JP2566708B2 - フラン化合物の生物分解方法および2−フランカルボン酸の製造方法 - Google Patents

フラン化合物の生物分解方法および2−フランカルボン酸の製造方法

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JP2566708B2
JP2566708B2 JP4204913A JP20491392A JP2566708B2 JP 2566708 B2 JP2566708 B2 JP 2566708B2 JP 4204913 A JP4204913 A JP 4204913A JP 20491392 A JP20491392 A JP 20491392A JP 2566708 B2 JP2566708 B2 JP 2566708B2
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は特定の微生物を利用した
フラン化合物の生物分解方法、及び特定の微生物を利用
したフルフラールからの2−フランカルボン酸の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、各種環境調査において、有害で自
然条件下では分解され難い芳香族化合物が検出されるな
ど、これらによる環境汚染がクローズアップされてきて
おり、生体系に与えるその影響が懸念されている。従っ
て、これら難分解性化学物質による汚染を防止していく
ためには、これらの物質を環境に移行させない技術の開
発が急務となっており、例えば、排水中の難分解性有害
物質を効果的に除去する技術の確立が強く望まれてい
る。
【0003】このような難分解性物質として、フルフラ
ール、テトラヒドロフラン、フルフリルアルコール及び
クマラン等のフラン化合物が挙げられる。
【0004】フルフラールは、例えばペントザンを含む
植物体を水蒸気蒸留または鉱酸等で処理することによっ
て容易に得ることができ、工業的には燕麦の籾殻や麦藁
から製造されている。従って、フルフラールはフラン化
合物のなかで最も廉価に得られるものであり、潤滑油の
選択精製溶剤、可硫促進剤、染料惨透剤などに広く利用
されている。
【0005】また、テトラヒドロフランは、溶解能の優
れた有機溶剤として有用であり、表面コーティング、接
着剤、ペイントの剥離剤の溶剤成分等として、フルフリ
ルアルコールは、染料、フェノール樹脂等の溶剤もしく
は分散剤、あるいは潤滑剤等に、更にクマラン(2,3
−ジヒドロベンゾフラン)環を有する化合物は、染料や
色素の製造、有機溶剤などに広く利用されており、また
木材成分の一つでもある。
【0006】従って、これらの化合物は各種の化学工場
廃液中に混入しており、またテトラヒドロフランは水に
対する溶解性からこれによる地下水等の汚染も懸念され
ており、これらの分解処理が環境保全の面から重要とな
ってきている。
【0007】これらの難分解性物質の分解処理には、
光、熱あるいはオゾンを利用した方法等が知られている
が、コスト及び操作面から微生物を利用した生物分解方
法が注目されている。
【0008】しかしながら、フルフラールやテトラヒド
ロフランの分解能を有する微生物で単離されたものにつ
いての報告は非常に少なく、S. Morimotoら(J. Fermen
t. Technol., 45, 442, 1967)によるパン酵母の培養に
おけるフルフラールの分解、Acetobacter 、Achromobac
ter 、Brevibacterium、Flavobacterium 、Micrococcu
s などによるフルフラールの2−フランカルボン酸への
変換に関する旧ソ連邦特許(Patent Japan 44ー20389)
がある(「微生物による有機化合物の変換」、G.K.
スクリアビン/L.A.M.ゴロブレーバ著、福井三郎
監訳、学会出版センター、第287頁参照)。嫌気条件
下での実験例としては、Brune, G., Schobert h, S.M.
and Sahm, H.(1982); Process Biochem., 17, 20等があ
る程度である。また、テトラヒドロフラン及びクマラン
に至っては、これらを分解する微生物で単離された例は
皆無である。
【0009】そこで、これら難分解性フラン化合物に対
する高い分解活性を有する微生物を取得することが実用
上の観点から強く求められている。なかでも、フルフラ
ールは一般のアルデヒド類と同様に毒性が高いので、フ
ルフラールの毒性に対する耐性を有する微生物の取得が
重要となっている。また、クマラン環を有する化合物の
処理においては、その基本骨格であるクマラン環の分解
活性を有する微生物が有用となる。
【0010】一方、フラン化合物の中でも2−フランカ
ルボン酸はフルフラールに比べ遥かに毒性が低く、しか
も微生物によって資化され易い。そこで、廉価に得られ
るフルフラールや各種廃液中に混入しているフラン化合
物を2−フランカルボン酸に変換することは、フラン化
合物の発酵工業への利用を促進するものと期待されてい
る。
【0011】特に、フルフラールを酸化して2−フラン
カルボン酸に変換することは、その毒性を弱めこれを発
酵工業の原料に導入する手段として極めて大きな意義を
有する。フルフラールを2−フランカルボン酸に変換す
る方法として、化学反応を利用する種々の方法が知られ
ているが、これらはいずれも過激な反応を必要とし、最
終反応液に微生物の生育に好ましくない種々の有害物質
が高濃度に存在するので、これらの化学的方法で得られ
た2−フランカルボン酸を発酵原料として利用する場合
には、最終反応液からこれらの有害物質を分離するとい
う煩雑な操作が必須となる。このような観点から、極め
て温和な条件で目的物質が得られる微生物を用いた2−
フランカルボン酸の製造方法が注目されるに至ってい
る。
【0012】しかしながら、上述のように、フルフラー
ルの2−フランカルボン酸への変換を行う微生物の単離
についての報告は非常に少なく、実用上有用な微生物の
取得が重要な課題となっている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、自然条
件下では分解され難いフラン化合物の分解能を有する微
生物としては極僅かのものが知られているに過ぎず、実
用上の緒条件を満たし、なおかつ十分な分解能を持つと
いう観点から眺めて見ると、現在公知の菌種の範囲では
十分なものは見当たらない。従って、実用上要求される
特性を満足する菌種の獲得が必要となっている。
【0014】また、フラン化合物からの2−フランカル
ボン酸の製造に利用する微生物についても同様に十分な
ものは見当たらず、実用上要求される特性を満足する菌
種の獲得が必要となっている。
【0015】この実用上要求される特性としては、十分
なフラン化合物の分解能、あるいは2−フランカルボン
酸への変換能を有することは無論であるが、生育条件等
の許容範囲が既知菌種よりも広く、その応用範囲が拡大
できるもの、あるいはその利用形態が豊富となることな
どが挙げられる。
【0016】例えば、フラン化合物を含む廃液の処理に
おいて用いる微生物は廃液中でダメージを受け難く、廃
液という劣悪な環境下でも生育できることが要求され
る。そこで、多くの抗性物質に対して耐性を有し、かつ
各種の糖に対して資化能力を持ち合わせている方が劣悪
環境下においても良好に生育する可能性が高い。従っ
て、より広い薬剤耐性、糖の利用性等を有する微生物の
取得が重要となる。
【0017】本発明の目的は、実用的な微生物を用いた
フラン化合物の生物分解方法を提供することにある。本
発明の他の目的は、フラン化合物の分解に有用な微生物
の取得方法を提供することにある。本発明の他の目的
は、実用的な微生物を用いた2−フランカルボン酸の製
造方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明のフラン化合物の
生物分解方法は、フラン化合物の分解能を有する、シュ
ードモナス・セパシアKK01株(FERM BP−4
235)の存在下でフラン化合物を分解する過程を有す
ることを特徴とする。
【0019】本発明の生物分解方法に用いるシュードモ
ナス・セパシアKK01株(FERM BP−423
5)は、例えば、シロアリ表面を滅菌的に洗浄し、腸を
摘出して適当な溶液中でこれをすりつぶし、得られた腸
破砕物を含む混合物の一部を、分解しようとするフラン
化合物を炭素源とする培地に加えて培養し、生育してく
る株を単離することによって得ることができる。シロア
リとしては、各種シロアリを用いることができ、テング
シロアリ属(Nasutiterminae)のもの、
例えばタカサゴシロアリ(Nasutitermes
takasagoensis)、Nasutiterm
es ephratae、 Nasutitermes
exitiosus、Nasutitermes n
igriceps等が好ましい。なかでもタカサゴシロ
アリが特に好ましい。
【0020】フラン化合物分解能を有する微生物のスク
リーニング用の培地としては、フラン化合物を唯一の炭
素源として含み、更に必要に応じて各種窒素源、無機塩
類、生育因子などを更に加えたものが利用できる。フラ
ン化合物の濃度は適宜選択することができるが、例え
ば、0.01〜0.05%とすることができる。
【0021】シュードモナス属の細菌の場合は、窒素源
としてペプトンなどを単独で、または他の窒素源と組み
合わせて用いることができ、無機塩類としては、リン酸
水素第一カリウム、塩化アンモニウム等を利用すること
ができる。
【0022】こうして分離された微生物の培養は、その
微生物に適した培養条件を適宜選択して行うことができ
る。
【0023】この分離微生物を用いてフラン化合物の分
解処理を行うことができる。分解処理には、シュードモ
ナス・セパシアKK01株(FERM BP−423
5)を1種、又はこの微生物とフラン化合物を分解可能
な他の微生物との混合系を用いることができる。
【0024】KK01株は抗生物質耐性を有し、また後
述の実施例において示されているように、炭素源として
利用できる糖の範囲が広く、更にフルフラール、テトラ
ヒドロフラン、フルフリルアルコール及びクマランの分
解能を有するものであり、フラン化合物の生物分解処理
に実用上極めて有用である。
【0025】本発明におけるフラン化合物の分解処理
は、廃液などの被処理物中のフラン化合物と上記のシロ
アリ腸内由来の微生物とを接触させることによっておこ
なうことができる。微生物と被処理物との接触は、分解
すべきフラン化合物を含む水性液体中で該微生物を培養
する、あるいは該水性液体を該微生物の培養系に添加す
る等の方法によって行うことができ、バッチ法、半連続
法、連続法等種々の方式を用いて実施できる。該微生物
は、非固定状態で、あるいは適当な担体に固定化して用
いることができる。廃液等の非処理物は、必要に応じて
各種前処理を行ってもよい。例えば、フラン化合物の濃
度、pHの調製、酵母エキストラクト等の各種栄養物質
の補充等を行っても良い。フラン化合物の分解処理領域
内での濃度は、例えば酵母エキストラクト等の他の栄養
物質の存在下で、0.05%程度に調整するとよい。培
養条件としては、30℃程度での好気培養が好ましい。
【0026】一方、本発明の2−フランカルボン酸の製
造方法は、シュードモナス・セパシアKK01株(FE
RM BP−4235)の作用によってフルフラールま
たはフルフリルアルコールから2−フランカルボン酸を
得る過程を有することを特徴とする。
【0027】
【0028】本発明における2−フランカルボン酸の製
造は、フルフラールとシュードモナス・セパシアKK0
1株(FERM BP−4235)とを接触させること
によっておこなうことができる。原料化合物と微生物と
の接触は、原料化合物を含む水性液体中で該微生物を培
養する、あるいは該水性液体を該微生物の培養系に添加
する等の方法によって行うことができ、バッチ法、半連
続法、連続法等種々の方式を用いて実施できる。該微生
物は、非固定状態で、あるいは適当な担体に固定化して
用いることができる。原料化合物、すなわちフルフラー
ルの濃度、pH、各種栄養物質の濃度等は用いる微生物
等に応じて適宜選択される。例えば、原料化合物の濃度
は、酵母エキストラクト等の他の栄養物質の存在下で、
0.05%程度に調整するとよい。培養条件としては、
30℃程度での好気培養が好ましい。また、原料化合物
を含む廃液を利用する場合には、必要に応じて、原料化
合物の濃度やpHの調整、各種栄養物質の補充等の前処
理を行っても良い。
【0029】
【実施例】以下実施例により本発明を更に詳細に説明す
る。なお、各実施例で用いたM9培地は下記の組成を有
するものである。 M9培地組成(1リットル中); NaHPO4 6.2g KH2 PO4 3.0g NaCl 0.5g NH4 Cl 1.0g (pH7.0) 実施例1 (フルフラールによるスクリーニング)タカサゴシロア
リのハタラキシロアリを10匹シャーレにとり、エチル
アルコール(95%)をこれに注ぎシロアリ表面を殺菌
した。次に、0.02%のフルフラールを含有するM9
培地でシロアリを2回洗い、その表面からエチルアルコ
ールを除去した。洗浄後、シロアリの腸をピンセットで
摘み出し、それを0.02%のフルフラールを含有する
M9培地中ですり潰し、腸破砕物を含む液状混合物を得
た。この混合物の一部を、0.02%フルフラール及び
0.05%酵母エキストラクトを含有するM9培地に接
種し、30℃で好気条件下で15日間培養した。培養前
後の培地(培養後の培地は0.22μmのフィルターで
濾過して菌体等を除去して使用)の吸光度(230〜3
50nm)を分光光度計によって測定したところ図1の
結果が得られた。図1に示されたように、培養前におい
てはフルフラールの存在を示す280nm付近に吸光度
のピークが表われ、培養後にはこのピークは消失し、そ
れに代わって247nm付近に2−フランカルボン酸の
存在を示すピークが出現した。この結果は、フルフラー
ルが分離菌の培養によって2−フランカルボン酸に変換
されたことを示している。
【0030】実施例2 (フルフラールを用いた単離株の取得) 実施例1のM9培地(0.02%フルフラール及び0.
05%酵母エキストラクトを更に含有する)での培養に
より得られた培地(増殖菌体を含む)を、フルフラール
含有M9寒天培地(0.05%フルフラール及び1.2
%寒天を含む)の表面に塗布し、30℃で培養した。寒
天培地上に良好に生育してきたコロニーを単離株として
得た。単離株の1つについてその菌学的性質を調べたと
ころ下記の結果が得られ、この単離株はシュードモナス
・セパシアに属するものであり、しかもこの菌株は本出
願人によってフェノール性化合物の分解能を有する新菌
株として先にKK01株と命名され、通商産業省工業技
術院微生物工業技術研究所(新名称:通商産業省工業技
術院生命工学工業技術研究所)に寄託(寄託日:平成4
年3月11日、寄託番号FERM P−12869;平
成5年3月9日、寄託番号 FERM BP−4235
に移管)されたものと同一であると同定された。 A.形態的性状 (1)グラム染色:陰性 (2)菌の大きさ及び形:長さ1.0〜2.0μm、幅
0.5μm前後の桿菌 (3)運動性:あり B.各種培地における生育状況
【0031】
【表1】 C.生理的性質 (1)好気性、嫌気性の区別:偏性好気性 (2)糖の分解様式: 酸化型 (3)オキシダーゼの生成: + (4)硝酸銀の還元: + (5)硫化水素の生成: − (6)インドールの生成: − (7)ウレアーゼの生成: − (8)ゼラチンの液化: − (9)アルギニンの加水分解:− (10)リジンの脱炭酸: + (11)オルニチンの脱炭酸:− (12)クエン酸の利用: + (13)メチルカルビノールアセチル反応(VP反
応):− (14)トリプトファンデアミナーゼの検出:− (15)ONPG: − (16)炭水化物類の利用性: ブドウ糖: + 果糖: + 麦芽糖: + ガラクトース:+ キシロース: + マンニット: ± 白糖: − 乳糖: + エスクリン: − イノシット: − ソルビット: − ラムノース: − メリビオース:− アミグダリン:− L−(+)−アラビノース:+ 実施例3 (テトラヒドロフランによるスクリーニング)フルフラ
ールの代わりにテトラヒドロフランを用いる以外は実施
例1と同様にして、シロアリ腸内からテトラヒドロフラ
ンの分解能を有する微生物の分離を行い、培養前後にお
ける培地の吸光度(220〜320nm)を測定した。
得られた結果を図2に示す。図2の結果から、シロアリ
腸内にテトラヒドロフランを分解する微生物の存在が確
認された。
【0032】実施例4 (テトラヒドロフランを用いた単離株の取得)実施例3
において0.02%テトラヒドロフラン及び0.05%
酵母エキストラクトを含むM9培地での培養により得ら
れた培地(増殖菌体を含む)を、テトラヒドロフラン含
有M9寒天培地(0.05%テトラヒドロフラン及び
1.2%寒天を含む)の表面に塗布し、30℃で培養し
た。寒天培地上に良好に生育してきたコロニーを単離株
として得た。単離株の1つについてその菌学的性質を調
べたところ実施例2で挙げたKK01株と同様の結果が
得られ、この単離株はKK01株と同じものと同定し
た。
【0033】実施例5 (フルフリルアルコールによるスクリーニング)フルフ
ラールの代わりにフルフリルアルコールを用いる以外は
実施例1と同様にしてシロアリ腸内からフルフリルアル
コールの分解能を有する微生物の分離を行い、培養前後
における培地の吸光度(200〜320nm)の変化を
測定した。その結果を図3に示す。図3の結果から、シ
ロアリ腸内にフルフリルアルコールを分解する微生物の
存在が確認された。
【0034】実施例6 (フルフリルアルコールを用いた単離株の取得)実施例
5において0.02%フルフリルアルコール及び0.0
5%酵母エキストラクトを含むM9培地での培養により
得られた培地(増殖菌体を含む)を、テトラヒドロフラ
ン含有M9寒天培地(0.05%フルフリルアルコール
及び1.2%寒天を含む)の表面に塗布し、30℃で培
養した。寒天培地上に良好に生育してきたコロニーを単
離株として得た。単離株の1つについてその菌学的性質
を調べたところ実施例2で挙げたKK01株と同様の結
果が得られ、この単離株はKK01株と同じものと同定
した。
【0035】実施例7 (クマランによるスクリーニング)フルフラールの代わ
りにクマランを用いる以外は実施例1と同様にしてシロ
アリ腸内からクマランの分解能を有する微生物の分離を
行い、培養前後における培地の吸光度(200〜350
nm)の変化を測定した。その結果を図4に示す。図4
の結果から、シロアリ腸内にクマランを分解する微生物
の存在が確認された。
【0036】実施例8 (クマランを用いた単離株の取得)実施例7において
0.02%クマラン及び0.05%酵母エキストラクト
を含むM9培地での培養により得られた培地(増殖菌体
を含む)を、テトラヒドロフラン含有M9寒天培地
(0.05%クマラン及び1.2%寒天を含む)の表面
に塗布し、30℃で培養した。寒天培地上に良好に生育
してきたコロニーを単離株として得た。単離株の1つに
ついてその菌学的性質を調べたところ実施例2で挙げた
KK01株と同様の結果が得られ、この単離株はKK0
1株と同じものと同定した。
【0037】実施例9 (2−フランカルボン酸の生成)実施例2で得たKK0
1株を0.05%フルフラール及び0.05%酵母エキ
ストラクトを含むM9培地(5ml)中で30℃で10
日間培養した。培養前後の培地(培養後は0.22μm
のフィルターで濾過した濾液を使用)の吸光度(230
〜320nm)を分光光度計を用いて測定したところ図
5の結果が得られた。図5の結果から明らかなように、
KKO1株の培養によってフルフラールは、2−フラン
カルボン酸に変換された。
【0038】実施例10 (テトラヒドロフランの分解)フルフラールの代わりに
テトラヒドロフランを用いる以外は実施例8と同様にし
てKK01株の培養を行ない、培養前後の培地の吸光度
(220〜320nm)の変化を測定した。その結果を
図6に示す。図6の結果から明らかなように、KKO1
株の培養によってテトラヒドロフランは分解された。
【0039】実施例11 (フルフリルアルコールの分解)フルフラールの代わり
にフルフリルアルコールを用いる以外は実施例8と同様
にしてKK01株の培養を行った。培養前後の培地の吸
光度(200〜350nm)の変化を測定した。その結
果を図7に示す。図7の結果から明らかなように、KK
O1株の培養によってフルフリルアルコールは分解され
た。
【0040】実施例12 (クマランの分解)フルフラールの代わりにクマランを
用いる以外は実施例8と同様にしてKK01株の培養を
行ない、培養前後の培地の吸光度(220〜320n
m)の変化を測定した。得られた結果を図8に示す。図
8の結果から明らかなように、KKO1株の培養によっ
てクマランが分解された。
【0041】以上の結果から明らかなように本株は上記
のフラン化合物の分解能を有するものであり、この性質
は従来既知のシュードモナス・セパシアにはみられない
ものである。
【0042】なお、KK01株の培養は、シュードモナ
ス属の細菌用に通常用いられている培地で行うことがで
き、炭素源にフラン化合物を単一で用いた培地でも十分
生育するが、グルコース等を適宜用いることができる。
また、フェノールやクレゾールも炭素源として利用でき
る。窒素源としては、例えばペプトンなどを単独でまた
は組み合わせて用いることができる。その他必要に応じ
て酵母エキストラクト、リン酸第一カリウム、塩化アン
モニウム等を添加することができる。培養は好気条件下
で行うことができ、液体培養でも固体培養でもよい。培
養温度としては30℃が望ましい。
【0043】実施例13 下記に示す組成の合成排液を人工的につくり、これにK
K01株を接種し、30℃で培養を行なった。培地中の
フラン化合物の量の経時変化を紫外部の吸収スペクトル
を測定することで求めた。なお、0.22μmのフィル
ターで培地のサンプルを濾過して測定に使用した。 合成排液組成; テトラヒドロフラン・・・・50mg フルフラール ・・・・50mg フルフリルアルコール・・50mg クマラン・・・・・・・・・・・・・・50mg NH4 Cl・・・・・・・・・・・・200mg KH2 PO4 ・・・・・・・・・・272mg Na2 HPO4 ・・・・・・・・284mg 酵母エキストラスト・・・・200mg 水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1リットル pH(7.0) 得られた結果を図9に示す。図9の結果から、KK01
株はフラン化合物を含む合成排液を分解する能力を有す
ることがわかった。
【0044】
【発明の効果】本発明によればシュードモナス・セパシ
アKK01株(FERM BP−4235)を用いて
然条件下では難分解性のフラン化合物を含む廃液等の効
率良い生物処理が可能となる。特に、テトラヒドロフラ
ン、クマランを分解する細菌はこれまで報告がなく、本
発明によって廃液等におけるこれらの化合物の生物分解
が可能となった。
【0045】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における培養前後での培地の紫外部吸
収スペクトルの変化を示すグラフである。
【図2】実施例3における培養前後での培地の紫外部吸
収スペクトルの変化を示すグラフである。
【図3】実施例5における培養前後での培地の紫外部吸
収スペクトルの変化を示すグラフである。
【図4】実施例7における培養前後での培地の紫外部吸
収スペクトルの変化を示すグラフである。
【図5】実施例9における培養前後での培地の紫外部吸
収スペクトルの変化を示すグラフである。
【図6】実施例10における培養前後での培地の紫外部
吸収スペクトルの変化を示すグラフである。
【図7】実施例11における培養前後での培地の紫外部
吸収スペクトルの変化を示すグラフである。
【図8】実施例12における培養前後での培地の紫外部
吸収スペクトルの変化を示すグラフである。
【図9】実施例13における培養中での培地中のフラン
化合物量の経時変化を、培養開始前の量を100%とし
た残存率で表わしたグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:38) (56)参考文献 RES.BULL.PANJAB U NIV.SCI.,37 〜3−4! (1986)(インド)P.87−91 DIALOG INFORMATIO N SERVICES,INC.の提供 する商用オンライン検索システム「DI ALOG」のデータベースである「BI OSIS PREVIEWS」(BIO SCIENCES INFORMATI ON SERVICE作成)に収録され たBIOLOGICAL ABSTRA CTS,NO.89094058

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シュードモナス・セパシアKK01株
    (FERM BP−4235)の存在下でフラン化合物
    を分解する過程を有することを特徴とするフラン化合物
    の生物分解方法。
  2. 【請求項2】 該フラン化合物がフルフラール、テトラ
    ヒドロフラン、フルフリルアルコール及びクマランから
    選ばれる少なくとも一つである請求項1に記載のフラン
    化合物の生物分解方法。
  3. 【請求項3】 シュードモナス・セパシアKK01株
    (FERM BP−4235)の作用によってフルフラ
    ールを酸化せしめて2−フランカルボン酸を得る過程を
    有する2−フランカルボン酸の製造方法。
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