JPH0874757A - スクロール型流体機械 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 軽量で高性能なスクロール流体機械を提供す
る。 【構成】 スクロール圧縮要素２を回転軸２０を介して
駆動する電動要素とを備え、スクロール圧縮要素２は、
フレームに固定され鏡板８と鏡板８に立設された渦巻き
状のラップ１０とを有する固定スクロール６と、鏡板１
１と鏡板１１の一方の面に立設された渦巻き状のラップ
１２と他方の面に立設されたボス１３とを有する揺動ス
クロール７と、揺動スクロール７を固定スクロール６に
対して円軌道上を公転させるオルダム継手３６とで構成
されており、フレーム５に設けたボールベアリング２
４，５６にて回転軸２０を支承しているスクロール型流
体機械において、フレーム５をアルミニウム材料にて形
成すると共に、フレーム５とボールベアリング２４，５
６との間に熱遮蔽リング５７、５８を介在させる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は電動要素の回転力を揺
動スクロールに伝える駆動装置を有するスクロール型流
体機械に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のスクロール型流体機械、特に圧縮
機は例えば、特開昭６２−２８２１８６号公報に示され
ているように、スクロール圧縮要素と電動要素とを備
え、このスクロール圧縮要素は中央に軸受を有するフレ
ームと、このフレームに固定される鏡板とこの鏡板に立
設された渦巻き状のラップとを有する固定スクロール
と、鏡板とこの鏡板の一方の面に立設された渦巻き状の
ラップと他方の面に立設されたボスとを有する揺動スク
ロールとで構成され、前記固定スクロールと揺動スクロ
ールとはラップを互にかみ合わせて組立てられ、この揺
動スクロールのボスには電動要素の回転軸に設けられた
駆動装置が嵌合されている構成である。

【０００３】また、揺動スクロールを前記固定スクロー
ルに対して自転しないように円軌道上を公転させるため
のオルダム継手は、リング状の別部品として組み込まれ
ており、フレームと揺動スクロールの鏡板に各々形成し
た溝にキーを嵌合させて摺動させる構成である。

【０００４】一方、フレームは鉄系の鋳物材料にて形成
されており、揺動スクロールを駆動させる回転軸を支承
する軸受部品は、外輪と内輪と両輪間に介在されたボー
ルとからなるボールベアリングで構成されて、前記フレ
ームにその外輪を嵌合することにより固定されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、この構造のス
クロール型流体機械、特に無給油式のスクロール型圧縮
機では、スクロール圧縮要素の運転時の熱がフレームを
熱膨張させるため軸受部品の外輪との間で隙間が生じて
軸受部品が弛緩してしまい、回転軸がすりこぎ状態（回
転軸が振れて回転すること）となって、偏磨耗や焼きつ
きの原因とり円滑な摺動ができずに流体機械の性能を低
下させるという問題があった。

【０００６】この問題はフレームをアルミニウム材料に
て形成した場合は熱膨張による隙間の発生が大きくなっ
て特に顕著となって現れる。

【０００７】この発明は上記の問題を解決するもので、
フレームのアルミニウム材料化によりスクロール流体機
械の軽量化を図りつつ、運転時の熱によってもフレーム
に嵌合された軸受部品が弛緩することなく、回転軸がす
りこぎ状態を防止し、偏磨耗や焼きつきのない高性能な
スクロール流体機械を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この発明は、請求項１に
記載の如く、スクロール圧縮要素と、このスクロール圧
縮要素を回転軸を介して駆動する電動要素とを備え、前
記スクロール圧縮要素は、フレームに固定され鏡板とこ
の鏡板に立設された渦巻き状のラップとを有する固定ス
クロールと、鏡板とこの鏡板の一方の面に立設された渦
巻き状のラップと他方の面に立設されたボスとを有する
揺動スクロールと、この揺動スクロールを前記固定スク
ロールに対して自転しないように円軌道上を公転させる
オルダム継手とで構成されており、前記フレームに設け
た軸受部品にて前記回転軸を支承しているスクロール型
流体機械において、前記フレームをアルミニウム材料に
て形成すると共に、前記フレームと軸受部品との間に熱
遮蔽部材を介在させたものである。

【０００９】また、請求項２に記載の如く、スクロール
圧縮要素と、このスクロール圧縮要素を回転軸を介して
駆動する電動要素とを備え、前記スクロール圧縮要素
は、フレームに固定され鏡板とこの鏡板に立設された渦
巻き状のラップとを有する固定スクロールと、鏡板とこ
の鏡板の一方の面に立設された渦巻き状のラップと他方
の面に立設されたボスとを有する揺動スクロールと、こ
の揺動スクロールを前記固定スクロールに対して自転し
ないように円軌道上を公転させるオルダム継手とで構成
されており、前記フレームに設けた軸受部品にて前記回
転軸を支承しているスクロール型流体機械において、前
記フレームをアルミニウム材料にて形成すると共に、前
記軸受部品を外輪と内輪と両輪間に介在されたボールと
からなるボールベアリングで構成し、前記フレームとボ
ールベアリングの外輪との間にアルミニウムより熱膨張
係数の小さい材料からなる熱遮蔽リングを介在させたも
のである。

【００１０】

【作用】本発明のスクロール型無給油式流体機械は上記
の構成により、フレームのアルミニウム材料化により、
鋳物に比べてフレームを大幅に軽くすることができ、ス
クロール流体機械の軽量化を図ることができる。また、
フレームと軸受部品との間に熱遮蔽部材を介在させたの
で、特にスクロール圧縮要素の運転時の熱がフレームを
介して軸受部品に伝わるのを抑制することができ、フレ
ームの熱膨張による該フレームと軸受部品との間の隙間
の発生を押さえ、軸受部品の弛緩を防止して、回転軸の
すりこぎ状態を防ぎ、偏磨耗や焼きつきのない高性能な
スクロール流体機械を提供できるものである。

【００１１】

【実施例】以下この発明を図に示す実施例に基いて説明
する。

【００１２】図１はこの発明の一実施例を示す無給油式
のスクロール型空気圧縮機の断面図である。

【００１３】１はスクロール型空気圧縮機で、このスク
ロール圧縮機は上側のスクロール圧縮要素２と、下側の
電動要素３とで構成されている。スクロール圧縮要素２
は中央に主軸受４を有するアルミニウム合金製のフレー
ム５と、後述するアルミニウム合金製のモータカバー１
５にスペーサ４５を介して固定された固定スクロール６
と、この固定スクロールとフレーム５との間に挟持され
た揺動スクロール７とで構成されている。

【００１４】固定スクロール６は円板状の鏡板８と、こ
の鏡板の一方の面周縁に突出された環状壁９と、この環
状壁で囲まれた鏡板８に立設された渦巻き状のラップ１
０とで構成されている。そして、固定スクロール６は環
状壁９及びラップ１０の突出方向を下向きにしている。

【００１５】揺動スクロール７は円板状の鏡板１１と、
この鏡板の一方の面に立設された渦巻き状のラップ１２
と、鏡板１１の他方の面の中央に突出されたボス部１３
とで構成されている。そして、揺動スクロール７はラッ
プ１２の突出方向を上向きにしている。

【００１６】固定スクロール６と揺動スクロール７と
は、ラップ１０，１２を互に向かい合わせてかみ合うよ
うにして内部に複数の圧縮空間１４を形成するようにし
ている。

【００１７】電動要素３はフレーム５に固定されたモー
タカバー１５と、このモータカバー内に固定された固定
子１６と、この固定子の内側に配置された回転子１７
と、この回転子の中央に挿着された回転軸１８とで構成
されている。モータカバー１５には回転軸を軸支する補
助軸受１９が設けられている。

【００１８】主軸受４には回転軸１８の段部２０に嵌合
されるボールベアリング２４が取付けられている。

【００１９】２５は電動要素３の回転力を揺動スクロー
ル７に伝える駆動装置で、この駆動装置は揺動スクロー
ル７の不平衡力とバランスさせるバランスウェイト２６
と、この揺動スクロールのボス部１３のボス孔内に挿入
して揺動スクロール７を公転させる偏心ブッシュ２８
と、この偏心ブッシュとバランスウェイトとの位置決め
を行うピン２９と、偏心ブッシュ２８を回転軸１８に固
定するボルト３０とで構成されている。

【００２０】固定スクロール６には鏡板８に外側の圧縮
空間１４に連通する吸込孔３１が、鏡板８の中央に圧縮
空間１４に連通する吐出孔３２が夫々形成されている。

【００２１】３６は前記揺動スクロール７を前記固定ス
クロール６に対して自転しないように円軌道上を公転さ
せるオルダム継手である。

【００２２】３３は前記揺動スクロール７の鏡板１１の
背面に一体形成された補強リブである。この補強リブ
は、中央に環状のスラスト軸受部３４を、端部に前記オ
ルダム継手３６のキー４１と係合するキー溝３５を画成
するキー溝形成部４０を連続形成したものである。

【００２３】回転軸２０を支承する軸受部品は、フレー
ム５の上部に嵌合され、外輪５０と内輪５１と両輪５
０，５１間に介在されたボール５２とからなる前記ボー
ルベアリング２４と、モーターケース１５の下部に嵌合
され、外輪５３と内輪５４と両輪５３，５４間に介在さ
れたボール５５とからなる補助のボールベアリング５６
とで構成されており、前記フレーム５及びモーターケー
ス１５と、ボールベアリング２４，５６の各々の外輪５
０，５３との間にはアルミニウムより熱膨張係数の小さ
い材料（例えばＳＣＭやＳ４５Ｃ）からなる熱遮蔽リン
グ５７，５８が各々介在されている。

【００２４】このように構成されたスクロール型空気圧
縮機において、電動要素３を回転させると、その回転力
が回転軸１８を介して揺動スクロール７に伝えられる。
すなわち、揺動スクロール７はこのスクロールのボス部
１３のボス孔に挿入された回転軸１８に取付けた駆動装
置２５の偏心ブッシュ２８で駆動され、オルダム継手３
６によって固定スクロール６に対して自転しないように
円軌道上を公転させられる。そして、固定スクロール６
と揺動スクロール７とはこれらのスクロールで形成され
た圧縮空間１４を外方から内方へ向かって次第に縮小さ
せ、吸込孔３１から流入した空気を圧縮している。この
圧縮された空気は固定スクロール６の鏡板８の吐出孔３
２から吐出されている。

【００２５】駆動装置２５の組立順序を説明すると、ま
ず電動要素３が組込まれているモータカバー１５にフレ
ーム４を固定する。このときフレーム４の主軸受４には
ボールベアリング２４が組込まれている。この状態でバ
ランスウェイト２６はボールベアリング２４の内輪に接
触するように回転軸１８に挿入される。この回転軸に挿
入されたバランスウェイト２６にはピン２９がセットさ
れる。そして、偏心ブッシュ２８はピン２９に嵌合する
ように回転軸１８に挿入される。最後にボルト３０で偏
心ブッシュ２８は回転軸１８に固定される。この時、揺
動スクロール７のボス部１３と偏心ブッシュ２８と間
に、ニードルベアリング３７及びシール部材３８をセッ
トする。そして、ボールベアリング２４の内輪とバラン
スウェイト２６とは偏心ブッシュ２８を回転軸１８に固
定するボルト３０の締付力でこの回転軸の段部２０に押
付けられて固定される。この結果、駆動装置２５は一本
のボルト３０で確実に固定される。

【００２６】バランスウェイト２６と偏心ブッシュ２８
とはピン２９によって位置決めを行うことにより、運転
時の揺動スクロール７の旋回で発生する不平衡力がバラ
ンスウェイト２６で確実に打ち消されるようにしてい
る。

【００２７】また、駆動装置２５は一本のボルト３０で
回転軸１８に固定されることにより、各部品ごとに取付
ける作業がなくなり、組立工程の簡略化を図ることがで
きるようにされている。

【００２８】一方、回転軸２０を支承する軸受部品は、
フレーム５の上部に嵌合され、外輪５０と内輪５１と両
輪５０，５１間に介在されたボール５２とからなる前記
ボールベアリング２４と、モーターケース１５の下部に
嵌合され、外輪５３と内輪５４と両輪５３，５４間に介
在されたボール５５とからなる補助のボールベアリング
５６とで構成されており、前記フレーム５及びモーター
ケース１５と、ボールベアリング２４，５６の各々の外
輪５０，５３との間にはアルミニウムより熱膨張係数の
小さい材料からなる熱遮蔽リング５７，５８が各々介在
されている。

【００２９】フレーム５やモーターケース１５はアルミ
ニウム材料にて形成されているため、鋳物に比べてフレ
ーム５やモーターケース１５を大幅に軽くすることがで
き、スクロール流体機械の軽量化を図ることができる。
また、フレーム５やモーターケース１５とボールベアリ
ング２４，５６との間に熱遮蔽リング５７，５８を介在
させたので、特にスクロール圧縮要素２の運転時の熱が
フレーム５やモーターケース１５を介して該ボールベア
リング２４，５６に伝わるのを抑制することができ、ア
ルミニウム材料からなるフレーム５やモーターケース１
５の熱膨張による該フレーム５等とボールベアリング２
４，５６の外輪５０，５３との間の隙間の発生を押さ
え、ボールベアリング２４，５６の弛緩を防止して、回
転軸２０のすりこぎ状態を防ぎ、偏磨耗や焼きつきを防
止できる。

【００３０】また、フレーム５の上面にはその摺動面に
固形潤滑材料等の摺動材料４３を塗布又は貼付したスラ
ストキャップ４２が嵌合されている。即ち、スラストキ
ャップ４２は、金属或いは合成樹脂材料によりリング状
に形成され、その上面に摺動材料４３を塗布又は貼付す
る一方、下面に突起４６を一体形成している。そして、
突起４６をフレーム５の溝４７に嵌合することにより、
フレーム５に固定されている。

【００３１】そして、スラスト軸受部品は別部品として
フレーム５に装着されたスラストキャップ４２にて構成
されているため、スラスト面精度を含めたスラスト寸法
をスラストキャップ４２単体で高精度に仕上げ加工して
管理することができ、結果的にスクロール流体機械のス
ラスト軸受寸法を高精度に管理可能となって流体機械の
性能を向上できる。

【００３２】また、スラストキャップ４２はキャップ状
の別部品であるため、フレーム５に形成された溝４７に
ワンタッチで嵌合させて取り付けることができ、接着剤
も不要であるため従来のようなスラスト軸受寸法のバラ
ツキもなく、スラスト軸受寸法を高精度に維持しておく
ことができ、組立作業性を向上できる。

【００３３】また、図３は他の実施例を示し、熱遮蔽リ
ング５７をピン５８にてフレーム５に位置決め固定した
ものである。この場合には熱遮蔽リング５７の固定が一
層確実となり、ボールベアリング２４，５６の弛緩防止
効果を助長できる。

【００３４】

【発明の効果】以上のようにこの発明によれば、フレー
ムのアルミニウム材料化により、鋳物に比べてフレーム
を大幅に軽くすることができ、スクロール流体機械の軽
量化を図ることができる。また、フレームと軸受部品と
の間に熱遮蔽部材を介在させたので、特にスクロール圧
縮要素の運転時の熱がフレームを介して軸受部品に伝わ
るのを抑制することができ、フレームの熱膨張による該
フレームと軸受部品との間の隙間の発生を押さえ、軸受
部品の弛緩を防止して、回転軸のすりこぎ状態を防ぎ、
偏磨耗や焼きつきのない高性能なスクロール流体機械を
提供できるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例を示すスクロール型空気圧
縮機の断面図である。

【図２】軸受部の要部断面図である。

【図３】他の実施例を示す軸受部の要部断面図である。

【符号の説明】

２ スクロール圧縮要素 ３ 電動要素 ５ フレーム ６ 固定スクロール ７ 揺動スクロール ８，１１ 鏡板 １０，１２ ラップ ２４，５６ ボールベアリング ３３ 補強リブ ３４ スラスト軸受部 ３５ キー溝 ３６ オルダム継手 ５０，５３ 外輪 ５１，５４ 内輪 ５２，５５ ボール ５７，５８ 熱遮蔽リング

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｆ０４Ｃ 29/00 Ｕ 29/04 Ｃ

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 スクロール圧縮要素と、このスクロール
   圧縮要素を回転軸を介して駆動する電動要素とを備え、
   前記スクロール圧縮要素は、フレームに固定され鏡板と
   この鏡板に立設された渦巻き状のラップとを有する固定
   スクロールと、鏡板とこの鏡板の一方の面に立設された
   渦巻き状のラップと他方の面に立設されたボスとを有す
   る揺動スクロールと、この揺動スクロールを前記固定ス
   クロールに対して自転しないように円軌道上を公転させ
   るオルダム継手とで構成されており、前記フレームに設
   けた軸受部品にて前記回転軸を支承しているスクロール
   型流体機械において、前記フレームをアルミニウム材料
   にて形成すると共に、前記フレームと軸受部品との間に
   熱遮蔽部材を介在させたことを特徴とするスクロール型
   流体機械。
2. 【請求項２】 スクロール圧縮要素と、このスクロール
   圧縮要素を回転軸を介して駆動する電動要素とを備え、
   前記スクロール圧縮要素は、フレームに固定され鏡板と
   この鏡板に立設された渦巻き状のラップとを有する固定
   スクロールと、鏡板とこの鏡板の一方の面に立設された
   渦巻き状のラップと他方の面に立設されたボスとを有す
   る揺動スクロールと、この揺動スクロールを前記固定ス
   クロールに対して自転しないように円軌道上を公転させ
   るオルダム継手とで構成されており、前記フレームに設
   けた軸受部品にて前記回転軸を支承しているスクロール
   型流体機械において、前記フレームをアルミニウム材料
   にて形成すると共に、前記軸受部品を外輪と内輪と両輪
   間に介在されたボールとからなるボールベアリングで構
   成し、前記フレームとボールベアリングの外輪との間に
   アルミニウムより熱膨張係数の小さい材料からなる熱遮
   蔽リングを介在させたことを特徴とするスクロール型流
   体機械。