JPH0884540A - 植物における病害虫抵抗性増強方法 - Google Patents
植物における病害虫抵抗性増強方法Info
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- JPH0884540A JPH0884540A JP6276573A JP27657394A JPH0884540A JP H0884540 A JPH0884540 A JP H0884540A JP 6276573 A JP6276573 A JP 6276573A JP 27657394 A JP27657394 A JP 27657394A JP H0884540 A JPH0884540 A JP H0884540A
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- C12N15/79—Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts
- C12N15/82—Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for plant cells, e.g. plant artificial chromosomes (PACs)
- C12N15/8241—Phenotypically and genetically modified plants via recombinant DNA technology
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【構成】(1)植物中で機能可能なプロモーター領域、
(2)該プロモーター領域の下流に翻訳後ヒト由来のリ
ゾチーム蛋白質を生ずる遺伝子を含む領域、および
(3)植物中で機能可能なターミネーター領域を持ち、
これら領域を機能可能な形で有する発現カセットを植物
に導入し、ヒト由来のリゾチームを発現させることを特
徴とする植物における病害虫抵抗性増強方法、さらに植
物で機能可能な分泌シグナル配列を含む領域を機能可能
な形で翻訳後ヒト由来のリゾチーム蛋白質を生ずる遺伝
子の上流に結合した、翻訳後ヒト由来のリゾチーム蛋白
質を生ずる遺伝子を含む領域である上記の植物における
病害虫抵抗性増強方法、また、上記の植物における病害
虫抵抗性増強方法によって病害虫抵抗性を付与された改
良植物、および上記(1)〜(3)の領域を持ち、これ
ら領域を機能可能な形で有する発現カセット。 【効果】ヒト由来のリゾチームの利用により、植物体内
での遺伝子発現が著しく高くなり、有害生物の増殖を効
果的に阻害し、農薬を用いた病害虫の防除を不要または
軽減し、また交雑を主体とした従来の品種改良と比較し
て、短期間・省力的な改良が可能になる。
(2)該プロモーター領域の下流に翻訳後ヒト由来のリ
ゾチーム蛋白質を生ずる遺伝子を含む領域、および
(3)植物中で機能可能なターミネーター領域を持ち、
これら領域を機能可能な形で有する発現カセットを植物
に導入し、ヒト由来のリゾチームを発現させることを特
徴とする植物における病害虫抵抗性増強方法、さらに植
物で機能可能な分泌シグナル配列を含む領域を機能可能
な形で翻訳後ヒト由来のリゾチーム蛋白質を生ずる遺伝
子の上流に結合した、翻訳後ヒト由来のリゾチーム蛋白
質を生ずる遺伝子を含む領域である上記の植物における
病害虫抵抗性増強方法、また、上記の植物における病害
虫抵抗性増強方法によって病害虫抵抗性を付与された改
良植物、および上記(1)〜(3)の領域を持ち、これ
ら領域を機能可能な形で有する発現カセット。 【効果】ヒト由来のリゾチームの利用により、植物体内
での遺伝子発現が著しく高くなり、有害生物の増殖を効
果的に阻害し、農薬を用いた病害虫の防除を不要または
軽減し、また交雑を主体とした従来の品種改良と比較し
て、短期間・省力的な改良が可能になる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、植物における病害虫抵
抗性増強方法に関する。
抗性増強方法に関する。
【0002】
【従来の技術】有害生物の繁殖によって植物の収穫量の
一部を定常的に失っている。これを防ぐために農薬の使
用によって有害生物の繁殖を抑えたり、交雑を主体とし
た品種改良によって病害虫抵抗性が増強した品種を作出
してきた。しかしながら、農薬を用いた病害虫の防除は
コストがかかる。また、交雑を主体とした従来の品種改
良は、利用可能な植物種が限定されている上、短期間・
省力的な改良がきわめて難しかった。近年、遺伝子工学
技術が発展したため、病害虫抵抗性を有する遺伝子を植
物に導入する方法によって植物に病害虫抵抗性を付与す
る試みが行われるようになってきた。たとえば、特開平
3−83591号公報には、T4ファージ由来のリゾチ
ームとニワトリ由来のリゾチーム遺伝子の利用による有
害生物に対する抵抗力を増大させるための方法が具体的
に記載されている。
一部を定常的に失っている。これを防ぐために農薬の使
用によって有害生物の繁殖を抑えたり、交雑を主体とし
た品種改良によって病害虫抵抗性が増強した品種を作出
してきた。しかしながら、農薬を用いた病害虫の防除は
コストがかかる。また、交雑を主体とした従来の品種改
良は、利用可能な植物種が限定されている上、短期間・
省力的な改良がきわめて難しかった。近年、遺伝子工学
技術が発展したため、病害虫抵抗性を有する遺伝子を植
物に導入する方法によって植物に病害虫抵抗性を付与す
る試みが行われるようになってきた。たとえば、特開平
3−83591号公報には、T4ファージ由来のリゾチ
ームとニワトリ由来のリゾチーム遺伝子の利用による有
害生物に対する抵抗力を増大させるための方法が具体的
に記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の方法に用いるT
4ファージのリゾチームは、キチンおよびペプチドグリ
カン鎖でペプチドが結合していない部分には作用しない
など基質特異性が高い等の理由で、病害虫に対するより
すぐれた防御を考える場合は不利である。そこでより効
果的なリゾチームの利用が望まれていた。
4ファージのリゾチームは、キチンおよびペプチドグリ
カン鎖でペプチドが結合していない部分には作用しない
など基質特異性が高い等の理由で、病害虫に対するより
すぐれた防御を考える場合は不利である。そこでより効
果的なリゾチームの利用が望まれていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】このような状況下で本発
明者らは鋭意検討を行った結果、ヒト由来のリゾチーム
を有する発現カセットを構築し、これを植物に導入し発
現させることに成功した。さらにこの改良植物の病害虫
抵抗性が著しく増強したことを確認することによって本
発明が完成した。すなわち、本発明は、(1)植物中で
機能可能なプロモーター領域、(2)該プロモーター領
域の下流に翻訳後ヒト由来のリゾチーム蛋白質を生ずる
遺伝子を含む領域、および(3)植物中で機能可能なタ
ーミネーター領域を持ち、これら領域を機能可能な形で
有する発現カセットを植物に導入し、ヒト由来のリゾチ
ームを発現させることを特徴とする植物における病害虫
抵抗性増強方法(以下、本発明方法と記す。)、さらに
植物で機能可能な分泌シグナル配列を含む領域を機能可
能な形で翻訳後ヒト由来のリゾチーム蛋白質を生ずる遺
伝子の上流に結合した、翻訳後ヒト由来のリゾチーム蛋
白質を生ずる遺伝子を含む領域である上記の植物におけ
る病害虫抵抗性増強方法、また、上記の植物における病
害虫抵抗性増強方法によって病害虫抵抗性を付与された
改良植物、および(1)植物中で機能可能なプロモータ
ー領域、(2)該プロモーター領域の下流に翻訳後ヒト
由来のリゾチーム蛋白質を生ずる遺伝子を含む領域、お
よび(3)植物中で機能可能なターミネーター領域を持
ち、これら領域を機能可能な形で有する発現カセットを
提供するものである。
明者らは鋭意検討を行った結果、ヒト由来のリゾチーム
を有する発現カセットを構築し、これを植物に導入し発
現させることに成功した。さらにこの改良植物の病害虫
抵抗性が著しく増強したことを確認することによって本
発明が完成した。すなわち、本発明は、(1)植物中で
機能可能なプロモーター領域、(2)該プロモーター領
域の下流に翻訳後ヒト由来のリゾチーム蛋白質を生ずる
遺伝子を含む領域、および(3)植物中で機能可能なタ
ーミネーター領域を持ち、これら領域を機能可能な形で
有する発現カセットを植物に導入し、ヒト由来のリゾチ
ームを発現させることを特徴とする植物における病害虫
抵抗性増強方法(以下、本発明方法と記す。)、さらに
植物で機能可能な分泌シグナル配列を含む領域を機能可
能な形で翻訳後ヒト由来のリゾチーム蛋白質を生ずる遺
伝子の上流に結合した、翻訳後ヒト由来のリゾチーム蛋
白質を生ずる遺伝子を含む領域である上記の植物におけ
る病害虫抵抗性増強方法、また、上記の植物における病
害虫抵抗性増強方法によって病害虫抵抗性を付与された
改良植物、および(1)植物中で機能可能なプロモータ
ー領域、(2)該プロモーター領域の下流に翻訳後ヒト
由来のリゾチーム蛋白質を生ずる遺伝子を含む領域、お
よび(3)植物中で機能可能なターミネーター領域を持
ち、これら領域を機能可能な形で有する発現カセットを
提供するものである。
【0005】以下、さらに詳細に本発明を説明する。本
発明で用いる遺伝子工学的手法は例えば、J.Sambrook,
E.F.Frisch, T.Maniatis著;モレキュラー クローニン
グ 第2版(Molecular Cloning 2nd edition )、コー
ルドスプリング ハーバー ラボラトリー(Cold Sprin
g Harbor Laboratory )発行、1989年等に記載される通
常の方法に準じて実施できる技術である。
発明で用いる遺伝子工学的手法は例えば、J.Sambrook,
E.F.Frisch, T.Maniatis著;モレキュラー クローニン
グ 第2版(Molecular Cloning 2nd edition )、コー
ルドスプリング ハーバー ラボラトリー(Cold Sprin
g Harbor Laboratory )発行、1989年等に記載される通
常の方法に準じて実施できる技術である。
【0006】まず、ヒト由来のリゾチームについて説明
する。特開平3−83591号公報には、T4ファージ
由来のリゾチームとニワトリ由来のリゾチーム遺伝子の
利用による有害生物に対する抵抗力を増大させるための
方法が記載されているが、前述のようにT4ファージ由
来のリゾチームはキチンおよびペプチドグリカン鎖でペ
プチドが結合していない部分には作用しないなど基質特
異性が高い。従って、病害虫に対するよりすぐれた防御
を考える場合は不利である。これに対し本発明で用いた
ヒト由来のリゾチームは、広い範囲の基質に対して作用
する能力があり、有害生物の増殖を効果的に阻害する作
用を示す。さらにヒト由来のリゾチームを植物体内で発
現させる未知分野での試みに成功した。その結果、意外
にも植物体内でのリゾチーム蛋白質遺伝子発現が著しく
高くなることが判明した。文献(The Plant Journal(19
93) vol.3 No.4587-598)によると、T4ファージ由来の
リゾチームの植物体内での発現量は、全ポリ(A) +RNA
のわずか0.001%であったが、本発明におけるヒト由来の
リゾチームの発現量は、同じプロモーターの制御下であ
りながら、全ポリ(A) + RNA の少なくとも0.004%以上で
あり、4倍以上の発現増大であった。ヒト由来のリゾチ
ーム遺伝子の利用によってこれほど発現量が増大するこ
とは、従来の知識では予想し得ない結果である。従っ
て、本発明方法においてヒト由来のリゾチームを用いた
ことが本発明の重要な特徴であるかがわかる。なお以下
の記載において、ヒト由来のリゾチームをヒト・リゾチ
ームと記す場合もある。
する。特開平3−83591号公報には、T4ファージ
由来のリゾチームとニワトリ由来のリゾチーム遺伝子の
利用による有害生物に対する抵抗力を増大させるための
方法が記載されているが、前述のようにT4ファージ由
来のリゾチームはキチンおよびペプチドグリカン鎖でペ
プチドが結合していない部分には作用しないなど基質特
異性が高い。従って、病害虫に対するよりすぐれた防御
を考える場合は不利である。これに対し本発明で用いた
ヒト由来のリゾチームは、広い範囲の基質に対して作用
する能力があり、有害生物の増殖を効果的に阻害する作
用を示す。さらにヒト由来のリゾチームを植物体内で発
現させる未知分野での試みに成功した。その結果、意外
にも植物体内でのリゾチーム蛋白質遺伝子発現が著しく
高くなることが判明した。文献(The Plant Journal(19
93) vol.3 No.4587-598)によると、T4ファージ由来の
リゾチームの植物体内での発現量は、全ポリ(A) +RNA
のわずか0.001%であったが、本発明におけるヒト由来の
リゾチームの発現量は、同じプロモーターの制御下であ
りながら、全ポリ(A) + RNA の少なくとも0.004%以上で
あり、4倍以上の発現増大であった。ヒト由来のリゾチ
ーム遺伝子の利用によってこれほど発現量が増大するこ
とは、従来の知識では予想し得ない結果である。従っ
て、本発明方法においてヒト由来のリゾチームを用いた
ことが本発明の重要な特徴であるかがわかる。なお以下
の記載において、ヒト由来のリゾチームをヒト・リゾチ
ームと記す場合もある。
【0007】本発明で用いられる「翻訳後ヒト由来のリ
ゾチーム蛋白質を生ずる遺伝子」とは、ヒトのゲノム上
に本来コードされている遺伝子の塩基配列およびその他
の生物における翻訳コドンに従って公知のヒト・リゾチ
ームアミノ酸配列から合成された遺伝子の塩基配列を有
する遺伝子を意味する。該遺伝子のうち、とくに植物体
内でのmRNAおよび/または生産されるリゾチームの
安定性に適するものが好ましい。これらの遺伝子を作製
する方法は、ヒトのゲノムを鋳型としてポリメレース・
チェーン・リアクション(以下、PCR と記す。)によっ
て得る方法、DNA 合成手法による全合成法、既知のヒト
・リゾチーム遺伝子の一部を合成DNA フラグメントと差
し換えてコドンを変更する等の通常の方法を用いること
ができる。例えば、以下にヒトのゲノム上に本来コード
されている遺伝子を得る方法につき説明する。 (1)プライマーの作製 翻訳後ヒト由来のリゾチーム蛋白質を生ずる遺伝子を増
幅するためのプライマーは、主としてDNA を化学的に合
成することによって得られる。あるいは、プライマーと
して機能しうる制限酵素切断等によって得られたDNA 断
片を用いることもできる。この時、プライマーは、上記
の遺伝子領域を含むような任意の塩基配列の両端に対す
る一対のプライマーを用いる。ここで述べる「プライマ
ー」とは、着目するDNA 配列の合成しようとする一方の
鎖の5'末端配列を含み、相補鎖を鋳型としたDNA ポリメ
ラーゼによるDNA 合成に必要なDNA のことを指す。 (2)増幅方法 市販のヒト・ゲノム(クローンテック社製)を鋳型にPC
R を行うことによってヒト・リゾチーム遺伝子断片が増
幅される。一般の成書に述べられている条件で増幅する
ことができる。この時使用するプライマーの塩基配列に
よって適宜条件を変えることが望ましい。以下の文献が
参考になる。 Innis M.A., Gelfand D.H. and Sninsky J.J. 編;PCR
PROTOCOLS, Academic Press Inc. 発行、1990年 (3)ヒト・リゾチーム遺伝子のクローニング 1)クローニングベクター 既に知られている多くのクローニングベクターを用いる
ことができる。例えば、pBR322,pUC18/pUC19,pACYC177,
pACYC184といったプラスミドベクターとその誘導体、あ
るいは、M13 ファージ由来のファージベクターやその誘
導体といったベクターを使用できる。 2)クローニング 任意のクローニングベクターに存在する制限酵素部位と
PCR により得られたDNA 断片に存在する制限酵素部位と
の組合せにより用いる制限酵素を選択し、リガーゼによ
る結合を行ってクローニングすることができる。 3)確認方法 まず目的とするDNA 断片がクローニングされたかどうか
は、制限酵素による切断、あるいは、PCR 等により確認
することができる。塩基配列はマキサム・ギルバート法
あるいはサンガー法に準じた方法により、放射性標識あ
るいは蛍光標識を用いて決定することができる。
ゾチーム蛋白質を生ずる遺伝子」とは、ヒトのゲノム上
に本来コードされている遺伝子の塩基配列およびその他
の生物における翻訳コドンに従って公知のヒト・リゾチ
ームアミノ酸配列から合成された遺伝子の塩基配列を有
する遺伝子を意味する。該遺伝子のうち、とくに植物体
内でのmRNAおよび/または生産されるリゾチームの
安定性に適するものが好ましい。これらの遺伝子を作製
する方法は、ヒトのゲノムを鋳型としてポリメレース・
チェーン・リアクション(以下、PCR と記す。)によっ
て得る方法、DNA 合成手法による全合成法、既知のヒト
・リゾチーム遺伝子の一部を合成DNA フラグメントと差
し換えてコドンを変更する等の通常の方法を用いること
ができる。例えば、以下にヒトのゲノム上に本来コード
されている遺伝子を得る方法につき説明する。 (1)プライマーの作製 翻訳後ヒト由来のリゾチーム蛋白質を生ずる遺伝子を増
幅するためのプライマーは、主としてDNA を化学的に合
成することによって得られる。あるいは、プライマーと
して機能しうる制限酵素切断等によって得られたDNA 断
片を用いることもできる。この時、プライマーは、上記
の遺伝子領域を含むような任意の塩基配列の両端に対す
る一対のプライマーを用いる。ここで述べる「プライマ
ー」とは、着目するDNA 配列の合成しようとする一方の
鎖の5'末端配列を含み、相補鎖を鋳型としたDNA ポリメ
ラーゼによるDNA 合成に必要なDNA のことを指す。 (2)増幅方法 市販のヒト・ゲノム(クローンテック社製)を鋳型にPC
R を行うことによってヒト・リゾチーム遺伝子断片が増
幅される。一般の成書に述べられている条件で増幅する
ことができる。この時使用するプライマーの塩基配列に
よって適宜条件を変えることが望ましい。以下の文献が
参考になる。 Innis M.A., Gelfand D.H. and Sninsky J.J. 編;PCR
PROTOCOLS, Academic Press Inc. 発行、1990年 (3)ヒト・リゾチーム遺伝子のクローニング 1)クローニングベクター 既に知られている多くのクローニングベクターを用いる
ことができる。例えば、pBR322,pUC18/pUC19,pACYC177,
pACYC184といったプラスミドベクターとその誘導体、あ
るいは、M13 ファージ由来のファージベクターやその誘
導体といったベクターを使用できる。 2)クローニング 任意のクローニングベクターに存在する制限酵素部位と
PCR により得られたDNA 断片に存在する制限酵素部位と
の組合せにより用いる制限酵素を選択し、リガーゼによ
る結合を行ってクローニングすることができる。 3)確認方法 まず目的とするDNA 断片がクローニングされたかどうか
は、制限酵素による切断、あるいは、PCR 等により確認
することができる。塩基配列はマキサム・ギルバート法
あるいはサンガー法に準じた方法により、放射性標識あ
るいは蛍光標識を用いて決定することができる。
【0008】本発明で用いられる「植物中で機能可能な
プロモーター領域」を有する遺伝子とは、植物中で機能
可能な転写および翻訳開始等の遺伝子発現調節に関与す
る領域を有する遺伝子のことであり、たとえば、ノパリ
ン合成酵素遺伝子(NOS )プロモーターやオクトピン合
成酵素遺伝子(0CS )プロモーターといったT-DNA 由来
の構成性プロモーターあるいは、カリフラワーモザイク
ウィルス(CaMV)由来の19S および35S プロモーターと
いった植物ウィルスプロモーター等をあげることができ
る。また、これらに限定されない公知の植物プロモータ
ーもあげられる。
プロモーター領域」を有する遺伝子とは、植物中で機能
可能な転写および翻訳開始等の遺伝子発現調節に関与す
る領域を有する遺伝子のことであり、たとえば、ノパリ
ン合成酵素遺伝子(NOS )プロモーターやオクトピン合
成酵素遺伝子(0CS )プロモーターといったT-DNA 由来
の構成性プロモーターあるいは、カリフラワーモザイク
ウィルス(CaMV)由来の19S および35S プロモーターと
いった植物ウィルスプロモーター等をあげることができ
る。また、これらに限定されない公知の植物プロモータ
ーもあげられる。
【0009】本発明で用いられる「植物中で機能可能な
ターミネーター領域」を有する遺伝子とは、植物中で機
能可能な転写終結等の遺伝子発現調節に関与する領域を
有する遺伝子のことであり、T-DNA 由来のNOS のターミ
ネーター等の植物由来のターミネーター、ニンニクウィ
ルスGV1,GV2 のターミネーター等のウィルス由来のター
ミネーター等をあげることができる。また、これらに限
定されない公知の植物ターミネーターもあげられる。
ターミネーター領域」を有する遺伝子とは、植物中で機
能可能な転写終結等の遺伝子発現調節に関与する領域を
有する遺伝子のことであり、T-DNA 由来のNOS のターミ
ネーター等の植物由来のターミネーター、ニンニクウィ
ルスGV1,GV2 のターミネーター等のウィルス由来のター
ミネーター等をあげることができる。また、これらに限
定されない公知の植物ターミネーターもあげられる。
【0010】(1)植物中で機能可能なプロモーター領
域、(2)該プロモーター領域の下流に翻訳後ヒト由来
のリゾチーム蛋白質を生ずる遺伝子を含む領域、および
(3)植物中で機能可能なターミネーター領域を持ち、
これら領域を機能可能な形で有する発現カセットを構築
するには、必要に応じてリンカー等を用いることによっ
て、上記の各領域(1)、(2)および(3)を有する
遺伝子をリガーゼの作用によって連結する通常の方法を
あげることができる。ここで述べる「リンカー」は着目
するDNA 末端に結合させ、目的とする制限酵素認識配列
を導入することを可能にする2本鎖の合成DNA を指す。
域、(2)該プロモーター領域の下流に翻訳後ヒト由来
のリゾチーム蛋白質を生ずる遺伝子を含む領域、および
(3)植物中で機能可能なターミネーター領域を持ち、
これら領域を機能可能な形で有する発現カセットを構築
するには、必要に応じてリンカー等を用いることによっ
て、上記の各領域(1)、(2)および(3)を有する
遺伝子をリガーゼの作用によって連結する通常の方法を
あげることができる。ここで述べる「リンカー」は着目
するDNA 末端に結合させ、目的とする制限酵素認識配列
を導入することを可能にする2本鎖の合成DNA を指す。
【0011】このように構築された発現カセットは、翻
訳後ヒト由来のリゾチーム蛋白質を生ずる遺伝子配列を
含む領域と遺伝子発現調節に関与する領域が機能可能な
形で結合し、そして目的とするヒト由来のリゾチーム蛋
白質を発現することのできる遺伝子構築体である。な
お、特定植物中で機能する、あるいは特定の植物器官で
特異的に機能することができる遺伝子発現調節に関与す
る領域を選択することによって任意の発現形態の改良植
物を得ることも可能となる。例えば、葉特異的に発現す
るプロモーター等の遺伝子発現調節に関与する領域と翻
訳後ヒト由来のリゾチーム蛋白質を生ずる遺伝子配列を
含む領域とを機能可能な形で結合することにより、葉特
異的ヒト・リゾチームの発現カセットを構築することも
できる。あるいは、組織特異性のない植物ウィルス由来
の遺伝子発現調節に関与する領域と翻訳後ヒト由来のリ
ゾチーム蛋白質を生ずる遺伝子配列を含む領域とを機能
可能な形で結合して植物全体で発現させるヒト・リゾチ
ームの発現カセットも構築できる。さらに、必要に応じ
て、翻訳後ヒト由来のリゾチーム蛋白質を生ずる遺伝子
配列を含む領域の上流に植物で機能可能な分泌シグナル
配列を含む領域を機能可能な形で結合させることもでき
る。
訳後ヒト由来のリゾチーム蛋白質を生ずる遺伝子配列を
含む領域と遺伝子発現調節に関与する領域が機能可能な
形で結合し、そして目的とするヒト由来のリゾチーム蛋
白質を発現することのできる遺伝子構築体である。な
お、特定植物中で機能する、あるいは特定の植物器官で
特異的に機能することができる遺伝子発現調節に関与す
る領域を選択することによって任意の発現形態の改良植
物を得ることも可能となる。例えば、葉特異的に発現す
るプロモーター等の遺伝子発現調節に関与する領域と翻
訳後ヒト由来のリゾチーム蛋白質を生ずる遺伝子配列を
含む領域とを機能可能な形で結合することにより、葉特
異的ヒト・リゾチームの発現カセットを構築することも
できる。あるいは、組織特異性のない植物ウィルス由来
の遺伝子発現調節に関与する領域と翻訳後ヒト由来のリ
ゾチーム蛋白質を生ずる遺伝子配列を含む領域とを機能
可能な形で結合して植物全体で発現させるヒト・リゾチ
ームの発現カセットも構築できる。さらに、必要に応じ
て、翻訳後ヒト由来のリゾチーム蛋白質を生ずる遺伝子
配列を含む領域の上流に植物で機能可能な分泌シグナル
配列を含む領域を機能可能な形で結合させることもでき
る。
【0012】構築された発現カセットを、例えば、イ
ネ、トウモロコシ、モロコシ、ライ麦、大麦、小麦、タ
マネギ等の単子葉植物、双子葉植物としてはダイス、エ
ンドウ、インゲン、アルファルファ等のマメ科植物;タ
バコ、トマト、ジョガイモ等のナス科植物;ナタネ、キ
ャベツ、カラシナ等のアブラナ科植物;メロン、キュウ
リ、カボチャ等のウリ科植物;ニンジン、セロリ等のセ
リ科植物;レタス等のキク科植物に導入する方法として
は、植物種によって異なるが、土壌細菌であるアグロバ
クテリウムの感染を利用する系やプロトプラストへのエ
レクトロポレーションにより遺伝子を導入する系、植物
組織あるいはプロトプラストへのパーティクルガンによ
り遺伝子を導入する系などの通常の方法をあげることが
できる。そして構築された発現カセットが導入された植
物は、植物組織培養技術において通常用いられる方法に
準じて再生され、植物体を得ることができる。このよう
な方法は、例えば、S.B.Gelvin, R.A.Schilperoort and
D.P.S.Verma著;プラントモレキュラー バイオロジー
/マニュアル(Plant Molecular Biology/Manual.)、ル
ワー アカデミック パブリッシャーズ(Kluwer Acade
mic Publishers)発行、1988年等に記載されている。さ
らに具体的には、例えば、 1.イネへの遺伝子導入 イネへの遺伝子導入をエレクトロポレーション法で行
う。無菌的に継代培養されたイネ懸濁培養細胞から細胞
壁溶解酵素処理によってプロトプラストを調製する。こ
のプロトプラストとヒト・リゾチーム発現用プラスラス
ミドDNA 、すなわち上記のようにして構築された発現カ
セット、および抗生物質等の薬剤耐性マーカー用プラス
ミドを混合し、電気刺激を与えることによってプロトプ
ラスト中にヒト・リゾチーム発現用プラスミドDNA を導
入する。このプロトプラストを抗生物質等の薬剤と植物
ホルモンを含むMS培地中で無菌的に選抜培養する。さら
に、形成されるコロニーを抗生物質を含むMS培地上で選
抜し、抗生物質等の薬剤耐性遺伝子が導入された再生個
体を得る。これらの選抜植物からゲノムDNA を調製し、
PCR もしくはサザンブロット解析によってヒト・リゾチ
ーム遺伝子が挿入された植物体を選抜する。 2.ニンジンへの遺伝子導入 ニンジンへの遺伝子導入をアグロバクテリウムを用いて
行う場合、ニンジン種子を無菌的に発芽させ、その下胚
軸切片にヒト・リゾチームと抗生物質等の薬剤耐性マー
カー発現用カセットを含むバイナリーベクターを持つア
グロバクテリウムを感染させる。感染後、植物ホルモン
と抗生物質を含むMS培地上で選抜培養し、形質転換され
たカルスを得る。これをMS培地上で個体再生し、植物体
を得る。また、エレクトロポレーション法で行う場合、
ニンジン懸濁培養細胞から細胞壁溶解酵素処理によって
プロトプラストを調製する。このプロトプラストとヒト
・リゾチーム発現用プラスラスミドDNA および抗生物質
等の薬剤耐性マーカー用プラスミドを混合し、電気刺激
を与えることによってプロトプラスト中にプラスミドDN
A を導入する。このプロトプラストを抗生物質と植物ホ
ルモンを含むMS培地中で無菌的に選抜培養する。さら
に、形成されるコロニーを抗生物質等の薬剤を含むMS培
地上で選抜し、抗生物質等の薬剤耐性遺伝子が導入され
た再生個体を得る。これらの選抜植物からゲノムDNA を
調製し、PCR もしくはサザンブロット解析によってヒト
・リゾチーム遺伝子が挿入された植物体を選抜する。
ネ、トウモロコシ、モロコシ、ライ麦、大麦、小麦、タ
マネギ等の単子葉植物、双子葉植物としてはダイス、エ
ンドウ、インゲン、アルファルファ等のマメ科植物;タ
バコ、トマト、ジョガイモ等のナス科植物;ナタネ、キ
ャベツ、カラシナ等のアブラナ科植物;メロン、キュウ
リ、カボチャ等のウリ科植物;ニンジン、セロリ等のセ
リ科植物;レタス等のキク科植物に導入する方法として
は、植物種によって異なるが、土壌細菌であるアグロバ
クテリウムの感染を利用する系やプロトプラストへのエ
レクトロポレーションにより遺伝子を導入する系、植物
組織あるいはプロトプラストへのパーティクルガンによ
り遺伝子を導入する系などの通常の方法をあげることが
できる。そして構築された発現カセットが導入された植
物は、植物組織培養技術において通常用いられる方法に
準じて再生され、植物体を得ることができる。このよう
な方法は、例えば、S.B.Gelvin, R.A.Schilperoort and
D.P.S.Verma著;プラントモレキュラー バイオロジー
/マニュアル(Plant Molecular Biology/Manual.)、ル
ワー アカデミック パブリッシャーズ(Kluwer Acade
mic Publishers)発行、1988年等に記載されている。さ
らに具体的には、例えば、 1.イネへの遺伝子導入 イネへの遺伝子導入をエレクトロポレーション法で行
う。無菌的に継代培養されたイネ懸濁培養細胞から細胞
壁溶解酵素処理によってプロトプラストを調製する。こ
のプロトプラストとヒト・リゾチーム発現用プラスラス
ミドDNA 、すなわち上記のようにして構築された発現カ
セット、および抗生物質等の薬剤耐性マーカー用プラス
ミドを混合し、電気刺激を与えることによってプロトプ
ラスト中にヒト・リゾチーム発現用プラスミドDNA を導
入する。このプロトプラストを抗生物質等の薬剤と植物
ホルモンを含むMS培地中で無菌的に選抜培養する。さら
に、形成されるコロニーを抗生物質を含むMS培地上で選
抜し、抗生物質等の薬剤耐性遺伝子が導入された再生個
体を得る。これらの選抜植物からゲノムDNA を調製し、
PCR もしくはサザンブロット解析によってヒト・リゾチ
ーム遺伝子が挿入された植物体を選抜する。 2.ニンジンへの遺伝子導入 ニンジンへの遺伝子導入をアグロバクテリウムを用いて
行う場合、ニンジン種子を無菌的に発芽させ、その下胚
軸切片にヒト・リゾチームと抗生物質等の薬剤耐性マー
カー発現用カセットを含むバイナリーベクターを持つア
グロバクテリウムを感染させる。感染後、植物ホルモン
と抗生物質を含むMS培地上で選抜培養し、形質転換され
たカルスを得る。これをMS培地上で個体再生し、植物体
を得る。また、エレクトロポレーション法で行う場合、
ニンジン懸濁培養細胞から細胞壁溶解酵素処理によって
プロトプラストを調製する。このプロトプラストとヒト
・リゾチーム発現用プラスラスミドDNA および抗生物質
等の薬剤耐性マーカー用プラスミドを混合し、電気刺激
を与えることによってプロトプラスト中にプラスミドDN
A を導入する。このプロトプラストを抗生物質と植物ホ
ルモンを含むMS培地中で無菌的に選抜培養する。さら
に、形成されるコロニーを抗生物質等の薬剤を含むMS培
地上で選抜し、抗生物質等の薬剤耐性遺伝子が導入され
た再生個体を得る。これらの選抜植物からゲノムDNA を
調製し、PCR もしくはサザンブロット解析によってヒト
・リゾチーム遺伝子が挿入された植物体を選抜する。
【0013】本発明に従えば、種々の有害生物に対する
抵抗性を期待することができる。植物病原性の菌類とし
ては、変形菌門(Myxomycota)あるいは真菌門(Eumyco
ta)に分類される鞭毛菌亜門(Mastigomycotina )、接
合菌亜門(Zygomycotina)、子のう菌亜門(Ascomycoti
na)、担子菌亜門(Basidiomycotina )、不完全菌亜門
(Deuteromycotina )等をあげることができる。これら
菌類によるいくつかの病気を例示すると、たとえば下記
のものがあげられる。 疫病:Phytophthora属、 べと病:Peronospora 属、Peronosclerospora 属、Brem
ia属、Plasmopara属、Sclerophthora 属、Sclerospora
属 うどんこ病:Sphaerotheca属、Erysiphe属、Podosphaer
a 属、Microspaera 属、 Uncinula属 赤かび病:Gibberella属 裸黒穂病:Ustillago 属、Tilletia属 さび病:Puccinia属 いもち病:Pyricularia 属 炭そ病:Colletotrichum属 灰色かび病:Botrytis属 苗立枯病:Pythium属 立枯病:Gaeumannomyces属 また、植物病原性の細菌としてはシュードモナス科(Ps
eudomonadaceae)、根瘤菌科(Rhizobiaceae)、腸内細
菌科(Enterobacteriaceae)、放線菌科(Streptomycet
aceae )、ノカルディア科(Nocardiaceae)、スピロプ
ラズマ科(Spiroplasmataceae )等をあげることができ
る。さらに、たとえば昆虫等の節足動物、ダニ、線虫等
の動物性有害生物もあげられる。上記の有害生物のう
ち、とくに細菌および菌類に対してはより高い抵抗性を
期待することができる。
抵抗性を期待することができる。植物病原性の菌類とし
ては、変形菌門(Myxomycota)あるいは真菌門(Eumyco
ta)に分類される鞭毛菌亜門(Mastigomycotina )、接
合菌亜門(Zygomycotina)、子のう菌亜門(Ascomycoti
na)、担子菌亜門(Basidiomycotina )、不完全菌亜門
(Deuteromycotina )等をあげることができる。これら
菌類によるいくつかの病気を例示すると、たとえば下記
のものがあげられる。 疫病:Phytophthora属、 べと病:Peronospora 属、Peronosclerospora 属、Brem
ia属、Plasmopara属、Sclerophthora 属、Sclerospora
属 うどんこ病:Sphaerotheca属、Erysiphe属、Podosphaer
a 属、Microspaera 属、 Uncinula属 赤かび病:Gibberella属 裸黒穂病:Ustillago 属、Tilletia属 さび病:Puccinia属 いもち病:Pyricularia 属 炭そ病:Colletotrichum属 灰色かび病:Botrytis属 苗立枯病:Pythium属 立枯病:Gaeumannomyces属 また、植物病原性の細菌としてはシュードモナス科(Ps
eudomonadaceae)、根瘤菌科(Rhizobiaceae)、腸内細
菌科(Enterobacteriaceae)、放線菌科(Streptomycet
aceae )、ノカルディア科(Nocardiaceae)、スピロプ
ラズマ科(Spiroplasmataceae )等をあげることができ
る。さらに、たとえば昆虫等の節足動物、ダニ、線虫等
の動物性有害生物もあげられる。上記の有害生物のう
ち、とくに細菌および菌類に対してはより高い抵抗性を
期待することができる。
【0014】
【実施例】以下、実施例により詳細に説明するが、本発
明はこれらに限定されるものではない。
明はこれらに限定されるものではない。
【0015】実施例1 (ヒト・リゾチーム遺伝子の作
製) ヒト・リゾチーム遺伝子を含み、微生物内発現によって
ヒト・リゾチームを大量生産するために作製されたプラ
スミドpLY60 (特開平2-27988 号公報記載)を用いて、
植物体へのヒト・リゾチーム遺伝子を導入するためのプ
ラスミドを作製した。プラスミドpLY60 に含まれるヒト
・リゾチーム遺伝子は酵母用のコドンを基準にして合成
された遺伝子(配列番号6)である。プラスミドpLY60
を制限酵素TthHB8I で切断し、ヒト・リゾチーム遺伝子
(5'側の一部を欠失したリゾチーム遺伝子)を含むDNA
フラグメントを得た。欠失した5'側の塩基配列を補いク
ローニングベクターへ挿入するための制限酵素部位を接
続するために下記の合成DNAリンカーを作製した(配列
番号1および2)
製) ヒト・リゾチーム遺伝子を含み、微生物内発現によって
ヒト・リゾチームを大量生産するために作製されたプラ
スミドpLY60 (特開平2-27988 号公報記載)を用いて、
植物体へのヒト・リゾチーム遺伝子を導入するためのプ
ラスミドを作製した。プラスミドpLY60 に含まれるヒト
・リゾチーム遺伝子は酵母用のコドンを基準にして合成
された遺伝子(配列番号6)である。プラスミドpLY60
を制限酵素TthHB8I で切断し、ヒト・リゾチーム遺伝子
(5'側の一部を欠失したリゾチーム遺伝子)を含むDNA
フラグメントを得た。欠失した5'側の塩基配列を補いク
ローニングベクターへ挿入するための制限酵素部位を接
続するために下記の合成DNAリンカーを作製した(配列
番号1および2)
【0016】
【化1】LY-1 (19mer) 5'-GATTCATCATGAAAGTTTTC-3' LY-2 (17mer) 5'-CGAAAACTTTCATGATG-3'
【0017】5'側の一部を欠失したリゾチーム遺伝子と
合成DNA リンカーをT4DNA リガーゼを用いて結合させ、
さらに、このDNA フラグメントを制限酵素Sau3AIで切断
した後、T4DNA キナーゼを用いてDNA 末端をリン酸化し
た。このようにして得られたヒト・リゾチーム遺伝子を
含むDNA 断片(403bp )をアガロースゲル電気泳動で分
離回収し、T4DNA リガーゼを用いて、制限酵素BamHI で
切断された市販のクローニングベクターpUC119(宝酒造
社製)と連結し、プラスミドpHLYを得た(図1参照)。
なお、上記の合成DNA リンカーを挿入した周辺の遺伝子
の塩基配列を、ダイデオキシ法に基づく蛍光DNA シーク
エンサー(Applied Biosystems社のモデル373A)を用い
て、その塩基配列を解析することによって、目的の遺伝
子断片(配列番号6:pHLYに挿入されているヒト・リゾ
チーム遺伝子の全塩基配列を示す。塩基番号4番目から
393番目までの領域がヒト・リゾチームをコードする
領域である。塩基番号1番目〜3番目のATGは翻訳開
始コドンである。)が挿入されていることを確認した。
合成DNA リンカーをT4DNA リガーゼを用いて結合させ、
さらに、このDNA フラグメントを制限酵素Sau3AIで切断
した後、T4DNA キナーゼを用いてDNA 末端をリン酸化し
た。このようにして得られたヒト・リゾチーム遺伝子を
含むDNA 断片(403bp )をアガロースゲル電気泳動で分
離回収し、T4DNA リガーゼを用いて、制限酵素BamHI で
切断された市販のクローニングベクターpUC119(宝酒造
社製)と連結し、プラスミドpHLYを得た(図1参照)。
なお、上記の合成DNA リンカーを挿入した周辺の遺伝子
の塩基配列を、ダイデオキシ法に基づく蛍光DNA シーク
エンサー(Applied Biosystems社のモデル373A)を用い
て、その塩基配列を解析することによって、目的の遺伝
子断片(配列番号6:pHLYに挿入されているヒト・リゾ
チーム遺伝子の全塩基配列を示す。塩基番号4番目から
393番目までの領域がヒト・リゾチームをコードする
領域である。塩基番号1番目〜3番目のATGは翻訳開
始コドンである。)が挿入されていることを確認した。
【0018】実施例2 (植物への導入プラスミドの構
築) (1)pNG2の構築 チトクームP450とNADPH-P450還元酵素を同一分子内に有
する融合酵素を植物で発現させるためのプラスミドpGFC
2 (特開平6ー98655 号公報記載)を制限酵素HindIII で
切断し、融合酵素遺伝子断片を除去した後、T4DNA ライ
ゲースで再結合させpNG1を作製した。次に、このpNG1を
BamHI で切断し、T4DNA ポリメラーゼで切断末端を平滑
化した後、T4DNA ライゲースで再結合させ、BamHI 部位
を除去した。さらに、このプラスミドをHindIII で切断
し、T4DNA ライゲースを用いて市販のBamHI リンカー
(配列番号3)と結合しpNG2を作製した。
築) (1)pNG2の構築 チトクームP450とNADPH-P450還元酵素を同一分子内に有
する融合酵素を植物で発現させるためのプラスミドpGFC
2 (特開平6ー98655 号公報記載)を制限酵素HindIII で
切断し、融合酵素遺伝子断片を除去した後、T4DNA ライ
ゲースで再結合させpNG1を作製した。次に、このpNG1を
BamHI で切断し、T4DNA ポリメラーゼで切断末端を平滑
化した後、T4DNA ライゲースで再結合させ、BamHI 部位
を除去した。さらに、このプラスミドをHindIII で切断
し、T4DNA ライゲースを用いて市販のBamHI リンカー
(配列番号3)と結合しpNG2を作製した。
【0019】
【化2】BamHI リンカー:5'-CGGATCCG-3'
【0020】(2)植物への導入プラスミドpNGLの構築 pHLYを制限酵素BamHI とSacIで切断しヒト・リゾチーム
遺伝子を含む断片を回収した。この断片をさらにSau3AI
で切断し、BamHI 部位で切断したpNG2とT4DNAライゲー
スを用いて結合させ、植物へヒト・リゾチーム遺伝子を
導入するためのプラスミドpNGLを構築した(図1参
照)。本プラスミドは選抜マーカー遺伝子としてカナマ
イシン耐性遺伝子(NPTII )とβ- グルクロニダーゼ遺
伝子(GUS )を有し、両者の間にヒト・リゾチーム遺伝
子を含む断片が挿入されている。従って、カナマイシン
耐性を有しかつGUS 活性を有するクローンを選抜すれ
ば、ヒト・リゾチーム遺伝子を高発現するクローンを取
得することができる。
遺伝子を含む断片を回収した。この断片をさらにSau3AI
で切断し、BamHI 部位で切断したpNG2とT4DNAライゲー
スを用いて結合させ、植物へヒト・リゾチーム遺伝子を
導入するためのプラスミドpNGLを構築した(図1参
照)。本プラスミドは選抜マーカー遺伝子としてカナマ
イシン耐性遺伝子(NPTII )とβ- グルクロニダーゼ遺
伝子(GUS )を有し、両者の間にヒト・リゾチーム遺伝
子を含む断片が挿入されている。従って、カナマイシン
耐性を有しかつGUS 活性を有するクローンを選抜すれ
ば、ヒト・リゾチーム遺伝子を高発現するクローンを取
得することができる。
【0021】実施例3 (発現プラスミドの植物への導
入) 実施例2によって得られたプラスミドpNGLを、あらかじ
め塩化カルシウム処理でcompetent な状態にしたAgroba
cterium tumefaciens (LBA4404 株;ストレプトマイシ
ン耐性、リファンピシン耐性:クローンテック社製)に
導入した。形質転換体は、導入されたプラスミドが有す
るNPTII により付与されるカナマイシンに対する耐性の
性質を利用してストレプトマイシン300ug/ml、リファン
ピシン100ug/ml、カナマイシン25ug/ml を含むL培地
(bacto-trypton 10g, yeast extract 5g, NaCl 5g, di
st. water 1L(pH 7.0))で選択することによって得られ
た。得られた形質転換体であるAgrobacterium tumefaci
ens をストレプトマイシン300ug/ml、リファンピシン10
0ug/ml、カナマイシン25ug/ml を含むL培地で28℃一昼
夜培養し、得られた菌液をS.B.Gelvin, R.A.Schilperoo
rt and D.P.S.Verma著;プラント モレキュラー バイ
オロジー/マニュアル(Plant Molecular Biology/Manu
al. )、ルワー アカデミック パブリッシャーズ(Kl
uwer Academic Publishers)発行、1988年等に記載され
ている通常の方法でタバコ葉部のディスク片への感染に
用いた。感染した葉部ディスク片をMS−NB 寒天培地で
4日間培養した。4 日目にセフォタキシム(500ug/ml)
を含むMS−NB 寒天培地に移し、アグロバクテリウムの
除菌を行った。11日目にセフォタキシム(500ug/ml)と
カナマイシン(100ug/ml)を含むMS−NB 寒天培地に移
し、形質転換体の選抜を開始した。約4週間後、緑色の
茎葉分化した幼植物体をディスク片より切り分け、セフ
ォタキシム(500ug/ml)を含むMS寒天培地に移植した。
さらに植え継ぎながらカナマイシンによる選抜を行った
後、組換え体植物を得た。
入) 実施例2によって得られたプラスミドpNGLを、あらかじ
め塩化カルシウム処理でcompetent な状態にしたAgroba
cterium tumefaciens (LBA4404 株;ストレプトマイシ
ン耐性、リファンピシン耐性:クローンテック社製)に
導入した。形質転換体は、導入されたプラスミドが有す
るNPTII により付与されるカナマイシンに対する耐性の
性質を利用してストレプトマイシン300ug/ml、リファン
ピシン100ug/ml、カナマイシン25ug/ml を含むL培地
(bacto-trypton 10g, yeast extract 5g, NaCl 5g, di
st. water 1L(pH 7.0))で選択することによって得られ
た。得られた形質転換体であるAgrobacterium tumefaci
ens をストレプトマイシン300ug/ml、リファンピシン10
0ug/ml、カナマイシン25ug/ml を含むL培地で28℃一昼
夜培養し、得られた菌液をS.B.Gelvin, R.A.Schilperoo
rt and D.P.S.Verma著;プラント モレキュラー バイ
オロジー/マニュアル(Plant Molecular Biology/Manu
al. )、ルワー アカデミック パブリッシャーズ(Kl
uwer Academic Publishers)発行、1988年等に記載され
ている通常の方法でタバコ葉部のディスク片への感染に
用いた。感染した葉部ディスク片をMS−NB 寒天培地で
4日間培養した。4 日目にセフォタキシム(500ug/ml)
を含むMS−NB 寒天培地に移し、アグロバクテリウムの
除菌を行った。11日目にセフォタキシム(500ug/ml)と
カナマイシン(100ug/ml)を含むMS−NB 寒天培地に移
し、形質転換体の選抜を開始した。約4週間後、緑色の
茎葉分化した幼植物体をディスク片より切り分け、セフ
ォタキシム(500ug/ml)を含むMS寒天培地に移植した。
さらに植え継ぎながらカナマイシンによる選抜を行った
後、組換え体植物を得た。
【0022】実施例4 (組換え体植物のGUS活性測
定) 4-メチルウンベリフェリルグルクロン酸を基質とした蛍
光法でGUS 活性を測定した。組換え体植物葉片約100mg
をエッペンドルフチューブに入れ、100ul の抽出用緩衝
液(50mM リン酸緩衝液pH7.0 ,10mM EDTA ,0.1% Tri
ton X-100 ,0.1% Sarkosyl ,10mM メルカプトエタノ
ール)中でホモジェナイザーを用いて組織を充分破砕し
た。その後、12,000rpm (10,000xg)で5 分間遠心分離
し、上清を抽出液として別のエッペンドルフチューブに
移した。500ul 基質液(1mM 4−methylumbelliferyl−
β−D −glucuronide;抽出用緩衝液に溶解する)と50ul
抽出液混合し、37℃で反応させた。一定反応時間毎に
(例えば、0 分、10分、20分、30分)100ul ずつ数回サ
ンプリングし、直ちに900ul 停止液(0.2M Na 2 CO3水
溶液)と混合して反応を停止した。分光蛍光光度計(日
立製作所製F-2000)を用いてこれらのサンプルの蛍光強
度を測定し、その増加速度から求められるGUS活性が比
較的高い組換え体植物を選抜した。
定) 4-メチルウンベリフェリルグルクロン酸を基質とした蛍
光法でGUS 活性を測定した。組換え体植物葉片約100mg
をエッペンドルフチューブに入れ、100ul の抽出用緩衝
液(50mM リン酸緩衝液pH7.0 ,10mM EDTA ,0.1% Tri
ton X-100 ,0.1% Sarkosyl ,10mM メルカプトエタノ
ール)中でホモジェナイザーを用いて組織を充分破砕し
た。その後、12,000rpm (10,000xg)で5 分間遠心分離
し、上清を抽出液として別のエッペンドルフチューブに
移した。500ul 基質液(1mM 4−methylumbelliferyl−
β−D −glucuronide;抽出用緩衝液に溶解する)と50ul
抽出液混合し、37℃で反応させた。一定反応時間毎に
(例えば、0 分、10分、20分、30分)100ul ずつ数回サ
ンプリングし、直ちに900ul 停止液(0.2M Na 2 CO3水
溶液)と混合して反応を停止した。分光蛍光光度計(日
立製作所製F-2000)を用いてこれらのサンプルの蛍光強
度を測定し、その増加速度から求められるGUS活性が比
較的高い組換え体植物を選抜した。
【0023】実施例5 (選抜した組換え体植物ゲノム
へのヒト・リゾチーム遺伝子の挿入の確認) (1)選択した組換え体植物からのゲノムDNA の調製 約0.5gの選択した組換え体タバコ葉片をエッペンドルフ
チューブ中でホモジェナイザー用いて充分磨砕した。0.
5ml の2xCTAB液〔2% cetyltrimethylammoniumbromide(C
TAB), 100mM Tris-HCl(pH8.0), 20mM EDTA, 1.4M NaCl,
1% polyvinylpyrrolidone(PVP)〕を混合して65℃で5
分間保温した。これに0.5ml クロロホルム・イソアミル
アルコール(24:1)混合液を加え、緩やかに5 分間混合し
た。12,000rpm (10,000xg)で10分間遠心分離して上層
を別のエッペンドルフチューブに移し、0.5ml のイソプ
ロピルアルコールを加え混合した。12,000rpm (10,000
xg)で15分間の遠心分離で析出したDNA を分離し、200u
l のTE(10mM Tris-HCl(pH8.0), 1mM EDTA)に溶解し
た。10ug/ml のRNaseAを加え、37℃で約30分間反応させ
RNA を分解した。反応後等容のフェノール・クロロホル
ム・イソアミルアルコール(25:24:1 )混液で抽出を行
い、上層をエッペンドルフチューブに回収した。1/10容
の3M 酢酸ナトリウム(pH5.2) と2.5 倍容のエタノール
を加え混合し、12,000rpm (10,000xg)で15分間遠心分
離して5ug のゲノムDNA を得た。 (2)PCR法によるヒト・リゾチーム遺伝子挿入の確認 上記の操作で得られる選択した組換え体タバコのゲノム
DNA50ng を鋳型として下記の塩基配列を有する2つの合
成DNAプライマー(配列番号4および5)
へのヒト・リゾチーム遺伝子の挿入の確認) (1)選択した組換え体植物からのゲノムDNA の調製 約0.5gの選択した組換え体タバコ葉片をエッペンドルフ
チューブ中でホモジェナイザー用いて充分磨砕した。0.
5ml の2xCTAB液〔2% cetyltrimethylammoniumbromide(C
TAB), 100mM Tris-HCl(pH8.0), 20mM EDTA, 1.4M NaCl,
1% polyvinylpyrrolidone(PVP)〕を混合して65℃で5
分間保温した。これに0.5ml クロロホルム・イソアミル
アルコール(24:1)混合液を加え、緩やかに5 分間混合し
た。12,000rpm (10,000xg)で10分間遠心分離して上層
を別のエッペンドルフチューブに移し、0.5ml のイソプ
ロピルアルコールを加え混合した。12,000rpm (10,000
xg)で15分間の遠心分離で析出したDNA を分離し、200u
l のTE(10mM Tris-HCl(pH8.0), 1mM EDTA)に溶解し
た。10ug/ml のRNaseAを加え、37℃で約30分間反応させ
RNA を分解した。反応後等容のフェノール・クロロホル
ム・イソアミルアルコール(25:24:1 )混液で抽出を行
い、上層をエッペンドルフチューブに回収した。1/10容
の3M 酢酸ナトリウム(pH5.2) と2.5 倍容のエタノール
を加え混合し、12,000rpm (10,000xg)で15分間遠心分
離して5ug のゲノムDNA を得た。 (2)PCR法によるヒト・リゾチーム遺伝子挿入の確認 上記の操作で得られる選択した組換え体タバコのゲノム
DNA50ng を鋳型として下記の塩基配列を有する2つの合
成DNAプライマー(配列番号4および5)
【0024】
【化3】 N1 (30mer) 5'-GAAGAGATTGGGTATGGACGGTTACCGTGG-3' C1 (30mer) 5'-CAACCTTGAACGTATTGACGGACGTCACGG-3'
【0025】を用いてPCR で、ヒト・リゾチーム遺伝子
断片の増幅を行い、PCR 反応液の一部をアガロースゲル
電気泳動で解析した。選抜した組換え体タバコでヒト・
リゾチーム遺伝子の増幅がみられた。
断片の増幅を行い、PCR 反応液の一部をアガロースゲル
電気泳動で解析した。選抜した組換え体タバコでヒト・
リゾチーム遺伝子の増幅がみられた。
【0026】実施例6 (選抜した組換え体タバコにお
けるヒト・リゾチーム遺伝子の発現の確認) (1)選抜した組換え体タバコからのポリ(A) + RNA の
調製 1gのタバコ葉組織を液体窒素中乳鉢・乳棒を用いて磨砕
し、10mlのISOGEN(ニッポンジーン社製)を加え懸濁し
た。これに2ml のクロロホルムを加え充分攪拌した後1
0,000rpm (7,500xg )で10分間遠心分離し、水層を分
離した。5ml のイソプロパノールを水層に混合し、析出
したRNA を10,000rpm (7,500xg )で10分間遠心分離し
た。これを5ml の75% エタノールで洗浄した後、500ul
の溶出液(10mM Tris-HCl(pH7.5), 1mM EDTA, 0.1% SD
S )に溶解し、500ul のoligotex-dT 30 (宝酒造社
製)を加えた。65℃で5 分間加熱した後、氷上で3 分間
急冷し、100ul の5M NaCl を加えた。37℃で10分間保温
した後12,000rpm (10,000xg)で5 分間遠心分離し、上
清を除去した。沈澱に500ul のTEに再懸濁し、65℃で5
分間加熱処理し3 分間氷上で急冷した。12,000rpm (1
0,000xg)で5 分間遠心分離で上清を回収し、500ul の
フェノール・クロロホルム・イソアミルアルコール混液
で抽出した。その後、2 回のエタノール沈澱でポリ(A)
+ RNA を精製した。 (2)ノーザンブロッティングおよびノーザンハイブリ
ダイゼーションによるヒト・リゾチーム遺伝子の転写産
物の検出 J.Sambrook, E.F.Frisch, T.Maniatis著;モレキュラー
クローニング 第2版(Molecular Cloning 2nd edit
ion )、コールドスプリング ハーバー ラボラトリー
(Cold Spring Harbor Laboratory )発行、1989年等に
記載される方法に準じてノーザンブロッティングおよび
ノーザンハイブリダイゼーションを実施し、目的の遺伝
子発現を検出した。ポリ(A) + RNA をホルムアルデヒド
を含む1.2 %( w/v) アガロースゲル電気泳動(100mV,
1 時間)に供し、泳動後、分離したRNAをゲルからナイ
ロンメンブレンに転写した。pNGLをBamHI とSacIで切断
して得られるヒト・リゾチーム遺伝子断片を鋳型とし
て、ランダムプライマーとKlenow fragment を用いて標
識化したプローブを調製した。この標識化プローブとナ
イロンメンブレン上に固定されたRNA とハイブリダイゼ
ーションさせることによって、ヒト・リゾチームのポリ
(A) + RNA を検出し、選抜した組換え体タバコにおいて
導入したヒト・リゾチーム遺伝子が発現していることを
確認した。この中で発現量の比較的高い組換え体タバコ
を4 クローン選抜した(図3参照)。上記の方法に準じ
て、選抜した組換え体タバコのシグナルと、同時に泳動
しノーザンブロット解析をしたヒト・リゾチーム遺伝子
断片に相当するシグナル強度を比較することによって、
選抜した組換え体タバコ中で発現しているヒト・リゾチ
ームのmRNAの重量は少なくとも75pg以上と算定した。各
レーンに2ug 相当のポリ(A) + RNA を泳動しているの
で、本組換え体タバコにおけるヒト・リゾチームの発現
量は全ポリ(A) + RNA の0.004%以上であることが判明し
た。一方、T4ファージ由来のリゾチームの植物体内で
の発現量は、全ポリ(A) + RNA のわずか0.001%(The Pl
ant Journal(1993) vol.3 No.4587-598 記載)であっ
た。
けるヒト・リゾチーム遺伝子の発現の確認) (1)選抜した組換え体タバコからのポリ(A) + RNA の
調製 1gのタバコ葉組織を液体窒素中乳鉢・乳棒を用いて磨砕
し、10mlのISOGEN(ニッポンジーン社製)を加え懸濁し
た。これに2ml のクロロホルムを加え充分攪拌した後1
0,000rpm (7,500xg )で10分間遠心分離し、水層を分
離した。5ml のイソプロパノールを水層に混合し、析出
したRNA を10,000rpm (7,500xg )で10分間遠心分離し
た。これを5ml の75% エタノールで洗浄した後、500ul
の溶出液(10mM Tris-HCl(pH7.5), 1mM EDTA, 0.1% SD
S )に溶解し、500ul のoligotex-dT 30 (宝酒造社
製)を加えた。65℃で5 分間加熱した後、氷上で3 分間
急冷し、100ul の5M NaCl を加えた。37℃で10分間保温
した後12,000rpm (10,000xg)で5 分間遠心分離し、上
清を除去した。沈澱に500ul のTEに再懸濁し、65℃で5
分間加熱処理し3 分間氷上で急冷した。12,000rpm (1
0,000xg)で5 分間遠心分離で上清を回収し、500ul の
フェノール・クロロホルム・イソアミルアルコール混液
で抽出した。その後、2 回のエタノール沈澱でポリ(A)
+ RNA を精製した。 (2)ノーザンブロッティングおよびノーザンハイブリ
ダイゼーションによるヒト・リゾチーム遺伝子の転写産
物の検出 J.Sambrook, E.F.Frisch, T.Maniatis著;モレキュラー
クローニング 第2版(Molecular Cloning 2nd edit
ion )、コールドスプリング ハーバー ラボラトリー
(Cold Spring Harbor Laboratory )発行、1989年等に
記載される方法に準じてノーザンブロッティングおよび
ノーザンハイブリダイゼーションを実施し、目的の遺伝
子発現を検出した。ポリ(A) + RNA をホルムアルデヒド
を含む1.2 %( w/v) アガロースゲル電気泳動(100mV,
1 時間)に供し、泳動後、分離したRNAをゲルからナイ
ロンメンブレンに転写した。pNGLをBamHI とSacIで切断
して得られるヒト・リゾチーム遺伝子断片を鋳型とし
て、ランダムプライマーとKlenow fragment を用いて標
識化したプローブを調製した。この標識化プローブとナ
イロンメンブレン上に固定されたRNA とハイブリダイゼ
ーションさせることによって、ヒト・リゾチームのポリ
(A) + RNA を検出し、選抜した組換え体タバコにおいて
導入したヒト・リゾチーム遺伝子が発現していることを
確認した。この中で発現量の比較的高い組換え体タバコ
を4 クローン選抜した(図3参照)。上記の方法に準じ
て、選抜した組換え体タバコのシグナルと、同時に泳動
しノーザンブロット解析をしたヒト・リゾチーム遺伝子
断片に相当するシグナル強度を比較することによって、
選抜した組換え体タバコ中で発現しているヒト・リゾチ
ームのmRNAの重量は少なくとも75pg以上と算定した。各
レーンに2ug 相当のポリ(A) + RNA を泳動しているの
で、本組換え体タバコにおけるヒト・リゾチームの発現
量は全ポリ(A) + RNA の0.004%以上であることが判明し
た。一方、T4ファージ由来のリゾチームの植物体内で
の発現量は、全ポリ(A) + RNA のわずか0.001%(The Pl
ant Journal(1993) vol.3 No.4587-598 記載)であっ
た。
【0027】実施例7 (選抜した組換え体植物におけ
るヒト・リゾチーム蛋白質の蓄積の確認) 0.2gの実施例6で選抜した組換え体タバコ組織を2.5% S
DS, 10% Sucrose, 50mM CaCl2 を含む溶液中で乳鉢・乳
棒で磨砕し、12,000rpm(10,000xg) で10分間遠心分離し
て上清を抽出液とした。この抽出液をSDS を含む15〜25
%(w/v) 密度勾配ポリアクリルアミドゲル電気泳動(40
mV,1時間)に供し、分離した蛋白質をニトロセルロース
メンブレンに電気的に転写した。メンブレン上に転写し
た蛋白質は市販のヒト・リゾチームに対する抗血清(ノ
ルディック社製)と反応させることによって検出した。
選抜した組換え体タバコではヒト・リゾチーム蛋白質が
蓄積していることを確認した。
るヒト・リゾチーム蛋白質の蓄積の確認) 0.2gの実施例6で選抜した組換え体タバコ組織を2.5% S
DS, 10% Sucrose, 50mM CaCl2 を含む溶液中で乳鉢・乳
棒で磨砕し、12,000rpm(10,000xg) で10分間遠心分離し
て上清を抽出液とした。この抽出液をSDS を含む15〜25
%(w/v) 密度勾配ポリアクリルアミドゲル電気泳動(40
mV,1時間)に供し、分離した蛋白質をニトロセルロース
メンブレンに電気的に転写した。メンブレン上に転写し
た蛋白質は市販のヒト・リゾチームに対する抗血清(ノ
ルディック社製)と反応させることによって検出した。
選抜した組換え体タバコではヒト・リゾチーム蛋白質が
蓄積していることを確認した。
【0028】実施例8 (選抜した組換え体植物のうど
んこ病に対する抵抗性試験) タバコうどんこ病菌の感染した葉から調製した分生胞子
懸濁液(1x104 spores/ ml )をクロマト用噴霧器を用
いて試験植物に接種した。約1 週間後、葉部の感染面積
を測定した。感染面積の葉面積に対する割合を示す感染
面積率で評価した。その結果を表1に示す。野生種およ
び実施例6で選抜した組換え体タバコで、それぞれ3 つ
の独立した試験結果を平均した感染面積率を比較した。
その結果を表1に示す。選抜した組換え体タバコの平均
感染面積率は、野生種のタバコの平均感染面積率に対し
て大きく低下した(平均減少率92%)。なかでも2 ク
ローン(表1 の組換え体タバコ3 、 4 )については、ほ
ぼ100%の防除効果を示した。
んこ病に対する抵抗性試験) タバコうどんこ病菌の感染した葉から調製した分生胞子
懸濁液(1x104 spores/ ml )をクロマト用噴霧器を用
いて試験植物に接種した。約1 週間後、葉部の感染面積
を測定した。感染面積の葉面積に対する割合を示す感染
面積率で評価した。その結果を表1に示す。野生種およ
び実施例6で選抜した組換え体タバコで、それぞれ3 つ
の独立した試験結果を平均した感染面積率を比較した。
その結果を表1に示す。選抜した組換え体タバコの平均
感染面積率は、野生種のタバコの平均感染面積率に対し
て大きく低下した(平均減少率92%)。なかでも2 ク
ローン(表1 の組換え体タバコ3 、 4 )については、ほ
ぼ100%の防除効果を示した。
【表1】 ヒト・リゾチーム遺伝子を導入したタバコのうどんこ病に対する抵抗性 ───────────────────────────── 植物 平均感染面積率(%) 減少率(%) ───────────────────────────── 野生種のタバコ 8.02 − ───────────────────────────── 組換え体タバコ 1 1.53 81 2 0.67 92 3 0.06 99 4 0.28 97 ────────────────────────────── 選抜した組換え体タバコにおける感染面積率の平均減少率 92%
【0029】実施例9 (選抜した組換え体植物の野火
病に対する抵抗性試験) 試験植物として、野生種および実施例6で選抜した組換
え体タバコを用いた。Lブロスで28℃、終夜培養した
タバコ野火病菌(Pseudomonas syringae pv. tabaci) 液
(1x108 cells/ml)の10倍希釈液を試験植物の葉に一
箇所あたり10μlずつ、10箇所接種した。菌を接種
した試験植物を、適当な大きさのビニル袋で被うことに
より多湿状態に保ちながら、人工気象器内(25℃、明
所、16時間/23℃、暗所、8時間)で生育させ、一
週間後、該植物の葉部における感染面積(接種部位を中
心に形成した黄化病斑の面積)を測定した。感染面積
は、出現した黄化病斑の長径と短径をノギスを用いて測
定し、楕円の面積計算[3.14x( 長径)x( 短径)/4]から計
算した。その結果を表2に示す。選抜した組換え体タバ
コの平均感染面積は、野生種のタバコの平均感染面積に
対して大きく減少した(平均減少率80%)。
病に対する抵抗性試験) 試験植物として、野生種および実施例6で選抜した組換
え体タバコを用いた。Lブロスで28℃、終夜培養した
タバコ野火病菌(Pseudomonas syringae pv. tabaci) 液
(1x108 cells/ml)の10倍希釈液を試験植物の葉に一
箇所あたり10μlずつ、10箇所接種した。菌を接種
した試験植物を、適当な大きさのビニル袋で被うことに
より多湿状態に保ちながら、人工気象器内(25℃、明
所、16時間/23℃、暗所、8時間)で生育させ、一
週間後、該植物の葉部における感染面積(接種部位を中
心に形成した黄化病斑の面積)を測定した。感染面積
は、出現した黄化病斑の長径と短径をノギスを用いて測
定し、楕円の面積計算[3.14x( 長径)x( 短径)/4]から計
算した。その結果を表2に示す。選抜した組換え体タバ
コの平均感染面積は、野生種のタバコの平均感染面積に
対して大きく減少した(平均減少率80%)。
【表2】 ヒト・リゾチーム遺伝子を導入したタバコの野火病に対する抵抗性 ─────────────────────────────── 植物 平均感染面積 標準偏差 減少率(%) (mm2 ) (mm2 ) ─────────────────────────────── 野生種のタバコ 182 37 − ─────────────────────────────── 組換え体タバコ 1 53 34 71 2 31 21 83 3 27 11 85 ─────────────────────────────── 選抜した組換え体タバコにおける感染面積の平均減少率 80%
【0030】実施例において用いられたMS培地およびMS
-NB 培地の組成を下記に示す。 1.MS培地 [MS-1 100倍液] Na2 EDTA 1865mg 、FeSO4 ・ H2O 1390mg 、dist.wat
er 500ml [MS-2 100倍液] MgSO4 ・ 7H2 O 18500mg 、MnSO4・4H2 O 1115mg、Zn
SO4 ・ 7H2 O 430mg、CuSO4・ 5H 2 O 1250ul(1mg/ml
stock)、dist.water 500ml [MS-3 100倍液] CaCl2 ・ 2H2 O 22000mg、KI 42mg、CoCl2 ・ 6H2 O
1250ul(1mg/ml stock)、dist.water 500ml [MS-4 100倍液] KH2 PO4 8500mg 、H 3 BO3 310mg、Na2 MoO 4 ・ H 2
O 1250ul(1mg/ml stock) 、dist.water 500ml [MS-5 50 倍液] NH4NO3 82500mg 、dist.water 1000ml [MS-6 50 倍液] KNO3 95000mg 、dist.water 1000ml [MS-7 100倍液] myo-イノシトール 5000mg、塩酸チアミン 5mg 、塩酸
ピリドキシン 25mg、ニコチン酸 25mg、グリシン 10
0mg 、dist.water 1000ml [MS-1 100倍液]を10ml、[MS-2 100倍液]を10ml、
[MS-3 100倍液]を10ml、[MS-4 100倍液]を10ml、
[MS-5 50 倍液]を20ml、[MS-6 50 倍液]を20ml、
[MS-7 100倍液]を10ml混合し、pHを5.8 に調整後最終
容量を1000mlにした。 2.MS-NB 培地 上記のMS培地にNAA (1-ナフタリン酢酸)0.1mg/ml、BA
(6-ベンジルアミノプリン)1.0mg/mlを添加した培地。
-NB 培地の組成を下記に示す。 1.MS培地 [MS-1 100倍液] Na2 EDTA 1865mg 、FeSO4 ・ H2O 1390mg 、dist.wat
er 500ml [MS-2 100倍液] MgSO4 ・ 7H2 O 18500mg 、MnSO4・4H2 O 1115mg、Zn
SO4 ・ 7H2 O 430mg、CuSO4・ 5H 2 O 1250ul(1mg/ml
stock)、dist.water 500ml [MS-3 100倍液] CaCl2 ・ 2H2 O 22000mg、KI 42mg、CoCl2 ・ 6H2 O
1250ul(1mg/ml stock)、dist.water 500ml [MS-4 100倍液] KH2 PO4 8500mg 、H 3 BO3 310mg、Na2 MoO 4 ・ H 2
O 1250ul(1mg/ml stock) 、dist.water 500ml [MS-5 50 倍液] NH4NO3 82500mg 、dist.water 1000ml [MS-6 50 倍液] KNO3 95000mg 、dist.water 1000ml [MS-7 100倍液] myo-イノシトール 5000mg、塩酸チアミン 5mg 、塩酸
ピリドキシン 25mg、ニコチン酸 25mg、グリシン 10
0mg 、dist.water 1000ml [MS-1 100倍液]を10ml、[MS-2 100倍液]を10ml、
[MS-3 100倍液]を10ml、[MS-4 100倍液]を10ml、
[MS-5 50 倍液]を20ml、[MS-6 50 倍液]を20ml、
[MS-7 100倍液]を10ml混合し、pHを5.8 に調整後最終
容量を1000mlにした。 2.MS-NB 培地 上記のMS培地にNAA (1-ナフタリン酢酸)0.1mg/ml、BA
(6-ベンジルアミノプリン)1.0mg/mlを添加した培地。
【0031】
【発明の効果】ヒト由来のリゾチームの利用により、植
物体内での遺伝子発現が著しく高くなり、有害生物の増
殖を効果的に阻害した。したがって本発明方法は植物に
おけるすぐれた病虫害抵抗性増強方法である。そして本
発明により、農薬を用いた病害虫の防除を不要または軽
減し、また交雑を主体とした従来の品種改良と比較し
て、短期間・省力的な改良が可能になる。
物体内での遺伝子発現が著しく高くなり、有害生物の増
殖を効果的に阻害した。したがって本発明方法は植物に
おけるすぐれた病虫害抵抗性増強方法である。そして本
発明により、農薬を用いた病害虫の防除を不要または軽
減し、また交雑を主体とした従来の品種改良と比較し
て、短期間・省力的な改良が可能になる。
【0032】配列番号:1 配列の長さ:19 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 5'-GATTCATCATGAAAGTTTTC-3'
【0033】配列番号:2 配列の長さ:17 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 5'-CGAAAACTTTCATGATG-3'
【0034】配列番号:3 配列の長さ:8 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 5'-CGGATCCG-3'
【0035】配列番号:4 配列の長さ:30 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 5'-GAAGAGATTGGGTATGGACGGTTACCGTGG-3'
【0036】配列番号:5 配列の長さ:30 配列の型:核酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:合成DNA 配列 5'-CAACCTTGAACGTATTGACGGACGTCACGG-3'
【0037】配列番号:6 配列の長さ:369 配列の型:核酸 鎖の数:2本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸(非天然型合成DNA) 配列の特徴 特徴を表す記号:peptide 存在位置:1..393 特徴を決定した方法:S 配列 1 ATG AAA GTT TTC GAA CGT TGT GAA TTG GCC AGA ACT TTG AAG AGA 45 1 Met Lys Val Phe Glu Arg Cys Glu Leu Ala Arg Thr Leu Lys Arg 15 46 TTG GGT ATG GAC GGT TAC CGT GGT ATC TCT TTG GCT AAC TGG ATG 90 16 Leu Gly Met Asp Gly Tyr Arg Gly Ile Ser Leu Ala Asn Trp Met 30 91 TGT TTG GCC AAG TGG GAA TCT GGT TAC AAC ACT AGA GCT ACT AAC 135 31 Cys Leu Ala Lys Trp Glu Ser Gly Tyr Asn Thr Arg Ala Thr Asn 45 136 TAC AAC GCC GGT GAC CGT TCT ACT GAC TAC GGT ATC TTC CAA ATT 180 46 Tyr Asn Ala Gly Asp Arg Ser Thr Asp Tyr Gly Ile Phe Gln Ile 60 181 AAC TCT AGA TAC TGG TGT AAC GAC GGT AAG ACT CCA GGC GCC GTT 225 61 Asn Ser Arg Tyr Trp Cys Asn Asp Gly Lys Thr Pro Gly Ala Val 75 226 AAC GCC TGT CAC TTG TCT TGT TCT GCT TTG TTG CAA GAC AAC ATC 270 76 Asn Ala Cys His Leu Ser Cys Ser Ala Leu Leu Gln Asp Asn Ile 90 271 GCT GAC GCC GTT GCC TGT GCT AAA CGT GTC GTT CGC GAC CCA CAA 315 91 Ala Asp Ala Val Ala Cys Ala Lys Arg Val Val Arg Asp Pro Gln 105 316 GGT ATC CGT GCT TGG GTC GCT TGG CGT AAC CGC TGT CAA AAC CGT 360 106 Gly Ile Arg Ala Trp Val Ala Trp Arg Asn Arg Cys Gln Asn Arg 120 361 GAC GTG CCT CAA TAC GTT CAA GGT TGT GGT GTC TAA 396 121 Asp Val Pro Gln Tyr Val Gln Gly Cys Gly Val *** 131
【図1】 植物へヒト・リゾチーム遺伝子を導入するた
めのプラスミドの構築方法(pLY60からpHLY)
を示す図である。
めのプラスミドの構築方法(pLY60からpHLY)
を示す図である。
【図2】 植物へヒト・リゾチーム遺伝子を導入するた
めのプラスミドの構築方法(pGFC2からpNGL)
を示す図である。
めのプラスミドの構築方法(pGFC2からpNGL)
を示す図である。
【図3】 ノーザンブロット法によるヒト・リゾチーム
遺伝子の発現検出試験の結果を示す図である。写真右の
矢印はヒト・リゾチームのポリ(A) + RNA の泳動位置を
示す。「レーン1」は野生種のタバコから抽出したポリ
(A)+RNA を泳動した。「レーン2」から「レーン5」は
選抜した組換え体タバコから抽出したポリ(A)+RNA を泳
動した。
遺伝子の発現検出試験の結果を示す図である。写真右の
矢印はヒト・リゾチームのポリ(A) + RNA の泳動位置を
示す。「レーン1」は野生種のタバコから抽出したポリ
(A)+RNA を泳動した。「レーン2」から「レーン5」は
選抜した組換え体タバコから抽出したポリ(A)+RNA を泳
動した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石毛 郁治 兵庫県宝塚市高司4丁目2番1号 住友化 学工業株式会社内
Claims (4)
- 【請求項1】(1)植物中で機能可能なプロモーター領
域、(2)該プロモーター領域の下流に翻訳後ヒト由来
のリゾチーム蛋白質を生ずる遺伝子を含む領域、および
(3)植物中で機能可能なターミネーター領域を持ち、
これら領域を機能可能な形で有する発現カセットを植物
に導入し、ヒト由来のリゾチームを発現させることを特
徴とする植物における病害虫抵抗性増強方法。 - 【請求項2】植物で機能可能な分泌シグナル配列を含む
領域を機能可能な形で翻訳後ヒト由来のリゾチーム蛋白
質を生ずる遺伝子の上流に結合した、翻訳後ヒト由来の
リゾチーム蛋白質を生ずる遺伝子を含む領域である請求
項1記載の植物における病害虫抵抗性増強方法。 - 【請求項3】請求項1記載の植物における病害虫抵抗性
増強方法によって病害虫抵抗性を付与された改良植物。 - 【請求項4】(1)植物中で機能可能なプロモーター領
域、(2)該プロモーター領域の下流に翻訳後ヒト由来
のリゾチーム蛋白質を生ずる遺伝子を含む領域、および
(3)植物中で機能可能なターミネーター領域を持ち、
これら領域を機能可能な形で有する発現カセット。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6276573A JPH0884540A (ja) | 1994-07-18 | 1994-11-10 | 植物における病害虫抵抗性増強方法 |
CA002154019A CA2154019A1 (en) | 1994-07-18 | 1995-07-17 | Method for enhancing disease and pest resistance of plants |
DE69520127T DE69520127T2 (de) | 1994-07-18 | 1995-07-18 | Verfahren zur Erhöhung der Resistenz gegen Krankheiten und Schädlinge bei Pflanzen |
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