JPH0881675A - 吸収式ヒ−トポンプ用水溶液組成物 - Google Patents

吸収式ヒ−トポンプ用水溶液組成物

Info

Publication number
JPH0881675A
JPH0881675A JP6247093A JP24709394A JPH0881675A JP H0881675 A JPH0881675 A JP H0881675A JP 6247093 A JP6247093 A JP 6247093A JP 24709394 A JP24709394 A JP 24709394A JP H0881675 A JPH0881675 A JP H0881675A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aqueous solution
heat pump
solution composition
iron
iodide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6247093A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigeo Tsujikawa
茂男 辻川
Shigeru Komukai
茂 小向
Junji Enomoto
淳史 榎本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo Gas Co Ltd
Original Assignee
Tokyo Gas Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokyo Gas Co Ltd filed Critical Tokyo Gas Co Ltd
Priority to JP6247093A priority Critical patent/JPH0881675A/ja
Publication of JPH0881675A publication Critical patent/JPH0881675A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02ATECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
    • Y02A30/00Adapting or protecting infrastructure or their operation
    • Y02A30/27Relating to heating, ventilation or air conditioning [HVAC] technologies
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02BCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO BUILDINGS, e.g. HOUSING, HOUSE APPLIANCES OR RELATED END-USER APPLICATIONS
    • Y02B30/00Energy efficient heating, ventilation or air conditioning [HVAC]
    • Y02B30/62Absorption based systems

Landscapes

  • Sorption Type Refrigeration Machines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】吸収剤成分としてヨウ化物を含む水溶液組成物
又はヨウ化物と硝酸塩を含む水溶液組成物において、還
元剤として硫黄又は硫化ナトリウムを添加してなること
を特徴とする炭素鋼やステンレス鋼等の鉄系材質を構成
材料とする吸収式ヒ−トポンプ用水溶液組成物。 【効果】遊離ヨウ素の生成自体を防止し吸収式ヒ−トポ
ンプ用の鉄系材料の腐食をきわめて有効に防止すること
ができる。Na2 S添加の場合、Espはより卑に保た
れてVC.CREVとの差も大きくなり、鉄系材料にとってよ
り安全な環境となり、またS添加の場合には、自然電位
を経時的に卑化して安全性を高めるだけでなく、その補
給作用により長期にわたる優れた防食効果が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、吸収式ヒ−トポンプ
(吸収式冷温水機)に使用される作動媒体に関し、より
具体的には炭素鋼やステンレス鋼等の鉄系材質を構成材
料とする吸収式ヒ−トポンプにおいて使用する、水を冷
媒とし、吸収剤成分としてヨウ化物を含む水溶液組成物
又はヨウ化物と硝酸塩を含む水溶液組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】吸収式ヒ−トポンプに使用される作動媒
体としては、これまで水とアンモニア(NH3 :冷媒)
との組み合わせからなるもの、水とハロゲン化物との組
み合わせからなるもの等種々のものが提案されてきてい
るが、我が国においては、水とアンモニア(NH3 :冷
媒)との組み合わせからなるものは、危険なため、特殊
な場合を除き殆んど使用されておらず、現実には専ら水
と臭化リチウムとからなる系(「水−LiBr」系)が
使用されている。
【0003】上記水とハロゲン化物との組み合わせから
なる系のうち、例えば実質上水と臭化リチウムだけから
なる系では、装置を小型化したり、空冷化するために
は、その水溶液中の臭化リチウム濃度を高くしなければ
ならないが、そうすると臭化リチウムが晶出することと
なり、ある程度以上の小型化や空冷化は困難であった。
この結晶限界を改良するため、この水と臭化リチウムと
からなる水溶液に臭化亜鉛や塩化亜鉛を添加することが
提案されているが、これらを加えた系ではその水溶液自
体が酸性となり、きわめて強い腐食性を示すだけではな
く、10重量%程度以下の希薄溶液では水酸化亜鉛の生
成に伴う沈澱物が生じてしまう。
【0004】吸収式ヒ−トポンプは、基本的には再生
器、凝縮器、蒸発器、吸収器及びこれらを連結する配管
から成り、これら各装置及び配管は、軟鋼その他の炭素
鋼系材料、銅、キュプロニッケルその他の銅系材料等、
種々の材料で構成されており、最近では、その炭素鋼系
材料が使えない場合の代替材料としてステンレス鋼系の
材料を用いることも検討されている。これらの材料のう
ち特に高温で機能する再生器を構成する炭素鋼系材料、
また上記ステンレス鋼系の材料についても、これらに対
する腐食の問題は、前述吸収剤成分の晶出、沈澱物の生
成の問題とともに充分に配慮されなければならない。
【0005】吸収式ヒ−トポンプにおいては、順調な運
転を維持するため、系全体を完全な気密状態に保つ必要
があり、この事は、同時に系の防食のためにも非常に重
要なことであるが、それでもなお、水を冷媒としその吸
収剤として臭化リチウム、塩化リチウム等を使用する場
合、この作動媒体は吸収式ヒ−トポンプを構成する前述
諸機器の主要構成材料である軟鋼等の鉄系材料に対して
腐食性を有し、このため通常腐食防止用のインヒビタ−
の添加が必要不可欠である。このインヒビタ−として
は、これまで例えばクロム酸リチウム等のクロム酸塩、
モリブデン酸リチウム等のモリブデン酸塩、タングステ
ン酸塩、亜硝酸塩、硝酸塩、アゾ−ル類、アミン類、等
が提案されている。
【0006】ところで、特公平5−28751号公報に
は、水とハロゲン化塩とからなる作動媒体において、晶
析限界を改良した新しい吸収冷凍機用吸収液が提案され
ており、その成分として臭化リチウム、ヨウ化リチウ
ム、塩化リチウム及び硝酸リチウムを用い、これら各成
分の割合を所定の範囲とすることにより、例えば水溶液
中の吸収剤成分の濃度63.6wt%で晶出温度0.5
℃、その濃度62.0wt%で晶出温度1.9℃という
成果が得られることが示されている。
【0007】このような新しい作動媒体を使用する場合
にも腐食防止に対する十分な配慮が必要であることに変
わりはなく、例えば、特開平1−174588号公報に
は、特に腐食性が強い吸収液として「ヨウ化リチウム等
を含むハロゲン化リチウム塩水溶液」が指摘され、これ
を使用する場合の対策が検討されている。
【0008】この公報によれば、この吸収液において
は、従来のインヒビタ−だけでは腐食抑制効果が十分で
はなかったところ、この問題点をアンチモン化合物、特
に三酸化二アンチモンを添加することにより解決したと
いうものであり、そこでは、その添加アンチモン化合物
の作用として、遊離したハロゲンをイオンに還元させ
ること及びハロゲンの遊離を抑制させること、添加ア
ンチモン化合物が吸収機内の銅及び鋼材料の表面に吸着
し、緻密な保護皮膜を形成させ、鉄及び鋼の溶出を防ぐ
ことの2点にあると指摘されている。
【0009】しかし、そこで吸収剤の成分としてヨウ化
リチウムを添加するのは、化合物としてのヨウ化リチウ
ム自体の特性を利用するものであるから、これを用いる
吸収式ヒ−トポンプの作動中に、遊離、生成したヨウ素
を元のヨウ素イオンに戻すというのではなく、ヨウ素が
遊離、生成すること自体を抑制する必要があり、またそ
の生成をでき得れば皆無とするのが望ましい。
【0010】本発明者等は、このような観点から、これ
まで提案されてきた水を冷媒とし、ヨウ化リチウム等の
ヨウ素化合物を含有するハロゲン化物を吸収剤とする種
々の水溶液組成物について、各種観察を続けた結果、そ
の水溶液組成物中にヨウ素が遊離し易いこと、そしてこ
れは特に硝酸塩を含む場合に顕著であり、またヨウ化リ
チウムを含む水溶液中の遊離ヨウ素が、同液中に浸漬さ
れているステンレス鋼のすき間腐食を著しく促進する事
実を見い出したが、これら事実は正にヨウ素が遊離する
こと自体を抑制し、遊離ヨウ素の存在を実質上皆無とす
る必要性を裏付けているものである。
【0011】このような事実を基にし、ステンレス鋼系
材料を構成材質とする吸収式ヒ−トポンプにおいて使用
する、吸収剤成分としてヨウ化物を含む水溶液組成物に
おいて、その水溶液組成物に還元剤として亜硫酸水素ナ
トリウムを添加することにより、ヨウ素が遊離、生成す
ること自体を抑制し、その存在を皆無とする方法を開発
・提案し(特願平5−346533号)、またこの亜硫
酸水素ナトリウムと同等又はさらに有効なものとしてチ
オ硫酸ナトリウムを開発したが(特願平6−14394
4号)、これらと同じ観点からさらに追求、探査してい
るうち、還元剤としてこれらと同等又はそれ以上に有効
な優れた添加成分を見い出し、本発明に到達するに至っ
たものである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】すなわち本発明は、炭
素鋼やステンレス鋼等の鉄系材質を構成材料とする吸収
式ヒ−トポンプにおいて使用する、吸収剤成分としてヨ
ウ化物含む水溶液組成物又はヨウ化物と硝酸塩を含む水
溶液組成物において、これに特定の添加成分を含有させ
ることにより、ヨウ素が遊離、生成すること自体を抑制
して遊離ヨウ素の存在を実質上皆無とし、鉄系材料の腐
食をきわめて有効に防止することができ、また前述の諸
欠点を有しない水溶液組成物を提供することを目的とす
る。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、炭素鋼やステ
ンレス鋼等の鉄系材質を構成材料とする吸収式ヒ−トポ
ンプにおいて用いる、水を冷媒とし、吸収剤成分として
ヨウ化物を含む水溶液組成物又はヨウ化物と硝酸塩を含
む水溶液組成物において、この水溶液組成物に還元剤と
して硫黄(S)又は硫化ナトリウム(Na2S )を添
加、含有させてなることを特徴とする吸収式ヒ−トポン
プ用水溶液組成物を提供するものである。ここで、「吸
収式ヒ−トポンプ」の語は、狭義のヒ−トポンプでな
く、冷凍機を含めた広義のヒ−トポンプの意味で使用し
ている。
【0014】この場合、その硫黄(S)及び硫化ナトリ
ウム(Na2S )は、ヨウ素が遊離すること自体を抑制
してその存在を実質上皆無とし、これによって吸収式ヒ
−トポンプに使用される炭素鋼やステンレス鋼等の鉄系
材料の腐食を長期にわたり有効に防止することができ
る。このうち硫黄Sは、水に対しては不溶性であり、ま
た温度約120℃まで固体であるが、これは本発明で対
象とする水溶液組成物中で下記式(1)で示されるSの
不均一化反応が進行するものと考えられ、これによって
還元剤として有効に作用し、また補給効果をも奏するも
のである。 S↓ + 60H- → 2S2- + S23 2- + 3H2O (1)
【0015】また、本発明で、その対象とする「吸収剤
成分としてヨウ化物を含む水溶液組成物」又は「吸収剤
成分としてヨウ化物及び硝酸塩を含む水溶液組成物」と
しては、水−ヨウ化リチウム系、水−臭化リチウム−ヨ
ウ化リチウム系、水−ヨウ化リチウム−硝酸リチウム
系、水−臭化リチウム−ヨウ化リチウム−塩化リチウム
−硝酸リチウム系等を挙げることができる。これらの系
のうち、特にヨウ化リチウムと硝酸リチウムを含む系の
場合には、硝酸リチウムが酸化力を持ち、そのままでは
遊離ヨウ素を生成し易いことから、本発明に係る硫黄又
は硫化ナトリウムの添加は一層効果的である。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例を試験片としてステン
レス鋼を用いた場合について説明するが、本発明がこの
実施例に限定されないことは勿論である。まず、吸収液
組成として「60%LiXs+0.2%LiOH」から
なる基本水溶液を調製した。ここで「LiXs」は、モ
ル比でLiBr:LiI:LiCl:LiNO3 =10
0:75:41:25とし、また%は質量(mass)
%である。以降実験内容に応じて、その基本水溶液にS
又はNa2S を添加して調整水溶液とした。なお上記L
iOHは、溶液をステンレス鋼に対して腐食性の低いア
ルカリ性に保つために加えるものである。
【0017】一方、ステンレス鋼としてSUS304鋼
(Cr:18.25%、Ni:8.53%、C:0.0
5%、Si:0.49%、P:0.0300%、Mn:
0.85%、S:0.006%、残部:Fe)を使用
し、これを加工してすきま試験片とした。なお、本実施
例で、SUS304鋼試験片をそのように「すきま」試
験片としたのは、ステンレス鋼の場合でさえ、金属間等
の間隙で、その隙間への通気差が生じて酸素濃淡電池が
形成され、接合部や付着物下部の酸素供給の不十分な箇
所がアノ−ドとなり、腐食(すきま腐食)が進行するた
めである。
【0018】図1(a)〜(b)はそのすきま試験片の
概略を示すものである。図1(a)に示すとおり、SU
S304鋼をナット状に加工し、これをTiボルトに手
締めして、図1(b)に示すようなすきま試験片(内
径、外径が各々10mm、20mmの環状面が相接する
金属/金属−すきま)に組み立てた。この試験片の液中
浸漬表面積は、液中SUS304:約45cm2(すき
ま部:9.4cm2)、Tiボルト:約20cm2 とな
るようにした。なお、図1(a)中の数値10、20、
25はmm単位での寸法を示している。
【0019】以上の準備をした後、前記基本水溶液及び
調整水溶液を用いて各種実験を実施したが、何れも次の
手法により行った。各水溶液をテフロンライニングを施
したチタン製〔内容積:1l(1リットル)〕の容器に
注入した後、その水溶液中に上記ステンレス鋼のすきま
試験片を浸漬させ(液中浸漬表面積は、SUS304:
約45cm2 、Tiボルト:約20cm2 )、その容器
の上部に蓋をして高純度窒素ガスを用いて脱気した後、
その内部を窒素雰囲気とし密封状態とした。
【0020】引続き、その容器を加熱してその内部を所
定温度とし、この状態を所定時間続け、自然電位(Es
p:局部腐食を起していない試験片の自然電位)の経時
変化を測定し、その最大値(Esp,max)を求める
とともに、そのステンレス鋼試験片の変化の有無を測定
した。ここで各試験における温度及び時間は、特に指摘
しない限り温度150℃(基本水溶液の沸点の2℃下)
及び20時間(1200分)で実施した。この場合、電
極電位(Electrode Potential)は
室温のSCE(飽和甘コウ電極電位)に照合して測定
し、表示したが、この点以下の測定、表示についても同
じである。
【0021】《実施例1》硫黄Sを添加した実施例 Sは、水に対しては不溶性であり、温度約120℃まで
固体である。この性質のためにSを用いてI2 を還元滴
定することは困難である。そのため滴定は行わず、基本
水溶液に対して1000ppmのSを添加して試験水溶
液とした。図2はこの試験水溶液中におけるSUS30
4鋼の分極曲線であるが、図示のとおり自然電位は−4
80mV.SCEであり、電位を自然電位から僅かに貴
方向(図中、右方向)に掃引(scanning)した
だけでアノ−ド電流が流れた。
【0022】一方、すきま試験片の場合、液中浸漬面積
は約45cm2 で、電極電位を自然電位からわずかに貴
化させただけで試験片電流は10mAに達した。このた
め試験片電流からすきま腐食の発生、再不動態化を判断
するのは難しく、ER.CREV(すきま腐食の再不動態化電
位)の測定は困難であった。
【0023】そこで、定電位保持試験により、(すきま
試験片について)すきま腐食電位(VC.CREV)を求め
た。すきま面の最大侵食深さは、光学顕微鏡を用いて焦
点示差法により測定した。−120mV.SCEに20
h(時間)保持した試験片には侵食は見られなかった
が、−100mV.SCEで5h保持した試験片の最大
侵食深さは30μmで、5h後も試験片電流は経時的増
加傾向を示していた。これらの結果により、Sを添加し
た試験水溶液中におけるすきま試験片のすきま腐食電位
(VC.CREV)は−110mV.SCEとみなすことがで
きる。
【0024】図3は、自然電位(Esp)の経時変化を
上記VC.CREV(=−110mV.SCE)と共に示した
ものである。図3のとおり、自然電位は、試験片浸漬直
後の−400mV.SCEから経時的に卑化し、120
0min(20h)後には−450mV.SCE(Es
p,max)になっている。VC.CREVとEsp,max
との差は290mVであり、優れた耐腐食効果が得られ
ることを示している。また本試験では、S添加後の加熱
中にH2 S臭が生じたが、これは液中で前記式(1)で
示されるSの不均一化反応が進行しているためと考えら
れる。
【0025】NaHSO3、Na223を用いた場合の
自然電位の貴化傾向が、これら成分の消耗によると考え
られるのに対し、本発明に係るS添加の場合、自然電位
が経時的に卑化することは、Sの上記不均一化反応によ
る試験水溶液組成の変化に対応しているものと考えられ
る。そしてこのことは、その水溶液中にSが溶解せずと
もステンレス鋼に対してきわめて有効な耐腐食効果を奏
し、また前記式(1)による反応により、Sが補給作用
を行うことを示している。
【0026】《実施例2》硫化ナトリウムNa2Sを添
加した実施例 本実施例では基本水溶液にNa2 Sを1000ppm添
加して試験水溶液としたが、Sの場合と同様にER.CREV
(すきま腐食のすきま再不動態化電位)は測定できなか
った。そこで20hの定電位保持試験を行い、すきま腐
食電位(VC.CREV)を求めた。この結果、−180m
V.SCEの保持では侵食は生じず、一方−160m
V.SCEでは、最大侵食深さは30μmであった。こ
れらの点からVC.CREVは−170mV.SCEとみなす
ことができる。
【0027】図4は、Na2 S添加の場合における自然
電位(Esp)の経時変化を、上記VC.CREV値(=−1
70mV.SCE)と共に示すものである。図4のとお
り、自然電位は、試験片浸漬直後の−540mV.SC
Eから、20h後には−500mV.SCEまで徐々に
貴化するが、VC.CREVとEsp,maxとの差は330
mVであり、きわめて有効な耐腐食効果が得られること
を示している。
【0028】図5は、基本水溶液に各還元剤を添加した
場合のEsp,maxとER.CREV又はVC.CREVとの関係
を、前述NaHSO3及びNa223の場合も含めて示
したものである。図5から明らかなとおり、Esp,m
axは、NaHSO3 、S、Na223、Na2Sの順
に貴である。不均一化反応により、チオ硫酸イオン(=
23 2-)と硫化物イオン(=硫黄イオン=S2-)と硫
黄(S)とが混在すると考えられるS添加の場合〔(前
記式(1)参照〕を除外すると、この順序は、安定電位
域の順(すなわちSの酸化数が大きい順)と一致してい
る。
【0029】この点、VC.CREV(又はER.CREV)とEs
p,maxとの差についても同様の順序であり(なお、
Na223 とSとは290mVで同じ)、このことか
ら安定電位領域が卑な(すなわちSの酸化数の小さな)
還元剤を用いた場合の方が、ステンレス鋼に対してより
安全性が高いと言える(それら何れの還元剤も優れた耐
腐食効果を奏する点には変わりはない)。特にSの場合
は、自然電位は経時的に卑化しており(図3)、20h
(1200min)以上の長期にわたる浸漬によりさら
に安全性を高め得ることがわかる。
【0030】また、図5中左上部に「←I2/I」及び
「←NO2/NO3 」として、それぞれの系の酸化還元
電位を示しているが、図示のとおり上記4種の何れの還
元剤を添加した場合にも、Esp(Esp,max)は
これら酸化還元電位より卑であるから、これらの還元剤
を存在させることにより、IがI2へ酸化されたり、N
3 の酸化作用が働いてNO2 が発生したりすることは
なく、この点からも本発明の還元剤により鉄系の装置構
成材料に対して有効な防食効果がえられることが明らか
である。
【0031】
【発明の効果】以上のとおり、本発明は吸収剤成分とし
てヨウ化物を含む水溶液組成物又はヨウ化物と硝酸塩を
含む吸収式ヒ−トポンプ用の水溶液組成物において、こ
れに還元剤として硫黄(S)又は硫化ナトリウム(Na
2S )を添加することにより、遊離ヨウ素の生成自体を
防止し、吸収式ヒ−トポンプを構成する諸機器用材料と
しての炭素鋼やステンレス鋼等の鉄系材料の腐食をきわ
めて有効に防止することができる。
【0032】また還元剤としてNa2S を用いると、例
えばNaHSO3 に比べて、Espはより卑に保たれて
C.CREV(又はER.CREV)との差も大きくなり、炭素鋼
やステンレス鋼等の鉄系材料にとってさらに安全な環境
となる。またSの場合には、自然電位が経時的に卑化す
るとともに、補給作用をも奏することから、さらに安全
性を高め得る等、長期間にわたり優れた防食効果が得ら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で使用したすきま試験片の概略を示す
図。
【図2】Sを添加した試験液中におけるSUS304鋼
の分極曲線を示す図。
【図3】Sを添加した試験液中におけるすきま試験片の
自然電位(Esp)の経時変化をVC.CREV値と共に示し
た図。
【図4】Na2Sを添加した試験液中におけるすきま試
験片の自然電位(Esp)の経時変化をVC.CREV値と共
に示した図。
【図5】各還元剤を添加した場合のEsp,maxとV
C.CREV(ER.CREV)との関係を示す図。
【符号の説明】
1 SUS304鋼の供試材 2 Tiボルト 3 すきま部

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水を冷媒とし、吸収剤成分としてヨウ化物
    を含む水溶液組成物において、還元剤として硫黄又は硫
    化ナトリウムを添加してなることを特徴とする鉄系材質
    を構成材料とする吸収式ヒ−トポンプ用水溶液組成物。
  2. 【請求項2】上記鉄系材質がステンレス鋼である請求項
    1記載の吸収式ヒ−トポンプ用水溶液組成物。
  3. 【請求項3】水を冷媒とし、吸収剤成分としてヨウ化物
    と硝酸塩を含む水溶液組成物において、還元剤として硫
    黄又は硫化ナトリウムを添加してなることを特徴とする
    鉄系材質を構成材料とする吸収式ヒ−トポンプ用水溶液
    組成物。
  4. 【請求項4】上記鉄系材質がステンレス鋼である請求項
    3記載の吸収式ヒ−トポンプ用水溶液組成物。
JP6247093A 1994-09-14 1994-09-14 吸収式ヒ−トポンプ用水溶液組成物 Pending JPH0881675A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6247093A JPH0881675A (ja) 1994-09-14 1994-09-14 吸収式ヒ−トポンプ用水溶液組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6247093A JPH0881675A (ja) 1994-09-14 1994-09-14 吸収式ヒ−トポンプ用水溶液組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0881675A true JPH0881675A (ja) 1996-03-26

Family

ID=17158331

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6247093A Pending JPH0881675A (ja) 1994-09-14 1994-09-14 吸収式ヒ−トポンプ用水溶液組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0881675A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4338209A (en) Metal corrosion inhibitor
EP0741179B1 (en) Absorption refrigeration system working fluid with corrosion inhibitor and method of manufacture
US4085063A (en) Non-chromate pitting and general corrosion inhibitors for aluminum products and method
JP3411939B2 (ja) 吸収式ヒ−トポンプ用水溶液組成物
JPS63187073A (ja) 吸収式冷凍機及びその吸収液
JPH0881675A (ja) 吸収式ヒ−トポンプ用水溶液組成物
US5783104A (en) Absorption refrigeration compositions having germanium based compounds
JPS58224187A (ja) 防蝕性臭化リチウム組成物
JP2794065B2 (ja) 吸収冷凍機用吸収液
JPH07324838A (ja) 吸収式ヒ−トポンプ用水溶液組成物
JP3279779B2 (ja) 吸収式ヒ−トポンプ用水溶液組成物
JPH07180925A (ja) 吸収式ヒ−トポンプ用水溶液組成物
JPS5993778A (ja) 吸収式冷凍機用組成物
JPH07239159A (ja) 吸収式冷凍機および吸収式冷凍機用吸収液
JPS58224185A (ja) 腐蝕抑止性臭化リチウム組成物
JP3167563B2 (ja) 吸収式冷凍機用吸収液
JPH07286287A (ja) 吸収式ヒ−トポンプの吸収液用腐食防止剤及び水溶液組成物
JPH02147689A (ja) 吸収冷凍機用吸収液
JPH07234031A (ja) 吸収式ヒ−トポンプの吸収液用腐食防止剤及び水溶液組成物
JPH09169972A (ja) 吸収式ヒートポンプ用作動媒体
GB799192A (en) Improvements in or relating to metal working and cutting processes
JPH02296888A (ja) 吸収冷凍機用吸収液
JPH07278856A (ja) 吸収式ヒ−トポンプの吸収液用腐食防止剤及び水溶液組成物
JP3448822B2 (ja) 吸収溶液組成物
JPS6033461A (ja) 吸収式冷凍機の吸収液用腐食抑制剤