JPH0891061A - 燃料タンクのフィラー構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】部品点数を増大せずに、給油ノズルからの燃料
の噴射量が増大してもタンク本体に燃料を短時間でスム
ーズに注入できる。 【構成】燃料がタンク本体に貯留され、基端がタンク本
体に接続された円筒状のフィラー１３の先端がタンク本
体のレベルより上方に位置する。またフィラー１３の長
さはタンク本体に燃料を注入する給油ノズル１４の挿入
長さより長く形成される。本発明の特徴ある構成は、フ
ィラー１３の内周面に、注入された燃料に旋回流を生じ
させる螺旋状の溝１７が形成されたところにある。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は燃料タンク、特にバスや
大型トラックに搭載された大容量の燃料タンクに適した
フィラー構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種のフィラー構造として、注
入口から燃料タンクに通じるフィラーの内面に取付けら
れ、螺旋羽根形に形成されたフューエルガイドが開示さ
れている（実開昭５７−１０９２１）。フィラーは鉛直
部と水平部とを有するように略Ｌ字状に曲げられ、フュ
ーエルガイドは鉛直部に注入口から挿入される。フュー
エルガイドの下端は鉛直部のＬ字状の底面に当接し、フ
ューエルガイドの外周縁はフィラーの内面に弾性的に当
接する。このように構成されたフューエルガイドでは、
注入口に給油ノズルを挿入して燃料を注入すると、燃料
はフューエルガイドによって螺旋状に整流されるので、
燃料のフィラー内での行き詰まり、即ちフィラー内での
燃料の吹返しを防止でき、燃料タンクへの燃料の注入を
円滑に行えるようになっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来のフ
ューエルガイドでは、このフューエルガイドを製作し、
かつフィラー内に挿入しなければならず、部品点数及び
組付工数が増大し、製造コストを押上げる不具合があっ
た。また、上記従来のフューエルガイドでは、フィラー
の鉛直部の下部に挿入されたフューエルガイドによりフ
ィラーの曲折部での燃料の行き詰まり現象を防止できる
が、給油ノズルからの燃料の噴射量を増大させた場合、
フューエルガイド挿入部以外のフィラー内で燃料の行き
詰まりが発生して燃料の吹返しが生じる恐れがある。

【０００４】本発明の目的は、部品点数を増大せずに、
給油ノズルからの燃料の噴射量が増大してもタンク本体
に燃料を短時間でスムーズに注入できる燃料タンクのフ
ィラー構造を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の構成を、実施例に対応する図１及び図２を用
いて説明する。本発明は、燃料が貯留されるタンク本体
１２と、基端がタンク本体１２に接続され先端がタンク
本体１２のレベルより上方に位置しかつタンク本体１２
に燃料を注入する給油ノズル１４の挿入長さより長く形
成された円筒状のフィラー１３とを備えた燃料タンクの
改良である。その特徴ある構成は、フィラー１３の内周
面に、注入された燃料に旋回流を生じさせる螺旋状の溝
１７が形成されたところにある。

【０００６】

【作用】給油ノズル１４からフィラー１３内に噴射され
た燃料は螺旋状の溝１７に沿って旋回流となって流下
し、タンク本体１２に流入する。この結果、フィラー１
３の軸線周囲にタンク本体１２内の空気を大気に排出す
る通路が形成されるので、フィラー１３内が燃料の泡や
燃料自体により塞がれて燃料がフィラー１３の先端から
吹出すいわゆる吹返しが発生せず、燃料はスムーズにタ
ンク本体１２に貯留される。

【０００７】

【実施例】次に本発明の一実施例を図面に基づいて詳し
く説明する。図１及び図２に示すように、バスや大型ト
ラック等の大型車両には大容量の燃料タンク１１が搭載
される。燃料タンク１１は燃料が貯留されるタンク本体
１２と、基端がタンク本体１２に接続されたフィラー１
３とを備える。燃料はこの例ではディーゼルエンジンに
供給される軽油である。フィラー１３の基端はタンク本
体１２の上面コーナ部に接続され、フィラー１３は斜め
上方に向って延びその先端はタンク本体１２のレベルよ
り上方に位置する。このフィラー１３の長さはタンク本
体１２に燃料を注入する給油ノズル１４の挿入長さより
長く形成される。またタンク本体１２の上面とフィラー
１３の上端近傍との間は小径のエア抜きパイプ１６によ
り連通され、燃料の給油時にタンク本体１２内の空気が
このパイプ１６を介して大気に排出されるようになって
いる。

【０００８】本実施例の特徴ある構成は、フィラー１３
の内周面に螺旋状の溝１７がフィラー１３の略全長にわ
たって形成されたところにある。上記溝１７は右旋回又
は左旋回の螺旋状に形成される。また上記溝１７は２条
形成される。フィラー１３はこの例では鋼管により形成
され、螺旋状の溝１７は機械加工により形成される。ま
たフィラー１３の内面には燃料による錆の発生を防止す
るため、亜鉛めっき又はすずめっきが施される。

【０００９】このように構成された燃料タンク１１に燃
料を給油するときには、給油所にて給油ノズル１４をフ
ィラー１３の先端に挿入し、このノズル１４からフィラ
ー１３内に燃料を噴射する。噴射された燃料は２条の螺
旋状の溝１７のいずれか一方又は双方に沿って旋回流と
なって流下し、タンク本体１２に流入する。またノズル
１４から噴射される燃料の流速が大きいと、燃料は遠心
力でフィラー１３の内壁に押付けられるため、フィラー
１３の軸線周囲にタンク本体１２内の空気が大気に抜け
る通路が形成される。この結果、フィラー１３内が燃料
の泡や燃料自体により塞がれて燃料がフィラー１３の先
端から吹出すいわゆる吹返しが発生することがなく、燃
料は短時間で大容量のタンク本体１２に貯留される。

【００１０】なお、上記実施例ではフィラーを鋼管によ
り形成し、螺旋状の溝を機械加工により形成したが、鋼
管が引抜きにより成形されたものであれば、ダイスに螺
旋状の溝に相応する突起を設け、引抜き時に鋼管を旋回
しながら引抜くことにより螺旋状の溝を形成してもよ
い。また燃料漏れが発生しなければ、フィラーを鋳鉄に
より形成し、螺旋状の溝を鋳込み時に形成してもよい。
またフィラーを銅又はその他の金属製のパイプにより形
成してもよい。この場合、螺旋状の溝は機械加工、引抜
き又は鋳造により形成される。またフィラーとして耐油
性のゴムホース又は耐油性の樹脂製ホースを用いてもよ
い。この場合、螺旋状の溝はホースの成型時に形成され
る。

【００１１】また、上記実施例ではフィラーの内周面に
２条の螺旋状の溝を形成したが、これは一例であってフ
ィラーの内周面に１条又は３条以上の螺旋状の溝を形成
してもよい。また、上記実施例では燃料としてディーゼ
ルエンジンに供給される軽油を挙げたが、これは一例で
あってガソリン又は重油等でもよい。更に、上記実施例
ではバスや大型トラック等の大型車両に搭載された燃料
タンクを挙げたが、これに限らず給油ノズルの挿入長さ
より長いフィラーを有する燃料タンクであれば、船、産
業用機械又はその他の内燃機関に用いられる燃料タンク
でもよい。

【００１２】

【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、タ
ンク本体に基端が接続された円筒状のフィラーの先端が
タンク本体のレベルより上方に位置し、フィラーの長さ
をタンク本体に燃料を注入する給油ノズルの挿入長さよ
り長く形成し、更にフィラーの内周面に螺旋状の溝を形
成したので、給油ノズルからフィラー内に噴射された燃
料は螺旋状の溝に沿って旋回流となって流下し、タンク
本体に流入し、かつフィラーの軸線周囲に形成された通
路を通ってタンク本体内の空気が排出される。この結
果、給油ノズルからの燃料の噴射量が増大しても、燃料
はタンク本体内の空気とぶつかり合うことなく、タンク
本体に短時間でスムーズに注入される。また、フィラー
に挿入するフューエルガイドが必要な従来のフューエル
ガイドと比較して、本発明ではフィラーの内面に螺旋状
の溝を形成するだけであるので、部品点数を増大させる
ことはない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明一実施例燃料タンクのフィラー構造を示
す図２のＡ−Ａ線断面図。

【図２】そのフィラーを含む燃料タンクの斜視図。

【符号の説明】

１１ 燃料タンク １２ タンク本体 １３ フィラー １４ 給油ノズル １７ 螺旋状の溝

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 燃料が貯留されるタンク本体(12)と、基
   端が前記タンク本体(12)に接続され先端が前記タンク本
   体(12)のレベルより上方に位置しかつ前記タンク本体(1
   2)に前記燃料を注入する給油ノズル(14)の挿入長さより
   長く形成された円筒状のフィラー(13)とを備えた燃料タ
   ンクにおいて、 前記フィラー(13)の内周面に、注入された燃料に旋回流
   を生じさせる螺旋状の溝(17)が形成されたことを特徴と
   する燃料タンクのフィラー構造。