JP2008258550A - Igbtシミュレーション装置およびigbtシミュレーションプログラム - Google Patents

Igbtシミュレーション装置およびigbtシミュレーションプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】IGBTの動作を高精度でシミュレーションする。
【解決手段】IGBTにおける各電流IE、IC、IDrainを内部におけるP+(エミッタ)領域20と、N(ベース)領域18との接合部分における電位差VEBを用いて表し、IGBT内の電流についてのキルヒホッフの法則IE=IC+IDrainを利用して決定し、決定されたVEBを用い各電流IE、IC、IDrainを求める。また、過渡的な電流については、内部の蓄積電荷の変化量に基づいて、決定する。
【選択図】図2

Description

本発明は、電界効果トランジスタおよびバイポーラトランジスタを組み合わせて構成される3端子の半導体素子であるインシュレーテッドゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)の動作のシミュレーションに関する。
従来より、半導体素子の1つとして、インシュレーテッドゲートバイポーラートランジスタ(IGBT: Insulated Gate Bipolar Transister)が知られている。このIGBTは、3端子の半導体素子であり、大電力(例えば自動車用では500V/200Aなど)のスイッチングに用いられる。
このようなIGBTを用いる回路において、各種の条件において、動作を確認する必要があり、そのために回路シミュレータを用いたシミュレーションが行われる。
回路シミュレータでは、IGBTの動作については、IGBTの素子モデルを用いて、その動作を再現する。この素子モデルとして、ビヘイビアモデルや、物理モデル(Hefner Model)(非特許文献1参照)が知られている。
Kuang Sheng, Barry W. Williams, and Stephen J. Finney "A Review of IGBT Models" IEEE TRANSACTIONS ON POWER ELECTRONICS, VOL. 15, NO. 6, NOVEMBER 2000
ここで、このHefner Modelを用いた回路シミュレーションにより、特定のIGBTのターンオフ期間中の素子内部のキャリア分布の時間変化を調べたところ、このキャリア分布の時間変化は、そのIGBTをモデル化したデバイスシミュレーションの結果とかなり異なっていることがわかった。
これは、過渡状態における過剰キャリアに対する時間依存の拡散方程式(ambipolar diffusion equation)を近似的に解いたとき、過剰キャリアを位置に対する有限項(3次)の関数として表したためであると考えられる。そこで、過剰キャリア分布を無限級数で展開する方法も考えられるが、回路シミュレーションで行うには計算時間が膨大になり現実的でない。
本発明は、電界効果トランジスタおよびバイポーラトランジスタを組み合わせて構成される3端子の半導体素子であるインシュレーテッドゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)の動作をシミュレーションするIGBTシミュレーション装置において、前記IGBTのカソードへ排出されるホール電流と、アノードから流れ込むホール電流と、ゲート電極直下をカソードからベース領域に向けて流れるドレイン電流の3つの電流について、エミッタ領域とベース領域との間での電位差VEBによって決定されるとみなし、前記3つの電流についてキルヒホッフの法則を適用し、反復計算によって電位差VEBを求め、IGBTを1つの素子として、その動作全体シミュレーションし、準静的な状態における各電流を求めることを特徴とする。
また、IGBTのスイッチングの際に素子に流れる過渡的な電流を、時間遅れτと準静的な状態を仮定した定常状態での蓄積電荷QDC(t)および過渡的な蓄積電荷q(t)の関数である、f(τ,QDC(t),q(t))を用いて決定される素子内に蓄積される電荷量q(t)の時間変化dq(t)/dtとして計算し、得られた過渡的な電流を前記準静的な状態における電流に加えて各電流を求めるとともに、前記時間遅れτについて、前記電位差VEBを用いて表すことが好適である。
また、前記時間遅れτは、τ=W2/Dで表されることが好適である。ここで、WはIGBTの中性ベース領域幅であり、Dは中性ベース領域における過剰キャリア拡散係数である。
また、本発明は、コンピュータに、電界効果トランジスタおよびバイポーラトランジスタを組み合わせて構成される3端子の半導体素子であるインシュレーテッドゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)の動作をシミュレーションさせるIGBTシミュレーションプログラムにおいて、前記IGBTのカソードへ排出されるホール電流と、アノードから流れ込むホール電流と、ゲート電極直下をカソードからベース領域に向けて流れるドレイン電流の3つの電流について、エミッタ領域とベース領域との間での電位差VEBによって決定されるとみなし、前記3つの電流についてキルヒホッフの法則を適用し、反復計算によって電位差VEBを求め、IGBTを1つの素子として、その動作全体シミュレーションさせ、準静的な状態における各電流を求めさせることを特徴とする。
本発明では、素子のアノードから流れ込むホール電流、カソードへ排出されるホール電流およびベース領域に流れ込むドレイン電流(=ベース電流)について、エミッタベース間電圧VEBを用いて表し、これら電流についてキルヒホッフ法則を適用して時間に依存しない状態における各電流を求める。従って、これら電流の定常解(準静的な解)をIGBTの動作を1つの素子モデルとして、シミュレーションして解析的に厳密解として求めることができる。
また、過渡的な蓄積電荷の時間変化を、素子内に蓄積される電荷量の時間変化dq(t)/dtに基づいて求め、これを前記準静的な電流に加えてシミュレーションする。従って、無限級数で展開するというような計算は不要であり、計算速度を犠牲にすることなく高精度な計算が可能になり、デバイス構造の最適化が可能になる。
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1には、IGBTの等価回路図を示してある。アノード端子には、バイポーラ型のPNPトランジスタBJTのエミッタが接続され、このトランジスタBJTのコレクタはカソード端子に接続されている。トランジスタBJTのベースには、NチャネルのMOSトランジスタMOSFETのドレインが接続され、このトランジスタMOSFETのソースはカソードに接続されている。そして、トランジスタMOSFETのゲートにゲート端子が接続されている。なお、三端子素子としてのIGBTにおいては、アノードが接続される領域をコレクタ、カソードが接続される領域をエミッタと称するが、本明細書では、コレクタ、エミッタは、基本的にトランジスタBJT(PNP)におけるコレクタ、エミッタをいうこととする。
ゲート端子への電圧印加によって、トランジスタMOSFETのドレイン電流IDrainのトランジスタBJTのベースへの供給が制御され、これによってトランジスタBJTのコレクタ電流IC、エミッタ電流IEが制御される。すなわち、トランジスタBJTのエミッタ側よりホールが注入され、コレクタ側に向けて流れる。トランジスタBJTのコレクタ部では、MOS電流(電子電流)が注入され、コレクタ電流が排出される。
図2に、1つのIGBTの構成を模式的に示す。この図においては、全体を長方形として示してある。上端部には、カソード10が設けられている。このカソード10の下には、左側のP+領域12、その右側のN+領域14の2層が積層配置されている。このP+領域12とN+領域14の2領域の下側には、P−(body)領域16が配置されている。さらに、このP−領域の下方には、N−(Base)領域18が配置され、その下方にP+(Collector)領域20が配置されている。そして、P+領域20の下にアノード22が設けれている。
また、N+領域14およびP−領域16の右側と、N−領域18の右上隅には、ゲート絶縁膜24を介しゲート電極26が設けられている。
このようなIGBTにおいて、カソード10、アノード22間に所定の電圧を印加する。例えば、カソード10をアースに接続し、アノード22を+500Vとする。そして、ゲート電極26に所定の正の電圧、例えば15Vを印加する。
ゲート電極26への正電圧の印加によって、ゲート電極26の下方(左側)のP−領域16の上層部(右側)には、空乏層が発生し、N+領域14からN−領域18に向けてドレイン電流(電子)IDrainが流れる。このドレイン電流IDrainは、BJT部におけるベース領域に流れ込み、ベース電流と考えることができる(IDrain=IBase)。そして、このドレイン電流IDrainに応じて、アノード22からP+領域12にホール電流ICが流れ、カソード10からP+領域20に電子電流IEが流れる。なお、電子電流IEは、再結合によりN−領域18で消滅する。
「準静的な状態」
まず、準静的な状態において、各端子電圧を与え、それに応じたIE、IC、IDrainを導出する。この導出は、キルヒホッフの電流則より、IE−IC=IDrainが成り立つことを利用する。
ここで、本実施形態においては、エミッタ電流IEおよびコレクタ電流ICを素子内部電位であるVEBの関数で表す。また、exp[qVCB/kT]≒0とみなす近似を用いることにより、エミッタ電流IE、コレクタ電流ICは、素子内部電位VEBの関数として表される(eq.1,eq.2)。
ここで、上記式における各変数は次の通りであり、素子構造(拡散濃度,素子寸法,結晶性等キャリア拡散長を決定する製造要因)などの設定条件によって決定される。
A:素子の活性領域面積
q:素電荷(1.6×10−19C)
B:BJT部(PNP)ベース領域(IGBT N−Drift領域)少数キャリア拡散係数
C:BJT部(PNP)コレクタ領域(IGBT P−Body領域)少数キャリア拡散係数
E:BJT部(PNP)エミッタ領域(IGBT コレクタ領域)少数キャリア拡散係数
B:BJT部(PNP)ベース領域(IGBT N−Drift領域)少数キャリア拡散長
C:BJT部(PNP)コレクタ領域(IGBT P−Body領域)少数キャリア拡散長
E:BJT部(PNP)エミッタ領域(IGBT コレクタ領域)少数キャリア拡散長
k:ボルツマン定数(1.38×10−23J/K=8.62×10−5eV/K)
B:ベース領域不純物濃度
C:BJT部(PNP)コレクタ領域(IGBT P−Body領域)不純物濃度
E:BJT部(PNP)エミッタ領域(IGBT コレクタ領域)不純物濃度
ここで、上記式中のWは中性ベース幅であり、エミッタ−ベースジャンクション幅WBから空乏層幅Wdepletionを引いた以下の関係式で表される。
ここで、
W:中性ベース幅
B:IGBTのBJT部(PNP)トランジスタ部ベース幅(エミッタ−コレクタ間ジャンクション幅)
depletion:空乏層幅
q:素電荷(1.6×10−19C)
εSi:シリコンの比誘電率(11.9)
ε0:真空の誘電率(8.854×10−12 F/m)
A:P−Body不純物濃度
D:IGBTのBJT部(PNP)トランジスタ部ベース不純物濃度
base-injection:IGBTのBJT部(PNP)トランジスタ部ベース領域に注入される正孔濃度
n:IGBTのBJT部(PNP)トランジスタ部ベース領域に注入される電子濃度
i:真性半導体キャリア濃度
bi:IGBTのPNP トランジスタ部ベース−コレクタ間拡散電位
anode:アノード電圧(IGBTコレクタ電圧)
EB:IGBTのBJT部(PNP)トランジスタ部エミッタ−ベース間電位差
を表す。
また、IGBTのBJT部(PNP)トランジスタ部のベース領域に注入されるMOS電流は以下のように表される。
ここで、VDrainは、次式で表される。
ここで、
Z:ゲート幅
L:ゲート長
μ:移動度
ox:ゲート絶縁膜容量
g:ゲート電圧
th:閾値電圧
δ:ドリフト−拡散近似に基づく係数
p:IGBTのp−body(MOSの基板)側空乏層幅
を示す。
このように、IGBTにおけるコレクタ電流IC、エミッタ電流IE、ドレイン電流IDrainが、BJTのベースエミッタ間電圧VEBを用いて表される。そして、これら電流には、キルヒホッフの法則が適用される。そこで、IE=IC+IDrainが成り立つように繰り返し計算(反復計算)を行い、VEBを求め、求められたVEBに基づいて各電流の値を得ることができる。
「過渡的状態」
過渡的な電流I(t)は、主電極間(コレクタ-エミッタ間)に定常的に流れる伝導電流IDCと素子内部電荷の時間変化dq(t)/dtの和で表されると仮定する。
I(t)=IDC+dq(t)/dt
ここで、q(t)は素子内部の蓄積電荷及び誘起された電荷を表す。
また、過渡的な電荷q(t)の時間変化dq(t)/dtは、時間遅れτで追随するものと仮定し、時間変化dq(t)/dtを時間遅れτと準静的な状態を仮定した定常状態での電荷QDC及び過渡的な電荷q(t)の関数として表す。
dq(t)/dt=f(τ,QDC(t),q(t))
そして、このdq(t)/dt=f(τ,QDC(t),q(t))を差分化した漸化式で計算する。
例えば、下記のいずれかの式を利用して時間変化dq(t)/dtを得る。
{dq(ti)−dq(ti-1)}/dt
=f(τ,QDC(ti),q(ti))
または、
{dq(ti)−dq(ti-1)}/dt
=f(τ,QDC(ti),q(ti-1))
これによって、時間遅れτで追従する過渡的な電荷q(t)の時間変化dq(t)/dtを計算することができる。
このように、本実施形態では、準静的な状態におけるIDCを求めるとともに、それとは別に過渡的な電流dq(t)/dtを求め、これを加算することで電流I(t)=IDC+dq(t)/dtを求める。
従来のIGBT物理モデル(Hefner Model)は、基礎方程式の一つである時間に依存する過剰キャリアの拡散方程式(ambipolar diffusion equation)を近似的に解いたものである。
一方、本実施形態では、準静的状態(定常状態)での電流を時間に依存しない過剰キャリアの拡散方程式から解析的に求め、過渡的な電荷の時間変化を定常電流に加える方法で計算する。即ち、直接素子内部の過渡的な「過剰キャリア分布」を計算せず、「電荷(過剰キャリア分布を積分した結果)」を用いる。その結果、従来モデルよりパラメータ数の削減が出来る為、パラメータ抽出が容易になる。
また、本実施形態の素子モデルは物理モデルであり、フィッティングパラメータを多数含むような挙動モデル(ビヘイビアモデル)ではない。従って、素子構造を決定すると単体の素子特性が計算出来るため、素子構造と回路設計の最適設計が可能となる。
ここで、図3には、ターンオフ時のおけるベース内のホール分布を示す。縦軸はホール密度、横軸はコレクタベース境界からの距離である。図中破線で示した三角形で示した部分が、上述の準静的状態(定常状態)におけるホールの分布である。定常近似の例では、ターンオフ(あるいはターンオン)時におけるベース部分におけるホールの分布は、破線で示した三角のエリアで決定される量(Q(ti))となる。
一方、ターンオフ時においては、過渡的なキャリアの蓄積が生じる。この過渡的なキャリアについて、キャリアの拡散方程式を用い、IGBT全体に流れる電流と同時に解くことは理論的には可能であるが、その場合には無限級数展開が必要であり、実用的ではない。また、近似的にとくと、上述した従来例のように、十分な解が得られない。
本実施形態では、このq(t)の時間変化を静的な状態とは分離し、追従遅延時間τを与え、静的な蓄積電荷Q(t)および過渡的な蓄積電荷q(t)に応じた関数f(τ,QDC(ti),q(ti))によって、過渡的な蓄積電荷の時間変化dq(t)/dtを決定する。従って、拡散方程式を解く場合に比べ、簡単な計算によって、正確な電流を得ることができる。
図4には、本実施形態における静特性の計算処理のフローチャートを示してある。まず、各電極の電極電位を設定する(S11)。エミッタ電極が接続される電源電圧(Vanode),ゲート電圧(Vg)を例えば500V、15V等と設定する。なお、コレクタ電圧は通常0Vである。また、上述の数式において、必要な素子についての各種の条件もここで設定する。次に、素子内部電位(VEB)の初期値を設定する(S12)。例えば、0.6V等の値を設定する。
そして、設定された条件の下で、素子内部電流成分を計算する(S13)。すなわち、上述のeq.1,2,5により、IE,IC,IDrainを計算する。次に、キルヒホッフの法則が法則による検証を行い(S14)、誤差が許容範囲内かを判定する(S15)。すなわち、IE−IC−IDrainがほぼ0か否かを判定する。
S15判定で、誤差が許容範囲内でなかった場合には、素子内部電位VEBを更新し、S13に戻り、これをS15の判定でYesになるまで繰り返す。そして、S15の判定でYesとなったら、主電流IEの値を出力する。このように、入力した条件に応じたIGBTの動作がシミュレーションされる。
図5には、過渡特性の計算処理のフローチャートを示してある。まず、時刻t=0におけるゲート電圧Vg(t=0)、VAnode(t=0)に対する定常状態の蓄積電荷量QDC(t=0)を求める(S21)。ここで、QDC(t=0)は、ベース中性領域における電荷(キャリア)分布PBaseneutral(中性領域をneutralと表記した)と、コレクタ−ベースの空乏層における電荷QC(t=0),QB(t=0)である。
ここで、定常状態における中性ベース領域の蓄積電荷量QDCは、VEBの関数として、次のように表される。
DC=APBB{exp(qVEB/kT)−2}tanh(W/2LB
ここで、
A:素子の活性領域面積
B:ベース領域少数キャリア拡散係数
B:ベース領域少数キャリア拡散長
k:ボルツマン定数
B:ベース領域不純物濃度
q:素電荷
W:中性ベース領域幅
である。
ここで、蓄積電荷量QDCの導出について簡単に説明する。蓄積電荷量QDCは、定常状態の過剰キャリア分布を中性ベース領域で積分することによって得られる。P(x)を過剰キャリア濃度とすると、定常状態でのP(x)は、次のように表される。
蓄積電荷量QDCは、この過剰キャリア濃度を中性ベース領域で積分することによって得られるため、次式で表される。
次に、t=tiにおけるVg(t=ti),VAnode(t=ti)を入力し、この条件で、定常状態の電荷分布p(x)を求める(S22)。この電荷分布は、上述のPBaseneutralの求め方と同じである。
そして、ホール分布のBase中性領域における積分を計算し、Base中性領域での定常状態のホール電荷量Qp(ti)を求める(S23)。
p(ti)=∫pDC(x)dx [Base中性領域]
次に、時刻tiにおけるQC(ti),QB(ti)を求め(S24)、これらの和からQDC(ti)=QC(ti)+QB(ti)+Qp(ti)を求める(S25)。
次に、遅延時間τを計算する(S26)。
遅延時間τは、単なる定数ではなく、PNPエミッタ・ベース間電位VEBの関数であり、次の式により計算する。
W(VEB)=WB−Wdepletion=√(Dτ)
すなわち、
τ=[W(VEB)]2/D
である。ここで、W:中性ベース領域幅、Wdepletion:空乏層幅、WB:PNPベース幅、D:中性ベース領域における過剰キャリア拡散係数である。
そして、この遅延時間τを用いて、漸化式を用いて過渡的な電荷量q(ti)を求める。すなわち、dq(t)/dt=(1/τ)(Q(t)−q(ti))を漸化式で表し、
q(ti)={q(ti-1)+((ti-ti-1)/τ)Q(ti)}/(1+(ti-ti-1)/τ)
により、時刻tiにおける電荷量q(ti)を求める(S26)。
S26の後に、時刻tiが予め決定しておいた時刻Tをより小さいかを判定し(S27)、Yesの場合にはS22に戻り、時刻を進めての計算を行い、S27においてNOとなるまで(時刻がTに至るまで)、計算を行う。
これによって、各時刻におけるq(ti)が得られ、この変化dq(t)/dtから、過渡状態における電流が得られ、従って過渡的特性を含めたI(t)=IDC(t)+dq(t)/dtが得られる。
このように、本実施形態では、時間に依存しない拡散方程式によって定常解を解析的に厳密解として求め、過渡的なキャリアの時間変化を定常解に加える方法を採っている。さらに、過渡的な電荷の時間変化を遅れτ、準静的な状態を仮定した定常状態での電荷QDC及び過渡的な電荷q(t)の関数として表しているので、準定常近似から大きな変更なくダイナミックな応答を計算できる。その結果、計算速度を犠牲にすることなく高精度な計算が可能になる。
IGBTの等価回路図である。 IGBTの構成を模式的に示す図である。 IGBT内におけるホール蓄積状態を示す図である。 静特性の計算処理のフローチャートである。 過渡特性の計算処理のフローチャートである。
符号の説明
10 カソード、12 P+領域、14 N+領域、16 P−領域、18 N−領域、20 P+領域、22 アノード、24 ゲート絶縁膜、26 ゲート電極。

Claims (4)

  1. 電界効果トランジスタおよびバイポーラトランジスタを組み合わせて構成される3端子の半導体素子であるインシュレーテッドゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)の動作をシミュレーションするIGBTシミュレーション装置において、
    前記IGBTのカソードへ排出されるホール電流と、アノードから流れ込むホール電流と、ゲート電極直下をカソードからベース領域に向けて流れるドレイン電流の3つの電流について、エミッタ領域とベース領域との間での電位差VEBによって決定されるとみなし、前記3つの電流についてキルヒホッフの法則を適用し、反復計算によって電位差VEBを求め、IGBTを1つの素子として、その動作全体シミュレーションし、準静的な状態における各電流を求めることを特徴とするIGBTシミュレーション装置。
  2. 請求項1に記載のIGBTシミュレーション装置において、
    IGBTのスイッチングの際に素子に流れる過渡的な電流を、時間遅れτと準静的な状態を仮定した定常状態での蓄積電荷QDC(t)および過渡的な蓄積電荷q(t)の関数である、f(τ,QDC(t),q(t))を用いて決定される素子内に蓄積される電荷量q(t)の時間変化dq(t)/dtとして計算し、得られた過渡的な電流を前記準静的な状態における電流に加えて各電流を求めるとともに、
    前記時間遅れτについて、前記電位差VEBを用いて表すことを特徴とするIGBTシミュレーション装置。
  3. 請求項2に記載のIGBTシミュレーション装置において、
    前記時間遅れτは、τ=W2/Dで表されることを特徴とするIGBTシミュレーション装置。
    ここで、WはIGBTの中性ベース領域幅であり、Dは中性ベース領域における過剰キャリア拡散係数である。
  4. コンピュータに、電界効果トランジスタおよびバイポーラトランジスタを組み合わせて構成される3端子の半導体素子であるインシュレーテッドゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)の動作をシミュレーションさせるIGBTシミュレーションプログラムにおいて、
    前記IGBTのカソードへ排出されるホール電流と、アノードから流れ込むホール電流と、ゲート電極直下をカソードからベース領域に向けて流れるドレイン電流の3つの電流について、エミッタ領域とベース領域との間での電位差VEBによって決定されるとみなし、前記3つの電流についてキルヒホッフの法則を適用し、反復計算によって電位差VEBを求め、IGBTを1つの素子として、その動作全体シミュレーションさせ、準静的な状態における各電流を求めさせることを特徴とするIGBTシミュレーションプログラム。
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