JPH0885210A - インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録装置

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JPH0885210A
JPH0885210A JP22063194A JP22063194A JPH0885210A JP H0885210 A JPH0885210 A JP H0885210A JP 22063194 A JP22063194 A JP 22063194A JP 22063194 A JP22063194 A JP 22063194A JP H0885210 A JPH0885210 A JP H0885210A
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JP
Japan
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ink
substrate
electrodes
recording head
liquid
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JP22063194A
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English (en)
Inventor
Koichi Ishii
浩一 石井
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
  • Ink Jet (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 簡単な構造で記録ヘッドのライン化が容易で
あり、しかもインク吐出時に隣接画素とのクロストーク
が少ない、階調記録も可能なインクジェット記録装置を
得る。 【構成】 少なくとも一方の基板に、開口端から基板に
平行に延びるように配列された複数の電極または発熱抵
抗体を有するスリット状のインク担持手段を用い、この
インク担持手段に、電界の発生または熱により固化また
は液化するインクを収容し、画像情報に応じて、電界ま
たは発熱を制御し、固体状インクによりオリフィスを形
成して液状インクを噴射することにより画像を形成する
装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット技術を
用いた記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】インク滴を噴射させて記録媒体に直接付
着させる記録方式であるインクジェット記録は、非接触
記録であることから記録媒体の表面形状を選ばず柔らか
いものや立体物にも印字可能であり、また騒音がほとん
どない。このインクジェット記録は、直接記録であるた
め装置構成が簡単で小型化に有利であり、インクを消耗
するだけで廃棄物が出ず、普通紙が使用できランニング
コストが低く、カラー化が容易でほぼ同時プリントが可
能であり、かつ色ずれが少ないなど、多くの利点を有
し、パーソナルユースの小型プリンタから産業用の大型
ペイント装置までその用途は広がっている。
【0003】インクジェット記録は、ノズル内にインク
を補給して何らかの手段で圧力を付与し、インクを吐出
させる方式が大部分を占めている。ところがノズルとい
う非常に狭い空間内でインク吐出動作を行わせるため
に、ゴミや気泡の影響を受けやすい。つまり、内部のゴ
ミにより目詰まりが発生したり、気泡の発生により噴射
不能となることがある。また、乾燥によるインクの物性
変化でも目詰まりが生じやすい。さらにノズル毎の特性
を揃えるのが困難なため、ライン化に対しては不利であ
る。
【0004】一方、例えば、特公昭60−59869、
特開昭61−64456に記載されているように、ノズ
ルを用いずに2つの基板を近接させてスリットを形成し
てスリット間にインクを保持し、スリット内部に形成し
た画素に対応した電極と記録媒体裏面の電極間に電界を
かけることで、インクを静電力により吸引して記録を行
うスリットジェット記録方式もある。この方式では、ノ
ズルのような狭い空間にインクを閉じこめることがない
ので、目詰まりを起こしにくい。また、インクは共通の
空間に保持されているため、記録時の画素毎のばらつき
が生じにくく、記録ヘッドのライン化に有利である。さ
らに、個別のノズルを形成する必要がなく、基板上に電
極を形成し2つの基板を張り合わせるだけでヘッドを作
ることができるので、製造が容易であり低コスト化に有
利であるという利点がある。ところが、静電力でインク
滴を吸引させるには高電圧が必要であり、駆動ICに対
する負担が大きくなる。また、インクが共通の空間に保
持されていることから隣接画素への影響が大きく、クロ
ストークが生じやすいのが難点である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述のように従来のイ
ンクジェット記録は、ノズル内からインクを吐出させる
方式が大部分であるが、インクをノズルという非常に狭
い空間に閉じこめて動作させるために目詰まりが生じや
すく、信頼性に乏しかった。また、ノズル毎の特性を揃
えるのが難しく、ライン化に不利であった。目詰まりを
生じにくいスリットジェット記録方式では、静電力でイ
ンク滴を吸引させているが、印加電圧が高く駆動ICへ
の負担が大きいことと、画素間のクロストークが生じや
すいという欠点があり、安定した動作を得るのが困難で
あった。
【0006】本発明では、インクの目詰まりが生じにく
く、記録ヘッドの構造が簡単でインク吐出機構が容易で
あり、さらには画素間のクロストークがほとんどない、
ライン化に有利なインクジェット記録装置を提供するこ
とを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の好ましい態様の1つでは、基本的に、電気
粘性流体を含む液体インクを保持する手段と、液体イン
クに部分的に電界をかけ、液体インクに高粘度な領域と
低粘度な領域とを形成する手段と、低粘度な領域の液体
インクを吐出させる手段とを使用する。
【0008】ここで、液体インクに高粘度な領域と低粘
度な領域とを形成する手段として、インクを保持手段
が、2枚の基板から形成されるスリット状のものである
場合に、両方の基板に電極列を形成したもの、一方の基
板に電極列を、他方に均一な電極層を形成したもの、及
び一方の基板に電極列を形成し、他方には電極を形成し
ないものを設けることができ、これらの手段は各電極に
電圧を印加により作用する。
【0009】また、例えば第1の基板において、電極列
の代わりにインク保持体外部に電荷を供給する手段と電
荷を除去する手段とを設けることもできる。これらは電
荷の供給、除去により作用する。電荷供給手段として
は、たとえばイオンを照射するイオンフロー装置等を用
いることができる。この場合、第2の基板には電極が設
けられる。この電極としては、複数の電極列、または一
様な電極層を設けることもできる。
【0010】また、圧力付与手段は、インク全体に同一
の圧力を付与するものであっても、低粘度な領域のみ選
択的に圧力を付与するものであっても良い。
【0011】さらに、インク保持体内には電気粘性流体
の代わりに、常温で固体、加熱により液化する相変化物
質を使用し、電界をかける手段のかわりに加熱手段を設
けることができる。
【0012】本発明の第1の態様によれば、電気粘性流
体を含む液体インクを保持する手段と、前記液体インク
に部分的に電界をかけ、前記液体インクに高粘度な領域
と低粘度な領域とを形成する手段と、前記低粘度な領域
の液体インクを吐出させる手段とを具備することを特徴
とするインクジェット記録装置が提供される。
【0013】本発明の第2の態様によれば、第1の基板
及び該第1の基板に間隔をおいて対向して設けられた第
2の基板により形成され、少なくとも1つの開口端を有
するスリット状のインク保持手段と、該インク保持手段
に保持され、電気粘性流体を含む液体インクと、前記第
1の基板上に、前記開口端から基板に平行に伸びるよう
にかつ各画素を挟むような間隔で配列された複数の電極
と、前記複数の電極に電圧を印加し、これらの電極に対
応する部分の前記液体インクを高粘度化するための駆動
手段と、各画素に対応して設けられ、画素信号に応じて
前記駆動手段により高粘度化されていない前記液体イン
クを前記インク保持手段から、吐出させるため前記液体
インクに圧力を付与する圧力付与手段とを具備すること
を特徴とするインクジェット記録装置が提供される。
【0014】本発明の第3の態様においては、第1の基
板及び該第1の基板に間隔をおいて対向して設けられた
第2の基板により形成され、少なくとも1つの開口端を
有するスリット状のインク保持手段と、該インク保持手
段に保持され、電気粘性流体を含む液体インクと、前記
第1の基板上に、前記開口端から基板に平行に伸びるよ
うに所定の間隔で配列された複数の電極と、前記液体イ
ンクを前記インク保持手段から、吐出させるため前記液
体インクに圧力を付与する圧力付与手段と、画像信号に
応じて、インクを吐出させるべきでない部分に対応する
前記電極に電圧を印加するための駆動手段とを具備する
ことを特徴とするインクジェット記録装置が提供され
る。
【0015】
【作用】本発明の第1の態様によれば、電気粘性流体を
含むインクに対して、部分的に電界をかけることで、粘
度の異なる領域を形成することができ、粘度の低い領域
からインクを吐出させることで粘度の高い領域がオリフ
ィスと等価的な役割を果たすことになる。このオリフィ
スが形成されたと等価的な状態は、電界を除去すること
で初期状態に戻すことが可能であり、可逆的な動作が可
能である。
【0016】本発明の第2の態様によれば、スリット状
のインク保持手段内に保持された電気粘性流体を含むイ
ンクに対して、開口端から基板に平行に伸びるようにか
つ各画素を挟むような間隔で配列された複数の電極に選
択的に電界をかけることで、電極に対応する部分に粘度
の異なる領域を形成することができる。ここでは、駆動
手段により、画素の周辺部が高粘度化され、各画素毎に
ノズルの壁が存在するのと等価的な状態を作り出すこと
ができる。よって、画像信号に応じて、吐出されるイン
クの通路が壁の等価物によって規定され、安定した画点
の形成が可能となる。この壁の等価物は、吐出されるイ
ンクと一体不可分の同一物質であるにもかかわらず、電
界をかけた場合にのみ出現するものであるから、インク
の目詰まりも生じない。この壁の等価物は、電界を除去
することで初期状態に戻すことが可能であり、可逆的な
動作が可能である。
【0017】本発明の第3の態様によれば、スリット状
のインク保持手段内に保持された電気粘性流体を含むイ
ンクに対して、開口端から基板に平行に伸びるように所
定の間隔で配列された複数の電極に、画像信号に応じ
て、インクを吐出させるべきでない部分に対応する電極
に選択的に電界をかけることで、粘度の異なる領域を形
成する。ここでは、駆動手段により画素に対応する部分
が高粘度化され、画像信号がオフの画素については圧力
付与手段の圧力にかかわらず、インクの吐出しを抑える
ことが可能である。また、この高粘度化した部分に隣接
する画素が画像信号がオンの画素である場合、この高粘
度化した部分は、隣接する画素のインク吐出しに際し
て、壁の等価部の役割を果たすこととなり、安定した画
点の形成が実現できる。
【0018】さらに、この場合に、1ラインの画点形成
を奇数番目の画素を偶数番目の画素の2回に分けて行
い、一方、画点形成の際には、他方に対応する全電極列
に電圧を印加して高粘度化させることにより、両隣の画
素のインクを壁の等価物として注目の画素のインク吐出
しを行なうことが常時可能となる。
【0019】また、本発明の第4の態様に示すように、
電極列を設ける代わりに外部から電荷を付与、除去する
手段を設けても本発明の第1の態様と同様の動作を実現
することができる。
【0020】さらに、本発明の第5の態様に示すよう
に、電気粘性流体の代わりに常温で固体、加熱により液
化する相変化物質をインクとして用い、電極列の代わり
に発熱抵抗体列を設けると、発熱させた部分だけが低粘
度を示し、インク吐出可能となるため、可逆的にインク
自体で個別ノズルを形成するこができる。
【0021】
【実施例】本発明によれば、その基板の配置により種々
の例があげられる。以下、これらの例について説明す
る。
【0022】本発明の第1の実施例の記録ヘッドの構造
を表す図を、図1に示す。図1の一部は説明のため透過
表示している。記録ヘッド1は、複数の電極2を有する
2枚の基板3a,3bでスリット4を形成しており、ス
リット4内部の各電極2間には圧力を付与する手段(図
1では、発熱抵抗素子5)を具備している。電極2の位
置は画素間に相当し、発熱抵抗素子5は画素に対応して
配置している。また、上下基板3a,3bで対になって
いる電極2間には電圧が付与されるようになっている。
スリット4内には、電界を与えると粘性が変化する性質
を持つ電気粘性流体を含むインク6(以下、「ERイン
ク」と呼ぶ)が保持されており、電気粘性流体として
は、アクリル系ポリマー、スチレン系ポリマー、共重合
系ポリマー、ビニル重合系ポリマーなどの有機高分子を
コアにしてその表面に特殊チタン系、酸化スズ系、水酸
化ニオブ系、酸化鉄系などの無機微粒子を付着させた複
合微粒子を溶媒に分散させた溶液、炭素と酸素、水素、
窒素を含む炭素質粒子を溶媒に分散させた溶液、ポリマ
ーコアの表面に導電層、及び電気絶縁性薄膜を順次被覆
した粒子が分散した液晶などが有効である。ERインク
6はスリット4開口部では表面張力が働いているため、
静的な状態では記録ヘッド1外に流れ出ることはない。
【0023】次に、本発明の第1の実施例の動作を説明
をする。図2ないし図4は、本発明の第1の実施例の記
録ヘッドの動作を説明するための図である。図2に示す
記録ヘッドでは、上下電極2間には電圧が印加されてお
らず、スリット4内に保持されているERインク6が低
粘度性を示し、スリット4内を自由に流動できる状態に
ある。図3に示すように、上下電極2間に約5kV/m
mの電圧を印加すると、電極2間に存在するERインク
6だけに電界がかかり、電極2間は剪断応力で数千倍ま
で上昇し、高粘度状態となる。
【0024】このとき、印加電圧は交流、直流いずれで
あっても良い。この結果、ERインク6が流動可能とな
るのは電極2のない部分に限られ、高粘度状態のERイ
ンク6aによって個別のノズルが形成されたことにな
る。図4に示すように、この状態で、スリット4内部の
発熱抵抗素子5に画像信号を付加し、バブルを選択的に
形成させ、圧力を付加すると、低粘度状態のERインク
領域6bからERインク滴6cが吐出される。印加電圧
を解除すると、再び図2に示す状態に戻り、スリット4
内でERインク6が流動可能状態となる。
【0025】このようにERインク6の粘性変化を利用
して、スリット構造であるにも関わらず、可逆的に個別
のオリフィスを形成することができ、スリット構造にお
けるインク吐出時の隣接画素への影響を、著しく軽減す
ることができる。また、スリット構造であるのでインク
の目詰まりが起きにくいのは勿論のこと、オリフィスの
形成が可逆的に行われるため、たとえERインクの高粘
度部6aにゴミなどの付着物が生じても、いずれは電界
解除により低粘度となるので、ゴミが固着する心配はな
い。さらにこのような記録ヘッド1は電極2列を基板3
a,3bに形成させ、2枚の基板3a,3bを張り合わ
せるだけて作製できるため、製造が容易で低コスト化に
有利である。この結果、記録ヘッドのライン化が容易に
なる。また、スリットジェット方式の1つである静電吸
引方式に特有の記録媒体裏面の対向電極も設ける必要が
ない。電圧印加による粘性変化は、記録装置の動作時だ
け行えばよいため、粘性変化の応答性は装置の立ち上げ
時間だけに影響する。つまり高速の応答性を必要としな
いため、電気粘性流体の材料の選択範囲が広いというメ
リットがある。
【0026】図5は記録ヘッドの駆動回路の一部を示す
図である。まず、水平同期信号(HSYNC)がスリッ
ト内の電極に入力され、電極間に電圧が印加される。次
に、転送されてきた画像信号(DATA)は、シフトレ
ジスタでパラレル信号に変換後、ラッチ信号によりラッ
チ回路へ転送される。その後、共通電極に記録電圧を印
加し、ゲート信号によりそれぞれの発熱抵抗素子に記録
電流を流し、バブル発生によるインク吐出しを行なっ
て、1ラインの記録を行なう。図の点線内は、1つのI
Cで構成され、複数のICを直列に繋げることで1ライ
ンの駆動を可能とする。
【0027】図1では、加圧手段として発熱抵抗素子5
の加熱によるバブル形成を想定しているが、圧電素子に
よる加圧、空気流による加圧など、インク滴を吐出可能
な手段であれば、これに限らない。
【0028】図6は、圧力付与手段として圧電素子を用
いた例を示す図である。圧電素子により、機械的な圧力
パルスを発生させ、インクの吐出しを行なう方法では、
熱の発生を伴わないために電気粘性流体を変質させる可
能性がない。図7は、圧力付与手段に圧電素子を用いた
ときの駆動回路を示す図であり、図7の発熱抵抗体への
端子が圧電素子への端子に起き変わっている以外は図5
と同様である。
【0029】図8は、記録ヘッド1をスリット4開口面
から見た図である。図1では、基板3a,3bの表面に
突出した形で電極2を形成しているが、図8のように電
極2を基板3a,3b内部に埋め込むように形成する
と、製造は多少困難になるがゴミなどの付着防止に有効
である。図9は、記録ヘッド1のスリット4底部を上か
ら見た図であるが、電極2の形状をこのようにインク6
吐出口付近を狭めた形にすると、より微小なインク滴6
cを形成することができ、高解像度な画像を形成するこ
とが可能となる。図1では発熱抵抗素子5を下側の基板
3b上に形成しているが、上側の基板3a上に形成して
もスリット4間に形成しても構わない。これらは以降の
実施例に対しても全く同様のことが言える。
【0030】図10は、上述の記録ヘッドを用いて記録
装置を構成した例を表す図である。記録装置は、記録ヘ
ッド102にインクを補給するインクタンク101と、
記録ヘッド102を駆動する駆動回路、更に、記録ヘッ
ド前方に記録媒体103を表面に巻き付けたドラム10
4を具備している。
【0031】装置動作は、従来のインクジェット記録装
置と全く同様である。つまり、記録ヘッド102にはイ
ンクタンク101よりインクが補給されており、駆動回
路に従って記録ヘッド102から吐出されたインク滴
は、ドラム104に固定されて、搬送される記録媒体1
03上に付着し、画像を形成する。
【0032】次に、第2の実施例について説明する。図
11は記録ヘッドのスリット4底部を上から見た図であ
り、基板3上の電極2は画素に対応して配置されてい
る。発熱抵抗素子5も画素に対応した配置で、電極2の
奥に位置している。これ以外は図1と同様の構成であ
り、基板3a上には基板3b上の電極と対応して電極2
を具備している。
【0033】図12を用いて動作原理について説明す
る。図12は、本発明の第2の実施例にかかる記録ヘッ
ドをスリットの開口面から見た図である。この記録ヘッ
ドは、電圧が印加されていないときは図2と同じ状態で
あり、記録が開始されると、図12に示すように、先ず
奇数列の電極2に電圧が印加され、電極2間が高粘度イ
ンク6aとなる。偶数列の電極2間にあるERインクだ
けが低粘度インク6bとなり、吐出可能な状態になる。
画像情報により圧力を付与することにより、偶数列の電
極2間にあるインク6bのみが吐出される。次に、図1
3に示すように、偶数列の電極2間に電圧を印加する
と、今度は奇数列の電極2間にあるERインクが低粘度
インク6となり、吐出可能な状態となる。同様に画像情
報により圧力が付与された部分のERインクだけが吐出
する。以上2ステップの動作により1ラインの画像が形
成される。
【0034】本実施例によれば、画素単位に電極2を設
けているために電極2の大きさがそのまま解像度に反映
され、高解像度化しやすくなる。また、第1の実施例よ
りも2倍の記録時間がかかってしまうが、電極2を画素
間に位置させる場合よりも電極2の面積を広く取ること
ができ、高粘度時のインク6aの、インク滴吐出圧力に
対する抵抗力を大きくすることができる。その結果、画
素間のクロストークをより小さくできるメリットがあ
る。
【0035】上記実施例では、例えば奇数列がインク吐
出可能な状態にあるとき、奇数列に相当するすべての電
極2は電圧無印加状態にある。ところが必ずしも奇数列
すべての位置でERインク6を吐出させる必要はないの
で、奇数列でも吐出の必要がない位置では電極2に電圧
を印加させるようにすると、奇数列の吐出不要部からの
インク吐出(あるいは流出)を確実に抑えることがで
き、インク吐出部からのバブル発生による圧力に対して
より強い抵抗力を得ることができる。また、各電極2を
このように駆動するとインク吐出の必要な部分だけER
インク6が低粘度となっているので、発熱抵抗素子5は
必ずしも画素に対応する必要がなくなる。つまり、複数
画素に対して1つの発熱抵抗素子5を割り当てることが
でき、発熱抵抗素子5の数が減ることからコストの軽減
に有利となる。ただし、吐出すべき画素の数や位置によ
り与える圧力が変化するため、それらの条件を考慮し
て、付与エネルギーを最適化するような発熱抵抗素子5
の駆動方法を用いることが必要となる。
【0036】図14は、本発明の第2の実施例における
記録ヘッドの駆動回路を示す図である。1つおきの電
極、及び発熱抵抗素子を交互に駆動するため、2つのス
トロボ信号が交互にアクティブになる。また、対応する
発熱素子と、スリット間電極とは、極性が常に逆の関係
になる。つまり、画素形成が必要なときに、スリット間
はインアクティブとなり、インクを低粘度状態にしてお
き、発熱素子をアクティブにしてインク吐出しが行なわ
れる。また、ストロボがインアクティブの状態では、発
熱素子がインアクティブであるが、スリット間電極はア
クティブとなり、インクが高粘度状態となる。このよう
なして、本実施例の動作が実現される。
【0037】図15は、一方の電極を境界のない共通電
極7にしたときの構成である。電界が広がるために多少
高粘度時のせん断応力が弱まり、オリフィスが不安定に
なる可能性があるが、共通電極7側の基板製造が容易に
なり製造コストの低下につながる。
【0038】次に、第3の実施例について述べる。図1
6に示す記録ヘッドは、第3の実施例を表すものであ
り、第2の実施例とほぼ同様の構造であるが、隣接する
2つの電極2間で電界を形成させる点が異なる。ここで
は、この隣接する2つの電極間で粘性変化を行わせ、オ
リフィスを形成する。図16に示すように、ある電極2
と隣接する電極2とを逆極性とし、両電極2に隣接する
電極2は電界がかからないように隣接電極2と同極性と
する。この図では負極性である。このようにして全電極
2を駆動すると、電圧印加時には2画素おきに吐出可能
な画素、つまり低粘性を示す領域ができる。次に全画素
の極性を1つシフトさせると、図17に示すように、吐
出可能な画素も隣例えば右方向へシフトする。図18に
示すように、これをもう一度繰り返すと全画素が1度は
吐出可能な状態を経たことになる。以上3回の動作で1
ラインが記録できる。
【0039】ただし、このような駆動方法を用いると画
素列の端から1、2番目の画素は他の画素と条件が異な
ってしまう。画素列端では、図19ないし図21の3通
りの状態が存在する。最も端の画素は図20の状態で吐
出可能となるが、一方の壁が高粘度インク6a、もう一
方が記録ヘッドの基板3であるため吐出方向がせん断応
力の小さい高粘度インク6aの方に傾く可能性がある。
また、端から2番目の画素は図21で吐出可能となる
が、一方の隣接画素が低粘性であるため吐出方向もイン
ク滴の大きさも他の画素と異なってしまう。よって画素
列の両端から2つの画素はインク吐出を行わないように
する方が良い。また、図21の状態では、他のインク吐
出の影響を受けないようにするため、図22のように高
粘度状態にしておく方が良い。よってこれら記録ヘッド
端の左右合わせて4画素(8つの電極)はダミーとして
設けるだけにすると、この部分に対応する圧力付与手段
5は不要になる。
【0040】上記実施例では3回の動作を経て1ライン
記録する駆動方法であるが、上下の電極対1組だけで電
界を形成する場合と違い、より強い電界を形成すること
ができ高粘度時のインク吐出に対する抵抗力を向上させ
ることができる。これにより安定したインク吐出が期待
できる。図23に示す記録ヘッドは、図16に示す記録
ヘッドと同様、隣接画素間で電界形成を行うものである
が、すべての電極2が電界形成に寄与するところが、図
16に示す記録ヘッドと異なる。図23では、電圧印加
時に上下合わせて4つの電極2が形成する高粘性領域6
aと隣接する高粘性領域6aとの間の領域に狭い低粘性
領域6bが存在する。この部分がインク吐出領域とな
る。このためインク吐出のための圧力付与手段5は第1
の実施例と同様、電極2間に設けることになる。この例
では2回の動作で1ラインの記録ができるため、記録時
間が図23に示す例と比較して短くなるとともに、低粘
度領域6bが狭くなるため微小画点の形成を行うことが
でき、高解像度化に有利である。
【0041】次に、第4の実施例について説明する。図
24は、本発明の第4の実施例にかかる記録ヘッドをス
リット開口面から見た図である。図24では、スリット
4の一方の基板(この場合は上側基板3a)上に画素に
対応した複数の電極2が設けられ、もう一方の基板(こ
の場合は下側基板3b)上には電極が形成されていな
い。この状態において、図16と同じ駆動を行っても、
第3の実施例と同様の記録が行える。同様にこれを図2
3と同じ駆動を行うと、電圧印加時に図25のような電
界形成が行われ、図23と同じ効果が得られる。
【0042】この実施例は、第3の実施例と同様の効果
が得られるだけでなく、電極等の形成が片方の基板だけ
で済むために製造コストの低下が期待できる。
【0043】次に、第5の実施例について説明する。図
26は本発明の第5の実施例による記録ヘッドの斜視図
である。電極2は画素単位で、奥行き方向に2つずつ形
成されている。図26に示すように、すべての奥行き方
向の2つの電極2(以下、電極ペアと呼ぶ)に対して同
様の極性の与え方をすると、電極ペア間でのみ電界が形
成され、しかも隣接画素に影響しないでオリフィスの形
成が行われる。
【0044】この実施例では、記録ヘッドの奥行き方向
に電界を形成することと、同一平面の電極2間で電界形
成することから、インク吐出に対してより強い抵抗力を
保持することができる。図26は、奥行き方向に1組の
電極ペアだけを示したが、奥行き方向に複数組の電極ペ
アを有することで更に強い抵抗力を得ることができる。
また、すべての電極ペアは同様の極性の与えられ方をす
るために、隣接ペアに与える影響が少なく済み、ライン
方向の電極2間距離を短くすることができる。これは解
像度の向上につながる。本実施例は第1、第2および第
4の実施例にも適用できる。
【0045】次に、第6の実施例について説明する。電
気粘性流体は通常、電界を強くするとせん断応力が大き
くなる特性を有している。図27は、本発明の第6の実
施例にかかる記録ヘッドを示す図である。図27に示す
ように、この記録ヘッドでは、上下の電極2間に電圧が
印加されて高粘度インク6aとなっており、それ以外の
部分は低粘度インク6bとなり吐出可能な状態となって
いる。図27に示すように、上下電極2間の粘度が十分
高いと、2列の電極2間の幅に応じたインク滴6cが吐
出する。
【0046】次に、図28に示すように、印加電圧を低
下させると、電極2間の粘度は低下し、せん断応力も弱
まる。この状態でインク吐出動作を行うと高粘度化して
いるインク6aは吐出圧力から影響を受け、低粘度イン
クに近い部分の高粘度インク6aは低粘度部の移動イン
クに引きずられて、吐出インク滴6cに引き込まれる。
その結果、図28のように印加電圧を低下させると、電
極2間の粘性が強い図27の場合よりも大きいインク滴
が得られる。
【0047】以上のように電極2間に印加する電圧を調
節することでインク滴6cの大きさを変えることができ
る。また、図29に示すように、一方の電極2間には高
い電圧を、もう一方の電極2間にはそれにより低い電圧
をかけて、左右の粘性に差を付けると吐出されるインク
滴6cは電圧の低い(すなわち粘性の低い)電極2間の
方向に傾いて飛翔する。つまり、画素の両端の電極2に
異なる大きさの電圧を印加することでインク滴6cの飛
翔方向(θ)を決定することができる。
【0048】この実施例では、インク滴6cの大きさを
変えることで1画素で多階調表現が可能になると共に、
画素毎のインク滴6cの大きさにバラツキがある場合に
は、印加電圧を調節することでバラツキをなくし、安定
した画素形成が実現できる。また、1つのインク吐出手
段で吐出方向を変えることにより、複数位置に画素形成
を行えるため、記録ヘッド内では高精細な電極列を形成
していなくても、解像度の高い画像を得ることができ
る。これは記録ヘッド製造コストの低減にも繋がる。ま
た、1つのインク吐出手段で微妙に画点位置を変えるこ
とができるためスムージング処理を行う上で有効とな
る。
【0049】次に、第7の実施例を示す。図30は記録
ヘッドに使用される基板3bの一部を上方から見た図で
あり、複数の電極2とその後方に1つの圧力付加手段5
を有している。まず図31のように電極2のうち1つを
電圧無印加とし、残りの電極2すべてに電圧を印加す
る。この状態で電極2後方の圧力付加手段5をアクティ
ブにすると、電極2一つ分の幅に応じた大きさのインク
滴6cが吐出する。同様にして図32のように、電圧無
印加状態の電極数を増やすと図31のインク滴6cより
も大きいインク滴6dが吐出する。このようにして1つ
の圧力付加手段5に対して複数の電極2を設け、電圧無
印加状態の電極数を変化させることでインク滴6cの大
きさを調節することができる。つまり階調記録が可能と
なる。この実施例は高解像度化には不向きであるが、各
電極へのON/OFFの信号で階調を制御できるため、
安定した階調画像が得られるメリットがある。
【0050】次に、第8の実施例を示す。図33は本実
施例ににかかる記録ヘッドの斜視図である。記録ヘッド
はスリット4を形成するインク保持部材3とその内部に
均一な電極層8を有し、電気粘性流体を含むインク6が
満たされている。記録ヘッド奥には画素に対応した圧力
付加手段5を具備し、スリット4上部にはある距離をお
いてイオン供給手段9を具備する。イオン供給手段9は
内部のイオン発生位置が画素間に相当するようにライン
状に並べられている。また、導電層8は接地されてい
る。本実施例の動作を次に示す。まず図34のように、
イオン供給手段9からオリフィス形成イオン30例えば
プラスイオンが供給されると、図35に示すように、上
側の基板3aの上にオリフィス形成イオン30が付着し
てスリット4間に電界が形成される。この電界によって
スリット4内のインク6は高粘性インク6aとなりオリ
フィスを形成する。像形成の動作は第1の実施例と同様
で圧力付加手段5に画像信号を投入することで行われ
る。オリフィスを消滅させるときは、図36に示すよう
に、イオン供給手段9からオリフィス消滅イオン31例
えばマイナスイオンを供給し、上側基板3a上に付着し
ているオリフィス形成イオン30を相殺する。。その結
果スリット4間には電位差がなくなり、図33に示すよ
うな初期状態に戻すことができる。
【0051】本実施例はスリット4内部に電極のパター
ン構造を持たないために、製造が格段に容易になる。ま
たゴミ等が付着する可能性がほとんどなくなる。更に、
イオン供給は最初のオリフィス形成と電源オフ時のオリ
フィス消滅だけに行われ、その間はエネルギーの供給を
必要としないため消費電力が少なくて済む。本実施例は
供給イオン量を調節することで第6の実施例にあった階
調記録、あるいはインク吐出方向の可変動作を行うこと
も可能である。上記実施例では下側基板3b上全面に導
電層8を設けたが、必ずしもその必要はなくイオンが供
給される領域に相当する位置に導電層8が存在すればよ
い。また、上記実施例ではイオンを供給した位置の真下
のインクが高粘度化するが、逆の動作も可能である。す
なわち、共通電極8に予め電圧を与えてスリット4間に
電界を形成しスリット4内全体を高粘度化する。次にイ
オン供給手段9でイオンを振りかけると、イオンの照射
を受けて共通電極と同電位になった部分だけがインクが
低粘度となる。つまり、イオン供給を受けた部分がイン
ク滴吐出可能となる。図34ないし図36では、オリフ
ィス形成イオン30がプラスイオン、オリフィス消滅イ
オン31がマイナスイオンとしているが、逆であっても
構わない。
【0052】次に、第9の実施例を示す。図37は、本
発明の第9の実施例の記録ヘッドの動作を説明するため
の図であり、図示するように、電気粘性流体を含む溶液
40中には、電気粘性流体と互いに混合しない染料また
は顔料から成る着色材41が含まれている。例えば、電
気粘性流体40が親油性であれば着色材41は親水性
を、電気粘性流体40が親水性であれば着色材41とし
て親油性の物質を用いる。電源投入後、各電極2間に電
圧が印加されると電極2間の電気粘性流体40は高粘度
状態となり、電極2間に電気粘性粒子による柱を形成す
る。このとき、電気粘性流体40と分離状態にある電極
2間の着色材41は、図38に示すように、電極2の存
在しない領域に排除される。つまり電圧印加時には、電
極2間は電気粘性流体40が、電極2の存在しない領域
は着色材41が支配的となる。この状態で圧力付加手段
5により加圧を行うと、電極2の存在しない領域にあ
る、大部分が着色材41である液滴が、吐出して画点を
形成する。電気粘性流体40を着色材41とは、予め同
じ容器に保持して記録ヘッドに補給しても良いし、別々
の容器で保持しそれぞれ適度な量を記録ヘッドに補給す
るようにしても良い。
【0053】本実施例では次のようなメリットがある。
電気粘性流体40をそのまま画素形成物質として用いる
と、カラー記録ではY,M,C,BKの4色の溶液か、
あるいは着色可能な無色透明な溶液を電気粘性流体40
として用意する必要がある。ところが本実施例では電気
粘性流体40は画素形成に寄与しないので、基本的に色
は何であっても構わない。また、本発明においては電圧
印加時の粘度が高ければ高いほど効果的であるが、電圧
印加時に高い粘度を示す電気粘性流体40は一般的に電
圧無印加時の粘度も高くなってしまう。するとインク吐
出に要するエネルギーが大きくなり消費電力が上がるな
どデメリットを招く。そこで本実施例のように画素形成
物質を別に設け、なるべく低粘性の物質を用いると、電
極2が存在しない領域は(特に電圧を印加した状態で
は)粘性が低くなり、インク吐出が容易な状態となる。
つまり、電気粘性流体40の電圧無印加時の特性をそれ
ほど気にしなくて済むようになる。このようにオリフィ
ス形成を電気粘性流体40、画点形成を着色材41に機
能分離すると、電気粘性流体40に対する要求機能を減
らすことができ、材料の選択範囲が広がる。
【0054】次に、第10の実施例について説明する。
この記録装置は、図39に示すように、発熱体107と
フィルタ108を有する固体インク保持部111と、固
体インク、液状化インク107を保持するインクタンク
101と、圧力付与手段104と発熱体105を有する
記録ヘッド102、記録ヘッド102を駆動する駆動回
路、さらに、記録ヘッド102前方に表面に記録媒体1
03を固定した記録ドラム104とを具備する。図40
は、記録ヘッド103の拡大図である。記録ヘッド10
3は、2つの基板からなり、内部に画素に対応した発熱
抵抗素子53を有する。インクタンク101では、固形
のインク107を発熱体106によって液状化し、フィ
ルタ108を通してインクタンク101のインク溜に液
状化インク107を供給し、さらに、記録ヘッド102
内部へ補給する。記録ヘッド102内部では加熱部10
5で熱供給してインクを液状に保つ。電源投入当初は、
インクタンク101内部の発熱体110と、記録ヘッド
102内部の発熱体105及び発熱抵抗素子53に対し
てインク107が液状化するのに十分なエネルギーを与
えて、記録ヘッド102内のインク107を全て液状化
させ、記録ヘッド102内に液状のインク107を満
す。
【0055】次に、記録ヘッド102先端の発熱抵抗素
子53に与えるエネルギーを減少させて、発熱素子53
の周辺部分のインクだけが液状化している状態を形成す
る。このようにすると、図41に示すように、記録ヘッ
ドのライン方向の発熱抵抗素子53間はインクが固化し
た状態となる。つまり、固化したインク60が“壁”と
なって、個別ノズルが形成されたのと同じ状態となる。
次に圧力付加手段5によって液状インク61に圧力を与
えると、対向した電極2間からのみインク滴が吐出す
る。
【0056】この実施例では、固形インク60でオリフ
ィスを形成するために、より強い剪断応力を得ることが
でき、確実なインク吐出を行うことが可能となる。ま
た、イン60の色は選択範囲が広くカラー化に有利であ
る。
【0057】図42は、第10の実施例における駆動回
路の一例を示す図である。電源が投入されてスタート信
号が入力されると、スリット内の基板上の全発熱抵抗素
子にアクティブとなり、発熱が行なわれる。発熱によ
り、個別ノズルが形成されると、第1の実施例と同様の
原理で画像信号に応じて圧電素子に記録電圧が加わり、
画素の形成が行なわれる。
【0058】以上説明したように、第1の実施例ないし
第10の実施例は、インクの目詰まりが生じにくく、記
録ヘッドの構造が簡単でインク吐出機構が容易であり、
さらには画素間のクロストークがほとんどない、ライン
化に有利な記録装置を提供する。また、各実施例につい
てその利点をまとめると次のようになる。
【0059】第1の実施例による記録装置では、インク
自体で個別のオリフィスを可逆的に形成することができ
るため、スリット構造であるにも関わらずインク吐出時
の隣接画素への影響を軽減することができる。また、ス
リット構造であるのでインクの目詰まりが起きにくいの
は勿論のこと、オリフィスの形成が可逆的に行われるた
め、たとえ、ERインクの高粘度部にゴミなどの付着物
が生じてもいずれは電界解除により低粘度となるのでゴ
ミが固着する心配はない。さらに、記録ヘッドは電極列
を基板に形成させ、2枚の基板を張り合わせるだけで作
製できるため、製造が容易で低コスト化に有利である。
この結果、記録ヘッドのライン化が容易になる。また、
スリットジェット方式の1つである静電吸引方式に特有
の記録媒体裏面の対向電極も設ける必要がない。電圧印
加による粘性変化は記録装置の動作時だけ行えばよく、
粘性変化の応答性は装置の立ち上げ時間だけに影響す
る。つまり高速の応答性を必要としないため、電気粘性
流体の材料の選択範囲が広いというメリットもある。ま
た、電極を基板内部に埋め込むことでゴミの付着を更に
抑えることができる。
【0060】第2の実施例による記録装置では、画素単
位に電極を設けているために電極の大きさがそのまま解
像度に反映されるため、高解像度化しやすくなる。ま
た、電極を画素間に位置させる場合よりも電極の面積を
広く取ることができ、高粘度時のインクの、インク滴吐
出圧力に対する抵抗力を大きくすることができる。その
結果、画素間のクロストークをより小さくできるメリッ
トがある。また、インク滴吐出が不要な位置にあるイン
クをすべて高粘度化すると、圧力付与手段は必ずしも画
素数分設ける必要がなくなり、製造コストの低減に寄与
する。更に一方の基板上の電極をパターンのない共通電
極とすることもでき、これによっても製造は容易にな
る。
【0061】第3の実施例による記録装置では、同一平
面上で電界を形成することから、より強い電界形成が行
われ高粘度時のインク吐出に対する抵抗力を向上させる
ことができる。これにより画素間のクロストークが軽減
しより安定したインク吐出が期待できる。
【0062】第4の実施例による記録装置では、電極な
どのパターン形成が片方の基板だけで済むために製造コ
ストの低下が期待できる。
【0063】第5の実施例による記録装置では、記録ヘ
ッドの奥行き方向に電界を形成することと、同一平面の
電極間で電界形成することから、インク吐出に対してよ
り強い抵抗力を保持することができる。また、隣接画素
に与える影響が少なく済み、ライン方向の電極間距離を
短くすることができ、解像度の向上につながる。
【0064】第6の実施例による記録装置では、吐出イ
ンク滴の大きさを変えることで1画点で多階調表現が可
能になると共に、画点毎のインク滴の大きさにバラツキ
がある場合には、印加電圧を調節することでバラツキを
なくし、安定した画素形成が実現できる。また、1つの
インク吐出手段で吐出方向を変えることにより複数位置
に画素形成を行えるため、記録ヘッド内では高精細な電
極列を形成していなくても、解像度の高い画像を得るこ
とができる。これは記録ヘッド製造コストの低減にも繋
がる。また、1つのインク吐出手段で微妙に画点位置を
変えることができるためスムージング処理を行う上で有
効となる。
【0065】第7の実施例による記録装置では、1つの
圧力付加手段に対して複数の電極を設け、電圧無印加状
態の電極数を変化させることでインク滴の大きさを調節
することができる。つまり階調記録が可能となる。各電
極へのON/OFFの信号で階調を制御できるため、安
定した階調画像が得られるメリットがある。
【0066】第8の実施例による記録装置では、イオン
供給手段からの発生するイオンによりインクの粘性変化
を起こさせるため、スリット内部に電極のパターン構造
が不要となり、記録ヘッドの製造が格段に容易になる。
またゴミ等が付着する可能性がほとんどなくなる。更に
イオン供給は最初のオリフィス形成と電源オフ時のオリ
フィス消滅だけに行われ、その間はエネルギーの供給を
必要としないため消費電力が少なくて済む。また、供給
イオン量を調節することで階調記録、あるいはインク吐
出方向の可変動作を行うことも可能となる。
【0067】第9の実施例による記録装置では、オリフ
ィス形成を電気粘性流体、画素形成を着色材にそれぞれ
負わせる機能分離をしているため、電気粘性流体は画素
形成に寄与しない。そのため、電気粘性流体の色は何で
あっても構わないし、電圧を印加しない時の粘性がそれ
ほど低くなくても構わない。つまり、電気粘性流体に対
する要求機能を減らすことができ、材料の選択範囲が広
がる。
【0068】第10の実施例による記録装置では、固形
インクでオリフィスを形成するために、より強いせん断
応力を得ることができ、画素間のクロストークが少なく
確実なインク吐出を行うことが可能となる。また、イン
クの色は選択範囲が広くカラー化に有利である。
【0069】
【発明の効果】本発明によれば、インクの目詰まりが生
じにくく、記録ヘッドの構造が簡単でインク吐出機構が
容易であり、さらには画素間のクロストークがほとんど
ない、ライン化に有利なインクジェット記録装置が提供
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例にかかる記録ヘッドの
構造を表す概略図
【図2】 本発明の第1の実施例にかかる記録ヘッドの
動作を説明するための図
【図3】 本発明の第1の実施例にかかる記録ヘッドの
動作を説明するための図
【図4】 本発明の第1の実施例にかかる記録ヘッドの
動作を説明するための図
【図5】 本発明の第1の実施例にかかる記録ヘッドの
駆動回路図
【図6】 本発明の第1の実施例のかかる記録ヘッド変
形例を示す図
【図7】 図7に示す記録ヘッドの駆動回路図
【図8】 本発明の第1の実施例にかかる記録ヘッドの
変形例を示す概略図
【図9】 本発明の第1の実施例に用いられる電極の変
形例を示す概略図
【図10】 本発明の記録装置の一例を示す概略図
【図11】 本発明の第2の実施例にかかる記録ヘッド
の構造を表す概略図
【図12】 本発明の第2の実施例にかかる記録ヘッド
の動作を説明するための図
【図13】 本発明の第2の実施例にかかる記録ヘッド
の動作を説明するための図
【図14】 本発明の第2の実施例にかかる記録ヘッド
の駆動回路図
【図15】 本発明の第2の実施例に用いられる電極の
変形例を示す概略図
【図16】 本発明の第3の実施例にかかる記録ヘッド
の動作を説明するための図
【図17】 本発明の第3の実施例にかかる記録ヘッド
の動作を説明するための図
【図18】 本発明の第3の実施例にかかる記録ヘッド
の動作を説明するための図
【図19】 本発明の第3の実施例にかかる記録ヘッド
の動作を説明するための図
【図20】 本発明の第3の実施例にかかる記録ヘッド
の動作を説明するための図
【図21】 本発明の第3の実施例にかかる記録ヘッド
の動作を説明するための図
【図22】 本発明の第3の実施例にかかる記録ヘッド
の動作を説明するための図
【図23】 本発明の第3の実施例にかかる記録ヘッド
の変形例を示す図
【図24】 本発明の第4の実施例にかかる記録ヘッド
の動作を説明するための図
【図25】 本発明の第4の実施例にかかる記録ヘッド
の動作を説明するための図
【図26】 本発明の第5の実施例にかかる記録ヘッド
を示す概略図
【図27】 本発明の第6の実施例にかかる記録ヘッド
の動作を説明するための図
【図28】 本発明の第6の実施例にかかる記録ヘッド
の動作を説明するための図
【図29】 本発明の第6の実施例にかかる記録ヘッド
の動作を説明するための図
【図30】 本発明の第7の実施例にかかる記録ヘッド
の動作を説明するための図
【図31】 本発明の第7の実施例にかかる記録ヘッド
の動作を説明するための図
【図32】 本発明の第7の実施例にかかる記録ヘッド
の動作を説明するための図
【図33】 本発明の第8の実施例にかかる記録ヘッド
の概略図
【図34】 図28の記録ヘッドの動作を説明するため
の図
【図35】 図28の記録ヘッドの動作を説明するため
の図
【図36】 図28の記録ヘッドの動作を説明するため
の図
【図37】 本発明の第9の実施例にかかる記録ヘッド
の動作を説明するための図
【図38】 本発明の第9の実施例にかかる記録ヘッド
の動作を説明するための図
【図39】 本発明の記録装置の他の一例を示す概略図
【図40】 本発明の第10の実施例に用いられる記録
ヘッドの一部を示す概略図
【図41】 本発明の第10の実施例に用いられる記録
ヘッドの動作を説明するための図
【図42】 本発明の第10の実施例に用いられる記録
ヘッドの駆動回路図
【符号の説明】
2…個別電極、4…スリット、5…圧力付与手段、6…
ERインク、6a,40a…高粘度状態のERインク、
6b,40b…低粘度状態のERインク、6c,6d…
吐出インク滴、9…イオン供給手段、30…オリフィス
形成イオン、31…オリフィス消滅イオン、41…着色
材、51…インク供給手段、60…固化状態の相変化イ
ンク、61…液状の相変化インク。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気粘性流体を含む液体インクを保持す
    る手段と、前記液体インクに部分的に電界をかけ、前記
    液体インクに高粘度な領域と低粘度な領域とを形成する
    手段と、前記低粘度な領域の液体インクを吐出させる手
    段とを具備することを特徴とするインクジェット記録装
    置。
  2. 【請求項2】 第1の基板及び該第1の基板に間隔をお
    いて対向して設けられた第2の基板により形成され、少
    なくとも1つの開口端を有するスリット状のインク保持
    手段と、該インク保持手段に保持され、電気粘性流体を
    含む液体インクと、前記第1の基板上に、前記開口端か
    ら基板に平行に伸びるようにかつ各画素を挟むような間
    隔で配列された複数の電極と、前記複数の電極に電圧を
    印加し、これらの電極に対応する部分の前記液体インク
    を高粘度化するための駆動手段と、各画素に対応して設
    けられ、画素信号に応じて前記駆動手段により高粘度化
    されていない前記液体インクを前記インク保持手段か
    ら、吐出させるため前記液体インクに圧力を付与する圧
    力付与手段とを具備することを特徴とするインクジェッ
    ト記録装置。
  3. 【請求項3】 第1の基板及び該第1の基板に間隔をお
    いて対向して設けられた第2の基板により形成され、少
    なくとも1つの開口端を有するスリット状のインク保持
    手段と、該インク保持手段に保持され、電気粘性流体を
    含む液体インクと、前記第1の基板上に、前記開口端か
    ら基板に平行に伸びるように所定の間隔で配列された複
    数の電極と、前記液体インクを前記インク保持手段か
    ら、吐出させるため前記液体インクに圧力を付与する圧
    力付与手段と、画像信号に応じて、インクを吐出させる
    べきでない部分に対応する前記電極に電圧を印加するた
    めの駆動手段とを具備することを特徴とするインクジェ
    ット記録装置。
  4. 【請求項4】 第1の基板及び該第1の基板に一定の間
    隔をおいて対向して設けられた第2の基板により定義さ
    れ、かつ一開口端を有するスリット状のインク担持手段
    と、該インク担持手段内の第1の基板上に設けられ、該
    開口端から基板に平行に延びるように所定の間隔で配列
    された複数の電極または均一な電極層と、該インク担持
    手段上に設けられ、第2の基板に電荷を供給する手段
    と、該インク担持手段内のインクを加圧する圧力付与手
    段とを具備し、該インクとして電気粘性流体を含む液体
    インク使用するインクジェット記録装置。
  5. 【請求項5】 第1の基板及び該第1の基板に一定の間
    隔をおいて対向して設けられた第2の基板により定義さ
    れ、一開口端を有するスリット状のインク担持手段と、
    該インク担持手段内の第1の基板上に、該開口端から基
    板に平行に延びるように所定の間隔で配列された複数の
    発熱抵抗体と、該インク担持手段内のインクを加圧する
    圧力付与手段と、発熱抵抗体を含み、該インク担持手段
    にインクを供給するインク供給手段とを具備し、該イン
    クとして常温で固化、加熱により液化する相変化物質を
    使用するインクジェット記録ヘッド。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6428137B1 (en) 1998-07-31 2002-08-06 Fujitsu Limited Inkjet printing method and device
US6450604B1 (en) 1998-07-31 2002-09-17 Fujitsu Limited Inkjet printing method and device

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6428137B1 (en) 1998-07-31 2002-08-06 Fujitsu Limited Inkjet printing method and device
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