JPH0889706A - 晶析槽の運転方法 - Google Patents

晶析槽の運転方法

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JPH0889706A
JPH0889706A JP22302494A JP22302494A JPH0889706A JP H0889706 A JPH0889706 A JP H0889706A JP 22302494 A JP22302494 A JP 22302494A JP 22302494 A JP22302494 A JP 22302494A JP H0889706 A JPH0889706 A JP H0889706A
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信夫 福田
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新一 松岡
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篤 岡本
Toshiharu Nochida
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 溶液又はスラリーを減圧弁を経て晶析槽に導
入する型式の晶析槽において、減圧弁の下流部分におけ
る結晶付着による流路の閉塞を防止する。 【構成】 定常運転の間に、減圧弁を急激に操作して減
圧弁を通過する流量を急増させる操作を挿入する。 【効果】 流量急増させると、付着していた結晶が衝撃
により剥離して押し流され、閉塞が防止される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は晶析槽の運転方法に関す
るものである。特に本発明は結晶を析出させるべき溶液
又はスラリーを、減圧弁を経て品析槽に供給する方式の
晶析槽の運転方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】溶液又はスラリーを品析槽に供給して結
晶を析出させる晶析法にはいくつかの方式があるが、そ
の一つに結晶を析出させるべき溶液又はスラリーを、減
圧弁を経て、より低い圧力下にある晶析槽に連続的に供
給して結晶を析出させる方式がある。例えばパラキシレ
ンを酢酸溶媒中で酵素で酸化してテレフタル酸を製造す
るに際しては、反応により生成した200℃近辺のテレ
フタル酸スラリーを、減圧弁を経てより低圧の晶析槽に
連続的に供給し、酢酸溶媒の蒸発による温度低下により
テレフタル酸を析出させることが行なわれている。ま
た、このようにして得られた粗テレフタル酸の水添精製
では、粗テレフタル酸水溶液を水素の存在下に約300
℃で貴金属触媒床を通過させて水添精製したのち、晶析
槽に供給し、水の蒸発による温度低下よりテレフタル酸
結晶を析出させることが行なわれている。この場合、晶
析槽は通常3〜6個が直列に接続されており、各晶析槽
への供給管にはそれぞれ減圧弁が設置されていて、各槽
間で逐次降温して結晶が析出するようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この減圧弁を経て、よ
り低い圧力下にある晶析槽に溶液又はスラリーを供給す
る晶析方法の問題点の一つは、減圧弁を通過した溶液又
はスラリーから直ちに結晶析出が起り、流路の閉塞が生
ずることである。減圧弁には下流部の導管を経て晶析槽
に至るものと、減圧弁が直接に晶析槽に臨んでいるもの
とがあるが、前者では下流部の導管に結晶析出が起り、
後者では減圧弁の出口の周囲に結晶析出が起る。いずれ
の場合でも晶析槽への溶液又はスラリーの供給の障害と
なるが、特に前者の場合に障害の程度が顕著に表われ
る。結晶析出が生ずると、熱溶媒を供給して析出した結
晶を溶解させたり、甚だしい場合には、運転を中止して
人力で析出結晶を除去しなければならない。従って晶析
操作を中断したり、又はこれに悪影響を及ぼすことなく
結晶析出による閉塞を防止する手段が求められている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、減圧弁
を経て一定流速で溶液又はスラリーを晶析槽に導入して
晶析を行なう定常操作の間に、減圧弁を急激に操作して
減圧弁を通過する溶液又はスラリーの流量を急増させる
ことにより、減圧弁の下流部又は出口周囲の閉塞を軽減
ないしは防止することができる。
【0005】本発明について詳細に説明するに、本発明
は結晶を析出させるべき溶液又はスラリーを、減圧弁を
経て、より低い圧力下にある晶析槽に連続的に供給して
結晶を析出させる方法一般に広く適用することができ
る。特に本発明は、前述したパラキシレンの液相酸化に
よるテレフタル酸の製造における晶析工程、又は粗テレ
フタル酸の水添精製における晶析工程に適用するのが望
ましい。何故ならばこれらのテレフタル酸の製造及び水
添精製に極めて大規模に行われているので、析出した結
晶を除去するために晶析操作を中断することは、大きな
生産減を招くからである。また、テレフタル酸は結晶性
状の一定した製品が要求されるが、晶析操作を中断する
と晶析条件が変化して製出されるテレフタル酸の結晶性
状も変化する可能性もあるからである。
【0006】本発明の如く、結晶を析出させるべき溶液
又はスラリーを、減圧弁を経て、より低い圧力下にある
晶析槽に供給する場合には、減圧弁を通過した溶液又は
スラリーは結晶が析出する条件下にある。従って、析出
した結晶の一部が減圧弁の下流部の導管や出口周囲に付
着することは、或る程度不可避であると考えられる。
【0007】本願発明では、この器壁に付着している結
晶に衝撃を与えて器壁から剥離させることにより、結晶
析出による閉塞を回避せんとするものである。本発明で
は減圧弁を急激に操作して、減圧弁を通過する溶液又は
スラリーの流量を急増させることにより結晶を剥離さ
せ、かつ剥離した結晶の塊を押し流すようにする。流速
の変化速度が大きいほど大きな衝撃を与えることができ
る。減圧弁は定常時には、通常、最大流量の40〜70
%程度で操作されているので、定常操作の間に減圧弁を
急激に開放するだけでも或る程度の衝撃を与えることが
できる。しかし、通常は衝撃を大きくするため、いった
ん減圧弁を絞り、次いで急激に開放するのが好ましい。
最も好ましくは、減圧弁をいったん全閉とし、次いで全
閉とする。いずれの場合でも、減圧弁の開放操作はでき
る限り急激に行なうべきである。減圧弁の制御装置の特
性によるが、開放操作は30秒以内、好ましくは15秒
以内に終了するようにすべきである。
【0008】この開放操作の所要時間が短ければ短いほ
ど、流路に付着している結晶に大きな衝撃を与えること
ができ、従って付着結晶の剥離が促進される。減圧弁の
制御装置が許容するならば5秒以内で減圧弁を開放する
ようにすべきである。減圧弁の開放は流量の増加を招
き、従って開放時間が長いと晶析槽内の晶析条件を変化
させる。本発明では晶析槽内の条件をできるだけ変化さ
せないようにするため、減圧弁は開放後すみやかに定常
時の開度に戻すようにする。減圧弁を開放している時間
は長くても30秒、通常は15秒以内で十分である。本
発明の好ましい態様では減圧弁の開放時間は10秒以内
である。
【0009】このような減圧弁の開放操作は連続して数
回行なうのが好ましい。この場合には、付着結晶に衝撃
が反復して加えられるので、減圧弁の開放時間は5秒以
内でよい。開放操作を連続して行う場合には、減圧弁の
開−閉操作をできるだけすみやかに行ない、通常は1分
以内、長くても3分以内にもとの定常状態の減圧弁の開
度に復帰させるのが好ましい。
【0010】本発明方法による付着結晶の除去操作は流
路の閉塞状況に応じて行うこともできるが、通常は定期
的に行なうのが好ましい。その頻度は勿論対象とする晶
析槽における結晶の付着状況により異なるが、前述のテ
レフタル酸スラリーからのテレフタル酸の晶析の場合に
は、1時間〜1日に1回程度で十分である。
【0011】本発明の実施態様の1例について説明する
と、水添精製を経たテレフタル酸水溶液から多段階の晶
出操作によりテレフタル酸結晶を析出させる方法におい
て、前段階の晶析槽内の約200℃のテレフタル酸スラ
リーを、減圧弁を経て、約185℃に保持されている晶
析槽に連続的に供給する。減圧弁の開度を一定として運
転すると、約1〜3日で減圧弁の下流部の導管にかなり
の閉塞が生ずるので、熱水を通して析出しているテレフ
タル酸結晶を溶解させなければならない。これに対し、
減圧弁を全閉−全開する操作を連続して3回行なう操作
を6〜12時間に1回行なうと、閉塞を生ずることなく
安定した運転を行うことができる。
【0012】
【発明の効果】本発明によれば、定常的な晶析操作の間
に減圧弁の急激な開放操作を短時間行なうことにより、
晶析条件に影響を与えずに結晶付着による閉塞を回避す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 後田 敏晴 愛媛県松山市大可賀3−580 三菱化成株 式会社松山工場内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶を析出させるべき溶液又はスラリー
    を、減圧弁を経てより低い圧力下にある品析槽に連続的
    に供給して結晶を析出させる方法において、定常運転の
    間に減圧弁を急激に操作して減圧弁を通過する流量を急
    増させる操作を挿入することを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 減圧弁の急激な操作が、先ず減圧弁を絞
    り次いで急激に開放する操作であることを特徴とする請
    求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 減圧弁の急激な操作が、先ず減圧弁を全
    閉し、次いで全開する操作であることを特徴とする請求
    項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 減圧弁の急激な操作に要する時間が30
    秒以内であることを特徴とする請求項1ないし3のいず
    れかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 減圧弁の急激な操作を短時間内に連続し
    て行なうことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか
    に記載の方法。
  6. 【請求項6】 結晶を析出させるべき溶液又はスラリー
    が、テレフタル酸スラリーであることを特徴とする請求
    項1ないし5のいずれかに記載の方法。
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