JPH0891931A - マイクロ波誘電体磁器組成物及びその製造方法 - Google Patents

マイクロ波誘電体磁器組成物及びその製造方法

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JPH0891931A
JPH0891931A JP6258916A JP25891694A JPH0891931A JP H0891931 A JPH0891931 A JP H0891931A JP 6258916 A JP6258916 A JP 6258916A JP 25891694 A JP25891694 A JP 25891694A JP H0891931 A JPH0891931 A JP H0891931A
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弘至 片桐
Hirobumi Ozeki
博文 尾関
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 εr 、Qu及びτf を実用的な特性範囲内で
広く制御し、これらの各特性をバランスよく維持するマ
イクロ波誘電体磁器組成物を提供する。 【構成】 本組成物は、Bi(Nbx Ta1-x )O
4 (但し、0<x≦0.96、特に0.8〜0.96)
で示される組成を主成分とし、これに上記Bi(Nbx
Ta1-x )O4 100重量%に対して2重量%以下(特
に0.2〜1.0重量%)のV2 5 、2重量%以下
(特に1.0重量%以下)のMnO2 及び0.7重量%
以下(特に0.4重量%以下)のTiO2 が添加含有さ
れている。τf;−12〜+7、Qu;800〜160
0及びεr;45〜50を確保できる。上記TiO2
代わりに0.5重量%以下(特に0.4重量%以下)の
PbOを添加含有させたものとするこもできる。この場
合はτf;−15〜+4、Qu;1000〜2000及
びεr;44〜49を確保できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マイクロ波誘電体磁器
組成物に関し、更に詳しく言えば、比誘電率(以下、単
にεr という。)、無負荷Q(以下、単にQuとい
う。)及び共振周波数の温度係数(以下、単にτf とい
う。)を実用的な特性範囲内で広く制御し、これらの各
特性をバランスよく維持するマイクロ波誘電体磁器組成
物及びその製造方法に関する。本発明は、マイクロ波領
域において誘電体共振器、マイクロ波集積回路基板、各
種マイクロ波回路のインピーダンス整合等に利用され、
特にLCフィルタ材として好適である。
【0002】
【従来の技術】一般にマイクロ波やミリ波等の高周波領
域に使用されるLCフィルタ材や誘電体共振器、誘電体
基板等には、高いεr 及び高いQuを有し、しかもτf
の絶対値が小さいものが望まれている。つまり、マイク
ロ波誘電体磁器組成物(以下、単に誘電体磁器組成物と
いう。)は、使用周波数が高周波となるに従って誘電損
失が大きくなる傾向にあるので、マイクロ波領域で高い
εr 及びQu等優れた特性を有する誘電体磁器組成物が
望まれている。近年、このような誘電体磁器組成物とし
て、Ba(Zn1/3 Ta2/3 )O3 やBa(Mg1/3
2/3 )O3 等の複合ペロブスカイト型構造に属する組
成物或いはBaO−TiO2 系組成物等が使用されてい
るが、いずれも焼成温度が1300℃以上と高いもので
ある。
【0003】このように焼成温度が高いと焼成時の電力
消費量が多くなり、生産コストや生産効率の面で不利益
を生じる等の欠点がある。また、LCフィルタ、ストリ
ップ線路フィルタ等のように、電極として銅(融点;1
083℃)、銀(融点;961℃)などの導体と同時焼
結する場合には、特に焼成温度が導体の融点より低い方
が有利である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記欠点を
克服するものであり、Bi(NbTa)O4 系主成分
に、所定量のV2 5 及びMnO2 、並びにTiO2
はPbO が添加含有された組成物により、εr 、Qu
及びτf を実用的な特性範囲内で広く制御し、これらの
各特性をバランスよく維持するマイクロ波誘電体磁器組
成物、及びそれを比較的低温で且つ広い温度範囲で焼成
して製造する方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、Bi(N
bTa)O4 系組成物において、εr 、Qu及びτf
実用的な特性範囲内で広く制御し、また、低温で焼成し
て製造できる組成について種々検討した結果、上記主成
分組成物においてNb2 5 とTa2 5 の比率を変化
させ、それに更に所定量のV2 5 、MnO2 及びTi
2 、又はV25 、MnO2 及びPbOを添加した組
成物とすることにより上記の目的が達成されることを見
出し、本発明を完成するに至った。
【0006】即ち、本第1発明の誘電体磁器組成物は、
Bi(Nbx Ta1-x )O4 (但し、0<x≦0.9
6)で示される組成を主成分とし、これに上記Bi(N
x Ta1-x )O4 100重量%に対して2重量%以下
(0重量%を含まない。)のV2 5 、2重量%以下
(0重量%を含まない。)のMnO2 及び0.7重量%
以下(0重量%を含まない。)のTiO2 が添加含有さ
れたことを特徴とする。
【0007】上記発明において、xを0<x≦0.96
とした理由は、xが0.96を超えた場合は、Ta2
5 成分が実質的に存在しないに等しい状態となり、εr
及びτf の制御が困難となるためである。また、V2
5 は焼結助剤として働くため、添加することにより焼成
温度を低くでき、性能の安定化を図ることができる。そ
して、このV2 5 の添加量が2重量%を超える場合は
Qu及びτf の低下を招き、また、V2 5 を添加しな
い場合は焼結不十分となり各特性が低下するからであ
る。V2 5 の添加量は、特に0.2〜1.0重量%
(好ましくは0.3〜0.5重量%、より好ましくは
0.4重量%前後)で各特性のバランスがとれた実用的
な誘電体磁器組成物が得られ、より好ましい。例えば、
これが0.2〜1.0重量%(MnO2 及びTi
2 ;ともに0.2重量%、x;0.8)では、εr;
46.6〜47.9、Qu;890〜1300、τf;
−10.91〜−2.45ppm/℃、0.4重量%
(MnO2 及びTiO2 ;ともに0.2重量%、x;
0.8)では、εr;47.1、Qu;1325、τ
f;−7.46ppm/℃である。
【0008】更に、MnO2 の添加量が0.4重量%ま
ではQu及びτfがいずれも向上する。従って、この添
加範囲においては、このMnO2 はτfを負から正へ移
行する働きをもつので、このτfを負から正の方向に調
整するのに有効である。一方、2重量%を超えて添加す
ると、Quは大きく低下する傾向にあるので、好ましく
ない。特に、1.0重量%以下で各特性のバランスがと
れた実用的な誘電体磁器組成物が得られ、より好まし
い。例えば、これが0.2〜1.0重量%(V25
0.4重量%、TiO2 ;0.2重量%、x;0.8)
では、εr;47.0〜47.5、Qu;900〜14
40、τf;−6.0〜−11.1ppm/℃である。
【0009】また、TiO2 の添加量を0.7重量%以
下とするのは、添加量が0.7重量%を超えると、Qu
が大きく低下し、またτfは正方向へ移動し、0(ゼ
ロ)から離れてしまうからである。尚、このTiO
2 は、添加することによりτf を負から正に移行する働
きをもつので、負から正に調整させたい場合には有効で
ある。特に、0.1〜0.2重量%で各特性のバランス
がとれた実用的な誘電体磁器組成物が得られる。例え
ば、これが0.1〜0.2重量%(V2 5 ;0.4重
量%、MnO2 ;0.2重量%及びx;0.8)では、
εr;46.4〜47.1、Qu;1320〜149
0、τf;−7.5〜−8.8ppm/℃である。
【0010】更に、V2 5 の添加量が0.2〜1.0
重量%、MnO2 の添加量が1.0重量%以下、TiO
2 の添加量が0.4重量%以下及びxが0.8〜0.9
6であるものとすることができる。この場合には、性能
のバランスがよいからである。例えば、τf;−12〜
+7、Qu;800〜1600及びεr;45〜50と
することができる。
【0011】本第4発明の誘電体磁器組成物は、Bi
(Nbx Ta1-x )O4 (但し、0<x≦0.96)で
示される組成を主成分とし、これに上記Bi(Nbx
1-x)O4 100重量%に対して0.2〜1重量%の
2 5 、1重量%以下(0重量%を含まない。)のM
nO2 及び0.5重量%以下(0重量%を含まない。)
のPbOが添加含有されたことを特徴とする上記発明に
おいて、xを0<x≦0.96とした理由は、上記第1
発明において示すものと同じである。
【0012】また、V2 5 は焼結助剤として働くた
め、添加することにより焼成温度を低くでき、性能の安
定化を図ることができる。そして、この添加量が1重量
%を超えると、Quが小さくなり、特に3重量%では5
10程度と大変小さくなる。また、τf は、その添加量
が1重量%を超えると、−24ppm/℃以下となり、
負側に大きくなる。更にV2 5 を添加しない場合は焼
結不十分となるとともに、Quが低下するので、好まし
くない。V2 5 の添加量は、特に0.4〜0.8重量
%で各特性のバランスがとれた実用的な誘電体磁器組成
物が得られ、より好ましい。例えば、これが0.4〜
0.8重量%(x;0.8、MnO2 及びPbO;とも
に0.2重量%)では、εr;44.9〜46.8、Q
u;1460〜1950、τf;−1.7〜−14.5
ppm/℃、0.6重量%前後(x;0.8、MnO
2 及びPbO;ともに0.2重量%)では、εr;4
6.5、Qu;1430、τf;−1.75ppm/℃
であり、τfが0に近いものとなる。
【0013】更に、MnO2 の添加により、εr及びτ
fを増大させることができる。そして、特にτf に関し
ては、主として負から正へ移行する働きをもつので、負
から正の方向に調整するのに有効である。一方、1重量
%を超えて添加すると、Quは大きく低下する傾向にあ
るので、好ましくない。特に、このMnO2 添加量が、
0.2〜0.4重量%(V2 5 ;0.4重量%、Pb
O;0.2重量%及びx;0.8)では、εr;46.
8〜47.9、Qu;1351〜1465、τf;−
2.1〜−6.3ppm/℃というように、各特性のバ
ランスがとれた実用的な誘電体磁器組成物が得られるの
で、より好ましい。
【0014】また、PbOの添加量を0.5重量%以下
とするのは、添加量が0.5重量%を超えると、Quと
τf の低下が大きいためである。PbOは、添加するこ
とにより、主としてτf を正から負に移行する働きをも
つので、正から負の方向に調整するのに有効である。特
に、PbOの添加量が0.2〜0.4重量%(V
2 5 ;0.4重量%、MnO2 ;0.2重量%及び
x;0.8)では、εr;46.8〜47.4、Qu;
1293〜1465、τf;−13.2〜−6.3pp
m/℃というように、各特性のバランスがとれた実用的
な誘電体磁器組成物が得られ、より好ましい。
【0015】更に、V2 5 の添加量が0.3〜0.8
重量%、MnO2 の添加量が0.1〜1.0重量%、P
bOの添加量が0.4重量%以下及びxが0.8〜0.
96であるものとすることができる。この場合には、性
能のバランスがよいからである。例えば、τf;−15
〜+4、Qu;1000〜2000及びεr;44〜4
9とすることができる。
【0016】更に、本第7発明の誘電体磁器組成物の製
造方法は、Bi(Nbx Ta1-x )O4 (但し、0<x
≦0.96)で示される組成を主成分とし、これに上記
Bi(Nbx Ta1-x )O4 100重量%に対して2重
量%以下(0重量%を含まない。)のV2 5 、2重量
%以下(0重量%を含まない。)のMnO2 及び0.7
重量%以下(0重量%を含まない。)のTiO2 が添加
含有された組成になるように、酸化ビスマス (III)粉
末、酸化ニオブ (V)粉末、酸化タンタル (V)粉末、酸化
バナジウム (V)粉末、酸化マンガン (II) 及び酸化チタ
ン (II) 粉末を混合し、その後、600〜800℃にて
仮焼して仮焼粉末を製造し、該仮焼粉末を粉砕し、所定
形状に成形し、次いで、850〜950℃にて焼成する
ことを特徴とする。
【0017】また、本第8発明の誘電体磁器組成物の製
造方法は、Bi(Nbx Ta1-x )O4 (但し、0<x
≦0.96)で示される組成を主成分とし、これに上記
Bi(Nbx Ta1-x )O4 100重量%に対して0.
2〜1重量%のV2 5 、1重量%以下(0重量%を含
まない。)のMnO2 及び0.5重量%以下(0重量%
を含まない。)のPbOが添加含有された組成になるよ
うに、酸化ビスマス (III)粉末、酸化ニオブ (V)粉末、
酸化タンタル (V)粉末、酸化バナジウム (V)粉末、酸化
マンガン (II) 粉末及び酸化鉛を混合し、その後、60
0〜800℃にて仮焼して仮焼粉末を製造し、該仮焼粉
末を粉砕し、所定形状に成形し、次いで、850〜95
0℃にて焼成することを特徴とする。
【0018】尚、上記発明の製造方法では、大気雰囲
気、還元雰囲気いずれであっても焼成できる。上記焼成
温度を850〜950℃の範囲とするのは、この範囲の
場合は十分な焼結密度を確保でき、しかも安定した性能
を示すからである。尚、LCフィルタのように導体と同
時焼結するような場合は、特に低温焼成が好ましい。
【0019】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。 (1)誘電体磁器組成物の製造 Bi2 3 粉末(純度;98.9%)、Nb2 5 粉末
(純度;99.9%)、Ta2 5 粉末(純度;99.
9%)、V2 5 粉末(純度;99.5%)及びMnO
2 粉末(純度;96.0%)、並びにTiO2 粉末(純
度;99.9%)又はPbO粉末(純度;99.5%)
を出発原料として、表1及び表2に示すように、Bi
(Nbx Ta1-x )O4 のxを0〜1.0、V2 5
添加量(α重量%)を0〜3.0、MnO2 の添加量
(β重量%)が0〜2.0、TiO2の添加量(γ重量
%、表1に示す。)が0〜2.0、更に、PbOの添加
量(δ重量%、表2に示す。)が0〜2.0の範囲で変
化した組成になるように、所定量(いずれも全量として
約600g)を秤量、混合した。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】その後、上記秤量、混合した原料粉末を振
動ミル中に投入し一次粉砕(3時間)を施した後、大気
雰囲気中にて700℃で2時間仮焼した。尚、600℃
及び800℃で仮焼してもよい。次いで、この仮焼粉末
に適量の有機バインダー(約15g)と水(330g)
を加え、ボールミル中で20mmφのアルミナボールに
より、90rpmで、23時間二次粉砕した。その後、
真空凍結乾燥(圧力;約0.4Torr、凍結温度;−
20〜−40℃、乾燥温度;40〜50℃、時間;20
時間)により造粒し、この造粒された原料を用いて1ト
ン/cm2 のプレス圧で19mmφ×10mmt(高
さ)の円柱状の成形体を得た。
【0023】次に、この成形体を大気中、500℃で、
3時間脱脂し、その後、850〜950℃で2時間焼成
して焼結体を得た。最後にこの焼結体の両端面を約16
mmφ×8mmt(高さ)の円柱状に研磨し、更にエタ
ノールで洗浄し、誘電体試料(表1のNo.1〜27、
表2の1〜29)とした。尚、上記仮焼工程における昇
温速度は200℃/h及び降温速度は−200℃/h、
脱脂工程における昇温速度は50℃/h、並びに焼成工
程における昇温速度は100℃/h及び降温速度は−1
00℃/hであった。
【0024】上記各試料につき、平行導体板型誘電体円
柱共振器法(TE011 MODE)等により、τf
εr 、Qu及び焼結密度を測定した。尚、τf は25〜
80℃の温度領域で測定し、τf =(f80−f25)/
(f25×ΔT)、ΔT=80−25=55℃にて算出し
た。また、測定時の共振周波数は表に示す(f0 )通り
である。これらの結果を表1及び表2に併記するととも
に図1〜24のグラフに示す。
【0025】(2)V2 5 −MnO2 −TiO2 系の
組成物における実施例の効果 表1及び図1〜12及び図17〜24の結果によれば、
2 5 を添加しない場合(No.12)は焼結不十分
となり、各特性の測定は不可能になる。そして、この添
加によりεr は増大し(図1)、τfは減少するので
(図3)、τfの調整ができる。しかし、Quはその添
加により低下するので(図2)、V2 5の多量の添加
は好ましくない。また、MnO2 の添加では、0.4重
量%までの添加の場合はQuが増大するので、有用であ
るが、多量の添加(1及び2重量%)はこのQuの大き
な低下をもたらすので好ましくない(図6)。TiO2
の添加によりτfが大きく向上し、τfの制御が容易に
できることを示している(図11)。また、TiO2
1.0重量%の添加までは、εrが増大するので、好ま
しい(図9)。また、このTiO2 の添加によりQuが
低下し、特に0.4重量%ではQuが747となり、大
きく低下するので、TiO2 の多量の添加は好ましくな
い(図10)。
【0026】更に、Bi(Nbx Ta1-x )O4 のx値
の増大に従って、τfが増加するので(図19)、この
x値の変化によりτfの調整ができる。また、このxの
増大に伴ってQuは増大し(図18)、xが0.6まで
はεrも増大するので(図17)、この物性の点におい
ては好ましいが、焼結密度は低下する(図20)。尚、
焼結密度はxが1.0の場合でも7.05kg/m3
確保できる(No.27、図20)。また、焼成温度が
850℃の場合(No.8)でも、焼結は十分であり、
850〜950℃(x=0.8、V2 5 =0.4重量
%、MnO2 =0.2重量%TiO2 =0.2重量%)
では、焼結密度は7.30〜7.51kg/m3 と大き
く(No.8〜11、図24)、物性も安定している
(図21〜24)。
【0027】このように各特性は、各添加剤の種類、そ
の添加量及び焼成温度とともに種々変化するが、本実施
例の結果(表1)によれば、例えば、以下に示す組成範
囲では、以下の如く実用的なバランスよい性能を示す。 V2 5 ;0.2〜1.0重量%、MnO2 、TiO
2 ;ともに0.2重量%及びx;0.8では、εr;4
6.6〜47.9、Qu;890〜1300、τf;−
10.91〜−2.45ppm/℃である。 V2 5 ;0.4重量%、MnO2 、TiO2 ;とも
に0.2重量及びx;0.8では、εr;47.1、Q
u;1325、τf;−7.46ppm/℃である。 MnO2 ;0.2〜1.0重量%、V2 5 ;0.4
重量%、TiO2 ;0.2重量%及びx;0.8では、
εr;47.0〜47.5、Qu;900〜1440、
τf;−6.0〜−11.1ppm/℃である。
【0028】TiO2 ;0.4重量%以下、V
2 5 ;0.4重量%、MnO2 ;0.2重量%及び
x;0.8では、εr;45.7〜48.6、Qu;7
50〜1660、τf;−1.1〜−10.2ppm/
℃である。 TiO2 ;0.1〜0.2重量%、V2 5 ;0.4
重量%、MnO2 ;0.2重量及びx;0.8では、ε
r;46.4〜47.1、Qu;1320〜1490、
τf;−7.5〜−8.8ppm/℃である。 V2 5 ;0.2〜1.0重量%、MnO2 ;1.0
重量%以下、TiO2;0.4重量%以下及びx;0.
8〜0.96である場合、τf;−12〜+7、Qu;
800〜1600及びεr;45〜50である。
【0029】(3)V2 5 −MnO2 −PbO系の組
成物における実施例の効果 表2及び図1〜8及び図13〜24の結果によれば、V
2 5 を添加しない場合(No.1)は焼結不十分とな
り、各特性の測定は不可能になる。そして、この添加に
よりτf及びQuは変化するので(各々図3及び図
2)、τf及びQuの調整ができる。特に、τfはその
0.6重量%までの添加では増大し、また、Quはその
0.8重量%までの添加では増大するので、好ましい。
また、MnO2 の添加では、εrは増大する(図5)。
またτfは0.4重量%までの添加では増加する(図
7)。尚、その添加によりQuは低下するので、多量の
添加は好ましくない(図6)。PbOの添加によりτf
が変化する(主に負の方向に変化する。)ので、τfの
制御が容易にできることを示している(図15)。ま
た、その添加によりεrが増大するので、好ましい(図
13)。尚、その添加によりQuは低下するので、多量
の添加は好ましくない(図14)。
【0030】更に、Bi(Nbx Ta1-x )O4 のx値
の増大に従って、τfが大きく変化する(主に正の方向
に変化する。)するので(図19)、このx値の変化に
よりτfの調整ができる。また、このxの増大に伴って
Quは増大するので、好ましい(図18)。尚、焼結密
度はその添加により低下する傾向にあるが、xが1.0
の場合でも7.04kg/m3 を確保できる(No.2
9、図16)。また、焼成温度については、V2 5
MnO2 −TiO2 系の組成物の場合と同様に、850
〜950℃において十分に焼結し(図24)、物性も安
定している(図21〜24)。
【0031】このように各特性は、各添加剤の種類、そ
の添加量及び焼成温度とともに種々変化するが、本実施
例の結果(表2)によれば、例えば、以下に示す組成範
囲では、以下の如く実用的なバランスよい性能を示す。
例えば、V2 5 −MnO2 −PbO系の組成物では、
以下の如く実用的なバランスよい性能を示す。まず、 V2 5 ;0.4〜0.8重量%、MnO2 及びPb
O;ともに0.2重量%及びx;0.8では、εr;4
4.9〜46.8、Qu;1460〜1950、τf;
−1.7〜−14.5ppm/℃である。 V2 5 ;0.6重量%、MnO2 及びPbO;とも
に0.2重量%並びにx;0.8では、εr;46.
5、Qu;1430、τf;−1.75ppm/℃であ
る。 MnO2 ;0.2〜0.4重量%、V2 5 ;0.4
重量%、PbO;0.2重量%及びx;0.8では、ε
r;46.8〜47.9、Qu;1351〜1465、
τf;−2.1〜−6.3ppm/℃である。
【0032】PbO;0.2〜0.4重量%、V2
5 ;0.4重量%、MnO2 ;0.2重量%及びx;
0.8では、εr;46.8〜47.4、Qu;129
3〜1465、τf;−13.2〜−6.3ppm/℃
である。 V2 5 ;0.3〜0.8重量%、MnO2 ;0.1
〜1.0重量%、PbO;0.4重量%以下及びx;
0.8〜0.96では、τf;−15〜+4、Qu;1
000〜2000及びεr;44〜49である。 尚、本発明においては、前記具体的実施例に示すものに
限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変
更した実施例とすることができる。
【0033】
【発明の効果】本発明の誘電体磁器組成物では、εr
Qu及びτf を実用的な特性範囲内であるとともに、こ
れらの各特性をバランスよく維持するものである。従っ
て、LCフィルタ材として好適なものである。また、本
製造方法によれば、上記に示すような有用な誘電体磁器
組成物を、850〜950℃という比較的低温で焼成す
ることにより製造できる。そしてこの低温焼成は導体と
同時焼結するLCフィルタの場合には、特に好都合であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】〔Bi(Nb0.8 Ta0.2 )O4 〕で表される
主成分にMnO2 を0.2重量%、TiO2 (又はPb
O)を0.2重量%添加し、且つ焼成温度が900℃の
場合の、V2 5 の添加量αとεr との関係を示すグラ
フである。
【図2】図1に示す組成及び焼成温度においてV2 5
の添加量αとQuとの関係を示すグラフである。
【図3】図1に示す組成及び焼成温度においてV2 5
の添加量αとτf との関係を示すグラフである。
【図4】図1に示す組成及び焼成温度においてV2 5
の添加量αと焼結密度との関係を示すグラフである。
【図5】〔Bi(Nb0.8 Ta0.2 )O4 〕で表される
主成分にV2 5 を0.4重量%、TiO2 (又はPb
O)を0.2重量%添加し、且つ焼成温度が900℃の
場合の、MnO2 の添加量βとεr との関係を示すグラ
フである。
【図6】図5に示す組成及び焼成温度においてMnO2
の添加量βとQuとの関係を示すグラフである。
【図7】図5に示す組成及び焼成温度においてMnO2
の添加量βとτf との関係を示すグラフである。
【図8】図5に示す組成及び焼成温度においてMnO2
の添加量βと焼結密度との関係を示すグラフである。
【図9】〔Bi(Nb0.8 Ta0.2 )O4 〕で表される
主成分にV2 5 を0.4重量%、MnO2 を0.2重
量%添加し、且つ焼成温度が900℃の場合の、TiO
2 の添加量γとεr との関係を示すグラフである。
【図10】図9に示す組成及び焼成温度においてTiO
2 の添加量γとQuとの関係を示すグラフである。
【図11】図9に示す組成及び焼成温度においてTiO
2 の添加量γとτf との関係を示すグラフである。
【図12】図9に示す組成及び焼成温度においてTiO
2 の添加量γと焼結密度との関係を示すグラフである。
【図13】〔Bi(Nb0.8 Ta0.2 )O4 〕で表され
る主成分にV2 5 を0.4重量%、MnO2 を0.2
重量%添加し、且つ焼成温度が900℃の場合の、Pb
Oの添加量δとεr との関係を示すグラフである。
【図14】図13に示す組成及び焼成温度においてPb
Oの添加量δとQuとの関係を示すグラフである。
【図15】図13に示す組成及び焼成温度においてPb
Oの添加量δとτf との関係を示すグラフである。
【図16】図13に示す組成及び焼成温度においてPb
Oの添加量δと焼結密度との関係を示すグラフである。
【図17】〔Bi(Nbx Ta1-x )O4 〕で表される
主成分にV2 5 を0.4重量%、MnO2 を0.2重
量%、TiO2 又はPbOを0.2重量%添加し、且つ
焼成温度が900℃の場合の、xとεr との関係を示す
グラフである。
【図18】図17に示す組成及び焼成温度においてxと
Quとの関係を示すグラフである。
【図19】図17に示す組成及び焼成温度においてxと
τf との関係を示すグラフである。
【図20】図17に示す組成及び焼成温度においてxと
焼結密度との関係を示すグラフである。
【図21】〔Bi(Nb0.8 Ta0.2 )O4 〕で表され
る主成分にV2 5 を0.4重量%、MnO2 を0.2
重量%、TiO2 (又はPbO)を0.2重量%添加し
た場合の、焼成温度とεr との関係を示すグラフであ
る。
【図22】図21に示す組成において焼成温度とQuと
の関係を示すグラフである。
【図23】図21に示す組成において焼成温度とτf
の関係を示すグラフである。
【図24】図21に示す組成において焼成温度と焼結密
度との関係を示すグラフである。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Bi(Nbx Ta1-x )O4 (但し、0
    <x≦0.96)で示される組成を主成分とし、これに
    上記Bi(Nbx Ta1-x )O4 100重量%に対して
    2重量%以下(0重量%を含まない。)のV2 5 、2
    重量%以下(0重量%を含まない。)のMnO2 及び
    0.7重量%以下(0重量%を含まない。)のTiO2
    が添加含有されたことを特徴とするマイクロ波誘電体磁
    器組成物。
  2. 【請求項2】 上記V2 5 の添加量は0.2〜1.0
    重量%であり、上記MnO2 の添加量は1.0重量%以
    下であり、上記TiO2 の添加量は0.4重量%以下で
    あり、上記xが0.8〜0.96である請求項1記載の
    マイクロ波誘電体磁器組成物。
  3. 【請求項3】 共振周波数の温度係数が−12〜+7で
    あり、無負荷Qが800〜1600であり、比誘電率が
    45〜50である請求項1又は2記載のマイクロ波誘電
    体磁器組成物。
  4. 【請求項4】 Bi(Nbx Ta1-x )O4 (但し、0
    <x≦0.96)で示される組成を主成分とし、これに
    上記Bi(Nbx Ta1-x )O4 100重量%に対して
    0.2〜1重量%のV2 5 、1重量%以下(0重量%
    を含まない。)のMnO2 及び0.5重量%以下(0重
    量%を含まない。)のPbOが添加含有されたことを特
    徴とするマイクロ波誘電体磁器組成物。
  5. 【請求項5】 上記V2 5 の添加量は0.3〜0.8
    重量%であり、上記MnO2 の添加量は0.1〜1.0
    重量%であり、上記PbOの添加量は0.4重量%以下
    であり、上記xは0.8〜0.96である請求項4記載
    のマイクロ波誘電体磁器組成物。
  6. 【請求項6】 共振周波数の温度係数が−15〜+4で
    あり、無負荷Qが1000〜2000であり、比誘電率
    が44〜49である請求項4又は5記載のマイクロ波誘
    電体磁器組成物。
  7. 【請求項7】 Bi(Nbx Ta1-x )O4 (但し、0
    <x≦0.96)で示される組成を主成分とし、これに
    上記Bi(Nbx Ta1-x )O4 100重量%に対して
    2重量%以下(0重量%を含まない。)のV2 5 、2
    重量%以下(0重量%を含まない。)のMnO2 及び
    0.7重量%以下(0重量%を含まない。)のTiO2
    が添加含有された組成になるように、酸化ビスマス (II
    I)粉末、酸化ニオブ (V)粉末、酸化タンタル (V)粉末、
    酸化バナジウム (V)粉末、酸化マンガン (II) 及び酸化
    チタン (II) 粉末を混合し、その後、600〜800℃
    にて仮焼して仮焼粉末を製造し、該仮焼粉末を粉砕し、
    所定形状に成形し、次いで、850〜950℃にて焼成
    することを特徴とするマイクロ波誘電体磁器組成物の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 Bi(Nbx Ta1-x )O4 (但し、0
    <x≦0.96)で示される組成を主成分とし、これに
    上記Bi(Nbx Ta1-x )O4 100重量%に対して
    0.2〜1重量%のV2 5 、1重量%以下(0重量%
    を含まない。)のMnO2 及び0.5重量%以下(0重
    量%を含まない。)のPbOが添加含有された組成にな
    るように、酸化ビスマス (III)粉末、酸化ニオブ (V)粉
    末、酸化タンタル (V)粉末、酸化バナジウム (V)粉末、
    酸化マンガン (II) 粉末及び酸化鉛を混合し、その後、
    600〜800℃にて仮焼して仮焼粉末を製造し、該仮
    焼粉末を粉砕し、所定形状に成形し、次いで、850〜
    950℃にて焼成することを特徴とするマイクロ波誘電
    体磁器組成物の製造方法。
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