JPH0992826A - 半導体素子及びそのシミュレーション方法 - Google Patents

半導体素子及びそのシミュレーション方法

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JPH0992826A
JPH0992826A JP7247889A JP24788995A JPH0992826A JP H0992826 A JPH0992826 A JP H0992826A JP 7247889 A JP7247889 A JP 7247889A JP 24788995 A JP24788995 A JP 24788995A JP H0992826 A JPH0992826 A JP H0992826A
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一郎 大村
Tomoki Inoue
智樹 井上
Kazuya Nakayama
和也 中山
Tsuneo Ogura
常雄 小倉
Akihiro Hachiman
彰博 八幡
Hiromichi Ohashi
弘通 大橋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、素子設計の最適化により、オン電
圧の低下を図る。 【解決手段】 ゲート電極(18)からドレイン電極
(14)に向かう方向のゲート電極の中心線上における
第1導電型ベース層(11)のキャリア分布が、第2導
電型ベース層(15)よりもドレイン電極側で極小値を
もつことにより、キャリアが蓄積されてオン電圧を低下
できる半導体素子及びそのシミュレーション方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大電力の制御に用
いられる自己消弧型の半導体素子に係わり、特に、オン
電圧を低下し得る半導体素子及びそのシミュレーション
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、電力制御用の素子としてIGBT
(Insulated Gate Bipolar Transistor )が注目されて
いる。このIGBTは、MOS構造をもったバイポーラ
素子であり、パワーMOSFETの高速スイッチング特
性とバイポーラトランジスタの高耐圧・高導通特性とを
有している。
【0003】図54はこの種のIGBTの構成を模式的
に示す断面図である。このIGBTは、基板をn型ベー
ス層1とし、n型ベース層1の一方の表面には拡散によ
りn型バッファ層2及びp型エミッタ層3が順次形成さ
れ、p型エミッタ層3の表面上にはドレイン電極4が形
成されている。
【0004】また、n型ベース層1の他方の表面には複
数のp型ベース層5が選択的に拡散形成されており、各
p型ベース層5の表面にはn型ソース層6が選択的に形
成されている。
【0005】一方のp型ベース層5及びn型ソース層6
からn型ベース層1を介して他方のp型ベース層5及び
n型ソース層6に至る領域上には、Si絶縁膜7を介し
て、長さLgのゲート電極8が設けられている。また、
ゲート電極8を挟むように、一方のp型ベース層5上及
びn型ソース層6上と、他方のp型ベース層5上及びn
型ソース層6上とには各々ソース電極9が形成されてい
る。
【0006】ここで、素子面積に対するMOSゲート部
分の面積は、最大でも86%未満に設計されている。逆
に、MOSゲート以外の面積、すなわちp型ベース層5
の拡散窓の面積は、素子面積に対して14%以上に設計
されている。
【0007】このような設計は、MOS構造を有するM
OSFETと同様に、3つの抵抗のモデルを用いてなさ
れている。
【0008】すなわち、IGBTのオン抵抗は、図55
に示すように、Rch、Rjfet、Rbip の3つの抵抗にて
構成される。RchはMOSFET部分の反転層にて電圧
降下を生じさせる抵抗分であり、Rjfetは隣り合うp型
ベース層により挟まれた領域の抵抗分である。Rbip は
p型ベース層の深さよりも深い部分のn型ベース層にて
電圧降下を生じさせる抵抗分である。
【0009】これらRch、Rjfet、Rbip は、図55に
示すように、互いに独立してゲート電極8の長さLgに
依存した値をとると考えられる。Rchは、図55(a)
に示すように、ゲート長Lgが増加すると、単位面積当
たりのチャネル幅(チャネル密度)が減少することか
ら、ゲート長Lgに比例して上昇する。Rjfetは、図5
5(b)に示すように、ゲート長Lgが増加すると、隣
り合うp型ベース層5相互間の距離が広がり、両p型ベ
ース層5からの空乏層の広がりに対して空乏化しない部
分の幅が確保されるようになるため、ゲート長Lgに比
例して減少する。なお、Rch及びRjfetは互いにトレー
ドオフの関係にある。Rbip は、図55(c)に示すよ
うに、ゲート長Lg及びそれに伴う諸効果とは関係なく
一定値をとる。
【0010】前述した通り、RchとRjfetとがトレード
オフの関係にあるため、ゲート長Lgは、Rch及びRjf
etの両方を過大にしないように、前述したゲート部分の
面積割合に対応する範囲が最適値とされている。
【0011】しかしながら、このように設計されたIG
BTでは、構造上、オン電圧の低下が不可であることが
分かっている。実際にも、IGBTは2000Vを越え
るような高耐圧化を行なうと、GTO等と比較してオン
電圧が急激に高くなり、利用不可となる問題がある。
【0012】また一方、個々のIGBTを微細化して集
積化することにより、n型ベース層1に注入される電子
を単位面積当たりで増加させ、オン電圧の低下を図る方
式が考えられている。しかしながらこの方式では、なぜ
かオン電圧を上昇させる問題がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたようにIG
BTでは、オン電圧の低下が不可となっている問題があ
る。
【0014】本発明は上記実情を考慮してなされたもの
で、素子設計の最適化により、オン電圧を低下し得る半
導体素子及びそのシミュレーション方法を提供すること
を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1に対応する発明
は、第1導電型ベース層と、この第1導電型ベース層の
表面に形成された第2導電型エミッタ層と、この第2導
電型エミッタ層の表面上に形成されたドレイン電極と、
前記第1導電型ベース層における前記第2導電型エミッ
タ層とは反対側の表面に選択的に形成された第2導電型
ベース層と、この第2導電型ベース層の表面に選択的に
形成された第1導電型ソース層と、この第1導電型ソー
ス層と前記第2導電型ベース層とに接して形成されたソ
ース電極と、前記第1導電型ソース層と前記第2導電型
ベース層と前記第1導電型ベース層との表面上にゲート
絶縁膜を介して形成されたゲート電極とを備えた半導体
素子において、前記ゲート電極から前記ドレイン電極に
向かう方向の前記ゲート電極の中心線上における前記第
1導電型ベース層のキャリア分布が、前記第2導電型ベ
ース層よりも前記ドレイン電極側で極小値をもつ半導体
素子である。
【0016】また、請求項2に対応する発明は、請求項
1に対応するキャリア分布としては、前記第1導電型ベ
ース層内で前記ゲート絶縁膜近傍に極大値をもつ半導体
素子である。
【0017】さらに、請求項3に対応する発明は、第1
導電型ベース層と、この第1導電型ベース層の表面に形
成された第2導電型エミッタ層と、この第2導電型エミ
ッタ層の表面上に形成されたドレイン電極と、前記第1
導電型ベース層における前記第2導電型エミッタ層とは
反対側の表面に選択的に形成された第2導電型ベース層
と、この第2導電型ベース層の表面に選択的に形成され
た第1導電型ソース層と、この第1導電型ソース層と前
記第2導電型ベース層とに接して形成されたソース電極
と、前記第1導電型ソース層と前記第2導電型ベース層
と前記第1導電型ベース層との表面上にゲート絶縁膜を
介して形成されたゲート電極とを備えた半導体素子にお
いて、オン状態のとき、前記第2導電型ベース層から注
入される第1導電型キャリアにより流れる電流Ichと、
前記ドレイン電極から流入される全電流Iと、前記第1
導電型ベース層における第1導電型キャリアの移動度μ
1及び第2導電型キャリアの移動度μ2 とが下記式の関
係にある半導体素子である。
【0018】Ich/I>μ1 /(μ1 +μ2 ) また、請求項4に対応する発明は、請求項3に対応する
μ1 /(μ1 +μ2 )が0.745である半導体素子で
ある。
【0019】さらに、請求項5に対応する発明は、第1
導電型ベース層と、この第1導電型ベース層の表面に形
成された第2導電型エミッタ層と、この第2導電型エミ
ッタ層の表面上に形成されたドレイン電極と、前記第1
導電型ベース層における前記第2導電型エミッタ層とは
反対側の表面に選択的に形成された第2導電型ベース層
と、この第2導電型ベース層の表面に選択的に形成され
た第1導電型ソース層と、この第1導電型ソース層と前
記第2導電型ベース層とに接して形成されたソース電極
と、前記第1導電型ソース層と前記第2導電型ベース層
と前記第1導電型ベース層との表面上にゲート絶縁膜を
介して形成されたゲート電極とを備えた半導体素子にお
いて、前記ゲート電極の面積は、素子の有効面積の86
%以上である半導体素子である。
【0020】また、請求項6に対応する発明は、第1導
電型ベース層と、この第1導電型ベース層の表面に形成
された第2導電型エミッタ層と、この第2導電型エミッ
タ層の表面上に形成されたドレイン電極と、前記第1導
電型ベース層における前記第2導電型エミッタ層とは反
対側の表面に選択的に形成された第2導電型ベース層
と、この第2導電型ベース層の表面に選択的に形成され
た第1導電型ソース層と、この第1導電型ソース層と前
記第2導電型ベース層とに接して形成されたソース電極
と、前記第1導電型ソース層と前記第2導電型ベース層
と前記第1導電型ベース層との表面上にゲート絶縁膜を
介して形成されたゲート電極とを備えた半導体素子にお
いて、前記ゲート電極からみた容量成分は、3×10-8
[F/cm2 ]以上である半導体素子である。
【0021】さらに、請求項7に対応する発明は、絶縁
性基板と、この絶縁性基板の表面上に形成された第1導
電型ベース層と、この第1導電型ベース層の表面に選択
的に形成された第1導電型バッファ層と、この第1導電
型バッファ層の表面に選択的に形成された第2導電型エ
ミッタ層と、この第2導電型エミッタ層の表面上に形成
されたドレイン電極と、前記第1導電型ベース層の表面
に選択的に形成された第2導電型ベース層と、この第2
導電型ベース層の表面に選択的に形成された第1導電型
ソース層と、この第1導電型ソース層と前記第2導電型
ベース層とに接して形成されたソース電極と、前記第1
導電型ソース層と前記第2導電型ベース層と前記第1導
電型ベース層との表面上にゲート絶縁膜を介して形成さ
れたゲート電極とを備えた半導体素子において、前記ゲ
ート電極と前記第1導電型ベース層との対向する部分の
長さが前記第1導電型ベース層の厚さよりも長く、前記
第1導電型ベース層の表面のキャリア分布の極小値が、
前記ゲート電極よりも前記第1導電型バッファ層側にあ
る半導体素子である。
【0022】また、請求項8に対応する発明は、第1導
電型ベース層と、この第1導電型ベース層の表面に形成
された第2導電型エミッタ層と、この第2導電型エミッ
タ層の表面上に形成されたドレイン電極と、前記第1導
電型ベース層における前記第2導電型エミッタ層とは反
対側の表面に形成された第2導電型ベース層と、この第
2導電型ベース層内に前記第1導電型ベース層に達する
深さに形成された溝にゲート絶縁膜を介して埋込み形成
されたゲート電極と、前記ゲート絶縁膜に接するように
前記第2導電型ベース層の表面に選択的に形成さされた
第1導電型ソース層と、この第1導電型ソース層と前記
第2導電型ベース層とに接して形成されたソース電極と
を備えた半導体素子において、オン状態のとき、前記第
2導電型ベース層から注入される第1導電型キャリアに
より流れる電流Ichと、前記ドレイン電極から流入され
る全電流Iと、前記第1導電型ベース層における第1導
電型キャリアの移動度μ1 及び第2導電型キャリアの移
動度μ2 とが下記式の関係にある半導体素子である。
【0023】Ich/I>μ1 /(μ1 +μ2 ) さらに、請求項9に対応する発明は、請求項8に対応す
る第2導電型ベース層としては、前記ゲート絶縁膜近傍
における不純物濃度の最高値が5×1016cm-3以上で
あり、且つ前記ゲート絶縁膜に沿った長さが1.3μm
以下である半導体素子である。
【0024】また、請求項10に対応する発明は、第1
導電型ベース層と、この第1導電型ベース層の表面に形
成された第2導電型エミッタ層と、この第2導電型エミ
ッタ層の表面上に形成されたドレイン電極と、前記第1
導電型ベース層における前記第2導電型エミッタ層とは
反対側の表面に選択的に形成された第2導電型ベース層
と、この第2導電型ベース層の表面に選択的に形成され
た第1導電型ソース層と、この第1導電型ソース層と前
記第2導電型ベース層とに接して形成されたソース電極
と、前記第1導電型ソース層と前記第2導電型ベース層
と前記第1導電型ベース層との表面上にゲート絶縁膜を
介して形成されたゲート電極とを備えた半導体素子のシ
ミュレーション方法において、前記ドレイン電極から流
入される全電流Iと前記第1導電型ベース層における第
1導電型キャリアの移動度μ1 及び第2導電型キャリア
の移動度μ2 とを設定する設定工程と、前記設定工程に
より設定される全電流Iに基づいて、前記第2導電型ベ
ース層から注入される第1導電型キャリアにより流れる
電流Ichと前記全電流Iとの電流比Ich/Iを求めると
共に、前記電流比Ich/I、前記移動度μ1 及び前記移
動度μ2 に基づいて、前記第1導電型ベース層のキャリ
ア密度分布を算出する第1の算出工程と、前記第1の算
出工程とは独立して与えられる前記第1導電型ベース層
のキャリア密度分布及び前記半導体素子の表面構造に基
づいて、電流比Ich/Iを算出する第2の算出工程と、
前記第1及び第2の算出工程による各々の算出結果を互
いに無矛盾に整合させることにより、前記第1導電型ベ
ース層のキャリア密度分布を算出するキャリア分布算出
工程と、前記キャリア分布算出工程により算出されるキ
ャリア密度分布に基づいて、前記第2導電型ベース層か
ら前記第2導電型エミッタ層に至る間の前記第1導電型
ベース層の抵抗Rbip を算出するオン抵抗算出工程とを
含んでいる半導体素子のシミュレーション方法である。
【0025】従って、請求項1に対応する発明は以上の
ような手段を講じたことにより、ゲート電極からドレイ
ン電極に向かう方向のゲート電極の中心線上における第
1導電型ベース層のキャリア分布が、第2導電型ベース
層よりもドレイン電極側で極小値をもつので、キャリア
が蓄積されてオン電圧を低下させることができる。
【0026】また、請求項2に対応する発明は、キャリ
ア分布が第1導電型ベース層内でゲート絶縁膜近傍に極
大値をもつので、請求項1と同様の作用を奏することが
できる。
【0027】さらに、請求項3に対応する発明は、オン
状態のとき、第2導電型ベース層から注入される第1導
電型キャリアにより流れる電流Ichと、ドレイン電極か
ら流入される全電流Iと、第1導電型ベース層における
第1導電型キャリアの移動度μ1 及び第2導電型キャリ
アの移動度μ2 とがIch/I>μ1 /(μ1 +μ2 )の
関係にあるので、素子設計の最適化により、オン電圧を
低下させることができる。
【0028】また、請求項4に対応する発明は、μ1
(μ1 +μ2 )を0.745としたので、請求項3と同
様の作用に加え、シリコンの場合の素子設計を最適化す
ることができる。
【0029】さらに、請求項5に対応する発明は、ゲー
ト電極の面積を素子の有効面積の86%以上としたの
で、簡易且つ確実に素子設計を最適化し、オン電圧を低
下させることができる。
【0030】また、請求項6に対応する発明は、ゲート
電極からみた容量成分を3×10-8[F/cm2 ]以上
としたので、簡易且つ確実に素子設計を最適化し、オン
電圧を低下させることができる。
【0031】さらに、請求項7に対応する発明は、ゲー
ト電極と第1導電型ベース層との対向する部分の長さが
第1導電型ベース層の厚さよりも長く、第1導電型ベー
ス層の表面のキャリア分布の極小値が、ゲート電極より
も第1導電型バッファ層側にあるので、キャリアが蓄積
されてオン電圧を低下させることができる。
【0032】また、請求項8に対応する発明は、オン状
態のとき、第2導電型ベース層から注入される第1導電
型キャリアにより流れる電流Ichと、ドレイン電極から
流入される全電流Iと、第1導電型ベース層における第
1導電型キャリアの移動度μ1 及び第2導電型キャリア
の移動度μ2 とがIch/I>μ1 /(μ1 +μ2 )の関
係にあるので、素子設計の最適化により、オン電圧を低
下させることができる。
【0033】さらに、請求項9に対応する発明は、第2
導電型ベース層としては、ゲート絶縁膜近傍における不
純物濃度の最高値が5×1016cm-3以上であり、且つ
ゲート絶縁膜に沿った長さが1.3μm以下であるの
で、第2導電型ベース層の抵抗が効かず、電流Ichの低
下を阻止してIch/I>0.745の関係を確保するこ
とができる。
【0034】また、請求項10に対応する発明は、ドレ
イン電極から流入される全電流Iと第1導電型ベース層
における第1導電型キャリアの移動度μ1 及び第2導電
型キャリアの移動度μ2 とを設定し、この設定した全電
流Iに基づいて、第2導電型ベース層から注入される第
1導電型キャリアにより流れる電流Ichと全電流Iとの
電流比Ich/Iを求めると共に、電流比Ich/I、移動
度μ1 及び移動度μ2に基づいて、第1導電型ベース層
のキャリア密度分布を第1の算出結果として算出し、こ
の第1の算出結果とは独立して与えられる第1導電型ベ
ース層のキャリア密度分布及び半導体素子の表面構造に
基づいて、電流比Ich/Iを第2の算出結果として算出
し、第1及び第2の算出結果を互いに無矛盾に整合させ
ることにより、第1導電型ベース層のキャリア密度分布
を第3の算出結果として算出し、第3の算出結果のキャ
リア密度分布に基づいて、第2導電型ベース層から第2
導電型エミッタ層に至る間の第1導電型ベース層の抵抗
Rbip を算出するので、素子内の物理を正しく反映した
物理モデルを用いて素子設計を最適化することにより、
オン電圧を低下させることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しながら説明する。
【0036】図1は本発明の第1の実施の形態に係るI
GBTの構成を模式的に示す断面図である。このIGB
Tは、前述同様に、基板をn型ベース層11とし、n型
ベース層11の一方の表面には拡散によりn型バッファ
層12及びp型エミッタ層13が順次形成され、p型エ
ミッタ層13の表面上にはドレイン電極14が形成され
ている。
【0037】また、n型ベース層11の他方の表面には
複数のp型ベース層15が選択的に拡散形成されてお
り、各p型ベース層15の表面にはn型ソース層16が
選択的に形成されている。
【0038】一方のp型ベース層15及びn型ソース層
16からn型ベース層11を介して他方のp型ベース層
15及びn型ソース層16に至る領域上には、Si酸化
膜による絶縁膜17を介して、長さLgのゲート電極1
8が設けられている。また、ゲート電極18を挟むよう
に、一方のp型ベース層15上及びn型ソース層16上
と、他方のp型ベース層15上及びn型ソース層16上
とには各々ソース電極19が形成されている。
【0039】ここで、本実施の形態に係るIGBTは、
次の(1)式に示すように、ドレイン電流Iに占めるチ
ャネルを流れる電子電流Ichの割合Ich/Iが、バルク
(n型ベース層11)中の全電流に占めるドリフトによ
る電子電流の割合μn /(μn +μp )よりも高くなる
ように構成されている。
【0040】 Ich/I>μn /(μn +μp ) …(1) 但し、Ichは、Rchを流れる電子電流であり、n型ベー
ス層11に注入される電子に対応する。ドレイン電流I
は、ドレイン電極14からn型ベース層11を介してp
型ベース層15に流れる全電流(=電子電流+正孔電
流)に対応する。
【0041】μn は、Siのバルク(n型ベース層1
1)中の電子移動度であり、電子電流密度(qpμ
n E)に対応する。μp は、Siのバルク中の正孔移動
度であり、正孔電流密度(qpμp E)に対応する。q
は素電荷、p及びnはキャリア密度、Eは電界である。
μn /(μn +μp )の値は、IGBT用のn型Si基
板の場合、約0.745である。
【0042】なお、(1)式の条件を満たす構成として
は、具体的には後述するが、例えば、素子の有効面積に
対するゲート電極面積の比率が適切に選択され、また
は、p型ベース層の深さ及びキャリア密度が適切に選択
され、あるいは、ゲート容量が適切に選択されることに
より実現可能である。
【0043】次に、以上のように構成されたIGBTの
作用を説明する。
【0044】いま、ゲート電極18に正電圧が印加され
ると、この正電圧に比例してゲート直下のp型ベース層
15表面に電子が現れ、p型ベース層15表面が電子の
層に反転する。この反転層がチャネルとなり、n型ソー
ス層16とn型ベース層11とを短絡する。
【0045】ここで、ドレイン電極14に正電圧が印加
され、ソース電極16に負電圧が引加されると、電子が
ソース電極19から供給されてn型ソース層16からチ
ャネルを通ってn型ベース層11に注入される。これに
より、p型エミッタ層13からはn型ベース層11に正
孔が注入される。この正孔の注入によりn型ベース層1
1では、電子と正孔が高密度で、且つ互いの電荷を打消
すようにほぼ同一密度で共存する導電変調が起こりオン
抵抗が低下して導通状態となる。よって、n型ベース層
11の電子はp型エミッタ層13を介してドレイン電極
14に流れ、n型ベース層11の正孔はp型ベース層1
5を介してソース電極19に流れる。
【0046】このような導通状態において、IGBTは
(1)式の条件を満たしている。この(1)式は次の
(2)式に変形可能である。
【0047】 Ich>I・μn /(μn +μp ) …(2) この(2)式は、チャネルからn型ベース層11に注入
される電子(による電子電流Ich)の方が、注入後にn
型ベース層11からドリフトされてドレイン電極14方
向に流れる電子(による電子電流)よりも多いことを示
している。
【0048】すなわち、電子の注入される量の方がドリ
フトされる量よりも多いので、チャネル近傍のn型ベー
ス層11には電子が蓄積される。
【0049】詳述すると、電子の注入される量が、電子
が電界でドリフトされる量よりも多い。そのため、電子
はドリフトだけではなく、拡散により移動する。拡散に
よる移動は、チャネル近傍のn型ベース層11での蓄積
による分布の傾斜(チャネルからドレイン方向に下がる
傾斜)により引き起こされるため、電子が強制的にチャ
ネル近傍のn型ベース層11に多く蓄積される。n型ベ
ース層11内では導電変調を起こしており、同時に正孔
も同様にチャネル近傍のn型ベース層11に多く蓄積さ
れる。
【0050】この結果、IGBTの中心線上に沿った正
孔分布は、図2(a),図3(a)に示すように、ゲー
ト絶縁膜近傍で極大値をもつと共に、p型ベース層15
よりもドレイン電極14側で極小値をもつ。なお、図3
中の矢印方向に従ってキャリア密度が高くなる。従来の
IGBTは、図2(b),図3(b)に示すように、キ
ャリアの最小部分がゲート絶縁膜近傍にあり、この最小
部分の電圧降下によりオン抵抗が大きな値となってい
る。さらに、この最小部分の電圧降下はキャリアの蓄積
量に反比例するため、従来のIGBTはキャリアの蓄積
量が少ないことにより、図2(b)に示すように、オン
電圧を上昇させてしまう。
【0051】一方、本実施の形態に係るIGBTは、チ
ャネルを流れる電子電流が(1)式を満足しているた
め、チャネル及びゲート絶縁膜近傍のn型ベース層11
中の電子の蓄積量が増え、オン抵抗及びオン電圧を著し
く低下させることができる。
【0052】次に、以上のようなIGBTの作用に関連
して抵抗Rbip について述べる。
【0053】Rbip は、IGBTの中心線上に沿ってゲ
ート直下からドレイン電極14に至る間の抵抗であっ
て、オン抵抗の主要部分であり、高耐圧素子の場合及び
微細化によりチャネル抵抗Rchを低下させると、素子の
オン電圧を示す指標となる。従来は、Rch以外の抵抗成
分はRjfet+Rbip であり、Rbip はp型ベース層15
などの構造によらず一定であると考えられていた。しか
しながら、本発明者の2次元理論計算による解析の結
果、Rch以外の抵抗成分は全てRbip であり、Rjfetは
存在しないことが分かった。そのため、Rjfetを有する
MOSFETの理論に基づいた従来の設計法では、最適
な素子設計ができないことになる。
【0054】図4は本発明者が計算したRbip をIch/
Iの関数として示す図である。Rbip はIによって変化
するが、素子を動作させるとき常用する電流Iを与え
る。さらにシリコンの物性定数としてはn型ベース層中
の電子の移動度μn 、正孔の移動度μp を与える。
【0055】まず、第1のモデルとして、n型ベース層
中のキャリア密度分布をIch/Iから求めるモデルを準
備する。具体的には、Ich/Iと、μn /(μn
μp )との差より、n型ベース層のチャネル側での拡散
電流を計算する。拡散電流は前述したようにキャリア分
布のチャネル側からドレイン側に下がる傾斜に比例して
流れる。つまり、Ich/Iと、μn /(μn +μp )と
の差より、チャネルからドレイン方向へのキャリア分布
の傾斜が求まる。この傾斜をもとにn型ベース層のキャ
リア分布を算出する。この第1のモデルは、Ich/Iが
大きいとチャネル側でキャリア密度が高くなる性質をも
つ。
【0056】次に、第2のモデルとして、素子の表面構
造とn型ベース層中のキャリア密度分布からIch/Iを
求めるモデルを準備する。具体的には、チャネル側でキ
ャリア密度から、p型ベース層に流入する正孔電流を算
出し、全電流Iから正孔電流を引くことにより、Ichを
求める。その結果、Ich/Iが算出される。この第2の
モデルは、チャネル側でキャリア密度が高いと、p型ベ
ース層に流入する正孔電流が増え、Ich/Iが減少する
性質をもつ。
【0057】以上2つのモデルは、n型ベース層中のキ
ャリア密度とIch/Iの関係が逆転している。つまり、
2つのモデルを同一グラフ上に書くと、2つのモデルに
対応する曲線が交わる。そのため、互いに無矛盾になる
Ich/Iとキャリア分布の組合せが1つ存在する。その
点をニュートン法などを用いて計算することにより、目
的のキャリア分布を得る。
【0058】n型ベース層中の電位傾斜はキャリア密度
の逆数に比例するので、この関係を用いてn型ベース層
中の電圧降下を計算し、それを電流値Iで割ることによ
り、Rbip を得る。
【0059】このようにRbip をIch/Iの関数として
示したのは本発明者だけである。従来は微細化によるR
chの削減とそれに伴なうRjfetの増加の競合関係として
素子が設計及びシミュレーションされ、Ich/Iには無
頓着であった。そのため、Ich/Iは低い値でほぼ固定
されており、Rbip は、図中網掛で示すように、低い値
でわずかに変化するだけであった。この変化が見掛上J
FETの効果(Rjfet)と混同され、素子が設計及びシ
ミュレーションされていた。すなわち、従来はRbip が
ゲート長Lg等によらず一定であり、わずかな変化がJ
FET効果(Rjfet)であると考えられていた。しか
し、本発明者の解析によると、Ich/Iの値を大きくす
ることにより、より大幅に素子の抵抗を低減できること
が分かった。つまり、従来JFET効果(Rjfet)とし
てp型ベース層15近傍での電圧降下の改善が課題とな
っていたが、本発明のように、Ich/Iの値を大きくす
ることにより、図2(b)の網掛けに示すように、n型
ベース層11の広い範囲で電圧降下(電位の傾斜)が減
小される。このため、従来不可能とされた大幅なオン電
圧の低下が実現できるようになった。特に高耐圧、例え
ば、2000V以上の素子では、長いn型ベース層11
をもつため、大幅にオン電圧を低下させることができ
る。
【0060】上述したように第1の実施の形態によれ
ば、(1)式の関係を満たすように素子設計を最適化し
たので、オン電圧を低下させることができる。
【0061】さらに詳述すると、本発明では、MOSF
ETモデルをIGBTに転用した従来のモデルとは異な
り、IGBT固有のモデルとしてn型ベース層11への
電子の注入と、p型ベース層15による正孔の排出との
競合過程を考慮している。
【0062】すなわち、本発明では、IGBTのn型ベ
ース層11内にて電子と正孔がほぼ同一密度で、且つ高
密度で存在する状態にあるため、p型ベース層15によ
り正孔が排出されると、電子と正孔の双方の密度が低下
し、また、電子の注入(Ich)を増加させると、電子と
正孔の双方の密度が上昇する。ここで、電子の注入割合
を増加させると、従来理論によるp型ベース層15付近
の電圧降下(Rjfet)の改善ではなく、n型ベース層1
1全域にわたる電圧降下(電位の傾斜)の圧縮が可能と
なる。逆に、p型ベース層15による正孔の排出の割合
が高いと、n型ベース層11全体の電圧降下が大きくな
る。
【0063】なお、このような競合過程を考慮したモデ
ルによると、従来では原因不明であった微細化によるオ
ン電圧の増加が説明可能である。すなわち、微細化によ
るオン電圧の増加は、微細化により単位面積当たりでp
型ベース層15が増えてしまうと共に、このp型ベース
層15による正孔の排出効果が前述した電子の注入効果
を上回るためと説明される。
【0064】次に、本発明の第2の実施の形態に係るI
GBTについて図1を用いて説明する。本実施の形態に
係るIGBTは、第1の実施形態の構成を限定したもの
であり、具体的には素子有効面積に占めるゲート電極1
8の面積の割合を86%以上としたものである。
【0065】例えば、IGBTは、前述同様に導通状態
にあるとする。
【0066】このとき、Ich/Iは、本発明者の2次元
理論計算によると、図5に示すように、素子の有効面積
に占めるゲート面積18の割合に比例して増加する。
【0067】ここで、(1)式の右辺のμn /(μn
μp )の値は、前述した通り、IGBT用のn型Si基
板の場合、約0.745である。
【0068】よって、Ich/I>0.745を満たすに
は、図5に示すように、素子の有効面積に占めるゲート
電極18の面積の割合が86%以上であればよい。
【0069】すなわち、素子の有効面積に占めるゲート
電極18の面積の割合が86%以上のIGBTは、確実
にIch/I>0.745を満たしてオン電圧を低下させ
ることができる。
【0070】上述したように第2の実施の形態によれ
ば、第1の実施の形態の効果に加え、ゲート面積18の
比率を86%以上に限定する構成なので、簡易且つ確実
に実施することができる。
【0071】次に、本発明の第3の実施の形態に係るI
GBTについて図1を用いて説明する。本実施の形態に
係るIGBTは、第1の実施形態の構成を限定したもの
であり、具体的にはゲートの入力容量Cgを素子領域1
cm2 当たり3×10-8[F]以上としたものである。
【0072】いま、IGBTは、前述同様に導通状態に
あるとする。
【0073】このとき、Ich/Iは、本発明者の解析に
よると、ゲート電極18の電圧にてMOS界面に誘起さ
れる電荷の量に比例して増加する。この誘起される電荷
の量は、ゲートの入力容量Cgがある値以上であれば、
ゲートの入力容量Cgに比例して増加する。従って、ゲ
ートの入力容量Cgの増加に比例し、MOS界面に蓄積
される電荷(電子)が増加してn型ベース層11への電
子の供給が増えるため、結果的にチャネルを流れる電子
(による電子電流Ich)を増加させることができる。
【0074】例えば、図6は本発明者の2次元理論計算
によるIch/Iとゲートの入力容量との関係を示す図で
あり、ゲートの入力容量に比例してIch/Iが増加する
ことを示している。図6において、ゲートの入力容量C
g≧3×10-8[F/cm2]とすると、Ich/I>
0.745の関係を確保することができる。
【0075】すなわち、本実施の形態に係るIGBT
は、3×10-8[F/cm2 ]以上のゲート入力容量を
もつことにより、確実にIch/I>0.745を満たし
てオン電圧を低下させることができる。なお、通常動作
状態では1cm2 当たり160A程度を最大値として流
すので、ゲート容量は動作時の導通電流1Aに対し、
1.87×10-10 [F]以上であることが望ましい。
【0076】上述したように第3の実施の形態によれ
ば、第1の実施の形態の効果に加え、ゲートの入力容量
を3×10-8[F/cm2 ]以上に限定する構成なの
で、簡易且つ確実に実施することができる。
【0077】次に、本発明の第4の実施の形態に係るI
EGTについて図7を用いて説明するが、その前に一般
的なIEGTについて述べる。
【0078】IEGT(Ingection-Enhanced Gate Bipo
lor Transistor)は、IGBTを改良した半導体素子で
あり、概略的には、p型ベース層よりもドレイン側に突
出させたゲートを有し且つこのゲートによりn型ベース
層中の正孔電流を抑制して正孔の排出を低減可能なよう
に正孔電流路の幅及びゲートの突出長等が適切に設計さ
れたIGBTであって、正孔電流の抑制によりn型ベー
ス層にて正孔を蓄積させて正孔と電子の双方の密度を増
加させ、オン抵抗とオン電圧を低下させる効果を有す
る。
【0079】このIEGTは、縦型及び横型のいずれも
作成可能であり、例えば、トレンチ構造で縦型及び横型
のものが特願平4−231513号公報に開示されてい
る。本実施の形態に係るIEGTは縦型トレンチ構造の
ものである。
【0080】図7は本実施の形態に係るIEGTの構成
を模式的に示す断面図である。このIEGTは、前述同
様に、Si基板をn型ベース層21とし、n型ベース層
21の一方の表面には拡散によりn型バッファ層22及
びp型エミッタ層23が順次形成され、p型エミッタ層
23の表面上にはドレイン電極24が形成されている。
【0081】また、n型ベース層21の他方の表面には
p型ベース層25が拡散形成され、p型ベース層25に
は、n型ベース層11に突出する深さの複数のトレンチ
溝が設けられている。各トレンチ溝には、Si酸化膜か
らなるゲート絶縁膜26を介してゲート電極27が埋込
み形成されている。
【0082】p型ベース層表面25にはゲート絶縁膜2
6に接する複数のn型ソース層28が選択的に形成され
ている。各n型ソース層28上及びp型ベース層25上
には、共通のソース電極29が形成されている。
【0083】ここで、本実施の形態に係るIEGTは、
Ich/I>0.745の条件を満たすようにp型ベース
層25の条件が限定されている。
【0084】具体的には、p型ベース層25は、ゲート
絶縁膜26に沿ったチャネル形成部分における不純物濃
度の最高値が5×1016cm-3以上であり、チャネル形
成部分の長さが1.3μm以下に形成されている。
【0085】すなわち、チャネルにおけるキャリア密度
の最高値を5×1016cm-3とすることにより、MOS
FET部分のしきい値電圧の低下を阻止して誤動作を防
止している。
【0086】また、上記キャリア密度をもつチャネルの
長さを1.3μm以下とすることにより、チャネルの抵
抗によるIchの低下を阻止してIch/I>0.745の
条件を確保することができる。
【0087】上述したように第4の実施の形態によれ
ば、縦型トレンチ構造のIEGTにてp型ベース層25
の条件を限定することにより、簡易且つ確実に、第1の
実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0088】次に、本発明の第5の実施の形態に係るI
GBTについて図8を用いて説明する。図8はこのIG
BTの構成を模式的に示す断面図である。このIGBT
は、SOI(Silicon-On-Insulator)基板を用いたもの
であり、絶縁性基板31上に埋込み酸化膜32及びSi
のn型ベース層33が順次形成されている。
【0089】n型ベース層33では、その表面にn型バ
ッファ層34が選択的に形成され、n型バッファ層34
表面にはp型エミッタ層35が選択的に形成されてい
る。p型エミッタ層35上にはドレイン電極36が形成
されている。
【0090】また、n型ベース層33では、その表面か
ら埋込み酸化膜32に達するp型ベース層37が選択的
に形成され、p型ベース層37表面にはn型ソース層3
8が選択的に形成されている。p型ベース層37上及び
n型ソース層38上には、共通のソース電極39が選択
的に形成されている。
【0091】n型ソース層38、p型ベース層37、n
型ベース層33のp型ベース層37側一部上にはゲート
絶縁膜40が形成されている。ここでゲート絶縁膜40
は、図示された絶縁膜の薄い部分のみである。ゲート電
極41がゲート絶縁膜40上に形成され、ゲート端での
電界集中を防ぐため、フィールドプレート構造になって
いる。なお、ゲート電極41から庇状に突出している部
分はゲートとしては機能しない。ここでは、フィールド
プレート部分は、素子動作上、ゲート電極とは考えな
い。
【0092】ゲート電極41は、ゲート絶縁膜40を介
してn型ベース層33と対向する部分の長さがn型ベー
ス層33の厚さよりも長くなるように形成されている。
【0093】このような横型プレーナ構造のIGBT
は、n型ベース層33上に、シリコン層厚よりも長くゲ
ート電極41を有することにより、縦型IGBTの場合
と同様、ゲート占有面積がn型ベース層33と接してい
るp型ベース層37部分の面積よりも大きくなるため、
Ich/Iの値が大きくなる。とくに、n型ベース層33
の裏面に埋込み酸化膜32があるため、正孔電流が規制
されIch/Iを大きくする効果が縦型プレーナ構造に比
べて大きくなる。そのため、(1)式の条件を確保する
ことができる。
【0094】なお、この横型プレーナ構造のIGBTは
前述した縦型IGBTとではn型ベース層中のキャリア
分布がほぼ同様であり、ゲート電極に対向するn型ベー
ス層33で極大値をもち、ゲート端(フィールドプレー
ト部分を除く)よりもドレイン側のn型ベース層33中
で極小値をもつ(図8上部の上の曲線)。これは、従来
例のキャリア分布(図8上部の下の曲線)より、ソース
側でキャリア蓄積が増えているからであり、第1の実施
の形態と同様の効果を得ることができる。
【0095】次に、本発明の第6の実施の形態に係るI
EGTについて図8及び図6を用いて説明する。すなわ
ち、本実施の形態に係るIEGTは、第5の実施形態の
構成を限定したものであり、具体的にはゲートの入力容
量Cgを単位素子当たり3×10-8[F]以上としたも
のである。
【0096】従って、前述した図6の関係と同様に、3
×10-8[F]以上のゲート入力容量にてIchを増加さ
せ、もって、確実にIch/I>0.745を満たしてオ
ン電圧を低下させることができる。
【0097】上述したように第6の実施の形態によれ
ば、第5の実施の形態の効果に加え、ゲートの入力容量
を単位素子当たり3×10-8[F]以上に限定する構成
なので、簡易且つ確実に実施することができる。
【0098】次に、本発明の第7の実施の形態に係るI
EGTについて図9を用いて説明する。図9はこのIE
GTの構成を模式的に示す断面図であり、図7と同一部
分には同一符号を付してその詳しい説明は省略し、ここ
では異なる部分に付いてのみ述べる。
【0099】すなわち、本実施の形態に係るIEGT
は、第4の実施形態のトレンチ構造に代えて、LOCO
S(L0Cal Oxidation of Silicon)を用いてゲートを形
成したものである。
【0100】また、これに伴ない、ゲート上及びn型エ
ミッタ層28上には絶縁膜51が選択的に形成され、且
つ絶縁膜51上、n型エミッタ層28上及びp型ベース
層25上には共通のソース電極52が形成されている。
【0101】p型ベース層25は、前述した通り、チャ
ネル形成部分におけるキャリア密度の最高値が5×10
16cm-3以上であり、チャネル形成部分の長さが1.3
μm以下に形成されている。
【0102】ゲート電極27にはポリSiが使用され
る。また、ゲート電極27と各半導体層との間の入力容
量Cgは、3×10-8[F]以上とすることが好まし
い。
【0103】次に、このようなIEGTの製造方法につ
いて図10乃至図12を用いて説明する。
【0104】図10(a)に示すように、Si基板をn
型ベース層21とし、n型ベース層21の一方の表面に
は拡散によりp型エミッタ層23が形成される。また、
n型ベース層21の他方の表面には酸化膜53及び窒化
膜54が順次形成される。その後、図10(b)に示す
ように、部分的に窒化膜54が除去されて酸化膜53が
露出される。
【0105】ここで、表面が酸化されると、図10
(c)に示すように、窒化膜54のない部分のみがいわ
ゆるLOCOS酸化55される。また、図10(d)に
示すように、酸化膜53が除去されてn型ベース層21
が露出される。
【0106】次に、図11(e)に示すように、n型ベ
ース層21上にゲート酸化膜26が形成され、ゲート電
極27となるポリSi27aが堆積され、図11(f)
に示すように、公知のエッチバック法等により、n型ベ
ース層21を部分的に露出させるように表面が平坦化さ
れる。
【0107】露出されたn型ベース層21では、図11
(g)に示すように、表面にp型ベース層25が形成さ
れ、p型ベース層25表面にはゲート酸化膜27に接す
るn型エミッタ層28が選択的に形成される。
【0108】しかる後、図11(h)に示すように、C
VD等により、全面(ポリSi27a、ゲート酸化膜2
6、n型エミッタ層28及びp型ベース層25)上に絶
縁膜51が堆積され、ゲート電極27が埋込み形成され
る。
【0109】絶縁膜51には、図12(i)に示すよう
に、PEP(Photo-Etching Process )により、n型エ
ミッタ層28及びp型ベース層25に達するコンタクト
ホールが形成され、さらに、絶縁膜51上にはコンタク
トホールを介してn型エミッタ層28及びp型ベース層
25に接続されるソース電極52が形成される。また、
他方の表面のp型エミッタ層23上にはドレイン電極2
4が形成される。
【0110】上述したように第7の実施の形態によれ
ば、素子のゲート領域が部分酸化法により選択的に形成
されることにより、複雑なトレンチプロセスを用いるこ
となく、簡易なプレーナプロセス技術によりゲート電極
27をSi中に埋込むことができ、容易にp型ベース層
25部分を小さくする一方、ゲート長を長くすることが
でき、n型ベース層21のソース側でのキャリア蓄積を
増加させることができる。これにより、チャネルを介し
てn型エミッタ層28からチャネルを介して電子の注入
が促進され、オン電圧を低下させることができる。
【0111】また、ゲート電極27を通常のプレーナ構
造の素子よりも厚くできるので、ゲート抵抗を低減させ
ることができる。
【0112】さらに、ゲート電極27を埋込むことによ
り、ウェハー表面からの汚染を防止でき、また、素子を
上下から圧接して電極を取り出す場合に、ゲートに加わ
る圧力を低減させることができる。
【0113】次に、本発明の第8の実施の形態に係るI
EGTについて図13を用いて説明する。図13はこの
IEGTの構成を模式的に示す断面図であり、図9と同
一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略し、
ここでは異なる部分に付いてのみ述べる。
【0114】すなわち、本実施の形態に係るIEGT
は、第7の実施の形態の変形構成であり、具体的にはL
OCOSに代えて、エピタキシャル成長を用いてn型ベ
ース層21の表面を選択的に凸型に成長させることによ
り、p型ベース層25及びn型エミッタ層28の領域が
形成されたものである。
【0115】次に、このようなIEGTの製造方法につ
いて図14を用いて説明する。
【0116】図14(a)に示すように、Si基板をn
型ベース層21とし、n型ベース層21の一方の表面に
は拡散によりp型エミッタ層23が形成される。また、
n型ベース層21の他方の表面には酸化膜53が形成さ
れる。その後、図14(b)に示すように、部分的に酸
化膜53が除去されてSiのn型ベース層21が露出さ
れる。
【0117】ここで、酸化膜53のないn型ベース層2
1表面にSi56をエピタキシャル成長させると、図1
4(c)に示すように、酸化膜53のない部分のn型ベ
ース層21が上に突出するように選択成長される。ここ
で、図14(d)に示すように、酸化膜53が除去され
て選択的に凸型部を有するn型ベース層21が露出され
る。
【0118】以下、前述した図11及び図12に示す工
程によりIEGTが作成される。
【0119】上述したように第8の実施の形態によれ
ば、第7の実施の形態と同様の効果をもつIEGTをL
OCOSに代えてエピタキシャル成長を用いて作成する
ことができる。
【0120】次に、本発明の第9の実施の形態に係るI
EGTについて図15を用いて説明する。図15はこの
IEGTの構成を模式的に示す横断面図であり、図9及
び図13と同一部分には同一符号を付してその詳しい説
明は省略し、ここでは異なる部分に付いてのみ述べる。
【0121】すなわち、本実施の形態に係るIEGT
は、第7又は第8の実施形態の構成を限定したものであ
り、具体的には図15に示すように、p型ベース層25
の表面にn型エミッタ層28が同心円状に配置された構
造となっている。図15ではp型ベース層25とソース
電極との接続は、簡単のため省略しているが、n型エミ
ッタ層28をリング状に形成し、リングの内側にp型ベ
ース層25の表面が現れるようにし、そこでソース電極
と接続するのが良い。
【0122】このような構造とすれば、より一層蓄積さ
れるキャリアの量を多くでき、オン電圧を低下させるこ
とができる。
【0123】上述したように第9の実施の形態によれ
ば、第7又は第8の実施形態の効果に加え、より一層、
オン電圧を低下させることができる。
【0124】次に、本発明の第10の実施の形態に係る
IEGTについて図16を用いて説明する。図16はこ
のIEGTの構成を模式的に示す横断面図である。この
IEGTは、第9の実施形態とは異なり、p型ベース層
25の表面にn型エミッタ層28が選択的に形成され、
p型ベース層25の表面とn型エミッタ層28の表面と
がゲート幅方向に交互に現れるよう配置された構造とな
っている。この場合、電子を注入するチャネルはn型ソ
ース層の下部に形成される。
【0125】このような構造としても、第7又は第8の
実施の形態と同様の効果を得ることができる上、p型ベ
ース層25と電極の接続が良好になるため、製造上の歩
留まりの向上と、電流遮断能力の向上が期待できる。
【0126】次に、本発明の第11の実施の形態に係る
IGBTについて説明する。図17はこのIGBTの構
成を模式的に示す断面図である。このIGBTは、基板
をp型ベース層61とし、p型ベース層61の一方の表
面には拡散によりn型エミッタ層62が順次形成され、
p型エミッタ層62の表面上にはドレイン電極63が形
成されている。
【0127】また、p型ベース層61の他方の表面には
複数のn型ベース層64が選択的に拡散形成されてお
り、各n型ベース層64の表面にはp型ソース層65が
選択的に形成されている。
【0128】一方のn型ベース層64からp型ベース層
61を介して他方のn型ベース層64に至る領域上に
は、高移動度層66が形成されている。また、p型エミ
ッタ層65から高移動度層66を介して他方のp型エミ
ッタ層65に至る領域上には、ゲート絶縁膜67を介し
てゲート電極68が形成されている。ゲート電極68を
挟むように、一方のn型ベース層64上及びp型ソース
層65上と、他方のn型ベース層64上及びp型ソース
層65上とには各々ソース電極69が形成されている。
【0129】ここで、高移動度層66は、チャネル抵抗
Rchの低減によりIch/Iを増加させるものであり、例
えばSi/SiGeのHHMT(High-Hole-Mobility-T
ransistor )構造が適用可能であって、特に限定されな
いが、ここでは図18乃至図21のいずれかに示す構造
が使用されている。そのほか表面にガリウムひ素(Ga
As)の薄膜をゲート下を含むシリコン表面に形成し
て、n型ベース層をもつ構造に適用することもできる。
【0130】図18に示す高移動度層66は、p型ベー
ス層61又はn型ベース層64に対応するSi層614
と、ゲート絶縁膜67との間にSiGe層66aが形成
されている。この高移動度層66では、Si層614に
対して負電圧がゲート電極68に印加されると、SiG
e層66aとゲート絶縁膜67との界面にチャネルが形
成される。このチャネル中の正孔の移動度は、Si−S
iO2 界面に形成されるチャネル中の正孔の移動度の
1.5倍である。
【0131】図19に示す高移動度層66は、Si層6
14からゲート絶縁膜67までの間に、SiGe層66
a、Si層66bが順次形成されている。この高移動度
層66では、Si層614に対して負電圧がゲート電極
68に印加されると、SiGe層66aとSi層66b
とのヘテロ界面にチャネルが形成される。このチャネル
中の正孔の移動度は、Si−SiO2 界面に形成される
チャネル中の正孔の移動度の1.8倍である。
【0132】図20に示す高移動度層66は、Si層6
14からゲート絶縁膜67までの間に、p型Si層66
c、SiGe層66aが順次形成されている。なお、p
型Si層66cは全体あるいは一部がp型にドープされ
ている。この高移動度層66では、ゲート電極68に電
圧が印加されないとき、p型Si層66cとSiGe層
66aとのヘテロ界面にチャネルが形成される。このチ
ャネル中の正孔の移動度は、Si−SiO2 界面に形成
されるチャネル中の正孔の移動度の2倍である。Si層
614に対して正電圧がゲート電極68に印加される
と、チャネルが消失される。
【0133】図21に示す高移動度層66は、Si層6
14からゲート絶縁膜67までの間に、SiGe層66
a、p型Si層66cが順次形成されている。この高移
動度層66では、ゲート電極68に電圧が印加されない
とき、SiGe層66aとp型Si層66cとのヘテロ
界面にチャネルが形成される。このチャネル中の正孔の
移動度は、Si−SiO2 界面に形成されるチャネル中
の正孔の移動度の2倍である。Si層に対して正電圧が
ゲート電極に印加されると、チャネルが消失される。
【0134】なお、高移動度層66は、チャネル抵抗を
低減可能であれば前述した構成に限定されず、例えばp
型ベース層61表面、あるいはp型ベース層61表面と
n型ベース層64表面とにp型不純物をドープすること
によっても形成可能である。
【0135】次に、このようなIGBTの作用を説明す
る。
【0136】IGBTを導通状態にするように、前述し
た通り、Si層614に対して負電圧又は零電圧がゲー
ト電極68に印加され、高移動度層66中にチャネルが
形成される。チャネルの形成によりp型エミッタ層65
とp型ベース層61とが短絡される。
【0137】ここで、ドレイン電極63に負電圧が印加
され、ソース電極69に正電圧が引加されると、正孔が
ソース電極69から供給されてp型ソース層65からチ
ャネルを通ってp型ベース層61に注入される。また、
この正孔電流に応じた量の電子がn型エミッタ層62か
らp型ベース層61に注入される。この電子の注入によ
りp型ベース層61では、電子と正孔が高密度で、且つ
互いの電荷を打消すようにほぼ同一密度で共存する導電
変調が起こりオン抵抗が低下して、低い通電損失で導通
状態となる。よって、p型ベース層61の正孔はn型エ
ミッタ層62を介してドレイン電極63に流れ、p型ベ
ース層61の電子はn型ベース層64を介してソース電
極69に流れる。
【0138】次に、このIGBTの高移動度層66の移
動度とp型ベース層61の通電損失との関係を図21を
用いて説明する。図21はこのIGBTで4500Vの
順阻止耐量をもつものについて、各チャネル中の正孔の
移動度に対して、最適設計を行なった場合の通電損失を
示す図である。横軸は任意スケールであり、基準値とし
てSi−SiO2 界面に形成されるチャネル中の正孔の
移動度を1としている。本発明者の2次元理論計算によ
れば、チャネル中の正孔の移動度が基準値の2倍になっ
た場合でも、チャネル部分の電圧降下は約0.1Vしか
低減されないが、IGBT全体の通電損失は1V以上低
減する。これは高移動度層66を設けることにより、高
抵抗のp型ベース層61の抵抗が著しく低下したことに
よる。このようにIGBT全体の通電損失に対してチャ
ネル部分の通電損失の寄与は小さいので、高移動度層6
6はゲート絶縁膜67下で且つn型ベース層64に挟ま
れた領域だけに形成しても同様の効果が得られる。
【0139】上述したように第11の実施の形態によれ
ば、高移動度層66によりチャネル抵抗を低減させたの
で、正孔の注入を促進でき、もって、通電損失を著しく
低減させることができる。
【0140】次に、本発明の第12の実施の形態に係る
IGBTについて説明する。図23はこのIGBTの構
成を模式的に示す断面図であり、図17と同一部分には
同一符号を付してその詳しい説明は省略し、ここでは異
なる部分についてのみ述べる。
【0141】すなわち、本実施の形態に係るIGBT
は、第11の実施の形態の変形構成であり、p型ベース
層61表面にゲート絶縁膜66に接して正孔のp型ベー
ス層61中への注入を補助するためのp型ドレイン層7
1が選択的に形成されている。なお、p型ドレイン層7
1は阻止状態では空乏化する濃度に制御されている。
【0142】このような構成としても、第11の実施の
形態と同様の効果を得ることができる。
【0143】次に、本発明の第13の実施の形態に係る
IGBTについて説明する。図24はこのIGBTの構
成を模式的に示す断面図であり、図17と同一部分には
同一符号を付してその詳しい説明は省略し、ここでは異
なる部分についてのみ述べる。
【0144】すなわち、本実施の形態に係るIGBT
は、第11の実施の形態の変形構成であり、具体的に
は、p型ベース層61とドレイン電極63とを部分的に
接続する高濃度のp型エミッタショート層72が形成さ
れている。
【0145】これにより、p型ベース層61中のドレイ
ン側の電子がp型エミッタショート層72を介してドレ
イン電極63に排出されるため、p型ベース層61中の
ドレイン側のキャリアの蓄積量を低減させ、ターンオフ
時間を短縮することができる。
【0146】上述したように第13の実施の形態によれ
ば、第11の実施形態の効果に加え、ターンオフ時間を
短縮することができる。
【0147】なお、図24の構成に加え、さらに図25
に示すように、p型エミッタショート層72をn型エミ
ッタ層62とp型ベース層61との間に介在させるよう
に形成してもよい。これにより、p型エミッタショート
層72中での電子・正孔の対消滅により、p型ベース層
61中のドレイン側のキャリアの蓄積量を一層低減させ
ることができる。
【0148】次に、本発明の第14の実施の形態に係る
IGBTについて説明する。図26はこのIGBTの構
成を模式的に示す断面図であり、図17と同一部分には
同一符号を付してその詳しい説明は省略し、ここでは異
なる部分についてのみ述べる。
【0149】すなわち、本実施の形態に係るIGBT
は、第11の実施の形態の変形構成であり、具体的に
は、p型ベース層61中のドレイン側に低キャリアライ
フタイム層73が形成されている。なお、低キャリアラ
イフタイム層73は、例えばドレイン側からプロトンH
+ が照射されて形成される。
【0150】ここで、低キャリアライフタイム層73に
より、p型ベース層61中のドレイン側のキャリアの蓄
積量が低減され、ターンオフ時間が短縮される。
【0151】上述したように第14の実施の形態によれ
ば、第11の実施形態の効果に加え、ターンオフ時間を
短縮することができる。
【0152】次に、本発明の第15の実施の形態に係る
IEGTについて説明する。図27はこのIEGTの構
成を模式的に示す断面図である。このIEGTは、Si
基板をp型ベース層81とし、p型ベース層81の一方
の表面には拡散によりn型エミッタ層82が順次形成さ
れ、n型エミッタ層82の表面上にはドレイン電極83
が形成されている。
【0153】また、p型ベース層81の他方の表面には
n型ベース層84が拡散形成され、n型ベース層84に
は、p型ベース層81に突出する深さの複数のトレンチ
溝が設けられている。各トレンチ溝内には高移動度層8
5が形成され、高移動度層85上にゲート絶縁膜86を
介してゲート電極87が埋込み形成されている。高移動
度層85は、前述同様に、図18乃至図21のいずれか
の構成が使用されている。
【0154】n型ベース層84表面には高移動度層85
に接する複数のp型ソース層88が選択的に形成されて
いる。各p型ソース層88上及びn型ベース層84上に
は共通のソース電極89が形成され、このソース電極8
9はゲート電極87から絶縁されている。
【0155】ここで、このIEGTは、第11の実施形
態に係るIGBTと同様に動作するが、n型ベース層8
4からp型ベース層81に突き出たトレンチ溝の長さT
に対応して単位セルの幅Wの最適値が異なるため、最適
設計を行なった場合の通電損失が異なってくる。
【0156】図28はこのIEGTで4500Vの順阻
止耐量をもつものについて、各チャネル中の正孔の移動
度に対して、T=2μm、4μm、6μmの場合の最適
設計を行なった場合の通電損失を示す図である。第11
の実施形態と同様に、高移動度層85によりチャネル抵
抗を低減させたので、正孔の注入を促進でき、もって、
通電損失を著しく低減させることができる。また、トレ
ンチ溝の長さTに比例して通電損失を低減させることが
できる。
【0157】上述したように第15の実施の形態によれ
ば、第11の実施形態の効果に加え、トレンチ溝の長さ
Tに比例して通電損失を低減させることができる。
【0158】次に、本発明の第16の実施の形態に係る
IEGTについて説明する。図29はこのIEGTの構
成を模式的に示す断面図であり、図27と同一部分には
同一符号を付してその詳しい説明は省略し、ここでは異
なる部分についてのみ述べる。
【0159】すなわち、本実施の形態に係るIEGT
は、第15の実施の形態の変形構成であり、具体的に
は、p型ベース層81とドレイン電極83とを部分的に
接続する高濃度のp型エミッタショート層91が形成さ
れている。
【0160】これにより、p型ベース層81中のドレイ
ン側の電子がp型エミッタショート層91を介してドレ
イン電極83に排出されるため、p型ベース層81中の
ドレイン側のキャリアの蓄積量を低減させ、ターンオフ
時間を短縮することができる。
【0161】上述したように第16の実施の形態によれ
ば、第15の実施形態の効果に加え、ターンオフ時間を
短縮することができる。
【0162】なお、図29の構成に加え、さらに図30
に示すように、p型エミッタショート層91をn型エミ
ッタ層82とp型ベース層81との間に介在させるよう
に形成してもよい。これにより、p型エミッタショート
層91中での電子・正孔の対消滅により、p型ベース層
81中のドレイン側のキャリアの蓄積量を一層低減させ
ることができる。
【0163】次に、本発明の第17の実施の形態に係る
IEGTについて説明する。図31はこのIEGTの構
成を模式的に示す断面図であり、図27と同一部分には
同一符号を付してその詳しい説明は省略し、ここでは異
なる部分についてのみ述べる。
【0164】すなわち、本実施の形態に係るIEGT
は、第15の実施の形態の変形構成であり、具体的に
は、p型ベース層81中のドレイン側に低キャリアライ
フタイム層92が形成されている。なお、低キャリアラ
イフタイム層92は、例えばドレイン側からプロトンH
+ が照射されて形成される。
【0165】ここで、低キャリアライフタイム層92に
より、p型ベース層81中のドレイン側のキャリアの蓄
積量が低減され、ターンオフ時間が短縮される。
【0166】上述したように第17の実施の形態によれ
ば、第15の実施形態の効果に加え、ターンオフ時間を
短縮することができる。
【0167】次に、本発明の第18の実施の形態に係る
IGBTについて説明する。図32はこのIGBTの構
成を模式的に示す断面図である。このIEGTは、基板
をn型ベース層101とし、n型ベース層101の一方
の表面には拡散によりp型エミッタ層102が順次形成
され、p型エミッタ層102の表面上にはドレイン電極
103が形成されている。
【0168】また、n型ベース層101の他方の表面に
は複数のp型ベース層104が選択的に拡散形成されて
おり、各p型ベース層104の表面にはn型ソース層1
05が選択的に形成されている。
【0169】一方のp型ベース層104からn型ベース
層101を介して他方のp型ベース層104に至る領域
上には、高移動度層106が形成されている。また、n
型エミッタ層105から高移動度層106を介して他方
のn型エミッタ層105に至る領域上には、ゲート絶縁
膜107を介してゲート電極108が形成されている。
ゲート電極108を挟むように、一方のp型ベース層1
04上及びn型ソース層105上と、他方のp型ベース
層104上及びn型ソース層105上とには各々ソース
電極109が形成されている。
【0170】ここで、高移動度層106は、前述同様
に、チャネル抵抗Rchの低減によりIch/Iを増加させ
るものであり、例えば、図33乃至図36のいずれかに
示す構造が使用されている。
【0171】図33に示す高移動度層106は、n型ベ
ース層101又はp型ベース層104に対応するSi層
1014からゲート絶縁膜107までの間にSiGe層
106a、Si層106bが順次形成されている。この
高移動度層106では、Si層1014に対して正電圧
がゲート電極108に印加されると、Si層106bと
ゲート絶縁膜107との界面にチャネルが形成される。
このチャネル中の電子の移動度は、Si−SiO2 界面
に形成されるチャネル中の電子の移動度の2倍である。
【0172】図34に示す高移動度層106は、Si層
1014からゲート絶縁膜107までの間に、SiGe
層106a、Si層106b、SiGe層106aが順
次形成されている。この高移動度層106では、Si層
1014に対して正電圧がゲート電極108に印加され
ると、SiGe層106aとSi層106bとのヘテロ
界面にチャネルが形成される。このチャネル中の電子の
移動度は、Si−SiO2 界面に形成されるチャネル中
の電子の移動度の2.5倍である。
【0173】図35に示す高移動度層106は、Si層
1014からゲート絶縁膜層107までの間に、n型S
iGe層106c、Si層106bが順次形成されてい
る。なお、n型SiGe層106cは全体あるいは一部
がn型にドープされていても良い。この高移動度層10
6では、ゲート電極107に電圧が印加されないとき、
n型SiGe層106cとSi層106bとのヘテロ界
面にチャネルが形成される。このチャネル中の電子の移
動度は、Si−SiO2 界面に形成されるチャネル中の
電子の移動度の3倍である。Si層1014に対して負
電圧がゲート電極107に印加されると、チャネル中の
電子が排出されてチャネルが消失される。
【0174】図36に示す高移動度層106は、Si層
1014からゲート絶縁膜107までの間に、SiGe
層106a、Si層106b、n型SiGe層106c
が順次形成されている。この高移動度層106では、ゲ
ート電極107に電圧が印加されないとき、Si層10
6bとn型SiGe層106cとのヘテロ界面にチャネ
ルが形成される。このチャネル中の電子の移動度は、S
i−SiO2 界面に形成されるチャネル中の電子の移動
度の3倍である。Si層1014に対して正電圧がゲー
ト電極108に印加されると、チャネル中の電子が排出
されてチャネルが消失される。
【0175】なお、高移動度層106は、チャネル抵抗
を低減可能であれば前述した構成に限定されず、例えば
n型ベース層101表面、あるいはn型ベース層101
表面とp型ベース層104表面とにn型不純物をドープ
することによっても形成可能である。
【0176】次に、このようなIGBTの作用を説明す
る。
【0177】IGBTを導通状態にするように、前述し
た通り、Si層1014に対して負電圧又は零電圧がゲ
ート電極107に印加され、高移動度層106中にチャ
ネルが形成される。チャネルの形成によりn型エミッタ
層105とn型ベース層101とが短絡される。
【0178】ここで、ドレイン電極103に正電圧が印
加され、ソース電極109に負電圧が引加されると、電
子がソース電極109から供給されてn型ソース層10
5からチャネルを通ってn型ベース層101に注入され
る。また、この電子電流に応じた量の正孔がp型エミッ
タ層102からn型ベース層101に注入される。この
正孔の注入によりn型ベース層101では、正孔と電子
が高密度で、且つ互いの電荷を打消すようにほぼ同一密
度で共存する導電変調が起こりオン抵抗が低下して、低
い通電損失で導通状態となる。よって、n型ベース層1
01の電子はp型エミッタ層102を介してドレイン電
極103に流れ、n型ベース層101の正孔はp型ベー
ス層104を介してソース電極109に流れる。
【0179】次に、このIGBTの高移動度層106の
移動度とn型ベース層101の通電損失との関係を図3
7を用いて説明する。図37はこのIGBTで4500
Vの順阻止耐量をもつものについて、各チャネル中の電
子の移動度に対して、最適設計を行なった場合の通電損
失を示す図である。横軸は任意スケールであり、基準値
としてSi−SiO2 界面に形成されるチャネル中の電
子の移動度を1としている。本発明者の2次元理論計算
によれば、チャネル中の電子の移動度が基準値の3倍に
なった場合でも、チャネル部分の電圧降下は約0.2V
しか低減されないが、IGBT全体の通電損失は1V以
上低減する。これは高移動度層106を設けることによ
り、高抵抗のn型ベース層101の抵抗が著しく低下し
たことによる。このようにIGBT全体の通電損失に対
してチャネル部分の通電損失の寄与は小さいので、高移
動度層106はゲート絶縁膜107下で且つp型ベース
層104に挟まれた領域だけに形成しても同様の効果が
得られる。
【0180】上述したように第18の実施の形態によれ
ば、高移動度層106によりチャネル抵抗を低減させた
ので、電子の注入を促進でき、もって、通電損失を著し
く低減させることができる。
【0181】次に、本発明の第19の実施の形態に係る
IGBTについて説明する。図38はこのIGBTの構
成を模式的に示す断面図であり、図32と同一部分には
同一符号を付してその詳しい説明は省略し、ここでは異
なる部分についてのみ述べる。
【0182】すなわち、本実施の形態に係るIGBT
は、第18の実施の形態の変形構成であり、n型ベース
層101表面にゲート絶縁膜107に接して電子のn型
ベース層101中への注入を補助するためのn型ドレイ
ン層111が選択的に形成されている。なお、n型ドレ
イン層111は阻止状態では空乏化する濃度に制御され
ている。
【0183】このような構成としても、第18の実施の
形態と同様の効果を得ることができる。
【0184】次に、本発明の第20の実施の形態に係る
IGBTについて説明する。図39はこのIGBTの構
成を模式的に示す断面図であり、図32と同一部分には
同一符号を付してその詳しい説明は省略し、ここでは異
なる部分についてのみ述べる。
【0185】すなわち、本実施の形態に係るIGBT
は、第18の実施の形態の変形構成であり、具体的に
は、n型ベース層101とドレイン電極103とを部分
的に接続する高濃度のn型エミッタショート層112が
形成されている。
【0186】これにより、n型ベース層101中のドレ
イン側の正孔がn型エミッタショート層112を介して
ドレイン電極103に排出されるため、n型ベース層1
01中のドレイン側のキャリアの蓄積量を低減させ、タ
ーンオフ時間を短縮することができる。
【0187】上述したように第20の実施の形態によれ
ば、第18の実施形態の効果に加え、ターンオフ時間を
短縮することができる。
【0188】なお、図39の構成に加え、さらに図40
に示すように、n型エミッタショート層112をp型エ
ミッタ層102とn型ベース層101との間に介在させ
るように形成してもよい。これにより、n型エミッタシ
ョート層112中での電子・正孔の対消滅により、n型
ベース層101中のドレイン側のキャリアの蓄積量を一
層低減させることができる。
【0189】次に、本発明の第21の実施の形態に係る
IGBTについて説明する。図41はこのIGBTの構
成を模式的に示す断面図であり、図32と同一部分には
同一符号を付してその詳しい説明は省略し、ここでは異
なる部分についてのみ述べる。
【0190】すなわち、本実施の形態に係るIGBT
は、第18の実施の形態の変形構成であり、具体的に
は、n型ベース層101中のドレイン側に低キャリアラ
イフタイム層113が形成されている。なお、低キャリ
アライフタイム層113は、例えばドレイン側からプロ
トンH+ が照射されて形成される。
【0191】ここで、低キャリアライフタイム層113
により、n型ベース層101中のドレイン側のキャリア
の蓄積量が低減され、ターンオフ時間が短縮される。
【0192】上述したように第21の実施の形態によれ
ば、第18の実施形態の効果に加え、ターンオフ時間を
短縮することができる。
【0193】次に、本発明の第22の実施の形態に係る
IEGTについて説明する。図42はこのIEGTの構
成を模式的に示す断面図である。このIEGTは、Si
基板をn型ベース層121とし、n型ベース層121の
一方の表面には拡散によりp型エミッタ層122が順次
形成され、p型エミッタ層122の表面上にはドレイン
電極123が形成されている。
【0194】また、n型ベース層121の他方の表面に
はp型ベース層124が拡散形成され、p型ベース層1
24には、n型ベース層121に突出する深さの複数の
トレンチ溝が設けられている。各トレンチ溝内には高移
動度層125が形成され、高移動度層125上にゲート
絶縁膜126を介してゲート電極127が埋込み形成さ
れている。高移動度層125は、前述同様に、図33乃
至図36のいずれかの構成が使用されている。
【0195】p型ベース層124表面には高移動度層1
25に接する複数のn型ソース層128が選択的に形成
されている。各n型ソース層128上及びp型ベース層
124上には共通のソース電極129が形成され、この
ソース電極129はゲート電極127から絶縁されてい
る。
【0196】ここで、このIEGTは、第18の実施形
態に係るIGBTと同様に動作するが、n型ベース層1
21に突き出たトレンチ溝の長さTに対応して単位セル
の幅Wの最適値が異なるため、最適設計を行なった場合
の通電損失が異なってくる。
【0197】図43はこのIEGTで4500Vの順阻
止耐量をもつものについて、各チャネル中の電子の移動
度に対して、T=2μm、4μm、6μmの場合の最適
設計を行なった場合の通電損失を示す図である。第18
の実施形態と同様に、高移動度層125によりチャネル
抵抗を低減させたので、電子の注入を促進でき、もっ
て、通電損失を著しく低減させることができる。また、
トレンチ溝の長さTに比例して通電損失を低減させるこ
とができる。
【0198】上述したように第22の実施の形態によれ
ば、第18の実施形態の効果に加え、トレンチ溝の長さ
Tに比例して通電損失を低減させることができる。
【0199】次に、本発明の第23の実施の形態に係る
IEGTについて説明する。図44はこのIEGTの構
成を模式的に示す断面図であり、図43と同一部分には
同一符号を付してその詳しい説明は省略し、ここでは異
なる部分についてのみ述べる。
【0200】すなわち、本実施の形態に係るIEGT
は、第22の実施の形態の変形構成であり、具体的に
は、n型ベース層121とドレイン電極123とを部分
的に接続する高濃度のn型エミッタショート層131が
形成されている。
【0201】これにより、n型ベース層121中のドレ
イン側の正孔がn型エミッタショート層131を介して
ドレイン電極123に排出されるため、n型ベース層1
21中のドレイン側のキャリアの蓄積量を低減させ、タ
ーンオフ時間を短縮することができる。
【0202】上述したように第23の実施の形態によれ
ば、第22の実施形態の効果に加え、ターンオフ時間を
短縮することができる。
【0203】なお、図44の構成に加え、さらに図45
に示すように、n型エミッタショート層131をp型エ
ミッタ層122とn型ベース層121との間に介在させ
るように形成してもよい。これにより、n型エミッタシ
ョート層131中での電子・正孔の対消滅により、n型
ベース層121中のドレイン側のキャリアの蓄積量を一
層低減させることができる。
【0204】次に、本発明の第24の実施の形態に係る
IEGTについて説明する。図46はこのIEGTの構
成を模式的に示す断面図であり、図32と同一部分には
同一符号を付してその詳しい説明は省略し、ここでは異
なる部分についてのみ述べる。
【0205】すなわち、本実施の形態に係るIEGT
は、第22の実施の形態の変形構成であり、具体的に
は、n型ベース層121中のドレイン側に低キャリアラ
イフタイム層132が形成されている。なお、低キャリ
アライフタイム層132は、例えばドレイン側からプロ
トンH+ が照射されて形成される。
【0206】ここで、低キャリアライフタイム層132
により、n型ベース層121中のドレイン側のキャリア
の蓄積量が低減され、ターンオフ時間が短縮される。
【0207】上述したように第24の実施の形態によれ
ば、第22の実施形態の効果に加え、ターンオフ時間を
短縮することができる。
【0208】次に、本発明の第25乃至第30の実施の
形態に係る半導体素子について説明するが、これらの半
導体素子は、前述した第1乃至第24の半導体素子とは
異なり、従来と同様にMOSFETのモデルを用いたも
のである。しかしながら、従来とは異なり、p型ベース
層の深さ及びn型ベース層の濃度を最適化しているの
で、従来よりもスイッチング速度が高速化されたものと
なっている。以下、これらの半導体素子について順次説
明する。
【0209】図47は本発明の第25の実施の形態に係
るIGBTの構成を模式的に示す断面図である。このI
GBTは、前述同様に、基板をn型ベース層141と
し、n型ベース層141の一方の表面には拡散によりp
型エミッタ層142が順次形成され、p型エミッタ層1
42の表面上にはドレイン電極143が形成されてい
る。
【0210】また、n型ベース層141の他方の表面に
は複数のp型ベース層144が選択的に拡散形成されて
おり、各p型ベース層144の表面にはn型ソース層1
45が選択的に形成されている。
【0211】一方のp型ベース層144及びn型ソース
層145からn型ベース層141を介して他方のp型ベ
ース層144及びn型ソース層145に至る領域上に
は、Si酸化膜のゲート絶縁膜146を介して、長さL
gのゲート電極147が設けられている。また、ゲート
電極147を挟むように、一方のp型ベース層144上
及びn型ソース層145上と、他方のp型ベース層14
4上及びn型ソース層145上とには各々ソース電極1
48が形成されている。
【0212】ここで、ゲート電極147の長さLg、p
型ベース層144の深さDB 、n型ベース層121のキ
ャリア密度NB が次の(3)式及び(4)式を満たすよ
うに構成されている。
【0213】 DB /(Lg/2)≦0.8 …(3) Lg≧2(1015/NB 1/2 …(4) 次に、このようなIGBTの作用を説明するが、IGB
Tの動作自体は前述した通りなので、ここでは(3)式
及び(4)式を満たすことが必要な理由について述べ
る。
【0214】いま、Rjfetは、ゲート電極147直下の
p型ベース層144に挟まれたn型ベース層141の部
分である。n型ベース層141を広がって流れる電流
は、この部分で狭搾され、狭い経路を通って流れる。
【0215】このため、電流経路の抵抗が実質的に増大
したことになり、この電流経路の幅があまりに狭いと、
オン電圧を増加させてしまう。一方、電流経路の幅をあ
まり広くしてもRjfetはさほど低下せず、むしろ単位面
積当たりのMOSチャネルが減少するためにかえってオ
ン電圧を上昇させてしまう。
【0216】そこで、最適な電流経路の幅を確保する条
件を以下のように求めた。
【0217】縦型MOSFETにおけるRjfetは、次の
(5)式にて示される(S.C.Sun&J.D.Plummer:IEEE Tra
nsuctions on Electron Devices,ED-27,356(1980) )。
【0218】 Rjfet〜(1/Lg)[tan-1{(21/2 −1)(Lg+2DB 1/2 /( Lg−2DB 1/2 }/{1−(2DB /Lg)2 1/2 −π/8] …(5) ここで、DB /(Lg/2)をパラメータにすると、R
jfetは、図48に示すように変化する。すなわち、Rjf
etは、DB /(Lg/2)が0.8を越えるあたりから
急激に増加し始める。
【0219】これは、p型ベース層144の深さDB
対して、電流経路の幅が小さくなるためである。特に、
B /(Lg/2)〜1のときには電流経路が完全にp
型ベース層144により塞がれてしまうので、Rjfetは
無限大となる。逆に、DB /(Lg/2)が0.8を越
えない領域ではRjfetは変化せず、DB /(Lg/2)
が0.5以下の領域ではほぼ一定値に収束する。
【0220】次に、平衡時にn型ベース層141に拡が
る空乏層の幅W[μm]は簡単な計算から次の(6)式
のように示される(例えば、グローブ著:半導体デバイ
スの基礎、マグロウヒル)。
【0221】W=(1015/NB 1/2 …(6) 空乏層が拡がることは、キャリアのない領域が拡がるこ
とと等価であり、通電特性の悪化につながる。よって、
電流経路を確保するために、Lg≧2(1015/NB
1/2 、すなわち(4)式の関係を満たすことが必要とさ
れる。
【0222】このような(3)式及び(4)式の関係を
満たすことにより、Rjfetを最適に設定できるので、キ
ャリアの注入を増大させ、スイッチング速度を高速化す
ることができる。
【0223】次に、以上の説明に関連して具体的に好ま
しい値を述べる。
【0224】通常、p型ベース層144の深さDB は5
μm程度に設定されるので、この場合には13μm以上
のLgが望ましい。また、主耐圧が3kVを越えるよう
な高耐圧素子では、n型ベース層141のキャリア密度
が低い(例えばNB 〜1013cm-3)ので、この場合に
は20μm以上のLgが望ましい。
【0225】上述したように第25の実施の形態によれ
ば、p型ベース層144の深さ及びn型ベース層141
のキャリア密度を最適化することにより、スイッチング
速度を高速化することができる。
【0226】また、これにより、スイッチング損失が低
減され、動作周波数を高く設定できるため、インバータ
等に利用した場合、高効率でインバータを動作させるこ
とができる。さらに、新たな工程数の増加がないため、
コストを増大させずに製造することができる。
【0227】次に、本発明の第26の実施の形態に係る
MOSFETについて説明する。図49はこのMOSF
ETの構成を模式的に示す断面図であり、図47と同一
部分については同一符号を付してその詳しい説明は省略
し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0228】すなわち、本実施の形態に係るMOSFE
Tは、第25の実施形態に係るIGBTがMOSFET
化されたものであり、具体的には図49に示すように、
p型エミッタ層142に代えて、n型ドレイン層151
が形成されている。
【0229】このようなMOSFET構造においても、
第25の実施形態と同様の効果を得ることができる。ま
た、MOSFETのモデルを用いてMOSFETを最適
化しているので、オン電圧を低下させることができる。
【0230】次に、本発明の第27の実施の形態に係る
IGBTについて説明する。図50はこのIGBTの構
成を模式的に示す断面図であり、図47と同一部分につ
いては同一符号を付してその詳しい説明は省略し、ここ
では異なる部分についてのみ述べる。
【0231】すなわち、本実施の形態に係るIGBT
は、第25の実施形態の変形構成であり、具体的には図
50に示すように、ゲート電極147直下のp型ベース
層144に挟まれたn型ベース層141内に高濃度のn
型エミッタ層152が形成されている。
【0232】n型エミッタ層152は、平衡時の空乏層
の伸びを抑制して電流経路を確保するものであり、イオ
ン注入による拡散やエピタキシャル成長などにより形成
される。また、n型エミッタ層152の濃度は、あまり
に高濃度であると低耐圧化を招くので、ドーズ量5×1
13cm-2以下、濃度5×1016cm-3以下の範囲にあ
ることが望ましい。なお、nベース層141の濃度は、
このn型エミッタ層152の濃度を以て代わりとされ
る。
【0233】このようにn型エミッタ層152を設けた
構成とすることにより、一層、スイッチング速度を高速
化させることができる。
【0234】次に、本発明の第28の実施の形態に係る
MOSFETについて説明する。図51はこのMOSF
ETの構成を模式的に示す断面図であり、図50と同一
部分については同一符号を付してその詳しい説明は省略
し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0235】すなわち、本実施の形態に係るMOSFE
Tは、第27の実施形態に係るIGBTがMOSFET
化されたものであり、具体的には図51に示すように、
p型エミッタ層142に代えて、n型ドレイン層151
が形成されている。
【0236】このようなMOSFET構造においても、
第27の実施形態と同様の効果を得ることができ、前述
同様に、オン電圧を低下させることができる。
【0237】次に、本発明の第29の実施の形態に係る
MOSFETについて説明する。図52はこのMOSF
ETの構成を模式的に示す断面図であり、図51と同一
部分については同一符号を付してその詳しい説明は省略
し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0238】すなわち、本実施の形態に係るMOSFE
Tは、第28の実施形態の変形構成であり、具体的には
図52に示すように、ゲート電極147直下のn型ベー
ス層141内のn型エミッタ層152がp型ベース層1
44を越えて深く形成されている。
【0239】この構造はMOSFETの場合に特に有効
であり、n型エミッタ層152がMOSFET全体に存
在するために電子電流を十分に拡げて流すことができ、
オン電圧を低下させることができる。
【0240】次に、本発明の第30の実施の形態に係る
MOSFETについて説明する。図53はこのMOSF
ETの構成を模式的に示す断面図であり、図52と同一
部分については同一符号を付してその詳しい説明は省略
し、ここでは異なる部分についてのみ述べる。
【0241】すなわち、本実施の形態に係るMOSFE
Tは、第29の実施形態の変形構成であり、具体的に
は、n型エミッタ層152が2段階に形成されている。
【0242】ここで、n型エミッタ層152は、例え
ば、p型ベース層144下となる領域が拡散により選択
的に形成され、その後、全面的にエピタキシャル成長に
より形成される。p型ベース層144は、エピタキシャ
ル成長後のn型エミッタ層152表面に選択的に形成さ
れる。なお、図53では、n型エミッタ層152を2段
階で形成したことを強調するためにn型エミッタ層15
2が2段になって示されているが、同一の深さにて形成
されてもよい。
【0243】このような2段階の成長によると、拡散の
みで形成した場合とは異なり、p型ベース層144直下
のn型エミッタ層152の濃度低下を阻止して、電子電
流の経路を確保することができる。
【0244】上述したように第30の実施の形態によれ
ば、第29の実施形態の効果に加え、p型ベース層14
4直下の電子電流の経路を確保することができる。
【0245】なお、上記第2の実施の形態では、μn
(μn +μp )の値が約0.745となるn型シリコン
基板の場合を説明したが、これに限らず、他の材料の場
合であっても、その材料におけるμn /(μn +μp
の値と、その材料におけるIch/Iのゲート面積割合依
存性とを用い、その材料について(1)式を満たすゲー
ト電極割合を求めて該ゲート電極割合を適用した構成と
しても、本発明を同様に実施して同様の効果を得ること
ができる。
【0246】また、上記各実施の形態では、電極の名称
をソース電極、ドレイン電極とした場合について説明し
たが、これに限らず、ソース電極をカソード電極と称し
且つドレイン電極をアノード電極と称しても、本発明を
同様に実施できることはいうまでもない。
【0247】その他、本発明はその要旨を逸脱しない範
囲で種々変形して実施できる。
【0248】
【発明の効果】以上説明したように請求項1の発明によ
れば、ゲート電極からドレイン電極に向かう方向のゲー
ト電極の中心線上における第1導電型ベース層のキャリ
ア分布が、第2導電型ベース層よりもドレイン電極側で
極小値をもつので、キャリアが蓄積されてオン電圧を低
下できる半導体素子を提供できる。
【0249】また、請求項2の発明によれば、キャリア
分布が第1導電型ベース層内でゲート絶縁膜近傍に極大
値をもつので、請求項1と同様の効果を奏することがで
きる半導体素子を提供できる。
【0250】さらに、請求項3の発明によれば、オン状
態のとき、第2導電型ベース層から注入される第1導電
型キャリアにより流れる電流Ichと、ドレイン電極から
流入される全電流Iと、第1導電型ベース層における第
1導電型キャリアの移動度μ1 及び第2導電型キャリア
の移動度μ2 とがIch/I>μ1 /(μ1 +μ2 )の関
係にあるので、素子設計の最適化により、オン電圧を低
下できる半導体素子を提供できる。
【0251】また、請求項4の発明によれば、μ1
(μ1 +μ2 )を0.745としたので、請求項3の効
果に加え、シリコンの場合に素子設計が最適化される半
導体素子を提供できる。
【0252】さらに、請求項5の発明によれば、ゲート
電極の面積を素子の有効面積の86%以上としたので、
簡易且つ確実に素子設計を最適化し、オン電圧を低下で
きる半導体素子を提供できる。
【0253】また、請求項6の発明によれば、ゲート電
極からみた容量成分を3×10-8[F/cm2 ]以上と
したので、簡易且つ確実に素子設計を最適化し、オン電
圧を低下できる半導体素子を提供できる。
【0254】さらに、請求項7の発明によれば、ゲート
電極と第1導電型ベース層との対向する部分の長さが第
1導電型ベース層の厚さよりも長く、第1導電型ベース
層の表面のキャリア分布の極小値が、ゲート電極よりも
第1導電型バッファ層側にあるので、キャリアが蓄積さ
れてオン電圧を低下できる半導体素子を提供できる。
【0255】また、請求項8の発明によれば、オン状態
のとき、第2導電型ベース層から注入される第1導電型
キャリアにより流れる電流Ichと、ドレイン電極から流
入される全電流Iと、第1導電型ベース層における第1
導電型キャリアの移動度μ1及び第2導電型キャリアの
移動度μ2 とがIch/I>μ1 /(μ1 +μ2 )の関係
にあるので、素子設計の最適化により、オン電圧を低下
できる半導体素子を提供できる。
【0256】さらに、請求項9の発明によれば、第2導
電型ベース層としては、ゲート絶縁膜近傍における不純
物濃度の最高値が5×1016cm-3以上であり、且つゲ
ート絶縁膜に沿った長さが1.3μm以下であるので、
第2導電型ベース層の抵抗が効かず、電流Ichの低下を
阻止してIch/I>0.745の関係を確保できる半導
体素子を提供できる。
【0257】また、請求項10の発明によれば、ドレイ
ン電極から流入される全電流Iと第1導電型ベース層に
おける第1導電型キャリアの移動度μ1 及び第2導電型
キャリアの移動度μ2 とを設定し、この設定した全電流
Iに基づいて、第2導電型ベース層から注入される第1
導電型キャリアにより流れる電流Ichと全電流Iとの電
流比Ich/Iを求めると共に、電流比Ich/I、移動度
μ1 及び移動度μ2 に基づいて、第1導電型ベース層の
キャリア密度分布を第1の算出結果として算出し、この
第1の算出結果とは独立して与えられる第1導電型ベー
ス層のキャリア密度分布及び半導体素子の表面構造に基
づいて、電流比Ich/Iを第2の算出結果として算出
し、第1及び第2の算出結果を互いに無矛盾に整合させ
ることにより、第1導電型ベース層のキャリア密度分布
を第3の算出結果として算出し、第3の算出結果のキャ
リア密度分布に基づいて、第2導電型ベース層から第2
導電型エミッタ層に至る間の第1導電型ベース層の抵抗
Rbip を算出するので、素子内の物理を正しく反映した
物理モデルを用いて素子設計を最適化することにより、
オン電圧を低下できる半導体素子のシミュレーション方
法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るIGBTの構
成を模式的に示す断面図、
【図2】同実施の形態におけるIGBTのキャリア分布
及び電位分布を従来と比較して示す比較図、
【図3】同実施の形態におけるIGBTのキャリア分布
を従来と比較して示す比較図、
【図4】同実施の形態におけるRbip をIch/Iの関数
として示す図、
【図5】本発明の第2の実施の形態におけるゲート面積
の割合とIch/Iとの関係を示す図、
【図6】本発明の第3の実施の形態におけるゲート容量
とIch/Iとの関係を示す図、
【図7】本発明の第4の実施の形態に係るIEGTの構
成を模式的に示す断面図、
【図8】本発明の第5の実施の形態に係るIGBTの構
成を模式的に示す断面図、
【図9】本発明の第7の実施の形態に係るIEGTの構
成を模式的に示す断面図、
【図10】同実施の形態におけるIEGTの製造方法を
説明するための工程断面図、
【図11】同実施の形態におけるIEGTの製造方法を
説明するための工程断面図、
【図12】同実施の形態におけるIEGTの製造方法を
説明するための工程断面図、
【図13】本発明の第8の実施の形態に係るIEGTの
構成を模式的に示す断面図、
【図14】同実施の形態におけるIEGTの製造方法を
説明するための工程断面図、
【図15】本発明の第9の実施の形態に係るIEGTの
構成を模式的に示す横断面図、
【図16】本発明の第10の実施の形態に係るIEGT
の構成を模式的に示す横断面図、
【図17】本発明の第11の実施の形態に係るIGBT
の構成を模式的に示す断面図、
【図18】同実施の形態における高移動度層の構成を説
明するための断面図、
【図19】同実施の形態における高移動度層の構成を説
明するための断面図、
【図20】同実施の形態における高移動度層の構成を説
明するための断面図、
【図21】同実施の形態における高移動度層の構成を説
明するための断面図、
【図22】同実施の形態における高移動度層の移動度と
p型ベース層の通電損失との関係を示す図、
【図23】本発明の第12の実施の形態に係るIGBT
の構成を模式的に示す断面図、
【図24】本発明の第13の実施の形態に係るIGBT
の構成を模式的に示す断面図、
【図25】同実施の形態におけるIGBTの変形構成を
模式的に示す断面図、
【図26】本発明の第14の実施の形態に係るIGBT
の構成を模式的に示す断面図、
【図27】本発明の第15の実施の形態に係るIEGT
の構成を模式的に示す断面図、
【図28】同実施の形態におけるチャネル中の正孔の移
動度と通電損失との関係を示す図、
【図29】本発明の第16の実施の形態に係るIEGT
の構成を模式的に示す断面図、
【図30】同実施の形態におけるIEGTの変形構成を
模式的に示す断面図、
【図31】本発明の第17の実施の形態に係るIEGT
の構成を模式的に示す断面図、
【図32】本発明の第18の実施の形態に係るIGBT
の構成を模式的に示す断面図、
【図33】同実施の形態における高移動度層の構成を説
明するための断面図、
【図34】同実施の形態における高移動度層の構成を説
明するための断面図、
【図35】同実施の形態における高移動度層の構成を説
明するための断面図、
【図36】同実施の形態における高移動度層の構成を説
明するための断面図、
【図37】同実施の形態における高移動度層の移動度と
n型ベース層の通電損失との関係を示す図、
【図38】本発明の第19の実施の形態に係るIGBT
の構成を模式的に示す断面図、
【図39】本発明の第20の実施の形態に係るIGBT
の構成を模式的に示す断面図、
【図40】同実施の形態におけるIGBTの変形構成を
模式的に示す断面図、
【図41】本発明の第21の実施の形態に係るIGBT
の構成を模式的に示す断面図、
【図42】本発明の第22の実施の形態に係るIEGT
の構成を模式的に示す断面図、
【図43】同実施の形態におけるチャネル中の電子の移
動度と通電損失との関係を示す図、
【図44】本発明の第23の実施の形態に係るIEGT
の構成を模式的に示す断面図、
【図45】同実施の形態におけるIEGTの変形構成を
模式的に示す断面図、
【図46】本発明の第24の実施の形態に係るIEGT
の構成を模式的に示す断面図、
【図47】本発明の第25の実施の形態に係るIGBT
の構成を模式的に示す断面図、
【図48】同実施の形態におけるRjfetのパラメータ依
存性を示す図、
【図49】本発明の第26の実施の形態に係るMOSF
ETの構成を模式的に示す断面図、
【図50】本発明の第27の実施の形態に係るIGBT
の構成を模式的に示す断面図、
【図51】本発明の第28の実施の形態に係るMOSF
ETの構成を模式的に示す断面図、
【図52】本発明の第29の実施の形態に係るMOSF
ETの構成を模式的に示す断面図、
【図53】本発明の第30の実施の形態に係るMOSF
ETの構成を模式的に示す断面図、
【図54】従来のIGBTの構成を模式的に示す断面
図、
【図55】従来のIGBTの3つのオン抵抗を説明する
ための図。
【符号の説明】
11,21,33,64,84,101,121,14
1…n型ベース層、12,22,34…n型バッファ
層、13,23,35,102,122,142…p型
エミッタ層、14,24,36,63,83,103,
123,143…ドレイン電極、15,25,37,1
04,124…p型ベース層、16,26,38,10
5,128,145…n型ソース層、17,27…Si
絶縁膜、18,28,41,68,87,108,12
7,147…ゲート電極、19,29,39,52,6
9,89,109,129,148…ソース電極、31
…絶縁性基板、32…埋込み酸化膜、40,67,8
6,107,126,146…ゲート絶縁膜、51…絶
縁膜、53…酸化膜、54…窒化膜、61,81…p型
ベース層、62,82,152…n型エミッタ層、6
5,88…p型ソース層、66,85,106,125
…高移動度層、66a,106a…SiGe層、66c
…p型Si層、66b,106b,614…Si層、7
1…p型ドレイン層、72,91…p型エミッタショー
ト層、73,92,113,132…低キャリアライフ
タイム層、106c…n型SiGe層、111,151
…n型ドレイン層、112,131…n型エミッタショ
ート層、I…ドレイン電流、Ich…電子電流、μn …電
子移動度、μp …正孔移動度、Rbip …抵抗、Cg…入
力容量。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小倉 常雄 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 八幡 彰博 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 大橋 弘通 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1導電型ベース層と、 この第1導電型ベース層の表面に形成された第2導電型
    エミッタ層と、 この第2導電型エミッタ層の表面上に形成されたドレイ
    ン電極と、 前記第1導電型ベース層における前記第2導電型エミッ
    タ層とは反対側の表面に選択的に形成された第2導電型
    ベース層と、 この第2導電型ベース層の表面に選択的に形成された第
    1導電型ソース層と、 この第1導電型ソース層と前記第2導電型ベース層とに
    接して形成されたソース電極と、 前記第1導電型ソース層と前記第2導電型ベース層と前
    記第1導電型ベース層との表面上にゲート絶縁膜を介し
    て形成されたゲート電極とを備えた半導体素子におい
    て、 前記ゲート電極から前記ドレイン電極に向かう方向の前
    記ゲート電極の中心線上における前記第1導電型ベース
    層のキャリア分布が、前記第2導電型ベース層よりも前
    記ドレイン電極側で極小値をもつことを特徴とする半導
    体素子。
  2. 【請求項2】前記キャリア分布は、前記第1導電型ベー
    ス層内で前記ゲート絶縁膜近傍に極大値をもつことを特
    徴とする請求項1に記載の半導体素子。
  3. 【請求項3】第1導電型ベース層と、 この第1導電型ベース層の表面に形成された第2導電型
    エミッタ層と、 この第2導電型エミッタ層の表面上に形成されたドレイ
    ン電極と、 前記第1導電型ベース層における前記第2導電型エミッ
    タ層とは反対側の表面に選択的に形成された第2導電型
    ベース層と、 この第2導電型ベース層の表面に選択的に形成された第
    1導電型ソース層と、 この第1導電型ソース層と前記第2導電型ベース層とに
    接して形成されたソース電極と、 前記第1導電型ソース層と前記第2導電型ベース層と前
    記第1導電型ベース層との表面上にゲート絶縁膜を介し
    て形成されたゲート電極とを備えた半導体素子におい
    て、 オン状態のとき、前記第2導電型ベース層から注入され
    る第1導電型キャリアにより流れる電流Ichと、前記ド
    レイン電極から流入される全電流Iと、前記第1導電型
    ベース層における第1導電型キャリアの移動度μ1 及び
    第2導電型キャリアの移動度μ2 とが下記式の関係にあ
    ることを特徴とする半導体素子。 Ich/I>μ1 /(μ1 +μ2
  4. 【請求項4】前記μ1 /(μ1 +μ2 )は、0.745
    であることを特徴とする請求項3に記載の半導体素子。
  5. 【請求項5】第1導電型ベース層と、 この第1導電型ベース層の表面に形成された第2導電型
    エミッタ層と、 この第2導電型エミッタ層の表面上に形成されたドレイ
    ン電極と、 前記第1導電型ベース層における前記第2導電型エミッ
    タ層とは反対側の表面に選択的に形成された第2導電型
    ベース層と、 この第2導電型ベース層の表面に選択的に形成された第
    1導電型ソース層と、 この第1導電型ソース層と前記第2導電型ベース層とに
    接して形成されたソース電極と、 前記第1導電型ソース層と前記第2導電型ベース層と前
    記第1導電型ベース層との表面上にゲート絶縁膜を介し
    て形成されたゲート電極とを備えた半導体素子におい
    て、 前記ゲート電極の面積は、素子の有効面積の86%以上
    であることを特徴とする半導体素子。
  6. 【請求項6】第1導電型ベース層と、 この第1導電型ベース層の表面に形成された第2導電型
    エミッタ層と、 この第2導電型エミッタ層の表面上に形成されたドレイ
    ン電極と、 前記第1導電型ベース層における前記第2導電型エミッ
    タ層とは反対側の表面に選択的に形成された第2導電型
    ベース層と、 この第2導電型ベース層の表面に選択的に形成された第
    1導電型ソース層と、 この第1導電型ソース層と前記第2導電型ベース層とに
    接して形成されたソース電極と、 前記第1導電型ソース層と前記第2導電型ベース層と前
    記第1導電型ベース層との表面上にゲート絶縁膜を介し
    て形成されたゲート電極とを備えた半導体素子におい
    て、 前記ゲート電極からみた容量成分は、3×10-8[F/
    cm2 ]以上であることを特徴とする半導体素子。
  7. 【請求項7】絶縁性基板と、 この絶縁性基板の表面上に形成された第1導電型ベース
    層と、 この第1導電型ベース層の表面に選択的に形成された第
    1導電型バッファ層と、 この第1導電型バッファ層の表面に選択的に形成された
    第2導電型エミッタ層と、 この第2導電型エミッタ層の表面上に形成されたドレイ
    ン電極と、 前記第1導電型ベース層の表面に選択的に形成された第
    2導電型ベース層と、 この第2導電型ベース層の表面に選択的に形成された第
    1導電型ソース層と、 この第1導電型ソース層と前記第2導電型ベース層とに
    接して形成されたソース電極と、 前記第1導電型ソース層と前記第2導電型ベース層と前
    記第1導電型ベース層との表面上にゲート絶縁膜を介し
    て形成されたゲート電極とを備えた半導体素子におい
    て、 前記ゲート電極と前記第1導電型ベース層との対向する
    部分の長さが前記第1導電型ベース層の厚さよりも長
    く、 前記第1導電型ベース層の表面のキャリア分布の極小値
    が、前記ゲート電極よりも前記第1導電型バッファ層側
    にあることを特徴とする半導体素子。
  8. 【請求項8】第1導電型ベース層と、 この第1導電型ベース層の表面に形成された第2導電型
    エミッタ層と、 この第2導電型エミッタ層の表面上に形成されたドレイ
    ン電極と、 前記第1導電型ベース層における前記第2導電型エミッ
    タ層とは反対側の表面に形成された第2導電型ベース層
    と、 この第2導電型ベース層内に前記第1導電型ベース層に
    達する深さに形成された溝にゲート絶縁膜を介して埋込
    み形成されたゲート電極と、 前記ゲート絶縁膜に接するように前記第2導電型ベース
    層の表面に選択的に形成さされた第1導電型ソース層
    と、 この第1導電型ソース層と前記第2導電型ベース層とに
    接して形成されたソース電極とを備えた半導体素子にお
    いて、 オン状態のとき、前記第2導電型ベース層から注入され
    る第1導電型キャリアにより流れる電流Ichと、前記ド
    レイン電極から流入される全電流Iと、前記第1導電型
    ベース層における第1導電型キャリアの移動度μ1 及び
    第2導電型キャリアの移動度μ2 とが下記式の関係にあ
    ることを特徴とする半導体素子。 Ich/I>μ1 /(μ1 +μ2
  9. 【請求項9】前記第2導電型ベース層は、前記ゲート絶
    縁膜近傍における不純物濃度の最高値が5×1016cm
    -3以上であり、且つ前記ゲート絶縁膜に沿った長さが
    1.3μm以下であることを特徴とする請求項8に記載
    の半導体素子。
  10. 【請求項10】第1導電型ベース層と、 この第1導電型ベース層の表面に形成された第2導電型
    エミッタ層と、 この第2導電型エミッタ層の表面上に形成されたドレイ
    ン電極と、 前記第1導電型ベース層における前記第2導電型エミッ
    タ層とは反対側の表面に選択的に形成された第2導電型
    ベース層と、 この第2導電型ベース層の表面に選択的に形成された第
    1導電型ソース層と、 この第1導電型ソース層と前記第2導電型ベース層とに
    接して形成されたソース電極と、 前記第1導電型ソース層と前記第2導電型ベース層と前
    記第1導電型ベース層との表面上にゲート絶縁膜を介し
    て形成されたゲート電極とを備えた半導体素子のシミュ
    レーション方法において、 前記ドレイン電極から流入される全電流Iと前記第1導
    電型ベース層における第1導電型キャリアの移動度μ1
    及び第2導電型キャリアの移動度μ2 とを設定する設定
    工程と、 前記設定工程により設定される全電流Iに基づいて、前
    記第2導電型ベース層から注入される第1導電型キャリ
    アにより流れる電流Ichと前記全電流Iとの電流比Ich
    /Iを求めると共に、前記電流比Ich/I、前記移動度
    μ1 及び前記移動度μ2 に基づいて、前記第1導電型ベ
    ース層のキャリア密度分布を算出する第1の算出工程
    と、 前記第1の算出工程とは独立して与えられる前記第1導
    電型ベース層のキャリア密度分布及び前記半導体素子の
    表面構造に基づいて、電流比Ich/Iを算出する第2の
    算出工程と、 前記第1及び第2の算出工程による各々の算出結果を互
    いに無矛盾に整合させることにより、前記第1導電型ベ
    ース層のキャリア密度分布を算出するキャリア分布算出
    工程と、 前記キャリア分布算出工程により算出されるキャリア密
    度分布に基づいて、前記第2導電型ベース層から前記第
    2導電型エミッタ層に至る経路の前記第1導電型ベース
    層の抵抗Rbip を算出するオン抵抗算出工程とを含んで
    いることを特徴とする半導体素子のシミュレーション方
    法。
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