JPH089155Y2 - 鋼管等の冷却搬送装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、管・棒材のオンライン熱処理工程において
冷却段階における非処理材の小曲がりを抑制しかつ矯正
する装置に関するものである。

（従来の技術） 管材又は棒材の製造工程において、特に管材について
丸棒を加熱し圧延する工程のなかで、一定の高温度域か
ら冷却する場合、冷却むら、温度むら、偏肉の存在等種
々の要因により全長にわたって曲がりが発生し、これが
作業の流れを阻害することは勿論のこと、作業トラブ
ル、設備の故障を誘発する。そこで曲がりの発生を抑え
るべく管・棒材に強制的な回転動作を与え、かつこれに
機械的な拘束を加えるという手段として例えば特開昭60
-245719号公報に開示された技術がある。

またオンラインにおける冷却領域での冷却開始から終
了までの間、管・棒材の曲がりを抑制すべく拘束作用を
付与させ、かつ所要の送り動作を連続させることを可能
とした装置が本願出願人の先願に係る平成１年特許願第
93995号明細書によって提案されている。

（考案が解決しようとする課題） ところが、従来から提案されている管回転装置にウォ
ーキングビーム方式等を具備させた装置にあっては、い
ずれも保全性、設備費又は性能面において問題があり、
また前記特開昭60-245719号公報に開示されたものは、
ポジション変更時に材料が一時的に無拘束状態に置かれ
るという欠点がある。また本出願人が平成１年特許願第
93995号明細書によって提案したものは、管・棒材の曲
がりを抑制するクランプ片付拘束チェーンを多数列並設
しており、搬送チェーンとの間で管・棒材を拘束しつつ
曲がりを抑制する装置であるが、小曲がりの発生を完全
に阻止することができないという問題が内在している。

本考案は、かかる問題を解決するためになされたもの
であり、管・棒材の冷却搬送領域において、小曲がりを
強制的に矯正し得る装置を提供することを目的としてい
る。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本考案の装置において
は、冷却搬送全領域にわたって管・棒材の下面に対して
摺動し、管・棒材に回転動作を与えるべく多数列並列状
に配置された回転チェーンと、これら回転チェーンによ
り回転させられる管・棒材に送り動作を与えるべく回転
チェーン間に多数列並列状に配置されたドッグ付搬送チ
ェーンを同一平面上に備え、管・棒材を回転させながら
冷却しかつ搬送する装置において、前記搬送領域にあっ
て通常は前記回転チェーンと搬送チェーンの両チェーン
下方位置に待機し、必要に応じて上昇し、管・棒材の複
数本を支承してこれを強制的に回転させるそれぞれ対を
なす駆動ローラを備えた強制回転装置と、前記両チェー
ンよりなる搬送ラインの上方でかつこの強制回転装置の
上位空間にあって、前記駆動ローラで支承されかつ回転
する管・棒材を抑圧する矯正ローラを備えた昇降抑制装
置を装備させているのである。

（作用） 上記のように構成された装置にあっては、冷却領域に
供給される管・棒材に回転動作を付与しかつ規則的な配
列を維持しながら搬送し、更に必要に応じて強制回転装
置の上昇により複数本の管・棒材を取り出し、駆動ロー
ラ上で回転を連続させると共に昇降抑制装置の矯正ロー
ラで抑圧し小曲がりの矯正が行われる。

（実施例） 以下本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。

即ち図面は装置全体の正面図であり、被処理管・棒材
Ａの供給機構１と、冷却処理を終えた管棒材Ａを次工程
へ供給する取出し機構２との間に冷却搬送領域が設定さ
れ、ここに冷却搬送装置３が設置される。

ところで４は回転チェーンであり、これは駆動軸５と
これに平行する軸６間において紙面の前後方向に所定の
間隔を定めて多数並列状に掛装されたチェーン群によっ
て構成されており、図面に示すように横送りされる管・
棒材の搬送方向に対して逆方向に回転駆動され、供給さ
れる管・棒材の下面に対して摺動し、該管・棒材に連続
的な回転動作を与えるものである。なおこの回転チェー
ン４は通常水平に配置されるが、図に示す如く、搬送方
向に対して若干の角度を付与してもよく、また正逆回転
を可能にしている。

７はドッグ８を多数配置した搬送チェーンであり、前
記回転チェーン４と同一平面上であり、回転チェーン４
間で多数並列状に掛装され、前記駆動軸５に伝達する動
力により、管・棒材Ａの規則的な間隔で次工程へ搬送す
る。

９は強制回転装置であり、前記冷却搬送領域に配され
たチェーン４、７の空間内適所に配置されるもので、そ
の構成は前記チェーン４、７に平行してそれぞれ一対を
なす複数の駆動ローラ10を支持した昇降体11と、複数本
の支脚12、該支脚12の下端を枢支する作動レバー13、該
作動レバー13を支持しかつこれを回動させて前記昇降体
11を昇降動作させる作動軸14から成り、更に作動軸14を
同時に正逆回動させる連結軸15及び電動機16等から成る
作動手段を設け、また前記駆動ローラ10の回転駆動手段
を設けている。

なおこの回転駆動手段は、例えば駆動ローラ10のそれ
ぞれの軸を歯車17で連結し、前記支脚12と作動レバー13
を枢支する軸18をモータで駆動し、この回転をチェーン
19を介して前記駆動ローラ10の何れか１つの軸に回転を
伝えてもよく、或いは駆動ローラ10の軸を連結する前記
歯車17の１つをモータで回転させるような手段を採用す
ればよい。

20は昇降抑制装置であり、前記回転チェーン４及び搬
送チェーン７の両チェーンよりなる搬送ラインより上方
で、かつ前記強制回転装置９の上位空間に懸架された平
行移動機構22と、その下部台板23にばね（図示せず）を
収設した緩衝機24を介して枢支されたそれぞれ対をなす
矯正ローラ25から成り、更に図示されていないが前記平
行移動機構22を開閉つまり昇降動作させる装置が付設さ
れる。

26は冷却装置であり、水または冷却用空気を先端のノ
ズル27から噴射し、管・棒材Ａを強制冷却する。

ところで通常運転時には前記強制回転装置９は搬送ラ
インの下方に降下収納された状態で待機しており、また
昇降抑制装置20は適当な高さの位置で停止している。そ
して搬送される管・棒材Ａに小曲がりがあり、これを矯
正するに際しては、まずドッグ付搬送チェーン７の駆動
を止め、管・棒材Ａを決められた位置に停止する。ここ
において強制回転装置９を上昇動作させると同時に昇降
抑制装置20を降下させ、前記強制回転装置９の駆動ロー
ラ10で支承した管・棒材Ａが上昇限に達する前に所定の
高さ位置に停止させておく。つまり強制回転装置９の上
昇限の設定は、搬送ラインから取り出された複数本の管
・棒材Ａが前記昇降抑制装置20の矯正ローラ25に接し、
更にこれを少量押し上げる状態の位置で停止する程度と
しており、前記昇降抑制装置20の下降限の設定をも含め
て、管・棒材の外径寸法を基準にして電気的制御により
操作される。この時、管・棒材Ａを介して少量押し上げ
られる矯正ローラ25の動きは緩衝機24で吸収されこれに
よって駆動ロール10上で強制回転させられる管・棒材Ａ
は適度な抑圧力を受け、小曲がりが効率よく強制される
のである。矯正後は強制回転装置９を降下収納すること
によって管・棒材Ａを回転チェーン４上に移載し、搬送
チェーン７を再び起動させればよいのである。

（考案の効果） 本考案は以上説明したように構成されており、冷却搬
送領域にある管・棒材をラインの上位に取り出し、これ
を強制回転させながら適度な抑圧力を作用させるもので
あって、管・棒材の小曲がりの強制が確実に行われ、ト
ラブルのない円滑な冷却が達成される。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示す全体正面図である。 ３は冷却搬送装置、４は回転チェーン、７は搬送チェー
ン、９は強制回転装置、10は駆動ローラ、20は昇降抑制
装置、25は強制ローラ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】冷却搬送全領域にわたって管・棒材の下面
   に対して摺動し、管・棒材に回転動作を与えるべく多数
   列並列状に配置された回転チェーンと、これら回転チェ
   ーンにより回転させられる管・棒材に送り動作を与える
   べく回転チェーン間に多数列並列状に配置されたドッグ
   付搬送チェーンを同一平面上に備え、管・棒材を回転さ
   せながら冷却しかつ搬送する装置において、前記搬送領
   域にあって通常は前記回転チェーンと搬送チェーンの両
   チェーン下方位置に待機し、必要に応じて上昇し、管・
   棒材の複数本を支承してこれを強制的に回転させるそれ
   ぞれ対をなす駆動ローラを備えた強制回転装置と、前記
   両チェーンよりなる搬送ラインの上方でかつこの強制回
   転装置の上位空間にあって、前記駆動ローラで支承され
   かつ回転する管・棒材を抑圧する矯正ローラを備えた昇
   降抑制装置を装備したことを特徴とする鋼管等の冷却搬
   送装置。