JPH0881287A - 電気化学的処理を利用したコンクリート内部の鋼材表面に被膜を生成させる方法 - Google Patents

電気化学的処理を利用したコンクリート内部の鋼材表面に被膜を生成させる方法

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JPH0881287A
JPH0881287A JP22156794A JP22156794A JPH0881287A JP H0881287 A JPH0881287 A JP H0881287A JP 22156794 A JP22156794 A JP 22156794A JP 22156794 A JP22156794 A JP 22156794A JP H0881287 A JPH0881287 A JP H0881287A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 コンクリート表面にメッキ液を接触させ、そ
して該メッキ液中に外部電極を設置し、コンクリート内
部の鋼材を内部電極とし、外部電極と内部電極間に電流
を流すことを特徴とするコンクリート内部の鋼材表面に
被膜を生成させる方法。 【効果】 本発明において、コンクリート内部の鋼材表
面を電気めっき膜にて被覆できる。又、内部鋼材の補修
の際においてもコンクリート自体をはつることなく、よ
り安全に低コストで、且つ、より簡便な方法にて被覆で
きるので、塩分の再浸透、及び中性化の再進行に対して
耐久性の良い、半永久的な内部鋼材を得ることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋼材を内部に含むコン
クリートの電気化学的処理方法に関し、コンクリート中
の塩分を電気化学的に除去する方法、及び中性化したコ
ンクリートにアルカリ性溶液を供給する方法を利用し、
コンクリート内部の鋼材表面に被膜を生成させる方法に
関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】コンクリートは一般的には、
種々の環境に対する抵抗性が強く、又、強アルカリ性で
あるので、その内部にある鋼材は、鋼材表面に不動態被
膜を形成して腐食から保護され、その為に、コンクリー
ト構造物は耐久性の有る永久構造物であると考えられて
きた。しかしながら、この永久構造物と考えられてきた
コンクリート構造物も、中性化や塩害などの原因によ
り、コンクリート構造物中の内部鋼材自体の腐食、発錆
が開始し、コンクリート構造物の耐久性が低下し、構造
物としての寿命に疑問が投げかけられるようになってき
た。
【0003】このような劣化したコンクリート構造物を
補修する方法として、コンクリート構造物中の鋼材をマ
イナス極とし、コンクリート表面に電解質溶液を含浸さ
せた電解質保持材を被覆し、この電解質保持材にチタン
等を用いた網目状の電極をプラス極にして埋設し、両極
間に電流を流し、コンクリート中の塩素イオンを除去す
る脱塩処理又は、中性化を受けたコンクリート内を再度
アルカリ化する再アルカリ化処理と言う電気化学的な手
法を用いた補修工法が開示されている(特開平1−17
6287号公報、特開平2−302384公報)。
【0004】この電気化学的な手法を用いた補修工法に
より、内部鋼材の更なる発錆を防ぎ、鉄筋表面の不動態
被膜を再生させることができる。コンクリート構造物の
内部鋼材として使用する、鉄筋の耐食性を向上させる目
的で亜鉛メッキ鉄筋、ステンレス鉄筋、耐塩鉄筋、エポ
キシ樹脂粉体塗装鉄筋等が内部鋼材として使用される場
合がある。コンクリート構造物補修の際に、内部鋼材自
体にSBR系、PAE系ポリマーセメントペースト、エ
ポキシ樹脂系塗料、ウレタン樹脂系塗料、錆転換塗料等
の防錆処理材を塗布する方法、又は鋼材表面に金属をコ
ーティングし、コーティングした金属を犠牲陽極として
使用する内部鋼材の防食方法が開示されている(特開平
4−45292号公報)。
【0005】しかしながら、これらの手法を用いてコン
クリート構造物の補修処理を行う場合、電気化学的な手
法に関しては、処理終了後は処理効果が大きいが、経年
的なコンクリート構造物中への塩分の再浸透、又は中性
化の再進行に伴い、再度内部鋼材が腐食性雰囲気にさら
されることとなる問題がある。
【0006】コンクリート構造物の内部鋼材に耐食性を
有する鉄筋を使用する場合においては、新設のコンクリ
ート構造物であれば、適用可能であるが、既設のコンク
リート構造物への適用は非常に困難であり、且つ、通常
の鉄筋と比べるとコストが高いと言う問題がある。
【0007】鋼材表面への防錆材の塗布及び犠牲陽極の
コーティングは、鋼材かぶり分のコンクリートをはつる
必要があり、大幅な工数アップの原因となる。又、補修
時のコンクリート構造物の強度維持の為に、補修処理の
必要な鋼材部分のコンクリートの全てをはつることはで
きず、部分的なはつりによる補修処理の必要な鋼材への
コーティングとなる為、不完全な防錆処理となる問題が
ある。
【0008】本発明は、前記課題を解消すべく種々検討
した結果、電気化学的処理を利用し、電解質溶液として
メッキ液を用いることにより、前記課題を解決できる知
見を得て本発明を完成するに至った。
【0009】
【問題を解決する為の手段】即ち、本発明は、(1)コ
ンクリート表面にメッキ液を接触させ、そして該メッキ
液中に外部電極を設置し、コンクリート内部の鋼材を内
部電極とし、外部電極と内部電極間に電流を流すことを
特徴とするコンクリート内部の鋼材表面に被膜を生成さ
せる方法、(2)電解質溶液として、貴金属を主成分と
するメッキ液、及び/又は内部鋼材の標準電極電位より
卑なる標準電極電位を有する金属を主成分とするメッキ
液を用いることを特徴とする(1)記載のコンクリート
内部の鋼材表面に被膜を生成させる方法である。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
用いる貴金属を主成分とするメッキ液の金属塩として
は、金、銀、ロジウム、パラジウム、及び白金を少なく
とも1種以上含有するものであれば良い。これは、内部
鋼材表面を貴金属にて電気メッキすることにより、内部
鋼材が腐食性雰囲気にさらされた場合においても、耐食
性の高い貴金属の被覆が、内部鋼材の発錆を防ぐもので
ある。
【0011】内部鋼材の標準電極電位より卑なる標準電
極電位を有する金属を主成分とするメッキ液の金属塩と
しては、亜鉛、アルミニウム、すず、及びクロムを少な
くとも1種以上含有するものであれば良い。これは、既
設のコンクリート構造物の一般的な内部鋼材である鉄筋
の標準電極電位−0.44(V)より、卑なる標準電極
電位を有する金属を使用し、鉄筋表面に電気メッキ処理
を施す。鉄筋を防護することにより、電気メッキ処理し
た金属メッキ膜自体が陽極酸化被膜として作用する「陰
極防食法」により、耐食性を持たせるものである。
【0012】又、貴金属を主成分とするメッキ液、又は
内部鋼材の標準電極電位より卑なる標準電極電位を有す
る金属を主成分とするメッキ液の両メッキ液に含有され
る金属塩成分に関して、両金属塩の特徴を生かし、貴金
属を主成分とするメッキ液の金属塩成分を少なくとも1
種以上、及び内部鋼材の標準電極電位より卑なる標準電
極電位を有する金属を主成分とするメッキ液の金属塩成
分を少なくとも1種以上含有する両メッキ液の金属塩を
混合させたメッキ液についても、内部鋼材表面の防護効
果を有していることより使用可能である。
【0013】貴金属を主成分とするメッキ液、又は内部
鋼材の標準電極電位より卑なる標準電極電位を有する金
属を主成分とするメッキ液、又は両メッキ液の金属塩を
混合させたメッキ液に関して、他のメッキ液成分であ
る、例えば錯化剤、pH調整剤、pH緩衝剤、安定剤、
及び改良剤等については限定されるものではないが、コ
ンクリートへの耐食性を考慮してアルカリ性浴を使用す
ることが好ましい。
【0014】処理温度は、メッキ液の安定性を考慮し、
好ましくは10℃〜90℃であり、さらに好ましくは2
0℃〜60℃である。10℃未満では、メッキ液の反応
性が急激に低下し、メッキ反応を起こさない現象を生じ
ることがある。90℃を越えると、メッキ液自体の活性
が高くなるため、不安定な状態となり、自己分解反応を
起こすことがある。貴金属を主成分とするメッキ液、又
は内部鋼材の標準電極電位より卑なる標準電極電位を有
する金属を主成分とするメッキ液、又は両メッキ液の金
属塩を混合させたメッキ液に関して、主成分の液濃度は
メッキ液の安定性を考慮し、好ましくは1g/l〜10
0g/lであり、さらに好ましくは5g/l〜80g/
lである。1g/l未満では、メッキ反応が生じないこ
とがある。80g/lを越えると、メッキ液全体の組成
バランスが悪くなり、自己分解を促進することがある。
【0015】使用する電流密度は、内部鋼材の表面積に
対して、好ましくは0.005A/dm2 〜50A/d
2 であり、さらに好ましくは0.01A/dm2 〜1
0A/dm2 である。0.005A/dm2 未満では、
メッキ反応を起こさないことがあり、反応しても膜自体
が非常に弱い膜となることがある。50A/dm2 を越
えると、急激なメッキ反応を起こすため、メッキ膜自体
の緻密性に欠け、非常に脆い膜となることがある。
【0016】内部鋼材表面を防護する電気メッキ膜厚と
しては、安定した密着性を得る為に、0.01μm以上
の膜厚が必要であり、好ましくは0.1μm〜50μm
である。100μmを超えると、膜内へのピンホールの
発生及び、膜自体の応力による膜割れの問題が発生し易
くなり、処理効果が低減する問題が生じる。
【0017】処理期間については、電流密度と処理温度
及び必要膜厚の関係により左右されるが、メッキ液自体
の浴安定性を考慮し、2時間以上、10日以下が好まし
い。
【0018】次に本発明では、メッキ液としてメッキ液
成分以外に、内部鋼材の標準電極電位より、卑なる標準
電極電位を有する金属イオンを少なくとも1種以上含有
してもよい。これは、メッキ膜を合金化することによ
り、単一の金属メッキ膜で仮に不純なメッキ膜となった
場合、それ自体の腐食生成物がメッキ膜表面に付着して
抵抗となり、電流が流れにくくなり、陰極防食の効果が
低減することを防止する効果を有している。メッキ液成
分以外に含有させる内部鋼材の標準電極電位より卑なる
標準電極電位を有する金属イオンとしては、例えば、L
i、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、L
a、Ti、Zr、Hf、Th、V、及びMn等のイオン
が挙げられる。これらのメッキ液成分以外に含有させる
金属イオンの含有濃度は、特に限定はされないが、メッ
キ液の主成分である金属塩濃度より低い濃度であること
が好ましい。
【0019】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれら実施例には限定されるものではな
い。 実施例1 図1で示したように、簡易的な円筒状の塩ビ容器2を使
用し、厚さ30mmに切断した円盤状の中性化したコン
クリート供試体5をはさみ込んだ装置を使用した。液漏
れ防止の目的でコンクリート供試体5の設置は、塩ビ容
器2をボルト9とナット10にてはさみ込み、締め付け
る方法にて実施した。電気化学的処理において外部電極
に相当するプラス極としては、チタン/白金メッキ電極
7を設置し、電気化学的処理において内部鋼材に相当す
るマイナス極としては、鉄製板電極6を設置した。又、
プラス極側に入れる溶液としては、電気メッキ用のメッ
キ液を使用した。具体的には、表1記載のパラジウムメ
ッキ液、亜鉛メッキ液、すずメッキ液、及び亜鉛メッキ
液+マンガンの4種類にて実施した。マイナス極側は、
イオン交換水にて満たした。処理温度は20℃、処理電
流密度は0.3A/dm2 、処理期間は3日間通電し
た。又、塩ビ容器2に入れたメッキ液3、イオン交換水
4の自然蒸発を抑えるために、塩ビ容器2の上部にゴム
製蓋11を設置した。通電期間中のマイナス電極の重量
変化及びメッキ膜厚の測定を実施した。又、コンクリー
ト供試体5のマイナス極側の面のpHを測定した。結果
を表2に示す。 <電気メッキ液成分>表1に各メッキ液の主成分を示
す。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】メッキ膜厚は、各金属の比重より換算し求
めた。ここで各金属の比重は、パラジウム(12.03
g/cm3 )、亜鉛(7.13g/cm3 )、すず
(7.29g/cm3 )、マンガン(7.44g/cm
3 )を用いた。比較例としては、プラス極側のメッキ液
をイオン交換水にて満たした条件にて実施した。表2よ
り、マイナス電極の重量増加が比較例については生じて
いないのに対し、各メッキ液の実施例についてはコンク
リート供試体が存在しているにもかかわらずマイナス電
極の重量増加が生じており、マイナス電極である鉄製板
表面をメッキ膜にて被覆されることがわかる。この事実
から、コンクリートの内部に鋼材を設置した場合も鋼材
表面にメッキ膜が生成することは容易に理解できる。但
し、通電期間が長くなるに従って、重量変化が少なくな
ってきているのは、メッキ液の主成分である金属塩の補
充を実施していなかった為である。又、通電期間が長く
なるに従い、コンクリート供試体表面のpH値が上昇し
ていることより、本方法にて中性化したコンクリート供
試体を再度アルカリ状態に戻すことができ、従来の電気
化学的な補修工法である再アルカリ化処理と同等の効果
が得られることが確認された。
【0023】実施例2 実施例1にて鉄製板表面を電気メッキ膜にて被覆したマ
イナス電極を取り出し、この板表面に塩水噴霧した。塩
水濃度は、3.0%液を使用した。塩水噴霧は、1回/
日の頻度で実施し大気放置した。電極表面の状態につ
き、表面変色の有無、及び発錆の有無につき観察した。
結果を表3に示す。
【0024】
【表3】
【0025】表3より、電気化学的処理において、内部
鋼材に相当するマイナス電極を電気メッキ膜にて被覆す
ることにより、塩水噴霧においても安定した耐塩性が得
られ、内部鋼材の防護が可能である。
【0026】
【発明の効果】本発明において、コンクリート内部の鋼
材表面を電気メッキ膜にて被覆できる。又、内部鋼材の
補修の際においてもコンクリート自体をはつることな
く、より安全に低コストで、且つ、より簡便な方法にて
防護できるので、塩分の再浸透、及び中性化の再進行に
対して耐久性の良い、半永久的な内部鋼材を得ることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1、比較例1に用いたテスト装置の概略
図である。
【符号の説明】
1 直流電源 2 塩ビ製容器 3 メッキ液 4 イオン交換水 5 コンクリート供試体 6 鉄製板電極 7 チタン/白金電極 8 リード線 9 ボルト 10 ナット 11 ゴム製蓋

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンクリート表面にメッキ液を接触さ
    せ、そして該メッキ液中に外部電極を設置し、コンクリ
    ート内部の鋼材を内部電極とし、外部電極と内部電極間
    に電流を流すことを特徴とするコンクリート内部の鋼材
    表面に被膜を生成させる方法。
  2. 【請求項2】 電解質溶液として、貴金属を主成分とす
    るメッキ液、及び/又は内部鋼材の標準電極電位より卑
    なる標準電極電位を有する金属を主成分とするメッキ液
    を用いることを特徴とする請求項1記載のコンクリート
    内部の鋼材表面に被膜を生成させる方法。
JP22156794A 1994-09-16 1994-09-16 電気化学的処理を利用したコンクリート内部の鋼材表面に被膜を生成させる方法 Expired - Lifetime JP3432304B2 (ja)

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