JPH0873756A - 導電性高分子ゲル粒子 - Google Patents

導電性高分子ゲル粒子

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JPH0873756A
JPH0873756A JP6215508A JP21550894A JPH0873756A JP H0873756 A JPH0873756 A JP H0873756A JP 6215508 A JP6215508 A JP 6215508A JP 21550894 A JP21550894 A JP 21550894A JP H0873756 A JPH0873756 A JP H0873756A
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JP
Japan
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gelling agent
conductive polymer
polymer gel
gel particles
polymer
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JP6215508A
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English (en)
Inventor
和宏 ▲吉▼川
Kazuhiro Yoshikawa
Shuichi Sasahara
秀一 笹原
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Sekisui Kasei Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Plastics Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 導電性高分子ゲル粒子は、その中のゲル化剤
が、アクリル酸メチルエステルと共重合型架橋剤ジビニ
ルベンゼンとの重合物と、上記重合物を水酸化ナトリウ
ムでケン化して得られるケン化物であるナトリウム塩と
を含み、上記ゲル化剤に、グリセリンと塩化ナトリウム
とを含む電解質水溶液が吸収されて構成されている。 【効果】 導電性高分子ゲル粒子の耐熱性、耐気候性、
耐薬品性が向上する。また、乾燥による電気性能の低下
が長時間起こらず、形状も崩れにくい。それにより、経
時安定性が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば工業用センサー
や医療用生体電極等のように、局部的に電気を測定する
機器の電極端子部に用いられる導電性高分子ゲル粒子に
関し、特に中性電解液を好適に保持できる導電性高分子
ゲル粒子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、例えば工業用センサーや医療用生
体電極等のように局部的に電気を計測する機器に、導電
性高分子ゲル粒子を用いることが考えられている。これ
により、シート状のものと異なり、微小な部位の電気を
測定することが可能となっている。
【0003】このような導電性高分子ゲル粒子として、
従来、導電ゴム粒子のようなゴムと導電物質との混合物
が存在したが、均一性が悪い等により、良好な導電性能
が得られなかった。
【0004】これに代わるものとして、一般の吸水性樹
脂(吸水ポリマー)に電解液を吸収させるものが考えら
れた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
吸水性樹脂に電解液を吸収させた従来の導電性高分子ゲ
ルは、以下ののように経時安定性が悪いという問題
を有している。すなわち、長時間使用していると、ゲ
ル粒子の特性、すなわち例えば耐熱性、耐気候性、耐薬
品性等が、ゲル粒子中の親水性物質すなわち吸収した電
解液の影響を受けて劣化し、経時安定性が悪い。ま
た、水分の蒸発を十分に抑制することができないため、
乾燥による電気性能の低下が比較的短時間の間に招来す
ることになり、また、短時間で形状が崩れる。そのた
め、電気現象の測定を長時間にわたって行うことが困難
であり、経時安定性が悪い。
【0006】また、上記従来の導電性高分子ゲルは、任
意の電解液を吸収させることができないので、電解液種
が限定される。このため、所望の導電性能を得ることが
困難であるという問題を有している。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、請求項1記載の導電性高分子ゲル粒子は、高分子の
ゲル化剤とそのゲル化剤に吸収された電解液とを含む、
導電性を有する高分子のゲル状の粒子であって、高分子
鎖内に親油性成分を含んでいることを特徴としている。
【0008】また、請求項2記載の導電性高分子ゲル粒
子は、請求項1記載の導電性高分子ゲル粒子において、
上記ゲル化剤が、エステルをモノマーとする重合物と、
上記重合物をケン化して得られるケン化物とを含んでお
り、上記親油性成分が、上記重合物であることを特徴と
している。
【0009】また、請求項3記載の導電性高分子ゲル粒
子は、請求項1または2記載の導電性高分子ゲル粒子に
おいて、上記電解液が水および多価アルコールを主成分
とする電解質塩類からなることを特徴としている。
【0010】上記ゲル化剤は、目的に応じて必要な共重
合体とすることができ、それにより、所望の機能を有す
ることができる。
【0011】上記ゲル化剤の調製方法は、特に限定され
ないが、例えば、親水性および親油性の重合性単量体に
水溶性もしくは親水性の共重合性架橋剤を含むモノマー
配合液を重合架橋する方法や、非水溶性の重合性単量体
に非水溶性の共重合性架橋剤を含むモノマー配合液を重
合架橋した後、加水分解等の処理を施すことで親水化
し、目的のゲル化剤を得る方法を用いることができる。
【0012】上記ゲル化剤の基材樹脂は、特に限定され
ないが、3次元の網目構造を有し、かつ、構成単位中に
例えばアクリル酸エステルのようなエステルおよびアク
リル酸塩のような塩が主体(すなわちモノマー)として
含まれる重合体を用いることができる。
【0013】上記塩としては、特に限定されないが、ナ
トリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属、ま
た、メチルアミン、トリメチルアミン、トリエタノール
アミン、ジエタノールアミン等のアンモニウム塩および
アミン塩等を用いることができる。
【0014】上記モノマーとしては、特に限定されない
が、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン
酸、アコニット酸、シトラコン酸などの不飽和モノカル
ボン酸または不飽和ポリカルボン酸のエステルや、ビニ
ルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン
酸、ビニルトルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸、
アクリルスルホン酸、メタアクリルスルホン酸、アクリ
ルアミドスルホン酸、メタアクリルアミドスルホン酸等
の脂肪族または芳香族ビニルスルホン酸類のエステルを
用いることができる。
【0015】また、上記のゲル化剤を調製する際の共重
合性架橋剤として、特に限定されないが、N,N’−メ
チレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスメ
タアクリルアミド、N,N’−エチレンビスアクリルア
ミド、N,N’−エチレンビスメタアクリルアミド、1,
2-ジアクリルアミドエチレングリコールを挙げることが
でき、さらに、エチレングリコール、トリメチロールプ
ロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、
ポリオキシプロピレングリコール等のジまたはトリアク
リル酸エステルおよびメタアクリル酸エステル、ジビニ
ルベンゼン、ジビニルトルエン、テトラアリロキシエタ
ン、ジアリルフタレート、ジアリルアジペート等が挙げ
られる。
【0016】重合架橋する方法としては、特に限定され
ないが、ラジカル重合開始剤を用いる場合には、アゾビ
スシアノ吉草酸やアゾビスアミノジプロパン2塩基酸塩
等のアゾ系重合開始剤や、硫酸第一鉄や亜二チオン酸、
ピロ亜硫酸塩等の還元剤と、過酸化水素、ペルオキソ二
硫酸塩等の過酸化物からなるレドックス開始剤等も用い
ることができる。これらアゾ系重合開始剤およびレドッ
クス開始剤は、必要に応じて単独または混合して使用し
てもよい。また、放射線、電子線、紫外線等の照射によ
って重合させてもよい。
【0017】また、重合の際に添加剤を加えてもよく、
そのような添加剤としては、増量剤が挙げられ、そのよ
うな増量剤としては、有機質粉末、有機質繊維または無
機質粉末や無機質繊維、並びにゲル化剤や吸水性樹脂な
どを用いることができる。また、ゲル化剤粒子の表面に
は、目的に応じて必要な二次的な処理を施すことで親水
性等の機能を付加できる。
【0018】ゲル化剤の形状としては、電解質を保持で
きれば特に制限はなく、例えば、粉粒状、球状、フレー
ク状等を用いることができる。また、ゲル化剤の粒度も
特に制限はないが、好ましくは、粒子径が 0.1〜5mm の
範囲内であり、膨潤保液後の粒子径が 0.2〜25mmの範囲
内であり、特に好ましくは、ゲル化剤の粒度が、粒子径
が 0.5〜2.0 mmの範囲内であり、保液膨潤後の粒子径が
1〜10mmの範囲内である。
【0019】また、ポリマー中のエステル分の範囲は、
好ましくは50モル%以下であり、特に好ましくは40
〜10モル%のエステル分である。
【0020】また、用いる電解液の組成の一例として、
電解質溶液を構成する水は、組成率が20〜60%の範
囲に設定されていることが好ましく、特に好ましくは、
30〜50%の範囲に設定されていることが望ましい。
電解液中の水が少なすぎると、ゲル体となったときに良
好な導電体にならず、高インピーダンスのゲル体とな
り、良好な電気(導電)性能が得られない。一方、60
%を越えると、導電性が良好であるが、水がゲルの細目
中で安定に存在しなくなり、乾燥性が増大し、長時間の
経時安定性が低下する。
【0021】また、多価アルコールとしては、ソルビト
ール、グリコール、グリセリン等を用いることができ
る。
【0022】また、電解質溶液を構成する多価アルコー
ルは、組成率が20〜65%の範囲に設定されているこ
とが好ましい。20%未満の場合は、ゲル体の乾燥性能
が低下(乾燥速度が増大)し、経時安定性が得られな
い。65%を越えると、良好な乾燥性能(乾燥速度が低
下)を得ることができる反面、多くの電解液を吸液保持
させることが困難となる。
【0023】また、電解質溶液を構成する電解液中性塩
類は、好ましくは15%以下、特に好ましくは2〜8%
の範囲に設定されていることが望ましい。これは、電解
質中性塩類が、水分量との相関関係において、ゲル体の
インピーダンスに密接に関係し、電極の性能を決定する
主要な構成材料であり、組成率が2%未満の場合、イン
ピーダンスが高すぎて良好な電気性能が得られないため
である。一方、組成率が15%を越える場合には、水分
量との関係で電離限界を越えるため、不要な添加とな
り、他の構成成分の比率を低下させるだけとなって好ま
しくないためである。
【0024】
【作用】上記請求項1記載の構成によれば、親油性の成
分がゲル粒子中に導入されているので、ゲル粒子の特性
がゲル粒子中の親水性物質すなわち吸収した電解液から
受ける影響を低下させることができる。したがって、耐
熱性、耐気候性、耐薬品性が向上する。それによって、
経時安定性が向上する。
【0025】また、親油性の成分がゲル粒子中に導入さ
れているので、例えば多価アルコールのような保湿剤と
して機能する親油性物質を十分保持することができる。
したがって、乾燥による電気性能の低下が長時間起こら
ない。また、形状も崩れにくい。そのため、電気現象の
測定を長時間にわたって行うことができ、経時安定性が
さらに向上する。
【0026】また、親油性が増すので、任意の電解液を
保液させることができる。そのため、所望の導電性能を
得ることができる。
【0027】このとき、例えば上記請求項3記載の構成
であれば、上記多価アルコールが保湿剤として働き、ゲ
ル粒子中に水を十分保持させることができるので、経時
安定性が向上する。
【0028】上記請求項2記載の構成によれば、重合物
のケン化の度合いを調整してエステル分を残すだけで、
所望の親油性を有する導電性高分子ゲル粒子を得ること
ができ、任意の電解液を容易に保液させることができ
る。したがって、新たな親油性成分を加える工程を追加
する必要がない。それにより、上記の経時安定性の良い
導電性高分子ゲル粒子を効率良く作製することができ
る。
【0029】
【実施例】本発明の一実施例について図1ないし図2に
基づいて説明すれば、以下の通りである。まず、本実施
例の導電性高分子ゲル粒子の製法の各例、および上記各
例により得られた導電性高分子ゲル粒子の特性について
説明する。なお、以下の各例において使用した部は重量
部であり、%は重量%である。
【0030】〔例1〕分散安定剤としての部分ケン化ポ
リビニルアルコール15部を水1500部に溶解した水溶液を
調製し、その水溶液を反応容器に仕込み、続いて、上記
水溶液中に、重合性モノマーとしてのアクリル酸メチル
500部、架橋剤としてのジビニルベンゼン0.75部および
重合開始剤としてのベンゾイルパーオキシド 2.5部の混
合液を加えて分散させ、窒素雰囲気下で、反応容器内の
温度を70℃に保ち、2時間懸濁重合した。得られた架橋
重合体を水で洗浄後、脱水を行った。
【0031】次いで、前記の重合架橋体 500部を、メタ
ノール1500部に水酸化ナトリウム190 部を溶解させた溶
液に分散し、80℃で4時間ケン化反応を行った。
【0032】反応終了後のケン化物はメタノールで洗浄
し、遊離の水酸化ナトリウムを除去した後、減圧乾燥
し、24〜42メッシュに分級を行い、球状のゲル化剤を得
た。
【0033】次いで、上記の球状のゲル化剤を膨潤させ
る電解質溶液を以下のように作製した。すなわち、湿潤
剤としての多価アルコールであるグリセリンと、電解質
塩類としての塩化ナトリウムとを秤量し、溶媒としての
水を加えて混合して塩化ナトリウムを溶解させ、無色透
明の中性電解質水溶液を作製した。このとき、電解質溶
液中にグリセリンがA%、塩化ナトリウムがB%含まれ
るとする。
【0034】次いで、上記の球状のゲル化剤(20%)
を上記電解質水溶液(80%)に浸積し、密閉容器中で
12時間緩やかに撹拌し、透明で均一な導電性高分子ゲ
ル粒子を得た。
【0035】〔例2〕上記例1におけるジビニルベンゼ
ン0.75部に代えて、ジビニルベンゼン0.40部を用いた他
は、上記例1と同様にして球状のゲル化剤および導電性
高分子ゲル粒子を得た。
【0036】〔例3〕上記例1における水酸化ナトリウ
ム190 部、80℃で4時間ケン化反応を行うのに代えて、
水酸化ナトリウム150 部、80℃で3時間ケン化反応を行
う他は、上記例1と同様にして球状のゲル化剤および導
電性高分子ゲル粒子を得た。
【0037】〔例4〕上記例3におけるジビニルベンゼ
ン0.75部に代えて、ジビニルベンゼン0.40部を用いた他
は、上記例3と同様にして球状のゲル化剤および導電性
高分子ゲル粒子を得た。
【0038】次に、上記各例1〜4のゲル化剤に対し
て、比較対照とした導電性高分子ゲル粒子について説明
する。 〔例5〕まず、重合性モノマーとしてのアクリル酸 500
部、水 300部、中和剤としての水酸化ナトリウム 200部
および架橋剤としてのN,N’−メチレンビスアクリル
アミド0.45部を常温下で温度制御可能な反応容器に投入
し混合攪拌してモノマー配合溶液を調製した。
【0039】上記モノマー配合溶液を、窒素雰囲気下で
液温を20℃とした後、上記モノマー配合溶液に、3%の
過硫酸カリウム水溶液25部を加えて反応容器を60℃に維
持しつつ、上記アクリル酸とN,N’−メチレンビスア
クリルアミドとを重合架橋した。
【0040】重合開始から1時間後に反応容器を開け、
その反応容器内で生成したゲル状含水架橋重合体を取り
出した。このゲル状含水架橋重合体を裁断し、120 ℃に
加熱されたドライヤーで乾燥した後、粉砕機により粉砕
した後、24〜42メッシュの粒度に調製してゲル化剤を得
た。
【0041】次いで、上記の球状のゲル化剤(20%)
を上記電解質水溶液(80%)に浸積し、密閉容器中で
12時間緩やかに撹拌し、均一な導電性高分子ゲル粒子
を得た。
【0042】〔例6〕ゲル化剤として、一般的な吸水性
ポリマーである架橋分岐型ポリアクリル酸ナトリウム
(商品名:アクアメイトAQ-200B 、積水化成品工業株式
会社製)を使用した。また、上記例3と同様にして導電
性高分子ゲル粒子を得た。
【0043】次に、上記の各導電性高分子ゲル粒子に対
して、下記の各項目についてそれぞれ試験を行い評価し
た。その項目として、保液量、インピーダンス、乾燥性
を用いた。
【0044】(1)保液量 ゲル化剤(重量をagとする)に対する電解質溶液(重
量をbgとする)の保液量(b/a倍)を、ティーバッ
グ法により測定した。すなわち、各ゲル化剤をそれぞれ
秤量した(ag)後、ティーバッグ状の袋(4×10mmの
ポリプロピレン製不織布)にそれぞれ封入し、袋を含め
た重量を秤量(重量をcgとする)する。
【0045】次に、上記袋を、前記各例で作製した電解
質溶液に浸す。なお、ここでは、グリセリン(A)=6
5,塩化ナトリウム(B)=8で作製した電解質溶液を
用いている。
【0046】続いて、6時間後に、上記袋の余分な水分
を切ってから、吸収したゲル化剤を含む袋を秤量する
(重量をdgとする)。その後、d−cをbとして、保
液量を算出する。なお、さらに、上記電解質溶液に代え
て、イオン交換水、メタノールを用いた保液量も同様に
測定した。表1にその結果を示す。
【0047】
【表1】
【0048】これにより、例1ないし例4で作製したゲ
ル化剤を用いて導電性高分子ゲル粒子を作製した場合
に、十分電解液保液量が高く、電解質の吸収性に優れて
いることが分かる。また、ケン化度分を下げた例3、4
では、例1、2に比べ、メタノールの保液量が増加して
おり、これに伴い、保湿剤として用いられる多価アルコ
ールの吸収性が増加することが分かる。したがって、乾
燥による電気性能の低下を長時間防ぐことができ、ゲル
粒子の形状も崩れにくくなる。このため、例えば生体電
気現象のような電気現象の測定を長時間にわたって行う
ことができ、経時安定性が向上する。
【0049】(2)インピーダンス 上記の導電性高分子ゲル粒子のうち、それぞれ直径5m
mのゲル粒子を選択してサンプル粒子とし、このサンプ
ル粒子からゲルの単体インピーダンスZ(Ω)を測定し
た。このインピーダンス測定法について詳述すると、ま
ず、信号発生機とオシロスコープ(OSC)とを接続
し、出力電圧(V1 とする)が10V、出力波形が正弦
波、周波数が10Hzの出力状態となるように上記信号
発生機を調整した。
【0050】調整が完了すると、図1に示すように、信
号発生機1の出力端子の一方にケーブル2aを接続し
た。そして、信号発生機1の出力端子の他方に、1MΩ
の抵抗Rを有する抵抗器3とケーブル2bとを接続し
た。
【0051】さらに、ケーブル2aの先端に銀電極4a
を接続するとともに、他方のケーブル2bの先端に銀板
4aと対となる銀板4bを接続し、これらの両銀板4a
・4b間に導電性高分子ゲル粒子のサンプル粒子5を固
定した。
【0052】また、オシロスコープ6の+入力端子およ
び−入力端子に、ケーブル2c・2cを接続した。そし
て、両ケーブル2c・2cの先端に上記銀板4a・4b
を接続した。
【0053】そして、信号発生機1からサンプル粒子5
に電圧を印加し、サンプル粒子5による電圧降下する電
圧値V2 をオシロスコープ6によって読み取った。
【0054】サンプル粒子5のインピーダンスZは、下
記の関係式(1)によって求められる。 |Z|=R×V2 /(V1 −V2 ) (1) これにより、上記関係式(1)に、オシロスコープ6に
よって得られた電圧値V2 と、抵抗値R=1MΩと、電
圧値V1 =10Vとを代入することによって、サンプル
粒子5のインピーダンスZを求めた。例1および2の導
電性高分子ゲル粒子(いずれもA=65,B=27とす
る)のインピーダンスと比較ゲル粒子のインピーダンス
とを求めた結果を表2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】これにより、例1および例2で作製したゲ
ル化剤を用いて導電性高分子ゲル粒子を作製した場合
に、十分インピーダンスが低く、良好な導電性が得られ
ることが分かる。一方、比較例としての例5および例6
で作製したゲル化剤を用いて導電性高分子ゲル粒子を作
製した場合に、十分低いインピーダンスが得られず、良
好な導電性が得られないことが分かる。
【0057】(3)乾燥性 表3に示すようなA、Bの値を持つ電解質溶液(それぞ
れS1、S2、S3とする)と例1で作製したゲル化剤
とから、それぞれ導電性高分子ゲル粒子のサンプルを作
製した。それらのサンプルを、気温23℃、湿度65%
の条件下で静置し、重量%の経日変化およびインピーダ
ンスZの経日変化を調べた。その結果を同表に示す。
【0058】
【表3】
【0059】これにより、例1で作製したゲル化剤と電
解質溶液S1およびS2とを用いて導電性高分子ゲル粒
子を作製した場合に、良好な耐乾燥性が得られることが
分かる。すなわち、導電性高分子ゲル粒子の親油性が増
すので、グリセリンの量(重量%)を所定の値以上に用
いることにより、ゲル粒子の特性がゲル粒子中の親水性
物質すなわち吸収した電解液から受ける影響を低下させ
ることができる。したがって、耐熱性、耐気候性、耐薬
品性が向上し、経時安定性が向上する。
【0060】それとともに、上記のように親油性が増す
ので、以上に種々例を挙げたように任意の電解液を保液
させることができる。そのため、所望の導電性能を得る
ことができる。
【0061】また、グリセリンや塩化ナトリウムの割合
を選択し、共重合型架橋剤成分の重合物のケン化の度合
いを調整してエステル分を残すだけで、所望の親油性を
有する導電性高分子ゲル粒子を得ることができ、任意の
電解液を容易に保液させることができる。したがって、
新たな親油性成分を加える工程を追加する必要がない。
それにより、上記の経時安定性の良い導電性高分子ゲル
粒子を効率良く作製することができる。
【0062】また、上記各例では、重合性モノマーとし
てアクリル酸メチル、架橋剤としてジビニルベンゼン、
ケン化剤として水酸化ナトリウム、電解質溶液中の湿潤
剤として多価アルコールであるグリセリン、電解質塩類
として塩化ナトリウムの例を挙げたが、これに限定され
ない。
【0063】また、本発明にかかる導電性高分子ゲル粒
子は、例えば医療用生体電極や工業用センサー等に適用
されるが、これに限定されず、局部的に電気を計測する
広範囲の機器に好適に適用できる。
【0064】
【発明の効果】以上のように、本発明の導電性高分子ゲ
ル粒子は、高分子のゲル化剤とそのゲル化剤に吸収され
た電解液とを含む、導電性を有する高分子のゲル状の粒
子であって、高分子鎖内に親油性成分を含んでいる構成
である。
【0065】それゆえ、耐熱性、耐気候性、耐薬品性が
向上するとともに、乾燥による電気性能の低下が長時間
起こらず、形状も崩れにくいので、経時安定性が向上す
るという効果を奏する。
【0066】また、所望の導電性能を得ることができる
という効果を奏する。
【0067】また、請求項2記載の導電性高分子ゲル粒
子は、請求項1記載の導電性高分子ゲル粒子において、
上記ゲル化剤が、エステルをモノマーとする重合物と、
上記重合物をケン化して得られるケン化物とを含んでお
り、上記親油性成分が、上記重合物である構成である。
【0068】それゆえ、上記の経時安定性の良い導電性
高分子ゲル粒子を効率良く作製することができるという
効果を奏する。
【0069】また、請求項3記載の導電性高分子ゲル粒
子は、請求項1または2記載の導電性高分子ゲル粒子に
おいて、上記電解液が水および多価アルコールを主成分
とする電解質塩類からなる構成である。
【0070】それゆえ、上記多価アルコールが保湿剤と
して働き、ゲル粒子中に水を十分保持させることができ
るので、経時安定性が向上するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の導電性高分子ゲル粒子のイ
ンピーダンスの測定方法を示す回路図である。
【符号の説明】
5 サンプル粒子

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高分子のゲル化剤とそのゲル化剤に吸収さ
    れた電解液とを含む、導電性を有する高分子のゲル状の
    粒子であって、 高分子鎖内に親油性成分を含んでいることを特徴とする
    導電性高分子ゲル粒子。
  2. 【請求項2】上記ゲル化剤が、エステルをモノマーとす
    る重合物と、上記重合物をケン化して得られるケン化物
    とを含んでおり、 上記親油性成分が、上記重合物であることを特徴とする
    請求項1記載の導電性高分子ゲル粒子。
  3. 【請求項3】上記電解液が水および多価アルコールを主
    成分とする電解質塩類からなることを特徴とする請求項
    1または2記載の導電性高分子ゲル粒子。
JP6215508A 1994-09-09 1994-09-09 導電性高分子ゲル粒子 Pending JPH0873756A (ja)

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JP6215508A JPH0873756A (ja) 1994-09-09 1994-09-09 導電性高分子ゲル粒子

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6706823B2 (en) * 2001-12-31 2004-03-16 Bridgestone Corporation Conductive gels

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