JPH089081Y2 - 搬送ローラ構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、搬送ローラ構造、特に、駆動ローラとピン
チローラとの間の押圧力が大きい場合であっても被搬送
物に大きな集中荷重がかかるのを防止できるものに関す
る。

〔従来の技術〕

第２図で示すように、搬送型の画像読取りスキャナに
おいては、ホッパ台（図示せず）に複数枚積重ね状態に
セットされた原稿Ｐを、供給ローラ２と分離ローラ４と
により１枚ずつ該スキャナ内部に導入するようになって
いる。このようにして導入された原稿Ｐは、原稿搬送方
向Ｘに沿って適宜の間隔で設けられた搬送ローラ対部Ｆ
により、データ読取り部Ｓに送られしかる後に排出され
ることとなる。第３図は前記搬送ローラ部Ｆの典型的な
構成を示す。すなわち各搬送ローラ部Ｆは、それぞれが
駆動ローラ６とバネの圧力等により原稿Ｐを駆動ローラ
６に対して押圧する従動ローラであるピンチローラ７と
からなる複数の搬送ローラ対を原稿搬送方向Ｘに直交す
る方向に並設したものである。因みに、各ピンチローラ
７の外周部の幅Ｗは、ベアリング８の幅と同一となって
いる。このような複数の搬送ローラ対のうち、原稿Ｐの
中央部分に作用する搬送ローラ対Faにあっては、原稿Ｐ
の中央部分に対して特に安定した搬送力を与えることが
できるように、両側の搬送ローラ対Fbに比べて、ピンチ
ローラ７による押圧力がかなり大きくなっている。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、このようなタイプの画像読取りスキャ
ナにあっては、前記のように原稿Ｐの中央部分に作用す
る搬送ローラ対Faのピンチローラ７による押圧力が大き
く原稿に大きな集中的荷重が加わるため、例えば原稿と
しての感圧紙を搬送する場合該感圧紙に両ローラ6,7に
よる跡（線）が付くなどの不都合が生じる。このような
不都合は、両ローラ6,7の姿勢が互いに傾斜している場
合には該ローラ6,7の一側縁に荷重が集中することとな
るため特に顕著となる。

この考案は上述の点に鑑みてなされたもので、駆動ロ
ーラからの大きな押圧反力が発生している場合であって
も被搬送物の過大な集中荷重がかかるのを防止できる搬
送ローラ構造を提供しようとするものである。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するため、本考案は、被搬送物の一方
面に接する駆動ローラと、可撓性材料からなり前記被搬
送物を前記駆動ローラに対して押圧する押圧外周部、お
よび、その外周面において前記押圧外周部を所定軸を中
心として回転可能に固着したベアリングを含むピンチロ
ーラと、を備えた搬送ローラ構造において、前記ベアリ
ングが、前記所定軸の方向の幅において前記押圧外周部
より幅狭であり、且つ、前記押圧外周部の幅方向略中央
に位置しており、これにより、前記押圧外周部における
幅方向両側部分が、前記ベアリングに重合していない押
圧部として形成されていることを特徴とするものであ
る。

〔作用〕

ピンチローラの押圧外周部の両側部分の半径方向内方
にはベアリングが存在しないため、ピンチローラは、該
両側部分において、可撓性を有する。従って、例えば両
前記ローラが相対的に傾いていることによって、駆動ロ
ーラから大きな押圧反力を受けている場合であっても、
駆動ローラにより近い方の前記押圧外周部の一側部分
が、駆動ローラから押し返され、駆動ローラの姿勢の傾
きに追従して撓み、その結果、被搬送物に大きな集中荷
重が加わるのが防止されることとなる。

本考案は、搬送型の画像読取りスキャナにおける搬送
ローラに適用した場合特に有用であり、例えば、被搬送
物が感圧紙である場合には該感圧紙に搬送ローラによる
跡が付くのを効果的に防止できる。このような効果は、
前記ベアリングの幅を従来と同等にしながら、前記駆動
ローラの外周部およびピンチローラの押圧外周部の幅の
大きく（例えば２倍に）し、被搬送物に対する両前記ロ
ーラの押圧荷重を分散するようにすることによって、さ
らに確実に達成可能になる。

〔実施例〕

以下、添付図面に基づいて本考案を詳述する。

第１図は本考案の一実施例に係る搬送ローラ構造Ｒを
示し、この実施例は第２図で示したような搬送型画像読
取りスキャナの搬送ローラ部において、供給されてくる
原稿Ｐの中央部分に作用する搬送ローラ対において実施
したものである。また、図において、ピンチローラ12の
みを断面図で示す。

前記搬送ローラ構造Ｒにおいて、駆動ローラ10は、従
来のこの種の駆動ローラに比べて、原稿Ｐに接する外周
面の幅WDにおいて約２倍となっており、原稿Ｐとの接触
面積がより広くなっている。

また、従動ローラであるピンチローラ12は、ベアリン
グ14を介して可動軸15に取り付けられている。該ピンチ
ローラ12は、可動軸15がバネ等により付勢されることに
よって押圧外周部を構成するローラ表面部18において、
原稿Ｐを駆動ローラ10に押圧する。ピンチローラ12は、
さらに、前記ベアリング14の外周面に固着されたリング
状の補強部16を含み、前記ローラ表面部18はこの補強部
16の外周面に固着されている。該表面部18は、従来のも
のと同様に例えばゴムのような摩擦係数が高く可撓性お
よび弾力性を有する材料製であり、従来のものに比べて
約２倍の幅WPを有する。このため、ピンチローラ12は、
原稿Ｐに接触する面積が従来のものより大きく、駆動ロ
ーラ10の幅WDが大きいこととあいまって、原稿Ｐに対す
る押圧時の荷重を分散させることができ、原稿Ｐに大き
な集中荷重がかかるのを防止する。補強部16は、ローラ
表面部18と同等の幅を有し該表面部18と半径方向に整列
しており、また、ローラ表面部18と略同等の剛性を有す
る材料製であり、ローラ表面部18の強度を補強する機能
を有する。ベアリング14は補強部16の幅方向、従って、
ローラ表面部18の幅WP方向略中央部に位置しており、ロ
ーラ表面部18の両側部分はベアリング14の存在による剛
性を受けないようになっている。このように、この実施
例にあっては、前記ベアリング14が、前記軸15方向の幅
において前記ローラ表面部18より幅狭であり、且つ、前
記ローラ表面部18の幅方向略中央部に位置しており、こ
れによって、前記ローラ表面部18における幅方向両側部
分が、前記ベアリング14に重合していない押圧部として
形成されている。このため、ローラ表面部18の両側部分
は、補強部16によって補強された状態で適度の可撓性を
維持することができる。従って、例えば、駆動ローラ10
とピンチローラ12とが機械的誤差等により互いに傾斜し
た状態で原稿Ｐを搬送する場合であっても、駆動ローラ
10により近い方の、ローラ表面部18の一方側部分が駆動
ローラ10の相対的に傾いた姿勢によって発生する局部的
で大きな押圧反力に応じて自由に撓むこととなる。その
結果、２個のベアリング14がローラ表面部18の全幅WPに
わたって設けられていることによりローラ表面部18の両
側部分が剛性である場合には、前記一方側部分により原
稿Ｐに対して大きな集中荷重が加わるのに対しし、前述
のようにローラ表面部18の両側部分が可撓性である場合
には、前記一方側部分により原稿Ｐに対して過大な集中
荷重が加わるのを効果的に防止できる。

なお、本発明は、前述のような搬送型の画像読取りス
キャナにおいて原稿の中央部分に作用する搬送ローラに
限らず、その他の装置の搬送ローラに適用してもよい。

〔考案の効果〕

以上のように、本考案は、ピンチローラにおける幅方
向両側部分が、ベアリングに重合しておらず、駆動ロー
ラからの所定以上の押圧反力に応じて自由に撓むことが
可能な押圧部として形成されている。このような構成に
より、本考案は、例えば駆動ローラとピンチローラとの
間に相対的な傾きが存在していることによって、前記ピ
ンチローラが駆動ローラから大きな押圧反力を受けてい
る場合であっても、被搬送物に大きな集中荷重がかかる
のを防止できるという優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係る搬送ローラ構造を示す
一部断面正面図、第２図は搬送型の画像読取りスキャナ
の概略を説明する図、第３図は第２図のスキャナにおけ
る搬送ローラを示す正面図である。 10…駆動ローラ、12…ピンチローラ、14…ベアリング、
18…ローラ表面部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】被搬送物の一方面に接する駆動ローラと、
   可撓性材料からなり前記被搬送物を前記駆動ローラに対
   して押圧する押圧外周部、および、その外周面において
   前記押圧外周部を所定軸を中心として回転可能に固着し
   たベアリングを含むピンチローラと、を備えた搬送ロー
   ラ構造において、 前記ベアリングが、前記所定軸の方向の幅において前記
   押圧外周部より幅狭であり、且つ、前記押圧外周部の幅
   方向略中央部に位置しており、これにより、前記押圧外
   周部における幅方向両側部分が、前記ベアリングに重合
   していない押圧部として形成されている ことを特徴とする搬送ローラ構造。