JPH0890092A - 無潤滑絞り金型および無潤滑絞り加工方法 - Google Patents

無潤滑絞り金型および無潤滑絞り加工方法

Info

Publication number
JPH0890092A
JPH0890092A JP6223617A JP22361794A JPH0890092A JP H0890092 A JPH0890092 A JP H0890092A JP 6223617 A JP6223617 A JP 6223617A JP 22361794 A JP22361794 A JP 22361794A JP H0890092 A JPH0890092 A JP H0890092A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
deep
die
drawing die
aluminum
lubricated
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6223617A
Other languages
English (en)
Inventor
Masao Murakawa
正夫 村川
Nobuhiro Koga
伸裕 古閑
Yasushi Kumagai
泰 熊谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NANOTETSUKU KK
Original Assignee
NANOTETSUKU KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NANOTETSUKU KK filed Critical NANOTETSUKU KK
Priority to JP6223617A priority Critical patent/JPH0890092A/ja
Publication of JPH0890092A publication Critical patent/JPH0890092A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の第1の目的は、潤滑剤を用いなくて
もアルミニウムを絞り加工することが可能な無潤滑絞り
金型を提供することにある。また、本発明の第2の目的
は潤滑剤を用いなくてもアルミニウムを絞り加工するこ
とが可能な無潤滑絞り加工方法を提供することにある。 【構成】 本発明の無潤滑絞り金型は、表面がダイヤモ
ンドライクカーボン膜によって被覆された絞り金型から
なることを特徴とするものである。また、本発明の無潤
滑絞り加工方法は、被成形材料を絞り加工するにあた
り、少なくとも金型としては表面がダイヤモンドライク
カーボン膜によって被覆された絞り金型からなる無潤滑
絞り金型を用い、潤滑剤を用いることなく絞り加工する
ことを特徴とするものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は絞り金型および絞り加工
方法に係り、特に、潤滑剤を用いなくても被成形材料を
絞り加工することが可能な絞り金型(以下、無潤滑絞り
金型という)および潤滑剤を用いなくても被成形材料を
絞り加工することが可能な絞り加工方法(以下、無潤滑
絞り加工方法という)に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、軽量化等を目的としてアルミニウ
ムを自動車部品等に利用することが検討されているが、
アルミニウムは鋼板に比べて成形性に劣り、また成形時
に工具に凝着しやすいため、その絞り加工、特に深絞り
加工は困難である。さらに、深絞り製品の脱脂等に従来
より広く用いられてきたフロン等が環境保護の観点から
使用できなくなったことに伴って深絞り加工に使用可能
な潤滑剤の低粘度化が進み、このことがアルミニウムの
深絞り加工を更に困難にしている。
【0003】そこで、最近では上記の問題を解決するべ
く、アルミニウム板の深絞り加工におけるトライポロジ
ーの研究が盛に行われており、TiNコーティッド工具
の限界絞り比向上や加工力低減に対する効果等が調査さ
れている(J. Mater. Process Tech. 第37巻(1993)第75
頁)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、アルミ
ニウムの絞り加工の困難性、特に深絞り加工の困難性の
理想的な解決策は潤滑剤を用いないことであり、潤滑剤
を使用することなくアルミニウムを絞り加工することが
できる絞り金型や、潤滑剤を使用することなくアルミニ
ウムを絞り加工することができる絞り加工方法について
は未だ開発されていない。
【0005】本発明の第1の目的は、潤滑剤を用いなく
てもアルミニウムを絞り加工することが可能な無潤滑絞
り金型を提供することにある。
【0006】また、本発明の第2の目的は潤滑剤を用い
なくてもアルミニウムを絞り加工することが可能な無潤
滑絞り加工方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的を達成す
る本発明の無潤滑絞り金型は、表面がダイヤモンドライ
クカーボン膜によって被覆された絞り金型からなること
を特徴とするものである。
【0008】また、上記第2の目的を達成する本発明の
無潤滑絞り加工方法は、被成形材料を絞り加工するにあ
たり、少なくとも金型としては表面がダイヤモンドライ
クカーボン膜によって被覆された絞り金型からなる無潤
滑絞り金型を用い、潤滑剤を用いることなく加工するこ
とを特徴とするものである。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。まず本発
明の無潤滑絞り金型について説明すると、この無潤滑絞
り金型は上述したように表面がダイヤモンドライクカー
ボン膜(以下、ダイヤモンドライクカーボン膜をDLC
膜と略記する)によって被覆された絞り金型からなる。
この無潤滑絞り金型は引抜き加工用、深絞り加工用、ヘ
ラ絞り加工用およびスピニング加工用のいずれの金型で
あってもよく、その形状は絞り加工の方法や作製しよう
とする成形品の形状等に応じて適宜選択可能である。
【0010】DLC膜によって被覆されている金型(以
下、DLC膜による被覆対象の金型を基材という)の材
質は特に限定されるものではなく、SKH,SKD,S
KS,SK等の合金鋼や、WC−Co,WC等の超硬合
金、ジルコニア等のセラミックス等からなるものを使用
することができる。これらの中でも、DLC膜の密着性
が良好なことから、また、その結果として耐久性の高い
無潤滑絞り金型が得られることから、超硬合金が特に好
ましい。
【0011】DLC膜は必ずしも基材の全表面を被覆し
ている必要はないが、DLC膜を設けなかったと仮定し
た場合に基材(金型)と被成形材料とが絞り加工時に接
する部分については被覆している必要がある。DLC膜
の膜厚は概ね0.5〜5μmの範囲内で適宜選択可能で
ある。DLC膜の膜厚が0.5μm未満では膜の耐摩耗
性が不十分となり易い。また、DLC膜の膜厚が5μm
より厚いと膜内の残留応力により当該膜の剥離やチッピ
ングが起こり易い。目的とする無潤滑絞り金型がアルミ
ニウムを深絞り加工するためのものである場合、DLC
膜の膜厚は概ね1〜3μmであることが特に好ましい。
【0012】基材(金型)の表面を上記のDLC膜によ
って被覆してなる本発明の無潤滑絞り金型はアルミニウ
ム、アルミニウム合金、アルミニウムメッキ鋼板、アル
ミニウムラミネート板等(以下、これらをアルミニウム
系材料という)を絞り加工するための金型として好適で
ある。絞り加工に際しては潤滑剤は不要である。アルミ
ニウム系材料の絞り加工を行う場合でも、本発明の無潤
滑絞り金型を使用すれば潤滑剤を使用しなくても金型へ
のアルミニウムないしアルミニウム合金の凝着が防止さ
れるので、潤滑剤を使用することなく所望形状のアルミ
ニウム系材料製の成形品を連続的に作製することができ
る。
【0013】したがって、本発明の無潤滑絞り金型を用
いれば種々の用途の絞り加工品についてアルミニウム系
材料製の製品を使用することが容易になり、これに伴っ
て種々の製品の軽量化等を容易に図ることが可能にな
る。
【0014】上述した本発明の無潤滑深絞り金型は、基
材(金型)の所望表面に前述した膜厚のDLC膜を設け
ることにより得ることができる。このときのDLC膜の
成膜方法は特に限定されるものではなく、例えば、ベン
ゼン(C66 ),アセチレン(C2 2 ),メタン
(CH4 )等を原料ガスとして用いたイオンプレーティ
ング法(3極構造のイオン源を使用したもの等)や、高
周波プラズマCVD法、マイクロ波プラズマCVD法、
直流グロー放電プラズマCVD法等の方法を適用するこ
とができる。
【0015】DLC膜の成膜条件は適用する成膜方法に
より適宜設定されるが、3極構造のイオン源を使用した
イオンプレーティング法によりDLC膜を成膜する場合
の成膜条件の一例としては次のものが例示される。 ・イオンボンバード時の条件 Arガス流量:90SCCM 真空度:2×10-3Torr アノード電圧:50V フィラメント電流:30A 基板バイアス電圧:2000V ・成膜時の条件 原料ガス(C66 ガス)流量:60SCCM 真空度:2×10-3Torr アノード電圧:50V フィラメント電流:30A 基板バイアス電圧:1000V
【0016】なお、イオンプレーティング法によりDL
C膜を成膜する場合には、ArやN2 をイオン種とする
イオンビームミキシングを行ってもよい。イオンビーム
ミキシングを行うことにより基材との密着性が向上した
DLC膜を得ることができる。また、DLC膜を設ける
前の段階での基材(金型)は、最大表面粗さRmax
0.8μm以下のラップ仕上げ面を有していることが好
ましい。また、錆、バリ、研削やけ、放電加工による変
質層等がなく、かつ、窒化処理、酸化処理、黒染め処
理、塗装等が施されていないことが好ましい。
【0017】次に、本発明の無潤滑絞り加工方法につい
て説明する。この方法は、前述したように、被成形材料
を絞り加工するにあたり、少なくとも金型としては表面
がDLC膜によって被覆された絞り金型からなる無潤滑
絞り金型を用い、潤滑剤を用いることなく加工すること
を特徴とするものである。前記の無潤滑絞り金型として
は、上述した本発明の無潤滑絞り金型を用いることがで
きる。また、絞り加工では金型以外にポンチやしわ押さ
え板等も使用するわけであるが、これらのポンチあるい
はしわ押さえ板等もDLC膜によって被覆されていても
よい。DLC膜によって被覆されたポンチやしわ押さえ
板等は、上述した本発明の無潤滑絞り金型と同様にして
得ることができる。
【0018】本発明の方法は、所望形状に成形ないし打
抜かれた被成形材料(絞りブランク)を予め用意し、こ
の絞りブランクを1枚1枚絞り加工していくようなバッ
チ式であってもよいし、板状の被加工材からの絞りブラ
ンクの成形とこの絞りブランクの絞り加工とを一ライン
上で連続的に行うような連続式であってもよい。そし
て、絞り加工は引抜き加工、深絞り加工、ヘラ絞り加工
およびスピニング加工のいずれであってもよい。
【0019】本発明の方法はアルミニウム系材料(アル
ミニウム、アルミニウム合金、アルミニウムメッキ鋼
板、アルミニウムラミネート板等)等の絞り加工に適用
することができる。このとき、無潤滑絞り金型へのアル
ミニウムないしアルミニウム合金の凝着が防止されるこ
とから、潤滑剤を使用することなく所望形状の成形品を
連続的に作製することが可能である。したがって、本発
明の方法によれば種々の用途の絞り加工品についてアル
ミニウム系材料製の製品を提供することが容易になり、
これに伴って種々の製品の軽量化等を容易に図ることが
可能になる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。 実施例1 まず、無潤滑絞り金型の基材として20mm(縦)×2
0mm(横)×12mm(深さ)の凹部を有するSKD
11製の金型(ロックウェルCスケール硬さは60,最
大表面粗さ(Rmax )は約1μm)を用意した。そし
て、この金型において凹部を形成している壁面と当該凹
部が形成されている側の主表面に、熱フィラメントとア
ノードとリフレクターとを有する3極構造の直流アーク
放電イオン源を備えたイオンプレーティング装置(ナノ
テック株式会社製のNANOCOAT 1000)によ
り、膜厚約1μmのDLC膜(ビッカース硬さは300
0)を成膜した。このとき、原料ガスとしてはベンゼン
(C66 )を使用した。DLC膜を成膜したことによ
り目的とする無潤滑絞り金型が得られた。
【0021】次に、上記の無潤滑絞り金型と一辺が18
mmの正方形深絞りポンチ(SKD11製)とを順送り
型の絞り加工装置に装着した。この絞り加工装置では、
被加工材料に対するパイロットピン用穴の打抜きと絞り
ブランクの打抜き、および深絞り加工が一ライン上で連
続的に行われる。この後、被加工材料として板厚1mm
の5000系アルミニウム板を用いて、潤滑剤を用いる
ことなく上記の絞り加工装置により深絞り加工を連続的
に行って、アルミニウムからなる正方形容器を連続的に
作製した。このとき、得られた深絞り加工品(前記の正
方形容器)について特定の側壁(1箇所)の外側面中央
部での水平方向の最大表面粗さ(Rmax)を定期的に測
定した。また、無潤滑絞り金型の特定の箇所(1箇所)
の肩アール部付近の水平方向の最大表面粗さ(Rmax
を定期的に測定した。なお、被加工材料として用いた5
000系アルミニウム板の0.2%耐力は128N・m
-2、引張り強さは293N・mm-2 、伸びは33%
である。
【0022】上記の深絞り加工の結果、1561回目の
深絞り加工時に初めて材料破断が生じ、結果として連続
1560回の深絞り加工を行うことができた。このとき
得られた深絞り加工品(正方形容器)についての前記の
最大表面粗さ(Rmax )の測定結果を図1に示す。ま
た、無潤滑絞り金型についての前記の最大表面粗さ(R
max )の測定結果を図2に示す。なお、無潤滑絞り金型
の前記肩アール部とは、無潤滑絞り金型に設けた上記の
凹部の側壁の上端から当該金型の上面にかけての部分を
意味し、この部分は前記凹部の形成当初から一定の曲率
をもった形状を呈している。
【0023】図1に示したように、深絞り加工回数(1
回目の深絞り加工からの通算回数)が800回程度まで
は、得られる深絞り加工品(正方形容器)の最大表面粗
さ(Rmax )は11μm程度と安定しており、その後は
加工回数の増加に伴って徐々に悪化した。この悪化は、
図2に示した無潤滑絞り金型の肩アール部付近の最大表
面粗さ(Rmax )の変化の具合から、深絞り加工回数が
800回を超えた頃から無潤滑絞り金型の肩アール部付
近においてDLC膜の部分的な剥離が始まり、そこにア
ルミニウムの凝着が発生するようになった結果であると
推察される。
【0024】比較例1 実施例1で基材として用いた金型と同じ金型をそのまま
実施例1と同じ順送り型の絞り加工装置に装着し、他の
条件は実施例1と同じにして深絞り加工を連続的に行っ
た。この結果、1回目の深絞り加工後において早くも金
型の肩アール部付近に被加工材料(アルミニウム)の凝
着が認められ、わずか5回の深絞り加工で材料破断が発
生した。1回目および5回目の深絞り加工で得られた各
深絞り加工品(正方形容器)について実施例1と同様に
して測定した側壁の最大表面粗さ(Rmax )の測定結果
を図1に示す。また、1回目および5回目の深絞り加工
後にそれぞれ実施例1と同様にして測定した金型の肩ア
ール部付近の最大表面粗さ(Rmax )の測定結果を図2
に示す。
【0025】比較例2 DLC膜に代えて膜厚約2〜3μmのTiCN膜(ビッ
カース硬さは2500)をイオンプレーティング法によ
って基材表面に成膜して目的とする金型(最大表面粗さ
(Rmax )は約0.9μm)を得、この金型を実施例1
と同じ順送り型の絞り加工装置に装着し、他の条件は実
施例1と同じにして深絞り加工を連続的に行った。この
結果、1回目の深絞り加工後において早くも金型の肩ア
ール部付近に被加工材料(アルミニウム)の凝着が認め
られ、わずか5回の深絞り加工で材料破断が発生した。
1回目および5回目の深絞り加工で得られた各深絞り加
工品(正方形容器)について実施例1と同様にして測定
した側壁の最大表面粗さ(Rmax )の測定結果を図1に
示す。また、1回目および5回目の深絞り加工後にそれ
ぞれ実施例1と同様にして測定した金型の肩アール部付
近の最大表面粗さ(Rmax )の測定結果を図2に示す。
【0026】比較例3 DLC膜に代えて膜厚約4μmのCrN膜(ビッカース
硬さは1800)をイオンプレーティング法によって基
材表面に成膜して目的とする金型(最大表面粗さ(R
max )は約1μm)を得、この金型を実施例1と同じ順
送り型の絞り加工装置に装着し、他の条件は実施例1と
同じにして深絞り加工を連続的に行った。この結果、1
回目の深絞り加工後において早くも金型の肩アール部付
近に被加工材料(アルミニウム)の凝着が認められ、わ
ずか5回の深絞り加工で材料破断が発生した。1回目お
よび5回目の深絞り加工で得られた各深絞り加工品(正
方形容器)について実施例1と同様にして測定した側壁
の最大表面粗さ(Rmax )の測定結果を図1に示す。ま
た、1回目および5回目の深絞り加工後にそれぞれ実施
例1と同様にして測定した金型の肩アール部付近の最大
表面粗さ(Rmax )の測定結果を図2に示す。
【0027】実施例2 まず、材質が超硬合金(WC−Co)である点を除いて
実施例1で使用したものと同じ基材(最大表面粗さ(R
max )は約0.5μm)を用い、この基材の表面に実施
例1と同様にして膜厚1μmのDLC膜(ビッカース硬
さは3000)を成膜して、目的とする無潤滑深絞り金
型(最大表面粗さ(Rmax )は約0.6μm)を得た。
次に、この深絞り金型を実施例1と同じ順送り型の絞り
加工装置に装着し、他の条件は実施例1と同じにして深
絞り加工を連続的に行って、正方形容器を連続的に作製
した。
【0028】この結果、材料破断等の加工不良を生じる
ことなく連続5000回の深絞り加工を安定して行うこ
とができた。被加工材料の量的制約から深絞り加工は5
000回で打ち切ったが、加工終了後においても無潤滑
絞り金型にDLC膜の剥離等の不良は全く認められなか
った。このとき得られた深絞り加工品(正方形容器)に
ついて実施例1と同様にして測定した側壁の最大表面粗
さ(Rmax )の測定結果および実施例1と同様にして測
定した無潤滑絞り金型の肩アール部付近の最大表面粗さ
(Rmax )の測定結果を図3に示す。
【0029】1回目の深絞り加工で得られた深絞り加工
品(正方形容器)の側壁の最大表面粗さ(Rmax )が9
μmであるのに対して、5000回目の深絞り加工で得
られた深絞り加工品(正方形容器)の側壁の最大表面粗
さ(Rmax )が14.5μmであることから、深絞り加
工を連続的に行った場合でも最初に得られる深絞り加工
品(正方形容器)の最大表面粗さとその後に得られる深
絞り加工品(正方形容器)の最大表面粗さとの間には大
差ないことが確認された。また、無潤滑絞り金型の最大
表面粗さが1回目の深絞り加工を行う前の段階で約0.
6μm、5000回目の深絞り加工を行った後の段階で
約2μmであることから、潤滑剤を用いることなく連続
的に深絞り加工を行うことによる最大表面粗さの増加
(悪化)は小さいことが確認された。さらに、5000
回目の深絞り加工を行った後の無潤滑絞り金型の肩アー
ル部付近にはわずかにアルミニウムの付着が認められた
が、このアルミニウムは布等で拭くことにより容易に脱
落するものであった。
【0030】これらのことから、被加工材料の量的制約
がなければ5000回を超える深絞り加工を潤滑剤を用
いることなく連続的に行うことが可能であると判断され
た。さらには、連続的に絞り加工を行う途中(例えば1
000回絞り加工する毎)で無潤滑深絞り金型を清掃す
る等の対策を施すことにより、更に多数回の深絞り加工
を潤滑剤を用いることなく連続的に行うことが可能であ
ると判断された。
【0031】比較例4 実施例2で基材として用いた金型と同じ金型をそのまま
実施例2と同じ順送り型の絞り加工装置に装着し、他の
条件は実施例2と同じにして深絞り加工を連続的に行っ
た。この結果、1回目の深絞り加工後において早くも金
型の肩アール部付近に被加工材料(アルミニウム)の凝
着が認められ、わずか10回の深絞り加工で材料破断が
発生した。深絞り加工を10回行った後の金型の肩アー
ル部付近の最大表面粗さ(Rmax )を実施例1と同様に
して測定したところ、約23μmまで悪化していた。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の無潤滑絞
り金型を用いれば、アルミニウムの絞り加工を行う場合
でさえも潤滑剤を使用することなく無潤滑絞り金型への
被加工材の凝着を防止することができるので、所望形状
の絞り加工品を連続的に作製することが容易である。ま
た、本発明の無潤滑絞り金型を用いれば種々の用途の絞
り加工品についてアルミニウム系材料製の製品を使用す
ることが容易になり、これに伴って種々の製品の軽量化
等を容易に図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1および比較例1〜比較例3の各々で連
続的に作製した深絞り加工品の側壁の最大表面粗さ(R
max )と各深絞り加工品を得たときの深絞り加工の回数
(1回目の深絞り加工からの通算回数)との関係を示す
グラフである。
【図2】実施例1および比較例1〜比較例3の各々で連
続的に使用した金型の肩アール部付近の最大表面粗さ
(Rmax )と深絞り加工の回数(1回目の深絞り加工か
らの通算回数)との関係を示すグラフである。
【図3】実施例2で連続的に作製した深絞り加工品の側
壁の最大表面粗さ(Rmax )と各深絞り加工品を得たと
きの深絞り加工の回数(1回目の深絞り加工からの通算
回数)との関係、および実施例2で連続的に使用した無
潤滑絞り金型の肩アール部付近の最大表面粗さ
(Rmax )と深絞り加工の回数(1回目の深絞り加工か
らの通算回数)との関係を示すグラフである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面がダイヤモンドライクカーボン膜に
    よって被覆された絞り金型からなることを特徴とする無
    潤滑絞り金型。
  2. 【請求項2】 絞り金型が深絞り金型である、請求項1
    に記載の無潤滑絞り金型。
  3. 【請求項3】 絞り金型の基材が超硬合金からなる、請
    求項1または請求項2に記載の無潤滑絞り金型。
  4. 【請求項4】 被成形材料を絞り加工するにあたり、少
    なくとも金型としては表面がダイヤモンドライクカーボ
    ン膜によって被覆された絞り金型からなる無潤滑絞り金
    型を用い、潤滑剤を用いることなく絞り加工することを
    特徴とする無潤滑絞り加工方法。
  5. 【請求項5】 絞り加工が深絞り加工である、請求項4
    に記載の方法。
  6. 【請求項6】 無潤滑絞り金型の基材が超硬合金からな
    る、請求項4または請求項5に記載の方法。
JP6223617A 1994-09-19 1994-09-19 無潤滑絞り金型および無潤滑絞り加工方法 Pending JPH0890092A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6223617A JPH0890092A (ja) 1994-09-19 1994-09-19 無潤滑絞り金型および無潤滑絞り加工方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6223617A JPH0890092A (ja) 1994-09-19 1994-09-19 無潤滑絞り金型および無潤滑絞り加工方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0890092A true JPH0890092A (ja) 1996-04-09

Family

ID=16801015

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6223617A Pending JPH0890092A (ja) 1994-09-19 1994-09-19 無潤滑絞り金型および無潤滑絞り加工方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0890092A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001246421A (ja) * 2000-02-01 2001-09-11 Nexans 金属管製造方法
JP2002194473A (ja) * 2000-12-26 2002-07-10 Kyocera Corp 無潤滑絞り金型
JP2017104905A (ja) * 2015-12-01 2017-06-15 東洋製罐グループホールディングス株式会社 金型および絞り缶の製造方法
JP2020069502A (ja) * 2018-10-31 2020-05-07 東洋製罐グループホールディングス株式会社 プレス加工用金型およびプレス加工方法
WO2020090504A1 (ja) 2018-10-31 2020-05-07 東洋製罐グループホールディングス株式会社 機械加工用治具及び機械加工方法、並びにシームレス缶体の製造方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001246421A (ja) * 2000-02-01 2001-09-11 Nexans 金属管製造方法
JP2002194473A (ja) * 2000-12-26 2002-07-10 Kyocera Corp 無潤滑絞り金型
JP2017104905A (ja) * 2015-12-01 2017-06-15 東洋製罐グループホールディングス株式会社 金型および絞り缶の製造方法
US11267033B2 (en) 2015-12-01 2022-03-08 Toyo Seikan Group Holdings, Ltd. Mold and method for manufacturing drawn can
JP2020069502A (ja) * 2018-10-31 2020-05-07 東洋製罐グループホールディングス株式会社 プレス加工用金型およびプレス加工方法
WO2020090504A1 (ja) 2018-10-31 2020-05-07 東洋製罐グループホールディングス株式会社 機械加工用治具及び機械加工方法、並びにシームレス缶体の製造方法
CN113039026A (zh) * 2018-10-31 2021-06-25 东洋制罐集团控股株式会社 冲压加工用模具及冲压加工方法
CN113039026B (zh) * 2018-10-31 2024-04-05 东洋制罐集团控股株式会社 冲压加工用模具及冲压加工方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4918656B2 (ja) 非晶質硬質炭素皮膜
KR101122497B1 (ko) 경질 다층 코팅 및 이를 포함하는 경질 다층 코팅된 공구
CN1836058A (zh) 新型金属带产品
JP2006152424A (ja) 硬質被膜および硬質被膜被覆加工工具
JP2009061465A (ja) 冷間鍛造用金型及びその製造方法
CN1184154C (zh) 玻璃成形模及玻璃成形的方法
KR102061635B1 (ko) 금형 및 타발관의 제조 방법
JP2000008155A (ja) 硬質炭素膜被覆部材
JPH0890092A (ja) 無潤滑絞り金型および無潤滑絞り加工方法
JP6489412B2 (ja) 硬質皮膜層、及び冷間塑性加工用金型
JP2012519231A (ja) コーティング系及びコーティング系を製造するためのコーティング方法
CN106029940B (zh) 硬质皮膜及其形成方法、和钢板热成型用模具
JP6806304B2 (ja) 被覆冷間用金型
JP2009061464A (ja) 温熱間鍛造用金型及びその製造方法
JP2001198709A (ja) 耐摩耗皮膜被覆工具
JP2008264988A (ja) 切削工具の製造方法
Murakawa et al. Diamondlike carbon-coated dies for deep drawing of aluminum sheets
EP3875183A1 (en) Jig for metal plastic working
EP3904556A1 (en) Low friction wear film and method for producing the same
JP2005068499A (ja) 密着性に優れた硬質膜を備えている金属製品、同金属製品の製造方法及び同硬質膜を施した切削工具及び金型
JPH11277160A (ja) プレス用ダイヤモンド被覆絞りダイス
JP7029700B2 (ja) 硬質皮膜被覆部材、及び硬質皮膜被覆工具
JP2000102816A (ja) アルミニウム合金熱間押出ダイス
JP3388267B2 (ja) 耐摩耗皮膜被覆工具
JP2012136775A (ja) 耐付着性に優れる被覆金型およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20031202