JPH0873500A - ε−(γ−グルタミル)リジン架橋部位に対するモノクローナル抗体及び免疫学的測定法 - Google Patents

ε−(γ−グルタミル)リジン架橋部位に対するモノクローナル抗体及び免疫学的測定法

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JPH0873500A
JPH0873500A JP20851394A JP20851394A JPH0873500A JP H0873500 A JPH0873500 A JP H0873500A JP 20851394 A JP20851394 A JP 20851394A JP 20851394 A JP20851394 A JP 20851394A JP H0873500 A JPH0873500 A JP H0873500A
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lysine cross
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Tomoko Ootsuka
とも子 大塚
Katsuya Seguro
勝也 脊黒
Masao Motoki
正雄 本木
Koji Ikura
宏司 伊倉
Ryuzo Sasaki
隆造 佐々木
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Ajinomoto Co Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来法と比して、ε-(γ−グルタミル)リジ
ン架橋部位のみを高感度、短時間に蛋白質の種類の差の
影響なく、簡便に検出・定量する手段、ε-(γ−グルタ
ミル)リジン架橋部位を無破壊で検出・定量する手段を
提供すること。 【構成】 ε-(γ−グルタミル)リジン架橋部位に親和
性の高いモノクローナル抗体を用いて免疫学的測定法に
よりε-(γ−グルタミル)リジン架橋部位を定量する。
抗ε-(γ−グルタミル)リジン架橋部位モノクローナル
抗体を用いて無破壊にε-(γ−グルタミル)リジン架橋
部位の分布を測定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ε-(γ−グルタミル)
リジン架橋部位に対するモノクローナル抗体、これを用
いる免疫学的測定法、これに用いる測定用試薬及びキッ
トに関する。
【0002】
【従来技術】ε-(γ−グルタミル)リジン架橋は、タン
パク質翻訳後修飾酵素の1つであり、アシル転移反応を
触媒する酵素であるトランスグルタミナーゼ(以下、T
Gase :EC 2.3.2.13)により、ペプチド鎖中のグルタミ
ン残基とペプチド鎖中のリジン残基あるいは遊離リジン
間に形成されるイソペプチド架橋である。また、ε-(γ
−グルタミル)リジン架橋は、蛋白質を過激な条件で加
熱した際に、ペプチド鎖中のグルタミン残基とペプチド
鎖中のリジン残基間の脱水反応が起こり形成される。さ
らにまた、ε-(γ−グルタミル)リジン架橋には、蛋白
質、ペプチド等の分子内、分子間のみならず、ε-(γ−
グルタミル)リジン結合を持つグルタミンあるいはグル
タミン酸とリジンのジペプチドも含まれる。
【0003】TGase の安価な調製法が開発されたこと
により、食品、化成品、医薬等さまざまな分野におい
て、TGase の応用が進められているが、TGase の応
用を成功に導くには、酵素反応の進行度と製品の特性と
の関連性を熟知することが重要となる。一方、TGase
の反応進行度と密接な関係にあるのが、酵素反応の生成
物であるε-(γ−グルタミル)リジン架橋量であり、そ
の量の多少により、製品の物性や特性に大きな変動が起
こる。従って、品質管理のため、製品中に生成するε-
(γ−グルタミル) リジン架橋を定量する必要がある。
また、魚肉、畜肉等の食品原料や細胞等の生体内に最初
から内在するTGaseの作用により生成するε-(γ−グ
ルタミル)リジン架橋の生成を知ることにより、食品原
料の品質管理や生体の活動状況のチェック等が可能にな
ると考えられる。従って、これらのε-(γ−グルタミ
ル)リジン架橋部位を測定することが重要である。更
に、食品の原料や最終製品そして細胞中等に、内在する
あるいは添加したTGase の作用で生成したε-(γ−グ
ルタミル)リジン架橋の分布の基礎知見を得ることによ
り、更なる応用の展開が期待され、これらの中に生成し
たε-(γ−グルタミル)リジン架橋部位の分布状況を明
かにする手法が望まれている。
【0004】従来知られているε-(γ−グルタミル)リ
ジン架橋の定量法としては、目的とする検体をホモジネ
ートし、脂質など不要成分を除去した後、検体に含まれ
る蛋白質を一般的な消化酵素でアミノ酸まで分解し、こ
の処理では分解されないε-(γ−グルタミル)リジン架
橋部分をジペプチド(ε-(γ−グルタミル)リジン)と
して液体クロマトグラフィー法にて定量する方法があ
る。しかし、この方法では、目的蛋白質をアミノ酸まで
分解する必要があり、複数の酵素で消化するため、それ
に要する時間は約1週間に及ぶ。更に分解後は、感度お
よび精度向上の為に、2種の液体クロマトグラフィーに
供する必要があり、それに要する時間は2日以上であ
る。しかもこの方法では、検体をブレンダーや消化酵素
で破壊してからε-(γ−グルタミル)リジン架橋を検出
する為、検体中のε-(γ−グルタミル)リジン架橋の分
布状態を検出できない。
【0005】また、El Alaoui らによりε-(γ−グルタ
ミル)リジン架橋に対するモノクローナル抗体の調製が
報告されている(El Alaoui et al., Int. J. Cancer,
48,221-226 (1991)) 。このモノクローナル抗体は、α
位のアミノ基をブロックしたリジンをカルボジイミドで
Keyhole-Limpet Hemocyanin 等のキャリアタンパク質に
導入したものを抗原として調製されたものであるが、こ
の抗原中にはカルボジイミドで非特異的に架橋したアス
パラギン酸残基とリジンの架橋体、N末端のアミノ基と
アスパラギン酸やグルタミン酸残基側鎖間の架橋体等が
生じているためε-(γ−グルタミル)リジン架橋に対す
る特異性は充分なものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、ε-(γ−グルタミル)リジン架橋部位を高感度に、
短時間、かつ簡便に検出・定量する手段、また検体を破
壊することなくε-(γ−グルタミル)リジン架橋部位を
検出・定量する手段を提供することである。
【0007】
【問題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決するために鋭意検討した結果、架橋を受けた蛋白質の
種類に無関係にε-(γ−グルタミル)リジン架橋部位の
みに高い親和性を有するモノクローナル抗体を見出し、
本発明を完成するに至った。本発明はε-(γ−グルタミ
ル)リジン架橋部位に対するモノクローナル抗体、この
モノクローナル抗体を用いることを特徴とするε-(γ−
グルタミル)リジン架橋部位の免疫学的測定法、このモ
ノクローナル抗体を含む、ε-(γ−グルタミル)リジン
架橋部位の免疫学的測定用試薬、このモノクローナル抗
体を含む、ε-(γ−グルタミル)リジン架橋部位の免疫
学的測定用キット、及びこのモノクローナル抗体を産生
するハイブリドーマを提供するものである。上記本発明
のモノクローナル抗体を利用すればε-(γ−グルタミ
ル)リジン架橋部位の検出・定量を容易に、かつ簡便に
行うことができる。
【0008】本発明のε-(γ−グルタミル)リジン架橋
部位に対するモノクローナル抗体を産生するハイブリド
ーマは例えば、ケーラーとミュルンシュタインの方法
(Koehler et al., Nature, 256, 495(1975))によって
調製することができる。すなわち、TGase でε-(γ−
グルタミル)リジン架橋を形成させたαs1−カゼインで
動物を免疫し、この動物から抗体産生細胞を採取し、該
抗体産生細胞と骨髄腫細胞とを融合させ、該融合細胞を
培養して目的とする抗体を産生するハイブリドーマをス
クリーニングしクローニングすればよい。
【0009】以下に抗ε-(γ−グルタミル)リジン架橋
部位モノクローナル抗体の調製法を示す。まずTGase
反応によって架橋させた精製αs1−カゼインを動物に免
疫する。免疫動物としてはマウス、ラット、モルモッ
ト、ウサギ、ヒツジ等が例示されるが、特にBALB/cマウ
スが好ましい。免疫は、アジュバンドとして、例えばフ
ロイントアジュバンド結核死菌、核酸、ミョウバン等を
用い、腹腔内、皮下投与等によって行われる。投与回数
は何回でも良く、必要に応じて適当な間隔で投与する。
免疫動物の抗体価が上昇したら、最終免疫より3〜10
日後に該動物の抗体産生細胞を採取する。抗体産生細胞
としては、脾臓、リンパ節、末梢血液等から分離した細
胞が使用できるが、特に脾臓が好ましい。融合時に使用
する細胞としては多くのほ乳類動物細胞株が使用できる
が、抗体産生細胞の調製に用いた動物と同種の動物の細
胞株、すなわち、マウス骨髄腫細胞としてはSP2/V-Ag1
4、P3-NS1/1-Ag4-1、 PuBul-Ou 、P3-X63-Ag8-U1 、X63
-Ag8 、X63-Ag8-6.5.3 、MPC11-45.6.TG.1.7 等を例示
することができる。
【0010】細胞の融合は、抗体産生細胞と骨髄腫細胞
とを適当な個数及び割合で混合し、ポリエチレングリコ
ールを用いて行うことができる。また、電気融合法によ
っても行うことができる。生じたハイブリドーマはヒポ
キサンチン、アミノプテリン及びチミジンを含む培地
(以下、HAT 培地)中で生育する。融合しなかった抗体
産生細胞、骨髄腫細胞は共に死滅し、ハイブリドーマだ
けが個々のクローンから増殖してくる。スクリーニング
は酵素免疫測定法によって行うことができる。
【0011】すなわち、マイクロプレートに吸着させた
TGase で架橋したαs1−カゼインと、培養したハイブ
リドーマの培養上清(ハイブリドーマ由来の抗体を含
む)を反応させ、洗浄し、適当に希釈した酵素標識抗マ
ウスIg抗体を加え、さらに洗浄後、適当な基質を加えて
反応させることにより、架橋したαs1−カゼインと反応
する抗体を産生するハイブリドーマを選択することがで
きる。この際、同時に、無架橋のネイティブαs1−カゼ
インを用いて上と同様の操作を行い、ネイティブαs1
カゼインとは反応しない抗体を産生するハイブリドーマ
を選択することによって、ネイティブαs1−カゼインと
親和性が無く、ε-(γ−グルタミル)リジン架橋部位を
特異的に認識する抗体を産生しているハイブリドーマを
選択することができる。また、選択したハイブリドーマ
をモノクローン化する方法としてはFACS(Fluorescent
Activated Cell Sorter)を用いる方法やSoft Agar 等に
よる方法等があるが、例えばフィーダー細胞としてマウ
スの胸腺細胞を用いて、限界希釈法に数度かけることに
よりモノクローン化することが好ましい。
【0012】本発明のモノクローナル抗体は、このよう
にして得られた上記モノクローン化ハイブリドーマを適
当な培地中で培養し、培養上清を塩析し、これをさらに
イオン交換クロマトグラフィー等で精製することにより
回収できる。しかし、必要に応じて全培養上清を用いる
こともできる。また、大量に取得する場合は上記クロー
ンをマウス腹腔内に移植、増殖させ、該動物の腹水中に
産生された該モノクローナル抗体を精製、回収すればよ
い。こうして得られたモノクローナル抗体を用いて免疫
化学的測定法を実施すればε-(γ−グルタミル)リジン
架橋部位が不純物の影響を受けにくく、簡便、迅速、か
つ高感度に定量される。
【0013】本発明を適用することのできるε-(γ−グ
ルタミル)リジン架橋部位の免疫学的測定法としては、
特に限定されないが、例えば、本発明のモノクローナル
抗体と不溶性担体に吸着させたε-(γ−グルタミル)リ
ジンまたはε-(γ−グルタミル)リジン結合で架橋され
た蛋白質を用いた競合ELISA 法、または標識したε-(γ
−グルタミル)リジン結合で架橋された蛋白質と不溶性
担体に吸着した本発明のモノクローナル抗体を用いた競
合ELISA 法などがある。
【0014】次に本発明による測定試薬及びε-(γ−グ
ルタミル)リジン架橋部位の測定方法、免疫組織染色に
よるε-(γ−グルタミル)リジン架橋部位の検出方法を
具体的に説明する。
【0015】ε-(γ−グルタミル)リジン架橋部位の含
有量の測定法:架橋したαs1−カゼインを適当な不溶性
担体(例えばプラスチック容器)に固定化する(以下こ
れを“固定化抗原”という)。ついで、ε-(γ−グルタ
ミル)リジン架橋部位を特異的に認識するモノクローナ
ル抗体(1次抗体)および標識抗体(2次抗体)の不溶
化担体への非特異的吸着を防ぐために適当な物質(例え
ば牛血清アルブミン)で不溶化担体の表面を被覆する。
このようにして得られた固定化抗原を1次抗体と検体を
含む溶液と一定時間及び温度で接触させ反応させる。1
次抗体がこの間に不溶化抗原中のε-(γ−グルタミル)
リジン架橋部位と結合する。また、1次抗体は溶液に含
まれる検体のε-(γ−グルタミル)リジン架橋部位とも
結合する。次いで適当な洗浄液で洗った後、適当な標識
物質で標識した1次抗体に対する2次抗体の溶液(例え
ば水溶液)を、固定化抗原に結合した1次抗体と一定時
間及び温度で接触させ2次抗体と反応させる。これを適
当な洗浄液で洗い、ついで不溶性担体上に存在する2次
抗体の標識された標識物質の量を測定する。かくしてそ
の値から検体試料中のε-(γ−グルタミル)リジン架橋
部位の量を算出することができる。
【0016】測定試薬の構成:本発明の測定試薬は、架
橋したαs1−カゼインを吸着させた不溶性担体と1次抗
体、標識された2次抗体とより主として構成されるが、
この測定法を簡便に行うために、これらの抗体以外に種
々の補助剤も含めてキットを形成することができる。か
かる補助剤としては例えば、試薬を溶解させる為の溶解
剤、不溶化担体を洗浄するために使用される洗浄剤、抗
体の標識物質として酵素を使用した場合、酵素活性を測
定するための基質、その反応停止剤、等の免疫学的測定
試薬のキットに通常使用されるものが挙げられる。本発
明の測定に使用される不溶化担体としては、例えばポリ
スチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステ
ル、ポリアクリルニトリル、ポリビニルクロライド、フ
ッ素樹脂、架橋デキストラン、ポリサッカライドなどの
高分子、その他紙、硝子、金属、アガロース及びこれら
の組み合わせなどを例示することができる。
【0017】不溶化担体の形状としては、例えばマイク
ロプレート、トレイ状、球状、繊維状、棒状、盤状、容
器状、セル、試験管などの種々の形状が挙げられる。ま
た標識物質としては放射性物質、酵素又は蛍光物質を利
用するのが有利である。放射性物質としては125I、
131I、14C、 3Hなどを、酵素としてはアルカリフォス
ファターゼ、ペルオキシダーゼ、β−D−ガラクトシダ
ーゼ、グルコースオキシダーゼ、アセチルコリンステラ
ーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、グルコアミラーゼ、チロ
シナーゼなど、また蛍光物質としてはフルオレッセイン
イソチオシアネート、テトラメチルローダミンイソチオ
シアネートなどを利用することができるが、本発明はこ
れらに例示したものに限定されるものではなく、免疫学
的測定方法に使用されているものであれば、他のもので
も使用できる。
【0018】免疫組織染色によるε-(γ−グルタミル)
リジン架橋部位の検出法:適当な大きさに刻んだかまぼ
こを固定液(4%パラフォルムアルデヒド、4%ショ
糖、0.1 M カコジル酸ナトリウム−HCl緩衝液(p
H7.2))に4℃、一昼夜浸漬し固定化する。固定標
本を蒸留水で洗浄し、エタノール系列で脱水後、エポン
812に包埋する。包埋した標本を超ミクロトームによ
りスライスして1μm の切片を調製し、ゼラチンをコー
トしたスライドガラスにマウントし、これをナトリウム
メトキシドを用いて脱レジンを行い、2%ヤギ血清で15
分間、非特異抗原のブロッキングを行う。1次抗体の反
応は抗ε-(γ−グルタミル)リジン架橋部位モノクロー
ナル抗体(10μg/ml)で、4℃、72時間行った。洗浄
後、ビオチン化抗マウスIgG 抗体で室温、20分反応し、
ストレプトアビジン−ビオチン複合体で室温、20分反応
する。発色はDAB溶液(0.125% ジアミノベンジン、
0.002 % 過酸化水素水、 0.05M Tris−HCl
(pH7.6))で10分間行い、脱水、封入後、微分干
渉顕微鏡により観察を行う(ABC法)。
【0019】また、洗浄した固定標本をLowicryl K4
Mで包埋する。包埋した標本を超ミクロトームによりス
ライスして超薄切片を作製し、ニッケルグリッドにマウ
ントする。脱レジン後、洗浄した切片を同様にブロッキ
ングし、1次抗体反応後、洗浄し、ヤギ抗マウスIgG 抗
体(IgG-Gold)(2次抗体)で室温、1時間反応を行った
後、第二の反応のため上述の1次抗体反応、及び2次抗
体の反応を繰り返し行った。切片は蒸留水でよく洗浄
し、酢酸ウランとクエン酸鉛の二重電子染色し、フォル
ムバール膜(電子線による標本の変化等を防ぐために標
本の表面を覆う膜)で補強した後、電子顕微鏡(日立 H
-600) で観察する(金コロイド法)。かくしてかまぼこ
ゲル組織中の抗ε-(γ−グルタミル)リジン架橋部位モ
ノクローナル抗体の結合した部位を認めることができ
る。
【0020】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例1】 抗ε-(γ−グルタミル)リジン架橋部位抗体産生ハイブ
リドーマ及びモノクローナル抗体の調製
【0021】TGase 反応によって架橋させた精製αs1
−カゼイン100 μg をフロイントコンプリートアジュバ
ンドと共にBALB/cマウスの腹腔内及びFoot padに免疫
し、2週間後さらにフロイントインコンプリートアジュ
バンドと共に同様に腹腔内に免疫し、さらに3週間後96
μg を同様にアジュバンド無しで免疫した。3日後に脾
臓を摘出し、骨髄腫細胞(SP2)とポリエチレングリコー
ルにより細胞融合を行った。これをHAT培地で2週間
培養した後、上清中の抗体を検定し、抗体産生ハイブリ
ドーマを限界希釈法によりクローニングした。このハイ
ブリドーマはGL1と命名され、平成6年5月24日付け
で工業技術院生命工学技術研究所に寄託され、その受託
番号はFERM P−14326である。
【0022】得られたハイブリドーマGL1を培養し、
マウス腹腔に投与し、2週間後に腹水を採取し、Protei
n-A を用いたカラムクロマトグラフィーにより精製し
た。クローニングの各段階に、ε-(γ−グルタミル)リ
ジン架橋部位のみに高い親和性を示す画分を選択するこ
とによって、本発明のε-(γ−グルタミル)リジン架橋
部位のみに特異的に結合するモノクローナル抗体が得ら
れた。このようにして得られたモノクローナル抗体は以
下の性質を有する。 (a) 免疫グロブリンの種類:IgM (b) 分子量:970,000ダルトン こうして得られた本発明のモノクローナル抗体は、ε-
(γ−グルタミル)リジン架橋部位以外の部位、例え
ば、α-(γ−グルタミル)リジン架橋部位、ε-(α−グ
ルタミル)リジン架橋部位、α-(α−グルタミル)リジ
ン架橋部位には結合しなかった(図5)。このハイブリ
ドーマGL1の産生する抗ε-(γ−グルタミル)リジン
架橋部位モノクローナル抗体を用いて、種々の蛋白質
(αs1−カゼイン、β−カゼイン、フィブリン及び11
s(大豆グロブリン蛋白質))について、ネイティブの
ものと、TGase で架橋させたものとのELISA の結果を
図1〜図4に示す。また本発明のモノクローナル抗体は
上述したようにε-(γ−グルタミル)リジン架橋部位以
外の部位には結合しないことを示す結果を図5に示す。
【0023】
【実施例2】 抗ε-(γ−グルタミル)リジン架橋部位モノクローナル
抗体を用いたε-(γ−グルタミル)リジン架橋部位の測
定 96穴イムノプレート(Nunc社製)に架橋したαs1−カゼ
イン(10μg/ml)溶液を50μlずつ分注し37℃で2時間
放置した。このうち過剰量の非結合架橋αs1−カゼイン
を除去し、1%オバルブミン含有PBS を250 μl/well分注
し、37℃で2時間放置した。次に非結合オバルブミンを
除去し、ε-(γ−グルタミル)リジン架橋部位を含有す
る検体、抗ε-(γ−グルタミル)リジン架橋部位モノク
ローナル抗体を含有する溶液を各ウェルに100 μ/Well
分注し、室温で2時間放置した。洗浄後、アルカリフォ
スファターゼ標識抗マウスIgM (cappel社製)溶液を50
μl/Well分注し、37℃で2時間放置した。洗浄後P-ニト
ロフェニルリン酸ナトリウム(1mg/ml)を100 μ/Well
添加、37℃で30分加温し、各ウェルの405nm の吸光度を
測定した。濃度既知のε-(γ−グルタミル)リジンペプ
チドを用いた結果、図6に示すようにε-(γ−グルタミ
ル)リジンの測定が可能であった。また、これを検量線
として検体中のε-(γ−グルタミル)リジン架橋部位の
定量が可能であった。
【0024】
【発明の効果】本発明の抗ε-(γ−グルタミル)リジン
架橋部位モノクローナル抗体は、ε-(γ−グルタミル)
リジン架橋部位のみに特異的に結合し、ε-(γ−グルタ
ミル)リジン架橋部位以外の部位、例えば、α-(γ−グ
ルタミル)リジン架橋部位、ε-(α−グルタミル)リジ
ン架橋部位、α-(α−グルタミル)リジン架橋部位等に
は結合しない。また本発明のモノクローナル抗体は、検
体を破壊することなく、微量あるいは不純物を含むよう
な蛋白質溶液等のε-(γ−グルタミル)リジン架橋部位
をELISA で測定することを可能にする。そして、非破壊
であるため、免疫組織化学染色に用いることが可能であ
る。さらに、担体樹脂に結合させればアフィニティーク
ロマトグラフィーにてεー(γ−グルタミル)リジン架橋
部位を有する蛋白質を特異的に精製することが可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハイブリドーマGL1の産生する本発明の抗ε
-(γ−グルタミル)リジン架橋部位モノクローナル抗体
を用い、αS1−カゼインのネイティブのものとTGase
で架橋させたものとのELISA の結果を示す図面である。
【図2】ハイブリドーマGL1の産生する本発明の抗ε
-(γ−グルタミル)リジン架橋部位モノクローナル抗体
を用い、β−カゼインのネイティブのものとTGase で
架橋させたものとのELISA の結果を示す図面である。
【図3】ハイブリドーマGL1の産生する本発明の抗ε
-(γ−グルタミル)リジン架橋部位モノクローナル抗体
を用い、フィブリンのネイティブのものとTGase で架
橋させたものとのELISA の結果を示す図面である。
【図4】ハイブリドーマGL1の産生する本発明の抗ε
-(γ−グルタミル)リジン架橋部位モノクローナル抗体
を用い、11sのネイティブのものとTGase で架橋さ
せたものとのELISA の結果を示す図面である。
【図5】本発明の抗ε-(γ−グルタミル)リジン架橋部
位モノクローナル抗体は、ε-(γ−グルタミル)リジン
架橋部位以外の部位には結合しないことを示す結果を示
す図面である。
【図6】本発明の抗ε-(γ−グルタミル)リジン架橋部
位モノクローナル抗体を用いて得られる、濃度既知のε
-(γ−グルタミル)リジンペプチドに対するELISA の結
果を示すものであり、これを用いるとε-(γ−グルタミ
ル)リジン架橋部位を定量的に求め得ることを示す図面
である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 33/577 B // C12N 15/02 (C12P 21/08 C12R 1:91) (72)発明者 伊倉 宏司 京都府長岡京市泉が丘24−8 (72)発明者 佐々木 隆造 京都府京都市左京区田中東高原町14

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ε-(γ−グルタミル)リジン架橋部位に
    対するモノクローナル抗体。
  2. 【請求項2】 標識された請求項1記載のモノクローナ
    ル抗体。
  3. 【請求項3】 不溶性担体に吸着された請求項1記載の
    モノクローナル抗体。
  4. 【請求項4】 請求項1、2又は3記載のモノクローナ
    ル抗体を用いることを特徴とするε-(γ−グルタミル)
    リジン架橋部位の免疫学的測定法。
  5. 【請求項5】 標識抗原を利用する請求項4記載の測定
    法。
  6. 【請求項6】 請求項1、2又は3記載のモノクローナ
    ル抗体を含む、ε-(γ−グルタミル)リジン架橋部位の
    免疫学的測定用試薬。
  7. 【請求項7】 請求項1、2又は3記載のモノクローナ
    ル抗体を含む、ε-(γ−グルタミル)リジン架橋部位の
    免疫学的測定用キット。
  8. 【請求項8】 さらに(a)溶解剤、(b)洗浄剤及び(c)
    酵素活性測定用の基質からなる群から選ばれる少なくと
    も1種を含む請求項7記載のキット。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109313201A (zh) * 2016-06-14 2019-02-05 高级生物设计公司 用于监测细胞凋亡的特异于γ-谷氨酰基-L-ε-赖氨酸(GGEL)的单克隆抗体

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109313201A (zh) * 2016-06-14 2019-02-05 高级生物设计公司 用于监测细胞凋亡的特异于γ-谷氨酰基-L-ε-赖氨酸(GGEL)的单克隆抗体
CN109313201B (zh) * 2016-06-14 2022-04-01 高级生物设计公司 用于监测细胞凋亡的特异于γ-谷氨酰基-L-ε-赖氨酸(GGEL)的单克隆抗体

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