JPH0873518A - 含水ゲル状重合体の連続的乾燥方法 - Google Patents

含水ゲル状重合体の連続的乾燥方法

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Abstract

(57)【要約】 【構成】 コンベア式乾燥装置を用いた含水ゲル状重合
体の乾燥において、ゲル層を通過する熱風の通過前後の
差圧を計測することにより、ゲル積層厚をオンタイムで
検知して、乾燥機の条件を制御することを特徴とする含
水ゲル状重合体の連続的乾燥方法。 【効果】 特別な設備等を用いることなく、未乾燥物含
量の極めて少ない乾燥製品を効率的に製造することがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高分子凝集剤や高吸水
性樹脂等の製造工程のおける含水ゲル状重合体のコンベ
ア式乾燥方法において、ゲル層の積層厚をオンタイムで
検知して乾燥条件を制御することにより、未乾燥物の発
生を防止できる乾燥方法に関する。さらに詳しくは、ゲ
ル層の積層厚をオンタイムで測定することにより、ゲル
の乾燥ムラをなくすると共に、乾燥機の温度や風量等の
条件の自動制御して、未乾燥物のない製品の効率的な生
産を可能にする、含水ゲルの連続的乾燥方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高分子凝集剤や高吸水性樹脂等の製造段
階における含水ゲル状重合体は、通常、例えばアクリル
酸、アクリル酸ナトリウム、アクリルアミド、N,N−
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートの4級塩な
どの水溶性モノマーを水媒体中で(共)重合して得られ
る。これらの含水ゲル重合体は、乾燥させて適度の粒度
に粉砕し、高分子凝集剤あるいは高吸水性樹脂として製
品化されて使用される。
【0003】この含水ゲル重合体の乾燥方法としては、
薄膜乾燥法(特開平1−103615号公報など)、棚
段式乾燥法、回転ドラム乾燥法、コンベア式乾燥法等が
一般に用いられている。これらのうちコンベア式乾燥法
は、ゲルの弾性や強度に依存せず、連続してゲルの投入
が可能であり、しかもゲルと乾燥機が一体化するトラブ
ルが少ない、などの優れた特長を有している。ところ
が、このコンベア式乾燥機上に含水ゲルを一定の厚さで
積層することは実際上極めて困難である。コンベア式乾
燥機において、ゲルの積層厚にムラがあると未乾燥部分
が発生し、乾燥機の後工程に設置されている粉砕機に未
乾燥物が詰まり、粉砕機を停止させるトラブルの原因と
なる。
【0004】しかし、ゲルの積層厚さをオンタイムで測
定できれば、その積層厚に比例させて熱風の温度もしく
は風量、コンベアのスピード等を調節して未乾燥物の発
生を未然に防止でき、コンベア式乾燥機による乾燥工程
の自動化が可能となる。
【0005】高分子凝集剤や高吸水性樹脂等の製造は、
通常、図1に示すように、水溶性モノマーを水系媒体中
で無攪拌で重合し、ゲル状の含水重合体を生成せしめ
る。この含水ゲル状重合体は重合缶の空隙部分に圧縮空
気または窒素ガスで背圧をかけ、重合缶の出口から押し
出す一方で、出てきたゲルをミンチ機で引っ張り、ミン
チされたゲルをイブナローラーで均してコンベア式乾燥
機上に供給される。
【0006】したがって、重合缶からのゲルの取り出し
速度を一定にできれば、コンベアー式乾燥機に供給され
るミンチ状ゲルの量も一定にできるが、重合缶からのゲ
ルの取り出し量を一定にすることは実際上困難である。
その理由としては、ロット毎に僅かに変動するゲルの
弾性と粘性のブレが避けられない;重合缶からのゲル
の取り出しの進行に伴いゲルと重合缶壁との摩擦力(ゲ
ルの物性の変化、ゲルと重合缶壁との接触面積)が変化
する;空気または窒素の背圧(押しだし力)とゲルを
引っ張るミンチ機(引っ張り力)とのバランスが変化す
る;等が挙げられる。
【0007】このため、通常は作業者の経験だけに頼
り、ゲルの取り出し量をできるだけ一定にさせているの
が現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来、コンベアー上の
ゲルの積層厚をオンタイムで経済的かつ効果的に測定す
る方法は従来知られておらず、未乾燥物を含まない乾燥
製品を連続的に製造することは事実上困難であった。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
問題点を解決し、経済的で精度よくオンタイムでコンベ
アー式乾燥機上の含水ゲルの積層厚を検知する方法を見
いだすべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すな
わち本発明は、水平状に設置されたコンベア上に含水ゲ
ル状重合体を載せてトンネル型乾燥機内を搬送する間
に、熱風を吹き付けて該含水ゲル状重合体を乾燥する方
法において、熱風をコンベア上に積層された含水ゲル状
重合体の上方から下方へ、もしくは下方から上方へ吹き
付け、該熱風を吹き付ける側の圧力と含水ゲル重合体層
を介して反対側の圧力との圧力差を計測することによ
り、オンタイムで含水ゲル重合体の積層厚を検知して、
乾燥条件を制御することを特徴とする含水ゲル状重合体
の連続的乾燥方法である。
【0010】
【作用】すなわち、コンベア式乾燥機に流入している熱
風と、該乾燥機から排出する排気との圧力差を計測する
することにより、コンベア上の含水ゲルの積層厚をモニ
ターできる。つまり、積層厚が厚い場合にはゲル中を通
過する熱風の圧力損失が大きくなり、流入している熱風
と排気との圧力差は大きくなる。この圧力差はゲルの積
層厚に比例するので、圧力差をモニターすることによ
り、コンベア式乾燥機上のゲルの積層厚をオンタイムで
モニター(検知)することができる。これによりコンベ
アの搬送速度や乾燥風量等を制御して、製品中の未乾燥
物の発生を未然に防止し、効率的な連続的乾燥が可能と
なる。
【0011】本発明の乾燥方法を実施するためのコンベ
ア式乾燥装置は、トンネルと、周囲の気体を加熱する熱
源と、トンネル内で被乾燥物(含水ゲル)を搬送するコ
ンベアと、熱源にて加熱された気体をコンベア上の搬送
物に送る送風機とからなり、トンネル内が複数のゾーン
に仕切られ、各々のゾーンごとに熱源および送風機が配
置されていることを特徴とする。ここで、コンベアを駆
動させる方式については特に限定はなく、チェーン駆
動、ベルト駆動、コロ駆動等のいずれでもよい。
【0012】
【実施例】本発明の乾燥方法およびコンベア式乾燥装置
の実施例を図面に基づいて具体的に説明するが、本発明
はこれに限定されるものではない。
【0013】図2は、この実施例の乾燥方法に用いられ
るコンベア式乾燥装置を搬送方向に沿って切断したとこ
ろを示す断面図である。
【0014】図2において、コンベア式乾燥装置1は、
トンネル2と、熱源としてのヒーター(図示省略)と、
孔付きトレイ31を搬送方向に多数連ねたコンベア3
と、送風機(図示省略)とを備えている。
【0015】トンネル2内は、間仕切り21にて直列の
四つのゾーン22,23,24,25に仕切られ、各々
のゾーンごとにヒーター及び送風機が配備され、天井面
及び床面に乾燥空気を吸入する吸気口26又は湿った空
気を排出する排気口27がそれぞれ設けられている。な
お、第一,第二ゾーン22,23と第三,第四ゾーン2
4,25とは、送風機とヒーターの位置が入れ替わるか
又は送風機の回転方向が逆転するように設定されてい
る。
【0016】次に、本実施例のコンベア式乾燥装置に差
圧計を取り付け、ゲルの積層厚を計測する具体例を図3
に示す。
【0017】図3に示すように、ガラス製のU字管の一
方の口に熱風の発生源から吸入口(図2の26)に至る
経路に接続し、もう一方の口は熱風の排気口(図2の2
7)から排気された経路に接続する。該U字管の太さは
任意でよいが、計測される差圧が適度に精度よく読み取
れる太さを選択する。また、U字管の内部に入れる液体
は水銀が一般的であるが、他の不揮発性液体を用いるこ
とも可能である。
【0018】本発明に用いる差圧計は、前記のガラス製
のU字管以外に圧電素子を用いたものでもよい。この場
合、差圧は電流または電圧の変化に変換できるので、記
録計に接続することにより差圧の変動を連続的にモニタ
ーすることができる。この電気信号を利用することによ
り、重合缶からのゲルの取り出し速度(重合缶の空隙部
分にかける背圧、ミンチ機の取り出し回転速度など)の
調節だけでなく、コンベア式乾燥機のコンベアの移動速
度、熱風の風量および温度などの制御にも用いることが
できるので、コンベア式乾燥機中の未乾燥ゲルの発生を
極力防止する等の、乾燥工程の自動化を促進することが
可能となる。
【0019】実施例1 本発明の効果を確認するために、実際に含水ゲル状重合
体を以下の要領で乾燥した。すなわち、アクリルアミド
とN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートの4級
塩とからなる含水率40重量%のゲル状重合体を、図1
のコンベア3に1トレイ面積1m2当たり30kgの割
合で載せて搬送した。コンベアの移動速度を60m/時
間とし、第一ゾーン22では温度200℃,風速3m/
秒の熱風、第二ゾーン23では温度180C,風速3m
/秒の熱風、第三ゾーン24では温度170℃,風速3
m/秒の熱風、第四ゾーン25では温度150℃,風速
3.5m/秒の熱風をそれぞれゲル層に通過させた。各
々のゾーンの長さは各5mであった。ゲルが最初に搬入
された第一ゾーンでの差圧は50mmH2Oであった。
重合缶からのゲルの取り出しが進むにつれて、差圧は5
0mmH2Oから徐々に上昇して80mmH2Oとなった
ので、コンベアの移動速度を60m/時間から40m/
時間に減速して乾燥させた。このときの未乾燥品発生量
は2〜5kg(含水ゲル4トン当たり)であった。
【0020】比較例1 実施例1において、コンベアの移動速度を最初の60m
/時間のまま一定にして乾燥を行った場合は、含水ゲル
4トン当たりの未乾燥品発生量は240kgであった。
【0021】
【発明の効果】本発明の方法を用いることにより、特別
な設備を必要とせずに、含水ゲル状重合体の連続乾燥が
可能であり、未乾燥物含有量が極めて少ない乾燥製品を
効率的に製造ができ、工業的に極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は含水ゲルが重合槽からミンチ機を経て乾
燥機に供給される状態を示す概念図である。
【図2】図2はコンベアー式乾燥機をコンベアーの搬送
方向に沿って切断した状態を示す断面図である。
【図3】図3は乾燥機中における、熱風圧と含水ゲル層
を介して反対側の排気圧との圧力差を、マノメーター
(圧差計)を用いて測定する原理図である。
【符号の説明】
1:コンベア式乾燥装置 2:乾燥機トンネル 21:各乾燥ゾーンの間仕切り 22:第一ゾーン 23:第二ゾーン 24:第三ゾーン 25:第四ゾーン 26:熱風吸気口 27:排気口 3コンベア 31:含水ゲル入れる孔付トレイ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水平状に設置されたコンベア上に含水ゲ
    ル状重合体を載せてトンネル型乾燥機内を搬送する間
    に、熱風を吹き付けて該含水ゲル状重合体を乾燥する方
    法において、熱風をコンベア上に積層された含水ゲル状
    重合体の上方から下方へ、もしくは下方から上方へ吹き
    付け、該熱風を吹き付ける側の圧力と含水ゲル重合体層
    を介して反対側の圧力との圧力差を計測することによ
    り、オンタイムで含水ゲル重合体の積層厚を検知して、
    乾燥条件を制御することを特徴とする含水ゲル状重合体
    の連続的乾燥方法。
  2. 【請求項2】 上記含水ゲル状重合体が高分子凝集剤で
    ある請求項1記載の乾燥方法。
  3. 【請求項3】 上記含水ゲル状重合体が高吸水性樹脂で
    ある請求項1記載の乾燥方法。
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