JPH087493Y2 - 自動販売機の硬貨回収装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （イ） 産業上の利用分野 本考案は、金種毎に応じて複数の硬貨収納筒を備えた
自動販売機の硬貨回収装置に関する。

（ロ） 従来の技術 自動販売機において、販売時に客が投入して硬貨収納
筒に蓄積した硬貨を回収する必要があるが、この場合回
収スイッチの操作により硬貨収納筒の硬貨排出装置を駆
動させて回収している。回収スイッチには従来からスラ
イドスイッチを使用しているが、ON/OFFの２つのモード
を有したスイッチでは回収後の切り忘れが往々にしてあ
り、このような場合自動販売機は硬貨回収モードに維持
されており、後に顧客が商品購入のために硬貨を投入し
ても返却されて販売動作とならない。

これを防止するには実開昭54-49994号公報明細書の如
く、回収スイッチを自己復帰型のスイッチにより構成
し、硬貨の回収終了をシステム的に検出して硬貨回収モ
ードを自動的に解除すればよい。ところが、自己復帰型
の回収スイッチは操作されると、その操作力により一旦
変位するが、操作力が無くなると直ちに元の位置に戻る
ので、何れの硬貨収納筒から硬貨を回収しているのか確
認しづらい欠点がある。特に硬貨回収筒の数に応じて復
帰型の回収スイッチを設けた場合は操作したスイッチが
判別しづらく、オフの専用スイッチを設けたりするため
に装置が複雑になったり、操作性が悪くなったりしてい
た。

また複数の回収スイッチを設けた自動販売機を、輸出
等で貨幣体系の異る場所で使用する場合、或いは国内の
使用でも適用貨幣種類を変更する場合に、回収スイッチ
と対応する硬貨収納筒を変更する必要が生じる。ところ
が従来の自動販売機は回収スイッチと硬貨収納筒とをハ
ード的に接続して対応させているために、このような変
更には容易に対処できなかった。

（ハ） 考案が解決しようとする問題点 このように回収スイッチを自己復帰型のスイッチによ
り構成した装置は操作性が悪く、また回収動作の確認が
不便であった。また従来装置は回収スイッチと硬貨収納
筒との対応を容易に変更することは不可能であった。

上記点より本考案は、回収動作の確認が容易に行な
え、そして回収スイッチと硬貨収納筒との対応が簡単に
変更できる自動販売機の硬貨回収装置を提供するもので
ある。

（ニ） 問題点を解決するための手段 本考案の自動販売機の硬貨回収装置は、金種毎に設け
られた複数の硬貨収納筒及び、この硬貨収納筒毎に配置
されている硬貨排出装置を備えており、そして、前記硬
貨収納筒と同じ数配置されている自己復帰型の回収スイ
ッチと、この回収スイッチが操作されると、操作された
回収スイッチに対応する記憶領域に、直前にフラグが立
っていない場合にはフラグを立ててセットされ、一方、
直前にフラグが立っている場合には、フラグが立ってい
ない状態にしてリセットされる記憶部と、前記記憶部の
各記憶領域に対応して、排出すべき硬貨収納筒を指定し
ている排出命令および回収表示データを記憶している固
有データ設定部と、前記回収表示データを表示する表示
器と、前記回収スイッチが操作されて前記記憶部がセッ
トされた場合には、セットされた記憶領域に対応する前
記排出命令および前記回収表示データを前記固有データ
設定部から読み取って、この排出命令に基づいて指定さ
れた硬貨収納筒に配置されている硬貨排出装置を駆動す
るとともに前記回収表示データを前記表示器に表示し、
一方、前記回収スイッチが操作されて前記記憶部がリセ
ットされた場合には、前記駆動されている硬貨排出装置
を停止するとともに前記表示器の表示を停止する制御装
置とから構成されている。

（ホ） 作用 自動販売機の硬貨回収装置の電源投入時には、記憶部
の各記憶領域にはフラグが立っていない状態となってい
る。そして、自己復帰型の回収スイッチは操作される
と、その操作力により一旦変位するが、操作力が無くな
ると直ちに元の位置に戻る。この最初の操作により、操
作された回収スイッチに対応する記憶部の記憶領域にフ
ラグが立ってセットされる。すると、制御装置が、セッ
トされた記憶領域に対応する排出命令および回収表示デ
ータを固有データ設定部から読み取って、この排出命令
に基づいて指定された硬貨収納筒に配置されている硬貨
排出装置を駆動し、かつ、回収表示データを表示器に表
示する。その後、再度、自己復帰型の回収スイッチが操
作されると、この操作により、操作された回収スイッチ
に対応する記憶部の記憶領域はフラグが立っていない状
態にリセットされる。すると、制御装置が、駆動されて
いる硬貨排出装置を停止するとともに前記表示器の表示
を停止する。

そして、固有データ設定部の設定データを変更するこ
とで、硬貨収納筒と記憶部の各記憶領域すなわち回収ス
イッチとの対応関係が変更される。

（ヘ） 実施例 第２図に自動販売機における硬貨処理部（６）の構成
を示す。硬貨導入部（７）は自動販売機の前面パネルに
設ける硬貨投入口と連通しており、顧客による投入硬貨
は硬貨導入部（７）を通って硬貨処理部（６）に到達す
る。そして投入硬貨は、セレクタ部（８）でその適正及
び種類が判別されて、適正硬貨はその種類に応じて硬貨
収納筒（９）（10）（11）（12）へ導入され、偽貨は返
却通路（13）に導かれる。硬貨収納筒（９）（10）（1
1）（12）は例えば10円・50円・100円・500円に対応し
ており、硬貨種に応じて自己復帰型の回収スイッチ（1
4）（15）（16）（17）を設けている。また硬貨処理部
（６）は、硬貨収納筒（９）（10）（11）（12）の下方
に釣銭払出モータにて駆動するワイパー（18）（19）
（20）（21）を具備した硬貨排出装置を配置しており、
更にその下方には、硬貨収納筒（９）（10）（11）（1
2）から払出された硬貨や返却通路（13）に導かれる返
却コインを、前記前面パネルに形成した硬貨返却口へ導
くためのコインシュート（22）を設けている。

第１図は本考案の実施例をブロックにて示すもので、
回収スイッチ（14）（15）（16）（17）は夫々操作無し
の状態では“L"であり、操作されると“H"を出力するよ
うになっている。記憶部（１）は回収スイッチ（14）
（15）（16）（17）に対応する記憶領域を有しており、
何れかの回収スイッチ（14）（15）（16）（17）からの
信号が“L"から“H"に変化したときに、その回収スイッ
チに対する記憶状態を反転する。即ち、記憶部（１）は
回収スイッチの操作にて“0"から“1"に反転してフラグ
が立ってセットされる。そして、同じ回収スイッチの２
回目の操作にて“1"から“0"に反転復帰してフラグが立
っていない状態にリセットされる。排出部（５）は各硬
貨収納筒（９）（10）（11）（12）に対応して、夫々ワ
イパー（18）（19）（20）（21）を駆動するための４通
りの釣銭払出モータを含み、１枚分の硬貨の払出しを完
了すると排出完了信号を出力する構成である。固有デー
タ設定部（２）には各回収スイッチ（14）（15）（16）
（17）に対応する排出命令及び金種データを設定してい
る。排出命令は排出部（５）に対して駆動する釣銭払出
モータを指定するものである。表示器（４）は回収表示
データを表示するものであるが、自動販売機に設けてい
る金額表示器によっても代用できる。制御部（３）は、
回収スイッチ（14）（15）（16）（17）の操作に応答し
て本考案にかかわる硬貨回収動作を制御するものである
が、制御部（３）の動作を第３図のフローチャートによ
り説明する。

先ずステップS100で制御部（３）は記憶部（１）に要
求信号ａを出力し、この要求信号に応答して記憶部
（１）が出力する回収データDT1により何れかの回収ス
イッチ（14）（15）（16）（17）が操作されたかを判定
する。例えば回収スイッチ（14）が操作されている場
合、記憶部（１）のこのスイッチに対応する記憶領域は
“0"から“1"に反転している。このときステップS102で
は回収スイッチ（14）に対応するアドレス“1"を出力し
て、固有データ設定部（２）をアドレスする。そしてス
テップS104及びステップS106では固有データ設定部
（３）から排出命令及び回収表示データの固有データDT
2を導入する。排出命令としての例えば“1"のデータは
硬貨収納筒（９）に対応する釣銭払出モータの駆動を意
味しており、ステップS108で制御部（３）は排出命令ｂ
を排出部（５）に出力する。排出部（５）はこの排出命
令ｂにより硬貨収納筒（９）からの硬貨払出しを行な
い、１枚分の硬貨排出完了により排出完了信号ｃを制御
部（３）に出力する。したがって制御部（３）はステッ
プS110で排出完了信号ｃの発生を検出すると、ステップ
S112で排出命令の出力を停止する。そして再びステップ
S100で記憶部（１）に要求信号ａを出力し、回収スイッ
チ（14）の２度目の操作が成されたかを検出する。回収
スイッチ（14）が操作されていないと回収動作は継続で
あり、制御部（３）はステップS102からの処理を繰返
す。また制御部（３）は定期的なタイマ割込により回収
表示データを表示データDT3に変換して表示器（４）に
出力する。表示器（４）に表示する内容は金種毎の額で
あってもよいし、或いは回収スイッチ（14）（15）（1
6）（17）毎に設定した数値でもよい。また回収スイッ
チ（14）の２度目の操作が成されると、記憶部（１）の
このスイッチに対応する記憶領域は“1"から“0"に復帰
する。したがって制御部（１）は、ステップS100で回収
スイッチ（14）の２度目の操作によるOFFを検出する
と、ステップS114で表示器（４）の表示をクリアする。

本考案は上記のごとく構成したために、固有データ設
定部（２）の設定内容を変換することで、各回収スイッ
チ（14）（15）（16）（17）と硬貨収納筒（９）（10）
（11）（12）との対応を変更することができる。したが
って何かの事由により例えば回収スイッチ（14）に対応
する硬貨収納筒（９）を硬貨収納筒（10）へ変更する場
合には、固有データ設定部（２）の排出命令データを
“1"から“2"に変換するものである。この場合、表示器
（４）に回収金種額を表示するものであれば、回収表示
データも硬貨収納筒（10）が収納している金種額のデー
タに変更する必要がある。固有データ設定部（２）を例
えばRAMのように書換え可能なメモリにて構成した場合
は、所定の入力装置により変更すべき排出命令及び回収
表示データを設定するが、ROMのように書込みができな
いメモリにて構成した場合は、変更すべき排出命令及び
回収表示データが予めプログラムされている固有データ
設定部（２）と交換するものである。いずれにしても本
考案によると、固有データ設定部（２）の設定を変更す
ることで、回収スイッチ（14）（15）（16）（17）によ
る回収金種を変えることができる。

（ト） 考案の効果 本考案によると、自己復帰型の回収スイッチは操作さ
れると、その操作力により一旦変位し、その操作力が無
くなると直ちに元の位置に戻り、何れの回収スイッチが
操作されたのか確認し難いが、回収表示データを表示す
る表示器が設けられているため、硬貨回収の作動中は表
示器に回収表示データが表示され、硬貨回収中であるこ
とや、どの回収スイッチが操作されたかなどが一目瞭然
である。また、各回収スイッチすなわち記憶部の各記憶
領域と排出すべき硬貨収納筒との対応関係は固有データ
設定部の設定データにより決定されているので、この固
有データ設定部の設定データを変更することにより、両
者の対応関係を簡単に変更することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例をブロックにて示す図、第２図
は硬貨処理部の構成図、第３図は動作を説明するフロー
チャートである。 （１）……記憶部、（２）……固有データ設定部、
（３）……制御部、（４）……表示部、（５）……排出
部、（９）（10）（11）（12）……硬貨収納筒、（14）
（15）（16）（17）……回収スイッチ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】金種毎に設けられた複数の硬貨収納筒及
   び、この硬貨収納筒毎に配置されている硬貨排出装置を
   備えた自動販売機において、 前記硬貨収納筒と同じ数配置されている自己復帰型の回
   収スイッチと、 この回収スイッチが操作されると、操作された回収スイ
   ッチに対応する記憶領域に、直前にフラグが立っていな
   い場合にはフラグを立ててセットされ、一方、直前にフ
   ラグが立っている場合には、フラグが立っていない状態
   にしてリセットされる記憶部と、 前記記憶部の各記憶領域に対応して、排出すべき硬貨収
   納筒を指定している排出命令および回収表示データを記
   憶している固有データ設定部と、 前記回収表示データを表示する表示器と、 前記回収スイッチが操作されて前記記憶部がセットされ
   た場合には、セットされた記憶領域に対応する前記排出
   命令および前記回収表示データを前記固有データ設定部
   から読み取って、この排出命令に基づいて指定された硬
   貨収納筒に配置されている硬貨排出装置を駆動するとと
   もに前記回収表示データを前記表示器に表示し、一方、
   前記回収スイッチが操作されて前記記憶部がリセットさ
   れた場合には、前記駆動されている硬貨排出装置を停止
   するとともに前記表示器の表示を停止する制御装置とか
   らなることを特徴とする自動販売機の硬貨回収装置。