JPH087759Y2 - 位相反転型スピーカ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この考案は、ダクトの共振を分散させて低音部の特性
を改善する目的で変形されたダクトを有する位相反転型
スピーカ装置に於いて、ダクト内の気流に起因する風雑
音の発生を防止した位相反転型スピーカ装置に関する。

［従来の技術］ 従来、位相反転型スピーカ装置に於いて、ダクト内の
気流によって生ずる風雑音を防止するための代表的な構
造は、例えば実開昭58−173989号に記載され且つ第３図
に示すように、キャビネット11に取付けたダクト12の内
側開口端部に緩衝材13を取付けた構造、或いは第４図に
示すようにダクト14の長さ方向の断面を流線形とした構
造等が存在する。

［解決しようとする課題］ 性能改善のため複数個のダクトを有するような位相反
転型スピーカ装置は、第３図に示す構造ではダクトの先
端に個々に吸音材を取付けるので、別途取付けるための
多量の吸音材と取付作業が必要で製造経費が嵩むという
欠点があり、第４図に示す構造ではダクトの製造に手数
を要し、結果としてスピーカ装置の価格を引き上げると
いう問題点があった。

そこで本考案は、キャビネット内部の吸音材の取付構
造を改良して、上記従来例の有する課題を解決すること
を目的とする。

［課題を解決するための手段］ 上記した目的を達成するための本考案に係る位相反転
型スピーカ装置を、実施例を示す第１図〜第２図を用い
て説明すると、本考案は、キャビネットにスピーカとダ
クトとを取付けて、低音部の特性を改善した位相反転型
スピーカ装置に於いて、一端がキャビネット内側に開口
した長さの異なる複数個のダクト2a,2b,…と、当該ダク
トの複数個の内側開口端部に対し所定間隔を隔てて平行
に且つ剛性を付与した状態でキャビネット内側に取付け
られた吸音材３とを有することを特徴とする位相反転型
スピーカ装置であり、更に、ダクトの共振を分散させる
目的で上記長さの異なる複数個のダクト2a,2b,…に代え
て、キャビネット内側に開口した内側開口端部がダクト
長が場所的に連続して変化するように傾斜したダクト
２′と、当該ダクト２′の傾斜した内側開口端部に所定
間隔を隔てて平行に且つ剛性を付与した状態でキャビネ
ット内側に取付けられた吸音材３とを有することを特徴
とする位相反転型スピーカ装置である。

［作用］ そして、此の様な構成の位相反転型スピーカ装置で
は、ダクトに流出、入する気流に起因する風雑音は吸音
材によって吸収されて、ダクトからキャビネット外部に
放射されることはない。しかも吸音材が、複数個の内側
開口端部若しくは傾斜した内側開口端部に所定間隔を隔
てて平行に、且つ剛性を付与した状態で取付けられてい
るので、どのダクトに対しても流体抵抗並びに吸音作用
は一定となり、低音部再生特性を変化させずに風雑音の
発生を抑制することができる。

更に、吸音材３がキャビネット１に対して剛性を持た
せて取付けられているので、従来と同様にキャビネット
内部の定在波抑制作用をも有し、風雑音抑制のための吸
音材は不要となる。

［実施例］ 第１図より、本考案の第１実施例を詳述すると、１は
従来と同様なキャビネットで、前面板には長さ長さの異
なる複数個（本実施例では３個）のダクト2a,2b,2cが設
けられている。

フェルト板からなる吸音材３が上記ダクト2a,2b,2cの
夫々の開口部の分布に対して平均して間隔ｄを隔てて平
行に、キャビネット１に固定された枠3aによって保持さ
れている。

この間隔ｄは、実験の結果、50mmを基準として大略30
mm〜100mm程度が適当である。

吸音材３とダクトの開口部とが近付きすぎるとダクト
の効果が減殺され、離れ過ぎると風雑音抑制効果が少な
くなる。

第２図は第２実施例であって、ダクトによる共振を分
散させるためにダクト長が場所的に連続して変化するよ
うに内側開口端部が傾斜したダクト２′を有するキャビ
ネットに対する実施例である。軸に垂直な断面が長方形
であるダクト２′がキャビネット１の内壁に沿って形成
され、当該ダクト２′の傾斜した内側開口端部に対し
て、第１実施例と同じくフェルト板からなる吸音材３が
間隔ｄを隔てて平行に、キャビネット１に固定された枠
3aによって保持されている。

なお、第１〜２図において、４はスピーカである。

以上、本考案に係る位相反転型スピーカ装置について
代表的と思われる実施例を基に詳述したが、本考案によ
る実施態様は、上記実施例の構造に限定されるものでは
なく、前記したクレーム記載の構成要件を具備し、本考
案にいう作用を呈し、以下に述べる効果を有する限りに
おいて、適宜改変して実施しうるものである。

［効果］ 本考案に係る位相反転型スピーカ装置は以下に述べる
効果を有する。

（１）吸音材が、ダクトの内側開口端部若しくは傾斜し
た内側開口端部に所定間隔を隔てて平行に、且つ剛性を
付与した状態で取付けられているので、どのダクトに対
しても流体抵抗並びに吸音作用は一定となり、低音部再
生特性を変化させずに風雑音の発生を抑制することがで
きる。

（２）吸音材がキャビネットに対して剛性を持たせて取
付けられているので、従来と同様にキャビネット内部の
定在波抑制作用をも有し、ダクトの風雑音抑制のための
吸音材は不要となる。

（３）マルチダクト方式位相反転型スピーカ装置特有の
固有共振を排除した再生音が得られる。

以上の利点によって優れた性能のスピーカ装置を安価
に提供することが出来るという効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図（ａ），（ｂ）は本考案第１実施例の側断面図と
裏板を除去した一部切欠き背面図、第２図（ａ），
（ｂ）は第２実施例の側断面図と一部切欠き正面図、第
３図、第４図は２例の従来構造の要部断面図である。 １はキャビネット、2a,2b,2c,及び２′は夫々ダクト、
３は吸音材、４はスピーカである。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】一端がキャビネット内側に開口した長さの
   異なる複数個のダクト（2a,2b,…）と、当該ダクトの複
   数個の内側開口端部に対し所定間隔を隔てて平行に且つ
   剛性を付与した状態でキャビネット内側に取付けられた
   吸音材（３）とを有することを特徴とする位相反転型ス
   ピーカ装置。
2. 【請求項２】キャビネット内側に開口した内側開口端部
   がダクト長が場所的に連続して変化するように傾斜した
   ダクト（２′）と、当該ダクト（２′）の傾斜した内側
   開口端部に所定間隔を隔てて平行に且つ剛性を付与した
   状態でキャビネット内側に取付けられた吸音材（３）と
   を有することを特徴とする位相反転型スピーカ装置。