JP7331410B2 - 液式鉛蓄電池用セパレータおよび液式鉛蓄電池 - Google Patents

液式鉛蓄電池用セパレータおよび液式鉛蓄電池 Download PDF

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Description

本発明は、液式鉛蓄電池用セパレータおよび液式鉛蓄電池に関する。
鉛蓄電池は、車載用、産業用の他、様々な用途で使用されている。鉛蓄電池は、正極板および負極板と、これらの間に介在するセパレータと、電解液と、を備えている。鉛蓄電池のセパレータには、様々な性能が要求される。
鉛蓄電池の高出力化に伴い、電極群を構成する電極の厚さは薄く、かつ電極枚数は多くなってきている。そのため、例えば、電極板が変形すると、電極板の端部がセパレータと強く接触し、そのような接触点を起点にデンドライトが成長して浸透短絡を生じ得る。
一方、特許文献1は、正極板と、負極板と、前記正極板と前記負極板との間に配置されたセパレータと、を備えた鉛蓄電池であって、前記セパレータは、ベース部と、前記ベース部の前記負極板と相対する負極面に設けられた負極リブと、前記ベース部の両側に配置された側端部と、を有し、前記側端部は、少なくとも一部に前記ベース部より厚い厚肉部を有し、前記負極板の両端は、前記負極板の厚さ方向から見て、前記厚肉部の幅内に位置している、鉛蓄電池を提案している。
また、特許文献2は、第1のリブと、当該第1のリブを支持するベース部と、を有するセパレータを提案している。セパレータは、第2のリブを更に有する長尺のセパレータであってもよく、ベース部が、第2のリブを支持しており、第1のリブ及び第2のリブが、セパレータの長手方向に延びており、セパレータの短手方向における両端部のそれぞれが第2のリブを10~40本含み、両端部の間の領域が第1のリブを含む態様であってもよいとされている。
特開2017-33660号公報 特開2019-33091号公報
特許文献1の構成によれば、浸透短絡を抑制することは可能であるが、電極板の底部付近では電極板の端部がセパレータを貫通して短絡を生じることがある。以下、このような短絡モードを底部短絡と称する。充放電の繰り返しに伴い、電極板から電極材料の一部が脱落することがある。電極板の底部付近のベース部と厚肉部との境界付近には、脱落した電極材料が滞留しやすく、セパレータの酸化劣化が生じやすい環境である。また、ベース部と厚肉部との境界付近の段差部には、電極板の端部から加えられる応力が集中しやすい。そのため特に段差部を起点とした底部短絡が生じやすいものと考えられる。特にエンジンの始動回数が多く、大電流放電が繰り返されるアイドリングストップシステム車(以下、ISS車とも称する。)では、底部短絡の可能性が高くなる。
特許文献2の構成によれば、鉛蓄電池が横方向に振動した際に、電極板の角がセパレータを突き破って短絡することが抑制され得る。しかし、鉛蓄電池が横方向に振動した際の電極板の移動を抑制することが困難であり、電極板がセパレータに与える負荷が大きく、やはりセパレータの突き破りによる底部短絡を生じることがある。
本発明の一側面は、主要部と、前記主要部の両端に位置する一対の側部と、を有し、前記一対の側部が、それぞれ、前記主要部に隣接する内側領域と、前記内側領域に隣接する外側領域と、を有し、前記主要部は、第1ベース部と、前記第1ベース部の一方側の表面から突出する複数の主リブと、を有し、前記内側領域は、第2ベース部と、前記第2ベース部の前記一方側の表面から突出する複数の第1ミニリブと、を有し、前記外側領域は、少なくとも第3ベース部を有し、前記第3ベース部の厚みは、前記第1ベース部および前記第2ベース部の厚みよりも大きく、前記主リブの前記第1ベース部の前記表面からの高さは、前記第1ミニリブの前記第2ベース部の前記表面からの高さよりも大きい、液式鉛蓄電池用セパレータに関する。
液式鉛蓄電池において、電極板の底部付近で電極板の端部がセパレータを貫通することで生じ得る短絡(すなわち、底部短絡)を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係るセパレータの外観の平面模式図(a)およびそのI-I線における断面模式図(b)である。 本発明の一実施形態に係るセパレータと一対の電極板との位置関係を示す平面模式図(a)およびそのII-II線における断面模式図(b)である。 本発明の一実施形態に係る液式鉛蓄電池の外観と内部構造を示す一部切り欠き斜視図である。
本発明の上記側面に係る液式鉛蓄電池用セパレータは、主要部と、主要部の両端に位置する一対の側部とを有する。一対の側部は、それぞれ、主要部に隣接する内側領域と、内側領域に隣接する外側領域とを有する。主要部は、第1ベース部と、第1ベース部の一方側の表面から突出する複数の主リブとを有する。内側領域は、第2ベース部と、第2ベース部の一方側の表面から突出する複数の第1ミニリブとを有する。外側領域は、少なくとも第3ベース部を有する。なお、各ベース部の一方側の表面とは、正極板および負極板のいずれか一方と対向する側の表面をいう。このとき、正極板および負極板の他方と対向する各ベース部の表面は、他方側の表面という。
ベース部とは、セパレータの構成部位のうち、主リブ、ミニリブ等の突起を除く部分であり、セパレータの外形を画定するシート状の部分をいう。
セパレータは、平坦面に広げて載置した場合、通常、概ね矩形であり、4つの主要な辺を有する。通常の使用状態における液式鉛蓄電池において、電池内に収容されたセパレータの底部側の辺から電解液の液面側の辺に向かう方向(もしくはその逆方向)となす角度が90°±10°の方向を第1方向とする。なお、液式鉛蓄電池の底部側の辺から電解液の液面側に向かう方向(もしくはその逆方向)は第2方向とする。第2方向は、鉛蓄電池を通常の使用状態で置いたときの鉛直方向に平行な方向である。第1方向は、通常の使用状態における液式鉛蓄電池の互いに対向する一方の側面側の辺から他方の側面側の辺に向かう方向に対応する。この場合、一対の側部が位置する主要部の両端とは、主要部の第1方向における両端を意味する。
ここで、第3ベース部の厚みT3は、第1ベース部の厚みT1および第2ベース部の厚みT2よりも大きくなっている。すなわち、セパレータの各側部は、厚みの異なる第2ベース部と第3ベース部とを有する。少なくとも第2ベース部には、ミニリブ(第1ミニリブ)が形成されている。ただし、主リブの第1ベース部の表面からの高さは、第1ミニリブの第2ベース部の表面からの高さよりも大きい。
通常、主リブの先端は第1ミニリブの先端よりも電極板に向かって出っ張っており、かつ主リブ間のピッチは第1ミニリブ間のピッチよりも大きい。このような第1ミニリブを設けることで、電極板の端部もしくは角部とセパレータの側部との滑り性を向上させる役割を果たす。また、第1ミニリブは、電極板の端部もしくは角部が第2ベース部を直接的に圧迫することを抑制するとともに、第2ベース部と第3ベース部との境界付近に電極板の端部から加えられる応力を分散させるため、底部短絡および浸透短絡が生じにくくなる。更に、第3ベース部の厚みを大きくすることで、鉛蓄電池が横方向に振動する場合でも、電極板のセパレータに対する移動が制限されるため、セパレータに与えられる負荷もしくは衝撃が小さくなり、底部短絡が抑制されやすくなる。さらに、第1ミニリブは、第2ベース部と第3ベース部との境界付近に脱落した電極材料が滞留することを抑制し、第2ベース部の酸化劣化を抑制する作用も有する。これにより、ISS車に用いる鉛蓄電池においても、浸透短絡が生じにくくなるとともに、電極板の底部付近で電極板の端部がセパレータを貫通して短絡を生じること(すなわち、底部短絡)が顕著に抑制される。
第3ベース部の厚みT3は、例えば0.25mm~0.35mmであればよく、0.255mm~0.330mmであってもよい。T3を0.25mm以上もしくは0.255mm以上にすることで、セパレータの底部短絡を抑制する効果が大きくなる。また、T3を0.35mm以下もしくは0.330mm以下にすることで、部分的にセパレータの厚みが大きくなることによる鉛蓄電池の内部抵抗の増加も極力制限することができる。更に、セパレータの製造不良も生じにくくなり、セパレータの高品質を維持しやすくなる。
一方、第1ベース部の厚みT1は、例えば0.10mm~0.24mmであればよく、0.15mm~0.20mmであってもよい。T1を0.24mm以下もしくは0.20mm以下とすることで、鉛蓄電池の内部抵抗が小さくなりやすく、かつT1を0.10mm以上もしくは0.15mm以上とすることで、寿命特性に優れた鉛蓄電池を得やすくなる。
第2ベース部の厚みT2も、例えば0.10mm~0.24mmであればよく、0.15mm~0.20mmであってもよい。これより、内部抵抗がより小さく、かつ寿命特性により優れた鉛蓄電池を得やすくなる。なお、第2ベース部は、主要部ではなく、側部の一部であるが、例えばISS車用の高出力の鉛蓄電池では、内部抵抗への影響が大きく、ISSを想定した寿命試験における寿命性能に相当の影響を与える。セパレータの主要部の第1ベース部を厚くした場合、内部抵抗への影響が大きいことは知られている。しかし、側部の一部である第2ベース部を厚くした場合にも、主要部ではないにもかかわらず、予想外に内部抵抗への影響が大きくなることが判明した。
第1ベース部の厚みT1と第2ベース部の厚みT2とは、同じでもよく、異なってもよいが、セパレータの抵抗を低減する観点からは、0.95≦T2/T1≦1.05を満たすことが望ましく、0.97≦T2/T1≦1.03を満たすことがより望ましい。
第1ベース部の厚みT1と第3ベース部の厚みT3とは、セパレータの抵抗を低減するとともに底部短絡を高度に抑制する観点からは、1.15≦T3/T1≦3.8を満たすことが望ましく、1.15≦T3/T1≦2.5を満たすことがより望ましい。
同様に、第2ベース部の厚みT2と第3ベース部の厚みT3とは、セパレータの抵抗を低減するとともに底部短絡を高度に抑制する観点からは、1.15≦T3/T2≦3.8を満たすことが望ましく、1.15≦T3/T2≦2.5を満たすことがより望ましい。
なお、T1、T2およびT3は、各ベース部の任意の5箇所における厚みを測定し、平均値として求めればよい。各厚みは、ノギスにより求められる。各厚みは、セパレータが一重の部分について測定される。袋状のセパレータにおいては、第1方向の端部に溶着による接合部が形成されている場合には、T3は接合部以外の部分について測定するものとする。
主リブの第1ベース部の一方側の表面からの高さHは、第1ミニリブの第2ベース部の同じ側の表面からの高さよりも大きくなっている。すなわち、主リブとは、第1ミニリブよりもベース部からの高さが大きいリブをいう。主リブは、主に電極板とセパレータとの接触を抑制する役割を有する。例えば、正極板とセパレータとの接触を抑制することで、セパレータの酸化劣化が進行しにくくなる。
主リブの第1ベース部からの高さHは、例えば0.3mm~1.2mmであればよく、0.4mm~0.7mmであってもよい。また、主リブの幅aは、例えば0.6mm~1.2mmであればよく、0.8mm~1.0mmであってもよい。また、主リブのピッチP(すなわち、隣接する主リブのそれぞれの幅方向における中心間の距離)は、例えば5mm~12mmであればよく、9mm~11mmであってもよい。このような範囲であれば、電極板とセパレータのベース部との接触を抑制する効果が大きく、セパレータの酸化劣化の進行を抑制できるとともに、鉛蓄電池の内部抵抗の増大を極力制限することができる。
主リブの高さは、任意に選択される主リブの任意の10箇所において計測した第1ベース部からの高さを平均化することにより求められる。同様に、主リブの幅は、任意に選択される主リブの任意の10箇所において計測した幅を平均化することにより求められる。同様に、主リブのピッチPは、任意に選択される互いに隣接する一対の主リブの任意の10箇所の中心間距離を平均化することにより求められる。
一方、第1ミニリブは、鉛蓄電池の製造時においては、電極板の端部とセパレータとの滑り性を向上させ、電極板によるセパレータの突き破りを防止する役割を有する。仮に、各側部の内側領域が第1ミニリブを有さない場合には、鉛蓄電池の製造時にセパレータの突き破りが生じ得る。
ただし、電極板の端部とセパレータとの滑り性が向上すると、完成された鉛蓄電池が横方向に振動する場合に、電極板のセパレータに対する移動幅が大きくなり、かえってセパレータが損傷を受けやすくなる。中でも、電極板の底部では、電極板とセパレータとの摩擦力が大きくなりやすいため、底部短絡を十分に抑制することは困難である。これに対し、第3ベース部の厚みを大きくすると、電極板のセパレータに対する移動が制限されるため、セパレータに与えられる負荷もしくは衝撃が小さくなり、底部短絡が抑制されやすくなるものと考えられる。
第1ミニリブは、第2ベース部の酸化劣化を抑制する作用も有する。例えば、正極電極材料が正極板から脱落すると、脱落した材料はセパレータの側部近傍に滞留しやすい。脱落した材料が第2ベース部に接触すると、セパレータの酸化劣化が促進されやすい。第1ミニリブは、このような脱落した材料と第2ベース部との接触の機会を低減する役割もある。
なお、セパレータの抵抗をできるだけ小さくする観点から、主リブのピッチは、通常、第1ミニリブよりも大きく設定することが望まれる。よって、仮に、第2ベース部に主リブを形成する場合、電極板の端部もしくは角部が第2ベース部を直接的に圧迫することを抑制する効果や、第2ベース部と第3ベース部との境界付近に加えられる応力を分散させる効果、さらには同境界付近に脱落した電極材料が滞留することを抑制する効果を得ることは困難である。なお、このようなセパレータは、主要部と、外側領域のみを有する側部とで構成され、内側領域を有さないセパレータと見なすことができる。この場合、鉛蓄電池の製造時において、高さの大きい主リブと電極板の端部との引っ掛かりが生じやすく、電極板の端部とセパレータとの滑り性が大きく損なわれる。電極板をセパレータに対して強引に移動させると、電極板によるセパレータの突き破りが生じ得る。
各側部の外側領域には、ミニリブは無くてもよいが、外側領域にも第2ミニリブを設けてもよい。すなわち、外側領域は、第3ベース部の一方側(すなわち主リブおよび第1ミニリブと同じ側)の表面から突出する複数の第2ミニリブを有してもよい。外側領域にも第2ミニリブを設けることで、鉛蓄電池の製造時において、電極板の端部とセパレータとの滑り性が更に向上し、電極板によるセパレータの突き破りを防止する効果が高められる。また、第2ミニリブにより、第3ベース部の酸化劣化を抑制する作用が得られる。第3ベース部は厚みが大きく、第1、第2ベース部に比べて高強度であるが、酸化劣化を抑制することで、より長期的に高強度を維持し得るようになる。第2ミニリブは、例えば、第1方向と交差するように設けられる。第2ミニリブは、例えば、第2方向もしくは、第2方向と10°以下の鋭角を成す方向に延在させてもよい。
鉛蓄電池の製造時において、第1ミニリブおよび第2ミニリブは、協働的に電極板の端部とセパレータとの滑り性を向上させるものと考えられる。いずれかのミニリブと電極板の端部との引っ掛かりを生じにくくする観点からは、第1ミニリブの先端と第2ミニリブの先端とが、実質的に面一であることが望ましい。なお、詳細なメカニズムは不明であるが、第1ミニリブおよび第2ミニリブは、セパレータの製造工程において、セパレータの捲き取りや切断工程を容易にし、セパレータの生産性を向上させる役割も有すると考えられる。
第1ミニリブの第2ベース部からの高さh1および第2ミニリブの第3ベース部からの高さh2は、それぞれ独立に、例えば0.13mm~0.40mmであればよく、0.16mm~0.40mでもよく、0.18mm~0.37mmであってもよい。また、第1ミニリブの幅b1および第2ミニリブの幅b2は、それぞれ独立に、例えば0.10mm~0.34mmであればよく、0.10mm~0.30mmであってもよい。また、第1ミニリブのピッチp1および第2ミニリブのピッチp2(すなわち、隣接するミニリブのそれぞれの幅方向における中心間距離)は、例えば0.6mm~1.4mmであればよく、0.8mm~1.2mmであってもよい。このような範囲は、鉛蓄電池の製造時において、電極板の端部とセパレータとの滑り性を顕著に向上させ得るだけでなく、一対の側部の全体的な強度の向上や、第2および第3ベース部の酸化劣化の更なる抑制に有効である。
各ミニリブの高さは、任意に選択される各ミニリブの任意の10箇所において計測した第2ベース部または第3ベース部からの高さを平均化することにより求められる。同様に、各ミニリブの幅は、任意に選択される各ミニリブの任意の10箇所において計測した幅を平均化することにより求められる。同様に、各ミニリブのピッチは、任意に選択される互いに隣接する一対の各ミニリブの任意の10箇所の中心間距離を平均化することにより求められる。
第2ベース部における第1ミニリブの数は、一方の側部あたり、例えば2本~18本であればよく、3本~15本であってもよい。また、第3ベース部に第2ミニリブを設ける場合、第2ミニリブの数は、一方の側部あたり、例えば2本~18本であればよく、3本~15本であってもよい。
主リブと各ミニリブとは、それぞれ異なる目的と機能を有する。それぞれの目的と機能を存分に発揮させるには、主リブの高さHとピッチP、並びに、ミニリブの高さh1、h2とピッチp1、p2とが、例えば、以下の関係式:1.8≦H/h1≦4.0(もしくは2.5)、1.8≦H/h2≦2.5、8.3≦P/p1≦11.3、8.3≦P/p2≦11.3、を満たすことが望ましい。
主リブおよび各ミニリブは、セパレータもしくは各ベース部の一方側の表面のみに設けてもよく、両方の表にそれぞれ設けてもよい。セパレータは袋状に形成してもよく、正極板または負極板のうちのいずれか一方を袋状のセパレータに包んでもよい。ただし、セパレータの酸化劣化を効率よく抑制するには、主リブおよび各ミニリブを有する面と正極板とを対面させることが望ましい。
主リブおよび各ミニリブがセパレータもしくは各ベース部の一方側の表面のみに設けられ、かつ第1ミニリブと第2ミニリブの先端が実質的に面一に配されている場合、セパレータの他方の表面は、全体的に実質的に平坦でもよい。このとき、第2ベース部の厚みと第1ミニリブの第2ベース部の表面からの高さとの合計寸法Th1と、第3ベース部の厚みと第2ミニリブの第3ベース部の表面からの高さとの合計寸法Th2は、0.5≦Th1/Th2≦1.0を満たしてもよい。更に、第1ベース部の厚みと主リブの第1ベース部の表面からの高さHとの合計寸法THは、例えば、2.0≦TH/Th1≦5.0を満たしてもよく、1.5≦TH/Th2≦3.0を満たしてもよい。
なお、主要部と側部との境界は、側部の内側領域の最も主要部側に位置する第1ミニリブから、第1ミニリブのピッチp1の半分だけ主要部側の位置とすればよい。
次に、本発明の一実施形態に係る液式鉛蓄電池は、正極板と、負極板と、正極板および負極板の間に介在する上記セパレータと、電解液とを備える。ただし、正極板および負極板の幅は、いずれも、セパレータの主要部と一対の内側領域との合計幅よりも大きい。この場合、電極板の第1方向における最端部もしくは角部は、一対の内側領域と対向せず、一対の外側領域と対向する。各外側領域は、第3ベース部の厚みが第1および第2ベース部よりも大きいため、電極板の移動を制限する役割があり、内側領域に第1ミニリブが形成されている場合であっても、底部短絡が抑制されやすい。また、一対の側部の外側領域だけを電極板と対向させることで、鉛蓄電池の内部抵抗を極力小さく制限することができる。
鉛蓄電池の内部抵抗をより小さく制限してISSを想定した寿命試験において寿命性能を向上させるには、電極板とセパレータの側部の外側領域との重なりが小さいことが望ましく、正極板および負極板の幅を、いずれも主要部と一対の内側領域との合計幅の132%以下、更には130%以下、もしくは128%以下に設定することが望ましい。ただし、底部短絡を高度に抑制するには、電極板の第1方向における最端部を一定程度は一対の外側領域と対向させることが望ましい。よって、正極板および負極板の幅を、いずれも主要部と一対の内側領域との合計幅の101%以上、更には105%以上に設定することが望ましい。すなわち、正極板および負極板の幅は、例えば、主要部と一対の内側領域との合計幅の101%以上、135%以下であればよく、105%(もしくは101%)以上、130%以下であってもよく、105%以上、128%以下であってもよい。
内側領域の幅は、例えば1.5mm以上、12mm以下であればよく、3mm以上、10mm以下であってもよい。このように、電極板の最端部と対向する外側領域の近傍に十分な幅を有する内側領域を設けることで、セパレータの生産性が更に高められるだけでなく、第1ミニリブと第3ベース部とが協働的に作用し、底部短絡を抑制する効果や、酸化劣化を抑制する効果が更に高められる。
各ベース部の厚み、各リブの高さおよび各リブのピッチは、既化成で満充電状態の鉛蓄電池から取り出して洗浄し、真空乾燥(大気圧より低い圧力下で乾燥)したセパレータについて求めるものとする。具体的には、既化成の満充電状態の鉛蓄電池を解体し、セパレータを回収する。次に、回収したセパレータを純水中に1時間浸漬し、セパレータ中の硫酸を除去する。その後、セパレータを25℃環境下で16時間以上静置し、乾燥させる。乾燥後のセパレータを所定サイズに裁断して測定試料とすればよい。
以下、本発明の実施形態に係る液式鉛蓄電池用セパレータの具体例について、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
図1に、本発明の一実施形態に係るセパレータ100の外観の平面模式図(a)およびそのI-I線における断面模式図(b)を示す。図2は、セパレータと一対の電極板との位置関係を示す平面模式図(a)およびそのII-II線における断面模式図(b)である。
図1では明確ではないが、セパレータ100は、袋状であり、袋の2倍の面積を有するシート状の微多孔膜を折り目101で二つ折りにした形状を有する。すなわち、シート状の微多孔膜は、折り目101によって互いに対面する第1部分100Aと第2部分100Bとに区画されている。図1(a)および(b)は、それぞれ第1部分100Aの平面模式図と断面模式図に対応する。なお、図示例の実施形態は、本発明の一態様に過ぎず、袋状ではないシート状のセパレータを負極板と正極板との間に挟んでもよい。
セパレータ100は、正極板3および負極板2の大部分とそれぞれ対向する主要部103(幅C)と、折り目101と交わるように主要部103の両側に主要部103に隣接して設けられた側部の内側領域104(幅A)と、内側領域104に隣接する外側領域105(幅B)とを有する。外側領域105の一部(最側部)は接合部105S(幅S)であり、二つ折りにすることで対面した接合部105S同士は互いに接合されている。
主要部103は、第1ベース部103bと、第1ベース部103bの一方側の表面(ここでは、袋の外側面。以下同様。)に設けられた複数の主リブ103rとを有する。
主要部103の第1方向D1における両端に位置する一対の側部の内側領域104は、第2ベース部104bと、第2ベース部104bの一方側の表面に設けられた複数の第1ミニリブ104rとを有する。
内側領域104の更に外側の外側領域105は、第3ベース部105bと、第3ベース部105bの一方側の表面に設けられた複数の第2ミニリブ105rとを有する。
主リブ103r、第1ミニリブ104rおよび第2ミニリブ105rは、いずれもセパレータもしくは各ベース部の正極板3と対向する表面のみに設けられ、かつ第1ミニリブと第2ミニリブの先端は実質的に面一に配されている。セパレータの負極板2と対向する面は、全体的に実質的に平坦である。
図2において、負極板2および正極板3の幅(いずれもEで表示する。)は、いずれもセパレータ100の主要部103と一対の内側領域104との合計幅(C+2A)よりも大きく、各電極板の第1方向D1における最端部が外側領域105と僅かの幅dで対向している。これにより、底部短絡が高度に抑制されるだけでなく、鉛蓄電池の内部抵抗がより高度に低減され、ISS寿命特性が向上する。重なり幅dは、袋状セパレータに電極板が収容されていない状態で測定した場合に、例えば0.5mm~12mmの範囲とすることが望ましく、1mm~11mmがより望ましく、2mm~10mmがより望ましい。
なお、図示例とは異なり、主リブ103rおよび各ミニリブ104r、105rは、各ベース部の負極板2と対向する表面(すなわち袋の内側)にも設けてもよい。また、主リブ103rおよび各ミニリブ104r、105rを、各ベース部の負極板2と対向する表面だけに設けてもよい。
(セパレータの材質)
セパレータは、例えば、ポリオレフィンと、シリカ粒子と、造孔剤と、浸透剤(界面活性剤)とを含む樹脂組成物をシート状に押し出し成形した後、造孔剤を部分的に除去することにより得られる。造孔剤を除去することで、ポリオレフィンのマトリックス中に微細孔が形成される。
ポリオレフィンとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが好ましく、ポリエチレンがより好ましい。造孔剤としては、ポリマー粉末などの固形造孔剤および/またはオイル(鉱物オイル、合成オイル等)などの液状造孔剤を用い得る。セパレータ中のシリカ粒子量は、ポリオレフィン100質量部あたり、例えば120質量部以上、200質量部以下である。セパレータ中の造孔剤量は、経時的に変化するため、一概にはいえないが、ポリオレフィン100質量部あたり、例えば30質量部以上、60質量部以下である。
各リブは、押出成形する際にシートに形成してもよく、樹脂組成物をシート状に成形した後または造孔剤を除去した後に、各リブに対応する溝を有するローラでシートを押圧することにより形成してもよい。
(電解液)
電解液は、硫酸を含む水溶液であり、Naイオン、Alイオン等を含んでもよい。電解液は、必要に応じてゲル化させてもよい。既化成で満充電状態の鉛蓄電池における電解液の20℃における比重は、例えば、1.10g/cm3以上1.35g/cm3以下である。
(正極板)
鉛蓄電池の正極板には、ペースト式とクラッド式がある。
ペースト式正極板は、正極集電体と、正極電極材料とを具備する。正極電極材料は、正極集電体に保持されている。ペースト式正極板では、正極電極材料は、正極板から正極集電体を除いたものである。正極集電体は、負極集電体と同様に形成すればよく、鉛または鉛合金の鋳造や、鉛または鉛合金シートの加工により形成することができる。
クラッド式正極板は、複数の多孔質のチューブと、各チューブ内に挿入される芯金と、芯金が挿入されたチューブ内に充填される正極電極材料と、複数のチューブを連結する連座とを具備する。クラッド式正極板では、正極電極材料は、正極板から、チューブ、芯金、および連座を除いたものである。
正極集電体に用いる鉛合金としては、耐食性および機械的強度の点で、Pb-Ca系合金、Pb-Ca-Sn系合金が好ましい。正極集電体は、組成の異なる鉛合金層を有してもよく、合金層は複数でもよい。芯金には、Pb-Ca系合金やPb-Sb系合金を用いることが好ましい。
正極電極材料は、酸化還元反応により容量を発現する正極活物質(二酸化鉛もしくは硫酸鉛)を含む。正極電極材料は、必要に応じて、他の添加剤を含んでもよい。
未化成のペースト式正極板は、負極板の場合に準じて、正極集電体に、正極ペーストを充填し、熟成、乾燥することにより得られる。その後、未化成の正極板を化成する。正極ペーストは、鉛粉、添加剤、水、硫酸を練合することで調製される。
クラッド式正極板は、芯金が挿入されたチューブに鉛粉または、スラリー状の鉛粉を充填し、複数のチューブを連座で結合することにより形成される。
(負極板)
鉛蓄電池の負極板は、負極集電体と、負極電極材料とで構成されている。負極電極材料は、負極板から負極集電体を除いたものである。負極集電体は、鉛(Pb)または鉛合金の鋳造により形成してもよく、鉛または鉛合金シートを加工して形成してもよい。加工方法としては、例えば、エキスパンド加工や打ち抜き(パンチング)加工が挙げられる。負極集電体として負極格子を用いると、負極電極材料を担持させ易いため好ましい。
負極集電体に用いる鉛合金は、Pb-Sb系合金、Pb-Ca系合金、Pb-Ca-Sn系合金のいずれであってもよい。これらの鉛もしくは鉛合金は、更に、添加元素として、Ba、Ag、Al、Bi、As、Se、Cuなどからなる群より選択された少なくとも1種を含んでもよい。
負極電極材料は、酸化還元反応により容量を発現する負極活物質(鉛もしくは硫酸鉛)を含んでおり、防縮剤、カーボンブラックのような炭素質材料、硫酸バリウムなどを含んでもよく、必要に応じて、他の添加剤を含んでもよい。
充電状態の負極活物質は、海綿状鉛であるが、未化成の負極板は、通常、鉛粉を用いて作製される。
負極板は、負極集電体に、負極ペーストを充填し、熟成および乾燥することにより未化成の負極板を作製し、その後、未化成の負極板を化成することにより形成できる。負極ペーストは、鉛粉と有機防縮剤および必要に応じて各種添加剤に、水と硫酸を加えて混練することで作製する。熟成工程では、室温より高温かつ高湿度で、未化成の負極板を熟成させることが好ましい。
化成は、鉛蓄電池の電槽内の硫酸を含む電解液中に、未化成の負極板を含む極板群を浸漬させた状態で、極板群を充電することにより行うことができる。ただし、化成は、鉛蓄電池または極板群の組み立て前に行ってもよい。化成により、海綿状鉛が生成する。
(繊維マット)
鉛蓄電池は、さらに、正極板と負極板との間に介在する繊維マットを備えていてもよい。繊維マットは、セパレータとは異なり、シート状の繊維集合体を含む。このような繊維集合体としては、電解液に不溶な繊維が絡み合ったシートが使用される。このようなシートには、例えば、不織布、織布、編み物などがある。繊維マットの例えば60質量%以上が繊維で形成されている。
繊維としては、ガラス繊維、ポリマー繊維、パルプ繊維などを用いることができる。ポリマー繊維の中では、ポリオレフィン繊維が好ましい。
図3は、本発明の一実施形態に係る液式鉛蓄電池の外観と内部構造を示す一部切り欠き斜視図である。
鉛蓄電池1は、極板群11と電解液(図示せず)とを収容する電槽12を具備する。電槽12内は、隔壁13により、複数のセル室14に仕切られている。各セル室14には、極板群11が1つずつ収納されている。電槽12の開口部は、負極端子16および正極端子17を具備する蓋15で閉じられる。蓋15には、セル室毎に液口栓18が設けられている。補水の際には、液口栓18を外して補水液が補給される。液口栓18は、セル室14内で発生したガスを電池外に排出する機能を有してもよい。
極板群11は、それぞれ複数枚の負極板2および正極板3を、セパレータ4を介して積層することにより構成されている。ここでは、負極板2を収容する袋状のセパレータ4を示すが、セパレータの形態は特に限定されない。電槽12の一方の端部に位置するセル室14では、複数の負極板2を並列接続する負極棚部6が貫通接続体8に接続され、複数の正極板3を並列接続する正極棚部5が正極柱7に接続されている。正極柱7は蓋15の外部の正極端子17に接続されている。電槽12の他方の端部に位置するセル室14では、負極棚部6に負極柱9が接続され、正極棚部5に貫通接続体8が接続される。負極柱9は蓋15の外部の負極端子16と接続されている。各々の貫通接続体8は、隔壁13に設けられた貫通孔を通過して、隣接するセル室14の極板群11同士を直列に接続している。
以下、各分析方法について説明する。
なお、本明細書中、鉛蓄電池の満充電状態とは、JIS D 5301:2006の定義によって定められる。より具体的には、鉛蓄電池を、定格容量に記載の数値の1/20の電流で、15分ごとに測定した充電中の端子電圧または温度換算した電解液密度が3回連続して一定値(小数点3位まで)を示すまで充電した状態を満充電状態とする。なお、充電は、鉛蓄電池の電解液が規定の液面まで満たされた状態で行われる。
満充電状態の鉛蓄電池は、既化成の鉛蓄電池を満充電したものをいう。鉛蓄電池の満充電は、化成後であれば、化成直後でもよく、化成から時間が経過した後に行ってもよい(例えば、化成後で、使用中(好ましくは使用初期)の鉛蓄電池を満充電してもよい)。使用初期の電池とは、使用開始後、それほど時間が経過しておらず、ほとんど劣化していない電池をいう。
(1)底部耐短絡性
定格電圧12Vの鉛蓄電池を準備し、各鉛蓄電池に対して、JIS-D-5301(2006)に沿って高温過充電寿命試験を行った。具体的には以下の手順により行った。
1)75℃の雰囲気下で、25A×240秒間の放電と、14.8V×600秒間の充電とを480サイクル繰り返した。
2)75℃の雰囲気下で56時間放置した後、コールドクランキング電流で30秒間放電した。
3)25℃の雰囲気下で鉛蓄電池の電解液の上限ラインまで補水を行った。
4)実車両搭載時を想定し、振動による正極電極材料の脱落によるセパレータへの接触、酸化劣化への影響を評価するため、通常の25℃雰囲気下で以下の条件で振動試験を実施した。
・加速度:3G
・振動方向:上下振動
・周波数:10Hz~33Hz
・スウィープ時間:10min
・振動時間:1h
5)75℃の雰囲気下で24時間放置した。
6)上記3)のコールドクランキング電流放電時の放電電圧が7.2V未満になるまで上記1)~5)を繰り返した。上記放電電圧が7.2V未満になったときの上記1)~5)の繰り返し回数を高温過充電寿命の指標とした。
7)寿命試験後の電池を分解し、劣化モードを確認するため、セパレータの底部を目視し、底部短絡の痕跡を確認した。底部短絡による変色、亀裂、穴が視認されない場合を○、視認される場合を×とした。
(2)ISS寿命
各鉛蓄電池に対して、以下の要領でアイドリングストップ(ISS)寿命試験を実施した。
5℃の雰囲気下で、300A×1.0秒間の放電と、25A×25秒間の放電と、14.0V×30秒間の充電とのサイクル(サイクルA)を30サイクル繰り返す毎に6hの微小電流(20mA)放電をした。なお、微小電流放電は、エンジン停止時の暗電流放電を模擬している。30回のサイクルAと6hの微小電流放電とのサイクル(サイクルB)を繰り返し、300A放電時の放電電圧が7.2V未満になった時点を寿命とした。寿命までのサイクルBの回数を寿命とした。各電池の結果を指数で示す。数値が大きいほど、ISS寿命に優れている。
(3)セパレータ生産性
製造直後のロール状のセパレータから所定の長さに裁断したセパレータ3000枚を観測し、裁断したセパレータに穴あきがないか確認し、裁断したセパレータに穴あきが無い場合を○、3000枚中1枚でも穴あきが発生した場合を△とした。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
《鉛蓄電池A1~A31およびB1~B5》
(1)負極板の作製
鉛酸化物、カーボンブラック、硫酸バリウム、リグニン、補強材(合成樹脂繊維)、水および硫酸を混合して負極ペーストを調製した。負極ペーストをアンチモンフリーのPb-Ca-Sn系合金製のエキスパンド格子の網目部に充填し、熟成、乾燥し、幅100mm、高さ110mm、厚さ1.3mの未化成の負極板を得た。カーボンブラック、硫酸バリウム、リグニンおよび合成樹脂繊維の量は、既化成の満充電の状態で測定したときに、それぞれ0.3質量%、2.1質量%、0.1質量%および0.1質量%になるように調節した。
(2)正極板の作製
鉛酸化物、補強材である合成樹脂繊維、水および硫酸を混合して正極ペーストを調製した。正極ペーストをアンチモンフリーのPb-Ca-Sn系合金製のエキスパンド格子の網目部に充填し、熟成、乾燥し、幅100mm、高さ110mm、厚さ1.6mmの未化成の正極板を得た。
(3)セパレータ
ポリエチレン100質量部と、シリカ粒子160質量部と、造孔剤(パラフィン系オイル)80質量部と、微量の浸透剤を含む樹脂組成物を調製した。樹脂組成物を、第2方向D2に延在するシート状に押し出し成形した後、造孔剤を部分的に除去することにより、表1に示すように、第1ベース部の厚みT1(=第2ベース部の厚みT2)と第3ベース部の厚みT3を変化させて、様々なリブパターンを有する長尺微多孔膜を準備した。その後、長尺微多孔膜を第2方向D2と直交する第1方向D1に切断して、袋状セパレータに適合する所定長さの微多孔膜片を得た。
微多孔膜片は、T1=T2を満たす。主リブおよび各ミニリブはセパレータの一方側の表面のみに設け、かつ第1ミニリブと第2ミニリブの先端は実質的に面一にした。セパレータの他方側の表面は、全体的に実質的に平坦とした。よって、T2およびh1の合計Th1とT3およびh2の合計Th2は、Th1=Th2を満たす。
主リブの高さHおよび第1ミニリブの高さh1は、それぞれH=0.5mmおよびh1=0.13mmとした。よって、H/h1=3.9である。
主リブの幅a、第1ミニリブの幅b1および第2ミニリブの幅b2は、それぞれa=0.9mm、b1=b2=0.3mmとした。
主リブのピッチP、第1ミニリブのピッチp1および第2ミニリブのピッチp2は、それぞれP=9.8mm、p1=p2=1.0mmとした。よって、P/p1=P/p2=9.8である。
主要部の幅C、側部の内側領域の幅Aおよび側部の外側領域の幅Bは、それぞれ75mm、5mmおよび15mmであり、セパレータ全体の幅W(C+2A+2B)は115mmである。
未化成の各負極板を、袋状セパレータに収容した。正極板および負極板の幅(E)はいずれも同じであり、電極幅は、セパレータの主要部Cと一対の内側領域Aとの合計幅(C+2A)の118%に設定した。袋状のセパレータに負極板が収容されていない状態で測定した場合、電極板の端部と外側領域との重なり幅dは7mmになる。
なお、電池B1~B4では、第2ミニリブのみを設け、第1ミニリブは設けなかった。また、電池B3、B4では、第2ベース部に主リブを設けた。つまり、電池B3、B4では、主要部が側部の内側領域に対応する部位まで延長されている。
なお、セパレータの上記各部の寸法は、鉛蓄電池の作製前のセパレータについて求めた値であるが、作製後の鉛蓄電池から取り出したセパレータについて既述の手順で測定した値とほぼ同じである。
次に、シート状の微多孔膜片を、各リブが外側に配置されるように、二つ折りにして袋を形成し、端部に接合部を形成し、図1、2に示すような袋状セパレータA1~A31(実施例)およびB1~B5(比較例)を得た。
(4)鉛蓄電池の作製
セル当たり袋状セパレータに収容された未化成の負極板7枚と未化成の正極板6枚とで極板群を形成した。正極板の耳同士および負極板の耳同士をそれぞれキャストオンストラップ(COS)方式で正極棚部および負極棚部と溶接した。極板群をポリプロピレン製の電槽に挿入し、電解液を注液して、電槽内で化成を施して、定格電圧12Vおよび定格容量が30Ah(定格容量に記載の数値の1/5の電流で放電するときの容量)の液式の鉛蓄電池A1~A31およびB1~B5を組み立てた。なお、電槽内では6個の極板群が直列に接続されている。
化成後の電解液の20℃における比重は1.285であった。
[評価1]
既述の手順で、底部耐短絡性、ISS寿命および生産性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0007331410000001
表1において、第1および第2ベース部よりも厚みの大きい第3ベース部を有し、かつ第2ベース部に第1ミニリブを有する電池A1~A31は、いずれも底部短絡が確認されず、耐短絡性が高いことがわかる。第1ミニリブは、第2ベース部の酸化劣化を抑制する作用に加え、第2ベース部と第3ベース部との境界付近に印加される応力を分散させるとともに第2ベース部への圧迫を抑制する作用を有する。しかも、第3ベース部は、鉛蓄電池が横方向に振動する際の電極板の移動を制限するため、セパレータに与えられる負荷が低減される。このようなメカニズムによって、底部耐短絡性が高められるものと考えられる。
一方、第1および第2ベース部よりも厚みの大きい第3ベース部の無い電池B1では底部短絡が生じている。これは、鉛蓄電池が振動する際の電極板の移動衝撃が大きいためと考えられる。また、厚みの大きい第3ベース部がある場合でも、第1ミニリブが無い場合には、第2ベース部の酸化劣化や応力の集中による底部短絡を抑制できないことがわかる(電池B2)。この点は、第1ミニリブの代わりに大きい主リブを設けた(すなわち、側部の内側領域が無い)電池B3、B4も同様であると考えられる。
なお、第3ベース部の厚みが0.35mmを超える電池A10、A11、A19~A21、A29~A31の場合、セパレータの生産性が低下する傾向が見られ、ISS寿命もやや低下している。よって、第3ベース部の厚みは0.35mm以下が望ましく、ISS寿命も考慮すると、0.330mm以下が望ましいといえる。
《鉛蓄電池A32~A34およびB6》
次に、正極板および負極板の各端部と外側領域との重なり幅dを変更するために、側部の幅(A+B)は一定として、外側領域Bの幅に対する内側領域Aの幅の割合(A/B比)を表1に示すように変更したこと以外、実施例1と同様にセパレータおよび鉛蓄電池を作製し、評価した。なお、表2におけるISS寿命を示す指数の基準は、表1と同じである。結果を表2に示す。
電池B6は、外側領域の幅Bに対する内側領域の幅Aの割合(A/B比)が0で、第2ベース部を有さず、側部は幅広の第3ベース部と第2ミニリブのみを有するといえる。
Figure 0007331410000002
表2より、側部の外側領域(すなわち第3ベース部)と電極板の端部との僅かな重なり幅dが、予想外にISS寿命に影響を与えることが理解できる。重なり幅dが12.5mmの場合に比べ、12mm以下の場合にISS寿命が顕著に向上している。なお、それ以上に重なり幅dを低減すればISS寿命は更に向上するが、向上幅は次第に小さくなる傾向が見られる。
本発明に係る液式鉛蓄電池用セパレータは、例えばISS車用の鉛蓄電池として適している。また、本発明に係る液式鉛蓄電池用セパレータは、様々な車両(自動車、バイクなど)の始動用電源、電動車両(フォークリフトなど)などの産業用蓄電装置などの電源にも好適に利用できる。
1:鉛蓄電池、2:負極板、3:正極板、4,100:セパレータ、5:正極棚部、6:負極棚部、7:正極柱、8:貫通接続体、9:負極柱、11:極板群、12:電槽、13:隔壁、14:セル室、15:蓋、16:負極端子、17:正極端子、18:液口栓、100A:第1部分、100B:第2部分、101:折り目、103:主要部、103b:第1ベース部、103r:主リブ、104:内側領域、104b:第2ベース部、104r:第1ミニリブ、105:外側領域、105b:第3ベース部、105r:第2ミニリブ、105s:接合部

Claims (5)

  1. 液式鉛蓄電池であって、
    正極板、負極板およびセパレータを有し、
    前記セパレータが、主要部と、前記主要部の両端に位置する一対の側部と、を有し、
    前記一対の側部が、それぞれ、前記主要部に隣接する内側領域と、前記内側領域に隣接する外側領域と、を有し、
    前記主要部は、第1ベース部と、前記第1ベース部の一方側の表面から突出する複数の主リブと、を有し、
    前記内側領域は、第2ベース部と、前記第2ベース部の前記一方側の表面から突出する複数の第1ミニリブと、を有し、
    前記外側領域は、少なくとも第3ベース部を有し、
    前記第3ベース部の厚みは、前記第1ベース部および前記第2ベース部の厚みよりも大きく、
    前記第3ベース部の厚みが、0.25mm~0.35mmであり、
    前記主リブの前記第1ベース部の前記表面からの高さは、前記第1ミニリブの前記第2ベース部の前記表面からの高さよりも大きく、
    前記正極板および前記負極板の幅が、いずれも前記主要部と前記一対の内側領域との合計幅よりも大きく、前記外側領域と前記正極板および前記負極板の端部との重なり幅dが、0mmより大きく、7mm以下である、液式鉛蓄電池。
  2. 前記第3ベース部の厚みが、0.255mm~0.330mmである、請求項に記載の液式鉛蓄電池。
  3. 前記第1ベース部の厚みが、0.15mm~0.20mmである、請求項1または2に記載の液式鉛蓄電池。
  4. 前記外側領域は、前記第3ベース部の前記一方側の表面から突出する複数の第2ミニリブを有し、前記第1ミニリブの先端と前記第2ミニリブの先端とが、実質的に面一である、請求項1~のいずれか1項に記載の液式鉛蓄電池。
  5. 前記内側領域の幅は、1.5mm以上、12mm以下である、請求項1~のいずれか1項に記載の液式鉛蓄電池。
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