JPH0892022A - 雪腐病害防除方法及びそれを用いる微生物資材 - Google Patents

雪腐病害防除方法及びそれを用いる微生物資材

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JPH0892022A
JPH0892022A JP6235045A JP23504594A JPH0892022A JP H0892022 A JPH0892022 A JP H0892022A JP 6235045 A JP6235045 A JP 6235045A JP 23504594 A JP23504594 A JP 23504594A JP H0892022 A JPH0892022 A JP H0892022A
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snow
fusarium
snow rot
pathogen
controlling
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Yasuhiro Sudachi
康博 巣立
Takanori Fujiwara
隆典 藤原
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Ishikatsu Exterior Inc KK
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Ishikatsu Exterior Inc KK
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 フザリウム属に属し、雪腐病原菌に対して拮
抗性を有する糸状菌を用いる雪腐病害防徐方法である。 【効果】 フザリウム属に属し、雪腐病原菌に対して拮
抗性を有する糸状菌を用いることにより、褐色小粒菌核
病、黒色小粒菌核病、褐色雪腐病の雪腐病の病害に有効
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は雪腐病の有効な防除方法
及びそれを用いる微生物資材に関する。
【0002】
【従来の技術】雪腐病は、寒冷地の積雪地帯におけるイ
ネ科植物に対する重大な病害であり、原因となる病原菌
の種類に応じて褐色小粒菌核病、黒色小粒菌核病、褐色
雪腐病などとそれぞれ呼ばれている。これらは、積雪下
でイネ科植物を侵すものであって、特に、芝草における
被害がよく知られている。
【0003】上述の通り、積雪下でイネ科植物を侵すこ
とから、その予防や治癒が難しく、これら雪腐病の防除
剤としては、従来、8−ヒドロキシキノリン銅などを有
効成分とした有機銅剤、3’−イソプロポキシ−2−メ
チルベンズアニリドを主成分とするメプロニル剤、3−
ヒドロキシ−5−メチルイソキサゾールカリウムを主成
分とするヒドロキシイソキサゾール剤などが用いられて
きた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の防除剤は、通
常、根雪前に2〜3回散布して施用されているが、降雨
などによるこれら防除剤の流亡による水系への環境汚染
が問題となっている。また、雪腐病の病原菌においても
これら防除剤への抵抗性獲得があり、これら防除剤の効
果についても問題がある。このような状況下において、
生態系に調和した微生物同士の拮抗作用(競合、抗生、
寄生など)を利用した微生物の選抜が試みられている
が、雪腐病に対しては、有効な微生物が選抜されていな
かった。
【0005】
【問題を解決するための手段】本発明者は、雪腐病の防
除方法について研究し、雪腐病の発生したゴルフ場より
雪腐病原菌を分離し、この雪腐病原菌に対し拮抗作用を
示す微生物の選抜を行った。各地土壌より分離した微生
物を用いて、低温で雪腐病原菌と対峙培養を行い、雪腐
病原菌の生育を抑制するフザリウム属に属する糸状菌を
選抜し、この微生物が野外においても顕著に雪腐病を抑
制することを確認し、本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、フザリウム属に属
し、雪腐病原菌に対して拮抗性を有する糸状菌を用いる
ことを特徴とする雪腐病害防除方法である。また、本発
明は、フザリウム属に属し、雪腐病原菌に対して拮抗性
を有する糸状菌を含有することを特徴とする雪腐病害防
除微生物資材である。
【0007】本発明において用いられる糸状菌は、フザ
リウム属に属するものであって、雪腐病原菌に対して拮
抗性を有し、目的植物、特にイネ科植物、さらには芝草
に病害を与えない微生物であれば、特に限定されず、低
温に対して耐性、さらに好ましくは、低温において活動
する性質を有するものや、土壌に対する定着性が高いも
のが好ましい。雪腐病原菌としては、褐色小粒菌核病
(チフラ インカルナータ)、黒色小粒菌核病(チフラ
イシカリエンシス)および褐色雪腐病(ピシウム属
菌)などが挙げられる。ここで低温とは、積雪下および
融雪時の温度と考えればよく、例えば0〜15℃、好ま
しくは3〜7℃程度が例示される。
【0008】本発明の糸状菌は、低温で雪腐病原菌と対
峙培養を行い、雪腐病原菌の生育を抑制する能力を有
し、フザリウム属に属する糸状菌を選択することにより
入手可能であるが、例えば、フザリウム・アベナセウム
(Fusarium avenaceum)、フザリウム・クルモルム(Fu
sarium culmorum )、フザリウム・セミテクタム(Fusa
rium semitectum )、フザリウム・スポロトリキオイデ
(Fusarium sporotrichioide)、フザリウム・ラテリチ
ウム(Fusarium lateritium )、フザリウム・モニリフ
ォルメ(Fusarium moniliforme)、フザリウム・オキシ
スポラム(Fusarium oxysporum)等が例示される。
【0009】さらに具体的には、Fusarium avenaceum M
6244株、Fusarium avenaceum IFO7158株、Fusarium cul
morum IMI89364株、Fusarium lateritium NHL 株、Fusa
riummoniliforme IFO6349株、Fusarium oxysporum IAM5
009株等が例示される。このうち特に好ましくは、フザ
リウム アベナセウム M6244(FERM P-14117)が挙げら
れる。この糸状菌の菌学的性質は下記の通りである。
【0010】顕微鏡下における形態的特色 菌糸は無色〜青赤色bluish red(12A7)、幅1.5−5.
0μm、滑面である。ブラスティックな分生子形成細胞
(ポリフィアライド)より大型分生子を生じる場合と分
生子柄が多数分岐した先端や途中に生じた単純なフィア
ライドより大型分生子を生ずる場合があるが後者が多
い。分生子は細長い紡錘型、細長い鎌型からほとんど真
っ直ぐなものと多様であり、5−7の隔壁を有する。分
生子の両端は細まり、先端細胞は細長く伸び、明確な柄
足細胞を有する。大きさは75−90μm、幅は2.5
−3.8μm、滑面である。小型分生子、厚膜胞子は形
成されない。
【0011】各培地における生育状態 1.ポテト・デキストロース寒天培地(PDA) 25℃で7日間培養した場合、集落の大きさは直径60
mmになる。菌叢はやや厚く綿毛状の気生菌糸で表面を
覆われているが後にベルベット状になる。はじめ白色の
ちに鈍赤色dull red(11B3)となる。基底菌糸は灰
赤色greyish red (11C6)深赤色deep red(11C
8)となる。時として淡赤色pastel red(7A4)の分
生子の粘質集塊を形成する。拡散性色素、浸出液は出さ
ない。裏面は淡赤色pale red(12A3)、灰バラ色gr
eyish red (12B5)もしくは灰ルビー色greyish ru
by(12E7)となる。
【0012】2.麦芽エキス寒天培地(MEA) 27℃で7日間培養した場合、集落の大きさは直径30
−42mmとなる。菌叢は綿毛状、菌糸はやや立ち上が
る。中央部より外側に向かうに従って白から淡黄色ligh
t yellow(4A4)となる。時として部分的に灰橙grey
ish orange(5B5)や褐橙色brownish orange (5C
5)となる。周辺部は細かな円きょ歯状となる。浸出
液、拡散性色素は出さない。裏面は赤黄色reddish yell
ow(4A,B6)や褐橙色brownish orange (6C7)
となる。
【0013】3.オートミール寒天培地(OA) 25℃で7日間培養した場合、集落の大きさは直径52
−60mmになる。菌叢は非常に薄く、菌糸がわずかに
培地表面を覆う。黄白色yellowish white (2A2)、
淡黄色pale yellow (2A3)、pastel yellow (2A
4)となり、周辺部は淡黄色light yellow(4A6)と
なり、部分的に橙白色orange white(6A2)や淡橙色
pale orange (6A3)に着色する。周辺部は非常に細
かな円きょ歯状となる。浸出液、拡散性色素は出さな
い。裏面は黄白色yellowish white(2A2)、淡黄色p
ale yellow (2A3)、周辺部は淡黄色light yellow
(4A5)、灰黄色greyish yellow(4B5)となり、
部分的に橙白色orange white(6A2)や淡橙色pale o
range (6A3)に着色する。
【0014】生理的諸性状 ポテトデキストロース液体培地で培養した場合、生育し
うるpHの範囲は2.5〜11.0で、最適生育pHの
範囲は3.5〜9.2である。また、ポテトデキストロ
ース寒天培地で培養した場合、生育し得る温度の範囲は
3.0〜31.0℃で、最適生育温度の範囲は20.6
〜29.0℃である。
【0015】同定 M6244株は、観察の結果完全世代が見られないこと
から不完全菌類(Deuteromycotina )に属する。分生子
形成様式はポリブラスティック型とフィアロフォア型で
あり、分生子は鎌型、多室、集落が濃赤色などの特徴か
らFusarium属に属する。ポリブラスティックな分生子形
成細胞(ポリフィアライド)より大型分生子を生ずるこ
とからBooth の分類によるArthrosporiella 節に属す
る。Arthrosporiella 節には6種存在するが大型分生子
のみを形成する種としてF.avenaceum 、F.semitectum、
F.semitectum var. majus がある。
【0016】しかし、F.semitectumとF.semitectum va
r. majus は次表のとおり大型分生子の大きさ、形や厚
膜胞子を形成する点で異なっている。本菌は小型分生
子、厚膜胞子が見られない、大型分生子が細長い鎌型を
している、その大きさが75−90×2.5−3.8μ
m、5−7隔壁を有するなどの特徴からF.avenaceum と
よく一致していた。よってM6244株はFusarium ave
naceumと同定された。本菌株は、フザリウム アベナセ
ウムM6244(FERM P−14117)として寄
託された。
【0017】後記の如く、本菌株は、雪腐病原菌に高い
拮抗性を有し、低温に対して耐性を有し、活動または増
殖が可能であって、土壌に対する定着性も好ましいもの
であった。この糸状菌を製造するにあたっては、通常の
炭素源、窒素源、無機イオンさらに必要であれば、その
他の微量栄養素を添加した液体または固体培地で培養す
ればよい。炭素源としては、デンプン、グルコースなど
の糖類、コーヒ粕、大豆粕、糠、フスマなどの植物性廃
棄物、エタノール等のアルコール、酢酸等の有機酸、ラ
ード等の油脂が利用できる。窒素源としては、種々のア
ンモニウム塩、硝酸塩、アミノ酸等が利用できる。ま
た、微量栄養素としては、各種ビタミンや酵母エキス等
を微量添加すればよい。
【0018】液体培養の場合、通常の培養タンクによる
深部培養が可能であり、好気的条件で、3℃〜40℃、
好ましくは20℃〜30℃、pH3〜pH8、好ましく
はpH6〜pH7、4日から10日間で大量の菌体が調
製され得る。この液体培養の培養液をそのまま雪腐病害
防除微生物資材として使用してもよいが、適宜の担体を
添加してもよい。菌体を収集する場合には、通常の遠心
分離や濾過が適用でき、また、培養液にセライト、パー
ライトなどの濾過助材等の担体を混合して分離してもよ
い。これらは、凍結真空乾燥やスプレードライ等によっ
て乾燥するか、新たに担体を添加することによりさらに
調製することができる。
【0019】また、固体培養においては、液体培養で使
用できる炭素源、窒素源、無機イオン等の栄養源と軽
量、多孔質の無機担体、たとえばゼオライト、バーミキ
ュライト等と混合したものに本発明の種菌を接種する方
法と、上記軽量、多孔質の無機担体に上記栄養源を含浸
させたものに本発明の種菌を接種する方法、さらには、
藁むしろ等の植物性繊維を編み込んだものに栄養源を含
浸させ、培養を行う方法等が例示される。
【0020】また、きのこのビン培養や袋培養における
培養器と同様の密閉性のある容器にて、きのこの菌床栽
培と同様の培養が可能であり、液体培養と同じ条件で1
0日から20日間で本発明の糸状菌が増殖する。培養終
了後、好ましくは、粉砕を行えばよく、上記と同様に、
通常、水分が30%以下となるように、乾燥または、ゼ
オライト、バーミキュライト等の無機物や糠、フスマ等
の有機物の担体を混合してもよい。
【0021】本発明の雪腐病害防除微生物資材の形状
は、通常は液状流体、粉末状、顆粒状、ペレット状等、
適宜の形状となせばよく、法面などの資材の流亡のおそ
れのある場所や操作性を簡便にするために、場合によっ
ては、本発明の糸状菌を、繊維状またはネット状等の担
体に吸着、または培養させることも好ましい。これらの
担体は、微生物分解性の繊維もしくは不織布が好まし
く、たとえば、「ベンネット」(旭化成工業社製、商品
名)が好ましい例として挙げられる。
【0022】本発明の雪腐病害防除微生物資材は土地1
平米あたり微生物量として、10,000,000CF
U〔コロニー形成数 ;駒田培地「新編土壌微生物実験
法土壌微生物研究会編 養賢堂」p381〕以上となる
ように散布、投与すればよく、繊維状またはネット状に
加工させた上記微生物分解性の繊維もしくは不織布を用
いる場合には、同量の微生物量を吸着させておけばよ
い。担体としては、前述の如く、ゼオライト、バーミキ
ュライト等の無機物や糠、フスマ、微生物分解性の繊維
もしくは不織布等の有機物が挙げられるが、特に本発明
の微生物の栄養源となり得る養分を兼ねた担体を混入し
ておくことも極めて効果的である。
【0023】本発明の雪腐病害防除微生物資材の微生物
の含有量は、上記微生物の有効量を散布できるものであ
れば特に限定されないが、余り薄すぎると大量に散布す
る必要が生じ、特にゴルフ場等の芝に散布する場合に
は、芝が完全に隠れるようでは問題となることから、適
宜の濃度が必要である。
【0024】培養液をそのまま使用する場合には必ずし
も問題ではないが、特に固体状の雪腐病害防除微生物資
材においては、資材1グラムあたり100,000CF
U以上の微生物を含有することが好ましい。また、通
常、水分を30%以下とした場合には、保存時のコンタ
ミネーションを防止し、ひいては資材どうしの固結化に
由来する資材の散布の困難化が防止されるので、特に好
ましい。
【0025】本発明の雪腐病害防除微生物資材は、積雪
前、望ましくは根雪前に土壌表面または対象植物の葉面
に散布する。使用量は、上述の如くであるが、例えば、
実施例1の雪腐病害防除微生物資材においては、1平米
あたり50gから1,000g、望ましくは200g以
上を使用すればよい。後記の実施例に示すごとく、本発
明の雪腐病害防除微生物資材は、褐色小粒菌核病、黒色
小粒菌核病、褐色雪腐病の雪腐病の病害の防除に有効で
ある。
【0026】以下、実施例により本発明を具体的に説明
するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではな
い。
【実施例】 実施例1 北海道厚田郡のゴルフ場の土壌より、分離されたフザリ
ウム アベナセウムM6244(FERM P−141
17)一白金耳を、麦芽エキス(DIFCO社製)2
%、酵母エキス(DIFCO社製)0.2%、デキスト
ロース2%(和光純薬社製)を含むpH6.8の液体培
養培地に接種し、好気的条件で26℃、6日間培養を行
った。このときのフザリウム アベナセウムM6244
の菌数は、培養液1mlあたり70,000,000C
FUであった。
【0027】この培養液を種菌として固体培養を行っ
た。米ぬかと稲わら(容積比1対1)、水分を60%に
調製した培養基1l をきのこ栽培用ポリプロピレン袋
(サンバック;商品名;三富産業社製)に詰め、121
℃で2時間滅菌した。滅菌終了後放冷し、上記液体培養
の種菌液20mlを固体培養培地に植菌し、25℃で2
週間培養した。この固体培養によって、資材1グラムあ
たり40,000,000CFUのフザリウム アベナ
セウムM6244を含有する固体培養物を得た。この固
体培養物に、バーミキュライト(水分18%)を10対
7(w/w)の比率で混合し、資材1グラムあたり50
0,000CFU、水分28%の雪腐病害防除微生物資
材を製造した。
【0028】実施例2 フザリウム アベナセウムM6244(FERM P−
14117)、およびその他のフザリウム属糸状菌(Fu
sarium avenaceum IFO7158、Fusarium culmorum IMI893
64、Fusarium lateritium NHL 、Fusarium moniliforme
IFO6349、Fusarium oxysporum IAM5009)を被検定菌と
して、下記の雪腐病菌との対峙培養により、その菌糸伸
長阻害度(拮抗性)を測定した。
【0029】菌糸伸長阻害度測定法 福井県勝山市のゴルフ場造成地の罹病芝もしくは罹病芝
の菌核をPDA寒天培地(栄研化学製)に置床し、5℃
で2から3週間培養して得た褐色小粒菌核病(チフラ
インカルナータ)、黒色小粒菌核病(チフラ イシカリ
エンシス)および褐色雪腐病(ピシウム属菌)をそれぞ
れ指示菌とした。ポテトデキストロース寒天培地(栄研
化学株製)をシャーレ当り20ml分注した同一プレー
トに被検定菌1株と指示菌1株を約50mmの間隔をお
いて置床し、指示菌と被検定菌それぞれのプレートを、
5℃暗黒下で20日間対峙培養した。
【0030】被検定菌の方向へ伸長した指示菌の菌糸の
伸長量を測定し、対峙培養による指示菌の菌糸伸長の遅
れを菌糸伸長阻害として検定菌の活性を表示した。菌糸
伸長阻害の計算は、指示菌のみを培養した時の菌糸伸長
量から検定菌と対峙培養したときの指示菌の菌糸伸長量
を引き、その値を指示菌のみを培養した時の菌糸伸長量
で除した値を菌糸伸長阻害度として計算した〔菌糸伸長
阻害度=(指示菌のみの菌糸伸長量−対峙培養時の菌糸
伸長量)÷指示菌のみの菌糸伸長量〕。その結果を表1
に示す。
【0031】
【表1】
【0032】表1から明らかなように、フザリウム ア
ベナセウム M6244は、褐色小粒菌核病(チフラ インカ
ルナータ)、黒色小粒菌核病(チフラ イシカリエンシ
ス)および褐色雪腐病(ピシウム属菌)の全てに対して
菌糸伸長阻害活性を示した。またその他のフザリウム
も、全て指示菌または少なくとも1種以上の指示菌に拮
抗性を示した。これらのフザリウム属の糸状菌は、低温
に耐性を有し、低温においても増殖し得ることも合わせ
て確認された。
【0033】実施例3 福井県勝山市のゴルフ場造成地の罹病芝の菌核より分離
した褐色小粒菌核病原菌(チフラ インカルナータ)
を、麦芽エキス(DIFCO社製)2%、酵母エキス
(DIFCO社製)0.2%、デキストロース2%(和
光純薬社製)を含むpH6.8の液体培養培地150m
lに接種し、500ml容のエーレンマイヤーフラスコ
で好気的条件で26℃、7日間培養を行い、感染用病原
菌とした。
【0034】天竜砂を充填したポリカーボネート瓶(直
径9cm、深さ9cm)を121℃で1時間殺菌し、放
冷後、この瓶の天竜砂の表面に芝の種子(ペンクロス)
を1平米あたり20g相当量を播種し、人工気象器内で
1週間栽培した。栽培した芝のポリカーボネート瓶に、
前記実施例1で製造した微生物資材を、それぞれ1平米
あたり50g,100g,200g,500gとなるよ
うに芝の表面に散布し、上述の感染用病原菌の液体培養
液10mlを芝の表面に均一になるように散布した。
【0035】この両処理をした試験区を防除試験を目的
とした試験区1(防除試験区)とし、実施例1の雪腐病
害防除微生物資材のみを散布した試験区を試験区2(資
材自身による障害の有無を見る障害試験区)とした。ま
た、本発明の雪腐病害防除資材および感染用病原菌の双
方を散布しなかった無処理区を試験区3(健全区)と、
感染用病原菌のみを接種し、本発明の雪腐病害防除微生
物資材を散布しなかった試験区4(病害試験区)を設け
た。
【0036】このポリカーボネート瓶での栽培芝への雪
腐病の発生は、5℃暗条件下で行った。また、芝の表面
には、積雪時の雪の重圧を想定し、おもしとして砂20
ml入りのガラスシャーレを置いた。3週間後各ポット
を人工気象器より取り出し、病徴を判定した。その結果
を表2に示した。
【0037】
【表2】
【0038】表2から明らかなように、本発明の雪腐病
害防除微生物資材は雪腐病に対て1平米あたり100g
(50,000,000CFU)以上で防除効果を示し
た。また、本発明の雪腐病害防除微生物資材は、ペンク
ロスに対し影響を与えないことも確認された。
【0039】実施例4 福井県勝山市のゴルフ場造成地において、前年度、褐色
小粒菌核病(チフラインカルナータ)、黒色小粒菌核病
(チフラ イシカリエンシス)および褐色雪腐病(ピシ
ウム属菌)の発生したペンクロスのグリーンをグリーン
試験区、ケンタッキーブルーグラス系、ペレニアルライ
グラス系およびトールフェスク系の3種の芝を混合した
フェアウエイをフェアウエイ試験区として雪腐病防除試
験を行った。
【0040】実施例1の雪腐病害防除微生物資材を降雪
前の11月下旬に下記の通り散布した。試験は、それぞ
れ1m2 の区画を2区画用いて行った。散布量は、10
0g/m2 、200g/m2 および500g/m2
し、対照として、無処理区と農薬グランサー水和剤(キ
ング化学社製)750倍希釈液を平米あたり1リットル
散布したグランサー区を設けた。
【0041】翌年、4月、融雪時に各試験区を観察し、
写真撮影を行った。その写真を基に、芝が健全な緑色の
部分を黒色、病斑部を白色に識別し、画像解析を行い雪
腐病の病斑の面積を測定した。各区1m2 あたりの病斑
面積を罹病率として表した。その結果をそれぞれ表3お
よび表4に示した。
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】表3および表4から明らかなように、実施
例1の雪腐病害防除微生物資材を散布した試験区では、
芝の種類によらず、200g/m2 および500g/m
2 の試験区において罹病率が低く、農薬であるグランサ
ーと同等の値を示した。しかし、100g/m2 の試験
区においては、わずかながら褐色小粒菌核病が発生して
おり、野外での有効資材量は、200g/m2 (10
0,000,000CFU/m2 )以上であることが判
明した。
【0045】また、各試験区の芝の地際部の土壌を、ポ
テトデキストロース寒天培地(栄研化学株製)をシャー
レ当り20ml分注したプレートに塗布し、5℃で14
日間培養した結果、実施例1の雪腐病害防除微生物資材
を散布した試験区では、本発明のフザリウム アベナセ
ウムM6244が、土壌1グラムあたり5,000〜2
0,000CFU検出され、本発明のフザリウム アベ
ナセウムM6244の野外での土壌定着性が確認され
た。
【0046】実施例5 コンタミネーション試験 実施例1の雪腐病害防除微生物資材を、低温通風乾燥ま
たは加水処理し、表5に記載の各水分含量となるように
調製し、ビニール袋に入れ、26℃で保存した。10日
後に、水分30%以上の試験資材の表面が暗緑色にな
り、資材の固結化が起こった。このときの各試験資材
を、希釈平板法によって微生物分析を行った。PDA培
地(栄研化学製)に各試験資材をプレーティングし、2
6℃で3日間培養を行った結果、暗緑色となった資材か
らは、ペニシリウム属の糸状菌のコロニーが資材1グラ
ムあたり約200,000CFU検出された。また、同
時に行ったフザリウム菌選択培地(駒田培地)での希釈
平板法では、フザリウム アベナセウムM6244のみ
が検出された。
【0047】試験の結果、雪腐病害防除効果やフザリウ
ム アベナセウムの菌数は変わらないものの、資材の水
分が30%を超えると、コンタミネーションが発生し、
ペニシリウム属の糸状菌が生育し、資材どうしの固結化
が起こり、資材の散布に支障がでることが判明した。
【0048】
【表5】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フザリウム属に属し、雪腐病原菌に対し
    て拮抗性を有する糸状菌を用いることを特徴とする雪腐
    病害防除方法。
  2. 【請求項2】 フザリウム属に属し、雪腐病原菌に対し
    て拮抗性を有する糸状菌を含有することを特徴とする雪
    腐病害防除微生物資材。
  3. 【請求項3】 雪腐病原菌に対して高い拮抗性を有する
    ことを特徴とする新規なフザリウム アベナセウムM6
    244(FERM P−14117)菌株。
JP6235045A 1994-09-29 1994-09-29 雪腐病害防除方法及びそれを用いる微生物資材 Withdrawn JPH0892022A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006016386A (ja) * 2004-05-31 2006-01-19 Showa Denko Kk 微生物含有組成物
JP2007077027A (ja) * 2005-09-09 2007-03-29 Seibutsu Kankyo Kenkyusho:Kk 芝生の雪腐病の予防方法
CN101889586A (zh) * 2010-06-29 2010-11-24 沈阳药科大学 一种微生物来源的生物农药的制备方法
CN112630245A (zh) * 2020-11-30 2021-04-09 广东省微生物研究所(广东省微生物分析检测中心) 一种利用碳毡捕获沉积物中长线状微生物及成像的方法

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