JPH0874139A - 通糸の自動結束装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】容易かつ迅速に、結束位置を揃えながら、均一
な張力で通糸と綜絖とを直接的に結束できるようにして
通糸結束作業の省力化を図る。 【構成】上端部に略Ｕ字状の凹部を有し、部材長手方向
に沿って綜絖２を保持するとともに、上下方向に移動可
能かつ長手軸回りに回転可能な棒状の綜絖ホルダー３
と、筒状管４Ａの内部に先端がＵ字状に屈曲したフック
部材４Ｂが内設され、このフック部材４Ｂが筒状管４Ａ
先端より出没自在となっているとともに、前記筒状管４
Ａが部材長手方向に移動自在とされ、前記綜絖ホルダー
３に保持された綜絖２の上端孔部および前記綜絖ホルダ
ー２の略Ｕ字状凹部に挿通可能とされる通糸保持フック
４と、通糸１のチャック手段６ａ、６ｂを備え下方向に
移動自在の通糸張力装置６とから構成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【従来の技術】本発明は、ジャガード付織機における紋
仕掛けの作成の際に、織機側の通糸と綜絖とを結束する
ための通糸自動結束装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、ジャガード付織機による紋織
りに際しては、通糸、馬糸、綜絖、矢金またはスプリン
グなどを一連状に結節した紋仕掛けが、一台につき３０
００〜２００００本程度必要となる。通常、馬糸から下
の部分は、工場などにおいて製作段階で結節した状態で
入手することが可能であるが、ジャガード付織機側から
延長される通糸と前記紋仕掛けとの結束は、職人による
手作業によって行われている。通糸と紋仕掛けとの結束
作業に当たっては、経糸を通す綜絖の孔の位置が均一に
揃っていることが重要であり、熟練者の技量に頼らざる
を得ないものとなっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述紋
仕掛けの作成においては、下記のような問題が発生して
いる。 (1) ジャガード付織機に使用する一連の紋仕掛けを手作
業で作成する場合、従来は、通糸と綜絖との間に馬糸を
介在させることにより、綜絖の孔の位置を均一にしてい
る。しかし、馬糸を使用するためには、予め綜絖に馬糸
を結んでおかなければならずその分余計に手間と時間が
掛かるものとなっている。つまり、手作業による結束作
業が、馬糸と綜絖との結束作業、および通糸と馬糸との
結束作業との２工程で必要となり、非常に手間の掛かる
ものとなっていた。この場合、馬糸を使用しないで直接
綜絖を結束することも考えられるが、相当の熟練者であ
っても綜絖の孔の高さを均一に保つことが難しいものと
なっている。

【０００４】(2) 紋仕掛けを手作業で作成する場合、馬
糸を使用する場合であっても、馬糸を綜絖の上端孔部の
小さな孔に挿入しなければならず、これが作業上大きな
負担となっている。

【０００５】(3) ジャガード付織機１台分の紋仕掛けの
数は、３０００〜２００００本にも及び、品質上から１
本づつ熟練者の手作業による結束が必要となっている
が、数が多いために、それだけの結束作業を行うのに数
日から１週間程度の日数を要し、大変な労力と時間とを
費やす作業となっている。

【０００６】そこで本発明の課題は、従来職人の手に頼
っていた通糸の結束作業を、素人であっても容易かつ迅
速に、結束位置を揃えながら、均一な張力で直接的に結
束することが可能であるとともに、また馬糸を必要とせ
ずに作業工程の簡略化やコストダウンを図ることのでき
る通糸の自動結束装置を提供するものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明は、通糸を綜絖の上端孔部に結束するための
通糸自動結束装置であって、略鉛直方向に沿って配さ
れ、上端部に略Ｕ字状の凹部を有し、該凹部に綜絖の上
端孔部を保持するとともに部材長手方向に沿って綜絖を
保持し、部材長手方向に移動自在かつ部材長手方向軸回
りに回転自在とされる棒状の綜絖ホルダーと、略水平方
向に沿って配され、筒状管とこの中空部に内設された先
端Ｕ字状のフック部材とからなり、このフック部材が筒
状管先端より出没自在となっているとともに、前記筒状
管が部材長手方向に移動自在とされ、前記綜絖ホルダー
に保持された綜絖の上端孔部および前記綜絖ホルダーの
略Ｕ字状凹部に挿通可能とされる通糸保持フックと、前
記綜絖ホルダーを間に置いて前記通糸保持フックの対向
側位置に配設され、通糸のチャック手段を備えるととも
に、前記綜絖の上端孔部位置から離間する方向に移動自
在とされる通糸張力装置とからなることを特徴とするも
のである。

【０００８】この場合に、前記綜絖ホルダーに外嵌する
とともに、綜絖ホルダーの部材長手方向に沿って移動自
在とされ、その先端に通糸係止部を有する第２綜絖ホル
ダーを備え、かつ前記第２綜絖ホルダーに通糸切断手段
を備えることが望ましい。

【０００９】また、前記通糸自動結束装置を経糸方向お
よび緯糸方向に移動自在とするＸＹテーブル上に設置す
ることにより、移動が容易かつ正確となり、作業効率の
向上を図り得る。

【００１０】

【作用】本発明装置においては、綜絖ホルダーによって
綜絖を保持した状態から、綜絖の上端孔部に通糸保持フ
ックを挿通し、通糸を通糸保持フックによって固定保持
し、そのまま後退させて通糸を綜絖の上端孔部を通す。
次いで、前記綜絖ホルダーを上昇させながら３６０°部
材長手軸回りに回転させることにより通糸を螺旋状に綜
絖ホルダーに巻き付かせる。その後、通糸保持フックを
前記綜絖の上端孔部の外であって綜絖ホルダーの略Ｕ字
状凹部の螺旋通糸によって囲まれた通孔部に前記通糸保
持フックを挿通して通糸を通す。最後に、通糸を通糸張
力装置によりチャックし離間する方向、たとえば下方に
移動させるとともに、第２綜絖ホルダーを上昇させる
と、綜絖の上端孔部に通糸を結束させることができる。
これに要する時間は数秒である。このようにして通糸を
結束させることにより、従来職人しかできなかった結束
作業が素人であっても、容易かつ迅速に均一な張力で結
束位置を揃えて結束させることができるようになる。ま
た、従来、結束位置を揃えるために必要とされた馬糸が
不要となり、作業の簡略化およびコスト低減を図ること
ができるようになる。

【００１１】

【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて詳述する。
先ず、ジャガード付織機（ダイレクトジャガード機）の
機構について図９により簡単に説明すると、紋紙情報が
入力されたコンピューターからの信号によりスイッッチ
１０がオンされてソレノイドコイル１１に電気が通電さ
れる。この通電によってソレノイドコイル１１内に挿通
されている鉄心１２が図の左方側に引き込まれ、同時に
これと連結されている横針１３が鉄心１２側に引き寄せ
られる。

【００１２】縦針１５はそれぞれ横針１３と連結されて
おり、横針１３の移動により傾動してナイフ１４に引っ
掛かるようになっている。

【００１３】前記縦針１５、１５…の下端には、それぞ
れ通糸１、１…が連結されているとともに、この通糸１
は目板１６により整理されながら挿通され、その下端に
綜絖２が結束されているとともに、この綜絖２の下端に
矢金１９が連結されている。

【００１４】前記綜絖２の中央部に形成されている孔に
は、それぞれ経糸１８、１８…が１本づつ挿通されてお
り、前記縦針１５がソレノイドコイル１１への通電によ
って選択的にナイフ１４に引っ掛かり、ナイフ１４が上
方に引き上げられることにより所定の経糸１８、１８…
が上方に持ち上げられて開口し、この開口したところに
緯糸が挿通されることにより任意の紋様が織り上げられ
る。

【００１５】前記ジャガード付織機による紋織りを行う
前の準備作業として、前記通糸１と綜絖２との結束を行
う紋仕掛けの作成作業は、該部分に配置された図１に示
される通糸自動結束装置Ｍにより行われる。通糸自動結
束装置Ｍは、経糸方向に沿って配置された一対のＸ軸方
向レール２０、２０の跨がってＸ方向移動台２１が載置
され、かつこのＸ方向移動台２１上に形成されたＹ軸方
向レール２１ａ、２１ａ上に載置されたＹ軸方向移動台
２２上に固定されており、経糸方向および緯糸方向に自
由に移動できるようになっている。

【００１６】本発明に係る通糸自動結束装置Ｍは、図２
に示されるように、第１綜絖ホルダー３、通糸保持フッ
ク４、通糸張力装置６、第２綜絖ホルダー５、この第２
綜絖ホルダー５に敷設されたカッター７とから構成され
る。

【００１７】前記第１綜絖ホルダー３は、図５に示され
るように先端部が二股に分岐し突片３Ａと突片３Ｂとに
よって略Ｕ字状の凹部が形成されているとともに、一方
の突片３Ｂ側がさらに前記突片３Ａと突片３Ｂとの分割
方向に対し直交する方向に分割され突片３Ｂに綜絖上端
孔部保持溝３ａが形成され、第１綜絖ホルダー３の長手
方向に沿って形成されている綜絖保持溝３ｂと連続して
いる。前記綜絖上端孔部保持溝３ａ，綜絖保持溝３ｂに
は、図２に示されるように、綜絖２が嵌入される。綜絖
２の上下方向位置の調整は、その中心に形成された経糸
用通孔を所定位置に調整することにより行われ、その位
置決めが成された状態で、綜絖２の上端に形成されてい
る上端孔部２ａは，前記突片３Ａ、３Ｂによって形成さ
れた略Ｕ字状凹部に位置するようになっている。また、
第１綜絖ホルダー３は、図示しないストローク手段によ
って上下方向に移動自在となっているとともに、回転手
段により部材長手方向軸回りに回転自在となっている。

【００１８】また、前記第１綜絖ホルダー３の下側に
は、この第１綜絖ホルダー３を外嵌するとともに第１綜
絖ホルダー３の部材長手方向に沿って移動自在とされる
第２綜絖ホルダー５およびこの第２綜絖ホルダー５に付
設されたカッター７が設けられており、前記第２綜絖ホ
ルダー５により結束位置を綜絖上端孔部２ａの上部に位
置固定することができるとともに、通糸１の結束が完了
した時点で、遊び糸部分を切断できるようになってい
る。

【００１９】一方、通糸保持フック４は、筒状管４Ａの
内部に先端がＵ字状に屈曲した針金状のフック部材４Ｂ
が内設され、前記フック部材４Ｂが筒状管４Ａの部材長
手方向に移動可能とされ筒状管４Ａの先端より出没自在
になっているとともに、筒状管４Ａ自体が部材長手方向
に移動自在とされ、前記第１綜絖ホルダーに保持された
綜絖２の上端孔部２ａおよび前記第１綜絖ホルダー３の
略Ｕ字状凹部に挿通可能とされる。

【００２０】他方、通糸張力装置６は、前記第１綜絖ホ
ルダー３を中間に置いて前記通糸保持フック４の対向側
位置に配設され、通糸１のチャック手段６ａ、６ｂを備
えるとともに、前記綜絖２の上端孔部２ａ位置から離間
する方向，好ましくは下側方向に移動自在とされる。

【００２１】かかる通糸自動結束装置により通糸１と綜
絖２とを結束するには、先ず最初に図２に示されるよう
に、綜絖２を第１綜絖ホルダー３の溝３ａ、３ｂに嵌設
した状態で、通糸保持フック４を先端方向に移動させ、
綜絖２の上端孔部２Ａに挿入し、通糸保持フック４のフ
ック部材４Ｂに通糸１を引っ掛ける。

【００２２】次いで、フック部材４Ｂを筒状管４Ａの内
部に没入する方向に移動させることにより、通糸１が糸
抜けしないようにしっかりと保持したまま、図４に示さ
れるように、通糸保持フック４全体を基端側に移動させ
ることにより通糸１を綜絖２の上端孔部２ａに通す。続
いて、通糸１を通糸保持フック４によって保持したまま
で、第１綜絖ホルダー３を上昇させながら部材長手方向
軸芯回りに３６０°回転させ、図５に示されるように、
第１綜絖ホルダー３の周りに通糸１を螺旋状に巻き付か
せる。そして、前記突片３Ａと突片３Ｂとの間に形成さ
れた略Ｕ字状空間であって、綜絖２と通糸１とによって
囲まれた通孔Ｐに、通糸保持フック４を挿入し、通糸１
を通す。次いで、図６に示されるように、通糸１の先を
通糸張力装置６のチャック６ａ、６ｂによって挟持する
とともに、通糸保持フック４による通糸１の保持を開放
し、図７に示されるように、通糸張力装置６を下方に移
動させることにより通糸１に張力を掛けるとともに、第
１綜絖ホルダー３に外嵌された第２綜絖ホルダー５を上
昇させて上部に形成された通糸係止部５ａに通糸を係止
させて結束位置が下方に下がらないように支持すること
により、綜絖２の上端孔部２ａの上部に結束部を作る。
最後に余分な通糸１は第２綜絖ホルダー５に付設された
カッター７により切断される。

【００２３】本発明に係る自動結束装置Ｍを用い、前記
要領により通糸１と綜絖２とを順次結束させることによ
り、従来熟練者の手作業により多くの手間と時間を要し
た結束作業を素人でも簡単に容易かつ迅速に行うことが
できるようになる。

【００２４】なお、本発明自動結束装置Ｍによって得ら
れる通糸１の結束は、図８に示される結束方法であり、
上下方向に力が加われば、加えられるほど結束部が締め
付けられるため、将来的にも解けることがなくジャガー
ド付織機を安定して稼働させることができる。

【００２５】

【発明の効果】以上詳説のとおり、本発明によれば、従
来職人の手に頼っていた通糸の結束作業を、素人であっ
ても容易かつ迅速に、結束位置を揃えながら、均一な張
力で直接的に結束することが可能となる。また、馬糸を
必要としないために、作業工程の簡略化やコストダウン
を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る通糸自動結束装置の設置状態斜視
図である。

【図２】通糸自動結束装置による第１の結束工程図であ
る。

【図３】図２の平面図である。

【図４】通糸自動結束装置による第２の結束工程図であ
る。

【図５】通糸自動結束装置による第３の結束工程図であ
る。

【図６】通糸自動結束装置による第４の結束工程図であ
る。

【図７】通糸自動結束装置による第５の結束工程図であ
る。

【図８】通糸自動結束装置による通糸の結束図である。

【図９】ジャガード織機の機構概略図である。

【符号の説明】

１…通糸、２…綜絖、３…第１綜絖ホルダー、４…通糸
保持フック、５…第２綜絖ホルダー、６…通糸張力装
置、７…カッター、２０…Ｘ軸方向レール、２１…Ｘ方
向移動台、２１ａ…Ｙ軸方向レール、２２…Ｙ軸方向移
動台、Ｍ…通糸自動結束装置

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】通糸を綜絖の上端孔部に結束するための通
   糸自動結束装置であって、 略鉛直方向に沿って配され、上端部に略Ｕ字状の凹部を
   有し、該凹部に綜絖の上端孔部を保持するとともに部材
   長手方向に沿って綜絖を保持し、部材長手方向に移動自
   在かつ部材長手方向軸回りに回転自在とされる棒状の綜
   絖ホルダーと、 略水平方向に沿って配され、筒状管とこの中空部に内設
   された先端Ｕ字状のフック部材とからなり、このフック
   部材が筒状管先端より出没自在となっているとともに、
   前記筒状管が部材長手方向に移動自在とされ、前記綜絖
   ホルダーに保持された綜絖の上端孔部および前記綜絖ホ
   ルダーの略Ｕ字状凹部に挿通可能とされる通糸保持フッ
   クと、 前記綜絖ホルダーを間に置いて前記通糸保持フックの対
   向側位置に配設され、通糸のチャック手段を備えるとと
   もに、前記綜絖の上端孔部位置から離間する方向に移動
   自在とされる通糸張力装置とからなることを特徴とする
   通糸の自動結束装置。
2. 【請求項２】前記綜絖ホルダーに外嵌するとともに、綜
   絖ホルダーの部材長手方向に沿って移動自在とされ、そ
   の先端に通糸係止部を有する第２綜絖ホルダーを備えた
   請求項１記載の通糸の自動結束装置。
3. 【請求項３】前記第２綜絖ホルダーに通糸切断手段を備
   えた請求項２記載の通糸の自動結束装置。
4. 【請求項４】前記通糸自動結束装置を経糸方向および緯
   糸方向に移動自在とするＸＹテーブル上に設置した請求
   項１〜３記載の通糸の自動結束装置。