JPH0896800A - リチウムイオン二次電池の電極板の製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池の電極板の製造方法

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JPH0896800A
JPH0896800A JP6227081A JP22708194A JPH0896800A JP H0896800 A JPH0896800 A JP H0896800A JP 6227081 A JP6227081 A JP 6227081A JP 22708194 A JP22708194 A JP 22708194A JP H0896800 A JPH0896800 A JP H0896800A
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electrode
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Nobuyoshi Hirosachi
信義 廣幸
Yukichi Kobayashi
佑吉 小林
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 特に大型で、角型のリチウムイオン二次電池
の電極板を生産性よく製造しうる方法を提供する。 【構成】 金属材料の帯の両面に電極活物質合剤を塗布
し、これを乾燥し切断してリチウムイオン二次電池の電
極板を製造するに際し、まず、金属材料の帯を水平に走
らせ、その上面に電極活物質合剤のスラリーを塗布し
(第一段塗布)、乾燥機により溶媒の一部を蒸発させ
(第一段乾燥)、反転ロールで、金属材料の帯の上下面
を反転させ、これを反対方向に水平に走らせ、次いで、
金属材料の帯の他の面に電極活物質合剤のスラリーを塗
布し(第二段塗布)、乾燥機により、金属材料の帯の両
面の電極活物質合剤中の溶媒を十分蒸発させた後に(第
二段乾燥)、切断機で両面に電極活物質合剤を塗布した
金属材料の帯を切断して、電極板を製造することを特徴
とするリチウムイオン二次電池の電極板の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、リチウムイオン二次電
池の電極板の製造方法に関するものであり、特に、電気
自動車用、電力のロードレベリング用など、大容量でエ
ネルギー密度が高く、且つメンテナンスフリーの要求が
高い分野で使用されうるリチウムイオン二次電池の電極
板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器の小型化、軽量化に対応
して、その電源として、軽量で小型としては容量の大き
い、エレクトロニクス用のリチウムイオン二次電池が実
用化され、ハンディビデオカメラや携帯用パソコン等に
使われている。しかし、その容量は大きくて、5〜20
Wh程度であり、円筒型が多い。一方、環境問題等から
電気自動車が世の中の注目を引いており、又、夜間電力
を有効活用するための電力のロードレベリングの必要性
が高まっている。従って、これらに必要な大容量で、コ
ストが安く、メンテナンスフリーの二次電池に対する要
求が高まっている。しかし、この分野で広く使われてい
る鉛蓄電池は、エネルギー密度が低く、重くて使いにく
い。更に、メンテナンスの面でも、補水など手間が掛か
るうえ、充放電サイクル寿命も600サイクル程度と寿
命が短く、結果的に電池にかかるコストも高くなってい
る。一部にニッケル・カドミウム電池も使用されている
が、エネルギー密度も充分に高くなく、鉛蓄電池と較べ
てコストが高いので、余り広くは使われていない。これ
らの他、ニッケル亜鉛電池、ナトリウム・硫黄電池も試
験的に電気自動車用に使用されているが、前者は充放電
サイクル寿命が短いこと、後者は危険性が高いなどの問
題点を孕んでいる。
【0003】リチウムイオン二次電池はエネルギー密度
が高く、且つ密閉型でメンテナンスフリーであるので、
これらの用途に対して適しているが、従来は大型のもの
は実用化されていない。これらの用途に供するには1,
000〜5,000Wh程度の容量のものが必要であ
り、従来実用化されているものの100倍以上の容量の
ものを作る必要がある。従来実用化されているリチウム
イオン二次電池は円筒型が主流であるが、電気自動車
用、ロードレベリング用などに必要な1,000〜5,
000Wh級のものは金属箔等に正極活物質合剤を塗布
した正極と金属箔等に負極活物質合剤を塗布した負極を
セパレーターを挟んで交互に積層する構造の3〜4Vの
単電池を2個以上直列に接続して組電池を構成する角型
電池となる。このような角形リチウムイオン二次電池は
まだ実用化されていない。又従来は、電気自動車用に適
した、大型で、強靱性、耐振動性、耐衝撃性の優れたリ
チウムイオン二次電池も実用化されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】リチウムイオン二次電
池を電気自動車用やロードレベリング用などに必要な大
容量の二次電池として使用する場合、先ず、これを大容
量化することが必要である。その場合、リチウムイオン
二次電池は所謂、角型が好適である。それは、構成する
各単電池は数十枚から100枚前後の電極を負極・正極
交互にセパレーターを挟んで積層したものとなり、普通
この単電池を直列に接続したものを組電池とすることと
なる。特に電気自動車用等に使用する場合は、大型化す
ると共に、その強靱性、耐振動性、耐衝撃性が要求され
る。そのためには、電極を多層積層した単電池の構造
も、強靱性、耐振動性、耐衝撃性が高くなるように工夫
する必要があるが、電極そのものの充放電サイクル寿
命、強靱性、耐振動性、耐衝撃性が高いことが必要であ
る。そして、このような電極(電極板)を効率的に生産
する製造方法の開発が求められている。そのためには、
帯状の金属箔等の金属材料の両面に電極活物質合剤を塗
布したものを作り、これを切断して、電極板を製造する
方法が効率的で生産性がよい。
【0005】しかし、電気自動車等に使用する大型のリ
チウムイオン二次電池の電極板は金属材料の両面に、そ
れぞれ100μm〜300μmの厚さに電極活物質合剤
を塗布したものが必要であり、強靱性、耐振動性、耐衝
撃性の高く、且つ、このように厚い電極活物質合剤の塗
布層を金属材料の帯の両面に生産性よく形成し、これを
切断して、強靱性、耐振動性、耐衝撃性の高いリチウム
イオン二次電池の電極板を製造するにはいろいろな工夫
が必要である。
【0006】例えば、100μm〜300μmの厚さの
電極活物質合剤の塗布層を金属材料の帯の上に形成する
には、電極活物質合剤のスラリーを塗布してから乾燥す
るまでの間に流れないようにする必要がある。又、10
0μm〜300μmの厚さの電極活物質合剤を塗布した
金属材料の帯を乾燥機の中を通すには、金属材料の帯を
乾燥機の両端でロールによりテンションをかけて走らす
のは難しく、金属材料の帯の下からロールで支える必要
がある。更に、両面に電極活物質合剤を塗布した金属材
料の帯に曲げの力がかかると、電極活物質合剤の塗布層
にひび割れが入り、電極板の強靱性、耐振動性、耐衝撃
性が損なわれる。本発明は、これらの問題を解決し、大
型で、角型のリチウムイオン二次電池の負極及び正極に
使用する電極板(金属材料の両面に電極活物質合剤を塗
布したもの)を生産性よく製造する方法を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨
は、金属材料の帯の両面に電極活物質合剤を塗布し、こ
れを乾燥し切断してリチウムイオン二次電池の電極板を
製造するに際し、まず、金属材料の帯を水平に走らせ、
その上面に電極活物質合剤のスラリーを塗布し(第一段
塗布)、乾燥機により溶媒の一部を蒸発させ(第一段乾
燥)、反転ロールで、金属材料の帯の上下面を反転さ
せ、これを反対方向に水平に走らせ、次いで、金属材料
の帯の他の面に電極活物質合剤のスラリーを塗布し(第
二段塗布)、乾燥機により、金属材料の帯の両面の電極
活物質合剤中の溶媒を十分蒸発させた後に(第二段乾
燥)、切断機で、両面に電極活物質合剤を塗布した金属
材料の帯を切断して、電極板を製造することを特徴とす
るリチウムイオン二次電池の電極板の製造方法にある。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0008】先ず、本発明におけるリチウムイオン二次
電池の構成要素は、少なくとも負極、正極、セパレータ
ー、非水電解液からなり、負極活物質はリチウムをイン
ターカーレーション又はドーピングできる炭素材(カー
ボン)であり、正極活物質はリチウムを吸蔵又はインタ
ーカーレーションできるLix CoO2 等の金属酸化物
系化合物、Lix TiS2 等のカルコゲナイト系化合物
等である。
【0009】負極は負極活物質と粘結剤(バインダー)
〔負極合剤〕を溶媒でスラリー化したものを銅等の金属
箔、金属板等の金属材料に塗布し、乾燥したもので、場
合によってはロール処理等を施したものである。正極は
正極活物質と粘結剤(バインダー)と導電剤〔正極合
剤〕を溶媒でスラリー化したものをアルミニウム等の金
属箔、金属板等の金属材料に塗布し、乾燥したもので、
場合によってはロール処理等を施したものである。セパ
レーターとしては、多孔性の合成樹脂の薄膜、例えば2
5μm厚さのポリプロピレン樹脂の多孔性の薄膜、20
μm厚さのポリエチレン樹脂の多孔性の薄膜等が使用さ
れるが、これらに限るものではない。
【0010】非水電解液は、リチウム塩を有機溶媒に溶
解したものが使用される。リチウム塩は特に限定されな
いが、例えば、LiPF6 、LiBF4 、LiCl
4 、LiAsF6 、LiCF3 SO3 等が挙げられ
る。有機溶媒は特に限定されないが、例えば、カーボネ
ート類、エーテル類、ケトン類、スルホラン系化合物、
ラクトン類、ニトリル類、塩素化炭化水素類、アミン
類、エステル類、アミド類、燐酸エステル系化合物、等
を使用することができる。
【0011】これらの代表的なものを列挙すると、プロ
ピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ビニレン
カーボネート、テトラヒドロフラン、2メチルテトラヒ
ドロフラン、1,4ジオキサン、4メチル・2ペンタノ
ン、スルホラン、3メチルスルホラン、γブチロラクト
ン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、アセトニト
リル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、ブチロニト
リル、バレロニトリル、1,2ジクロロエタン、ジメチ
ルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、燐酸トリメチ
ル、燐酸トリエチル等及びこれらの混合溶媒がある。
【0012】負極・正極の粘結剤としては、例えば、ポ
リフッ化ビニリデン、ポリテトラフッ化エチレン、EP
DM(エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体)、
SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、NBR(アクリ
ロニトリル−ブタジエンゴム)、フッ素ゴム、等が使用
されるが、これらに限るものではない。正極の導電剤と
しては、黒鉛の微粒子、アセチレンブラック等のカーボ
ンブラック、ニードルコークス等無定形炭素の微粒子、
等が使用されるが、これらに限るものではない。
【0013】負極の負極合剤、正極の正極合剤をスラリ
ーにする溶媒としては、通常は粘結剤を溶解する有機溶
媒が使用される。例えば、Nメチルピロリドン、ジメチ
ルホルムアミド、ジメチルアセンアミド、メチルエチル
ケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メ
チル、ジエチルトリアミン、NNジメチルアミノプロピ
ルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン、等
が使用されるが、これらに限るものではない。
【0014】又、水に分散剤、増粘剤等を加えたもので
負極合剤、正極合剤をスラリー化して、或いは、SBR
等のラテックスで電極活物質等をスラリー化して、これ
を金属の箔等に塗布し、電極を製造する場合もある。負
極活物質はリチウムをインターカーレーション又はドー
ピング出来る炭素材(カーボン)であり、この炭素材は
特に限定されないが、例えば、黒鉛及び、石炭系コーク
ス、石油系コークス、石炭系ピッチの炭化物、石油系ピ
ッチの炭化物、ニードルコークス、ピッチコークス、フ
ェノール樹脂・結晶セルローズ等の炭化物、等及びこれ
らを一部黒鉛化した炭素材、ファーネスブラック、アセ
チレンブラック、ピッチ系炭素繊維、等が挙げられる。
【0015】正極活物質はリチウムを吸蔵又はインター
カーレーション出来る金属酸化物系化合物、カルコゲナ
イト系化合物等であり、特に限定されないが、例えば、
Li x CoO2 、Lix MnO2 、Lix Mn2 4
Lix 2 5 、Lix TiS2 等が使用される。負極
の集電体の材質としては、銅、ニッケル、ニッケルメッ
キSUS、ニッケルメッキ鋼、等が使用されるが、これ
らに限るものではない。正極の集電体の材質としては、
アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼、等が
使用されるが、これらに限るものではない。
【0016】本発明におけるリチウムイオン二次電池の
電極板は、たとえば、電気自動車等に使用される大型の
角型の場合には、15cm程度の巾の金属材料の帯の両
面に、それぞれ100μm〜300μmの厚さに電極活
物質合剤を塗布したものを、乾燥し、15〜20cm程
度の長さに切断したものであり、この負極及び正極の電
極板をセパレーターを挟んで、交互に積層し、リチウム
イオン二次電池電池の単電池を形成する。なお、負極及
び正極の電極板は、負極及び正極別々に分離して電気的
に接続して集電体を形成し、電気を取り出す構造とな
り、負極及び正極の電極板、セパレーター、集電体がリ
チウムイオン二次電池の単電池を構成する。
【0017】本発明は、上記のような厚さの電極活物質
合剤の強靱性、耐振動性、耐衝撃性の高い塗装層を金属
材料の帯の両面に生産性よく形成し、その強靱性、耐振
動性、耐衝撃性を損なわずに切断し、強靱性、耐振動
性、耐衝撃性の高いリチウムイオン二次電池の電極板の
構造方法を提供する。電極活物質合剤は、通常、Nメチ
ルピロリドン等の溶媒のスラリーの形で、金属材料の帯
に塗布されるが、100μm〜300μmの厚さ塗布層
を一度に、安定性よく塗布するには、金属材料の帯を水
平に走らせ、上から、ダイコーター又はコンマコーター
塗布することが好適である。即ち、垂直又は斜めの面に
塗布し、垂直又は斜めのまま乾燥機にかけるのは、電極
活物質合剤のスラリーが流れて難しいので、金属材料の
帯を水平に走らせ、コーターで塗布し、そのまま水平に
走る線上で乾燥機にかけるのが好ましい。
【0018】本発明においては、たとえば100μm〜
300μmの厚さの比較的厚い塗布層を安定して形成す
るため、金属材料の帯を水平に走らせ、上から電極活物
質合剤を塗布し、その水平に走る線上で、乾燥機にかけ
るように、装置を構成する。リチウムイオン二次電池の
電極板は片面だけでなく、両面に電極活物質合剤の塗膜
を形成する必要があり、そのために、片面(第一面)に
電極活物質合剤を塗布した後に、金属材料の帯の上面と
下面を反転ロールで上下反転させ、金属材料の帯を反対
方向に水平に走らせ、もう一方の面(第二面)に上から
コーターで塗布することとなる。ここで、水平というの
は実質的に水平であればよい。塗布時には、塗布の状況
を観察しやすいように、金属材料の帯をロールの下から
水平に走らせ、ロールの垂直部又は斜め上で塗布するこ
ともできる。また、コーターとしてはダイコーター又は
コンマコーターが好適であるが、これに限るものではな
い。一方、乾燥機の長さは相当長くなり、金属材料の帯
の厚さは通常20から100μmと薄いので、乾燥機の
前後でローラーでテンションをかけて支えるのは困難
で、乾燥機の中で、電極活物質合剤が塗布された金属材
料の帯を下からローラーで支える必要がある。
【0019】第一面に電極活物質合剤を塗布し(第一段
塗布)、乾燥機を通して、乾燥する(第一段乾燥)場合
は、下からローラーで支えることは特に問題はない。し
かし、金属材料の帯の上面と下面を反転ロールで上下反
転させ、第二面に電極活物質合剤を塗布し(第二段塗
布)、乾燥機により乾燥する(第二段乾燥)する場合に
は、第二段乾燥機の中で、第一面の電極活物質合剤の塗
布層の下から、両面に電極活物質合剤を塗布した金属材
料の帯をローラーで支える必要があるので、第一面の電
極活物質合剤の塗布層はその重みに耐える必要がある。
そのために、第二段乾燥に入る前に第一面の電極活物質
合剤の塗布層を乾燥機に通し、第一面の電極活物質合剤
の塗布層が、工程内で剥離することなく、ローラーで支
えるに十分な程度に溶剤を一部蒸発させる必要がある。
従って、第一段塗布、第一段乾燥、反転ロール、第二段
塗布、第二段乾燥、切断機の順序に装置を配置し、金属
材料の帯をこの順序に水平に走らせ、電極活物質合剤の
スラリーの塗布、その乾燥を二段に分けて行うことが必
要である。
【0020】また、第一段乾燥では、第一面の電極活物
質合剤の塗布層が、工程内で剥離することなく両面に電
極活物質合剤を塗布した金属材料の帯をローラーで支え
るのに十分な程度に乾燥していればよく、第二段乾燥
で、第二面の電極活物質合剤の塗布層中の溶媒ととも
に、第一面の電極活物質合剤の塗布層中の溶媒を十分に
乾燥させるのが好適である。本発明においては、工程の
中で、電極活物質合剤の塗布層に曲げの力がかからぬよ
う工夫することが、好適であり、特に乾燥が終わった第
二段乾燥の後は、曲げの力がかからぬよう十分配慮する
ことが好ましい。
【0021】従って、両面に電極活物質合剤を塗布した
金属箔の帯を、第二段乾燥の後、金属材料の帯が水平に
走る線上で、直ちに、切断することが最適である。ま
た、溶剤を一部残している第一段乾燥の後の反転ロール
の処でも、電極活物質合剤の塗布層に曲げの力がかから
ぬよう工夫することが好ましく、反転ロールの直径は十
分に大きくし、第一面の塗布層にひび割れが生じないも
のにすることが最適である。さらに、反転ロールで金属
材料の帯の上下面を反転させ、これを反対方向に水平に
走らせ、第二段塗布、第二段乾燥、切断機に至る間、両
面に電極活物質合剤を塗布した金属材料の帯に、曲げの
力がかからぬよう、これらの装置を水平の一直線上に配
置し、両面に電極活物質合剤を塗布した金属材料の帯を
水平の一直線上を走らせるのが好適である。
【0022】第一面の第一段塗布、第一段乾燥、反転ロ
ールの間も、これらの装置を水平の一直線上に配置し、
片面に電極活物質合剤を塗布した金属材料の帯を水平の
一直線上を走らせるのが好ましいが、第二段塗布、第二
段乾燥、切断機に至る間は特に、両面に電極活物質合剤
を塗布した金属材料の帯に、曲げの力がかからないよう
にこれらの装置を水平の一直線上に配置し、両面に電極
活物質合剤を塗布した金属材料の帯を水平の一直線上を
走らせることが、最適である。
【0023】ここで、水平と言うのは実質的に水平であ
ればよい。また、一直線上と言うのは実質的に一直線上
にあればよく、両面に電極活物質合剤を塗布した金属材
料の帯に、曲げの力がかからぬ程度の曲がりは一直線上
の概念に含まれる。このように、第二段乾燥での乾燥中
及びその後切断機で切断するまで、両面に電極活物質合
剤を塗布した金属材料の帯に、曲げの力がかからぬよう
にして、第二段乾燥を出てきた両面に電極活物質合剤を
塗布した金属材料の帯を水平に走る線上で、直ちに、切
断し、リチウムイオン二次電池の電極板を製造するの
が、最も好ましい。
【0024】又、切断機として、金属材料の帯の走行に
合わせて、切断用の刃が並走しながら、両面に電極活物
質合剤を塗布した金属箔の帯を切断する構造のものを使
用するのが好適であるが、これに限るものではない。こ
の場合、切断機の切断用の刃は、両面に電極活物質合剤
を塗布した金属材料の帯と同じ速度で移動しながら、こ
の金属材料の帯を所定の長さになるように切断した後
に、金属材料の帯を次の切断点まで遡り、また前と同様
に、金属材料の帯と同じ速度で移動しながら切断する。
このような作動を繰り返す。電極活物質合剤の塗膜を圧
縮するためのロールを、第二段乾燥と切断機の間に設置
することもでき、更に、第二段乾燥と切断機の間と共に
第一段乾燥と反転ロールの間に設置することもできる。
【0025】
〔実施例1〕
(負極)石炭系ニードルコークスを粉砕し、平均粒径1
0μmとしたもの90部を、ポリフッ化ビニリデン10
部をNメチルピロリドン150部に溶解したものと混合
し、負極合剤スラリーとし、20μm厚さの銅箔の両面
に塗布し、乾燥して溶媒を蒸発させ、ロール処理をして
負極を作る。負極合剤の塗布部の大きさは12cm×1
5cm、厚さは片面150μmとした。銅箔は上下には
特に耳を取らないが、左右には、左に20mm、右に3
mmの耳を残して負極合剤を塗布するように設計してあ
る。なお、単電池の端の部分を構成する電極は負極合剤
を片面のみに塗布したもので、厚さは300μm、左右
に20mmの耳のあるものを使用する。
【0026】(正極)炭酸リチウム1モルと炭酸コバル
ト2モルをボールミルで混合粉砕し、850℃で5時間
空気中で加熱処理した後、再度ボールミルで混合粉砕
し、更に850℃で5時間空気中で加熱処理したもの9
0部に、導電剤として、アセチレンブラックを5部加え
て混合したものをポリフッ化ビニリデン5部をNメチル
ピロリドン150部に溶解したものと混合し、正極合剤
スラリーとし、25μm厚さのアルミニウム箔の両面に
塗布し、乾燥して溶媒を蒸発させ、ロール処理をして正
極を作る。正極合剤の塗布部の大きさは12cm×15
cm、厚さは片面250μmとした。アルミニウム箔は
上下には特に耳を取らないが、左右には、右に20m
m、左に3mmの耳を残して負極合剤を塗布するように
設計してある。なお、単電池の端の部分を構成する電極
は正極合剤を片面のみに塗布したもので、厚さは300
μm、左右に20μmの耳のあるものを使用する。
【0027】(電極板の製造)負極及び正極の電極板は
同一の装置で製造する。本発明は、主に、両面に電極活
物質合剤を塗布した電極板の製造に関するものである
が、この装置で、片面に電極活物質合剤を塗布した電極
板の製造も可能である。図1において、まず、金属箔の
帯のロール1から金属箔の帯を引き出し、これをロール
2で水平に走らせるよう向きを変える。水平に走ってい
る金属箔の帯の上面(第一面)に上から、コーター3で
電極活物質合剤のスラリーを塗布する(第一段塗布)。
次いで、乾燥機4で乾燥し、溶媒を一部蒸発させる。つ
いで、圧縮ロール5でロール処理する。反転ロール6で
片面に電極活物質合剤を塗布した金属箔の帯の走る方向
を反転させ反対方向に水平に走らせる。同時に、上面
(第一面)と下面(第二面)が反転する。
【0028】次に、コーター7で、第二面に上から電極
活物質合剤のスラリーを塗布する(第二段塗布)。次い
で、乾燥機8で第二面の電極活物質合剤中の溶媒を十分
に蒸発させると共に、第一面の電極活物質合剤中に残っ
ている溶媒も十分に蒸発させる。次に、圧縮ロール9で
ロール処理し、その後直ちに、電極切断機10で両面に
電極活物質合剤を塗布した金属箔の帯を所定の長さに切
断し、電極板11を得る。ここで、12は金属箔の帯の
帯と並走する切断用の刃、13は切断された電極板を持
ち替える機械である。
【0029】(単電池の組立)上記、負極と正極を交互
に25μm厚さの多孔性ポリプロピレンシートをセパレ
ーターとして挟んで積層して、単電池を組み立てる。そ
の際、両端の電極は電極合剤を片面のみ塗布したものを
使用し、左側の負極の耳の部分には銅製のスペーサーを
各負極の間に挟んで、右側の正極の耳の部分にはアルミ
ニウム製のスペーサーを各正極の間に挟んで、積層す
る。スペーサーは負極側、正極側各々縦方向に3ヶ所に
挟み込み、この部分にボルトを通し、ナットで締め付け
る。このようにして、上記の大きさの電極を26組と半
分(両端の電極は片面のみ電極合剤が塗布してあるので
半分となる)積層すると、約350Whの充放電容量を
持った単電池となる。
【0030】(組電池の組み立て)上記単電池10個を
隔壁を備えたポリプロピレン製の容器に収納し、電解液
を注入して、上蓋を閉める。この時、上蓋を貫通して、
各単電池の負極の端子、正極の端子が容器の上部に突き
出した形とする。単電池1個当たり、負極の端子2本、
正極の端子2本、合計40本の端子が突き出した形とな
る。この端子を上蓋の貫通部分で、適当な封止剤を以て
封止し、容器を密閉する。各単電池の端子を直列に端子
の連結金具(連結体)で接続し、カバーを取り付ける。
組電池全体の正極及び負極の端子は電槽の横から電池の
外に出す。なお、単電池の端子のある部屋には、外部か
ら空気又は冷媒を送って、電池の内部で発生した熱を放
散する。電解液はプロピレンカーボネートとジメトキシ
エタン1:1の混合溶媒に6フッ化燐リチウム塩を1モ
ル/L溶解したものを使用した。このリチウムイオン二
次電池の充放電容量は3,500Wh、電池電圧は35
V、エネルギー密度は125Wh/kgであった。
【0031】
【発明の効果】特に、大型で角型のリチウムイオン二次
電池に好適な電極板を生産性よく製造しうる方法を提供
しうる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリチウムイオン二次電池、電極板の製
造工程の例を示す。
【符号の説明】
1 金属箔の帯のロール 2 ロール 3,7 コーター 4,8 乾燥機 5,9 圧縮ロール 10 電極切断機 11 電極板 12 切断用の刃 13 電極板を持ち変える機械

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属材料の帯の両面に電極活物質合剤を
    塗布し、これを乾燥し切断してリチウムイオン二次電池
    の電極板を製造するに際し、まず、金属材料の帯を水平
    に走らせ、その上面に電極活物質合剤のスラリーを塗布
    し(第一段塗布)、乾燥機により溶媒の一部を蒸発させ
    (第一段乾燥)、反転ロールで、金属材料の帯の上下面
    を反転させ、これを反対方向に水平に走らせ、次いで、
    金属材料の帯の他の面に電極活物質合剤のスラリーを塗
    布し(第二段塗布)、乾燥機により、金属材料の帯の両
    面の電極活物質合剤中の溶媒を十分蒸発させ(第二段乾
    燥)て、電極板を製造することを特徴とするリチウムイ
    オン二次電池の電極板の製造方法。
  2. 【請求項2】 第二段乾燥の後に、金属材料の帯に実質
    的に曲げの力を加えることなく、切断機で両面に電極活
    物質合剤を塗布した金属材料の帯を切断して、電極板を
    製造することを特徴とする請求項1記載のリチウムイオ
    ン二次電池の電極板の製造方法。
  3. 【請求項3】 反転ロールで金属材料の帯の上下面を反
    転させ、これを反対方向に水平に走らせ、第二段塗布、
    第二段乾燥、切断機に至る間、両面に電極活物質合剤を
    塗布した金属材料の帯に、曲げの力が掛からないよう
    に、これらの装置を水平の一直線上に配置し、両面に電
    極活物質合剤を塗布した金属材料の帯を水平の一直線上
    を走らせる、請求項1又は2記載のリチウムイオン二次
    電池の電極板の製造方法。
  4. 【請求項4】 切断機として、金属材料の帯の走行に合
    わせて、切断用の刃を並走させながら、両面に電極活物
    質合剤を塗布した金属材料の帯を切断する構造の切断機
    を使用する、請求項1、2又は3記載のリチウムイオン
    二次電池の電極板の製造方法。
  5. 【請求項5】 電極活物質合剤の塗膜を圧縮するための
    ロールを、第二段乾燥と切断機の間に、又は第二段乾燥
    と切断機の間及び第一段乾燥と反転ロールの間に設置す
    る、請求項1、2又は3記載のリチウムイオン二次電池
    の電極板の製造方法。
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