JPH0878670A - 電荷注入形絶縁ゲート半導体装置 - Google Patents
電荷注入形絶縁ゲート半導体装置Info
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- JPH0878670A JPH0878670A JP21092194A JP21092194A JPH0878670A JP H0878670 A JPH0878670 A JP H0878670A JP 21092194 A JP21092194 A JP 21092194A JP 21092194 A JP21092194 A JP 21092194A JP H0878670 A JPH0878670 A JP H0878670A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】オン抵抗が小さく、かつ特性の調整が容易な絶
縁ゲート形半導体スイッチング素子を得る。 【構成】カソード側よりドリフト層に達する複数の凹部
を設け、一部の凹部に絶縁ゲート電極を設けた絶縁ゲー
ト形半導体スイッチング素子において、他の凹部の底部
には電荷注入層が形成され、この電荷注入層には第2の
ゲート電極が接続されている電荷注入形絶縁ゲート半導
体スイッチング装置。 【効果】本発明によればオフセット電圧がなく、ゲート
構造によって容易に高速スイチング特性と低オン電圧特
性を調整できる絶縁ゲート半導体スイッチング装置が得
られる。
縁ゲート形半導体スイッチング素子を得る。 【構成】カソード側よりドリフト層に達する複数の凹部
を設け、一部の凹部に絶縁ゲート電極を設けた絶縁ゲー
ト形半導体スイッチング素子において、他の凹部の底部
には電荷注入層が形成され、この電荷注入層には第2の
ゲート電極が接続されている電荷注入形絶縁ゲート半導
体スイッチング装置。 【効果】本発明によればオフセット電圧がなく、ゲート
構造によって容易に高速スイチング特性と低オン電圧特
性を調整できる絶縁ゲート半導体スイッチング装置が得
られる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電荷注入形絶縁ゲート
半導体装置に係り、特に零電圧から電流が立ち上がると
共に、オン抵抗が従来の絶縁ゲート形電界効果トランジ
スタよりも小さな半導体装置に関する。
半導体装置に係り、特に零電圧から電流が立ち上がると
共に、オン抵抗が従来の絶縁ゲート形電界効果トランジ
スタよりも小さな半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】絶縁ゲート形電界効果トランジスタ(MO
SFET)は絶縁ゲートにゲート電圧を印加することによ
り、主電流をオン,オフできる機能を持つ。MOSFETは電
圧制御デバイスであるため、従来のバイポーラトランジ
スタにくらべて、ゲート回路が簡略化できること、ゲー
ト回路の損失が小さいなどの特徴を持つ。しかし、バイ
ポーラトランジスタに比べて、少数キャリヤの注入がな
いためオン動作時の電圧降下、即ちオン電圧が大きく、
特に高耐圧化するほどオン電圧の増大は顕著になる。
SFET)は絶縁ゲートにゲート電圧を印加することによ
り、主電流をオン,オフできる機能を持つ。MOSFETは電
圧制御デバイスであるため、従来のバイポーラトランジ
スタにくらべて、ゲート回路が簡略化できること、ゲー
ト回路の損失が小さいなどの特徴を持つ。しかし、バイ
ポーラトランジスタに比べて、少数キャリヤの注入がな
いためオン動作時の電圧降下、即ちオン電圧が大きく、
特に高耐圧化するほどオン電圧の増大は顕著になる。
【0003】一方、近年、絶縁ゲート電界効果トランジ
スタのドレイン領域にpエミッタ層を設けることで、オ
ン電圧の低減を図った絶縁ゲート形バイポーラトランジ
スタ(IGBT)が実用化され、従来のバイポーラトラ
ンジスタに置き換わりつつある。これは、アノード側に
設けたエミッタ層からのホールの注入によりドリフト領
域が伝導度変調され、この領域の実効的な抵抗を下げる
ものである。このため従来のMOSFETに比べてオン電圧が
小さく、且つ絶縁ゲート形という特徴を併せ持ってい
る。しかし、IGBTではアノード側のエミッタ層から
ホール注入が始まるには、エミッタ接合のビルトイン電
圧を超える電圧を外部より印加する必要があり、いわゆ
るオフセット電圧が存在する。素子を低損失化する場
合、このオフセット電圧以下には素子のオン電圧を下げ
られないため、特に低電圧動作の際には問題となる。こ
のような現状からオフセット電圧がなく、且つオン電圧
が従来のMOSFETよりも小さな素子が要望されていた。
スタのドレイン領域にpエミッタ層を設けることで、オ
ン電圧の低減を図った絶縁ゲート形バイポーラトランジ
スタ(IGBT)が実用化され、従来のバイポーラトラ
ンジスタに置き換わりつつある。これは、アノード側に
設けたエミッタ層からのホールの注入によりドリフト領
域が伝導度変調され、この領域の実効的な抵抗を下げる
ものである。このため従来のMOSFETに比べてオン電圧が
小さく、且つ絶縁ゲート形という特徴を併せ持ってい
る。しかし、IGBTではアノード側のエミッタ層から
ホール注入が始まるには、エミッタ接合のビルトイン電
圧を超える電圧を外部より印加する必要があり、いわゆ
るオフセット電圧が存在する。素子を低損失化する場
合、このオフセット電圧以下には素子のオン電圧を下げ
られないため、特に低電圧動作の際には問題となる。こ
のような現状からオフセット電圧がなく、且つオン電圧
が従来のMOSFETよりも小さな素子が要望されていた。
【0004】図2は前述のような要望に鑑み考案された
電荷注入形のMOSFETの例で、アイ・イー・イー・イー、
トランザクションズ、オン、エレクトロン・デバイス(I
EEE,ED−39,No.8,pp.1954−1960,
1992)に掲載されている。本素子は従来のMOSFET構
造の横に電荷注入層であるp形層20およびp層20内
に形成されたn形層21がある。
電荷注入形のMOSFETの例で、アイ・イー・イー・イー、
トランザクションズ、オン、エレクトロン・デバイス(I
EEE,ED−39,No.8,pp.1954−1960,
1992)に掲載されている。本素子は従来のMOSFET構
造の横に電荷注入層であるp形層20およびp層20内
に形成されたn形層21がある。
【0005】その動作は先ずゲート電極12に正の電圧
を与えるとMOSFET部のゲート直下のp層4の表面がn形
に反転してnチャネル8が形成され、ソース電極11よ
りnチャネル8,n-ドリフト層3を経由してドレイン
電極へと電子が流れる(電流パスA)。更に、電流が増
加してn- ドリフト層内の電圧降下が大きくなり、オン
電圧が約1Vを超えるとゲート電極23の下のnチャネ
ル8を経由して流れる電子電流がフローティング電極2
2でホール電流に変わりフローティングのp層20から
ドリフト層へのホールの注入が始まる(電流パスB)。
このホールの注入によりn−ドリフト層が伝導度変調さ
れ、オン電圧が低減する。
を与えるとMOSFET部のゲート直下のp層4の表面がn形
に反転してnチャネル8が形成され、ソース電極11よ
りnチャネル8,n-ドリフト層3を経由してドレイン
電極へと電子が流れる(電流パスA)。更に、電流が増
加してn- ドリフト層内の電圧降下が大きくなり、オン
電圧が約1Vを超えるとゲート電極23の下のnチャネ
ル8を経由して流れる電子電流がフローティング電極2
2でホール電流に変わりフローティングのp層20から
ドリフト層へのホールの注入が始まる(電流パスB)。
このホールの注入によりn−ドリフト層が伝導度変調さ
れ、オン電圧が低減する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従来の電荷注入型MOSF
ETでは、ホール注入は素子のオン電圧が約1V以上で起
こるため、1V以下のオン電圧では伝導度変調を起こす
ことができない。また、p層20からのホール注入はソ
ース側のシリコン表面付近に限定されるため、従来のMO
SFETに対するオン電圧の低減降下は高々30パーセント
程度と小さい。
ETでは、ホール注入は素子のオン電圧が約1V以上で起
こるため、1V以下のオン電圧では伝導度変調を起こす
ことができない。また、p層20からのホール注入はソ
ース側のシリコン表面付近に限定されるため、従来のMO
SFETに対するオン電圧の低減降下は高々30パーセント
程度と小さい。
【0007】本発明は上記の問題点を考慮してなされた
ものであり、零電圧から電流が立上り、オン電圧が小さ
く且つ、高速なスイッチング動作が可能で、しかも特性
の調整が容易な半導体スイッチ素子を得ることを目的と
する。
ものであり、零電圧から電流が立上り、オン電圧が小さ
く且つ、高速なスイッチング動作が可能で、しかも特性
の調整が容易な半導体スイッチ素子を得ることを目的と
する。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記目的は、トレンチ構
造により形成した第1のゲート電極である絶縁ゲート電
極と、これに隣接して形成されたトレンチの底部に電荷
注入層とこれに接続された第2のゲート電極を設け、し
かもトレンチ内には第1のゲート電極と第2のゲート電
極のいずれか一方を形成することで達成できる。
造により形成した第1のゲート電極である絶縁ゲート電
極と、これに隣接して形成されたトレンチの底部に電荷
注入層とこれに接続された第2のゲート電極を設け、し
かもトレンチ内には第1のゲート電極と第2のゲート電
極のいずれか一方を形成することで達成できる。
【0009】
【作用】本発明による電荷注入形絶縁ゲート半導体装置
はカソード側表面より堀込んだトレンチ底部に電荷注入
のための第2のゲート層があるため、ドリフト層の広い
領域にわたって伝導度変調がおこり、低オン電圧で、且
つ第1の絶縁ゲートにより零電圧から電流を流すことが
できる。さらに、トレンチ内には第1のゲート電極と第
2のゲート電極のいずれか一方を形成するので、第1の
ゲート電極領域と第2のゲート電極領域の面積比率を変
えることにより、容易に高速スイッチング特性と低オン
電圧特性を調整できる。
はカソード側表面より堀込んだトレンチ底部に電荷注入
のための第2のゲート層があるため、ドリフト層の広い
領域にわたって伝導度変調がおこり、低オン電圧で、且
つ第1の絶縁ゲートにより零電圧から電流を流すことが
できる。さらに、トレンチ内には第1のゲート電極と第
2のゲート電極のいずれか一方を形成するので、第1の
ゲート電極領域と第2のゲート電極領域の面積比率を変
えることにより、容易に高速スイッチング特性と低オン
電圧特性を調整できる。
【0010】
【実施例】以下、本発明による電荷注入形絶縁ゲート半
導体装置の実施例を図面により詳細に説明する。
導体装置の実施例を図面により詳細に説明する。
【0011】図1(a)は本発明の一実施例を示す断面
斜視図を、同図(b)はその等価回路を示す。(a)で
1は半導体基体、2はn+ドレイン層、3はn-ドリフト
層、4はpベース層、5はn+ ソース層、7はゲート絶
縁膜、10はドレイン電極、11はソース電極、12は
絶縁ゲート電極(第1ゲート電極)であり、これらの層
から形成される領域Eはいわゆるトレンチ形絶縁ゲート
電界効果トランジスタ(MOSFET)を形成している。ま
た、このMOSFET領域に隣接するトレンチ底部には、p+
層6と、これにオーミック接触する第2ゲート電極13
がある。このp+層6と電極13は本素子のドリフト領
域3に電荷を注入するための領域であり、同図で領域F
は電荷注入領域とも言うべきものである。同図(b)は
(a)の等価回路であるが、MOSFETの絶縁ゲートG1は
(a)の第1のゲート電極12に対応している。一方、
電荷注入用ゲートであるG2は(a)の第2のゲート電
極13に対応している。
斜視図を、同図(b)はその等価回路を示す。(a)で
1は半導体基体、2はn+ドレイン層、3はn-ドリフト
層、4はpベース層、5はn+ ソース層、7はゲート絶
縁膜、10はドレイン電極、11はソース電極、12は
絶縁ゲート電極(第1ゲート電極)であり、これらの層
から形成される領域Eはいわゆるトレンチ形絶縁ゲート
電界効果トランジスタ(MOSFET)を形成している。ま
た、このMOSFET領域に隣接するトレンチ底部には、p+
層6と、これにオーミック接触する第2ゲート電極13
がある。このp+層6と電極13は本素子のドリフト領
域3に電荷を注入するための領域であり、同図で領域F
は電荷注入領域とも言うべきものである。同図(b)は
(a)の等価回路であるが、MOSFETの絶縁ゲートG1は
(a)の第1のゲート電極12に対応している。一方、
電荷注入用ゲートであるG2は(a)の第2のゲート電
極13に対応している。
【0012】以下、本素子の動作を述べる。ドレイン電
極に正、ソース電極に負の電圧をバイアスしておき、絶
縁ゲート電極12に閾値以上の電圧を印加するとゲート
絶縁膜を介したゲート電極下部のpベース表面はn形に
反転し、nチャネル8が形成されてソース層5,nチャ
ネル8,n-ドリフト層3,n+ドレイン層2からなる電
子の電流経路ができ、電流が流れる。ところで、このMO
SFETはいわゆる、多数キャリヤ素子であるため、そのオ
ン抵抗は少数キャリヤの注入があるバイポーラトランジ
スタにくらべ高い。特に、高耐圧素子になり、n- ドリ
フト層が厚くなるほどオン抵抗の増加は著しい。このた
め本実施例では、トレンチ底部に設けられたp層6から
少数キャリヤを注入する。
極に正、ソース電極に負の電圧をバイアスしておき、絶
縁ゲート電極12に閾値以上の電圧を印加するとゲート
絶縁膜を介したゲート電極下部のpベース表面はn形に
反転し、nチャネル8が形成されてソース層5,nチャ
ネル8,n-ドリフト層3,n+ドレイン層2からなる電
子の電流経路ができ、電流が流れる。ところで、このMO
SFETはいわゆる、多数キャリヤ素子であるため、そのオ
ン抵抗は少数キャリヤの注入があるバイポーラトランジ
スタにくらべ高い。特に、高耐圧素子になり、n- ドリ
フト層が厚くなるほどオン抵抗の増加は著しい。このた
め本実施例では、トレンチ底部に設けられたp層6から
少数キャリヤを注入する。
【0013】本構造ではソース側シリコン表面から掘り
込まれたトレンチ底部からキャリヤ注入が起こるため従
来構造(図2)で指摘されたような表面付近のみにキャ
リヤが注入されるという問題は無くなる。また、トレン
チ深さを深くすることで、縦方向のキャリヤ注入効果を
一層大きくでき、オン電圧を小さくできる。
込まれたトレンチ底部からキャリヤ注入が起こるため従
来構造(図2)で指摘されたような表面付近のみにキャ
リヤが注入されるという問題は無くなる。また、トレン
チ深さを深くすることで、縦方向のキャリヤ注入効果を
一層大きくでき、オン電圧を小さくできる。
【0014】さらに、本実施例ではトレンチの一つの部
分には第1のゲート電極と第2のゲート電極のどちらか
一方のみを形成する。従って、第1のゲートと第2のゲ
ートの比率を変えることで電荷注入の割合を調整でき
る。即ち、第1のゲートに比べ第2のゲート領域の割合
を大きくすると、電荷注入の効果が増大し、バイポーラ
トランジスタの特性に近づき、一方、小さくするとMOSF
ETの特性に近づく。従って、ゲート構造により高速スイ
ッチング特性と低オン電圧特性を調整することができ
る。すなわち、ゲート構造により、任意の電流・電圧定
格に対して、最適な特性を容易に得ることができる。
分には第1のゲート電極と第2のゲート電極のどちらか
一方のみを形成する。従って、第1のゲートと第2のゲ
ートの比率を変えることで電荷注入の割合を調整でき
る。即ち、第1のゲートに比べ第2のゲート領域の割合
を大きくすると、電荷注入の効果が増大し、バイポーラ
トランジスタの特性に近づき、一方、小さくするとMOSF
ETの特性に近づく。従って、ゲート構造により高速スイ
ッチング特性と低オン電圧特性を調整することができ
る。すなわち、ゲート構造により、任意の電流・電圧定
格に対して、最適な特性を容易に得ることができる。
【0015】本構造では絶縁ゲート12を形成するため
のトレンチ溝および電荷注入ゲート領域のトレンチ溝を
同時に形成できるため、製造プロセスを簡略化できると
いう効果も有る。
のトレンチ溝および電荷注入ゲート領域のトレンチ溝を
同時に形成できるため、製造プロセスを簡略化できると
いう効果も有る。
【0016】図3は本発明のその他の実施例である。図
1の実施例に比較してドレイン側にp+層9がn+ドレイ
ン層2と共に形成されていることが特徴であり、いわゆ
るpエミッタ短絡形IGBT(絶縁ゲート形バイポーラ
トランジスタ)の形になっている。エミッタ短絡形IG
BTではn+ドレイン層2とMOSチャネル部とで MOSF
ET領域が形成されると共に、pエミッタ層9とMOSチ
ャネル部とでIGBT領域が形成され、MOSFETとIGBTと
が並列接続された形になっている。
1の実施例に比較してドレイン側にp+層9がn+ドレイ
ン層2と共に形成されていることが特徴であり、いわゆ
るpエミッタ短絡形IGBT(絶縁ゲート形バイポーラ
トランジスタ)の形になっている。エミッタ短絡形IG
BTではn+ドレイン層2とMOSチャネル部とで MOSF
ET領域が形成されると共に、pエミッタ層9とMOSチ
ャネル部とでIGBT領域が形成され、MOSFETとIGBTと
が並列接続された形になっている。
【0017】本実施例では、印加電圧が、零からMOSFET
部には電流が流れ始めるが、pエミッタ層9からのホー
ル注入がないため、IGBT領域よりもオン抵抗は大き
い。そして印加電圧がpエミッタ層とn- ドリフト層と
で形成される接合のビルトイン電圧を超えるようになる
と、pエミッタからホールが注入されるようになり、オ
ン抵抗は急激に低下する。このようにIGBT領域が動
作する前後でオン抵抗は大きく変化する。これを補正
し、滑らかな電圧−電流特性を得るには、MOSFETのみが
動作しているモードで電荷注入層6からホールを注入さ
せる。また、この場合pベース層4の幅Wpを数μm程
度に狭くすることで、同一オン電圧での電流密度を高く
できる。これは、pベース幅Wpを狭くすると、pエミ
ッタ層9から注入されたホールがpベース層に流れ込む
際、そのキャリヤ密度が高くなりpベース層付近のn-
ドリフト層の電位は実効的に高くなり、nチャネル領域
に流れる電子電流を大きく出来ることによる。
部には電流が流れ始めるが、pエミッタ層9からのホー
ル注入がないため、IGBT領域よりもオン抵抗は大き
い。そして印加電圧がpエミッタ層とn- ドリフト層と
で形成される接合のビルトイン電圧を超えるようになる
と、pエミッタからホールが注入されるようになり、オ
ン抵抗は急激に低下する。このようにIGBT領域が動
作する前後でオン抵抗は大きく変化する。これを補正
し、滑らかな電圧−電流特性を得るには、MOSFETのみが
動作しているモードで電荷注入層6からホールを注入さ
せる。また、この場合pベース層4の幅Wpを数μm程
度に狭くすることで、同一オン電圧での電流密度を高く
できる。これは、pベース幅Wpを狭くすると、pエミ
ッタ層9から注入されたホールがpベース層に流れ込む
際、そのキャリヤ密度が高くなりpベース層付近のn-
ドリフト層の電位は実効的に高くなり、nチャネル領域
に流れる電子電流を大きく出来ることによる。
【0018】図4は図1に示す本発明の電荷注入形MOSF
ETの電圧−電流特性を従来のMOSFETおよびIGBTと比
較したものである。耐圧600V級の素子についての比
較である。本発明によれば従来のMOSFETと比べて同一オ
ン電圧における出力電流密度を約10倍大きくできる。
また、IGBTとの比較では出力電流密度が1平方セン
チメートル当たり70アンペア程度までは本発明の素子
の方がオン電圧を低くできる。
ETの電圧−電流特性を従来のMOSFETおよびIGBTと比
較したものである。耐圧600V級の素子についての比
較である。本発明によれば従来のMOSFETと比べて同一オ
ン電圧における出力電流密度を約10倍大きくできる。
また、IGBTとの比較では出力電流密度が1平方セン
チメートル当たり70アンペア程度までは本発明の素子
の方がオン電圧を低くできる。
【0019】図5は本発明による600V級電荷注入形
MOSFETの製造プロセスを示す。(a)低抵抗n+ 層2
上に、抵抗率40Ωcm,厚さ60μmのn型エピタキシ
ャル層3を成長させた基板を用いる。(b)次に、n-層
3表面よりpベース層4を形成するため公知のイオン打
ち込み法により加速電圧75keV,ドーズ量1×10
14cm-2のB(ボロン)を打ち込んだ後、1200℃,5
0分の熱処理により深さ6μmのpベース層を形成す
る。(c)ゲート構造を形成するためのトレンチ溝を異
方性ドライエッチングにより形成する。トレンチ溝の幅
は6μm,深さ20μm、隣接するトレンチ溝の間隔は
5μmである。(d)トレンチ溝形成後、トレンチ側壁
部および底部に酸化膜を形成する。さらに電荷注入ゲー
ト部のトレンチ底部の酸化膜をホトリソグラフィ技術と
異方性ドライエッチングにより除去する。(e)トレン
チ溝に第1のゲート電極12及び第2のゲート電極13
となるポリシリコン層を堆積する。この場合ゲート抵抗
を下げる目的でポリシリコン形成時、B(ボロン)をふ
くむドーピングガスを流しておく。(f)続いてソース
層を形成するためレジスト膜を用い、第1のゲート電極
12および、その周辺部の領域にP(リン)を選択的に
イオン打ち込みする。この場合、先にドーピングしてお
いたボロンよりもリンの濃度が高くなるよう、リンのド
ーズ量を設定しておく。(g)この後1000℃,30
分の熱処理により第2のゲート電極13のポリシリコン
層よりシリコン中へB(ボロン)が拡散され、第2のゲ
ート電極とシリコン層とはオーミック接触すると共に、
シリコン表面にp+ 層6が形成される。(h)最後にド
レイン電極10およびソース電極11を形成して素子が
完成する。上述のように本発明の電荷注入形電界効果ト
ランジスタは従来のトレンチ形電界効果トランジスタの
製造プロセスを殆ど変えることなく、第2のゲート電極
および電荷注入層を形成することのみが、新たに加わる
のみである。
MOSFETの製造プロセスを示す。(a)低抵抗n+ 層2
上に、抵抗率40Ωcm,厚さ60μmのn型エピタキシ
ャル層3を成長させた基板を用いる。(b)次に、n-層
3表面よりpベース層4を形成するため公知のイオン打
ち込み法により加速電圧75keV,ドーズ量1×10
14cm-2のB(ボロン)を打ち込んだ後、1200℃,5
0分の熱処理により深さ6μmのpベース層を形成す
る。(c)ゲート構造を形成するためのトレンチ溝を異
方性ドライエッチングにより形成する。トレンチ溝の幅
は6μm,深さ20μm、隣接するトレンチ溝の間隔は
5μmである。(d)トレンチ溝形成後、トレンチ側壁
部および底部に酸化膜を形成する。さらに電荷注入ゲー
ト部のトレンチ底部の酸化膜をホトリソグラフィ技術と
異方性ドライエッチングにより除去する。(e)トレン
チ溝に第1のゲート電極12及び第2のゲート電極13
となるポリシリコン層を堆積する。この場合ゲート抵抗
を下げる目的でポリシリコン形成時、B(ボロン)をふ
くむドーピングガスを流しておく。(f)続いてソース
層を形成するためレジスト膜を用い、第1のゲート電極
12および、その周辺部の領域にP(リン)を選択的に
イオン打ち込みする。この場合、先にドーピングしてお
いたボロンよりもリンの濃度が高くなるよう、リンのド
ーズ量を設定しておく。(g)この後1000℃,30
分の熱処理により第2のゲート電極13のポリシリコン
層よりシリコン中へB(ボロン)が拡散され、第2のゲ
ート電極とシリコン層とはオーミック接触すると共に、
シリコン表面にp+ 層6が形成される。(h)最後にド
レイン電極10およびソース電極11を形成して素子が
完成する。上述のように本発明の電荷注入形電界効果ト
ランジスタは従来のトレンチ形電界効果トランジスタの
製造プロセスを殆ど変えることなく、第2のゲート電極
および電荷注入層を形成することのみが、新たに加わる
のみである。
【0020】図6は本発明による電荷注入形絶縁ゲート
半導体素子を等価的に3端子素子として用いる場合の構
成を示す。本構成では電荷注入ゲートの第2ゲートG2
に供給するゲート電流をドレイン電極Dよりとっている
ことが特徴である。ドレイン電極と第2ゲート電極の間
に電圧および電流を所定の値に調整するための回路30
が設けられている。装置としては図中で破線で示した部
分40をモジュールとして組み立て、外部に、ドレイン
電極と接続されるドレイン端子と,ソース電極と接続さ
れるソース端子と,第1のゲート電極と接続されるゲー
ト端子を取り出す。また、本図の構成によれば第2ゲー
トへの電力の供給は主回路からとっているため、第2ゲ
ートのために新たな電源を設ける必要がない。
半導体素子を等価的に3端子素子として用いる場合の構
成を示す。本構成では電荷注入ゲートの第2ゲートG2
に供給するゲート電流をドレイン電極Dよりとっている
ことが特徴である。ドレイン電極と第2ゲート電極の間
に電圧および電流を所定の値に調整するための回路30
が設けられている。装置としては図中で破線で示した部
分40をモジュールとして組み立て、外部に、ドレイン
電極と接続されるドレイン端子と,ソース電極と接続さ
れるソース端子と,第1のゲート電極と接続されるゲー
ト端子を取り出す。また、本図の構成によれば第2ゲー
トへの電力の供給は主回路からとっているため、第2ゲ
ートのために新たな電源を設ける必要がない。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、オフセット電圧がな
く、且つオン抵抗の小さな電荷注入形絶縁ゲート半導体
スイッチング素子が得られる。
く、且つオン抵抗の小さな電荷注入形絶縁ゲート半導体
スイッチング素子が得られる。
【図1】本発明の一実施例を示す断面斜視図(a)およ
びその等価回路(b)。
びその等価回路(b)。
【図2】電荷注入形のMOSFETの従来例。
【図3】本発明の他の実施例。
【図4】図1に示す本発明の電荷注入形MOSFETの電圧−
電流特性。
電流特性。
【図5】本発明による600V級の電荷注入形MOSFETの
製造プロセス。
製造プロセス。
【図6】本発明による電荷注入形絶縁ゲート半導体素子
を3端子素子として用いる場合の構成。
を3端子素子として用いる場合の構成。
1…半導体基体、2…n+ドレイン層、3…n-ドリフト
層、4…pベース層、5…n+ソース層、6…p+層、7
…ゲート絶縁膜、8…nチャネル、9…pエミッタ層、
10…ドレイン電極、11…ソース電極、12…第1の
ゲート電極(絶縁ゲート電極)、13…第2のゲート電
極、20…p層、21…n+ 層、22…フローティング
電極、23…ゲート電極、40…モジュール構成部分。
層、4…pベース層、5…n+ソース層、6…p+層、7
…ゲート絶縁膜、8…nチャネル、9…pエミッタ層、
10…ドレイン電極、11…ソース電極、12…第1の
ゲート電極(絶縁ゲート電極)、13…第2のゲート電
極、20…p層、21…n+ 層、22…フローティング
電極、23…ゲート電極、40…モジュール構成部分。
Claims (4)
- 【請求項1】一対の主表面と、 一方の主表面に隣接する一方導電型のドレイン層と、 ドレイン層に隣接し、ドレイン層よりも高比抵抗を有す
る一方導電型のドリフト層と、 ドリフト層に隣接し、他方の主表面に露出する他方導電
型のベース層と、 ベース層内に他方の主表面より選択的に形成された一方
導電型のソース層とを設けた半導体基体を有し、 他方の主表面より、ドリフト層に達する複数の凹部を設
け、 一部の凹部には絶縁膜を介して第1のゲート電極を設
け、 他の凹部の底部には他方導電型の電荷注入層が形成し、
電荷注入層に接触する第2のゲート電極を設け、 ソース層とベース層とに接触するソース電極、及びドレ
イン層に接触するドレイン電極を設けることを特徴とす
る電荷注入形絶縁ゲート半導体装置。 - 【請求項2】請求項1において、一方導電型のドレイン
層の一部に他方導電型のエミッタ層を設け、ドレイン電
極がエミッタ層とドリフト層とに接触することを特徴と
する電荷注入形絶縁ゲート半導体装置。 - 【請求項3】請求項1または請求項2において、第2の
ゲート電極に流すゲート電流をドレイン電極より供給す
ることを特徴とする電荷注入形絶縁ゲート半導体装置。 - 【請求項4】請求項3の電荷注入型絶縁ゲート半導体装
置を備え、ドレイン電極に接続する外部ドレイン端子
と,ソース電極に接続する外部ソース端子と,第1のゲ
ート電極に接続する外部ゲート端子と、を設けることを
特徴とする半導体モジュール。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21092194A JPH0878670A (ja) | 1994-09-05 | 1994-09-05 | 電荷注入形絶縁ゲート半導体装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21092194A JPH0878670A (ja) | 1994-09-05 | 1994-09-05 | 電荷注入形絶縁ゲート半導体装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0878670A true JPH0878670A (ja) | 1996-03-22 |
Family
ID=16597283
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21092194A Pending JPH0878670A (ja) | 1994-09-05 | 1994-09-05 | 電荷注入形絶縁ゲート半導体装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0878670A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6114727A (en) * | 1997-01-09 | 2000-09-05 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Semiconductor device |
-
1994
- 1994-09-05 JP JP21092194A patent/JPH0878670A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6114727A (en) * | 1997-01-09 | 2000-09-05 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Semiconductor device |
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