JPH0889259A - 自律複製配列を有するdna断片、その塩基配列、及びその利用 - Google Patents

自律複製配列を有するdna断片、その塩基配列、及びその利用

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JPH0889259A
JPH0889259A JP6301140A JP30114094A JPH0889259A JP H0889259 A JPH0889259 A JP H0889259A JP 6301140 A JP6301140 A JP 6301140A JP 30114094 A JP30114094 A JP 30114094A JP H0889259 A JPH0889259 A JP H0889259A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 コリネ型細菌、例えばブレビバクテリウム・
フラバムMJ−233由来の自立複製配列を有するDN
A断片及びその利用。 【効果】 本発明のDNA断片を用いて造成される環状
DNAベクターは、コリネ型細菌内で低コピー数で存在
し、自律複製可能であり、該環状DNAベクターを用い
ることにより、高コピー数存在すると宿主コリネ型細菌
に悪影響を与える遺伝子等のクローニングが可能とな
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、コリネ型細菌染色体に
由来する自律複製配列を有するDNA断片及びそれが導
入された環状DNAに関する。染色体に由来する自律複
製配列を有するDNA領域(以下これを「ars(Auto
monous Replication Sequence)領域」ということがあ
る)とは、染色体の複製開始に必要とされるDNA領域
又はその一部のDNA領域を意味するものである。コリ
ネ型細菌染色体に由来するars領域を含むDNA断片
を適当な薬剤耐性マーカーとなりうるベクターと連結す
ることにより、コリネ型細菌内で1〜2コピーの低コピ
ー数で存在し、自律複製可能な環状DNAを造成するこ
とができる。この低コピー数ベクターは、高発現化によ
り細胞に悪影響を与える遺伝子のクローニング等に有効
である。
【0002】
【従来の技術】微生物由来の自律複製配列を有する配列
を含む領域であるars領域は、エシェリヒア・コリ
(Escherichia coli )由来のもの〔プロシーディング
・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・
ユー・エス・エー(Proc. Natl.Acad. Sci. USA)、7
4、5458 〜 5462 (1977)参照〕、シュードモナス・プ
チダ (Pseudomonas putida)由来のもの〔モレキュラ
ー・ジェネラル・ジェネティックス(Mol. Gen. Gene
t.)、215、381 〜 387 (1979)参照〕、バチルス・サ
チルス(Bacillus subtilis )由来のもの〔エンボ・ジ
ャーナル(EMBO J.)、 4、3345〜3350 (1985) 参
照〕、マイクロコッカッス・ルテウス(Micrococcus lu
teus)由来のもの〔ジーン(Gene)、93、73〜78 (199
0) 参照〕、ストレプトミセス・リビダンス(Storeptom
yces lividans)由来のもの〔ジャーナル・オブ・バク
テリオロジー(Journal of Bacteriology )、174 、26
88〜2693 (1992) 参照〕等がよく研究されている。
【0003】しかしながら、産業上重要なコリネ型細菌
由来のars領域については本発明者らの知る限り、従
来の報告例はない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、コリネ型細
菌内に低コピー数で存在し自律複製するベクターの造成
に利用可能な、コリネ型細菌染色体由来のars領域を
含むDNA断片を提供するためになされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、コリ
ネ型細菌染色体に由来する自律複製配列を有する領域
(ars領域)を含むDNA断片、該DNA断片が導入
されたコリネ型細菌内で自律複製可能な環状DNA及び
該環状DNAベクターで形質転換されたコリネ型細菌を
提供するものである。
【0006】本発明のars領域DNA断片を用いるこ
とにより、コリネ型細菌内で自律複製し、低コピー数、
すなわち1〜2コピー数で存在しうる環状DNAを造成
することができる。この環状DNAベクターは、プラス
ミドベクター、ファージベクターと同様に遺伝子のクロ
ーニング等に有効である。また、特に宿主細胞に悪影響
を与える遺伝子のクローニング等に利用可能であると考
えられる。
【0007】以下に、本発明の断片について詳細に説明
する。本発明のars領域を含むDNA断片(以下これ
を「ars領域DNA断片」ということがある)は、そ
の塩基配列が決定された後においては合成することも可
能であるが、通常はコリネ型細菌染色体からクローニン
グされる。
【0008】ここで、「コリネ型細菌(Coryneform bac
teria )」とはバージーズ・マニュアル・オブ・デター
ミネイティブ・バクテリオロジー〔(Bargeys Manual o
f Determinative Bacteriology) 、8 、599 (1974) 〕
に定義されている一群の微生物であり、好気性、グラム
陽性、非抗酸性、胞子形成能を有さない桿菌を意味し、
その具体例として、例えばブレビバクテリウム・アンモ
ニアゲネス (Brevibacterium ammoniagenes) ATCC 687
1、ブレビバクテリウム・デイバリカタム (Brevibacter
ium divaricatum) ATCC 14020、ブレビバクテリウム・
ラクトファーメンタム (Brevibacterium lactofermentu
m) ATCC 13869 、ブレビバクテリウム・リネンス (Brev
ibacterium linens) ATCC 9174、ブレビバクテリウム・
フラバム (Brevibacterium flavum) ATCC 13826 、ブレ
ビバクテリウム・フラバム (Brevibacterium flavum) M
J-233 (FERM BP-1497) 、コリネバクテリウム・グルタ
ミカム (Corynebacterium glutamicum) ATCC 13032、同
ATCC 13060、コリネバクテリウム・リリウム (Coryneba
cterium lilium) ATCC 15990、コリネバクテリウム・メ
ラセコラ (Corynebacterium melassecola) ATCC 17965
等を挙げることができる。
【0009】これらコリネ型細菌に属する微生物の中
で、ars領域DNA断片の供給源としては、殊にブレ
ビバクテリウム・フラバム (Brevibacterium flavum)M
J−233(FERM BP−1497)およびその由
来株が有利に利用される。本発明のars領域DNA断
片は、上記コリネ型細菌染色体上に存在し、コリネ型細
菌から抽出した染色体DNA(特開平4−27808
8、実施例2参照)を鋳型として適当なプライマーを選
択して、PCR反応により増幅させることにより、取得
することができる。
【0010】微生物染色体の自律複製配列を有するDN
A領域であるars領域は、微生物染色体の複製開始点
(oriC)を含み、エシェリヒア・コリ(Escherichi
a coli )由来のもの〔プロシーディング・オブ・ナシ
ョナル・アカデミー・オブ・サイエンス・ユー・エス・
エー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)、74、5458 〜546
2 (1977)参照〕、シュードモナス・プチダ (Pseudom
onas putida)由来のもの〔モレキュラー・ジェネラル
・ジェネティックス(Mol. Gen. Genet.)、215、381
〜 387 (1979)参照〕、バチルス・サチルス(Bacillu
s subtilis )由来のもの〔エンボ・ジャーナル(EMBO
J.)、 4、3345〜3350 (1985) 参照〕、マイクロコッ
カッス・ルテウス(Micrococcus luteus)由来のもの
〔ジーン(Gene)、93、73〜78 (1990) 参照〕等がよく
研究されており、塩基配列が決定されている。これら4
種の微生物のars領域のDNA塩基配列の解析の結
果、ars領域と考えられる領域はrpmH遺伝子とd
naN遺伝子の間に挟まれる形で存在するdnaA遺伝
子の近傍に存在することが示されている。そこで、これ
ら4種の微生物のDNA塩基配列より推定されるDna
A、RpmHおよびDnaNタンパク質アミノ酸配列間
で保存されている領域、特にDNA塩基配列においても
特に保存されている領域を検討し、適当なプライマーを
設計し、コリネ型細菌の染色体DNAを鋳型とするPC
R法により、ars領域を増幅し、取得することができ
る。
【0011】このようにして得られるars領域DNA
断片の1つは、前記ブレビバクテリウム・フラバムMJ
−233株の染色体DNAを鋳型とし、rpmH遺伝子
のDNA塩基配列に基づいて設計されたプライマー、例
えば下記RPMH−1及びdnaN遺伝子のDNA塩基
配列に基づいて設計されたプライマー、例えば下記DN
AN−1の2種のプライマーを用いて、PCR反応によ
り増幅させることによって得られる大きさが約3.5k
bのDNA断片(以下これを「C断片」ということがあ
る)をあげることができる。
【0012】 (RPMH−1)GGGGA TCCTT RTTNG GYTGR AANGT NCKYT T (31mer) (DNAN−1)GGGTC GACGC MAGVC GGTRR CBRTC SGTKG C (31mer) (配列中、RはA又はG、YはC又はT、KはT又は
G、SはG又はC、MはC又はA、VはA、G、又は
C、BはG、C又はT、NはA、G、C又はTを示す。
ここでAはアデニン、Gはグアニン、C はシトシン、
Tはチミンを示す。) このars領域DNA断片を、各種の制限酵素で切断し
た時の認識部位数及び切断断片の大きさを第1表に、そ
の制限酵素切断点地図を図1に示す。
【0013】
【表1】 第1表 大きさが約3.5kbのDNA断片 制限酵素 認識部位数 切断断片の大きさ(kb) EcoRI 3 1.1、1.0、0.9、0.5 HindIII 4 1.8、1.4、0.16、0.07、0 .07 SalI 1 2.3、1.2
【0014】なお、本明細書において、制限酵素による
「認識部位数」は、DNA断片又はプラスミドを、制限
酵素の存在下で完全分解し、それらの分解物をそれ自体
既知の方法に従い1%アガロースゲル電気泳動および5
%ポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、分離可能な
断片の数から決定した値を採用した。
【0015】また、「切断断片の大きさ」及びプラスミ
ドの大きさは、アガロースゲル電気泳動を用いる場合に
は、エシェリヒア・コリのラムダファージ(λphag
e)のDNAを制限酵素HindIIIで切断して得ら
れる分子量既知のDNA断片の同一アガロースゲル上で
の泳動距離で描かれる標準線に基づき、また、ポリアク
リルアミドゲル電気泳動を用いる場合には、エシェリヒ
ア・コリのファイ・エックス174ファージ(φx17
4phage)のDNAを制限酵素HaeIIIで切断
して得られる分子量既知のDNA断片の同一ポリアクリ
ルアミドゲル上での泳動距離で描かれる標準線に基づ
き、切断DNA断片の各DNA断片の大きさを算出す
る。
【0016】上記した大きさが約3.5kbの増幅DN
A断片は、そのままars領域DNA断片として利用す
ることができるが、更に次に述べる方法により複製に必
要なDNA領域に縮小化後に利用することもできる。す
なわち、前記したとおり、ars領域は、dnaA遺伝
子の上流及び下流にそれぞれrpmH遺伝子とdnaN
遺伝子に挟まれる形で存在しており、dnaA遺伝子の
DNA塩基配列に基づいて設計された適当なプライマー
と、前記したrpmH遺伝子のDNA塩基配列に基づい
て設計された適当なプライマー及びdnaN遺伝子のD
NA塩基配列に基づいて設計された適当なプライマーを
それぞれ用いて、前記MJ−233株染色体DNAまた
は大きさが約3.5kbの増幅DNA断片を鋳型とし
て、PCR法により、dnaA遺伝子の上流及び下流に
存在するoriC領域部分DNA断片を増幅することに
より、縮小化されたoriC領域を取得することができ
る。
【0017】上記で用いるdnaA遺伝子のDNA塩基
配列に基づいて設計された適当なプライマーとしては、
例えば、下記DNAA−3及びDNAA−4の2種のプ
ライマーを挙げることができる。 (DNAA−3)GGGGA TCCGT TGAAG GTATG GAAGA A (31mer) (DNAA−4)GGGTC GACTG CCAGC CGCTT TGAAT C (31mer) (配列中、Aはアデニン、Gはグアニン、C はシトシ
ン、Tはチミンを示す。)
【0018】かくして得られる縮小化されたoriC領
域の部分DNA断片としては、例えば、上記RPMH−
1とDNAA−3の2種のプライマーを用いて増幅され
る大きさ約1.7kbのDNA断片(以下これを「A断
片」ということがある)、このDNA断片を制限酵素S
alIで分解して得られる大きさが約1.2kbのDN
A断片(以下これを「D断片」ということがある)、上
記DNAA−4とDNAN−2の2種のプライマーを用
いて増幅される大きさが約1.5kbのDNA断片を挙
げることができる。
【0019】これら大きさが約1.7kb、約1.2k
b及び約1.5kbのoriC領域部分DNA断片を各
種の制限酵素で切断した時の認識部位数及び切断断片の
大きさを第2表〜第4表及び図2〜図3にそれぞれ示
す。
【0020】
【表2】第2表 大きさが約1.7kbのDNA断片 制限酵素 認識部位数 切断断片の大きさ(kb) BamHI 0 1.7 EcoRI 2 1.0、1.5、0.2 HindIII 2 1.4、0.2、0.1 SalI 1 1.2、0.5
【0021】
【表3】第3表 大きさが約1.2kbのDNA断片 制限酵素 認識部位数 切断断片の大きさ(kb) BamHI 0 1.2 EcoRI 1 0.7、0.5 HindIII 0 1.2 SalI 0 1.2
【0022】
【表4】第4表 大きさが約1.5kbのDNA断片 制限酵素 認識部位数 切断断片の大きさ(kb) BamHI 1 1.2、0.3 EcoRI 1 0.9、0.6 HindIII 2 1.2、0.2、0.1 PvuII 2 0.7 0.5 0.3 SalI 0 1.5 XhoI 1 0.9、0.6
【0023】上記DNA断片は、その塩基配列をジデオ
キシヌクレオチド酵素法(dideoxychain termination
法)〔Sanger F. et al.、プロシーディング・オブ・ナ
ショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ユー
・エス・エー(Proc. Natl.Acad. Sci. USA)、74、546
3、(1977)〕等により決定することができる。このよう
にして決定した上記大きさ約3.5kbのDNA断片
(C断片)の配列を後記配列表の配列番号1に示す。こ
の配列中に存在するオープンリーディングフレームか
ら、dnaA遺伝子は、配列中のアミノ酸番号1からア
ミノ酸番号463までのアミノ酸配列をコードするもの
であることが明らかとなった。上記の複製開始領域を含
むDNA断片は、天然の細菌染色体DNA、例えばコリ
ネ型細菌染色体DNAから分離されたもののみならず、
通常用いられるDNA合成装置、例えばベックマン社製
システム−1プラス(System-1 Plus)を用いて合成さ
れたものであってもよい。また、前記の如くブレビバク
テリウム・フラバムMJ−233等の細菌染色体から取
得される本発明のDNA断片は、コリネ型細菌等の細胞
内での複製開始能実質的に損なうことがない限り、塩基
配列の一部の塩基が他の塩基と置換されていても、削除
されていてもよく、新たに塩基が挿入されていてもよ
く、あるいは塩基配列の一部が転移されているものであ
ってもよく、さらにそれらの塩基配列にハイブリダイズ
する塩基配列であってもよく、これらの誘導体のいずれ
もが、本発明の染色体複製開始領域を含むDNA断片に
包含されるものである。
【0024】上記ars領域DNA断片を用いて環状D
NAベクターの構築に用いる場合、dnaA遺伝子の上
流及び下流に由来する2種のDNA断片、すなわち上記
大きさが約1.7kb又は1.2kbのDNA断片及び
大きさが約1.5kbのDNA断片を用いることも可能
である。
【0025】環状DNAベクターの構築に用いられる前
記ars領域DNA断片に導入されるマーカーDNA断
片としては、コリネ型細菌内でマーカーとして働く遺伝
子を含有しているものであれば特に制限はなく、カナマ
イシン耐性遺伝子を保有するプラスミドpHSG29
8、pHSG299(宝酒造製)、クロラムフェニコー
ル耐性遺伝子を保有するプラスミドpHSG398、p
HSG399(宝酒造製)等が好適に使用される。
【0026】上記マーカーDNA断片の前記ars領域
DNA断片への導入は、例えば、まずプラスミドpHS
G298を適当な制限酵素により解裂させ、それに前記
したars領域DNA断片を連結酵素処理により結合さ
せることにより行なう。ars領域DNA断片が部分D
NA断片である場合は、前記したdnaA遺伝子の上流
及び下流に存在するars領域部分DNA断片が導入さ
れた各プラスミドからars領域部分DNA断片を切り
出すか又はプラスミドを解裂し、連結酵素処理により結
合させることにより行なう。
【0027】このようにして構築される環状DNAベク
ターとしては、例えば、大きさが2.7kbのプラスミ
ドpHSG298DNA断片にdnaA遺伝子の上流に
存在する大きさが1.2kbのDNA断片および、dn
aA遺伝子の下流に存在する大きさが1.5kbのDN
A断片が挿入された環状DNAベクターpHSG298
−oriCを挙げることができる。この環状DNAベク
ターpHSG298−oriCの構築方法の詳細は後記
実施例2で述べる。
【0028】本発明による環状DNAベクターで形質転
換し得る微生物としては、コリネ型細菌、例えばブレビ
バクテリウム・フラバムMJ−233(FERM BP
−1497)、ブレビバクテリウム・フラバムMJ−2
33−AB−41(FERMBP−1498)、ブレビ
バクテリウム・フラバムMJ−233−ABT−11
(FERM BP−1500)、ブレビバクテリウム・
フラバムMJ−233−ABD−21(FERM BP
−1499)等が挙げられる。
【0029】これらの微生物の他に、ブレビバクテリウ
ム・アンモニアゲネス (Brevibacterium ammoniagenes)
ATCC 6871、同 ATCC 13745 、同 ATCC 13746 、ブレビ
バクテリウム・デイバリカタム (Brevibacterium divar
icatum) ATCC 14020、ブレビバクテリウム・ラクトファ
ーメンタム (Brevibacterium lactofermentum) ATCC138
69 、コリネバクテリウム・グルタミカム (Corynebacte
rium glutamicum) ATCC 31831等を宿主微生物として用
いることもできる。
【0030】尚、宿主としてブレビバクテリウム・フラ
バムMJ−233株由来の菌株を用いる場合、本菌株が
保有するプラスミドpBY502(特開昭63ー367
87号公報参照)のため、形質転換が困難である場合が
あるので、そのような場合には、本菌株よりプラスミド
pBY502を除去することが望ましい。そのようなプ
ラスミドpBY502を除去する方法としては、例え
ば、継代培養を繰り返すことにより自然に欠失させるこ
とも可能であるし、人為的に除去することも可能である
〔バクテリオロジカル・レビュー(Bact. Rev.) 、36、
361 〜405 (1972)参照〕。
【0031】上記コリネ型細菌、例えば、ブレビバクテ
リウム・フラバムMJ−233への前記プラスミドの形
質転換(前記プラスミドの導入)は、DNA受容菌にパ
ルス波を通電することにより〔Satoh Y. et al. 、ジャ
ーナル・オブ・インダストリアル・マイクロバイオロジ
ー(Journal of Industrial Microbiology) 、5 、159
(1990) 参照〕行なうことができる。
【0032】かくして得られる形質転換株を選択圧下で
培養し、生成するコロニーを取得することにより、本発
明の環状DNAベクターで形質転換されたコリネ型細菌
を得ることができる。上記の方法で形質転換して得られ
る環状DNAベクターを保有するコリネ型細菌として
は、例えば、前記プラスミドpHSG298−oriC
を保有するブレビバクテリウム・フラバムMJ233−
oriC(FERM P−13303)を挙げることが
できる。
【0033】本発明の上記コリネ型細菌、例えばブレビ
バクテリウム・フラバムMJ233−OriC中に存在
する環状DNAベクター(pHSG298−oriC)
の確認は、例えば、該形質転換株及び比較として親株、
例えばブレビバクテリウム・フラバムMJ−233のD
NA抽出液を、常法〔モレキュラー・クローニング(Mo
lecular Cloning ) 、Cold Spring Harbor Laboratory
Press (1989)〕に従いゲノミックスサザンハイブリダ
イゼーションに供し、ars領域の検出を行うことによ
り可能である。この時プローブとしては、前期のPCR
法により増幅したDNA断片を、ランダムラベルキット
(宝酒造より市販)等によりラベルしたものを用いるこ
とができる。また、ブレビバクテリウム・フラバムMJ
−233−OriCより得られたDNA抽出液、およ
び、比較例として、ブレビバクテリウム・フラバムMJ
−233のDNA抽出液を鋳型とし、前期4種の微生物
のDNA塩基配列より推定されるDnaA、RpmHお
よびDnaNタンパク質アミノ酸配列間で保存されてい
る領域、特にDNA塩基配列においても特に保存されて
いる領域をもとに設計したプライマーを用い、前述の方
法に従ってPCR反応を行い、得られた反応液をアガロ
ースゲル電気泳動により解析することによりブレビバク
テリウム・フラバムMJ233−OriC中に存在する
環状DNAベクター(pHSG298−oriC)を確
認することができる。
【0034】
【実施例】以上に本発明を説明してきたが、下記の実施
例によりさらに具体的に説明する。 参考例1 ブレビバクテリウム・フラバムMJ−233
由来のdnaA遺伝子断片の一部(dnaA断片)のク
ローン化
【0035】(A)ブレビバクテリウム・フラバムMJ
−233の全DNAの抽出 半合成培地A培地〔組成:尿素2g、(NH42SO4
7g、K2HPO40.5g、KH2PO4 0.5g、
MgSO4 0.5g、FeSO4・7H2O6mg、M
nSO4・4〜6H2O 6mg、酵母エキス2.5g、
カザミノ酸5g、ビオチン200μg、塩酸チアミン2
00μg、グルコース20g、蒸留水11〕1lに、ブ
レビバクテリウム・フラバムMJ−233(FERM
BP−1497)を対数増殖期後期まで培養し、菌体を
集めた。得られた菌体を10mg/mlの濃度にリゾチ
ームを含む10mM NaCl−20mMトリス緩衝液
(pH8.0)−1mM EDTA・2Na溶液15m
lに懸濁した。次にプロテナーゼKを、最終濃度が10
0μg/mlになるように添加し、37℃で1時間保温
した。さらにドデシル硫酸ナトリウムを最終濃度が0.
5%になるように添加し、50℃で6時間保温して溶菌
した。この溶菌液に、等量のフェノール/クロロホルム
溶液を添加し、室温で10分間ゆるやかに振盪した後、
全量を遠心分離(5,000×g、20分間、10〜1
2℃)し、上清画分を分取し、酢酸ナトリウムを0.3
Mとなるように添加した後、2倍量のエタノールをゆっ
くりと加えた。水層とエタノール層の間に存在するDN
Aをガラス棒でまきとり、70%エタノールで洗浄した
後、風乾した。得られたDNAに10mMトリス緩衝液
(pH7.5)−1mM EDTA・2Na溶液5ml
を加え、4℃で一晩静置し、鋳型DNAとして、PCR
に使用した。
【0036】(B)PCRプライマーの設計 dnaA遺伝子は原核生物では、エシェリヒア・コリ
(Escherichia coli )由来のもの〔プロシーディング
・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・
ユー・エス・エー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)、7
4、5458 〜 5462(1977)参照〕、シュードモナス・プ
チダ (Pseudomonas putida)由来のもの〔モレキュラ
ー・ジェネラル・ジェネティックス(Mol. Gen. Gene
t.)、215、381 〜 387 (1979)参照〕、バチルス・サ
チルス(Bacillus subtilis )由来のもの〔エンボ・ジ
ャーナル(EMBO J.)、 4、3345〜3350 (1985) 参
照〕、マイクロコッカス・ルテウス由来のもの〔ジーン
(Gene)、93、73〜78 (1990) 参照〕がよく研究されて
おり、塩基配列が決定されている。これら5種の微生物
のdnaA塩基配列より推定されるDnaAタンパク質
アミノ酸配列間で保存されている領域、特にDNA塩基
配列においても特に保存されている領域を検討し、下記
の2つのプライマーを設計し、アプライド・バイオシス
テムズ(Applied Biosystems)社製
394 DNA/RNAシンセサイザー(synthe
sizer)を用いて合成した。
【0037】 (DNAA−1)GGYYT RGGMA ARACM CACYT (20 mer) (DNAA−2)RAYGC MCCYT CMAGY TMACG (20 mer) (配列中、RはA又はG、YはC又はT、MはA、G、
C又はTを示し、ここでAはアデニン、Gはグアニン、
C はシトシン、Tはチミンを示す。)
【0038】これら2つのプライマーを用いて上記
(A)で調製した染色体を鋳型としてPCRを行うと、
ブレビバクテリウム・フラバムMJ−233株染色体上
のdnaA遺伝子部分の増幅により、約500bpのP
CR反応産物が得られると期待される。
【0039】(C)PCR反応 実際のPCR反応はパーキンエルマーシータス社製のD
NAサーマルサイクラーを用いて下記の条件で行った。 反応液: 50mM KCl 10mM Tris−HCl(pH8.4) 1.5mM MgCl2 鋳型DNA 5μl 上記(B)で作製したプライマー 各々0.25μM dNTPs 各々200μM TaqDNAポリメラーゼ(宝酒造) 2.5unit
s 以上を混合し、100μlとした。 PCRサイクル: デナチュレーション過程:94℃ 60秒 アニーリング過程:37℃ 120秒 エクステンション過程:72℃ 180秒 以上を1サイクルとし、30サイクル行った。
【0040】(D)反応物の検出 上記(C)で生成した反応液10μlを2%アガロース
ゲルにより電気泳動を行ったところ約500bpの断片
が検出された。
【0041】(E)増幅断片のクローン化 上記(C)項で得た反応液3μlとPCR産物クローニ
ングベクターpGEM−T(PROMEGAより市販)
1μlを混合し、50mMトリス緩衝液(pH7.
6)、10mMジチオスレイトール、1mM ATP、
10mM MgCl 2及びT4 DNAリガーゼ1uni
tの各成分を添加し(各成分の濃度は最終濃度であ
る)、4℃で15時間反応させ、結合させた。
【0042】得られたプラスミド混液を用い、塩化カル
シウム法〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロ
ジー(Journal of Molecular Biology)、53、159 (19
70)〕によりエシェリヒア・コリJM109(宝酒造
製)を形質転換し、アンピシリン50mgを含む培地
〔トリプトン10g、イーストエキストラクト5g、N
aCl 5g及び寒天16gを蒸留水11に溶解〕に塗
抹した。
【0043】この培地上の生育株を常法により液体培養
し、培養液よりプラスミドDNAを抽出し、該プラスミ
ドを制限酵素により切断し、挿入断片を確認した。この
結果、プラスミドpGEM−Tの長さ3.0kbのDN
A断片に加え、長さ約500bpの挿入断片が認められ
た。
【0044】(F)増幅断片の塩基配列の決定 参考例1の(E)項で得られた長さが約500bpの増
幅断片について、その塩基配列をジデオキシヌクレオチ
ド酵素法(dideozychain termination法)〔Sanger F.
et al.、プロシーディング・オブ・ナショナル・アカデ
ミー・オブ・サイエンス・オブ・ユー・エス・エー(Pr
oc.Nat .Acad.Sci .USA )、74、5463(1977)〕に
より決定した。
【0045】塩基配列決定の結果、該挿入断片はマイク
ロコッカス・ルテウス由来のdnaA断片の一部(PC
Rに使用したプライマーによって挟まれる領域)と高い
ホモロジーを示し、ブレビバクテリウム・フラバムMJ
−233由来のdnaA断片の一部をクローニングした
ことを確認した。
【0046】実施例1 ブレビバクテリウム・フラバム
MJ−233由来のars領域DNA断片のクローン化 (A)PCRプライマーの設計 微生物染色体の複製に必要とされるDNA領域であるa
rs領域は、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli
)由来のもの〔プロシーディング・オブ・ナショナル
・アカデミー・オブ・サイエンス・ユー・エス・エー
(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)、74、5458 〜 5462
(1977)参照〕、シュードモナス・プチダ (Pseudomon
as putida)由来のもの〔モレキュラー・ジェネラル・
ジェネティックス(Mol. Gen. Genet.)、215、381 〜
387 (1979)参照〕、バチルス・サチルス(Bacillus s
ubtilis )由来のもの〔エンボ・ジャーナル(EMBO
J.)、 4、3345〜3350 (1985) 参照〕、マイクロコッカ
ス・ルテウス由来のもの〔ジーン(Gene)、93、73〜78
(1990) 参照〕がよく研究されており塩基配列が決定さ
れている。これら4種の微生物のars領域のDNA塩
基配列の解析の結果、ars領域と考えられる領域はr
pmH遺伝子とdnaN遺伝子の間に挟まれる形で存在
するdnaA遺伝子の近傍に存在することが示されてい
る。そこで、これら4種の微生物のDNA塩基配列より
推定されるRpmHおよびDnaNタンパク質アミノ酸
配列間で保存されている領域、特にDNA塩基配列にお
いても特に保存されている領域を検討し、rpmH遺伝
子のDNA塩基配列に基づいて設計した下記プライマー
RPMH−1及びdnaA遺伝子のDNA塩基配列に基
づいて設計した下記プライマーDNAN−1の2つのプ
ライマーを設計し、アプライド・バイオシステムズ(A
pplied Biosystems)社製394 D
NA/RNAシンセサイザー(synthesize
r)を用いて合成した。
【0047】 (RPMH−1)GGGGA TCCTT RTTNG GYTGR AANGT NCKYT T (31mer) (DNAN−1)GGGTC GACGC MAGVC GGTRR CBRTC SGTKG C (31mer) (配列中、RはA又はG、YはC又はT、KはT又は
G、SはG又はC、MはC又はA、VはA、G、又は
C、BはG、C又はT、NはA、G、C又はTを示す。
【0048】ここでAはアデニン、Gはグアニン、Cは
シトシン、Tはチミンを示す。) なお、RPMH−1の5’末端にはクローニングサイト
として制限酵素BamHI認識部位を、DNAN−1の
5’末端にはクローニングサイトとして制限酵素Sal
I認識部位をを付加した。
【0049】また、参考例1の(F)で明らかになった
dnaA遺伝子のDNA塩基配列をもとに、下記の2つ
のプライマーを設計し、上記と同様に合成した。 (DNAA−3)GGGGA TCCGT TGAAG GTATG GAAGA A (31mer) (DNAA−4)GGGTC GACTG CCAGC CGCTT TGAAT C (31mer) (配列中、Aはアデニン、Gはグアニン、Cはシトシ
ン、Tはチミンを示す。) なお、DNAA−3の5’末端にはクローニングサイト
として制限酵素BamHI認識部位を、DNAA−4の
5’末端にはクローニングサイトとして制限酵素Sal
I認識部位を付加した。
【0050】これら4つのプライマーを用いて参考例1
の(A)で調製した染色体を鋳型としてPCRを行っ
た。プライマーRPMH−1とDNAN−1により全d
naA遺伝子を含むoriC領域全体が、RPMH−1
とDNAA−3によりdnaA遺伝子上流領域が、DN
AA−4とDNAN−1によりdnaA遺伝子下流領域
がPCR反応産物として得られると期待される。
【0051】(B)PCR反応 参考例の(C)の方法に従いPCR反応を行った。 (C)反応物の検出 上記(B)で生成した反応液10μlを2%アガロース
ゲルにより電気泳動を行ったところ、プライマーRPM
H−1とDNAN−1により約3.5kbのDNA断片
(C断片)の増幅が、RPMH−1とDNAA−3によ
り約1.7kbのDNA断片(A断片)の増幅が、DN
AA−4とDNAN−1により約1.5kbのDNA断
片(B断片)の増幅が検出された。また、プライマーR
PMH−1とDNAN−1により増幅した約3.5kb
のDNA断片を鋳型としてPCRをおこなった場合、染
色体を鋳型として用いた場合と同じように、プライマー
RPMH−1とDNAA−3により約1.7kbのDN
A断片が、DNAA−4とDNAN−1により約1.5
kbのDNA断片が検出された。
【0052】プライマーRPMH−1とDNAN−1に
より増幅された大きさが約3.5kbのDNA断片(C
断片)、プライマーRPMH−1とDNAA−3により
増幅された大きさが約1.7kbのDNA断片(A断
片)、このDNA断片を制限酵素SalIにより切断し
て得られる大きさが約1.2kbのDNA断片(D断
片)、プライマーDNAA−4とDNAN−1により増
幅された大きさが約1.5kbのDNA断片(B断片)
のそれぞれを各種制限酵素で切断して、切断断片の大き
さを測定した。その結果は、前記第1表〜第3表に示し
た通りであった。これらDNA断片の制限酵素切断点地
図及び各DNA断片の相互関連を図1〜図3に示す。
【0053】(D)増幅DNA断片のクローン化 上記(C)項で得られたA断片を制限酵素BamHIで
切断したものに、制限酵素BamHIで切断したカナマ
イシン耐性プラスミドpHSG298を混合し、50m
Mトリス緩衝液(pH7.6)、10mMジチオスレイ
トール、1mMATP、10mM MgCl2 及びT
4 DNAリガーゼ1unitの各成分を添加し(各成分
の濃度は最終濃度である)、4℃で15時間反応させ、
結合させた。
【0054】得られたプラスミド混液を用い、塩化カル
シウム法〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロ
ジー(Journal of Molecular Biology)、53、159 (19
70)〕によりエシェリヒア・コリJM109(宝酒造
製)を形質転換し、カナマイシン50mgを含む培地
〔トリプトン10g、イーストエキストラクト5g、N
aCl 5g及び寒天16gを蒸留水11に溶解〕に塗
抹した。
【0055】この培地上の生育株を常法により液体培養
し、培養液よりプラスミドDNAを抽出し、該プラスミ
ドを制限酵素により切断し、挿入断片を確認した。この
結果、大きさが2.7kbのプラスミドpHSG298
のDNA断片に加え、大きさ約1.7kbの挿入DNA
断片(A断片)が認められた。このプラスミドをpHS
G298−A1と命名した。
【0056】また、上記(C)項で得られたB断片を、
前記の方法に従いpGEM−T(PROMEGAより市
販)にクローニングした。得られたプラスミドを制限酵
素SalIにより切断し、挿入断片を確認した。この結
果、大きさが約3.0kbのプラスミドpGEM−TD
NA断片に加え、大きさが約1.5kbの挿入断片(B
断片)が認められた。このプラスミドをpGEM−B1
と命名した。
【0057】(E)増幅DNA断片の塩基配列の決定 上記(D)項で得られたプラスミドpHSG298−A
1及びpGEM−B1に含まれるA断片およびB断片に
ついて、その塩基配列をジデオキシヌクレオチド酵素法
(dideozychain termination法)〔Sanger F. et al.、
プロシーディング・オブ・ナショナル・アカデミー・オ
ブ・サイエンス・オブ・ユー・エス・エー(Proc.Nat
.Acad.Sci .USA )、74、5463(1977)〕により決
定した。
【0058】塩基配列決定の結果、A断片は一方にrp
mH遺伝子のN末領域と、他方にマイクロコッカス・ル
テウス由来のdnaA遺伝子の一部と高いホモロジーを
示し、ブレビバクテリウム・フラバムMJ−233由来
のdnaA断片の一部及びその上流領域をクローニング
したことを確認した。また、B断片は一方にdnaN遺
伝子のN末領域と、他方にマイクロコッカス・ルテウス
由来のdnaA遺伝子の一部と高いホモロジーを示し、
ブレビバクテリウム・フラバムMJ−233由来のdn
aA断片の一部及びその下流領域をクローニングしたこ
とを確認した。
【0059】実施例2 ブレビバクテリウム・フラバム
MJ−233染色体由来の環状DNAベクターの作成 実施例1の(D)項で得られたプラスミドpHSG29
8−A1をSalIにより切断すると、pHSG298
とA断片の一部(大きさが約1.2kbのD断片)を含
む4.2kbのDNA断片と、A断片の残りの一部分の
約0.5kbのDNA断片とに別れる(図1参照)。こ
の、pHSG298とA断片の一部(D断片)を含む
4.2kbのDNA断片と、pGEM−B1をBamH
Iにより切断することにより得られる1.5kbのB断
片を上記の方法によりT4DNAリガーゼを用いて結合
した。
【0060】上記の如く調製されたDNA混液を用い、
電気パルス法によりブレビバクテリウム・フラバムMJ
−233(FERM BP−1497)プラスミドpB
Y502除去株を形質転換し、カナマイシン25μg/
ml(最終濃度)を含む前記A寒天培地に塗抹し30℃
で2〜3日間培養した。出現したカナマイシン耐性株よ
り、常法によりベクターDNAを抽出し、該ベクターを
制限酵素BamHIおよびSalIにより切断し、アガ
ロースゲル電気泳動を用いて調べたところ、大きさが
2.7kbのプラスミドpHSG298DNA断片に加
え、大きさが約1.2kbのD断片および、大きさが約
1.5kbのB断片が認められた。
【0061】本環状DNAベクターをpHSG298−
oriCと命名した。得られた環状DNAベクターを各
種制限酵素で切断して、切断断片の大きさを測定した。
その結果を下記の第5表に示す。また環状DNAベクタ
ーpHSG298−oriCの制限酵素切断点地図を図
4に示す。
【0062】
【表5】 第5表 制限酵素 認識部位数 切断断片の大きさ(kb) BamHI 2 3.9、1.5 EcoRI 3 3.6、1.3、0.5 HindIII 4 3.6、1.2、0.5、0.1 SalI 2 3.9、1.5 XhoI 1 5.4
【0063】得られた環状DNAベクターを用いて、電
気パルス法によりブレビバクテリウム・フラバムMJ−
233(FERM BP−1497)プラスミドpBY
502除去株を形質転換し、カナマイシン25μg/m
l(最終濃度)を含む前記A寒天培地に塗抹し30℃で
2〜3日間培養したところ、多数の形質転換株が得ら
れ、得られた環状DNAベクターはコリネ型細菌内でa
rs領域DNA断片として複製していることが確認され
た。
【0064】なお、環状DNAベクターpHSG298
−oriCにより形質転換されたブレビバクテリウム・
フラバムMJ233−OriCは、茨城県つくば市東1
丁目1番3号の工業技術院生命工学工業技術研究所に、
平成4年11月24日付で:微工研菌寄第13303号
(FERM P−13303)として寄託されている。
【0065】実施例3 ブレビバクテリウム・フラバム
MJ233−OriC中に存在する環状DNAベクター
(pHSG298−oriC)の確認およびコピー数の
測定 上記参考例1(A)項の方法に従い、ブレビバクテリウ
ム・フラバムMJ233−OriCより全DNAを抽出
した。ブレビバクテリウム・フラバムMJ233−Or
iCより得られたDNA抽出溶液、および、比較例とし
て、参考例1(A)項で得られたブレビバクテリウム・
フラバムMJ−233のDNA抽出溶液を、常法に従い
〔モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning
)、 ColdSpng Harbor Laboratory Press(1989)〕ゲ
ノミックサザンハイブリダイゼーションに供し、ars
領域の検出を行った。この時プローブとしては、実施例
1の(C)で得られたA断片を、ランダムラベルキット
(宝酒造より市販)によりラベルしたものを用いた。
【0066】この結果、染色体由来と考えられるバンド
の他に環状DNAベクター(pHSG298−ori
C)由来と考えられるバンドが検出された。両者のバン
ドの濃さの比較より1細胞当たりの環状DNAベクター
のコピー数は、1〜2と考えられた。
【0067】また、ブレビバクテリウム・フラバムMJ
233−OriCより得られたDNA抽出溶液、およ
び、比較例として、実施例1(A)項で得られたブレビ
バクテリウム・フラバムMJ−233のDNA抽出溶液
を鋳型とし、実施例1の(A)項で用いたRPMH−1
およびDNAN−1をプライマーとして用い、前述の方
法に従ってPCR反応を行った。得られた反応液をアガ
ロース電気泳動により解析したところ、ブレビバクテリ
ウム・フラバムMJ−233のDNA抽出溶液を鋳型と
したPCR反応液からは、約3.5kbのDNA断片の
みが検出されるのに対し、ブレビバクテリウム・フラバ
ムMJ233−OriCのDNA抽出溶液を鋳型とした
反応液からは、約3.5kbのDNA断片の他に、約
2.7kbの環状DNAベクター由来と考えられるDN
A断片が検出された。
【0068】実施例4 ars領域を含むDNA断片の
塩基配列の決定 上記実施例1の(C)項で得られたars領域を含む大
きさ約3.5kbのDNA断片の塩基配列を下記の操作
により決定し、また、このDNA断片上に存在するdn
aA遺伝子の存在部位を特定した。まず、大きさ約3.
5kbのDNA断片溶液 14μlを制限酵素Sau3
A〓を用いて37℃で1〜5分間処理してDNA断片を
部分分解した。次に、クローニングベクターpUC11
8(宝酒造製)を制限酵素BamH〓で切断した。得ら
れたベクター断片と部分分解DNA断片とを混合し、こ
の混合液にそれぞれ最終濃度が50mM トリス緩衝液
(pH7.6),10mM ジオスレイトール、1mM
ATP、10mM MgCl2、およびT4 DNAリガ
ーゼ1unitとなるように各成分を添加し、ベクター
断片と部分分解DNA断片とを結合させた。
【0069】上記と同様に大きさ約3.5kbのDNA
断片溶液 14μlを制限酵素Taq〓 50unitと
5〜8分間反応させて部分分解DNA断片を調製した。
クローニングベクターpUC118を制限酵素Acc〓
で切断した後、これを上記と同様にして部分分解DNA
と結合させた。
【0070】得られたプラスミド混液を用い、常法[J.
Mol. Biol., 53, 159(1970)参照]によりエシエリヒア
・コリJM109株(宝酒造製)を形質転換し、アンピ
シリンを50μg含む前記のL培地に塗抹した。上記培
地に生育した菌株を常法に従い液体培養し、得られた培
養物よりプラスミドDNAを抽出した。抽出したプラス
ミドDNAを用いて、ベクターpUC118に挿入され
た部分分解DNA断片の塩基配列をジデオキシヌクレオ
チド酵素法[dideoxy chain termination method, Sang
er, F. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 74, 546
3(1977)参照]により決定した。
【0071】具体的には、上記培養物より抽出したプラ
スミドDNAをパーキン・エルマー社製カタリスト80
0モレキュラー・バイオロジー・ラボステーション(CAT
ALYST 800 Moleculer Biology Labostation ; Prkin-El
mer)を用いてプロトコールに従い反応させた後、パーキ
ン・エルマー社製 373A DNAシークエンサーによ
り各々のプラスミドの挿入DNA断片の塩基配列を決定
した。そして、これらの個々の配列の連結は、パーキン
・エルマー社製のシークエンス解析ソフト インヘリッ
ト(INHERIT)を用いて行い、大きさ約3.5kbのDN
A断片の全塩基配列を決定した。その配列を後記配列表
の配列番号:1に示す。決定した塩基配列中にはオープ
ンリーディングフレームの存在が認められ(塩基番号8
80〜2451;524アミノ酸)、既知のマイクロコ
ッカス・ルテウス由来のdnaA遺伝子〔ジーン(Gen
e)、93、73〜78 (1990) 参照〕との相同性の比較によ
り、それがブレビバクテリウム・フラバムMJ−233
のdnaA遺伝子であることが判明した。さらに、dn
aA遺伝子の上流にrpmH遺伝子の一部が(塩基番号
32〜9)存在し、dnaA遺伝子の下流にはdnaN
遺伝子の一部分(塩基番号2978〜3514)が存在
していることが確認された。このことより、ars領域
は、dnaA遺伝子およびrpmH遺伝子の間、およ
び、dnaA遺伝子およびdnaN遺伝子の間の領域に
存在することが確認された。
【発明の効果】本発明により、ブレビバクテリウム・フ
ラバムMJ−233染色体に由来するars領域を含む
DNA断片が提供される。本発明のDNA断片を用いて
造成される環状DNAベクターは、コリネ型細菌内で低
コピー数で存在し、自律複製可能であり、該環状DNA
ベクターを用いることにより、高コピー数存在すると宿
主コリネ型細菌に悪影響を与える遺伝子等のクローニン
グが可能となる。
【0072】
【配列表】
配列番号:1 配列の長さ:3521 鎖の数:二本鎖 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:Genomic DNA 起源 生物名:ブレビバクテリウム・フラバム(Brevibacteri
um flavum) 株名:MJ−233 配列の特徴: 特徴を表す記号:REP 存在位置:1〜3521 特徴を決定した方法:E
【0073】 配列 GGATCCTT GTT TGG CTG AAA GGT CTT TGC CAT GTGAAACACT CCTAAATATT 52 CCTAGGAA CAA ACC GAC TTT CCA GAA ACG GTA CACTTTGTGA GGATTTATAA BamHI nsA orP nlG ehP rhT syL alA teM 8 5 1 rpmH <- TTGTTGACGG ATCACCGGAC ACACCGGTTC TAGTGGACAA AGTGCGCGAA GATTTCCGCG 112 CTACCCTATA CCGGGGGAAC GGATCACCCA ACGTTGGATG ATTTTTTTAA GATTGCAGAT 172 TCGTGGATGA AACCGCAGCA ACGCTTTATG GAAAGTGTTG CTCTCAAGCA CATTCGTTGC 232 GCCTGGAAAC TTGACCAAGA GGTTTGGACA AAGATCCGAG AGTCACACGA TGTGACAGAC 292 TGGTTTAGCT TACGGGAAAA CGACCTGCGA AAACAAATCT GTCCTTTGGC AATTCGGCGG 352 GGGCACCCAT AATTACAAAG CTGGCATTAA ACACTGGTGA GAGGGCATAT CGCCCGTCCA 412 AACGCTTTTC GACGCCACCC TCCGGCAAAC TCCAGTCGGT AAAGAATTCA CAGGGGTTGG 472 ACATGTGGAT TGAACTGCGG GTAACAATGA AAATTGCACA CAGCATCAAC AGCCTGTGAA 532 AACTTCAACC TGTGGATAAC AGGTAATGTT CACCTTGAGA TCAAGGGAAA CATTCAAATA 592 ACTGCAGGTG AGAGCGAATT TGAGGTTGAT GCACGTTTTC CACAGGTAGT GCGCTATCCT 652 GTGGATAAAC GTTTTTTGGG AAATGTTATC CACAGCTGTG GACAACATTG CGGAAACAAT 712 GGTTATGGGC GTTTTTCGAT GTGAATGGAG CTGTAGAAAC ATCGAGAACG CCCACGTGGA 772 TAACAAAGCG GAATTTTGCC CTGCTTTTTA GCTTCTCCGC CACCCTTCAT CCACGGCTGA 832 ATAAAATTAT TTTTCGATAG TTTCGCCAAA AGGAGATACC TAACATA GTG AGC CAG 888 Val Ser Gln 1 -> dnaA AAC TCA TCT TCT TTG CTC GAA ACC TGG CGC CAA GTT GTT GCC GAT CTC 936 Asn Ser Ser Ser Leu Leu Glu Thr Trp Arg Gln Val Val Ala Asp Leu 5 10 15 ACA ACT TTG AGC CAG CAA GCG GAC AGT GGA TTC GAC CCA TTG ACG CCA 984 Thr Thr Leu Ser Gln Gln Ala Asp Ser Gly Phe Asp Pro Leu Thr Pro 20 25 30 35 ACT CAA CGT GCA TAT TTG AAC CTG ACG AAG CCG ATT GCC ATC GTC GAT 1032 Thr Gln Arg Ala Tyr Leu Asn Leu Thr Lys Pro Ile Ala Ile Val Asp 40 45 50 GGC TAC GCA GTG CTG TCC ACA CCC AAC GCA ATG GCA AAA AAT GTC ATT 1080 Gly Tyr Ala Val Leu Ser Thr Pro Asn Ala Met Ala Lys Asn Val Ile 55 60 65 GAA AAC GAT TTG GGC GAT GCT TTG ACC CGT GTG TTG TCG CTG CGC ATG 1128 Glu Asn Asp Leu Gly Asp Ala Leu Thr Arg Val Leu Ser Leu Arg Met 70 75 80 GGC CGA TCA TTC AGC TTG GCC GTC AGT GTG GAG CCT GAG CAG GAA ATT 1176 Gly Arg Ser Phe Ser Leu Ala Val Ser Val Glu Pro Glu Gln Glu Ile 85 90 95 CCA GAA ACC CCA GCT CAG CAG GAG TTT AAG TAT CAA CCT GAC GCA CCT 1224 Pro Glu Thr Pro Ala Gln Gln Glu Phe Lys Tyr Gln Pro Asp Ala Pro 100 105 110 115 GTG ATC TCT TCC AAC AAG GCG CCA AAG CAG TAT GAA GTT GGT GGT CGG 1278 Val Ile Ser Ser Asn Lys Ala Pro Lys Gln Tyr Glu Val Gly Gly Arg 120 125 130 GGA GGG GCG TCG ACA AGC GAC GGC TGG GAA CGC ACC CAC TCT GCA CCG 1320 Gly Gly Ala Ser Thr Ser Asp Gly Trp Glu Arg Thr His Ser Ala Pro 135 140 145 GCT CCC GAG CCG CAC CCA GCA CCT ATC GCC GAT CCT GAG CCA GAG CTG 1368 Ala Pro Glu Pro His Pro Ala Pro Ile Ala Asp Pro Glu Pro Glu Leu 150 155 160 GCC ACC CCG CAG CGC ATT CCG CGT GAA ACC CCA GCT CAC AAC CCT AAT 1416 Ala Thr Pro Gln Arg Ile Pro Arg Glu Thr Pro Ala His Asn Pro Asn 165 170 175 CGG GAA GTG TCC CTC AAC CCG AAA TAC ACT TTT GAA AGC TTC GTG ATC 1464 Arg Glu Val Ser Leu Asn Pro Lys Tyr Thr Phe Glu Ser Phe Val Ile 180 185 190 195 GGA CCG TTC AAC CGT TTC GCC AAC GCA GCC GCA GTT GCT GTG GCG GAA 1512 Gly Pro Phe Asn Arg Phe Ala Asn Ala Ala Ala Val Ala Val Ala Glu 200 205 210 AGC CCA GCG AAA GCT TTC AAC CCG TTG TTT ATT TCC GGC GGT TCC GGC 1560 Ser Pro Ala Lys Ala Phe Asn Pro Leu Phe Ile Ser Gly Gly Ser Gly 215 220 225 TTG GGC AAA ACT CAC CTG CTG CAC GCA GTA GGA AAT TAC GCT CAA GAA 1608 Leu Gly Lys Thr His Leu Leu His Ala Val Gly Asn Tyr Ala Gln Glu 230 235 240 TTG CAG CCT GGC CTG CGG ATT AAG TAC GTC TCA AGT GAG GAA TTC ACC 1656 Leu Gln Pro Gly Leu Arg Ile Lys Tyr Val Ser Ser Glu Glu Phe Thr 245 250 255 AAC GAC TAC ATC AAC TCC GTG CGA GAT GAC CGC CAG GAA ACC TTC AAG 1704 Asn Asp Tyr Ile Asn Ser Val Arg Asp Asp Arg Gln Glu Thr Phe Lys 260 265 270 275 CGC CGC TAC CGC AAC CTG GAT ATC CTC ATG GTC GAT GAC ATC CAG TTC 1752 Arg Arg Tyr Arg Asn Leu Asp Ile Leu Met Val Asp Asp Ile Gln Phe 280 285 290 CTG GCT GGC AAA GAA GGC ACC CAG GAA GAG TTC TTC CAT ACC TTC AAC 1800 Leu Ala Gly Lys Glu Gly Thr Gln Glu Glu Phe Phe His Thr Phe Asn 295 300 305 GCA TTG CAC CAG GCA GAT AAG CAA ATT ATT TTA TCC TCG GAC CGC CCA 1848 Ala Leu His Gln Ala Asp Lys Gln Ile Ile Leu Ser Ser Asp Arg Pro 310 315 320 CCC AAG CAG CTG ACC ACG CTG GAA GAT CGC CTG CGC ACC CGC TTC GAA 1896 Pro Lys Gln Leu Thr Thr Leu Glu Asp Arg Leu Arg Thr Arg Phe Glu 325 330 335 GGT GGC CTG ATT ACT GAT ATT CAG CCA CCT GAC CTG GAA ACT CGC ATC 1944 Gly Gly Leu Ile Thr Asp Ile Gln Pro Pro Asp Leu Glu Thr Arg Ile 340 345 350 355 GCG ATT TTG ATG AAG AAG GCC CAA ACC GAT GGC ACG CAC GTG GAT AGG 1992 Ala Ile Leu Met Lys Lys Ala Gln Thr Asp Gly Thr His Val Asp Arg 360 365 370 GAA GTC CTC GAG CTC ATT GCC AGC CGC TTT GAA TCT TCG ATC CGT GAA 2040 Glu Val Leu Glu Leu Ile Ala Ser Arg Phe Glu Ser Ser Ile Arg Glu 375 380 385 TTG GAA GGC GCA CTG ATT CGT GTG TCT GCC TAT TCT TCG TTG ATT AAT 2088 Leu Glu Gly Ala Leu Ile Arg Val Ser Ala Tyr Ser Ser Leu Ile Asn 390 395 400 CAG CCG ATC GAT AAA GAA ATG GCC ATC GTG GCG CTG CGC GAT ATC CTC 2136 Gln Pro Ile Asp Lys Glu Met Ala Ile Val Ala Leu Arg Asp Ile Leu 405 410 415 CCA GAA CCT GAG GAT ATG GAA ATC ACC GCA CCG GTG ATC ATG GAG GTC 2184 Pro Glu Pro Glu Asp Met Glu Ile Thr Ala Pro Val Ile Met Glu Val 420 425 430 435 ACT GCG GAA TAT TTT GAA ATT TCC GTG GAT ACA CTC CGT GGA GCA GGC 2232 Thr Ala Glu Tyr Phe Glu Ile Ser Val Asp Thr Leu Arg Gly Ala Gly 440 445 450 AAA ACT CGT GCG GTC GCG CAT GCA CGC CAA CTG GCG ATG TAC CTG TGC 2280 Lys Thr Arg Ala Val Ala His Ala Arg Gln Leu Ala Met Tyr Leu Cys 455 460 465 CGC GAG CTC ACC GAT ATG TCA TTG CCC AAG ATC GGT GAT GTG TTT GGC 2328 Arg Glu Leu Thr Asp Met Ser Leu Pro Lys Ile Gly Asp Val Phe Gly 470 475 480 GGA AAA GAC CAC ACA ACT GTC ATG TAC GCG GAT CGG AAG ATT CGC CAA 2376 Gly Lys Asp His Thr Thr Val Met Tyr Ala Asp Arg Lys Ile Arg Gln 485 490 495 GAA ATG ACA GAA AAG CGC GAT ACC TAC GAT GAA ATC CAG CAA CTT ACC 2424 Glu Met Thr Glu Lys Arg Asp Thr Tyr Asp Glu Ile Gln Gln Leu Thr 500 505 510 515 CAG CTG ATT AAG TCG CGC GGA CGT AAC TAAGACCTGT TTAGCGTGGT 2471 Gln Leu Ile Lys Ser Arg Gly Arg Asn 520 524 GCTAAATTAC AAAATTTAGC TCTGCTGCTC TTGAAGACCC ATCTTCGGAT GGGTCTTTTT 2531 GTAATTTAGC GGTTGTGCAG GGATTTTGCG GACAACTTCC GATAAAACCC CAGCTCACAA 2591 AGTTATCCAC AATCAATCAC AACCCAGTTC ACACGCCAGA TTTCCGCGAC TACCTTGTAA 2651 AACAATGGTC TATCCACAGT TTCAACAGGA CTTACTGTTA TTACCGATTT TTTACCTAGA 2711 AATTAACTAA AAGAAAGAGG GGGTGGGGAG AAACCTTCGT GGGTGAGCCC AATGCTCACG 2771 AAACTTCAGC GAAAGCCTCG AGGAAATTGA AATTACAAAT TCCAGATCCG CGAGGAACAC 2831 AGGTAGGTTG GGCTTGTGTA ATTCGGACTG AAGCCACCTG GAGGGTGAAC CTTCTTCCAA 2891 GAAGTTTTCC CTATCGGTAA ACGTCCGAGT TTAGTTAAAC GATGAACTAT ATTTGATCTA 2951 TATTTCCCAA GGAGCTTTAA AACAGC ATG GAG TCA CAA AAC GTG TCC TTC CGT 3004 Met Glu Ser Gln Asn Val Ser Phe Arg 1 5 -> dnaN GTG GCC AGG GAA GAC CTG GTT ACC GCG GTA GCC TGG GTC GCT CGC AAC 3052 Val Ala Arg Glu Asp Leu Val Thr Ala Val Ala Trp Val Ala Arg Asn 10 15 20 25 CTG CCC ACC AAA CCG ACT CAG CCG GTA CTT CGA GCC ATG CTG ATC ACT 3100 Leu Pro Thr Lys Pro Thr Gln Pro Val Leu Arg Ala Met Leu Ile Thr 30 35 40 GCC GAT GAT GAG GGT CTT GAA CTC GCC GGT TAC GAC TAC GAC GTA TCC 3148 Ala Asp Asp Glu Gly Leu Glu Leu Ala Gly Tyr Asp Tyr Asp Val Ser 45 50 55 ACC CGA GTT CGC CTT TCA GCT GAG GTT TCT CAG CCA GGT CGC ATC GCA 3196 Thr Arg Val Arg Leu Ser Ala Glu Val Ser Gln Pro Gly Arg Ile Ala 60 65 70 GTA GCC GGC AAG CTG CTG TCT GAA ATC ACA GGA TCT TTG CCC AAC AAG 3244 Val Ala Gly Lys Leu Leu Ser Glu Ile Thr Gly Ser Leu Pro Asn Lys 75 80 85 CCC GTT GAT TTC CGC ATC GAC GGA TCC AAA GCT TTT GTC ACT TGT GGT 3292 Pro Val Asp Phe Arg Ile Asp Gly Ser Lys Ala Phe Val Thr Cys Gly 90 95 100 105 TCT TCC CGC TTC GAG CTG CCA CTG ATC CCG CTT GAT GAT TAC CCA ATG 3340 Ser Ser Arg Phe Glu Leu Pro Leu Ile Pro Leu Asp Asp Tyr Pro Met 110 115 120 CTG CCC AAG CTT CCT GCA GGT ACC GGT TCC ATC AAC GCC AAA CTG TTC 3388 Leu Pro Lys Leu Pro Ala Gly Thr Gly Ser Ile Asn Ala Lys Leu Phe 125 130 135 ACC GAA GCA GTC TCC CAG GTG GCA TCC GCT GCA GGT AAA GAT GAT TCT 3436 Thr Glu Ala Val Ser Gln Val Ala Ser Ala Ala Gly Lys Asp Asp Ser 140 145 150 TTG CCG ATG CTC ACC GGT GTC AGC ATG GAA ATC GTG GGC AAC CAG ATC 3484 Leu Pro Met Leu Thr Gly Val Ser Met Glu Ile Val Gly Asn Gln Ile 155 160 165 AAC TTG GCT GCA ACC GAC CGC CAC GCC TTG CGTCGAC 3521 Asn Leu Ala Ala Thr Asp Arg His Ala Leu SalI 170 175 179
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の大きさが約3.5kbのDNA断片
(C断片)の制限酵素切断点地図並びに該DNA断片と
大きさが約1.7kbのDNA断片(A断片)、大きさ
が約1.2kbのDNA断片(D断片)及び大きさが約
1.5kbのDNA断片(B断片)との相互関係を示す
図。
【図2】本発明の大きさが約1.7kbのDNA断片
(A断片)および大きさが約1.2kbのDNA断片
(D断片)の制限酵素切断片地図
【図3】本発明の大きさが約1.5kbのDNA断片
(B断片)の制限酵素切断片地図
【図4】本発明のプラスミドpHSG298−oriC
の制限酵素切断片地図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C12N 15/09 ZNA C12R 1:13) C12R 1:13)

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コリネ型細菌染色体に由来する自律複製
    配列を有するDNA断片。
  2. 【請求項2】 前記コリネ型細菌がブレビバクテリウム
    ・フラバム(Brevibacterium flav
    um)MJ−233である請求項1記載のDNA断片。
  3. 【請求項3】 大きさが約3.5kbであり、下記表に
    記載する制限酵素で切断した場合、下記表に記載する認
    識部位数と切断断片の大きさを示す請求項2記載のDN
    A断片。 制限酵素 認識部位数 切断断片の大きさ(kb) EcoRI 3 1.1、1.0、0.9、0.5 HindIII 4 1.8、1.4、0.16、0.07、0 .07 SalI 1 2.3、1.2
  4. 【請求項4】 大きさが約1.7kbであり、下記表に
    記載する制限酵素で切断した場合、下記表に記載する認
    識部位数と切断断片の大きさを示す請求項2記載のDN
    A断片。 制限酵素 認識部位数 切断断片の大きさ(kb) BamHI 0 1.7 EcoRI 2 1.0、0.5、0.2 HindIII 2 1.4、0.2、0.1 SalI 1 1.2、0.5
  5. 【請求項5】 大きさが約1.2kbであり、下記表に
    記載する制限酵素で切断した場合、下記表に記載する認
    識部位数と切断断片の大きさを示す請求項2記載のDN
    A断片。 制限酵素 認識部位数 切断断片の大きさ(kb) BamHI 0 1.2 EcoRI 1 0.7、0.5 HindIII 0 1.2 SalI 0 1.2
  6. 【請求項6】 大きさが約1.5kbであり、下記表に
    記載する制限酵素で切断した場合、下記表に記載する認
    識部位数と切断断片の大きさを示す請求項2記載のDN
    A断片。 制限酵素 認識部位数 切断断片の大きさ(kb) BamHI 1 1.2、0.3 EcoRI 1 0.9、0.6 HindIII 2 1.2、0.2、0.1 PvuII 2 0.7 0.5 0.3 SalI 0 1.5 XhoI 1 0.9、0.6
  7. 【請求項7】 少なくとも請求項1〜3のいずれにかに
    記載のDNA断片を保有するコリネ型細菌内で自律複製
    可能な環状DNA。
  8. 【請求項8】 少なくとも請求項4又は5のいずれかに
    記載のDNA断片及び請求項6に記載のDNA断片を保
    有するコリネ型細菌内で自律複製可能な環状DNA。
  9. 【請求項9】 請求項7又は8のいずれかに記載の環状
    DNAにより形質転換されたコリネ型細菌。
  10. 【請求項10】 配列表に示される、コリネ型細菌の染
    色体由来自律複製配列を有するDNA断片。
  11. 【請求項11】 請求項10に記載のDNA断片の全部
    あるいは一部を保有するコリネ型細菌内で自律複製可能
    な環状DNA。
  12. 【請求項12】 請求項11に記載の環状DNAにより
    形質転換されたコリネ型細菌。
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