JP2561134B2 - 免疫学的測定法における非特異的反応の除去・抑制に用いるモノクローナル抗体由来物質、その製造方法及びその使用法 - Google Patents

免疫学的測定法における非特異的反応の除去・抑制に用いるモノクローナル抗体由来物質、その製造方法及びその使用法

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JP2561134B2 JP63185199A JP18519988A JP2561134B2 JP 2561134 B2 JP2561134 B2 JP 2561134B2 JP 63185199 A JP63185199 A JP 63185199A JP 18519988 A JP18519988 A JP 18519988A JP 2561134 B2 JP2561134 B2 JP 2561134B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は免疫学的測定法に関するものであって、詳し
くは、モノクローナル抗体を用いた免疫学的測定法にお
ける非特異的な反応を除去又は抑制する方法及びそれに
用い得るべく処理されたモノクローナル抗体由来物質に
関するものである。
(従来の技術) 免疫反応を利用した測定法は、種々の臨床検査に応用
されているが、近年特に、モノクローナル抗体の高い特
異性を利用することによって、従来のポリクローナル抗
体では不可能であるか又は困難であったところの、微量
物質の特異的な又はそれに準じた検出・定量が可能とな
り、その結果、従来より高度な検査診断に関する有益な
情報が得られるようになってきた。
例えば、癌細胞でマウスを免疫し、細胞融合の技術を
用いて種々のモノクローナル抗体が作られ、それらが認
識する抗原決定基の性質が検討された。その結果、これ
らのモノクローナル抗体がしばしば糖鎖を認識している
ことが明らかになり、さらにこの糖鎖が細胞の癌化に伴
って変化することが見出され、この変化した糖鎖を認識
するモノクローナル抗体を得れば、逆に糖鎖の癌性変化
を検出する有力な手段となり得ることが判明してきた。
従って、この様なモノクローナル抗体を用いて検出され
る糖鎖は、細胞の癌化、すなわち腫瘍を発見するための
マーカー(腫瘍マーカー)として利用することが可能で
ある。
実際に糖鎖を認識する種々のモノクローナル抗体が作
られ、腫瘍マーカーの測定に応用されている。たとえば
1つの例として、ヒト大腸癌由来培養細胞SW−1116から
見出された糖鎖抗原Carbohydrate antigen 19−9(CA
19−9)が膵・胆道系癌の腫瘍マーカーとして有用であ
ることが判り、この抗原に対するモノクローナル抗体11
16−NS−19−9がCA 19−9を特異的に認識することが
報告された(Koprowski,H.,et al.:Colorectal carcino
ma antigens detected by hybridoma anti bodies,Soma
tic Cell Genetics,5:957,1979)。特に、この様な抗原
が血清等の体液中に存在し、これを測定できるならば、
臨床的な癌の診断法として非常に有用なものであり得
る。実際に前述のCA 19−9は膵・胆道系癌を中心とし
た腫瘍マーカーとして評価されている。
しかしながら、この様な抗原は、血清等の体液中に極
く低濃度でしか存在しないため、その検出には非常に高
感度の測定法が必要とされる。その要求を満たすものと
して、放射免疫測定法(RIA)、酵素免疫測定法(EI
A)、蛍光免疫測定法(FIA)等が挙げられ、さらには、
化学発光法の応用や、ラテックス凝集法の応用等も考え
られる。これらの測定法においては、その検出手段は夫
々異なるが、いずれも免疫学的反応を基本とし、各々免
疫反応を定量的に反映する放射線量や光量を測定するも
のである。これらの測定法のうち、高感度測定法として
実際の臨床検査レベルで使われている方法としては、RI
Aが最も多く、次いでEIAであるが、最近では、FIAも一
部可能になってきている。これらの測定法を更に細かく
分類することも可能である。
上記の測定法のうち、上市されているRIA,EIA等によ
る測定キットの大部分で採用されている固相サンドイッ
チ法について説明すると、サンドイッチRIA法によって
抗原の測定を行う場合、先ず、ガラス、プラスチック等
により成る不活性な担体に被測定物質と特異的に反応す
るモノクローナル抗体を吸着・固相化しておき、次に、
これに試料中の抗原を接触させ、免疫反応によって抗原
と抗体を結合させる。さらにこの結合抗原に対し、放射
性同位元素を結合させた抗体(ラジオアイソトープ標識
抗体)を反応させると、抗原をはさんでサンドイッチ状
の抗原抗体複合物が固相に結合した形で形成される。し
かる後に抗原抗体複合物に結合している放射性同位元素
の放射能量を測定し、目的とする抗原量を求める。EIA
やFIAにおいては、抗体を標識する物質として、放射性
同位元素の代りに酵素又は蛍光物質を用い、抗原抗体複
合物に結合している酵素の活性量又は蛍光強度を測定し
て、目的とする抗原量を求める。いずれにしても、標識
抗体を用いる点は共通であり、求めるべき抗原量が標識
物質の量に反映されることを利用した測定法である。
この様に、各測定法は免疫反応を利用して目的とする
物質を検出しようとするものであるが、免疫反応には、
一般に本来の抗原抗体反応に依らない非特異的な反応が
伴うことがしばしば認められ、そのために測定値の信頼
性が損なわれてしまうことがよくある。従来よりこの様
な非特異的反応を除去・抑制して、正しい測定値を得る
ために、測定系に界面活性剤、ゼラチン又は各種動物の
血清、腹水もしくは免疫グロブリン画分、あるいは測定
系に使用するものとは反応特異性が異なり、かつ測定に
係わる反応を阻害しないモノクローナル抗体等を添加す
る方法が提案されている。
(発明が解決しようとする課題) 非特異的な反応を除去・抑制するために界面活性剤や
各種動物血清等を添加する上記の方法は、種々の免疫測
定系に利用し得る優れた方法ではあるが、非特異的反応
の除去・抑制が不十分であったり、又、目的とする抗原
抗体反応も一部阻害することもあり、実用上必ずしも満
足できるものではない。ただし、目的とする特異的な抗
原抗体反応が多少抑制されたとしても、結果として非特
異的反応が完全にもしくは無視できる程度に除去・抑制
され、その結果、測定に十分な感度が依然として保持さ
れた状態であるならば、測定系としては成り立ち得るも
のである。
しかしながら、モノクローナル抗体を用いた測定系に
おいては、上記の物質を添加するのみでは、非特異的反
応を十分に除去又は抑制することができず、せっかく優
れた特性を持つモノクローナル抗体を得ることができて
も、それを実際に使用する段階で大きな制約を受け、そ
の利用価値が失われてしまうという大きな問題があっ
た。
この非特異的反応を除く他の方法として、測定すべき
検体の方を前処理する方法もある。これは、測定に供す
る試料を、酸性緩衝液に混合し、例えば、60〜70℃で加
熱処理したり、又は過塩素酸によって処理することによ
って、非特異的反応の原因となる物質又は部位を除去し
ようとする方法である。主な抗原決定基である糖鎖が熱
や酸に強いことを利用した方法であるが、この方法で
は、免疫反応前の検体処理や変性した蛋白を除くための
遠心分離操作といったような繁雑な工程を実施する必要
がある。特に多検体を測定する場合は、前処理に多くの
時間を要することとなり好ましいものではない。更に
は、検体によっては抗原抗体反応にあずかる抗原決定部
位も上記の処理によって一部失活又は活性低下し、その
結果測定値が小さくなってしまう恐れがある。特に腫瘍
マーカーのようにカットオフ値を設定するものについて
は、測定値がカットオフ値より低くなって、結果として
陰性となってしまう可能性がある。従って検体の熱処理
等による非特異的反応の除去方法も、その操作面におい
てのみならず、測定値の面からも満足できる方法とは言
い難い。
(課題を解決するための手段) そこで、本発明者らは、この様な非特異的反応を操作
上の繁雑さを伴うことなく除去・抑制する方法を種々検
討した結果、以下の知見を得た。
即ち、既知の方法では除去・抑制が不可能であった、
ある種の非特異的反応が、その測定系に用いるモノクロ
ーナル抗体の本来の抗原抗体反応部位とは異なる部位に
依るものであること、そして、このモノクローナル抗体
に対し、例えば、加熱処理、分解処理又は両方の処理の
組合せ等を含む一定の処理を施すことによって、本来の
抗体活性を完全にもしくは実質的に失わせると共に非特
異的な反応の活性(以下、「非特異的活性」という。)
は実質的に保持させ得ること、しかもこのように処理さ
れたモノクローナル抗体(以下、「モノクローナル抗体
由来物質」という。)で検体を特異的な免疫反応前に予
め処理すれば、前述のような非特異的反応がそれによっ
て吸収されて、測定系における非特異的反応を完全にも
しくは実質的に無視できる程度に除去又は抑制できるこ
とである。
本発明は以上の知見に基づくものである。即ち、特異
的な免疫反応の前に、測定すべき検体を上記モノクロー
ナル抗体由来物質と予め接触させれば、検体中の非特異
的反応物質又はその反応部位と非特異的活性のみ残った
モノクローナル抗体由来物質とが反応する。その結果、
検体中の非特異的反応物質又はその反応部位はモノクロ
ーナル抗体由来物質と非特異的反応したことによって、
もはやこれ以上モノクローナル抗体との間で非特異的反
応を生起し得ない状態、すなわち、非特異的反応が吸収
された状態になるので、それ以降、非特異的反応の影響
を排除でき、しかも、このモノクローナル抗体由来物質
は本来の特異的な抗体活性を喪失しているため、この本
来の特異的な抗原抗体反応には何ら影響を与えることな
く、正確な測定値を得ることができるのである。
従って、本発明は、免疫学的測定法に使用するモノク
ローナル抗体本来の特異的な抗体活性は完全にもしくは
実質的に喪失しているが、その非特異的活性は実質的に
保持されている該モノクローナル抗体由来物質を提供す
ることを目的とする。
更に、本発明は、該モノクローナル抗体由来物質の製
造方法及びそれを用いる非特異的反応の除去・抑制方法
を提供するものである。
ここで、「実質的」とは、測定の感度・信頼性等の観
点から判断して支障のない程度という意味である。
ところで、一般に使われている測定用キットに最も多
く採用されているところのサンドイッチ法、特に2ステ
ップサンドイッチ法を使用して検体中の抗原を測定する
場合には、上記の目的のために、固相化抗体と検体中の
抗原とを反応させる第1免疫反応前に、予め検体とモノ
クローナル抗体由来物質を混合し、一定時間インキュベ
ートする等の吸収反応を行わせる為の特別な操作は必要
ない。単に、第1ステップ反応用緩衝液中にモノクロー
ナル抗体由来物質を添加すること等によって、モノクロ
ーナル抗体由来物質を固相化抗体及び検体と同一の免疫
反応中に共存させるだけで、それ以外は何等特別な操作
は必要とせずに、特に煩雑さが増す等の問題もなしに所
望の効果を得ることができるのである。何故ならば、固
相化抗体と検体との間の固・液間の反応に較べて、同じ
免疫反応用緩衝液中に存在するモノクローナル抗体由来
物質と検体との間の非特異的反応は液・液間反応である
ためその進行速度は著しく速く、特異的免疫反応が起こ
る前にモノクローナル抗体由来物質による吸収反応が実
質的に生起し得るからである。更に、第1免疫反応のみ
ならず第2免疫反応の際にもモノクローナル抗体由来物
質を該反応中に共存させることによって測定の信頼性を
より一層高めることも可能である。
さらに1ステップサンドイッチ法においても、免疫反
応に先立ってモノクローナル抗体由来物質を検体と混合
し一定時間吸収反応を行うか、あるいは又、単に反応用
緩衝液中にモノクローナル抗体由来物質を添加する等し
て同一免疫反応中にそれらを共存せしめるだけで、操作
量を実質的に増やすことなく、非特異的反応の影響を除
いて正確な値を容易に得ることができる。
従って、本発明において、最も予想外であって、かつ
本質的な特徴とする点は、本来の特異的な抗体活性と共
に非特異反応の活性を有するモノクローナル抗体に対
し、本来の抗体活性を喪失させるような一定の処理を施
しても、非特異的活性は失われないこと、この非特異的
活性のみ残っているモノクローナル抗体由来物質によっ
て検体の非特異的反応部位を予め吸収しておけば、免疫
学的測定法における非特異的反応を除去・抑制して正確
な測定値を得ることができることである。本発明の特徴
は、簡潔にいうならば、抗体蛋白の性質の一部分を取出
して、問題の解決に採用したことである。
次に、非特異的反応吸収のための本発明のモノクロー
ナル抗体由来物質を製造する方法を述べる。出発物質と
して用いるモノクローナル抗体は、夫々の反応段階に用
いるモノクローナル抗体と同一のものである。すなわ
ち、固相化担体に吸着・固相化させる抗体及び/又はラ
ジオアイソトープ、酵素、蛍光物質などで標識する抗体
と同一のモノクローナル抗体である。これらのモノクロ
ーナル抗体は、本来の特異的な抗体活性に基づく反応の
他に、個々の検体によって認められたり認められなかっ
たりし、かつその程度に差のある非特異的反応を行う性
質を持ち、しかも、これらの反応活性のうちの本来の抗
体活性は、モノクローナル抗体を一定の条件下で処理す
ることによって失活するのに対し、非特異的活性の方
は、失活することなく保持される特性を持つ。この特性
を利用して、非特異的反応吸収用のモノクローナル抗体
由来物質を製造する。
すなわち、本発明のモノクローナル抗体由来物質を得
るためには、該測定系に用いる抗体と同一の抗体に対し
て、加熱又は分解等の処理を含む一定の処理を単独もし
くは組合せて施し、抗体の持つ本来の抗体活性が完全に
もしくは実質的に消失し、かつ非特異的活性は実質的に
保持されるよう調製するものである。本発明に用い得る
その他の一定の処理としては、超音波処理、有機溶媒処
理、酸・アルカリ処理等を挙げることができる。
処理されるモノクローナル抗体は、特に精製したもの
を使用する必要はなく、該モノクローナル抗体が含まれ
るマウス等の腹水をそのまま用いても十分な効果を得る
ことができる。従って、モノクローナル抗体を含む腹水
又はその希釈した状態のものを直接一定の処理にかける
のが最も簡単でかつ経済的にも有利である。たとえば、
加熱処理によって非特異的反応吸収用モノクローナル抗
体由来物質を得ようとする場合、モノクローナル抗体を
含む腹水を原液のまま、もしくは適当なpH、例えばpH7.
0〜7.5に調製した緩衝液で希釈した後、一定時間加熱す
る。加熱処理条件は当業者が適宜決めることができる
が、一般的には腹水の希釈倍数は原液〜100倍、好まし
くは5〜20倍で、加熱温度は40℃以上、好ましくは50〜
75℃である。また加熱時間は、抗体活性の熱に対する強
さまたは温度によって異なり、一般的には温度が高い場
合は短時間、低い場合は長時間とし、たとえば、60℃で
は15〜240分間、好ましくは60〜150分間、70℃では2〜
60分間、好ましくは5〜20分間とするのが適当である。
もちろん、必要以上に加熱温度を高くしたり加熱時間を
長くすれば、抗体活性のみならず非特異的活性も損わ
れ、ひいては完全に失活してしまうので注意を要する。
この様にして得られたモノクローナル抗体由来物質はそ
のアミノ酸一次配列が、出発物質であるモノクローナル
抗体のそれと同一の構造を有する。これは、そのまま所
定の濃度になるように、例えば、反応用緩衝液に添加し
て直ちに使用することができるし、また保存する場合
は、そのまま2〜8℃の冷蔵庫中に置くか、−80℃に凍
結しておくか、または一般に知られた方法で凍結乾燥す
ればよい。
本発明のモノクローナル抗体由来物質の製造方法とし
て、モノクローナル抗体をペプシン,トリプシン又はパ
パイン等のタンパク分解酵素で分解し、例えば、Fab部
分を除去し、又はF(ab′)部分を除去する方法、さ
らには、分解、加熱という両方の処理を施すことも可能
である。たとえば、あらかじめ公知の硫安沈澱法及びゲ
ル過法にて精製したモノクローナル抗体50mgを4M尿素
を含む0.1Mトリス塩酸食塩水(pH8.0)5mlに加え、25
℃、16時間インキュベートし、次に1.5mgのTPCK−Tryps
in(Worthington社製)、0.05M塩化カルシウムを加え25
℃、8時間分解する。この分解物を常法に従ってゲル
過により分画し、Fc部分を得ることができる。ただし、
簡便さという点からは、加熱処理により特異的抗体活性
を失活させる方法が最も好適と言える。
非特異的反応を除去・抑制するために必要とされるモ
ノクローナル抗体由来物質の量は、当業者により適宜求
めることができる。この量は測定系、検体等の種類によ
っても異なるが、反応用緩衝液中に予め添加して用いる
場合は、その使用量は腹水原液としての濃度に換算し
て、一般的に0.005〜5v/v%、好ましくは0.5〜1v/v%の
濃度で使用するのが好適である。反応用緩衝液中のモノ
クローナル抗体由来物質のタンパク濃度としては0.005
〜0.1mg/mlが好適である。
本発明の方法を利用して非特異的反応を除去又は抑制
し、検体中の微量物質を信頼性良く測定し得るRIAやEIA
等の免疫学的測定法は、一般に知られた測定法であり、
広く臨床検査等に利用されているものである。(たとえ
ば免疫測定法開発研究会(企画):免疫測定法の活用事
例と診断試薬・治療薬開発への応用、経営教育出版、昭
和60年)。
(発明の効果) モノクローナル抗体を用いた免疫学的測定法におい
て、非特異的反応を吸収して除去するモノクローナル抗
体由来物質を該測定系で用いることにより、非特異的反
応の影響を排除して本来の抗原抗体反応を正確に反映し
た信頼性の高い測定値を得ることができる。
以下、実施例を挙げて説明するが、本発明技術的範囲
は、これらのものに限定されるものではない。
実験例 (1)モノクローナル抗体含有マウス腹水の入手 ヒト低分化型腺癌で免疫したBalb/cマウス脾細胞とマ
ウスミエローマ細胞(P3−X63−Ag 8−U1)を常法に従
って細胞融合した後、免疫組織染色によるスクリーニン
グによって正常組織に反応せず、癌組織に反応する抗体
を産生するハイブリドーマを選択した。このハイブリド
ーマをBalb/cマウスの腹腔内に投与し、増殖させ、モノ
クローナル抗体(IgM)含有マウス腹水を得た。
(2)精製モノクローナル抗体の調製 (1)で得られたモノクローナル抗体含有マウス腹水
より、公知の硫安沈澱法及びゲル過法にて精製モノク
ローナル抗体を得た。
(3)酵素免疫測定法による測定 (2)で得られた精製モノクローナル抗体を用いた酵
素免疫測定法(EIA)、すなわち、ポリスチレンビーズ
を用いた2ステップサンドイッチ法により、表1に示し
た試料を測定した。まず試験管に試料50μを採取し、
反応用緩衝液として牛血清アルブミン(BSA)0.5%を含
むリン酸緩衝食塩水(pH7.4)200μを加えた。次に常
法により、上記モノクローナル抗体を不溶化させたポリ
スチレンビーズ1個を加え、37℃で2時間反応させた
(第1免疫反応)。次に、ビーズを生理的食塩水で3回
洗浄後、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)で標識し
た該モノクローナル抗体溶液200μを加え、室温(25
℃)で2時間反応させた(第2免疫反応)。再びビーズ
を生理的食塩水で洗浄した後、別の試験管へビーズを移
し替え、30%過酸化水素水0.2μ及びABTS (ベーリ
ンガーマンハイム社製)を0.45mg含む0.1Mクエン酸リン
酸緩衝液(pH4.0)300μを加え、37℃で30分間反応さ
せた(呈色反応)。5%シュウ酸2mlを加えて反応を停
止させた後、波長405nmにおける吸光度を求めた。結果
を表1に示す。
表 1 実験例の結果 試 料 測定吸光度 1 健常者血清A*1 0.030 2 健常者血清B*1 1.232 3 膵炎患者血清 0.035 4 膵癌患者血清 1.068 5 乳癌患者血清 0.614 6 抗原溶液*2 0.881 7 1%BSA含有PBS*3(ブランク) 0.023 *1 定期健康診断における各種測定項目において異常
を認めないもの *2 ヒト胃癌細胞をヌードマウスに移植し、増殖させ
て得られた組織より抽出精製した溶液を1%BSA含有0.0
5M PBS(pH7.4)で100倍希釈したもの *3 1%BSA含有0.05M PBS(pH7.4) 上記結果のうち、試料2は健常者血清であるにもかか
わらず、異常に高値の吸光度が得られ、非特異的反応に
よるものと推測された。
実施例 1 (1)加熱処理による非特異的反応吸収用モノクローナ
ル抗体由来物質の製造 実験例1−(1)で得られたモノクローナル抗体含有
マウス腹水を0.05Mリン酸緩衝食塩水(pH7.4)で10倍希
釈し、60℃、120分間加熱処理して、非特異的反応吸収
用のモノクローナル抗体由来物質を得た。
(2)モノクローナル抗体由来物質を用いた酵素免疫測
定法による測定 実験例1−(3)に示した測定操作のうち、第1免疫
反応の反応用緩衝液に(1)で得られた非特異的反応吸
収用モノクローナル抗体由来物質をマウス腹水原液換算
で0.2v/v%添加した以外はすべて実施例1−(3)と同
じ操作を行って実験例1と同じ試料を測定した。結果を
表2に示す。
表 2 実施例1の結果 試 料 測定吸光度 1 健常者血清 0.031 2 健常者血清 0.036 3 膵炎患者血清 0.033 4 膵癌患者血清 1.053 5 乳癌患者血清 0.422 6 抗原溶液 0.896 7 1%BSA含有PBS(ブランク) 0.024 この結果を実験例の結果と比較すると、試料2におい
て実験例で認められた高い値の吸光度は、実施例1では
認められず、大幅に吸光度が減少した。このことより、
実施例1での試料2の高吸光度は、非特異的反応に依る
ものであり、モノクローナル抗体由来物質の添加で非特
異的反応が除去されたことが示されている。また、試料
5においても、試料2よりも弱いが非特異的反応があ
り、モノクローナル抗体由来物質の添加により、吸光度
が減少している。
一方、抗原溶液については、モノクローナル抗体由来
物質添加の有無による吸光度の差異は認められず、モノ
クローナル抗体由来物質が本来の特異的な免疫反応に影
響を及ぼすことはないことが判る。
比較例 実施例1−(2)において、モノクローナル抗体由来
物質の代りにマウス血清、マウス腹水、ラット血清、ウ
サギ血清、ブタ血清を用いる以外は、すべて同一の条件
及び操作によって非特異的反応の認められた試料2,5及
び7について測定を行った。表3に示す結果の通り、い
ずれも非特異的反応を実施例1ほど十分に除去すること
はできなかった。
実施例 2 実施例1での第1免疫反応における非特異的反応吸収
用モノクローナル抗体由来物質の添加濃度を変えて測定
した。すなわち、非特異的反応が認められた試料2及び
試料5を用い1次免疫反応における反応用緩衝液に表4
に示した濃度の非特異的吸収用モノクローナル抗体由来
物質を添加して実施例1と同じ操作を行った。表4に示
した結果のようにモノクローナル抗体由来物質の添加量
は試料2ではモノクローナル抗体を含有するマウス腹水
の原液換算の濃度として0.2v/v%あればよく、それ以上
の添加によって非特異的反応の除去・抑制の効果に差は
認められなかった。一方、試料5では試料2に比べモノ
クローナル抗体由来物質量は少量でよく、同じマウス腹
水原液換算で0.05v/v%で非特異的反応は除かれた。
実施例 3 常法によってラジオアイソトープ標識したモノクロー
ナル抗体を用い、放射免疫測定法(RIA)により、非特
異的反応の認められた試料2,5及び7を測定した。操作
は、実施例1−(2)でのEIA法におけるHRP標識抗体の
代りにラジオアイソトープ標識した抗体を用いた酵素活
性量を求める代りに放射線量を求める以外は、実施例1
−(2)と同様に行った。すなわち、第1免疫反応に実
施例1−(1)で得たモノクローナル抗体由来物質を0.
2v/v%添加し、2ステップサンドイッチRIA法により測
定した。比較のため、モノクローナル抗体由来物質を用
いない場合の測定も行った。結果は表5に示す通りで、
実施例1の場合と同様にモノクローナル抗体由来物質を
用いなければ大きな非特異的反応の影響が認められた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12P 21/08 9162−4B C12N 15/00 C

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】免疫学的測定法に使用するモノクローナル
    抗体本来の特異的な抗体活性は完全にもしくは実質的に
    喪失しているが、その非特異的活性は実質的に保持され
    ている該モノクローナル抗体由来物質。
  2. 【請求項2】前記モノクローナル抗体の認識する抗原が
    糖鎖抗原であることを特徴とする請求項1に記載のモノ
    クローナル抗体由来物質。
  3. 【請求項3】前記モノクローナル抗体のアミノ酸一次配
    列構造は変化を受けていないことを特徴とする請求項1
    又は2に記載のモノクローナル抗体由来物質。
  4. 【請求項4】実質的にFab部分が除去されていることを
    特徴とする請求項1又は2に記載のモノクローナル抗体
    由来物質。
  5. 【請求項5】請求項1に記載のモノクローナル抗体由来
    物質の製造方法であって、免疫学的測定法に使用するモ
    ノクローナル抗体に加熱処理及び/又は分解処理を施す
    ことを特徴とする前記製造方法。
  6. 【請求項6】加熱処理を施す際のモノクローナル抗体が
    腹水又はその希釈溶液中に存在することを特徴とする請
    求項5記載の製造方法。
  7. 【請求項7】免疫学的測定法における請求項1に記載の
    モノクローナル抗体由来物質を用いる非特異的反応の除
    去・抑制方法であって、特異的な免疫反応前に、検体と
    該モノクローナル抗体由来物質との間で予め非特異的反
    応を行なわせることを特徴とする前記除去・抑制方法。
  8. 【請求項8】固相化抗体、前記モノクローナル抗体由来
    物質及び検体を同一免疫反応中に共存させることによっ
    て前記非特異的反応を行なわせることを特徴とする請求
    項7記載の方法。
  9. 【請求項9】反応用緩衝液中に前記モノクローナル抗体
    を添加することにより前記共存を図ることを特徴とする
    請求項7又は8に記載の方法。
  10. 【請求項10】前記免疫学的測定法が2ステップサンド
    イッチ法であり、前記非特異的反応を第1免疫反応前に
    行なわせることを特徴とする請求項7に記載の方法。
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