JPH0878014A - 鉛蓄電池の製造法 - Google Patents

鉛蓄電池の製造法

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JPH0878014A
JPH0878014A JP6209680A JP20968094A JPH0878014A JP H0878014 A JPH0878014 A JP H0878014A JP 6209680 A JP6209680 A JP 6209680A JP 20968094 A JP20968094 A JP 20968094A JP H0878014 A JPH0878014 A JP H0878014A
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章二 堀江
Wakichi Yonezu
和吉 米津
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、鉛蓄電池の製造法に関するもので
あり、電池の極低温における高率放電特性を改善するこ
とを目的とするものである。 【構成】 正極または/および負極にエキスパンド極板
を用いた鉛蓄電池であって、その極板の表面に配置した
ペースト紙の湿潤強度を0.5kg/mm2以下とした
構成である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、化成直後の高率放電特
性、特に極低温での特性劣化を改善した鉛蓄電池の製造
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】正極または/および負極格子体に鉛−錫
−カルシウム系合金を用いた鉛蓄電池は、自己放電が少
なく、保存特性に優れているなどの特徴を有し、その保
守の容易さから、様々な用途に用いられている。このよ
うな電池において、鉛−錫−カルシウム系合金を圧延加
工してシート状とした後、これをエキスパンド加工して
なるエキスパンド格子体を用いて極板を製造する方法が
広く用いられている。
【0003】一方、このエキスパンド格子体を用いた極
板を製造する工程では、格子体に活物質ペーストを充填
する際、ペースト紙と呼ばれるセルロースを主体とする
極薄い(0.03〜0.05mm程度)厚さの抄紙が前
記極板の表裏両面に配置される。これは、ペーストを充
填した後に、所定の大きさに切断した極板を複数枚積み
重ねて熟成乾燥させるので、その際に極板相互が付着し
てしまうことを防止し、活物質を保持するためである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来、ペースト紙は、
湿潤強度が0.7kg/mm2を越えるものが一般的に
用いられており、これを両面に配置した極板を用いて精
成した電池に希硫酸を注入して電槽内化成した直後は、
単にペースト紙が膨潤した状態で極板表面に付着し、残
留している。これは、湿潤強度剤と呼ばれる高分子樹脂
を原料パルプに添加することにより、本来の繊維どうし
の絡まりによる強度よりも強くなっているためである。
その後は、電池が放置または充放電されることによっ
て、高分子樹脂である湿潤強度剤および繊維のセルロー
スが、硫酸中で徐々に酸化されて分解し、最終的には電
解液中に溶解されてしまうが、完全に溶解するまでには
6ヵ月から1年程度を要するものである。このため、化
成して間もない状態では、極板表面に残留したペースト
紙によって活物質への硫酸の供給が阻害され、高率放電
特性を低下させてしまう。特に、極低温(−30℃)と
いう条件下では硫酸の粘性が高いため、ペースト紙が硫
酸の供給を阻害する悪影響が、より顕著に現れる。
【0005】本発明は上記課題を解決するもので、高率
放電特性に優れ、極低温においても特性が著しく悪化し
ない鉛蓄電池の製造法を提供することを目的としてい
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、鉛−錫−カルシウム系合金からなるエキス
パンド格子体を正極または/および負極に用いた鉛蓄電
池の製造法であって、前記エキスパンド格子体にペース
トを充填する工程において用いるペースト紙の湿潤強度
が0.5kg/mm2以下である構成である。
【0007】また、原料パルプの繊維長を1〜3mmと
するペースト紙を用いる場合や、湿潤強度剤としてポリ
アミドアミン・エピクロルヒドリン樹脂を用いる場合
は、その添加量を対パルプ比で0.2重量%以下とした
ペースト紙を用いる場合が特に効果的である。
【0008】
【作用】本発明は上記した構成により、繊維どうしの絡
まりの程度が抑えられて電解液である硫酸中で分散しや
すくなると共に、湿潤強度剤による繊維と繊維の結合部
位が少なくなっており、樹脂の酸化分解によってこの結
合が容易に切断される。このため、電槽内化成した直後
においてもペースト紙が極板表面に残存するものの、繊
維がほぐれて分散しつつある状態となるため、極板の活
物質への硫酸の供給をほどんど阻害することがない。そ
の結果、高率放電特性の向上、特に極低温下での特性低
下を抑えることができるものである。
【0009】
【実施例】以下、本発明の一実施例について図面を参照
しながら説明する。
【0010】図1は、鉛−錫−カルシウム系合金からな
る鉛合金シートをエキスパンド加工して網目状に展開し
た格子体1を用い、これにペースト2を充填する際、ペ
ースト紙3を上下の両面に配置した極板の部分断面図で
あり、2種類のペースト紙AならびにBを用いて正極、
負極各々2種類を作成した。ここで、ペースト紙Aは、
湿潤強度が約0.3kg/mm2であり、湿潤強度剤と
してポリアミドアミン・エピクロルヒドリン樹脂を対原
料パルプ比で0.1重量%添加し、平均繊維長が約2m
mのパルプを原料に用いて抄紙したもので、その坪量は
約15g/m2、厚みが約0.03mmである。一方、
ペースト紙Bは、湿潤強度が約1.0kg/mm2であ
り、Aと同一の湿潤強度剤を0.4重量%添加し、平均
繊維長が約3mmのパルプを原料に用いて抄紙したもの
で、その坪量、厚みはともにAとほぼ同一である。
【0011】次に、未化成の正極板ならびに負極板を用
いて極板群を構成し、これを電槽に収納して蓋を取り付
けた後に電解液を注入して電槽内化成を行い、公称仕様
12V48Ahの自動車用鉛蓄電池をA、B2種類作成
した。ここで、電池Aはペースト紙Aを付与した未化成
の正極板ならびに負極板から構成され、電池Bはペース
ト紙Bからなる正極板ならびに負極板から構成されてい
る。従って、電池Aは本発明の一実施例であり、電池B
は従来例である。これらの電池を用いて、−30℃にお
ける高率放電特性を測定した結果を(表1)に示す。
【0012】
【表1】
【0013】(表1)の結果から、低温での高率放電特
性において電池Aは、電池Bの2倍以上の特性を有して
いることが明らかである。
【0014】一方、これらA、Bの電池のついて化成直
後の極板の状態を調査したところ、電池Bの極板表面に
は、ペースト紙がほとんど原形を留めており、単に硫酸
で膨潤しただけの状態で極板全面に付着していたが、電
池Aでは、ペースト紙の一部はほぐれて分散し、極板か
ら脱落しており、残存している部分も繊維がほぐれて分
散しつつある状態であった。これは、本実施例の電池A
のようにペースト紙の湿潤強度を0.3kg/mm2
することによって、化成直後においても既にペースト紙
の繊維の分散あるいは電解液である硫酸中への溶解が進
行し、放電時の極板への硫酸の供給を阻害しないため、
極低温における高率放電特性が向上したものである。
【0015】次に、平均繊維長1mm、2mm、3mm
および4mmの原料パルプからなる4種のペースト紙を
作成し、上記電池A、Bと同じように電池を作成し、−
30℃における高率放電特性を測定した。その結果を図
2に示す。
【0016】繊維長が4mmの場合、湿潤強度が0.5
kg/mm2を越えてしまい、また、図2から明らかな
ように、繊維長が3mmを越えると特性低下が大きくな
ることから3mm以下のものを用いることが望ましいこ
とがわかる。ただし、繊維長が1mm未満では抄紙機に
よる抄紙が困難となるため、繊維長は1〜3mmとする
ことが望ましい。
【0017】つぎに、湿潤強度剤としてポリアミドアミ
ン・エピクロルヒドリン樹脂を用い、その添加量を対原
料パルプ比で0.1重量%、0.2重量%、0.3重量
%、0.4重量%とした4種のペースト紙および湿潤強
度剤を添加しないペースト紙の合計5種類を作成し、こ
れらのペースト紙を用いて上記電池A、Bと同じように
電池を作成し、−30℃における高率放電特性を測定し
た結果を図3に示す。
【0018】この結果より、放電特性上からは湿潤強度
剤の添加量は0.2重量%以下とすることが望ましいこ
とがわかる。なお、ペースト紙の湿潤強度剤は、ポリア
ミドアミン・エピクロルヒドリン樹脂の他にも、メラミ
ン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアムデヒド樹
脂等が考えられ、これらの樹脂についても、ペースト紙
の湿潤強度を0.5kg/mm2以下とするような添加
量ならば用いることができる。
【0019】なお、上記実施例では、正極板ならびに負
極板共に、ペースト紙を配置した極板を用いたものであ
るが、正、負いずれか片方の極板に用いた場合、例え
ば、正極板がペースト紙を用いないアンチモン系鉛合金
の鋳造式極板、負極板にペースト紙を配置したエキスパ
ンド格子体を用いた極板からなる構成のハイブリッドタ
イプの鉛蓄電池の場合であっても、上記のような極低温
での高率放電特性を改善できるものである。
【0020】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によればエキスパンド格子体を用いた極板からなる鉛蓄
電池の製造工程において、湿潤強度が0.5kg/mm
2以下であるペースト紙を用いることにより、電槽内化
成の直後であっても、極板表面に残存するペースト紙の
ほぐれ分散が向上するので、特に−30℃と言ったよう
な極低温においても、優れた高率放電特性を有する鉛蓄
電池を実現できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるエキスパンド格子体を
用いた極板の表面にペースト紙を配置した状態の部分断
面図
【図2】ペースト紙の平均繊維長と−30℃における高
率放電特性との関係を示す図
【図3】ペースト紙中への湿潤強度剤の添加量と−30
℃における高率放電特性との関係を示す図
【符号の説明】
1 エキスパンド格子体 2 ペースト 3 ペースト紙

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鉛−錫−カルシウム系合金からなるエキス
    パンド格子体を正極または/および負極に用いた鉛蓄電
    池の製造法であって、前記エキスパンド格子体にペース
    トを充填する工程において用いるペースト紙の湿潤強度
    が0.5kg/mm2以下であることを特徴とする鉛蓄
    電池の製造法。
  2. 【請求項2】ペースト紙の原料パルプは平均繊維長が1
    mm〜3mmである請求項1記載の鉛蓄電池の製造法。
  3. 【請求項3】ペースト紙に、湿潤強度剤としてポリアミ
    ドアミン・エピクロルヒドリン樹脂を、原料パルプに対
    して0.2重量%以下添加したことを特徴とする請求項
    1または請求項2記載の鉛蓄電池の製造法。
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