇数となる。nCH部におけ
るKCDREGのKCDは、タッチ強度データTC
(n)とCHデータ(n)と共に音源63に送出され
る。音色パラメータは、n値の偶数と奇数とで異ならせ
ているため、アップ/ダウン間での音色の違いが擬似的
に実現され、表現力が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術の分野】本発明は、弦部材の操作を
検出して楽音を電気的に発生するようにした電子弦楽器
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、弦部材を備え、この弦部材の操作
を検出して楽音を電気的に発生するようにした電子弦楽
器が知られている。この電子弦楽器では、例えば、楽器
全体をギター型に構成し、楽器本体部に設けた弦部材の
撥弦動作を、振動や撓み等を介してピエゾ素子等で検出
し、その検出信号をトリガとして楽音を発生するように
している。この楽器では例えば、棹部に設けた操作子で
音高を決定すると共に、弦部材を撥いて楽音発生のタイ
ミングの決定や自動演奏の歩進の制御等を行うようにし
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
電子弦楽器では一般に、1つの弦部材について撥弦動作
を検出するセンサ部は1つであり、弦部材の移動方向を
区別することまではできなかった。例えば、ギターを想
定した電子弦楽器では、アップ/ダウンストロークによ
る奏法に合うように、弦部材は楽器本体の長手方向に直
交する方向に移動自在に構成される。しかし、アップス
トロークの場合もダウンストロークの場合も、撥弦強さ
が同じであれば出力される検出信号は同一であった。そ
の結果、発生する楽音はアップ/ダウンストロークの区
別なく同様のものとならざるを得なかった。
【0004】従って、従来の電子弦楽器では、実際のギ
ター等のように、アップ/ダウンストロークで音色等を
微妙に異ならせ、それによって楽音に豊かな表情を与え
る、といった演奏表現を実現することが困難であるとい
う問題があった。
【0005】本発明は上記従来技術の問題を解決するた
めになされたものであり、その目的は、演奏表現力を向
上することができる電子弦楽器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明の請求項1の電子弦楽器は、楽器本体の長手方
向に沿って延び、前記長手方向に直交する方向に移動自
在に前記楽器本体に取り付けられた弦部材と、前記弦部
材の移動に応じてトリガ信号を出力するトリガ信号出力
手段と、前記トリガ信号出力手段により出力されたトリ
ガ信号に基づいて楽音を発生させる楽音発生手段と、前
記弦部材の移動方向を検出する移動検出手段と、前記移
動検出手段により検出された移動方向に応じて、前記楽
音発生手段により発生される楽音の特性が異なるように
制御する楽音特性制御手段とを備えたことを特徴とす
る。
【0007】この構成によれば、弦部材を撥弦すると、
弦部材が楽器本体の長手方向に直交する方向に移動し、
その移動に応じてトリガ信号が出力され、出力されたト
リガ信号に基づいて楽音が発生する。その際、前記弦部
材の移動方向が検出され、検出された移動方向に応じ
て、発生される楽音の特性が異なるように制御される。
これにより、弦部材を撥弦により移動させる方向によっ
て発生する楽音の特性が異なるように制御することがで
きるので、例えば、ギターでいうアップストロークとダ
ウンストロークとで、音色を変える等の制御が可能にな
る。よって、演奏表現力を向上することができる。
【0008】請求項2の電子弦楽器は、上記請求項1記
載の構成において、前記弦部材を撥弦する強さに応じた
撥弦強さを検出する撥弦強さ検出手段を備え、前記楽音
特性制御手段は、前記撥弦強さ検出手段により検出され
た撥弦強さに応じて、前記楽音発生手段により発生され
る楽音をさらに制御することを特徴とする。
【0009】この構成によれば、弦部材を撥弦する強さ
に応じた撥弦強さに応じて発生する楽音がさらに制御さ
れる。よって、撥弦の方向と強さとに応じて楽音を種々
変えられるので、演奏表現力を一層向上することができ
る。
【0010】また、本発明の請求項3の電子弦楽器は、
楽器本体の長手方向に沿って延び、前記長手方向に直交
する方向に移動自在に前記楽器本体に取り付けられた弦
部材と、一部が前記弦部材にリンクされると共に他の一
部が前記楽器本体に対して固定関係にあり、前記弦部材
の移動に伴い撓み得るように構成された一対の弾性体
と、前記一対の弾性体のうち第1、第2の弾性体にそれ
ぞれ取り付けられ、前記第1、第2の弾性体の撓みによ
って前記弦部材の撥弦動作を独自に検出する第1、第2
のセンサ部と、前記第1、第2のセンサ部のいずれかか
ら撥弦動作検出信号が出力されたとき、該撥弦動作検出
信号をトリガとして楽音を発生させる楽音発生手段とを
備え、前記第1の弾性体と前記第2の弾性体とは、前記
弦部材の互いに異なる方向への移動にのみ伴ってそれぞ
れ撓むように構成されたことを特徴とする。
【0011】この構成によれば、弦部材を撥弦すると、
弦部材が楽器本体の長手方向に直交する方向に移動し、
一部が前記弦部材にリンクされると共に他の一部が前記
楽器本体に対して固定関係にある一対の弾性体が、弦部
材の移動に伴い撓み得る。前記一対の弾性体のうち第
1、第2の弾性体にそれぞれ取り付けられた第1、第2
のセンサ部により、第1、第2の弾性体の撓みによって
前記弦部材の撥弦動作が独自に検出され、第1、第2の
センサ部のいずれかから撥弦動作検出信号が出力された
とき、該撥弦動作検出信号をトリガとして楽音が発生す
る。前記第1の弾性体と前記第2の弾性体とは、前記弦
部材の互いに異なる方向への移動にのみ伴ってそれぞれ
撓むように構成されるので、弦部材がある方向へ移動し
たときは第1の弾性体のみが撓み第1のセンサ部のみか
ら撥弦動作検出信号が出力される一方、弦部材が別の方
向へ移動したときは第2の弾性体のみが撓み第2のセン
サ部のみから撥弦動作検出信号が出力される。
【0012】これにより、弦部材を撥弦により移動させ
る方向によって異なるセンサ部から撥弦動作検出信号が
出力されるので、撥弦方向を区別してそれに応じて異な
る処理が可能になる。例えば、撥弦方向に応じて異なる
楽音を発生させ、ギターでいうアップストロークとダウ
ンストロークとで音色を変える等の制御が可能になる。
よって、演奏表現力を向上することができる。
【0013】請求項4の電子弦楽器は、上記請求項3記
載の構成において、前記第1のセンサ部による撥弦動作
検出信号と前記第2のセンサ部による撥弦動作検出信号
とで、前記楽音発生手段により発生される楽音の特性を
異ならせる楽音特性制御手段を備えたことを特徴とす
る。
【0014】これにより、弦部材を撥弦により移動させ
る方向によって、発生する楽音の特性が異なるように制
御することができるので、例えば、ギターでいうアップ
ストロークとダウンストロークとで、音色を変える等の
制御が可能になる。よって、演奏表現力を向上すること
ができる。
【0015】請求項5の電子弦楽器は、上記請求項4記
載の構成において、前記第1、第2のセンサ部は、前記
弦部材を撥弦する強さに応じた撥弦強さ信号をそれぞれ
出力可能に構成され、前記楽音特性制御手段は、前記第
1、第2のセンサ部による各撥弦強さ信号に応じて、前
記楽音発生手段により発生される楽音をさらに制御する
ことを特徴とする。
【0016】この構成によれば、第1、第2のセンサ部
による、弦部材を撥弦する強さに応じた各撥弦強さ信号
に応じて、発生される楽音がさらに制御される。よっ
て、撥弦の方向と強さとに応じて楽音を種々変えられる
ので、演奏表現力を一層向上することができる。
【0017】なお、上記請求項1、2において、弦部材
を複数(例えば6本)設け、トリガ信号出力手段及び移
動検出手段を各弦部材毎に設けてもよい。また、上記請
求項3〜5において、弦部材を複数(例えば6本)設
け、各弦部材に各々、同様の構成の一対の弾性体(第
1、第2のセンサ部込み)を設けるようにしてもよい。
これらにより、いずれの弦部材についても、撥弦方向に
よって楽音特性が異なるように制御することができる。
さらに、これらに加えて、複数の弦部材毎に楽音特性を
異ならせるようにしてもよい。これにより、弦部材毎に
異なる楽音が発生するだけでなく、各弦部材の撥弦の方
向によってもそれぞれ楽音特性が異なるように制御する
ことができる。よって、表現力を一層向上するだけでな
く、弦楽器としての利用範囲を拡大することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。
【0019】(第1の実施の形態)図1は、本発明の第
1の実施の形態に係る電子弦楽器の平面図である。本電
子弦楽器はギター型に形成され、胴体部1(楽器本体)
及び棹部2から成る。棹部2のギターでいう指盤部に相
当する部分には、音高スイッチ部3が設けられ、棹部2
から胴体部1に至る部分にはパネル操作部4が設けられ
る。胴体部1には、弦入力部5及びメモリスロット6が
設けられる。後述するように、本電子弦楽器は、左手で
ギターのフレット間を押さえるときのようにして音高ス
イッチ部3で音高を設定すると共に、右手でギターの弦
を撥弦するようにして弦入力部5の弦部材51(後述)
を撥くことで、電気ギターの演奏操作や発音を擬似的に
実現したものである。
【0020】パネル操作部4は楽器種類やモードの設定
の入力等に用いられる。メモリスロット6には所定のメ
モリカードが挿入可能で、メモリカードに格納された曲
データを本装置で鳴らしたり、楽曲の進行に従って押弦
操作を光でガイドしたりすることができる。
【0021】また、他の楽器に対し、メモリカードに格
納された曲データをMIDI信号の形でケーブルコード
60を介して送信することもできる。
【0022】図2は、弦入力部5を胴体部1から取り外
し、裏側からみた裏面図である。図3は、図2のA−A
線に沿う矢視部分断面図である。図4は、センサ体10
(トリガ信号出力手段、移動検出手段、撥弦強さ検出手
段(図2参照))の分解斜視図である。なお、図2に
は、下ケース25、基板26は表されていない。基板2
6の内側には、音源回路及び/又はその制御回路の部品
がはんだ付けされている(図示せず)。
【0023】図1に示すように、弦部材51(図3参
照)は、6本(51a〜51f)設けられ、ギターの弦
の太さに倣い、弦部材51aが最も太く、51b…51
fという順序で細くなっている。各弦部材51の長手方
向における両端近傍には、弦部材51a〜51fに対応
して、発光素子LD6〜LD1が設けられている。
【0024】図3に示すように、弦部材51は、撥弦部
51Wが棹部2の長手方向に延び、撥弦部51Wの両端
部が胴体部1側に屈曲した後、再び棹部2の長手方向に
軸部51Xとして延び、さらに両軸部51Xから胴体部
1側に屈曲して一端部51Y、他端部51Z(図2参
照)が形成されている。なお、弦部材51a、51c、
51eでは、棹部2側が他端部51Z、反棹部2側(棹
部2の反対側)が一端部51Yとなり、弦部材51b、
51d、51fでは、棹部2側が一端部51Y、反棹部
2側が他端部51Zとなる。弦入力部5にはさらに軸支
部(軸受部)18が設けられ、弦部材51は両軸部51
Xで軸支部18に軸支されている。これにより、弦部材
51は、両軸部51Xを中心として回動し、弦部材51
の並び方向に移動可能にされる。
【0025】図2に示すように、弦入力部5には、各弦
部材51に対応してセンサ体10が6個設けられてい
る。センサ体10は、各弦部材51の一端部51Y側に
配置される。すなわち、センサ体10は、弦部材51
a、51c、51eに対応するものが反棹2部側に配設
され、弦部材51b、51d、51fに対応するものが
棹部2側に配設されている。
【0026】弦入力部5にはさらに、1対のストッパ用
ゴム材19が設けられている。ストッパ用ゴム材19
は、各弦部材51に対応して設けられ、弦部材51の他
端部51Z側に配設される。1対のストッパ用ゴム材1
9で形成される各間隙に各弦部材51の他端部51Zが
挿通される(図2)。弦部材51が軸部51Xを中心と
して回動するとき、ストッパ用ゴム材19は弦部材51
の回動角度を規制する役割を果たす。棹部2側及び反棹
部2側共に、弦部材51の並び方向において、センサ体
10とストッパ用ゴム材19とは交互に配置されてお
り、いわゆる千鳥状の配置となっている。これにより、
弦部材51の並び方向において隣接するセンサ体10間
の間隔が大きくなっている。弦入力部5には、基板26
がネジ止め固定され、さらに弦入力部5は下ケース25
にネジ止め固定される(図3)。
【0027】図4に示すように、センサ体10は、板バ
ネ体14、ゴム体16(16x、16y)、保持部材1
1、ピエゾセンサ15(15x、15y)(第1、第2
のセンサ部)及びブロック材17等で構成される。板バ
ネ体14は金属等で構成され弾性を有し、その基端部1
4aが保持部材11にネジ12で取り付けられている。
基端部14aからは、2枚の板バネ14(14x、14
y)(第1、第2の弾性体)が僅かな間隙を保って略平
行に片持ち梁のように延設されている。ブロック材17
は弦入力部5の台座27(図2、図3)に固着され、ブ
ロック材17に保持部材11がネジ13で取り付けられ
る。
【0028】各板バネ14x、14yの先端部(自由端
部)14b(14xb、14yb)には、それぞれゴム
体16x、16yが取り付けられている。図2(吹き出
し図)に示すように、ゴム体16x、16yは、各板バ
ネの先端部14bをアウトサートして形成される。従っ
て、ゴム体16x、16yの肉部が板バネの両先端部1
4xb、14ybの内側にまで少し回り込んでいる。両
ゴム体16x、16yは、わずかに接触しており、これ
によって、2枚の板バネ14(14x、14y)間の上
記間隙が確保される。
【0029】ゴム体16x、16yはいずれも半円状の
欠肉部を有し、1組のゴム体16x、16yを合わせた
とき、両欠肉部によって穴16aが形成される。そし
て、この穴16aを弦部材51の一端部51Yが貫通し
ている(図3)。これにより、板バネ14xの先端部1
4xbが、ゴム体16xを介して弦部材51の一端部5
1Yとリンクすると共に、板バネ14yの先端部14y
bが、ゴム体16yを介して弦部材51の一端部51Y
とリンクする。ただし、ゴム体16xとゴム体16yと
は分離しているので、弦部材51の一端部51Yの移動
方向によって、板バネ14xまたは板バネ14yのいず
れかが独立して撓むことになる。
【0030】なお、図2(吹き出し図)に示すように、
両ゴム体16x、16yと弦部材51の一端部51Yと
の間には、遊びW1、W2が形成される。この遊びW
1、W2によって、弦部材51に不用意に触れても、少
々の外力であればピエゾセンサ15は反応しないように
なっている。例えば、第3弦のみを撥弦するつもりが、
第2弦までも少し移動させてしまったような場合でも、
第2弦の撥弦動作は検出されないようになっている。
【0031】ピエゾセンサ15(15x、15y)はそ
れぞれ板バネ14x、14yに設けられている。各ピエ
ゾセンサ15x、15yは、ピエゾ素子でなり、板バネ
14x、14yの長手方向における略中央にそれぞれ取
り付けられ、各板バネ14x、14yが撓む現象を介し
て弦部材51の撥弦動作を検出する。すなわち、弦部材
51が軸部51Xを中心として回動するとき、各板バネ
14x、14yのいずれかが撓んで、対応するピエゾセ
ンサ(15xまたは15y)が出力信号を発生する。こ
れにより、弦部材51の撥弦動作及び撥弦強さが各弦部
材51別に検出されるだけでなく、検出信号がピエゾセ
ンサ15x、15yのいずれから出力されたかによっ
て、撥弦の方向、すなわちダウンストロークであるかア
ップストロークであるかを検出することができる。各弦
部材51に関し、ピエゾセンサ15xは専らアップスト
ローク検出用、ピエゾセンサ15yは専らダウンストロ
ーク検出用に用いられることになる。
【0032】かかる構成において、奏者は、通常はピッ
キングと同じ要領で弦部材51を指またはピックではじ
けばよい。例えば、撥弦のために弦部材51に弦の並び
方向への力を加えると、弦部材51が軸部51Xを中心
に回動し、一端部51Y、他端部51Zが撥弦部51W
とは平面的にみて反対方向に移動する。一端部51Yと
ゴム体16がリンクされていることで、板バネ14x、
14yのいずれかが撓む。
【0033】例えば、ダウンストロークの場合を例にと
れば、撥弦部51Wが図2に示すD1方向に移動する
と、弦部材51が軸部51Xを中心に回動し、一端部5
1Y、他端部51Zが反対方向であるD2方向に移動す
る。そのとき一端部51Yによりゴム体16yが駆動さ
れ、板バネ14yがD2方向に撓む。一方、アップスト
ロークの場合はこれとは方向が反対となり、一端部51
Yによりゴム体16xが駆動されて板バネ14xがD1
方向に撓む。
【0034】なお、強い力を加えた場合は、他端部51
Zがストッパ用ゴム材19に当接して弦部材51の回動
が停止する。弦部材51をはじく、すなわち弦部材51
を付勢した状態からその付勢力を解除すると、板バネ1
4x、14yの弾性によって弦部材51が初期位置に急
激に戻ろうとする。そのとき弦部材51に大きな加速度
が与えられ、ピエゾセンサ15x、15yが検出信号
(撥弦動作検出信号、撥弦強さ信号)を出力する。ダウ
ンストロークの場合はピエゾセンサ15yから検出信号
が出力され、アップストロークの場合はピエゾセンサ1
5xから検出信号が出力される。
【0035】ピエゾセンサ15は、移動加速度に応じた
信号を出力するので、弦部材51に弦の並び方向に向か
って急激な力を作用させるような演奏時にも、出力を発
生する。なお、ピエゾセンサ15は、弦部材51の移動
ファクタとして、通常は、弦部材51の移動加速度を検
出し、それに応じた信号を出力すると捕らえることがで
きるが、弦部材51に対する力の変化(率)に応じた信
号を出力すると捕らえることもできる。通常は、奏者か
らみれば、弦部材51を撥弦する強さに応じた出力が得
られることになる。
【0036】図5は、図1のB−B線に沿う部分断面図
である。
【0037】棹部2は、下ケース40、上ケース30、
基板20等で構成され、さらに棹部2には、フレット3
4及びフレット部材35(音高決定用スイッチ部)がそ
れぞれ複数設けられている。フレット34はギターにお
けるフレットに対応する位置に設けられる。本実施の形
態におけるフレット34は、振動する弦の長さを規定す
るというギターのフレットとしての機能を果たすもので
はなく、押弦の際における位置のめやすとなるものであ
る。フレット34はまた、フレット部材35の押下時に
おけるガイド機能をも果たす。各フレット34の間隔
は、ギターの場合に倣い高音域ほど狭くなっている。
【0038】フレット間領域は12音階の設定を最低限
可能とすべく12個存在する。ここで、例えば、図1に
示す「FR」が1つのフレット間領域である。なお、上
記12音階よりも高音域側のフレットは、通常のギター
においても上級者以外はあまり用いないため、本電子弦
楽器では、上記高音域にフレット間領域を設ける代わり
に、パネル操作部4を配置する領域として利用すること
で、省スペース化及び操作性の向上が図られている。
【0039】フレット部材35は、図1に示すように、
各フレット34間に設けられ、フレット部材35は、各
弦部材51の長手方向に沿ってそれぞれ列状に12個配
設され、同一のフレット間領域では6個ずつ並列配置さ
れる。各フレット部材35の棹部2の長手方向における
長さは、その両端のフレット34の間隔と略同じ長さ、
すなわち略フレット間長となっている。フレット部材3
5は、全体が透光材で形成される。フレット部材35
は、下方に押し込み可能になっており、さらに押弦解除
後には、下方に設けた弾性体(後述の可動接点31aに
より兼用される)によって元の非押下位置に復帰するよ
うになっている。
【0040】基板20はフレット部材35の下方に設け
られ、この基板20上に固定接点21とそれに対応する
可動接点31aとの組で構成される押弦スイッチ31が
フレット部材35毎に設けられる。押弦スイッチ31
は、フレット部材35の数と同じ、72組存在する。こ
の押弦スイッチ31では、フレット部材35の押下、及
び押下解除の動作によって、固定接点21と可動接点3
1aとが離接して、フレット部材35の押下動作が検出
される。また、上記基板20上においてフレット部材3
5の直下には、LEDで構成される表示部22(視認表
示部)が各フレット部材35毎に設けられる。表示部2
2が発光するとその光がフレット部材35を透過し、フ
レット部材35が光ってみえる。
【0041】フレット部材35は、上ケース30から突
出した被押さえ部35Bが指で押下されることで、下方
に押し込み可能になっている。フレット部材35が押し
込まれると、押されたフレット部材35の直下にある可
動接点31aが固定接点21に当接する。本実施の形態
では、図5に示すように、1つのフレット部材35につ
き2つの押弦スイッチ31(固定接点21と可動接点3
1aとの対が2つ)が構成されるが、両押弦スイッチ3
1の少なくとも1つがオンすることで、当該フレット部
材35の押下操作が検出されるようになっている。これ
により安定した検出が可能になる。例えば、フレット部
材35を押下するときには、必ずしも被押さえ部35B
の長手方向における中央が押下されるとは限らず、いず
れかの端部に近い位置で押下されることがある。その場
合、通常は押下位置に近い側の押弦スイッチが先にオン
することになるが、当該先にオンした押弦スイッチによ
って押下動作のオンが検出される。
【0042】図6は、本実施の形態の電子弦楽器の機能
構成を示すブロック図である。
【0043】本電子弦楽器は、フレットスイッチ群6
6、撥弦検出部67、その他スイッチ群68、通信I/
F(インターフェイス)76、自動演奏メモリ65、C
PU60(楽音特性制御手段)、RAM61、ROM6
2、音源63(楽音発生手段)、オフレベル検出77及
び表示制御回路64が、バス75を介して互いに接続さ
れて構成される。音源63にはD/A変換器78及びア
ンプ79を介してサウンドシステムSSが接続され、オ
フレベル検出77は音源63にも接続されている。表示
制御回路64には表示部22が接続されている。
【0044】フレットスイッチ群66は、上述した72
組の押弦スイッチ31で成る。各押弦スイッチ31の検
出信号は音高信号(チャネル指示データ)の元となるも
のであり、CPU60に供給される。撥弦検出部67
は、各弦部材51毎に2つ設けられ、全部で12個存在
する。同図には、撥弦検出部67のうちピエゾセンサ1
5xからの検出信号を処理するものが図示されている。
【0045】例えば、ピエゾセンサ15xからの検出信
号は、整流部69で整流され、エンベロープ検出部70
でエンベロープ曲線が形成され、P・H(ピークホール
ド)検出部71で波形のピークが検出され、スレッショ
ルド比較部72による比較の結果、ピークが所定の閾値
を超えた場合は、A/D変換器73によって検出信号が
デジタル変換される。この変換されたデジタルデータ
は、撥弦の強さを示す例えば8ビットのデータであり、
そのうちの1ビットのデータからトリガ検出部74によ
って撥弦があったことが検出されると共に、デジタルデ
ータはA/D変換器73からCPU60に撥弦強さ信号
(発音強さデータ)として供給される。
【0046】ピエゾセンサ15yの検出信号や他の弦部
材におけるピエゾセンサ15x、15yの検出信号を処
理するための撥弦検出部67についても同様に構成され
る。
【0047】その他スイッチ群68には、パネル操作部
4に設けられた各種スイッチ等が該当する。自動演奏メ
モリ65には、メモリスロット6に挿入されたメモリカ
ード等が該当する。通信I/F(インターフェイス)部
76は、複数種類のインターフェイスを有し、他のMI
DI機器等の外部装置からMIDI信号を入力したり、
MIDI信号を外部装置に出力したりするほか、パーソ
ナルコンピュータ等とデータの送受信を行うこともでき
るように構成されている。
【0048】CPU60は、本楽器全体の制御を司る。
RAM61は、各種データを記憶し、CPU60がプロ
グラムを実行する際のワークエリアとしても機能する。
ROM62は、CPU60が実行する制御プログラム等
を格納している。音源63は、CPU60によって発音
タイミング及びタッチ等がコントロールされ、このコン
トロール下において、楽音形成のためにプリセットされ
たパラメータを時変動させながら楽音を発生するセクシ
ョンである。音源ソースが波形メモリである場合は、波
形ROM及びその読み出し手段も含んで構成される。サ
ウンドシステムSSは、アンプ79及びスピーカ80か
らなり、A/D変換器73からの楽音信号を音響信号に
変換する。また、オフレベル検出77は、音源63から
出力される楽音信号からオフレベル信号を検出してそれ
をCPU60に供給する。表示制御回路64は、CPU
60による制御に基づき表示部22の表示を制御する。
【0049】図7は、本実施の形態におけるメインルー
チンの処理のフローチャートを示す図である。
【0050】まず、各種レジスタやカウント値等の初期
化を実行し(ステップS1)、音色等楽音パラメータの
設定処理を実行する(ステップS2)。次に、後述する
図7のイベント取り込み処理を実行し(ステップS
3)、その他処理を実行して(ステップS4)、前記ス
テップS2に戻る。「その他処理」では、デジタルボリ
ュームや各種スイッチにより、後述する定数A、Bの値
等を設定することができる。
【0051】図8は、図7のステップS3で実行される
イベント取り込み処理(発音準備&発音処理)のフロー
チャートを示す図である。
【0052】まず、トリガイベントの発生がなされる
と、いずれかのトリガイベントがあったか否かを判別す
る(ステップS801)。ここでいうトリガイベントに
は、フレット部材35の押下による押弦スイッチ31の
オンオフ((以下、「フレットオン、フレットオフ」と
称する))、弦部材51の撥弦動作(アップストローク
とダウンストロークとがある)、及びオフレベル検出7
7からの完全オフを示すリターン信号の受信がある。フ
レットオン、オフのイベント発生はフレットスイッチ群
66からの信号により判別され、弦部材51の撥弦動作
のイベント発生は、ピエゾセンサ15x、15yの検出
信号に基づく撥弦検出部67からの信号により判別され
る。
【0053】次に、チャネルCHをサーチし、処理すべ
きチャネルCHを決定する(ステップS802)。ここ
で、本実施の形態において処理されるチャネルCHは、
12個存在し、以下、そのチャネル番号を「n」(n=
0〜11)で表す。上記チャネルCHの決定は、上記ト
リガイベントがフレットオンまたはオフであったか否か
に基づきなされ、トリガイベントがフレットオンまたは
オフであった場合は、n=(G−1)×2+1によって
チャネル番号nを求める。ここで、Gは、フレットオ
ン、オフがあった押弦スイッチ31に対応する弦部材5
1を示す値であり、弦部材51a、b、c、d、e、f
に対してG=6〜1が対応している。従ってチャネル番
号nは奇数になる。なお、弦部材51a〜fを以下、第
6〜第1弦とも称する。一方、トリガイベントがフレッ
トオン、オフでない場合は、撥弦検出部67からの信号
またはオフレベル検出77からのリターン信号によっ
て、チャネル番号nが0〜11のいずれかに一義的に定
まる。
【0054】図9は、イベントバッファ(EVTBU
F)の構成の例を示す概念図である。イベントバッファ
は、例えばRAM61に格納される。チャネル番号n
(0〜11)に対応して、KCDREG(キーコードレ
ジスタ)及びSTATEREG(ステートレジスタ)が
書き込み可能になっている。なお、チャネル番号nの
「0、1」、「2、3」…「10、11」は、それぞれ
第1弦(G1)、第2弦(G2)…第6弦(G6)に対
応している。例えば、トリガイベントが撥弦動作であっ
た場合は、それがダウンストロークであればチャネル番
号nは奇数となり、アップストロークであれば番号nは
偶数となる。
【0055】KCDREGには、「リターン信号の場
合」、「フレットオン」、「フレットオフ」、「撥弦動
作(UP/DOWNのオン)」のそれぞれに対応して2
進法により「00」、「01」、「10」、「11」の
いずれかが書き込まれる。STATEREGには、「完
全キーオフ状態」、「フレットオン状態」、「発音指示
中」、「発音指示後発音中」のそれぞれに対応して2進
法によりステート「00」、「01」、「10」、「1
1」のいずれかが書き込まれる。
【0056】図10は、キーコードテーブル(TBL)
の構成の例を示す概念図である。キーコードテーブル
は、例えばRAM61に格納される。チャネル番号n
(0〜11)とフレットFとで、キーコードデータKC
Dが規定される。フレットFは、上記フレット部材35
に対応するもので、開放弦を含めて各弦につき0〜12
の13個の値をとり得る。なお、同図中、例えば、「C
4」は「中央のハ音」を表す。
【0057】図8に戻り、次に、イベントバッファ(E
VTBUF)のnCHに、トリガイベントに対応する弦
部材51の開放弦キーコードとトリガイベントの種類
(上記00〜11のいずれか)を書き込む(ステップS
803)。例えば、第2弦(弦部材51e)がダウンス
トロークで撥弦された場合を例にとると、まず、チャネ
ル番号nは「3」となる。そして、キーコードテーブル
におけるフレットFの列の開放弦のデータから、KCD
はB3となる。従って、この場合は、図9(a)に示す
ように、イベントバッファのn=3の列において、トリ
ガイベントレジスタに「01」、KCDREGに「B
3」がそれぞれ書き込まれる。
【0058】以降、トリガイベントに応じて異なる処理
を行う。すなわち、上記トリガイベントが何であったか
を判別する(ステップS804)。この判別は、EVT
BUFにおけるトリガイベントレジスタに書き込まれた
データによりなされる。
【0059】ステップS804の判別の結果、上記トリ
ガイベントが、「01」、すなわちフレットオンである
場合は、ステップS805に進み、EVTBUFのnC
H部のSTATEREGにステート「01」を書き込む
と共に、押下されたフレット部材35に対応するKCD
をKCDREGに書き込む。ここで、KCDはキーコー
ドテーブルを参照することで得られ、例えば、第2弦に
対応するフレット部材35のうちフレットF=1(棹部
2の先端から1番目のフレット部材35)が押下された
場合を例にとると、チャネル番号nは前記ステップS8
02で「3」になっていることから、KCDは「C4」
となる。従って、この場合は、図9(b)に示すよう
に、イベントバッファのn=3の列において、STAT
EREGに「01」、KCDREGに「C4」がそれぞ
れ書き込まれる。なお、各レジスタに既に値が書き込ま
れていた場合は上書きされる。ステップS805の処理
後、本処理を終了する。
【0060】前記ステップS804の判別の結果、上記
トリガイベントが、「10」、すなわち「フレットオ
フ」である場合は、ステップS806に進み、EVTB
UFの該当するnCH部におけるSTATEREGのキ
ーオフを表すステートデータ「00」を、CHデータ
(n)と共に音源63に送出して、本処理を終了する。
この場合は、押下したフレット部材35に対応する音高
の楽音につき消音指示がなされ、音源63はこれを受け
て速やかに消音処理し、わずかなタイムラグの後、オフ
レベル信号をオフレベル検出77からCPU60に返
す。
【0061】前記ステップS804の判別の結果、上記
トリガイベントが、「11」、すなわち「撥弦動作(U
P/DOWNのオン)」である場合は、ステップS80
7に進み、後述する図11のタッチデータ表示制御処理
を実行する。次にステップS808に進んで、EVTB
UFの該当するnCH部におけるSTATEREGに
「10」(発音指示中)を書き込み、さらに、現在書き
込まれているKCDREGのKCDを、チャネルCHn
のタッチ強度データTC(n)(TC(n)は、上記タ
ッチデータ表示制御処理で求められる)とキーオンを表
すステートデータ「10」とCHデータ(n)と共に、
音源63に送出する。次に、ステップS809に進み、
STATEREGに「11」(発音指示後発音中)を上
書きして、本処理を終了する。この場合は、弦部材51
が撥弦されたタイミングにて、KCDに従った音高の楽
音が発生する。すなわち、押下されているフレット部材
35に対応する音高(開放弦の場合は開放弦に対応する
音高)の楽音が発生する。
【0062】ここで、本実施の形態では、各弦部材51
の撥弦に伴う楽音の発音に際し、アップストロークとダ
ウンストロークとで音色を異ならせるように制御する。
実際のギター等では、アップ/ダウンストローク間で音
色が微妙に異なり、それによって楽音に豊かな表情が与
えられる。そこで、本電子弦楽器では、これを電子的に
実現した。これを実現するために、各弦種Gに係るnに
ついて、偶数と奇数(例えば、第1弦でいえば「0」と
「1」)とで音色パラメータを異ならせている。これに
より、演奏表現力が向上する。
【0063】なお、これの応用として、12個のn値に
ついて個々に音色パラメータを設定すれば、撥弦された
弦とその撥弦方向(アップ/ダウン)の双方を考慮した
楽音制御が可能になる。また、各弦種間で音色パラメー
タを著しく異ならせ、例えば、第1弦ではアコースティ
ックギター音、第2弦ではエレクトリックギターの音、
第3弦では琴の音…第6弦ではアストロノート(複数の
音高データからなる持続形成音やノートレス音)という
ように、異なる楽器音を発生させるようにしてもよい。
もちろん、n値によって変化させるパラメータは、音色
に限るものではなく、各種楽音パラメータについて適用
可能である。このようにして、表現力を一層向上するだ
けでなく、弦楽器としての利用範囲を拡大することがで
きる。例えば、弦楽器でなく打楽器音も発生可能とな
る。
【0064】前記ステップS804の判別の結果、上記
トリガイベントが、「00」、すなわち、オフレベル検
出77からのオフレベル信号受信によるイベント「リタ
ーン信号の場合」(完全オフ)である場合は、ステップ
S810に進み、EVTBUFの該当するnCH部にお
けるすべてのデータをクリアして、本処理を終了する。
これは、発音中に弦部材51に触れて強制的に消音する
ような場合も含むが、一般的には、図6に示すオフレベ
ル検出77からのリターン信号を受けて、完全オフトリ
ガ信号がオフレベル検出77で形成され、この信号によ
って該当するチャネルCHnの発音が消音される。
【0065】図11は、図8のステップS807で実行
されるタッチデータ表示制御処理(強度可変)のフロー
チャートを示す図である。
【0066】まず、チャネルCHnのタッチ強度データ
TC(n)にタッチデータPz(n)を代入する(ステ
ップS101)。ここで、タッチデータPz(n)は、
n番目の撥弦検出部67から供給される信号により定ま
り、撥弦の強さが強いほど大きい値を執る。また、上述
したように、nの値によって、撥弦された弦部材51及
びその撥弦方向(UP/DOWN)が規定される。
【0067】次に、キーコードテーブルを参照し、EV
TBUFに現在書き込まれているKCDREG(n)の
KCDからフレットFを割り出す(ステップS10
2)。すなわち、KCDREG(n)のKCDとキーコ
ードテーブルの第n列におけるKCDとが合致するとこ
ろのフレットFの番号を求める。
【0068】次に、上記割り出したフレットFに対応す
るLED(表示部22)に流す電流値L(F)を、L
(F)=A×TC(n)によって決定すると共に、決定
した電流値L(F)によって表示部22の発光表示を行
って(ステップS103)、本処理を終了する。なお、
定数Aに代えて、例えばA=TC(n)/Bのように
(Bは定数)、関数を用いてもよい。このステップによ
り、KCDに対応する表示部22が弦部材51の撥弦強
さに応じた明るさで発光し、奏者は撥弦した強さを感覚
的に把握することができる。なお、発光は、オフレベル
検出77からのリターン信号によりSTATEREGが
「11」から「00」になるまで継続される。
【0069】本実施の形態によれば、例えば、あるフレ
ット部材35を押下して対応する弦部材51を撥弦する
と、それに応じた音高で楽音が発生すると共に、そのフ
レット部材35に対応する表示部22が発光する。その
際、表示部22は、弦部材51の撥弦の強さが強いほど
明るく発光する。従って、実際にある弦部材51を撥弦
した場合において、表示部22の発光輝度によって、フ
レット部材35を通じてその撥弦強さを視覚により把握
することができ、演奏状態の確認ができることから、撥
弦の練習等に役立てることができる。よって、撥弦強さ
を視覚により認識容易にして有用性を高めることができ
る。さらに、押下したフレット部材35を視認して確認
ができるので、押弦の練習にも役立つ。
【0070】本実施の形態ではさらに、ピエゾセンサ1
5(15x、15y)によって、各弦部材51毎に撥弦
動作及びその撥弦方向(アップ/ダウン)を検出して1
2チャネルとしてn値を求め、各弦種Gに係るnについ
て、偶数と奇数とで音色パラメータを異ならせるように
したので、実際のギターにおけるアップストロークとダ
ウンストロークとの音色の違いを擬似的に実現でき、楽
音に豊かな表情を与えて演奏表現力を向上することがで
きる。しかもその際、弦部材51を撥弦する強さに応じ
て発生する楽音がさらに制御されるようにしたので、撥
弦の方向と強さとに応じて楽音を種々変えることがで
き、演奏表現力を一層向上することができる。
【0071】なお、本実施の形態では、撥弦の方向の検
出は、アップ/ダウンストロークの2方向に限定して区
別するようにしたが、これに限るものでなく、弦部材5
1に直交する複数の方向からの外力による弦部材51の
移動を検出するようにすれば、各種奏法による演奏表現
を実現する多彩な楽音制御が可能になる。
【0072】(第2の実施の形態)第1の実施の形態で
は、撥弦強さに応じて表示部22の発光強度を異ならせ
るようにしたが、本第2の実施の形態では、表示部22
の発光色を異ならせるようにする。従って、基本的構成
は第1の実施の形態と同様であるが、図1〜図10に図
12を加え、発光表示に関する構成を説明すると共に、
タッチデータ表示制御処理を、図11に代えて図13を
用いて説明する。
【0073】図12は、第2の実施の形態に係る電子弦
楽器の表示制御回路及び表示部の構成を示す回路図であ
る。本第2の実施の形態では、第1の実施の形態におけ
る表示部22に代わり表示部82(視認表示部)がフレ
ット部材35毎に設けられる。
【0074】表示部82は、互いに近接配置された赤色
発光ダイオード(RL)及び緑色発光ダイオード(G
L)の組で成る多色を実現するLED部である。第1の
実施の形態の場合と同様に、表示部82は各弦部材51
に対応して12個ずつ設けられ、全部で72個存在す
る。レベル検出器83は、表示制御回路64内に構成さ
れる。各表示部82には、論理回路部84が接続されて
おり、論理回路部84には、フレット信号ラインLFR
とOR回路93、95が接続されている。ダイオード
(RL)、(GL)の各アノード側には所定の電圧Vが
常に印加されている。
【0075】レベル検出器83からの3本の信号ライン
L1、L2、L3のうち、信号ラインL1はOR回路9
3の一方の入力に、信号ラインL2はOR回路93の他
方の入力に、それぞれ接続されている。また、信号ライ
ンL2はOR回路95の一方の入力に、信号ラインL3
はOR回路95の他方の入力に、それぞれ接続されてい
る。
【0076】論理回路部84は、AND回路91、92
を有する。フレット信号ラインLFRはAND回路91
の一方の入力及びAND回路92の一方の入力に接続さ
れている。OR回路93の出力はAND回路91の他方
の入力に接続されている。OR回路95の出力は、AN
D回路92の他方の入力に接続されている。AND回路
91の出力はインバータ94を介してダイオード(R
L)のカソードに接続され、AND回路92の出力はイ
ンバータ96を介してダイオード(GL)のカソードに
接続されている。各表示部82、論理回路部84、レベ
ル検出器83はそれぞれ複数が同様に構成される。
【0077】後述する図13の処理により、発光表示す
べき表示部82及びその表示色を規定するための信号T
C(F)が設定されるが、フレット信号ラインLFR
は、各弦部材51毎に、発光表示すべき表示部82に接
続されたものがオンとされる。一方、レベル検出器83
は、信号TC(F)に基づいて、弦部材51毎に、3本
の信号ラインL1、L2、L3のいずれか1つを「HI
GH」とするか、または3つすべてを「LOW」とす
る。
【0078】例えば、フレット信号ラインLFRがオン
となっている表示部82に関し、信号ラインL1のみが
「HIGH」のときは、ダイオード(RL)のカソード
が「LOW」となって、印加電圧によりダイオード(R
L)のみが発光する。これにより表示部82が赤色に発
光してみえる。また、信号ラインL3のみが「HIG
H」のときは、ダイオード(GL)のカソードが「LO
W」となってダイオード(GL)のみが発光する。これ
により表示部82が緑色に発光してみえる。また、信号
ラインL2のみが「HIGH」のときは、ダイオード
(RL)及びダイオード(GL)の両カソードが「LO
W」となって両ダイオード(RL)、(GL)が発光す
る。両ダイオード(RL)、(GL)が近接配置されて
いることから、混色によって表示部82は黄色に発光し
てみえる。また、信号ラインL1、L2、L3のすべて
が「LOW」のときは、ダイオード(RL)及びダイオ
ード(GL)の両カソードが「HIGH」となって両ダ
イオード(RL)、(GL)共に発光しない。この場合
は、表示部82は消灯状態のままである。
【0079】図13は、図8のステップS807で実行
されるタッチデータ表示制御処理(変色)のフローチャ
ートを示す図である。
【0080】まず、図11のステップS101と同様
に、チャネルCHnのタッチ強度データTC(n)にタ
ッチデータPz(n)を代入する(ステップS30
1)。以降、タッチ強度データTC(n)の値に応じて
異なる処理を行う。すなわち、TC(n)値と比較閾値
a、b、cとを大小比較し(ステップS302)、その
結果に基づいて、TC(n)に値TC0、TCg、TC
y、TCrのいずれかを設定する。従って、撥弦強さが
4段階で評価される。ここで、本第2の実施の形態で
は、値TC0、TCg、TCy、TCrは、図7のステ
ップS4の「その他処理」で設定が可能である。なお、
a<b<cという大小関係に設定されるものとする。
【0081】前記ステップS302での大小比較の結
果、TC(n)<aである場合はTC(n)に値TC0
を設定し(ステップS303)、a≦TC(n)<bで
ある場合はTC(n)に値TCgを設定し(ステップS
304)、b≦TC(n)<cである場合はTC(n)
に値TCyを設定し(ステップS305)、c≦TC
(n)である場合はTC(n)に値TCrを設定して
(ステップS306)、いずれの場合もステップS30
7に進む。
【0082】ステップS307では、図11のステップ
S102と同様に、キーコードテーブルを参照し、EV
TBUFに現在書き込まれているKCDREG(n)の
KCDから、発光表示すべきフレットFを割り出し、フ
レット指定信号fを表示制御回路64に送出する。これ
により、発光表示すべき表示部82に接続されているフ
レット信号ラインLFRがオンとされる。
【0083】次に、ステップS308では、割り出され
たフレットFに対応する表示部82に流す電流値をTC
(n)値によって決定して発光表示を行う。すなわち、
信号TC(F)を、TC(F)=TC(n)により求
め、求めたTC(F)を表示制御回路64に送出する。
これにより、レベル検出器83を介して信号ラインL
1、L2、L3が「HIGH」または「LOW」とな
る。
【0084】具体的には、TC(n)=TC0である場
合は、撥弦強さが最も弱い場合であり、表示部82は発
光しない。TC(n)=TCgである場合は、撥弦強さ
が2番目に弱い場合であり、表示部82は緑色に発光す
る。TC(n)=TCyである場合は、撥弦強さが3番
目に弱い(2番目に強い)場合であり、表示部82は黄
色に発光してみえる。TC(n)=TCrである場合
は、撥弦強さが最も強い場合であり、表示部82は赤色
に発光する。このようにして、撥弦した強さが表示部8
2の発光色により区別され、奏者は撥弦した強さを感覚
的に把握することができる。なお、発光は、オフレベル
検出77からのリターン信号によりSTATEREGが
「11」から「00」になるまで継続される。ステップ
S308の処理後は本処理を終了する。
【0085】本実施の形態によれば、表示部82は、弦
部材51の撥弦の強さに応じて3段階で変色(無発光を
含めて4段階)して発光する。よって、第1の実施の形
態と同様の効果を奏することができる。
【0086】なお、本実施の形態では、図8のステップ
S807のタッチデータ表示制御処理は、変色による処
理(図13)としたが、これに加えて、第1の実施の形
態で示した発光強度可変による処理(図11)を併せて
行うようにしてもよい。これにより、視認効果が増大
し、撥弦強さの把握をより容易にすることができる。
【0087】なお、第1、第2の実施の形態において、
表示部22(表示部82)とは別に発光部を各弦部材5
1毎に1つ以上設け、開放弦で撥弦した場合に、表示部
22(表示部82)と同様に撥弦強さに応じて上記発光
部の発光強度(または発光色)を異ならせるようにして
もよい。これにより、開放弦での撥弦についても撥弦強
さを視覚により把握することができる。
【0088】なお、第1、第2の実施の形態において、
撥弦強さに応じて表示部22(82)の表示態様を異な
らせることができれば、発光強度や発光色以外のもの、
例えば、発光領域の大きさや模様の変化等で発光態様を
異ならせてもよい。
【0089】(第3の実施の形態)第1、第2の実施の
形態では、押下されたフレット部材に対応する表示部を
発光させるようにしたが、本第3の実施の形態では、撥
弦された弦部材に対応する表示部の列全部を発光させる
ようにする。従って、基本的構成は第1の実施の形態と
同様であるが、図1〜図10に図14を加え、発光表示
に関する構成を説明すると共に、タッチデータ表示制御
処理を、図11に代えて図15を用いて説明する。
【0090】図14は、第3の実施の形態に係る電子弦
楽器の表示制御回路及び表示部の構成を示す回路図であ
る。本第3の実施の形態では、論理回路部84及びフレ
ット信号ラインLFRを除いた点が第2の実施の形態に
おける表示制御回路及び表示部(図12)と相違してい
る。ダイオード(RL)のカソードには、信号ラインL
1、L2が接続され、ダイオード(GL)のカソードに
は、信号ラインL2、L3が接続されている。
【0091】後述する図15の処理により、発光表示す
べき表示部82の列を規定する弦種G及びその表示色を
規定するための信号TC(G)が設定される。レベル検
出器83は、信号TC(G)に基づいて、該当する弦部
材51に対応する3本の信号ラインL1、L2、L3の
いずれか1つを「LOW」とするか、または3つすべて
を「HIGH」とする。
【0092】例えば、信号ラインL1のみが「LOW」
のときは、ダイオード(RL)のカソードが「LOW」
となって、印加電圧によりダイオード(RL)のみが発
光する。これにより表示部82が赤色に発光してみえ
る。また、信号ラインL3のみが「LOW」のときは、
ダイオード(GL)のカソードが「LOW」となってダ
イオード(GL)のみが発光する。これにより表示部8
2が緑色に発光してみえる。また、信号ラインL2のみ
が「LOW」のときは、ダイオード(RL)及びダイオ
ード(GL)の両カソードが「LOW」となって両ダイ
オード(RL)、(GL)が共に発光する。これにより
表示部82が黄色に発光してみえる。また、信号ライン
L1、L2、L3すべてが「HIGH」のときは、ダイ
オード(RL)及びダイオード(GL)の両カソードが
「HIGH」となって両ダイオード(RL)、(GL)
共に発光しない。この場合は、表示部82は消灯状態の
ままである。
【0093】図15は、図8のステップS807で実行
されるタッチデータ表示制御処理(全体発光)のフロー
チャートを示す図である。
【0094】まず、発光すべき表示部82の列に対応す
る弦種G(1〜6)を、G=INT(n/2)+1によ
り算出し(ステップS501)、TC(G)にタッチデ
ータPz(n)を設定する(ステップS502)。ここ
で、関数「INT」は「INTEGER」の意であり、
(n/2)の解の小数を切り捨てた整数値を求めるため
の関数である。次に、TC(G)=A×TC(G)によ
って新たなTC(G)値を求め、この新たなTC(G)
によってフレット列全体の表示部82を発光表示させる
(ステップS503)。すなわち、TC(G)を表示制
御回路64に送出する。これにより、レベル検出器83
を介して、TC(G)の値に応じて信号ラインL1、L
2、L3が「HIGH」または「LOW」となる。
【0095】具体的には、図13の処理と同様に、TC
(G)によって処理が4段階に分かれる。撥弦強さが最
も弱い場合は表示部82の列は発光しない。撥弦強さが
2番目に弱い場合は表示部82の列は緑色に発光する。
撥弦強さが3番目に弱い(2番目に強い)場合は表示部
82の列は黄色に発光してみえる。撥弦強さが最も強い
場合は表示部82の列は赤色に発光する。いずれの場合
も、撥弦された弦部材51の延長上に存在する表示部8
2の一列全部が発光するので、対応関係からその弦部材
51が明確に認識される。それと同時に、撥弦した強さ
が表示部82の発光色により区別され、奏者は撥弦した
強さを感覚的に把握することができる。
【0096】なお、前記ステップS503において、定
数Aに代えて、例えばA=TC(G)/Bのように(B
は定数)、関数を用いてもよい。なお、定数A、Bはそ
の他スイッチ群68に含まれるロータリーデジタルスイ
ッチによる操作や、図7のステップS4の「その他処
理」において変更が可能である。なお、発光は、オフレ
ベル検出77からのリターン信号によりSTATERE
Gが「11」から「00」になるまで継続される。ステ
ップS503の処理後は本処理を終了する。
【0097】本実施の形態によれば、ある弦部材51を
撥弦すると、それに対応する表示部82の列全部が発光
する。発光した表示部82の列は、指盤部において特定
の弦が光っているかように視認されるので、表示部82
の列と弦部材51との対応関係から、撥弦した弦部材5
1を明確に認識することができる。従って、撥弦した弦
を確認しつつ演奏の練習ができ、電子弦楽器としての利
用範囲を拡大することができる。よって、撥弦した弦を
視覚により認識容易にして有用性を高めることができ
る。なお、本実施の形態ではまた、フレット部材35を
認識させるための表示部82を撥弦にかかわる弦の認識
に利用するようにしたので、構成が簡単である。
【0098】本実施の形態ではまた、表示部82の列を
発光させるに際し、撥弦強さに応じて発光色を異ならせ
るようにしたので、撥弦された弦と共にその撥弦の強さ
をも視覚的に把握することができる。従って、撥弦した
弦及びその撥弦強さを確認しつつ演奏の練習ができ、有
用性を一層高めることができる。なお、表示部82は単
色LEDとして構成し、発光色の代わりに発光強度を変
えるようにしてもよい。
【0099】なお、本実施の形態では、撥弦した弦部材
51の延長上に存在する表示部82の列全部を発光させ
るようにしたが、撥弦された弦を認識させるという観点
からは、必ずしも全部発光でなくてもよく、一列の表示
部82中の一部(複数)を発光させるようにしてもよ
い。例えば、フレット部材35の押下等で規定された音
高に対応する表示部82とその近傍(例えば、同じ列の
前後1つずつ等)の表示部82を発光させるようにして
もよい。特に、フレット部材35が押下された状態で
は、フレット部材35が指で隠れて視認されにくいこと
から、撥弦された弦を認識させるという観点からは、同
じ列において、押下された表示部82以外の少なくとも
1つの表示部82を発光させるようにすればよい。
【0100】なお、本実施の形態では、表示部82群
は、対応する弦部材51を撥弦した場合に発光するよう
にしたが、これに代えて、フレット部材35が押下操作
がされたとき、それに対応する表示部82を含む表示部
列全部を発光させるようにしてもよい。このようにすれ
ば、奏者が押下したフレット部材35に対応する弦部材
51が撥弦すべき弦として容易に視認され、特に初心者
にとって、撥弦の練習に役立てることができる。
【0101】すなわち、押弦を確認した上で発光に係る
弦をはじくような初心者的奏法がやりやすくなってい
る。なぜなら、撥弦する位置の近傍まで発光表示させる
ことができるからである。なお、図1に示すように、弦
部材51の両端近傍に設けた発光素子LD1〜LD6
を、撥弦した弦部材51の延長上に存在する表示部82
の列全部と共に発光させるようにしてもよい。そのよう
にすれば、撥弦すべき弦がよりわかりやすくなる。とこ
ろで、全列発光させる場合、LEDの発光による電力消
費が大きいため、電池駆動した場合は電池の消耗が激し
い。そこで、発光素子LD1〜LD6以外の表示部80
を液晶表示器(LCD)で構成するようにしてもよい。
その場合にあっても、発光素子LD1〜LD6だけは、
発光素子LEDを採用するのが望ましい。なぜなら、暗
い場所でも練習が可能になると共に、ステージ演奏にお
いても、イルミネーション的な視覚効果を出して、エン
ターティメント効果を発揮することができるからであ
る。
【0102】なお、第2、第3の実施の形態で、各信号
ラインL1、L2、L3に流す電流配分を制御して、赤
色発光ダイオード(RL)及び緑色発光ダイオード(G
L)の発光強度をそれぞれ変化させることにより、赤、
黄、緑以外の色に発光させてみせるような多色LEDを
実現することが可能である。これにより、撥弦強さをよ
り細かく把握することができる。
【0103】(第4の実施の形態)第1の実施の形態で
は、演奏者の操作(フレット部材35の押下及び弦部材
51の撥弦)に基づいて、発光すべき表示部22(8
2)が決定された。本第4の実施の形態では、自動演奏
データとしてのMIDI信号(音源指示データ)に基づ
いて表示部22の発光制御を行う。本実施の形態では、
基本的構成は第1の実施の形態と同様であるが、メイン
ルーチンの処理が異なるため、図7に代えて図16を用
い、さらに図17及び図18を加えることで、図1〜図
6、図8〜図11、図16〜図18を用いて本実施の形
態を説明する。
【0104】図16は、本実施の形態におけるメインル
ーチンの処理のフローチャートを示す図である。
【0105】まず、ステップS601、S602では、
図7のステップS1、S2と同様の処理を実行し、続く
ステップS603では、後述する図17、図18の演奏
ナビ&自動演奏処理を実行する。次に、ステップS60
4、S605では、図7のステップS3、S4と同様の
処理を実行して、前記ステップS602に戻る。なお、
ステップS605の「その他処理」では、上述した各種
値のほか、自動演奏の実行許可を「1」で示す自動演奏
実行フラグAUTOや、後述する図17のステップS7
04でセットされるタイマTの所定時間t(例えば、5
mmsec)の設定等も行われる。
【0106】図17及び図18は、図16のステップS
603で実行される演奏ナビ&自動演奏処理のフローチ
ャートを示す図である。
【0107】まず、自動演奏実行フラグAUTOが
「1」に設定されているか否かを判別し(ステップS7
01)、その判別の結果、AUTO=1でない場合は本
処理を終了する一方、AUTO=1である場合はステッ
プS702に進み、通信I/F部76を介してMIDI
信号を受信し、受信したMIDI信号中のキーコードデ
ータKCDをサーチする。なお、本実施の形態では、通
信I/F部76を介して受信したMIDI信号を基に制
御処理を行う場合を例示するが、MIDI信号として
は、自動演奏メモリ65(乃至メモリスロット6に挿入
されたメモリカード)に格納されたものを利用するよう
にしてもよい。
【0108】受信されるMIDI信号中のデータには、
タイミングデータのほか、イベントデータであるキーコ
ードデータKCDとそれに付随するタッチデータTCA
で構成されるデータ列とが含まれ、データ列の連番を以
下、「N」で表す。
【0109】次に、受信したMIDI信号中にキーコー
ドデータKCDがあるか否かを判別し(ステップS70
3)、その判別の結果、キーコードデータKCDがない
場合は本処理を終了する一方、キーコードデータKCD
がある場合は、ステップS704に進み、タイマTを所
定時間tにセットして始動する(ステップS704)。
【0110】次に、キーコードデータKCDと該キーコ
ードデータKCD受信の直後に送信されるMIDIデー
タを受信してこれをEVTBUFに取り込み(ステップ
S705)、所定時間tが経過したか否かを判別する
(ステップS706)。そして、所定時間tが経過する
まで前記ステップS705の実行を繰り返す。その結
果、キーコードデータKCDがサーチされた直後、所定
時間t内におけるMIDIデータのすべてが受信され、
キーバッファKEYBUFに格納される。
【0111】前記ステップS706の判別の結果、所定
時間tが経過した場合は、EVTBUFをサーチし、N
番目のキーコードデータKCDであるKCD(N)と、
それに付随するタッチデータTCA(N)とをセットに
して自動演奏用キーコードレジスタKDREGに取り込
んで(ステップS707)、キーバッファKEYBUF
をオールクリアし(ステップS708)、カウント値C
を「0」に設定する(ステップS709)。
【0112】次に、キーコードテーブルを参照し、KD
REG(C)のKCDからフレットFを割り出す(ステ
ップS710)。すなわち、KDREG(C)のKCD
とキーコードテーブルの第n列におけるKCDとが合致
するところのフレットFの番号を求める。次に、KDR
EG(C)のKCDがキーオンデータであるか否かを判
別する(ステップS711)。
【0113】その判別の結果、KCDがキーオンデータ
である場合は、ステップS712に進み、上記割り出さ
れたフレットFに対応するLED(表示部22)に流す
電流値L(F)を、L(F)=A×TCA(N)によっ
て決定すると共に、決定した電流値L(F)によって表
示部22の発光表示を行う。なお、定数Aに代えて、例
えばA=TCA(N)/Bのように(Bは定数)、関数
を用いてもよい。これにより、MIDI信号中のKCD
に対応する表示部22が、MIDI信号が示す弦部材5
1の撥弦強さに応じた明るさで発光し、奏者は撥弦すべ
き強さを感覚的に把握することができる。
【0114】次に、ステップS713に進んで、キーコ
ードテーブルを参照し、チャネルCHnに関するキーオ
ンとKCD(n)とTCA(n)とを音源63に送出す
る。これにより、MIDI信号に従って楽音が発音され
る。次に、カウント値Cを、「1」だけインクリメント
して(ステップS714)、KDREG(C)のデータ
がなくなったか否かを判別する(ステップS715)。
その判別の結果、KDREG(C)のデータが存在する
場合は前記ステップS710に戻って残りのデータの処
理に移行する一方、KDREG(C)のデータがなくな
った場合は、本処理を終了する。
【0115】前記ステップS711の判別の結果、KC
Dがキーオンデータでない場合は、ステップS716に
進み、キーコードテーブルを参照し、チャネルCHnに
関するキーオフとKCD(n)とを音源63に送出す
る。これにより、MIDI信号に従って楽音が消音され
る。次に、フレットFに対応する弦種Gに対応するすべ
ての表示用データをクリアし(ステップS717)、前
記ステップS714を実行する。
【0116】本実施の形態によれば、受信したMIDI
信号で規定される音高に対応して、楽音が発生すると共
に対応する表示部22が発光する。その際、MIDI信
号中のタッチデータTCAに応じて表示部22の発光強
度が異なるように制御され、弦部材51を撥弦すべき強
さが強いほど表示部22が明るく発光する。従って、表
示部22の発光輝度によって撥弦すべき強さを視覚によ
り把握することができる。MIDI信号を演奏ガイド用
として用いれば、撥弦の強さが感覚的に把握されると共
に、操作すべきフレット部材35が視認されるので、撥
弦及び押弦操作の練習等に役立てることができる。よっ
て、撥弦すべきフレット部材及び撥弦すべき強さを視覚
により認識容易にして有用性を高めることができる。
【0117】なお、本実施の形態における図18のステ
ップS712では、MIDI信号に基づく撥弦すべき強
さに応じて、対応する表示部22の発光強度を可変制御
するようにしたが、発光強度に代えて第2の実施の形態
で示したような発光色の可変制御を行うようにしてもよ
い。このようにすれば、同様の効果を奏することができ
る。
【0118】また、本実施の形態では、MIDI信号に
基づく音高に対応する表示部22のみが発光するように
したが、第3の実施の形態で示したような、対応する表
示部22を含む対応する表示部列の全体発光制御を行う
ようにしてもよい。このようにすれば、MIDI信号に
基づき撥弦すべき弦部材51を明確に認識することがで
き、演奏練習に役立てることができる。よって、撥弦す
べき弦を視覚により認識容易にして有用性を高めること
ができる。
【0119】なお、本実施の形態においては、図8のス
テップS807のタッチデータ表示制御処理は、第1の
実施の形態で示した発光強度可変による処理(図11)
によるものとしたが、これに代えて、第2の実施の形態
で示した変色による処理(図13)、または第3の実施
の形態で示した全体発光による処理(図15)を適用し
てもよい。また、図8のステップS807のタッチデー
タ表示制御処理は、モード設定によって任意に省略可能
に構成してもよい。
【0120】なお、上記第1〜第4の実施の形態では、
ギター型の電子弦楽器を例示して説明したが、これに限
るものでなく、疑似弦を有して構成され得る電子ハープ
等の電子弦楽器にも適用可能である。例えば、電子ハー
プでは、各疑似弦にそれぞれ対応してLED等の表示部
を設け、第1の実施の形態と同様に、検出した撥弦した
強さ(MIDI信号による場合は撥弦すべき強さ)に応
じて、対応する表示部の発光強度を可変制御するか、あ
るいは、第2の実施の形態と同様に表示部の発光色を可
変制御すれば、撥弦強さが視覚的に把握される。これに
より、電子ハープについて第1、第2の実施の形態と同
様の効果を奏することができる。また、電子ハープの各
疑似弦の上方及び下方に、表示部を少なくとも1つずつ
設け、第3の実施の形態と同様に、撥弦した疑似弦(M
IDI信号による場合は撥弦すべき疑似弦)に対応する
上下の表示部を発光させるようにすれば、撥弦にかかわ
る疑似弦が明確に視認される。これにより、電子ハープ
について第3の実施の形態と同様の効果を奏することが
できる。
【0121】なお、上記各実施の形態において、発音さ
れる楽音は弦楽器の音に限らず、打楽器の音であっても
よい。また、上記各実施の形態において、発音タイミン
グは弦の撥弦によって規定されるものを例示したが、こ
れに限るものでなく、例えば、ダイナコードのように、
外観は電子ギターのような形(棹とボディがある形態)
でありながら、弦に代わって押しボタン型等の発音タイ
ミング決定手段を有する楽器にも適用可能である。この
場合は、発音タイミング決定手段は、パッドセンサ及び
パッドスイッチのような入力手段で構成してもよい。そ
の場合でも、タッチレスポンスを入力できるように構成
するのが望ましい。
【0122】なお、上記第1〜第4の実施の形態におい
て、表示部22(82)は、LEDで構成したが、発光
機能は不可欠ではなく、例えば、光の反射を視認する原
理を応用した液晶表示装置のように電子的に表示態様を
変化させることができるものであれば適用の余地があ
る。また、第2、第3の実施の形態において、発光色を
可変するために、赤色発光ダイオード(RL)及び緑色
発光ダイオード(GL)の組み合わせで表示部を構成し
たが、発光色を可変可能という観点からは、3色のLE
Dを組み合わせてよりきめ細かく発光色を変えてもよい
し、逆に、混色を利用することなく、撥弦強さに応じて
複数色のLEDのいずれか1つを独立して発光させるこ
とで多色発光を実現するようにしてもよい。
【0123】なお、本実施の形態において、本発明を達
成するためのソフトウェアによって表される制御プログ
ラムを記憶した記憶媒体を、本電子弦楽器に読み出すこ
とによっても、同様の効果を奏することができる。この
場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体
が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプロ
グラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成するこ
とになる。また、プログラムコードが電送媒体等を介し
て供給される場合は、プログラムコード自体が本発明を
構成することになる。
【0124】なお、これらの場合の記憶媒体としては、
ROMのほか、フロッピディスク、ハードディスク、光
ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮
発性のメモリカード等を用いることができる。
【0125】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項1
によれば、演奏表現力を向上することができる。
【0126】請求項2によれば、撥弦の方向と強さとに
応じて楽音を種々変えられるので、演奏表現力を一層向
上することができる。
【0127】また、本発明の請求項3によれば、演奏表
現力を向上することができる。
【0128】請求項4によれば、演奏表現力を向上する
ことができる。
【0129】請求項5によれば、撥弦の方向と強さとに
応じて楽音を種々変えられるので、演奏表現力を一層向
上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態に係る電子弦楽器
の平面図である。
【図2】 弦入力部を胴体部から取り外し、裏側からみ
た裏面図である。
【図3】 図2のA−A線に沿う部分断面図である。
【図4】 センサ体の分解斜視図である。
【図5】 図1のB−B線に沿う部分断面図である。
【図6】 同形態の電子弦楽器の機能構成を示すブロッ
ク図である。
【図7】 同形態におけるメインルーチンの処理のフロ
ーチャートを示す図である。
【図8】 図7のステップS3で実行されるイベント取
り込み処理(発音準備&発音処理)のフローチャートを
示す図である。
【図9】 イベントバッファ(EVTBUF)の構成の
例を示す概念図である。
【図10】 キーコードテーブル(TBL)の構成の例
を示す概念図である。
【図11】 図8のステップS807で実行されるタッ
チデータ表示制御処理(強度可変)のフローチャートを
示す図である。
【図12】 本発明の第2の実施の形態に係る電子弦楽
器の表示制御回路及び表示部の構成を示す回路図であ
る。
【図13】 同形態において図8のステップS807で
実行されるタッチデータ表示制御処理(変色)のフロー
チャートを示す図である。
【図14】 本発明の第3の実施の形態に係る電子弦楽
器の表示制御回路及び表示部の構成を示す回路図であ
る。
【図15】 同形態において図8のステップS807で
実行されるタッチデータ表示制御処理(全体発光)のフ
ローチャートを示す図である。
【図16】 本発明の第4の実施の形態におけるメイン
ルーチンの処理のフローチャートを示す図である。
【図17】 同形態において図16のステップS603
で実行される演奏ナビ&自動演奏処理のフローチャート
を示す図である。
【図18】 演奏ナビ&自動演奏処理の図17の続きの
フローチャートを示す図である。
【符号の説明】
1 胴体部、 2 棹部、 3 音高スイッチ部、 4
パネル操作部、 5弦入力部、 6 メモリスロッ
ト、 10 センサ体(トリガ信号出力手段、移動検出
手段、撥弦強さ検出手段)、 14 板バネ体、 14
x 板バネ(第1の弾性体)、 14y 板バネ(第2
の弾性体)、 15x ピエゾセンサ(第1のセンサ
部)、 15y ピエゾセンサ(第2のセンサ部)、
16x、16y ゴム体、 16a 穴、 22 表示
部(視認表示部)、 31 押弦スイッチ、 35 フ
レット部材(音高決定用スイッチ部)、 51 弦部
材、51W 撥弦部、 51X 両軸部、 51Y 一
端部、 51Z 他端部、60 CPU(楽音特性制御
手段)、 61 RAM、 63 音源(楽音発生手
段)、 64 表示制御回路、 65 自動演奏メモ
リ、 66 フレットスイッチ群、 67 撥弦検出
部、 68 その他スイッチ群、 76 通信I/F
(インターフェイス)、 82 表示部(視認表示部)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 楽器本体の長手方向に沿って延び、前記
    長手方向に直交する方向に移動自在に前記楽器本体に取
    り付けられた弦部材(51)と、 前記弦部材の移動に応じてトリガ信号を出力するトリガ
    信号出力手段(10)と、 前記トリガ信号出力手段により出力されたトリガ信号に
    基づいて楽音を発生させる楽音発生手段(63)と、 前記弦部材の移動方向を検出する移動検出手段(10)
    と、 前記移動検出手段により検出された移動方向に応じて、
    前記楽音発生手段により発生される楽音の特性が異なる
    ように制御する楽音特性制御手段(60)とを備えたこ
    とを特徴とする電子弦楽器。
  2. 【請求項2】 前記弦部材を撥弦する強さに応じた撥弦
    強さを検出する撥弦強さ検出手段(10)を備え、前記
    楽音特性制御手段は、前記撥弦強さ検出手段により検出
    された撥弦強さに応じて、前記楽音発生手段により発生
    される楽音をさらに制御することを特徴とする請求項1
    記載の電子弦楽器。
  3. 【請求項3】 楽器本体の長手方向に沿って延び、前記
    長手方向に直交する方向に移動自在に前記楽器本体に取
    り付けられた弦部材と、 一部が前記弦部材にリンクされると共に他の一部が前記
    楽器本体に対して固定関係にあり、前記弦部材の移動に
    伴い撓み得るように構成された一対の弾性体と、 前記一対の弾性体のうち第1、第2の弾性体にそれぞれ
    取り付けられ、前記第1、第2の弾性体(14x、14
    y)の撓みによって前記弦部材の撥弦動作を独自に検出
    する第1、第2のセンサ部(15x、15y)と、 前記第1、第2のセンサ部のいずれかから撥弦動作検出
    信号が出力されたとき、該撥弦動作検出信号をトリガと
    して楽音を発生させる楽音発生手段とを備え、 前記第1の弾性体と前記第2の弾性体とは、前記弦部材
    の互いに異なる方向への移動にのみ伴ってそれぞれ撓む
    ように構成されたことを特徴とする電子弦楽器。
  4. 【請求項4】 前記第1のセンサ部による撥弦動作検出
    信号と前記第2のセンサ部による撥弦動作検出信号と
    で、前記楽音発生手段により発生される楽音の特性を異
    ならせる楽音特性制御手段を備えたことを特徴とする請
    求項3記載の電子弦楽器。
  5. 【請求項5】 前記第1、第2のセンサ部は、前記弦部
    材を撥弦する強さに応じた撥弦強さ信号をそれぞれ出力
    可能に構成され、前記楽音特性制御手段は、前記第1、
    第2のセンサ部による各撥弦強さ信号に応じて、前記楽
    音発生手段により発生される楽音をさらに制御すること
    を特徴とする請求項4記載の電子弦楽器。
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