JPH0880188A - フェノール性化合物分解能を有する微生物の取得方法 - Google Patents

フェノール性化合物分解能を有する微生物の取得方法

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JPH0880188A
JPH0880188A JP7216420A JP21642095A JPH0880188A JP H0880188 A JPH0880188 A JP H0880188A JP 7216420 A JP7216420 A JP 7216420A JP 21642095 A JP21642095 A JP 21642095A JP H0880188 A JPH0880188 A JP H0880188A
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microorganism
cresol
phenol
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JP7216420A
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Kinya Kato
欽也 加藤
Shinya Furusaki
眞也 古崎
Masanori Sakuranaga
昌徳 桜永
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フェノール性化合物の生物分解方法に用いる
のに好適なフェノール化合物分解能を有する微生物の取
得方法を提供すること。 【解決手段】 タカサゴシロアリの腸からフェノールま
たはクレゾールを唯一の炭素源とする培地でのスクリー
ニングによって、フェノール分解能に加えて、クレゾー
ル分解能を有するシュードモナス・セパシアKK01株
が単離された。該単離株を用いて廃液等に含まれるフェ
ノールやクレゾールの生物分解処理が可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フェノール性化合
物分解能を有する微生物の取得方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、各種環境調査において、有害で分
解され難い芳香族化学物質が検出されるなど、これらに
よる環境汚染がクローズアップされてきており、生体系
に与えるその影響が懸念されている。従って、これら難
分解性化学物質による汚染を防止していくためには、こ
れらの物質を環境に移行させない技術の開発が急務とな
っており、例えば、排水中の難分解性有害物質を効果的
に除去する技術の確立が強く望まれている。
【0003】このような難溶解性物質として、例えばフ
ェノール、クレゾール等のフェノール性化合物が挙げら
れる。
【0004】各種廃液に含まれているフェノールの分解
には、光、熱及びオゾン等を利用した化学的分解方法を
用いることができるが、処理コストや処理操作の操作性
等の面から微生物分解が注目されている。フェノール分
解能を有する微生物としては、シュードモナス(Pseudo
monas)属、ノカルジア(Nocardia)属、バシルス(Bac
illus)属、アシネトバクター(Acinetobacter)属、オ
ーレオバシディウム(Aureobasidium)属及びフサリウ
ム(Fusarium)属等の真菌、トリコスポロン(Tricospo
ron)属及びカンジダ(Candida)属等の酵母が知られて
いる。これらの状況は「微生物による有機化合物の変
換」(学会出版センター)に詳しい。シュードモナス属
に属する細菌としては、特にシュードモナス・プチダ
(Ps. putida)やシュードモナス・ポーシモビリス(P
s. paucimobilis)を挙げることができる。
【0005】クレゾールは、石炭ガス化工場廃液、ガソ
リンで汚染された地下水、石油精製工場廃液等に含まれ
ており、その分解・浄化が環境保全の視点から重要な課
題となってきている。クレゾールの分解にも、光、熱及
びオゾン等を利用した化学的分解方法が利用できるが、
処理コストや処理操作の操作性等の面からここでも微生
物分解が注目されている。しかしながら、クレゾール分
解能を有する微生物で単離された例は皆無に近く、クレ
ゾール耐性株としてもシュードモナスQT31株(C.
マスキューら、バイオテクノロジー・レターズ、第9
巻、第9号、655〜660頁、1987年)などシュ
ードモナス属に属する細菌等がわずかに報告されるにと
どまっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】フェノール性化合物の
分解能を有する微生物としては上記のものが知られてい
るが、微生物を用いたフェノール性化合物の分解方法に
用いる場合の実用上の諸条件を満たし、なおかつ十分な
分解能を持つという観点で眺めてみると現在既知の菌種
の範囲では十分なものは見当たらない。従って、実用上
要求される特性を満足する菌種の獲得が必要となってい
る。
【0007】このような菌種としては、十分なフェノー
ル性化合物の分解能を有することは無論であるが、既知
菌種と生育条件等が異なり、その応用範囲が拡大できる
もの、あるいはその利用形態が豊富となるものが挙げら
れる。そのような付加的要件としては、例えば薬剤耐
性、糖の利用性等を挙げることができる。
【0008】フェノールやクレゾールを含む廃液の処理
を想定した場合、用いる微生物は、フェノール性化合物
の分解能もさることながら、廃液中でダメージを受け難
く、廃液という劣悪な環境下でも生育できることが要求
され、これらの要求性能の指標として、例えば薬剤耐
性、糖の利用性が利用できる。すなわち、多くの抗生物
質に対して耐性を有し、かつ各種の糖に対して資化能力
を持ち合わせている方が劣悪環境下においても良好に生
育する可能性が高い。
【0009】このようにフェノール性化合物の分解能を
有し、かつ従来既知の菌種よりも実用上有利な特性を有
する菌種が強く求められている。
【0010】本発明の目的は、フェノール性化合物の分
解に有用な実用性の高い微生物の取得方法を提供するこ
とにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のフェノール性化
合物分解能を有する微生物の取得方法は、フェノール性
化合物分解能を有する微生物の取得方法であって、該微
生物を含む混合物をフェノール性化合物を唯一の炭素源
として含む培地で培養して生育した微生物を回収する過
程を有することを特徴とする。
【0012】前記微生物を含む混合物としては、シロア
リの腸破砕物が挙げられる。また、このシロアリとして
は、タカサゴシロアリを好ましいものとして挙げること
ができる。細菌を取得する場合は、前記培地として細菌
用が用いられる。
【0013】前記フェノール性化合物とは、フェノー
ル、o−クレゾール、p−クレゾール及びm−クレゾー
ル等のようにフェノール基を有する化合物であり、本発
明の方法には、これらから選択された1以上を用いるこ
とができる。前記微生物としては、例えば、シュードモ
ナス・セパシア、なかでもKK01株を挙げることがで
きる。
【0014】
【発明の実施の形態】目的とするフェノール性化合物分
解能を有する微生物の取得源としては、例えば、シロア
リ表面を滅菌的に洗浄し、腸を摘出して適当な溶液中で
これをすりつぶして得られた腸破砕物を含む混合物が挙
げられる。この腸破砕物の一部を、分解しようとするフ
ェノール性化合物を唯一の炭素源とする培地に加えて培
養し、生育してくる株を回収することによって目的とす
る微生物を得ることができる。シロアリとしては、各種
シロアリを用いることができ、テングシロアリ属(Nasu
titerminae)のもの、例えばタカサゴシロアリ(Nasuti
termes takasagoensis)、Nasutitermes ephratae、Nas
utitermes exitiosus、Nasutitermes nigriceps等が好
ましい。なかでも、タカサゴシロアリが特に好ましい。
【0015】フェノール性化合物分解能を有する微生物
の取得におけるスクリーニング用の培地としては、唯一
の炭素源としてのフェノール性化合物に、必要に応じて
各種窒素源、無機塩類、生育因子などを更に加えたもの
が利用できる。例えば、シュードモナス属の細菌の場合
は、窒素源として酵母エキストラクト、ペプトンなどを
単独で、または組み合わせて用いることができ、無機塩
類としては、リン酸水素第一カリウム、塩化アンモニウ
ム等を利用することができる。フェノール性化合物の濃
度は適宜選択することができるが、例えば、0.02〜
0.07%とすることができる。培養は、分離すべき微
生物の種類に応じた条件で行えば良い。こうして分離さ
れた微生物を用いてフェノール性化合物の分解処理を行
うことができる。分解処理にはフェノール性化合物の分
解能を有する微生物の1種、またはその2種以上の混合
系を用いることができる。混合系を用いる場合には、組
成が分かっているもの、あるいは組成は不明であるがフ
ェノール性化合物の分解性を示すものが利用できる。従
って、上記のスクリーニングにおける培養に複数種の微
生物が含まれている場合でも、それぞれを単離すること
なくそのまま混合系として利用できる。単離株として
は、シュードモナス・セパシア(Ps. cepacia)KK0
1株等を利用することができる。なお、シロアリ腸内か
ら分離したフェノール性化合物の分解能を有する微生物
を自然に、または人工的に変異させた変異体も用いるこ
とができる。
【0016】KK01株は抗生物質耐性を有し、また後
述の実施例において示されているように、利用できる糖
の範囲が広く、更にフェノール分解能に加えてクレゾー
ルの分解能を有するものであり、フェノール性化合物の
生物分解処理に実用上極めて有用である。
【0017】本発明の方法により得られた微生物を用い
たフェノール性化合物の分解処理は、廃液などの被処理
物中のフェノール性化合物と取得微生物とを接触させる
ことによっておこなうことができる。微生物と被処理物
との接触は、分解すべきフェノール性化合物を含む水性
液体中で該微生物を培養する、あるいは該水性液体を該
微生物の培養系に添加する等の方法によって行うことが
でき、バッチ法、半連続法、連続法等種々の方式を用い
て実施できる。該微生物は、非固定状態で、あるいは適
当な担体に固定化して用いることができる。廃液等の非
処理物は、必要に応じて各種前処理を行ってもよい。例
えば、フェノール性化合物の濃度、pH、各種栄養物質
の補充等を行っても良い。フェノール性化合物の分解処
理領域内での濃度は、例えば酵母エキストラクト等の他
の栄養物質の存在下で、0.2%程度以下に調整すると
よい。
【0018】
【実施例】以下実施例により本発明を更に詳細に説明す
る。なお、各実施例で用いたM9培地は下記の組成を有
するものである。 M9培地組成(1リットル中); NaHPO4 6.2g KH2PO4 3.0g NaCl 0.5g NH4Cl 1.0g (pH7.0) 実施例1 (フェノールによるスクリーニング)タカサゴシロアリ
のハタラキシロアリを10匹シャーレにとり、エチルア
ルコール(95%)をこれに注ぎシロアリ表面を殺菌し
た。次に、0.05%のフェノールを含有するM9培地
でシロアリを2回洗い、その表面からエチルアルコール
を除去した。洗浄後、シロアリの腸をピンセットで摘み
出し、それを0.05%のフェノールを含有するM9培
地中ですり潰し、腸破砕物を含む液状混合物を得た。こ
の混合物の一部を、0.05%フェノール及び0.05
%酵母エキストラクトを含有するM9培地に接種し、3
0℃で好気条件下で培養した。培地中のフェノール量の
変化を経日的に求めた。培地中のフェノール量の変化
は、培地の一部をサンプリングし、0.22μmのフィ
ルターに通し、得られた濾液のフェノール濃度を分光光
度計を用いて270nm近傍の光吸収で測定し、フェノ
ールの残存率の変化として表した。得られた結果を図1
に示す。図1の結果からシロアリ腸内にフェノール資化
性の微生物が存在することがわかった。
【0019】実施例2 (o−クレゾールによるスクリーニング)タカサゴシロ
アリのハタラキシロアリを10匹シャーレにとり、エチ
ルアルコール(95%)をこれに注ぎシロアリ表面を殺
菌した。次に、0.02%のo−クレゾールを含有する
M9培地でシロアリを2回洗い、その表面からエチルア
ルコールを除去した。洗浄後、シロアリの腸をピンセッ
トで摘み出し、それを.0.02%のo−クレゾールを
含有するM9培地中で摘出した腸をすり潰し、腸破砕物
を含む液状混合物を得た。この混合物の一部を、0.0
2%のo−クレゾール及び0.05%酵母エキストラク
トを含有するM9培地に接種し、30℃で好気条件下で
10日間培養した。培養前後での培地中のo−クレゾー
ル量の変化を、接種前の培地と培養後の培地の紫外部吸
収スペクトルを測定することによって求めた。なお、培
養後の培地は、0.22μフィルターに通し、得られた
濾液の紫外部吸収スペクトルを測定した。得られた結果
を図2に示す。図2の結果からシロアリ腸内にo−クレ
ゾール資化性の微生物が存在することがわかった。
【0020】実施例3 (m−クレゾールによるスクリーニング)o−クレゾー
ルの代わりにm−クレゾールを用いる以外は実施例2と
同様の操作を行ったところ、図3に示すように培地中の
m−クレゾールの減少が認められ、シロアリ腸内にm−
クレゾール資化性の微生物が存在することがわかった。
【0021】実施例4 (p−クレゾールによるスクリーニング)o−クレゾー
ルの代わりにp−クレゾールを用いる以外は実施例2と
同様の操作を行ったところ、図4に示すように培地中の
p−クレゾールの減少が認められ、シロアリ腸内にp−
クレゾール資化性の微生物が存在することがわかった。
【0022】実施例5 (フェノールを用いた単離株の取得)実施例1のM9培
地(0.05%フェノール及び0.05%酵母エキスト
ラクトを更に含有する)での培養により得られた培地
(増殖菌体を含む)を、フェノール含有M9寒天培地
(0.05%フェノール及び1.2%寒天を含む)の表
面に塗布し、30℃で2日間培養した。寒天培地上に良
好に生育してきたコロニーを単離株として得た。単離株
の1つについてその菌学的性質を調べたところ下記の結
果が得られ、この単離株はシュードモナス・セパシアに
属するものであるとの結論に至った。 A.形態的性状 (1)グラム染色:陰性 (2)菌の大きさ及び形:長さ1.0〜2.0μm、幅
0.5μm前後の桿菌 (3)運動性:あり B.各種培地における生育状況
【0023】
【表1】 C.生理的性質 (1)好気性、嫌気性の区別:偏性好気性 (2)糖の分解様式: 酸化型 (3)オキシダーゼの生成: + (4)硝酸銀の還元: + (5)硫化水素の生成: − (6)インドールの生成: − (7)ウレアーゼの生成: − (8)ゼラチンの液化: − (9)アルギニンの加水分解:− (10)リジンの脱炭酸: + (11)オルニチンの脱炭酸:− (12)クエン酸の利用: + (13)メチルカルビノールアセチル反応(VP反
応):− (14)トリプトファンデアミナーゼの検出:− (15)ONPG: − (16)炭水化物類の利用性: ブドウ糖: + 果糖: + 麦芽糖: + ガラクトース:+ キシロース: + マンニット: ± 白糖: − 乳糖: + エスクリン: − イノシット: − ソルビット: − ラムノース: − メリビオース:− アミグダリン:− L−(+)−アラビノース:+ このKK01株を0.05%フェノール及び0.05%
酵母エキストラクトを含むM9培地(5ml)中で30
℃で培養し、所定の日数が経過したところで、菌体を培
地から0.22μmのフィルターに通して除去し、得ら
れた濾液のフェノール量を、濾液のフェノール濃度を分
光光度計を用いて270nm近傍の光吸収を測定するこ
とで定量した。培養日数を変化させることで、フェノー
ルの培地からの除去率(残存率)を実施例1と同様に経
日的に求めた。結果を図5に示す。
【0024】図5の結果から明らかなように本株は卓越
したフェノール分解能をもあわせ持っている。そして、
前記した菌学的性質を備え、且つフェノール分解能を有
するものは存在しないことから、この菌株は新菌株であ
ると認定し、シュードモナス・セパシアKK01と命名
して、通商産業省工業技術院微生物工業技術研究所に寄
託した(寄託日:平成4年3月11日、受託番号:FE
RM P−12869)。この寄託は、平成5年3月9
日付で国際寄託当局である通商産業省工業技術院生命工
学工業技術研究所(旧名:通商産業省工業技術院微生物
工業技術研究所)におけるブタペスト条約に基づく国際
寄託(受託番号:FERM BP−4235)に移管さ
れた。
【0025】実施例6 (o−クレゾールを用いた単離株の取得)実施例2にお
ける0.02%o−クレゾール及び0.05%酵母エキ
ストラクトを含むM9培地での培養により得られた培地
(増殖菌体を含む)を、o−クレゾール含有M9寒天培
地(0.02%o−クレゾール及び1.2%寒天を含
む)の表面に塗布し、30℃で5日間培養した。寒天培
地上に良好に生育してきたコロニーを単離株として得
た。単離株の1つについてその菌学的性質を調べたとこ
ろ実施例5で得たKK01株と同様の結果が得られ、こ
の単離株はKK01株と同じものと同定した。
【0026】実施例7 (m−クレゾールを用いた単離株の取得)実施例3にお
ける0.02%m−クレゾール及び0.05%酵母エキ
ストラクトを含むM9培地での培養により得られた培地
(増殖菌体を含む)を、m−クレゾール含有M9寒天培
地(0.02%m−クレゾール及び1.2%寒天を含
む)の表面に塗布し、30℃で5日間培養した。寒天培
地上に良好に生育してきたコロニーを単離株として得
た。単離株の1つについてその菌学的性質を調べたとこ
ろ実施例5で得たKK01株と同様の結果が得られ、こ
の単離株はKK01株と同じものと同定した。
【0027】実施例8 (p−クレゾールを用いた単離株の取得)実施例4にお
ける0.02%p−クレゾール及び0.05%酵母エキ
ストラクトを含むM9培地での培養により得られた培地
(増殖菌体を含む)を、p−クレゾール含有M9寒天培
地(0.02%p−クレゾール及び1.2%寒天を含
む)の表面に塗布し、30℃で5日間培養した。寒天培
地上に良好に生育してきたコロニーを単離株として得
た。単離株の1つについてその菌学的性質を調べたとこ
ろ実施例5で得たKK01株と同様の結果が得られ、こ
の単離株はKK01株と同じものと同定した。
【0028】実施例9 (クレゾール除去率の測定)実施例6で得たKK01株
を、0.02%o−クレゾール及び0.05%酵母エキ
ストラクトを含むM9培地(5ml)中で30℃で7日
間培養し、培養前後での培地中のo−クレゾール量の変
化(除去率)を、接種前の培地と培養後の培地の紫外部
吸収スペクトルを測定することによって求めた。なお、
培養後の培地は、0.22μフィルターに通し、得られ
た濾液の紫外部吸収スペクトルを測定した。結果を図6
に示す。
【0029】更に、o−クレゾールの代わりにm−クレ
ゾール及びp−クレゾールをそれぞれ個々に用いて上記
と同様にしてm−クレゾール及びp−クレゾールの除去
率を測定した。得られた結果を図7、8に示す。図6〜
8の結果から明らかなように本株はフェノール分解能と
ともにクレゾール分解能をも有するものであり、この性
質は従来既知のシュードモナス・セパシアにはみられな
いものである。
【0030】なお、KK01株の培養は、シュードモナ
ス属の細菌用に通常用いられている培地で行うことがで
き、炭素源としては、フェノール、クレゾール等のフェ
ノール性化合物単独でも十分生育するが、グルコース等
を適宜用いることができる。また、窒素源としては、例
えば酵母エキストラクト、ペプトンなどを単独でまたは
組み合わせて用いることができる。その他必要に応じて
リン酸第一カリウム、塩化アンモニウム等を添加するこ
とができる。培養は好気条件下で行うことができ、液体
培養でも固体培養でもよい。培養温度としては30℃が
望ましい。
【0031】実施例10 下記に示す組成の合成排液を人工的につくり、これにK
K01株を接種し、30℃で培養を行なった。培地中の
フェノール性化合物の量の経時変化を上記各実施例と同
様にして紫外部の吸収スペクトルを測定することで求め
た。 合成排液組成; フェノール・・・・・・・ 200mg o−クレゾール・・・ 50mg m−クレゾール・・・ 40mg p−クレゾール・・・ 50mg NH4Cl・・・・・・・ 200mg KH2PO4 ・・・・・ 272mg Na2HPO4 ・・・ 284mg 水・・・・・・・・・・・・・・・ 1リットル pH(7.0) 得られた結果を図9に示す。図9の結果から、KK01
株はフェノール及びクレゾールを含む合成排液を分解す
る能力を有することがわかった。
【0032】
【発明の効果】本発明によりシロアリ腸内からのフェノ
ール性化合物の分解能を有する微生物の取得方法が確立
され、該方法によって廃液等に含まれるフェノール性の
生物分解処理に好適な微生物を取得することができる。
【0033】また、該取得方法によって得た微生物を用
いることで、フェノール、クレゾール等のフェノール性
化合物を含む廃液等の効率良い生物処理が可能となる。
特に、クレゾール分解能を有する細菌はこれまで報告が
なく、本発明の方法によって得られたフェノール性化合
物の分解能を有する微生物を用いて廃液等におけるクレ
ゾールの生物分解が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における培養での培地中のフェノール
残存率の経日的変化を示すグラフである。
【図2】実施例2における培養前後での培養液の紫外部
吸収スペクトルの変化を示すグラフである。
【図3】実施例3における培養前後での培養液の紫外部
吸収スペクトルの変化を示すグラフである。
【図4】実施例4における培養前後での培養液の紫外部
吸収スペクトルの変化を示すグラフである。
【図5】実施例5における培養での培地中のフェノール
残存率の経日的変化を示すグラフである。
【図6】実施例9における培養前後での培養液の紫外部
吸収スペクトルの変化を示すグラフである。
【図7】実施例9における培養前後での培養液の紫外部
吸収スペクトルの変化を示すグラフである。
【図8】実施例9における培養前後での培養液の紫外部
吸収スペクトルの変化を示すグラフである。
【図9】実施例10における排液中のフェノール性化合
物の残存率の経日的変化を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:38) (C12P 1/04 C12R 1:38)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェノール性化合物分解能を有する微生
    物の取得方法であって、 該微生物を含む混合物をフェノール性化合物を唯一の炭
    素源として含む培地で培養して生育した微生物を回収す
    る過程を有することを特徴とするフェノール性化合物分
    解能を有する微生物の取得方法。
  2. 【請求項2】 前記微生物を含む混合物がシロアリの腸
    破砕物である請求項1に記載のフェノール性化合物分解
    能を有する微生物の取得方法。
  3. 【請求項3】 前記シロアリがタカサゴシロアリである
    請求項2に記載のフェノール性化合物分解能を有する微
    生物の取得方法。
  4. 【請求項4】 前記培地が細菌用である請求項1に記載
    のフェノール性化合物分解能を有する微生物の取得方
    法。
  5. 【請求項5】 前記フェノール性化合物がフェノール、
    o−クレゾール、p−クレゾール及びm−クレゾールか
    らなる群より選択された1以上である請求項1に記載の
    フェノール性化合物分解能を有する微生物の取得方法。
  6. 【請求項6】 前記微生物がシュードモナス・セパシア
    である請求項1に記載のフェノール性化合物分解能を有
    する微生物の取得方法。
  7. 【請求項7】 前記微生物がシュードモナス・セパシア
    KK01である請求項1に記載のフェノール性化合物分
    解能を有する微生物の取得方法。
JP7216420A 1995-08-25 1995-08-25 フェノール性化合物分解能を有する微生物の取得方法 Pending JPH0880188A (ja)

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JP (1) JPH0880188A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110683637A (zh) * 2019-10-14 2020-01-14 临沂大学 一种以苯酚为诱导物驯化可降解2-氯苯酚的好氧微生物的方法

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0367581A (ja) * 1989-08-04 1991-03-22 Tonen Corp フェノール資化性細菌

Patent Citations (1)

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