JPH0892030A

JPH0892030A - 化粧料

Info

Publication number: JPH0892030A
Application number: JP3615595A
Authority: JP
Inventors: Akihiro Kuroda; 章裕黒田
Original assignee: Kanebo Ltd
Current assignee: Kanebo Ltd
Priority date: 1994-07-19
Filing date: 1995-01-31
Publication date: 1996-04-09

Abstract

(57)【要約】【目的】展色性に優れた微粒子酸化鉄を化粧料に配合す
ることにより、彩度が高く、塗布色が美しい化粧料を得
る。【構成】気相法で製造され、平均一次粒子径が１〜１０
ｎｍの範囲にあり、その形状が球状または不定型である
微粒子酸化鉄を配合することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、分散性に優れた微粒子
酸化鉄を配合した化粧料に関する。さらに詳しくは、湿
式法に比べて粒子間の凝集力が弱くなる気相法で作られ
た平均一次粒子径１〜１０ｎｍの微粒子酸化鉄を配合す
ることで、展色性に優れ、彩度が高い、塗布色が美しい
化粧料に関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】微粒子
酸化鉄は、透明性、紫外線防御能等の特徴を有する顔料
として、化粧料や塗料、インキ等の分野にて使用されて
いる。

【０００３】そして、従来、湿式法においてフラッシン
グの手法を用い、粒子間の凝集力を低下させた透明性酸
化鉄が提案されている（特公昭５９−１１６２６号公
報）。この透明性酸化鉄の分散性は優れており、化粧料
配合時の透明性に優れることが述べられている。

【０００４】しかしながら、フラッシングの手法を用い
た場合、溶剤置換工程が新たに追加されるため、コスト
の上昇を引き起こす問題があった。

【０００５】一方、フラッシングを行っていない微粒子
酸化鉄は、粒子の凝集が激しいために、化粧料に配合し
た場合、化粧料製造時の分散装置の能力による色のばら
つきが大きい問題があった。

【０００６】これに対して、気相法で作製した微粒子酸
化鉄では、製造時に溶媒の影響による凝集が生じていな
いため、より高い分散性、透明性を有しており、展色性
に優れることを見いだした。

【０００７】さらに、同じ気相法で作製された微粒子酸
化鉄の中でも、特に平均粒子径が１〜１０ｎｍのものが
化粧料に配合した場合に、高い彩度を有し、塗布色を美
しくする効果があることを見いだした。

【０００８】しかし、この大きさの範囲の微粒子酸化鉄
は活性が強く、化粧料使用時に肌に負担をかける可能性
を有するため、皮膚上に皮膜を形成するオルガノポリシ
ロキサンを同時に配合することで化粧料の安全性が向上
することも見いだした。

【０００９】本発明は、気相法で製造され、平均一次粒
子径が１〜１０ｎｍの範囲にあり、その形状が球状また
は不定型である微粒子酸化鉄を配合することを特徴とす
る化粧料を提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の請求
項１は気相法で製造され、平均一次粒子径が１〜１０ｎ
ｍの範囲にあり、その形状が球状または不定型である微
粒子酸化鉄を配合することを特徴とする化粧料である。

【００１１】本発明の請求項２は気相法で製造され、平
均一次粒子径が１〜１０ｎｍの範囲にあり、その形状が
球状または不定型である微粒子酸化鉄とオルガノポリシ
ロキサンを配合することを特徴とする化粧料である。

【００１２】本発明の請求項３は微粒子酸化鉄がベンガ
ラであることを特徴とする請求項１または２に記載の化
粧料である。

【００１３】本発明の請求項４はオルガノポリシロキサ
ンがポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン、パーフ
ルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性ポリシロ
キサン、パーフルオロアルキル変性ポリシロキサンから
選ばれることを特徴とする請求項２に記載の化粧料であ
る。

【００１４】以下に本発明の構成を詳説する。本発明で
用いる微粒子酸化鉄は、１〜１０ｎｍ（０．００１〜
０．０１μｍ）の範囲の平均一次粒子径と球状または不
定型の形状を持つ。一次粒子径及び形状の測定方法とし
ては、透過型電子顕微鏡（ＴＥＭ）観察から得られる粒
子径、形状を用いる。

【００１５】本発明で用いる微粒子酸化鉄は、気相法で
製造される。気相法の種類としては、ペンタカルボニル
鉄の分解により得られる方法、ガス中蒸発法等が挙げら
れるが、よりコストの安い方法として、前者の方法が好
ましい。気相法では、溶媒を使用しないため、粒子間に
働く力が弱い特徴があり、粉体捕集時の凝集さえ問題な
く行われれば、湿式法と比べて分散性に優れた微粒子酸
化鉄が得られる。

【００１６】本発明で用いる微粒子酸化鉄の例として
は、ＢＡＳＦ社製のＳｉｃｏｔｒａｎｓシリーズ等が挙
げられる。この微粒子酸化鉄は、原料段階での重金属、
砒素の除去程度が高いため、化粧料に配合しても問題は
ない。例えば、このシリーズの中でもＲＥＤＬ２７１
５Ｄグレード（ベンガラ）が最も好ましい。

【００１７】本発明で用いる微粒子酸化鉄は、化粧料１
００重量部に対して０．１〜１５重量部の範囲が、展色
性が特に優れているという点で好ましい。

【００１８】本発明で用いる微粒子酸化鉄は、表面処理
が行ってあってもなくても構わない。表面処理の種類と
しては、例えば金属酸化物による無機処理や、アミノ
酸、金属石鹸、シランカップリング剤、チタンカップリ
ング剤、アルミニウムカップリング剤による処理、シリ
コーン、フッ素化合物による処理、脂肪酸処理、油剤処
理、多糖類、ＤＮＡ等の天然物による処理、シルク、ア
シル化リジン、ケラチン等による処理、ＰＭＭＡ等の樹
脂による処理、プラズマによる処理が挙げられるが、粒
子の凝集を防ぐ目的から気相法で処理する事が好まし
い。

【００１９】本発明の化粧料では、微粒子酸化鉄以外の
粉体として、従来化粧品に使用されている０．２μｍ以
上の黄酸化鉄、赤色酸化鉄、黒酸化鉄や、酸化クロム、
カーボンブラック、群青、コバルトブルー、低次酸化チ
タン、酸化鉄複合化酸化チタン、青色１号、赤色２０１
号等の有色顔料、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウ
ム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素等
の白色顔料、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、
雲母、モンモリロナイト等の体質顔料、雲母チタン等の
パール顔料、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグ
ネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム等の金
属塩、Ｎ−アシルアスパラギン酸被覆マイカ等の有機物
被覆顔料及び金属石鹸処理顔料、ナイロンパウダー、シ
ルクパウダー、ウレタンパウダー、テフロンパウダー、
セルロースパウダー、シリコーンパウダー、金染色シル
クパウダー、ポリエチレンパウダー等の高分子粉体、更
には、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、アルミナ被
覆微粒子酸化チタン、シリカ被覆微粒子酸化チタン、酸
化鉄複合化微粒子酸化チタン等の微粒子粉体、ベントナ
イト、スメクタイト等を配合することができる。これら
の粉体も前記同様、各種の表面処理がなされていてもい
なくても構わない。

【００２０】本発明の化粧料では、オルガノポリシロキ
サンを同時に配合することが好ましい。ここで言うオル
ガノポリシロキサンは、ポリオキシアルキレン変性ポリ
シロキサン、パーフルオロアルキル・ポリオキシアルキ
レン共変性ポリシロキサン、パーフルオロアルキル変性
ポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルハイ
ドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキ
サン、ビフェニルポリシロキサン、アルキル変性ポリシ
ロキサン、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性ポリ
シロキサン、アモジメチコーン、アミノ変性シリコー
ン、トリメチルシロキシケイ酸、アクリルシリコーン、
シリコーンゲル等が挙げられるが、特にポリオキシアル
キレン変性ポリシロキサン、パーフルオロアルキル・ポ
リオキシアルキレン共変性ポリシロキサン、パーフルオ
ロアルキル変性ポリシロキサンが好ましい。

【００２１】また、本発明の化粧料では、通常化粧料で
用いられる油剤、樹脂、溶剤、界面活性剤、紫外線吸収
剤、防腐剤、殺菌剤、保存剤、酸化防止剤、抗炎症剤、
ホルモン剤、ビタミン、保湿剤、香料等を同時に配合す
ることができる。

【００２２】本発明の化粧料の種類としては、例えば白
粉、ファンデーション、プレストパウダー、水使用ファ
ンデーション、２ウェイファンデーション、フィルター
カラー、口紅、頬紅、アイシャドウ、眉墨、アイライナ
ー、マスカラ、ネイルカラー、チークカラー、ベースフ
ァンデーション、サンスクリーン剤等が挙げられる。

【００２３】

【実施例】以下、実施例及び比較例によって本発明を詳
細に説明する。本発明で用いる実施例及び比較例の評価
方法は以下の通りである。

【００２４】展色性の評価化粧料を手の甲に塗布し、指でよく擦った前後での色の
変化を目視観察し、展色の程度を比較した。なお、表１
に示す基準に従って評価を行った。

【００２５】

【表１】

【００２６】官能評価１０名のパネラーが化粧料を肌に塗布し、彩度、塗布色
を評価した。比較例と比べて彩度が高い、塗布色が美し
いと判断したパネラーの数をもって判定を行った。点数
が高い程、実施例の評価が高かったことを示す。

【００２７】実施例１表２の処方にて、ファンデーションを作製した。微粒子
酸化鉄としては、気相法にて製造された球状微粒子ベン
ガラ（平均一次粒子径５ｎｍ）を用いた。

【００２８】

【表２】

【００２９】（製造法）成分Ａをスーパーミキサーに入
れ３０分間混合した。また、成分Ｂをスーパーミキサー
に入れ５分間混合した。成分Ａ、Ｂをスーパーミキサー
で５分間混合した後、これに予め均一に混合溶解してあ
る成分Ｃを徐々に添加して引き続き１５分間混合した。
次いで、これをピンミルで粉砕した。その後プレス充填
して製品とした。

【００３０】比較例１実施例１の内、微粒子ベンガラを湿式法（フラッシング
していないもの）に変更した以外は、全て同様にしてフ
ァンデーションを製造した。

【００３１】比較例２実施例１の内、微粒子酸化鉄を気相法で合成した平均一
次粒子径２０ｎｍ（０．０２μｍ）の微粒子ベンガラに
変更した以外は、全て同様にしてファンデーションを製
造した。

【００３２】実施例及び比較例について、前記展色性の
評価結果を表３に示す。

【００３３】

【表３】

【００３４】表３の結果より、気相法で作成した微粒子
酸化チタンを用いた化粧料では、従来の湿式法を用いた
場合と比較して展色がよく進んでおり、色の分離、変化
が少ないことが判った。一方、平均一次粒子径が異なる
気相法作成微粒子酸化鉄間の差は認められなかった。

【００３５】実施例及び比較例について、前記官能評価
の結果を表４に示す。

【００３６】

【表４】

【００３７】表４の結果より、実施例はいずれの比較例
と比べても彩度が高く、かつ塗布色が美しいことが判っ
た。特に平均一次粒子径が異なる気相法作成微粒子酸化
鉄間に差が認められた。

【００３８】尚、いずれの官能試験に於いても、パネラ
ーの皮膚に異常は認められなかった。

【００３９】

【発明の効果】以上のことから、本発明は、気相法で製
造され、平均一次粒子径が１〜１０ｎｍの範囲にあり、
その形状が球状または不定型であって、展色性に優れた
微粒子酸化鉄を化粧料に配合することにより、彩度が高
く、塗布色が美しい化粧料を提供することは明かであ
る。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】気相法で製造され、平均一次粒子径が１
〜１０ｎｍの範囲にあり、その形状が球状または不定型
である微粒子酸化鉄を配合することを特徴とする化粧
料。
【請求項２】請求項１に記載の微粒子酸化鉄とオルガ
ノポリシロキサンを配合することを特徴とする化粧料。
【請求項３】微粒子酸化鉄がベンガラであることを特
徴とする請求項１または２に記載の化粧料。
【請求項４】オルガノポリシロキサンがポリオキシア
ルキレン変性ポリシロキサン、パーフルオロアルキル・
ポリオキシアルキレン共変性ポリシロキサン、パーフル
オロアルキル変性ポリシロキサンから選ばれることを特
徴とする請求項２に記載の化粧料。