JPH0881484A - 新規ルテニウム−錯体、その製造方法およびその錯体を含有する不斉水素化触媒 - Google Patents
新規ルテニウム−錯体、その製造方法およびその錯体を含有する不斉水素化触媒Info
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- JPH0881484A JPH0881484A JP6247032A JP24703294A JPH0881484A JP H0881484 A JPH0881484 A JP H0881484A JP 6247032 A JP6247032 A JP 6247032A JP 24703294 A JP24703294 A JP 24703294A JP H0881484 A JPH0881484 A JP H0881484A
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- acid
- solvent
- ruthenium complex
- ruthenium
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P20/00—Technologies relating to chemical industry
- Y02P20/50—Improvements relating to the production of bulk chemicals
- Y02P20/52—Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts
Landscapes
- Catalysts (AREA)
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
- Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【構成】 一般式(I)
【化1】
(式中、XはIまたはClを、Sは溶媒を示す。)にて
表される新規ルテニウム−錯体。 【効果】 本発明により、不飽和脂肪酸の不斉水素化物
である光学活性カルボン酸であって高い光学純度を有す
るものを、簡単にしかも効率よく調製することができ
た。
表される新規ルテニウム−錯体。 【効果】 本発明により、不飽和脂肪酸の不斉水素化物
である光学活性カルボン酸であって高い光学純度を有す
るものを、簡単にしかも効率よく調製することができ
た。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は一般式(I)にて表され
るルテニウム−錯体、その製造方法およびその錯体を含
有する不斉水素化触媒に関するものである。
るルテニウム−錯体、その製造方法およびその錯体を含
有する不斉水素化触媒に関するものである。
【0002】
【従来技術】医薬品、食品香料などの種々の有用な化合
物を合成する際の中間体として、各種の光学活性カルボ
ン酸が知られている。これら光学活性カルボン酸を製造
する方法として、天然物から調製する方法、微生物を利
用する方法、不斉水素化触媒を利用する方法が代表的な
方法として挙げることができる。その中でも、不斉水素
化触媒を用いる方法は、原料入手の容易性、反応の制御
の容易性、価格の有利さなどから最も注目されている。
物を合成する際の中間体として、各種の光学活性カルボ
ン酸が知られている。これら光学活性カルボン酸を製造
する方法として、天然物から調製する方法、微生物を利
用する方法、不斉水素化触媒を利用する方法が代表的な
方法として挙げることができる。その中でも、不斉水素
化触媒を用いる方法は、原料入手の容易性、反応の制御
の容易性、価格の有利さなどから最も注目されている。
【0003】不斉水素化触媒として、ロジウム原子と光
学活性ホスフィンを配位子とする錯体を選択使用し、光
学純度の高い不斉水素化物を調製することが報告されて
から、遷移金属原子と光学活性ホスフィンとから構成さ
れる錯体を不斉水素化触媒とする研究報告が数多く報告
されている。例えば、J.Org.Chem.,Vo
l.52,No.14,3174−3176(198
7)には、2、2’− ビス(ジフェニルホスフィノ)
− 1、1’− ビナフチル−ルテニウム錯体触媒(以
下、BINAP−Ru触媒という)を使用し、不飽和カ
ルボン酸を不斉水素化して、光学活性なカルボン酸を製
造する技術が開示されている。この方法は、光学純度が
高いカルボン酸を従来の方法よりも温和な条件にて調製
されることができるので、有用性が高いものであるが、
水素圧が4−100気圧下、数十時間反応させるもので
ある。
学活性ホスフィンを配位子とする錯体を選択使用し、光
学純度の高い不斉水素化物を調製することが報告されて
から、遷移金属原子と光学活性ホスフィンとから構成さ
れる錯体を不斉水素化触媒とする研究報告が数多く報告
されている。例えば、J.Org.Chem.,Vo
l.52,No.14,3174−3176(198
7)には、2、2’− ビス(ジフェニルホスフィノ)
− 1、1’− ビナフチル−ルテニウム錯体触媒(以
下、BINAP−Ru触媒という)を使用し、不飽和カ
ルボン酸を不斉水素化して、光学活性なカルボン酸を製
造する技術が開示されている。この方法は、光学純度が
高いカルボン酸を従来の方法よりも温和な条件にて調製
されることができるので、有用性が高いものであるが、
水素圧が4−100気圧下、数十時間反応させるもので
ある。
【0004】また、Tetrahedron Let
t.,vol.34,2351−2354(1993)
には、ルテニウム原子に2、2’− ビス(ジシクロヘ
キシルホスフィノ)−6、6’−ジメチル−1、1’−
ビフェニル(以下、BICHEPということがある)と
p−シメンとルテニウムとを配位させた錯体を用いて、
チグリン酸を不斉水素化する技術が開示されている。
t.,vol.34,2351−2354(1993)
には、ルテニウム原子に2、2’− ビス(ジシクロヘ
キシルホスフィノ)−6、6’−ジメチル−1、1’−
ビフェニル(以下、BICHEPということがある)と
p−シメンとルテニウムとを配位させた錯体を用いて、
チグリン酸を不斉水素化する技術が開示されている。
【0005】一方、遷移金属原子としてルテニウムを選
択し、不飽和酸を配位子とする錯体が、J.Am.Ch
em.Soc.,Vol.113,No.2,589−
594(1991) に開示されている。しかしなが
ら、該錯体を不斉水素化反応の触媒とする思想は、当該
文献にはすこしも開示されてはいない。さらに、該錯体
は、不飽和酸が2分子配位されているものであるか、あ
るいは、不飽和酸1分子と飽和酸1分しが配位されてい
るものである。
択し、不飽和酸を配位子とする錯体が、J.Am.Ch
em.Soc.,Vol.113,No.2,589−
594(1991) に開示されている。しかしなが
ら、該錯体を不斉水素化反応の触媒とする思想は、当該
文献にはすこしも開示されてはいない。さらに、該錯体
は、不飽和酸が2分子配位されているものであるか、あ
るいは、不飽和酸1分子と飽和酸1分しが配位されてい
るものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、不飽和
酸の不斉水素化反応の機作を明らかにすることにより、
有用な不斉水素化技術を開発すべく鋭意研究しているさ
なか、BICHEPとルテニウム原子とを含む錯体とチ
グリン酸とを等モルにて反応させたところ、前記錯体と
チグリン酸とが1対1の割合で配位した構造を有する錯
体が単離され、しかも該化合物が不斉水素化反応の触媒
として有用であることを見いだした。そこで、不斉反応
に関与する触媒作用を有する新規な化合物を提供するこ
とが本発明の目的である。
酸の不斉水素化反応の機作を明らかにすることにより、
有用な不斉水素化技術を開発すべく鋭意研究しているさ
なか、BICHEPとルテニウム原子とを含む錯体とチ
グリン酸とを等モルにて反応させたところ、前記錯体と
チグリン酸とが1対1の割合で配位した構造を有する錯
体が単離され、しかも該化合物が不斉水素化反応の触媒
として有用であることを見いだした。そこで、不斉反応
に関与する触媒作用を有する新規な化合物を提供するこ
とが本発明の目的である。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記BI
CHEPとルテニウム原子とを含む錯体とチグリン酸と
から得られた錯体が不斉水素化反応の触媒として有用で
あるとの知見に基づき研究を重ね、ついに本発明に到達
した。すなわち本発明は、下記のとおりである。 1) 一般式(I)
CHEPとルテニウム原子とを含む錯体とチグリン酸と
から得られた錯体が不斉水素化反応の触媒として有用で
あるとの知見に基づき研究を重ね、ついに本発明に到達
した。すなわち本発明は、下記のとおりである。 1) 一般式(I)
【0008】
【化4】 (式中、XはIまたはClを、Sは溶媒を示す。)にて
表されるルテニウム−錯体。 2) チグリン酸と(2、2’− ビス(ジシクロヘキ
シルホスフィノ)−6、6’−ジメチル−1、1’−ビ
フェニル)−ルテニウム錯体とを溶媒中反応させること
を特徴とする一般式(I)
表されるルテニウム−錯体。 2) チグリン酸と(2、2’− ビス(ジシクロヘキ
シルホスフィノ)−6、6’−ジメチル−1、1’−ビ
フェニル)−ルテニウム錯体とを溶媒中反応させること
を特徴とする一般式(I)
【0009】
【化5】 (式中、XはIまたはClを、Sは溶媒を示す。)にて
表されるルテニウム−錯体の製造方法。 3) 一般式(I)
表されるルテニウム−錯体の製造方法。 3) 一般式(I)
【0010】
【化6】 (式中、XはIまたはClを、Sは溶媒を示す。)にて
表されるルテニウム−錯体を含有する不斉水素化触媒。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の錯体は、一般
式にて
表されるルテニウム−錯体を含有する不斉水素化触媒。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の錯体は、一般
式にて
【0011】
【化7】 と表される化合物である。この式において、溶媒とは、
前記錯体を調製する際に使用される溶媒を意味するもの
である。具体的には、ベンゼン、トルエンなどの芳香族
炭化水素、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセト
ン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジ
メチルスルホキシドなどの非プロトン性溶媒、塩化メチ
レン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素、メタノ
ール、エタノール、イソプロパノールなどのプロトン性
溶媒から選ばれた1種あるいは2種以上が好ましい。そ
れらの中では、クロロホルム、メタノールが最も好まし
い。
前記錯体を調製する際に使用される溶媒を意味するもの
である。具体的には、ベンゼン、トルエンなどの芳香族
炭化水素、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセト
ン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジ
メチルスルホキシドなどの非プロトン性溶媒、塩化メチ
レン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素、メタノ
ール、エタノール、イソプロパノールなどのプロトン性
溶媒から選ばれた1種あるいは2種以上が好ましい。そ
れらの中では、クロロホルム、メタノールが最も好まし
い。
【0012】本発明の錯体の好ましい調製法は、(2、
2’− ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)−6、
6’−ジメチル−1、1’−ビフェニル)−ルテニウム
錯体(以下、BICHEP−Ru錯体ということがあ
る)とチグリン酸とを、塩基−溶媒中にて反応させる方
法である。なお、チグリン酸のアルカリ金属塩を用いる
場合には、前記塩基は必ずしも必要ではない。
2’− ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)−6、
6’−ジメチル−1、1’−ビフェニル)−ルテニウム
錯体(以下、BICHEP−Ru錯体ということがあ
る)とチグリン酸とを、塩基−溶媒中にて反応させる方
法である。なお、チグリン酸のアルカリ金属塩を用いる
場合には、前記塩基は必ずしも必要ではない。
【0013】前記チグリン酸は、市販されたものを用い
ることができる。前記BICHEP−Ru錯体は、ルテ
ニウム原子に、BICHEPを必須の配位子とし、必要
に応じてそのほかの配位子とから構成される錯体であ
る。そのほかの配位子の例として、ベンゼン、p−シメ
ン、塩素、ヨー素、臭素などのハロゲンが挙げられる。
ることができる。前記BICHEP−Ru錯体は、ルテ
ニウム原子に、BICHEPを必須の配位子とし、必要
に応じてそのほかの配位子とから構成される錯体であ
る。そのほかの配位子の例として、ベンゼン、p−シメ
ン、塩素、ヨー素、臭素などのハロゲンが挙げられる。
【0014】このBICHEP−Ru錯体は公知の方
法、例えば、TetrahedronLett.,vo
l.34,2351−2354(1993)に記載され
た方法にて調製される。該錯体の製造方法の一例を説明
すると、式[RuX2(Ar)]2 (式中、XはI、
Clを、Arはp−シメンを示す)にて表されるルテニ
ウム化合物とBICHEPとを反応させることにより調
製される。
法、例えば、TetrahedronLett.,vo
l.34,2351−2354(1993)に記載され
た方法にて調製される。該錯体の製造方法の一例を説明
すると、式[RuX2(Ar)]2 (式中、XはI、
Clを、Arはp−シメンを示す)にて表されるルテニ
ウム化合物とBICHEPとを反応させることにより調
製される。
【0015】かくして調製されたBICHEP−Ru錯
体とチグリン酸とを反応させて本発明の錯体を製造する
が、その条件は下記のとおりである。まず、BICHE
P−Ru錯体とチグリン酸との反応時の量割合は、当該
錯体1モルに対して、チグリン酸1ないし1.2モルと
する。より好ましくは両者を等モルとする。反応温度と
時間は5−60度(C)、0.1ないし20時間、好ま
しくは10−40度(C)、0.5−10時間、より好
ましくは10−30度(C)、1−8時間である。用い
られる塩基としては、トリエチルアミン、トリブチルア
ミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウ
ム、重炭酸カリウムなどが例示できる。また、反応時の
溶媒は前述したものを使用する。塩基の使用量はルテニ
ウム1グラム原子に対して、1ないし200倍量であ
り、溶媒の使用量はチグリン酸1モルに対して、1ない
し10倍量である。なお、錯体、チグリン酸、溶媒、塩
基などの添加順序は、初期の目的を達成する範囲におい
て自由に化合物の添加順序を変えることができる。
体とチグリン酸とを反応させて本発明の錯体を製造する
が、その条件は下記のとおりである。まず、BICHE
P−Ru錯体とチグリン酸との反応時の量割合は、当該
錯体1モルに対して、チグリン酸1ないし1.2モルと
する。より好ましくは両者を等モルとする。反応温度と
時間は5−60度(C)、0.1ないし20時間、好ま
しくは10−40度(C)、0.5−10時間、より好
ましくは10−30度(C)、1−8時間である。用い
られる塩基としては、トリエチルアミン、トリブチルア
ミン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウ
ム、重炭酸カリウムなどが例示できる。また、反応時の
溶媒は前述したものを使用する。塩基の使用量はルテニ
ウム1グラム原子に対して、1ないし200倍量であ
り、溶媒の使用量はチグリン酸1モルに対して、1ない
し10倍量である。なお、錯体、チグリン酸、溶媒、塩
基などの添加順序は、初期の目的を達成する範囲におい
て自由に化合物の添加順序を変えることができる。
【0016】かくして得られた本発明の錯体を水素ガス
雰囲気中に放置すると、チグリン酸の不飽和部分が不斉
水素化された水素添加物が得られる。本発明の錯体の不
斉水素化は、1ないし10気圧(水素分圧)、10−3
0度(C)、1分ないし1時間にて行われることが好ま
しい。
雰囲気中に放置すると、チグリン酸の不飽和部分が不斉
水素化された水素添加物が得られる。本発明の錯体の不
斉水素化は、1ないし10気圧(水素分圧)、10−3
0度(C)、1分ないし1時間にて行われることが好ま
しい。
【0017】また、本発明の錯体を不飽和酸の不斉水素
化反応の触媒として使用することがとくに有用である。
不飽和酸としては、アルファ,ベーター不飽和酸が好ま
しい。具体的には、チグリン酸、アンゲリカ酸、3−フ
ェニル−2−ブテン酸、アトロパ酸、2、3−ジメチル
−2−ブテン酸、2−(6−メトキシ−2−ナフチル)
−アクリル酸などの不飽和モノカルボン酸、イタコン
酸、2−メチル−マレイン酸、2−メチル−フマール
酸、ベンジルコハク酸などの不飽和ジカルボン酸が挙げ
られるが、とくにチグリン酸が好適である。
化反応の触媒として使用することがとくに有用である。
不飽和酸としては、アルファ,ベーター不飽和酸が好ま
しい。具体的には、チグリン酸、アンゲリカ酸、3−フ
ェニル−2−ブテン酸、アトロパ酸、2、3−ジメチル
−2−ブテン酸、2−(6−メトキシ−2−ナフチル)
−アクリル酸などの不飽和モノカルボン酸、イタコン
酸、2−メチル−マレイン酸、2−メチル−フマール
酸、ベンジルコハク酸などの不飽和ジカルボン酸が挙げ
られるが、とくにチグリン酸が好適である。
【0018】この不斉水素化の条件について以下説明す
る。前記不飽和酸と、錯体とを溶媒中に水素雰囲気下に
て、加熱混合することにより、該不飽和酸の不斉水素化
が行われる。この溶媒中には塩基が共存されていること
が好ましい。具体的な水素化条件は、下記のとおりであ
る。不飽和酸と錯体との量割合は、錯体1モルに対し
て、不飽和酸100−10000モルとすることが好ま
しい結果をもたらす。水素化反応時の温度は−20−5
0度(C)、とくに20−40度(C)が好ましい。こ
の水素化反応に際して、用いられる溶媒は、前述したも
のを採用できるが、とくにメタノールが好ましい。ま
た、共存させる塩基も前述したものを採用できるが、と
くにトリエチルアミン、炭酸ナトリウムが好ましい。塩
基の使用量はルテニウム1グラム原子に対して、1ない
し200倍量であり、溶媒の使用量は不飽和酸1モルに
対して、1ないし10倍量である。
る。前記不飽和酸と、錯体とを溶媒中に水素雰囲気下に
て、加熱混合することにより、該不飽和酸の不斉水素化
が行われる。この溶媒中には塩基が共存されていること
が好ましい。具体的な水素化条件は、下記のとおりであ
る。不飽和酸と錯体との量割合は、錯体1モルに対し
て、不飽和酸100−10000モルとすることが好ま
しい結果をもたらす。水素化反応時の温度は−20−5
0度(C)、とくに20−40度(C)が好ましい。こ
の水素化反応に際して、用いられる溶媒は、前述したも
のを採用できるが、とくにメタノールが好ましい。ま
た、共存させる塩基も前述したものを採用できるが、と
くにトリエチルアミン、炭酸ナトリウムが好ましい。塩
基の使用量はルテニウム1グラム原子に対して、1ない
し200倍量であり、溶媒の使用量は不飽和酸1モルに
対して、1ないし10倍量である。
【0019】この不斉水素化により、BICHEPの
(R)体あるいは(S)体を選択することにより、R体
の不斉水素化物、あるいはS体の不斉水素化物を自由に
調製することができ、しかもその光学純度も90%以上
のもの、さらに95%以上のものを容易に得ることがで
きる。
(R)体あるいは(S)体を選択することにより、R体
の不斉水素化物、あるいはS体の不斉水素化物を自由に
調製することができ、しかもその光学純度も90%以上
のもの、さらに95%以上のものを容易に得ることがで
きる。
【0020】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが本発明はこれらによって限定されるものではない。
なお、以下の数字は特に説明のない限り重量基準であ
る。
るが本発明はこれらによって限定されるものではない。
なお、以下の数字は特に説明のない限り重量基準であ
る。
【0021】[実施例1] 「[RuI((R)−BICHEP)(p−シメン)]
I 錯体の調製」 [RuI2(p−シメン)]2 269 mg(0.2
74 m molo)と(R)−BICHEP316
mg(0.549 m mol)とをメタノール20
ml 中に溶解する。10 ml のメチレンクロライ
ドを加え、還流温度下、4時間加熱反応させる。反応混
合液中から溶媒を減圧下にて除去し、10mlのエーテ
ルを用いて5回洗浄し、ついでメチレンクロライド8m
l,エーテル2mlからなる混合溶媒にて再結晶し、
[RuI((R)−BICHEP)(p−シメン)]I
錯体を調製した。
I 錯体の調製」 [RuI2(p−シメン)]2 269 mg(0.2
74 m molo)と(R)−BICHEP316
mg(0.549 m mol)とをメタノール20
ml 中に溶解する。10 ml のメチレンクロライ
ドを加え、還流温度下、4時間加熱反応させる。反応混
合液中から溶媒を減圧下にて除去し、10mlのエーテ
ルを用いて5回洗浄し、ついでメチレンクロライド8m
l,エーテル2mlからなる混合溶媒にて再結晶し、
[RuI((R)−BICHEP)(p−シメン)]I
錯体を調製した。
【0022】「[RuI((R)−BICHEP)(p
−シメン)]I 錯体とチグリン酸との錯体の調製」前
記錯体([RuI((R)−BICHEP)(p−シメ
ン)]I 錯体)117.5 mg (0.110 m
mol)、チグリン酸カリウム15.2mg(0.1
1 m mol)をクロロホルム1ml中に加え、室温
下にて5時間混合する。セライト545 パッドを用い
て濾過し、残渣を3mlのクロロホルムにて洗浄した。
濾液を集め蒸発乾固し、茶色の反応物90mg(0.0
88m mol)を得た(収率80%)。この化合物の
NMR 値とIR値は次のとおりであった。 1H−NMR(400 MHz,CDCl3);δ−
0.40−3.40(m,C6H11,CH3,56
H),6.20(br,=CH−,1H),6.65−
7.55(m,aromatic,6H), 31P−NMR(162MHz,CDCl3);δ,2
4.0,85.4,(d,Jp−p=39Hz), IR(KBr)(νCOO),1438cm−1(νC
=C)
−シメン)]I 錯体とチグリン酸との錯体の調製」前
記錯体([RuI((R)−BICHEP)(p−シメ
ン)]I 錯体)117.5 mg (0.110 m
mol)、チグリン酸カリウム15.2mg(0.1
1 m mol)をクロロホルム1ml中に加え、室温
下にて5時間混合する。セライト545 パッドを用い
て濾過し、残渣を3mlのクロロホルムにて洗浄した。
濾液を集め蒸発乾固し、茶色の反応物90mg(0.0
88m mol)を得た(収率80%)。この化合物の
NMR 値とIR値は次のとおりであった。 1H−NMR(400 MHz,CDCl3);δ−
0.40−3.40(m,C6H11,CH3,56
H),6.20(br,=CH−,1H),6.65−
7.55(m,aromatic,6H), 31P−NMR(162MHz,CDCl3);δ,2
4.0,85.4,(d,Jp−p=39Hz), IR(KBr)(νCOO),1438cm−1(νC
=C)
【0023】[応用例1] 「錯体の水素化」実施例1にて得られた化合物3.3
mg(3.1×10−3mol)をメタノール2 ml
(Na2CO344.0 mg,0.53 m mol
を含む)に加え、5気圧の水素圧下、25度(C)、1
0分間、不斉水素化反応処理をした。S体のもの(光学
純度は95%)が得られた。
mg(3.1×10−3mol)をメタノール2 ml
(Na2CO344.0 mg,0.53 m mol
を含む)に加え、5気圧の水素圧下、25度(C)、1
0分間、不斉水素化反応処理をした。S体のもの(光学
純度は95%)が得られた。
【0024】[実施例2] 「チグリン酸の不斉水素化」実施例1にて得られた錯体
5.9 mg(5.5×10−2mol)を塩化メチレ
ン20 ml 中に加え、チグリン酸1.33 g(1
3.3 m mol)をさらに加えた。5気圧の水素圧
下、2 時間、室温にて水素化処理すると、チグリン酸
の不斉水素化物(S体のもの、光学純度は91%)が得
られた。この不斉水素化物の旋光度([α]25D )
は+17.93(neat)であり、NMR 値は次の
とおりであった。 1H−NMR(400 MHz,CDCl3);δ−
0.94(brd,2.95H,J=7.3 Hz,C
H3 ),1.17(d,3.01H,J=6.9 H
z,3H),1.15−2.00(m,2H),2.4
0(m,1H),9.76(S,1H)
5.9 mg(5.5×10−2mol)を塩化メチレ
ン20 ml 中に加え、チグリン酸1.33 g(1
3.3 m mol)をさらに加えた。5気圧の水素圧
下、2 時間、室温にて水素化処理すると、チグリン酸
の不斉水素化物(S体のもの、光学純度は91%)が得
られた。この不斉水素化物の旋光度([α]25D )
は+17.93(neat)であり、NMR 値は次の
とおりであった。 1H−NMR(400 MHz,CDCl3);δ−
0.94(brd,2.95H,J=7.3 Hz,C
H3 ),1.17(d,3.01H,J=6.9 H
z,3H),1.15−2.00(m,2H),2.4
0(m,1H),9.76(S,1H)
【0025】
【発明の効果】本発明により、新規な不斉水素化触媒を
提供することができ、しかも、この触媒を採用すること
により、不飽和脂肪酸の不斉水素化物である光学活性カ
ルボン酸であって高い光学純度を有するものを簡単にし
かも効率よく調製することができた。
提供することができ、しかも、この触媒を採用すること
により、不飽和脂肪酸の不斉水素化物である光学活性カ
ルボン酸であって高い光学純度を有するものを簡単にし
かも効率よく調製することができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07B 61/00 300 C07M 7:00
Claims (3)
- 【請求項1】一般式(I) 【化1】 (式中、XはIまたはClを、Sは溶媒を示す。)にて
表されるルテニウム−錯体。 - 【請求項2】チグリン酸と(2、2’− ビス(ジシク
ロヘキシルホスフィノ)−6、6’−ジメチル−1、
1’−ビフェニル)−ルテニウム錯体とを溶媒中反応さ
せることを特徴とする一般式(I) 【化2】 (式中、XはIまたはClを、Sは溶媒を示す。)にて
表されるルテニウム−錯体の製造方法。 - 【請求項3】一般式(I) 【化3】 (式中、XはIまたはClを、Sは溶媒を示す。)にて
表されるルテニウム−錯体を含有する不斉水素化触媒。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6247032A JPH0881484A (ja) | 1994-09-14 | 1994-09-14 | 新規ルテニウム−錯体、その製造方法およびその錯体を含有する不斉水素化触媒 |
US08/402,692 US5556998A (en) | 1994-09-14 | 1995-03-13 | Transition metal complex, process for the preparation of the same, and asymmetric hydrogenation catalyst comprising the same |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6247032A JPH0881484A (ja) | 1994-09-14 | 1994-09-14 | 新規ルテニウム−錯体、その製造方法およびその錯体を含有する不斉水素化触媒 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0881484A true JPH0881484A (ja) | 1996-03-26 |
Family
ID=17157402
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6247032A Pending JPH0881484A (ja) | 1994-09-14 | 1994-09-14 | 新規ルテニウム−錯体、その製造方法およびその錯体を含有する不斉水素化触媒 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0881484A (ja) |
-
1994
- 1994-09-14 JP JP6247032A patent/JPH0881484A/ja active Pending
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Legal Events
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---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040615 |
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A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040811 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20040914 |