JPH0893634A - 形状記憶合金アクチュエータ - Google Patents

形状記憶合金アクチュエータ

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JPH0893634A
JPH0893634A JP23344494A JP23344494A JPH0893634A JP H0893634 A JPH0893634 A JP H0893634A JP 23344494 A JP23344494 A JP 23344494A JP 23344494 A JP23344494 A JP 23344494A JP H0893634 A JPH0893634 A JP H0893634A
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JP
Japan
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shape memory
memory alloy
film
coil spring
thick film
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Withdrawn
Application number
JP23344494A
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English (en)
Inventor
Shigehiro Wakazono
繁博 若園
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH0893634A publication Critical patent/JPH0893634A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】この発明は、屈曲するように形状記憶された形
状記憶合金の、屈曲変形時の歪みが小さく、かつ発生力
量が大きいことを主要な目的とする。 【構成】膜厚又は薄膜形状記憶合金と、この形状記憶合
金を加熱する加熱手段とを具備した形状記憶合金アクチ
ュエータにおいて、前記厚幕又は薄膜形状記憶合金が層
間に空隙を介して積層された構造を有することを特徴と
する形状記憶合金アクチュエータ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、形状記憶合金アクチ
ュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、本出願人が既に出願した特開平6
−91582号「多関節マニピュレータ及びその製造方
法とアクチュエータ」が知られている。この公報の目的
は、発生力量や変位量が大きく、小型化が可能で、組立
工数が削減でき、またフィードバック制御用のセンサー
を一体形成して内蔵することができる多関節マニピュレ
ータを得ることにある。
【0003】構成としては、図14(A),(B)に示
されるようにMIM(Metal Injection Mold )に
よって作成された多関節構造体140 に駆動機構体を取り
付けた構造を有している。駆動機構体は、形状記憶合金
薄膜パターン141 、電子回路142 及び電気配線143 〜14
6 によって構成されている。多関節構造体140 は、その
接続部147 を介して連結されている。また、駆動機構体
の電子回路142 部分とこれの両端に設けられた一対の形
状記憶合金薄膜パターン141 は、多関節構造体140 のそ
の接続部147 に対応するように設けられている。接続部
147 に設けられた一対の形状記憶合金薄膜パターン141
は、変態点以上の温度に加熱された時に接続部147 をそ
れぞれ逆方向に曲げる力を発生する。従って、一対の形
状記憶合金薄膜パターン141 の一方を加熱することによ
って、それに対応した接続部147をどちらの方向にも曲
げることができる。
【0004】また、別な従来例として、特開平3−13
551号「二方向形状記憶コイルバネの製造方法」が知
られている。この公報の目的は、比較的簡単な方法によ
り形状記憶コイルバネに自発形状変量が大きく、かつ記
憶特性の優れた二方向形状記憶コイルバネを得ることに
ある。
【0005】以下に、構成を説明する。図16に示すよ
うに、形状記憶合金線からなる伸びた状態のコイルバネ
161 に心棒162 を通して、その一端を固定端子により固
定し、もう一端を心棒163 の固定端子164 に固定した
後、心棒163 を矢印方向に回転して心棒162 のコイルバ
ネ161 を心棒163 に密着状態のコイルバネ165 に巻替え
る。これにより、高温ではもとの形状に戻ろうとするの
で密着力の強い密着バネが得られる。なお、図中の符号
166 は回転端子を示す。その後、図17に示すように心
棒171 にコイルバネ172 を巻き付け、一端を固定端子17
3 により固定し、コイルバネの別の一端を矢印方向に引
っ張って一定の形状に固定した状態のコイルバネに加熱
冷却を繰り返すトレーニングを施す。これにより、高温
で縮み、低温で伸びる二方向性のコイルバネを得ること
ができる。
【0006】次に、上記の高温で縮むように形成された
コイルバネについて、図18に示すように伸びたコイル
バネ181 に心棒182 を通して、一端を固定端子183 によ
り固定し、心棒184 に密着状態にしたコイルバネ185 に
巻替えを行う。これにより、高温で伸び、低温で縮む二
方向性コイルバネが得られる。なお、図中の符号186は
回転端子を示す。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】形状記憶合金の変形時
の歪みが大きい場合(具体的には、大体6%以上)、そ
の歪みが小さい場合に比べて、繰り返し動作による寿命
が短くなる。具体的には、形状記憶特性が薄れてくるな
ど、徐々にアクチュエータとしての機能に支障をきた
す。
【0008】厚膜又は薄形状記憶合金を屈曲するように
形状記憶を行う場合、膜厚をd、屈曲時の曲率半径をr
とした時、形状記憶合金の屈曲部表面の歪み量は、d/
2r×100(%)で与えられる。必要以上に膜厚を厚
くすると、上述の式から形状記憶合金の屈曲時の歪みが
大きくなりすぎ、形状記憶合金の寿命を縮めることにな
る。
【0009】従来例では、数十μm厚の形状記憶合金厚
膜を利用したアクチュエータが提案されているが、該ア
クチュエータが屈曲している時に、外部から大きな負荷
がかかった場合、形状記憶合金は屈曲状態を保つことが
できない。屈曲時の力量を大きくするためには、膜厚を
厚くすればよいが、前記の理由により寿命が短くなるの
で膜厚にも限界がある。つまり、厚膜又は薄膜形状記憶
合金の、屈曲時の歪み量と寿命とから計算される最大膜
厚より膜厚を厚くすることができない。
【0010】また、コイルバネのコイル径をD、コイル
バネを形成している素線太さをd、変位をxとしたと
き、コイルバネの伸縮時の発生力量は、F=ad4 /D
3 x(aは比例定数でa=G/8n;Gは横弾性係数、
nは巻数)で与えられる。そのため、同じ太さの素線を
用いた場合、伸縮時の発生力量を大きくするためには素
線を密に巻き、コイル径Dと素線径dの比D/dをでき
るだけ小さくすればよい。
【0011】また、D/dによる比は、コイルバネの構
造上コイル径Dが素線径dを越えることはないので、必
ず1以上となる。従来例による形状記憶合金素線をもと
にしてコイルバネを形成する方法では、コイル径Dと素
線径dの比D/dは最小で4〜5が限度であり、それ以
下の比率を達成することができない。従って、大きな力
量を発生する形状記憶合金コイルバネを作製することが
できなかった。
【0012】また、従来例では、形状記憶合金を利用し
たアクチュエータの屈曲時の力量を十分に得るために、
数十μmの形状記憶合金厚膜を形成していた。しかし、
スパッタ法で数十μmの厚膜を形成するには、非常に多
くの時間(具体的に、50μmの厚膜を形成するのに約
500分間)を要する。更に、形状記憶合金厚膜を形成
後、所望の形状を得るために、リソフラフィィー工程に
より形状記憶合金厚膜のパターニングを行なわなければ
ならなかった。
【0013】この発明はこうした事情を考慮してなされ
たもので、第一に、屈曲するように形状記憶された形状
記憶合金の、屈曲変形時の歪みが小さく、かつ、発生力
量の大きな形状記憶合金アクチュエータを提供するこ
と、第二に、形状記憶合金コイルバネのD/dを1〜2
にすることで、伸縮時に大きな力量を発生する形状形状
記憶合金コイルバネを提供すること、第三に、短時間で
パターニングされた厚膜又は薄膜形状記憶合金を形成す
る方法を提供すること及び形状記憶合金による膜だけで
なく、構造体をも形成する方法を提供することを目的と
する。
【0014】
【課題を解決するための手段】この発明の手段の説明に
先立ち、ジェットプリンティング法について、図12,
図13を用いて説明する。ジェットプリンティング法
は、ノズルから基板に向かい超微粒子を噴射し堆積させ
ることにより、所望の形状の膜及び構造体を作製する方
法であり、特公昭63−54075で開示されている。
上記手法は超微粒子生成室121 で生成又は準備した超微
粒子122 を搬送管123を通じて、搬送ガス124 により成
膜室に導き、高速でノズル125 から基板126 上に噴射さ
せることにより、ノズル出射端形状に対応したパターン
を有した厚さ数μm〜数十μmの膜127 を、直接的に高
精度で成膜するという手法である。
【0015】この手法の特徴としては、多元素の混合均
一膜が得られる、マスクを使用せずにパターン形成が可
能である、膜形成速度が大きい、膜密度制御が可能であ
る、低温膜形成が可能である、ということが挙げられ
る。また、形成された膜の強度及び基板への付着強度は
高く、緻密な形成体を得られることが報告されている。
【0016】ジェットプリンティング法で金属膜を形成
する時は、金属超微粒子生成室131で、抵抗加熱法、誘
導加熱法、アーク加熱法、誘導プラズマ加熱法、レーザ
加熱法等で金属材料132 を加熱して蒸発させ、これと不
活性ガス原子との衝突で超微粒子133 を生成し、搬送管
に不活性ガスである搬送ガスと共に導入しノズルから基
板に向けて噴射する。この手法においては、超微粒子は
金属、ガラス、セラミックス、プラスチックのいずれで
もよく、また基板についても同様の性質が利用できる。
更に、この手法ではノズルを複数準備すれば異種の材料
の薄膜又は厚膜積層を一挙に実施できるという特徴を有
している。また、基板をX−Y面内でスキャンさせるこ
とで、線状の膜だけではなく、広がりを持った膜を形成
することや、スキャンスピードと堆積速度を調節するこ
とで構造体も形成することができる。
【0017】本願第1の発明は、厚膜又は薄膜形状記憶
合金と、この形状記憶合金を加熱する加熱手段とを具備
した形状記憶合金アクチュエータにおいて、前記厚膜又
は薄膜形状記憶合金が層間に空隙を介して積層された構
造を有することを特徴とする形状記憶合金アクチュエー
タである。
【0018】本願第2の発明は、厚膜又は薄膜形状記憶
合金と、この形状記憶合金を加熱する加熱手段とを具備
した形状記憶合金アクチュエータにおいて、前記厚膜又
は薄膜形状記憶合金がコイルバネ形状に形成され、かつ
該コイルバネ径Dと該コイルバネを形成する素線の太さ
dとの比D/dが1より大きく2以下であることを特徴
とする形状記憶合金アクチュエータである。
【0019】本願第3の発明は、厚膜又は薄膜形状記憶
合金と、この形状記憶合金を加熱する加熱手段とを具備
した形状記憶合金アクチュエータにおいて、前記厚膜又
は薄膜形状記憶合金をジェットプリンティング法を用い
て形成することを特徴とする形状記憶合金アクチュエー
タである。
【0020】第1の発明において、厚膜又は薄膜形状記
憶合金としては、実施例の図6,図7における符号41,
44が該当する。夫々の膜厚は、必要とする厚膜又は薄膜
形状記憶合金の屈曲量と寿命とから計算される最大の膜
厚である。層間の空隙は符号45が該当する。厚膜又は薄
膜形状記憶合金は、更に空隙を介して積層させることで
3層以上に積層させることができる。
【0021】第2の発明において、形状記憶合金コイル
バネとしては、実施例の図8の符号81が該当する。この
形状記憶合金コイルバネのコイル径Dと、コイルバネを
構成している素線の太さdの比D/dは1より大きく2
以下である。第3の発明において、図3,図4〜6,図
10,図11の実施例が該当する。
【0022】
【作用】第1の発明において、厚膜又は薄膜形状記憶合
金を空隙を介して積層させると、必要とする屈曲量と寿
命とから計算される最大の膜厚からなる厚膜又は薄膜形
状記憶合金を1層だけ積層させた時よりも、大きな屈曲
力量を発生させることができる。つまり、屈曲時の歪み
は小さく、積層させることで厚い膜厚の場合と同様に大
きな屈曲力量を発生させることができる。第1の発明に
よれば、空隙を介して厚膜又は薄膜形状記憶合金を重ね
ることにより、屈曲時の歪み量は小さく、かつ屈曲力量
の大きな形状記憶合金アクチュエータを実現できる。
【0023】第2の発明において、コイルバネの伸縮時
の発生力量は、F=ad4 /D3 x(aは比例定数)で
表されることにより、D/dが小さいほど伸縮時の発生
力量が大きくなる。以上より、コイルバネのD/dを1
より大きく2以下とすることにより、伸縮時に大きな力
量を発生する。第2の発明によれば、大きな力量を発生
する形状記憶合金コイルバネを得ることができる。
【0024】第3の発明において、ジェットプリンティ
ング法では、大きな成膜レートで、局所的に膜を形成す
ることができるので、短時間で厚膜又は薄膜形状記憶合
金を形成することができる。第3の発明によれば、ジェ
ットプリンティング法でパターニングしながら膜形成を
行うことで、厚膜又は薄膜形状記憶合金を短時間で形成
することができる。また、厚膜又は薄膜形状記憶合金を
積層させることで、任意形状の厚膜又は薄膜形状記憶合
金による構造体を形成することができる。
【0025】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面を参照して説
明する。 (実施例1)図1(A),(B)、図2(A),(B)
及び図3を用いて、多関節マニピュレータの構成要素で
ある、TiNi厚膜アクチュエータを含めた、駆動機構
体を説明する。図3において、符号1はジェットプリン
ティングによって形成されたTiNi厚膜、符号2は形
状記憶合金屈曲制御用電子回路、符号3はAlによる電
源配線、符号4はAlによるGND配線、符号5はAl
による同期信号配線、符号6はAlによる制御配線、符
号7はTi電熱線ヒータ8の加熱を行うための電熱配
線、符号9はAl配線と形状記憶合金屈曲制御用電子回
路2の電極とを接続するために配設されたコンタクト孔
である。
【0026】以下に、本構成の駆動機構体の動作を説明
する。複数のTiNi厚膜アクチュエータの内、目的の
TiNiアクチュエータを選択するために、制御配線6
に制御信号を送ると、制御信号に基づいて目的の制御回
路が動作し、目的のTi電熱線ヒータ8を加熱する。こ
の加熱によって、Ti電熱線ヒータ8とポリイミド層間
絶縁膜を介して密着載置したTiNi厚膜1が加熱され
る。次に、前記TiNi厚膜1は、オーステナイト相へ
の変態温度以上になり、記憶させておいた形状に屈曲す
る。
【0027】次に、図3に示した駆動機構体に至るまで
の製造方法について記述する。図1(A)は、前記駆動
機構体の製造工程の内、ポリイミド絶縁層の形成前の状
態を表している。図1(B)は図1(A)までの工程終
了後、ポリイミド絶縁層形成した状態でのX−X線に沿
う断面図を表す。図2(A)は、ポリイミド絶縁層を形
成した後、TiNi厚膜を形成した状態を表す。図2
(B)は図2のX−X線に沿う断面図である。以下、図
1(A)に示す工程後から説明する。
【0028】図1(A)では、Si基板11中に作り込ん
だ屈曲制御用電子回路2、Ti電熱線ヒータ8、また屈
曲制御用電子回路2の上部に設けたAlによる電源配線
3、GND配線4、同期信号配線5、制御配線6、また
Ti電熱線ヒータ8の加熱を行うための電熱配線7を設
けた状態までを示している。図1(A)の状態までの工
程を終了後、図1(B)に示すようにポリイミドを塗布
し絶縁層12を形成する。但し、符号13、符号14は、基板
11上に順次形成されたシリコン酸化膜による層間絶縁
膜、ポリイミドによる層間絶縁膜である。次に、ジェッ
トプリンティングのノズルをX−Y平面上でスキャンさ
せながらTiNi合金超微粒子と搬送ガスであるHeガ
スをノズルから噴射し、Ti電熱線ヒータ8の上部のポ
リイミド膜を介してTiNi膜が重なるように、ポリイ
ミド膜上に吹き付け、厚み50μmのTiNi膜15を形
成する。TiNi膜15を形成する際、TiとNiの組成
比はTi−47〜53at%Niであるのが望ましい。更
に、ポリイミドを塗布しリソグラフィー工程等によりポ
リイミド膜16を得る。
【0029】次に、これまで述べた電子回路、配線、T
iNi膜15を形成した以外の領域の絶縁膜12及び層間絶
縁膜14をリソグラフィー工程によってエッチング除去し
た後、基板のTiNi膜を形成した側の面を保護膜によ
って保護しECE(Electrochemical Controlled E
tching)処理によって電子回路領域以外の半導体基板を
エッチング除去する。この後、フッ酸溶液等によって前
記層間絶縁膜13の電子回路領域以外の露出した領域をエ
ッチング除去してから表面保護膜を除去する。以上の処
理により、柔軟なポリイミドによって覆われた配線及び
Ti電熱線パターン8と、その下部に部分的に残存した
電子回路を構成する半導体領域と上部に形成されたTi
Ni膜による駆動機構体が得られる。次に、TiNi膜
15を結晶化するために500℃、20分の熱処理を行
い、その後所望の屈曲形状を記憶させるためTiNi膜
15及びTi電熱線パターン8の部分を屈曲状態に保ち5
00℃で2時間の形状記憶処理を行なう。
【0030】(実施例2)図4(A),(B)、図5
(A),(B)、図6及び図7を参照して説明する。こ
れらの図は、この発明の実施例2に係る多関節マニピュ
レータの構成要素である駆動機構体を示す。この実施例
2は、実施例1のTiNi厚膜アクチュエエータに、形
状の変形を加えたものである。以下、実施例1と異なる
点を説明する。
【0031】図4(B)、図5(B)は夫々図4
(A)、図5(A)の断面図で、図4(A)はTiNi
厚膜の表面にポリエチレン中間物を形成した状態を、図
5は更にその上にTiNi厚膜を形成した状態を示して
いる。図6は、図5の状態からポリエチレン中間物を取
り除いた状態を、図7は図6の状態の空隙を介して積層
した厚膜を屈曲形状に記憶した状態を示す。
【0032】実施例1でポリイミド膜上にTiNi厚膜
15を形成したのと同様に、ジェットプリンティング法に
より、ポリイミド膜上に膜厚50μmのTiNi厚膜41
を形成する。但し、図中ではポリイミド膜を省略してあ
る。次に、TiNi膜41の上部に、ジェットプリンティ
ングのノズル42よりポリエチレン微粒子とHeガスを噴
射することにより、低分解温度のポリエチレン中間物43
を堆積させる。その際、中間物43の中央部分が盛り上が
るように作製する。その後図5に示すように中間物43の
上に膜厚50μmのTiNi厚膜44をノズル42よりTi
Ni超微粒子とHeガスを噴射することにより形成す
る。このとき、TiNi厚膜41とTiNi厚膜44の膜幅
は同じである。その後、前記中間物43を熱分解させ取り
除くためAr等の不活性ガス雰囲気中で、400℃、3
0分間の熱処理を行う。以上の処理により、図6に示す
ような空隙45を介してTiNi厚膜44が積層された構造
体が得られる。更に、この後、実施例1に示したのと同
様な工程を進める。最後に、図7に示すように屈曲する
ように形状記憶するため、500℃で2時間の形状記憶
処理を行う。これにより、歪みの大きさは1枚のTiN
i厚膜の時と同じでかつ大きな力量を発生する、TiN
i厚膜アクチュエータがえら得る。
【0033】なお、実施例2では、中間物として低分解
温度のポリエチレン微粒子を用いたが、特にポリエチレ
ン微粒子に限定されるものではなく、容易に取り除くこ
とができるプラスチック材料であるならどのようなもの
でも良い。また、実施例2ではTiNi厚膜は2層だけ
であるが、TiNi膜を更に重ねれば、3層以上にする
こともできる。
【0034】(実施例3)この実施例3に係る形状記憶
合金コイルバネについて、図8(A),(B)を参照し
て説明する。ここで、図8(A)は全体図、図8(B)
は図8(A)のコイルバネの平面図である。図中の符号
81は形状記憶合金コイルバネ、符号82は形状記憶合金コ
イルバネ81の加熱用ヒータ、符号83はヒータの電流源で
ある。ここで、前記コイルバネ81において、コイル径D
は30μm、素線径dは20μmでD/dは1.5であ
る。この実施例3に示す形状記憶合金コイルバネは二方
向に形状記憶されており、温度の上昇下降により可逆的
に伸縮する。
【0035】以下に、形状記憶合金コイルバネの動作を
説明する。図8では、加熱用ヒータ82は加熱されていな
い状態であり、形状記憶合金コイルバネ81は縮んだ状態
である。次に、加熱用ヒータ82に通電してヒータを加熱
し、その熱により形状記憶合金コイルバネ81を加熱する
と、形状記憶合金コイルバネ81はオーステナイト相への
変態温度以上になり、図9に示すように予め形状記憶さ
れていた伸びた状態へと変化する。この後、ヒータへの
通電を停止すると、ヒータ温度が下がり、形状記憶合金
コイルバネ81の温度も下がる。形状記憶合金コイルバネ
81の温度が下がると、二方向に形状記憶してあるため、
図8に示すように縮んだ状態へと変化する。
【0036】次に、形状記憶合金コイルバネの製造方法
について図10(A),(B)を参照して説明する。こ
こで、図10(A)は回転している基板上にTiNi超微
粒子とCu超微粒子を噴射し、それぞれ3層づつTiN
i堆積物とCu堆積物を積層させた図である。図10
(B)は図10(A)のa−a線に沿う断面図である。ま
ず、ポリエチレン基板101 を、TiNi超微粒子噴射用
ノズル102 及びCu超微粒子噴射用ノズル103 を中点O
を回転中心として回転させながら、TiNi超微粒子を
ノズル102 より、Cu超微粒子をノズル103 より同時に
噴射させる。これにより、円弧状のTiNi堆積物104
及び円弧状のCu堆積物105 を設けることができる。こ
の状態でさらに基板を回転させながら噴射を続けると、
図10(B)に示すようにTiNi堆積物104 とCu堆積
物105 が交互に積み重なった構造物が得られる。次に、
上記の処理で作成した構造物の内、Cu堆積物105 の部
分を取り除くために濃硝酸によってエッチングを行う。
これにより、TiNi堆積物104 だけがコイルバネ形状
に残る。つづいて、不活性雰囲気中で、500℃で1時
間の結晶化処理を行い、その後二方向性に形状記憶する
ように、トレーニングや熱処理を行うことにより形状記
憶合金コイルバネを作製することができる。
【0037】本実施例3では金属超微粒子としてCuを
使用しているが、Cuだけに限定されるものではなく、
TiとNiが浸されることなく選択的にエッチングされ
る金属であるならばどのようなものでも良い。例えば、
Cu超微粒子の代わりにAl超微粒子を使うこともでき
る。但し、この場合、エッチングはKOH等で行うのが
望ましい。また、金属超微粒子以外では、プラスチック
を使うこともできる。プラスチック超微粒子、例えば分
解温度の低いポリエチレンを用いて図10(B)に示す構
造体を作る。ポリエチレン超微粒子を用いた場合、構造
体作製後、500℃で1時間加熱することにより、ポリ
エチレンは熱分解してTiNi堆積物だけがコイルバネ
形状に残る。また、この時、同時にTiNi堆積物は結
晶化される。
【0038】(実施例4)実施例3とは別の、形状記憶
合金コイルバネの製造方法を図11を参照して説明す
る。図11は、ポリエチレン棒に、TiNi超微粒子によ
る堆積物がコイル状に付着した様子を示す。この実施例
4で得られる形状記憶合金コイルバネ、構造、動作とも
に、実施例3で示したものと同様である。図11で、符号
111 はTiNi超微粒子を噴射するためのノズル、符号
112 は100μm径のプラスチック製の棒、例えば分解
温度の低いポリエチレン棒である。まず、ポリエチレン
棒112 を矢印X方向へ移動させながらb−b軸を中心と
して図に示す向きに回転させ、ノズル111 よりTiNi
超微粒子とHeガスを噴射する。これにより、図11に示
すようにポリエチレン棒112 にTiNi堆積物113 が巻
き付いた構造体が得られる。但し、TiNi堆積物113
の厚みは200μmとなるように行う。次に、不活性ガ
ス雰囲気中で、500℃、1時間の熱処理を行うと、T
iNi堆積物113 の結晶化ができると同時にポリエチレ
ン棒112 の熱分解が行なわれ、TiNiコイルバネのみ
を取り出すことができる。その後、二方向に形状記憶す
るためのトレーニングや熱処理を行えば、D/d=1.
5の形状記憶合金コイルバネが得られる。
【0039】以上、各実施例について述べたが、この発
明は以下の内容も包含する。 1.厚膜又は薄膜形状記憶合金と、この形状記憶合金を
加熱する加熱手段とを具備した形状記憶合金アクチュエ
ータにおいて、前記厚膜又は薄膜形状記憶合金が層間に
空隙を介して積層された構造を有することを特徴とする
形状記憶合金アクチュエータ。
【0040】(構成)厚膜又は薄膜形状記憶合金として
は、実施例の図6,図7における符号41,44が該当す
る。夫々の膜厚は、必要とする厚膜又は薄膜形状記憶合
金の屈曲量と寿命とから計算される最大の膜厚である。
層間の空隙は符号45が該当する。厚膜又は薄膜形状記憶
合金は、更に空隙を介して積層させることで3層以上に
積層させることができる。 (作用)厚膜又は薄膜形状記憶合金を空隙を介して積層
させると、必要とする屈曲量と寿命とから計算される最
大の膜厚からなる厚膜又は薄膜形状記憶合金を1層だけ
積層させた時よりも、大きな屈曲力量を発生させること
ができる。つまり、屈曲時の歪みは小さく、積層させる
ことで厚い膜厚の場合と同様に大きな屈曲力量を発生さ
せることができる。 (効果)空隙を介して厚膜又は薄膜形状記憶合金を重ね
ることにより、屈曲時の歪み量は小さく、かつ屈曲力量
の大きな形状記憶合金アクチュエータを実現できる。
【0041】2.厚膜又は薄膜形状記憶合金と、この形
状記憶合金を加熱する加熱手段とを具備した形状記憶合
金アクチュエータにおいて、前記厚膜又は薄膜形状記憶
合金がコイルバネ形状に形成され、かつ該コイルバネ径
Dと該コイルバネを形成する素線の太さdとの比D/d
が1より大きく2以下であることを特徴とする形状記憶
合金アクチュエータ。
【0042】(構成)形状記憶合金コイルバネとして
は、実施例の図8の符号81が該当する。この形状記憶合
金コイルバネのコイル径Dと、コイルバネを構成してい
る素線の太さdの比D/dは1より大きく2以下であ
る。
【0043】(作用)コイルバネの伸縮時の発生力量
は、F=ad4 /D3 x(aは比例定数)で表されるこ
とにより、D/dが小さいほど伸縮時の発生力量が大き
くなる。以上より、コイルバネのD/dを1より大きく
2以下とすることにより、伸縮時に大きな力量を発生す
る。 (効果)大きな力量を発生する形状記憶合金コイルバネ
を得ることができる。
【0044】3.厚膜又は薄膜形状記憶合金と、この形
状記憶合金を加熱する加熱手段とを具備した形状記憶合
金アクチュエータにおいて、前記厚膜又は薄膜形状記憶
合金をジェットプリンティング法を用いて形成すること
を特徴とする形状記憶合金アクチュエータ。 (構成)図3,図4〜6,図10,図11の実施例が該当す
る。 (作用)ジェットプリンティング法では、大きな成膜レ
ートで、局所的に膜を形成することができるので、短時
間で厚膜又は薄膜形状記憶合金を形成することができ
る。 (効果)ジェットプリンティング法でパターニングしな
がら膜形成を行うことで、厚膜又は薄膜形状記憶合金を
短時間で形成することができる。また、厚膜又は薄膜形
状記憶合金を積層させることで、任意形状の厚膜又は薄
膜形状記憶合金による構造体を形成することができる。
【0045】4.前記第3項に記載した形状記憶合金ア
クチュエータの製造方法において、厚膜又は薄膜形状記
憶合金の形成方法が、耐熱性、絶縁性、柔軟性を有した
基板上に、形状記憶合金材料からなる超微粒子を、ジェ
ットプリンティングのノズルから噴射し、形状記憶合金
材料からなる厚膜又は薄膜を形成し、しかる後、結晶化
処理と形状記憶処理を施すことを特徴とした形状記憶合
金アクチュエータの製造方法。 (構成)図3に示す実施例が該当する。 (作用)ジェットプリンティング法では、大きな成膜レ
ートで、局所的に膜を形成することができるので、短時
間で厚膜又は薄膜形状記憶合金を形成する事ができる。
【0046】(効果)ジェットプリンティング法で、パ
ターニングしながら膜形成を行うことで、厚膜又は薄膜
形状記憶合金を短時間で形成することができる。
【0047】5.前記第3項に記載した形状記憶合金ア
クチュエータの製造方法において、前記形状記憶合金材
料からなる第1の厚膜又は薄膜の表面の一部に、該第1
の厚膜又は薄膜の表面を上部から見た時、その形状が、
平行な向かい合う二辺を少なくとも一組持つ多角形であ
り、かつ、該平行な向かい合う二辺に対して垂直方向に
切断した時の断面形状が、どの位置でも同一の形状であ
る、形状記憶合金以外の材料からなる堆積物を形成する
工程と、ジェットプリンティング法のノズルより形状記
憶合金材料からなる超微粒子を噴射し、第2の形状記憶
合金材料からなる厚膜又は薄膜を、該堆積物の平行な向
かい合う二辺を越え、該第1の厚膜又は薄膜と密着する
状態に、かつ、該堆積物の平行な向かい合う二辺以外の
残りの辺は越えることなく、該堆積物上に形成する工程
と、該堆積物を除去する工程と、前記処理により残存し
た該第1の厚膜又は薄膜に結晶化処理と形状記憶処理を
行う工程とを有する事を特徴とした形状記憶合金アクチ
ュエータの製造方法。
【0048】(構成)図4〜図6に示す実施例が該当す
る。 (作用)ジェットプリンティング法では、大きな成膜レ
ートで、局所的に膜を形成することができるので、短時
間で形状記憶合金材料よりなる厚膜又は薄膜を形成する
事ができる。その後、形状記憶合金以外の材料からなる
堆積物を除去することにより層間に空隙を得ることがで
きる。 (効果)屈曲時の歪み量は小さく、かつ屈曲力量の大き
な形状記憶合金アクチュエータを実現することができ
る。
【0049】6.前記第5項に記載した形状記憶合金ア
クチュエータの製造方法において、前記形状記憶合金以
外の材料からなる堆積物を形成する工程と、前記第2の
厚膜又は薄膜を形成する工程を終了した後、形状記憶合
金以外の材料からなる堆積物を形成する前記工程と、形
状記憶合金材料からなる厚膜又は薄膜を形成する前記工
程とを繰り返し行い、前記第2の厚膜又は薄膜の表面に
形状記憶合金以外の材料からなる堆積物と、記憶合金以
外の材料からなる厚膜又は薄膜を多層に形成する工程と
を具備することを特徴とする形状記憶合金アクチュエー
タの製造方法。
【0050】(構成)図4〜図6に示す実施例で、第2
の形状記憶合金材料からなる厚膜又は薄膜は符号44に該
当する。第2の形状記憶合金材料からなる厚膜又は薄膜
を形成した後、第2の形状記憶合金材料からなる厚膜又
は薄膜の表面に、形状記憶合金以外の材料からなる堆積
物を形成する前記工程と、形状記憶合金材料からなる厚
膜又は薄膜を形成する前記工程とを繰り返し行い、前記
第2の厚膜又は薄膜の表面に記憶合金以外の材料からな
る堆積物と、形状記憶合金以外の材料からなる厚膜又は
薄膜を多層に形成する。 (作用)ジェットプリンティング法では、大きな成膜レ
ートで、局所的に膜を形成することができるので、短時
間で形状記憶合金材料よりなる厚膜又は薄膜を多層に形
成する事ができる。 (効果)屈曲時の歪み量は小さ
く、かつ屈曲力量の大きな形状記憶合金アクチュエータ
を実現することができる。
【0051】7.前記第5項に記載した形状記憶合金ア
クチュエータの製造方法において、前記形状記憶合金以
外の材料からなる堆積物を、ジェットプリンティング法
により形成したことを特徴とする形状記憶合金アクチュ
エータの製造方法。 (構成)図4〜図6に示す実施例が該当する。 (作用)ジェットプリンティング法では、大きな成膜レ
ートで、局所的に膜を形成することができるので、短時
間で形状記憶合金以外の材料からなる堆積物を形成する
事ができる。 (効果)短時間で形状記憶合金以外の材料からなる堆積
物を形成することができる。
【0052】8.前記第3項に記載した形状記憶合金ア
クチュエータの製造方法において、ジェットプリンティ
ングの、超微粒子を噴射し堆積させるための基板と、第
1のノズルに平行でその噴射口を通る線分が、該基板と
交差する第1の交点と、第2のノズルに平行でその噴射
口を通る線分が、該基板と交差する第2の交点とを結ぶ
線分の中点を、回転中心として回転している該基板上
に、第1のノズルから形状記憶合金材料からなる超微粒
子と第2のノズルから形状記憶合金以外の材料からなる
超微粒子を噴射し、形状記憶合金材料からなる堆積物と
形状記憶合金以外の材料からなる堆積物を交互にコイル
状に積層した後、該基板と該形状記憶合金以外の材料か
らなる堆積物を除去し、残った該形状記憶合金材料より
なるコイル状の堆積物に結晶化処理と形状記憶処理を施
すことを特徴とする形状記憶合金アクチュエータの製造
方法。 (構成)図10に示す実施例が該当する。 (作用)ジェットプリンティングの、超微粒子を噴射し
堆積させるための基板と、第1のノズルに平行でその噴
射口を通る線分が、該基板と交差する第1の交点と、第
2のノズルに平行でその噴射口を通る線分が、該基板と
交差する第2の交点とを結ぶ線分の中点を、回転中心と
して回転している該基板上に、第1のノズルから形状記
憶合金材料からなる超微粒子と第2のノズルから形状記
憶合金以外の材料からなる超微粒子を噴射すると、形状
記憶合金材料からなる堆積物と形状記憶合金以外の材料
からなる堆積物を交互に、コイル状に積層した堆積物が
得られる。
【0053】次に、該基板と該形状記憶合金以外の材料
からなる堆積物を除去すると、形状記憶合金材料からな
るコイルバネが得られる。最後に、該形状記憶合金材料
よりなるコイル状の堆積物に結晶化処理と形状記憶処理
を施すことにより、形状記憶合金からなるコイルバネが
得られる。 (効果)D/dが小さいことで、伸縮時に大きな力量を
発生する、形状記憶合金コイルバネが得られる。
【0054】9.前記第8項に記載した形状記憶合金ア
クチュエータの製造方法において、前記形状記憶合金材
料からなるコイル状の堆積物の径Dと、形状記憶合金材
料からなるコイル状の堆積物を構成する、形状記憶合金
材料からなる厚膜又は薄膜の太さdの比D/dが、1よ
り大きく2以下であることを特徴とする形状記憶合金ア
クチュエータの製造方法。 (構成)図10に示す実施例が該当する。 (作用)形状記憶合金材料からなるコイル状の堆積物の
径Dと、形状記憶合金材料からなるコイル状の堆積物を
構成する、形状記憶合金材料からなる厚膜又は薄膜の太
さdの比D/dが、1より大きく2以下である。 (効果)D/dが1より大きく2以下であることで、伸
縮時に大きな力量を発生する、形状記憶合金材料コイル
バネが得られる。
【0055】10.前記第3項に記載した形状記憶合金
アクチュエータの製造方法において、形状記憶合金以外
の材料からなる円柱棒を、該円柱棒の底面の中心を回転
中心として回転させると共に回転軸に沿った方向へ移動
させながら、形状記憶合金材料からなる超微粒子を該円
柱棒の側面にノズルより噴射し、形状記憶合金材料から
なるコイル状の堆積物を該円柱棒の側面に形成し、その
後該円柱棒を除去し、結晶化処理と形状記憶処理を行う
ことを特徴とした形状記憶合金アクチュエータの製造方
法。 (構成)図11に示す実施例が該当する。 (作用)回転している回転棒を回転軸に沿って移動させ
ながら、ジェットプリンティングのノズルから形状記憶
合金材料からなる超微粒子を円柱棒の側面に噴射する
と、円柱棒の表面に、コイル状の形状記憶合金材料の堆
積物を得ることができる。その後、円柱棒を除去する
と、所望のD/dの大きさを持つ形状記憶合金コイルバ
ネを得ることができる。 (効果)D/dが小さいことで伸縮時に大きな力量を発
生する、形状記憶合金コイルバネを得られる。
【0056】11.前記第10項に記載した形状記憶合金
アクチュエータの製造方法において、形状記憶合金材料
からなるコイル状の堆積物の径Dと、前記コイル状の堆
積物を構成する形状記憶合金材料からなる厚膜又は薄膜
の太さdの比D/dが1より大きく2以下であることを
特徴とする形状記憶合金アクチュエータの製造方法。
【0057】(構成)図11に示す実施例が該当する。 (作用)形状記憶合金材料からなるコイル状の堆積物の
径Dと、前記コイル状の堆積物を構成する形状記憶合金
材料からなる厚膜又は薄膜の太さdの比D/dが1より
大きく2以下である。
【0058】(効果)D/dが1より大きく2以下であ
ることで、伸縮時に大きな力量を発生する形状記憶合金
コイルバネを得られる。
【0059】
【発明の効果】以上詳述したようにこの発明によれば、
屈曲するように形状記憶された形状記憶合金の、屈曲変
形時の歪みが小さく、かつ発生力量が大きな形状記憶合
金アクチュエータ及びその製造方法、形状記憶合金コイ
ルバネのD/dを1より大きく2以下にすることで、伸
縮時に大きな力量を発生する形状記憶合金コイルバネで
あることを特徴とする形状記憶合金アクチュエータ及び
その製造方法、ジェットプリンティング法を行うこと
で、短時間でパターニングされた厚膜又は薄膜形状記憶
合金を形成する方法を提供すること、及び、形状記憶合
金による膜だけでなはなく構造体をも形成する方法を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1に係る駆動機構体の説明図
であり、図1(A)は駆動機構体の製造工程の内、ポリ
イミド絶縁層の形成前の状態の平面図、図1(B)は図
1(A)までの工程終了後、ポリイミド絶縁層を形成し
た状態でのX−X線に沿う断面図。
【図2】この発明の実施例1に係る駆動機構体の説明図
であり、図2(A)はポリイミド絶縁層を形成した後T
iNi厚膜を形成した状態の平面図、図2(B)は図2
(A)のX−X線に沿う断面図。
【図3】この発明の実施例1に係る駆動機構体の平面
図。
【図4】この発明の実施例2に係る多関節マニピュレー
タの構成要素である駆動機構体に関しTiNi厚膜の表
面にポリエチレン中間物を形成した状態の説明図で、図
4(A)は平面図、図4(B)は図4(A)のX−X線
に沿う断面図。
【図5】この発明の実施例2に係る多関節マニピュレー
タの構成要素である駆動機構体に関しポリエチレン中間
物上にさらにTiNi厚膜を形成した状態の説明図で、
図5(A)は平面図、図5(B)は図5(A)のX−X
線に沿う断面図。
【図6】図5の状態からポリエチレン中間物を取り除い
た状態の説明図。
【図7】図6の状態の空隙を介して積層した厚膜を屈曲
形状に記憶した状態の説明図。
【図8】この発明の実施例3に係る形状記憶合金コイル
バネの説明図で、図8(A)は全体図、図8(B)は図
8(A)のコイルバネの平面図。
【図9】図8の形状記憶合金コイルバネが加熱されて予
め形状記憶されていた伸びた状態へと変化した状態の説
明図。
【図10】図8の形状記憶合金コイルバネの製造方法の
説明図であり、図10(A)は概略斜視図、図10(B)は
図10(A)のa−a線に沿う断面図。
【図11】この発明の実施例4に係る形状記憶合金コイ
ルバネの説明図。
【図12】ジェットプリンティング法の説明図。
【図13】ジェットプリンティング法の説明図。
【図14】MIMによって作製された多関節構造体に駆
動機構体を取り付けた説明図であり、図14(A)は平面
図、図14(B)は図14(A)の側面図。
【図15】二方向形状記憶バネの製造工程中のコイルバ
ネの巻き線工程を示す側面図。
【図16】二方向形状記憶コイルバネの製造工程中のコ
イルバネの引っ張り加工法を示す側面図。
【図17】二方向形状記憶コイルバネの製造工程中のコ
イルバネの再巻き換え方法を示す側面図。
【符号の説明】
1,15,41,44…TiNi厚膜、 2…形状記憶合金
屈曲制御用電子回路、3…電源配線、 4…GN
D配線、 5…同期信号配線、6…制御配線、
7…電熱配線、 8…Ti電熱線ヒー
タ、9…コンタクト孔、 11…Si基板、
12…絶縁層、13,14…層間絶縁膜、 16…ポリイミド
膜、 42,102 ,103 …ノズル、43…ポリエチレン
中間物、 81…形状記憶合金コイルバ
ネ、82…加熱用ヒータ、 83…
加熱用ヒータの電流源、104 …TiNi堆積物、 105
…Cu堆積物。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 厚膜又は薄膜形状記憶合金と、この形状
    記憶合金を加熱する加熱手段とを具備した形状記憶合金
    アクチュエータにおいて、前記厚膜又は薄膜形状記憶合
    金が層間に空隙を介して積層された構造を有することを
    特徴とする形状記憶合金アクチュエータ。
  2. 【請求項2】 厚膜又は薄膜形状記憶合金と、この形状
    記憶合金を加熱する加熱手段とを具備した形状記憶合金
    アクチュエータにおいて、前記厚膜又は薄膜形状記憶合
    金がコイルバネ形状に形成され、かつ該コイルバネ径D
    と該コイルバネを形成する素線の太さdとの比D/dが
    1より大きく2以下であることを特徴とする形状記憶合
    金アクチュエータ。
  3. 【請求項3】 厚膜又は薄膜形状記憶合金と、この形状
    記憶合金を加熱する加熱手段とを具備した形状記憶合金
    アクチュエータにおいて、前記厚膜又は薄膜形状記憶合
    金をジェットプリンティング法を用いて形成することを
    特徴とする形状記憶合金アクチュエータ。
JP23344494A 1994-09-28 1994-09-28 形状記憶合金アクチュエータ Withdrawn JPH0893634A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017534790A (ja) * 2014-09-15 2017-11-24 コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェKoninklijke Philips N.V. 感熱アクチュエータデバイス
CN107574567A (zh) * 2016-07-04 2018-01-12 长春上缘科技发展有限公司 一种多功能材料复合贾卡导纱针
CN107574564A (zh) * 2016-07-04 2018-01-12 长春上缘科技发展有限公司 一种多功能材料复合压电振子选针器

Cited By (4)

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US10563639B2 (en) 2014-09-15 2020-02-18 Koninklijke Philips N.V. Heat sensitive actuator device
CN107574567A (zh) * 2016-07-04 2018-01-12 长春上缘科技发展有限公司 一种多功能材料复合贾卡导纱针
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