JPH0871078A

JPH0871078A - 超音波発生装置

Info

Publication number: JPH0871078A
Application number: JP6239387A
Authority: JP
Inventors: Yasuhiro Sakamoto; 安弘坂本; Katsunori Yokoyama; 勝徳横山
Original assignee: Toshiba Ceramics Co Ltd
Current assignee: Coorstek KK
Priority date: 1994-09-06
Filing date: 1994-09-06
Publication date: 1996-03-19

Abstract

(57)【要約】【目的】本発明は、絶縁性を有すると共にショア硬度
（Ｄ）７０以下の特性を備える固定材を用いて、支持体
に複数の圧電セラミックス振動子を固定することによ
り、出力音圧の低下のない超音波発生装置を提供するこ
とを目的とする。【構成】本発明にかかる超音波発生装置は絶縁性を有す
ると共にショア硬度（Ｄ）７０以下の特性を備える固定
材を用いて、前記支持体と前記複数の圧電セラミックス
振動子とを接着固定したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は人体内の患部に超音波を
投射して治療を行うための超音波発生装置に関し、特に
超音波発生手段として圧電セラミックス振動子を用いた
超音波発生装置に関するものである。

【０００２】

【従来技術】患者の体内の治療部位に強力な超音波を投
射し、患者の体内に存在する例えば結石を衝撃波によっ
て破砕する結石破砕装置や、腫瘍に超音波による熱を加
えることによって死滅させる温熱治療器が提唱され、医
療機器として広く利用されている。現状のこの種の医療
機器に用いられる超音波発生手段としては、圧電セラミ
ックス振動子を用いる圧電方式、２電極間の放電現象を
利用する放電方式、電磁誘導による斥力を利用する電磁
誘導方式、火薬を爆発させる微小爆発方式などがある。
近年ではその中で、安定した出力が得られ、しかも消耗
部品が少なく装置が小型化できることから圧電方式が実
用化され普及している。

【０００３】図６は、圧電セラミックス振動子を用いた
従来の圧電方式の超音波発生装置の一例を断面図によっ
て示したものである。図６において、１は超音波発生装
置の外形を構成するリング状の支持体であり、この支持
体１はアクリル樹脂からなり、その下底部が概略凹面状
に形成されている。支持体１内には複数の振動子２ａ，
２ｂが円環状に配列されており、この該振動子は外側に
円環状に配列された複数個の圧電セラミックス振動子２
ａと内側に円環状に配列された複数個の圧電セラミック
ス振動子２ｂとに分割されており、全体で１つの振動子
２を形成している。またこれら複数個の圧電セラミック
ス振動子２ａ，２ｂはそれぞれが支持体１の下底部に沿
う形で上面が若干凸面状にまた下面が若干凹面状に形成
されている。この超音波発生装置が、破砕力を得るため
には大口径（超音波の発生する有効面積が大）の圧電セ
ラミックス振動子が必要であるが、セラミックス製であ
るため単一面で大型化することは極めて困難である。し
たがって適当な形状の圧電セラミックス振動子を複数組
み合わせることにより、全体として必要な面積を得るこ
とができる。

【０００４】そしてそれぞれの振動子２ａ，２ｂの両面
には、一対の給電電極膜が備えられ、そのうち上側の凸
面側給電電極膜には半田付け等の手段で信号用リード線
３ａの一端が接続され、このリード線３ａの他端は駆動
電源装置（図示せず）にそれぞれ接続される。この上側
の凸面側給電電極膜とリード線３ａとの接続部分の後方
には、振動子２ａ、２ｂの凸面側のほとんど全面にあた
る空間部であるエアバッキング４が形成されている。こ
のエアバッキング４は発生する超音波を効率よく、凹面
側に投射する役割を有している。また下側の凹面側給電
電極膜には、それぞれの振動子の電極膜間を短絡するリ
ード線（図示せず）が半田付け等の手段で接続されてお
り、さらに一部の電極膜部分に半田付け等の手段で接続
された信号用リード線３ｂの他端は前記駆動電源装置
（図示せず）の基準電位点（アース）に接続される。

【０００５】凹面側給電電極膜側に設けられた前記凹面
側給電電極膜を接続するリード線（図示せず）をモール
ドするように、絶縁性の例えばエポキシ樹脂によってマ
ッチング層５が形成されている。そして複数の振動子２
ａ、２ｂから成る振動子２は支持体１内の下底部に収納
支持されている。図示しないが、複数の振動子２ａ，２
ｂは支持体１に、ショア硬度（Ｄ）９０のエポキシ系接
着剤等の接着剤によって接着固定されている。このよう
に構成された超音波発生装置は、図６に示すように伝播
媒質としての液体を収納したゴム製の収納体６を介して
患者７に接触させる。この状態で信号用リード線３ａ，
３ｂ間に駆動電源装置より駆動電圧を印加し、振動子２
を振動させることで振動子２の凹面側からは超音波が発
生する。図６に示すように予め患者７の体内に存在する
結石８の位置に、振動子２からの超音波が収束されるよ
うに収納体６によって位置決めが成されており、従っ
て、収束された超音波が衝撃波となり、患者７の体内に
存在する結石８を破砕することができる。

【０００６】

【発明が解決しようとする技術的課題】しかし従来技術
の超音波発生装置にあっては、セラミックスからなる圧
電セラミックス振動子２ａ，２ｂとアクリル樹脂からな
る支持体１とでは熱膨張係数が１０倍以上も異なること
より、環境温度が変わると熱による両者の伸縮量も異な
り、前記振動子を支持体に固定する固定材には相当の応
力が加わることになる。圧電セラミックス振動子２ａ，
２ｂを支持体１に固定する従来のショア硬度（Ｄ）９０
の固定材では、柔軟性にかけることから伸縮差を吸収し
きれず、応力に耐えることができない。その結果、圧電
セラミックス振動子２ａ，２ｂと支持体１が剥離してし
まい、さらには圧電セラミックス振動子２ａ，２ｂ凹面
とマッチング層５の境界面の剥離に至り、しいては出力
音圧（破砕力）の低下につながるという技術的課題があ
った。

【０００７】本発明は、上記技術的課題を解決するため
になされたものであり絶縁性を有すると共にショア硬度
（Ｄ）７０以下の特性を備える固定材を用いて、支持体
に複数の圧電セラミックス振動子を固定することによ
り、出力音圧の低下のない超音波発生装置を提供するこ
とを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明にかかる超音波発
生装置は、両面に一対の給電電極膜を備えた複数の圧電
セラミックス振動子と、これら圧電セラミックス振動子
の超音波放射面側に配置され、電気的な絶縁性物質によ
り形成されたマッチング層と、前記複数の圧電セラミッ
クス振動子とマッチング層とを収納支持する支持体より
成り、前記各圧電セラミックス振動子の一対の給電電極
膜間に駆動電圧を印加させて超音波を発生させるように
した超音波発生装置において、絶縁性を有すると共にシ
ョア硬度（Ｄ）７０以下の特性を備える固定材を用い
て、前記支持体と前記複数の圧電セラミックス振動子と
を接着固定したことを特徴とする。このような従来の課
題に着目して成されたものであり、絶縁性でありショア
硬度（Ｄ）７０以下の特性を備える接着剤を固定材とし
て、支持体と複数の圧電セラミックス振動子とを固定材
により接着固定することを特徴としている。

【０００９】

【作用】本発明の超音波発生装置は、前記のように絶縁
性有し、しかもショア硬度（Ｄ）７０以下の特性を備え
る固定材を用いて、支持体に複数の圧電セラミックス振
動子を接着固定しているため、複数の圧電セラミックス
振動子と支持体とが剥離し難く、出力音圧の低下を防止
できる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明に係る超音波発生装置の実施例
について、図１乃至図５に基いて説明する。図１におい
て、１０は超音波発生装置の外形を構成するアクリル樹
脂からなる支持体であり、この支持体の外径は約４００
ｍｍの円柱状で、図６で示した従来のものと同様に、そ
の下底部は概略凹面状に構成されている。中央部には超
音波プローブユニット（図示せず）を取り付けるための
内径１００ｍｍの穴１１が開いており、このために支持
体１０の全体はリング形状になされている。

【００１１】この支持体１０内の下底部には円環状の振
動子１２が配置されている。この振動子１２には図２に
示すように、曲率約２５０ｍｍで２種類の形状の圧電セ
ラミックス振動子（合計２４個）が球帯状に配置されて
いる。これは伝播媒質を介して人体内の患部に超音波が
収束して焦点が合うように構成するためである。それぞ
れの圧電セラミックス振動子は中心から放射状（扇状）
に１２分割、リング状に２分割されている。内側の圧電
セラミックス振動子を１２ａ₁ ，１２ａ₂ ，……１２ａ
₁₂とし、外側の圧電セラミックス振動子を１２ｂ₁ ，１
２ｂ₂ ，……１２ｂ₁₂とする。また、内側，外側の圧電
セラミックス振動子が、互いに同等面積となるよう形成
され、比誘電率を約２０００、反共振周波数を約５６０
ｋＨ_z 、厚み方向の電気機械結合係数を約５０％となる
ＰＺＴ系圧電材料を使用している。

【００１２】振動子１２として図２に示したように２４
個の圧電セラミックス振動子を用いたのは、ある程度以
上の衝撃波パワーを得るには大口径の振動子が必要とな
るが、この振動子はセラミックスにより構成されるた
め、単一体で大型化（大口径化）することは加工上極め
て困難となるためである。なお、１つの振動子１２を構
成する圧電セラミックス振動子の数は、得ようとする衝
撃波パワーの強度、および各圧電セラミックス振動子の
加工寸法上の制約等によって決定され、図示例に示すよ
うに必ずしも２４個の圧電セラミックス振動子を配列す
る必要性はない。

【００１３】図３及び図４は、図１に示す超音波発生装
置の一部を拡大して示した図である。圧電セラミックス
振動子１２ａ，１２ｂ凹凸面には、一対の給電電極膜１
３ａ，１３ｂが形成されており、各一対の給電電極膜１
３ａ，１３ｂは銀ペーストを塗布して焼き付け処理した
もので、その厚さは５〜３０μｍに設定してある。そし
て各々の圧電セラミックス振動子１２ａ，１２ｂの凸面
側給電電極膜には１３ａには半田付け等の手段で信号用
リード線１４ａの一端が接続され、その接続部の後部に
は、超音波を有効に投射するため、エアバッキング４が
形成されている。リ−ド線１３ａ、１３ｂ、１４ａは支
持体１０を貫通する穴（図示せず）を通して、接続され
ている。多分割された各圧電セラミックスス振動子１２
ａ，１２ｂの凸面側給電電極膜１３ａには、動作中にお
いて駆動電源装置（図示せず）から信号用リード線１４
ａを介して約４ＫＶの駆動電圧が印加される。

【００１４】一方、各々の圧電セラミックス振動子１２
ａ，１２ｂの凹面側給電電極膜１３ｂは、アース用とな
り、該凹面側給電電極膜１３ｂを、全面アース電極膜と
するため、それぞれの給電電極膜間を短絡する薄い金属
ハクからなるアース線１７を半田付け等の手段で接続し
ている。そして、外周部の３ケ所より、凹面側給電電極
膜部分からアース用リード線１４ｂを取り出している。

【００１５】圧電セラミックス振動子の凹面側給電電極
膜１３ｂ表面と、支持体１０の一部露出した表面には２
層のマッチング層１６が形成されている。図３における
圧電セラミックス振動子側の第１層目マッチング層１６
ａには、固有音響インピーダンスが約７×１０⁶ ｋｇ／
ｍ² ・ｓｅｃのエポキシ樹脂が使用され、更にその表面
の第２層目マッチング層１６ｂには固有音響インピーダ
ンスが約３×１０⁶ ｋｇ／ｍ² ・ｓｅｃのエポキシ樹脂
が使用されている。各々の厚さは１／４波長の厚さをも
って形成されている。

【００１６】次に、圧電セラミックス振動子１２ａ，１
２ｂを支持体１０に固定する固定材１８について説明す
る。多分割された各圧電セラミックス振動子１２ａ，１
２ｂの凸面側給電電極膜１３ａはそれぞれ電源から約４
ｋＶの駆動電圧が印加されるため、該固定材１８は、タ
イミングずれによる電位差で放電しないよう絶縁体で形
成すると共に、圧電セラミックス振動子１２ａ，１２ｂ
間を電気的に分離する必要がある。また、該固定材１８
によって圧電セラミックス振動子を支持体１０に固定す
る必要がある。本発明の実施例では、図４に示すよう
に、絶縁性を有する固定材を圧電セラミックス振動子１
２ａ，１２ｂ間に介在させると共に前記圧電セラミック
ス振動子の外周端部を覆い被せるように形成される。固
定材としては、絶縁性及び硬度の制御を容易に行い得る
ものであれば良く、ここでは主剤と硬化剤の２液混合型
のエポキシ系接着剤を使用した。前記エポキシ系接着剤
は、主剤と硬化剤の重量比（重量％）を変えることで簡
便に硬度を制御することができる。

【００１７】次に、超音波発生装置の温度サイクル試験
を行い比較した。まずアクリル樹脂からなる支持体１０
に圧電セラミックス振動子１２ａ，１２ｂを絶縁性を有
するエポキシ系接着剤を固定材１８として接着固定す
る。該エポキシ系接着剤は主剤と硬化剤の重量比を変え
た５種類を使用して、５種類の超音波発生装置を製作し
た。本実験で使用した５種類の接着剤の硬度は、ショア
硬度（Ｄ）９０，ショア硬度（Ｄ）８０，ショア硬度
（Ｄ）７０，ショア硬度（Ｄ）５０，ショア硬度（Ｄ）
３０である。なお、数値の低いものほど柔軟な性質を持
つものである。また、接着剤以外の構成材料は、予め同
一製法により作成されたものを使用する。そして、−２
０〜６０℃の温度範囲で２５回の温度サイクルを繰り返
し、５サイクル毎の焦点における出力音圧を測定した。
その結果を図５に示す。

【００１８】図５からわかるように固定材としてショア
硬度（Ｄ）８０以上の接着剤が用いられた超音波発生装
置では、わずか５サイクル経過後には出力音圧の比率が
９０％以下に低下してしまう。一方、ショア硬度（Ｄ）
７０以下の接着剤が用いられた超音波発生装置では、少
なくとも２０サイクル以下の範囲では出力音圧の比率が
９０％以下に低下することはなかった。以上の結果か
ら、固定材の硬度を低下させると耐用サイクル数が増加
する傾向が、ショア硬度（Ｄ）７０以下の場合に顕著に
現われ、所期の効果を奏することがわかった。

【００１９】なお、本発明の実施例においては、固定材
としてエポキシ系接着剤を使用したが、エポキシ系接着
剤以外のフェノール系接着剤等を用いても良く、また主
剤と硬化材との２液混合型のものを使用したが、１液性
のものを使用しても同様の効果が期待できる。更に圧電
セラミック振動子の凹面側の形状に特に限定されること
なく、平面状のものであっても、同様の効果が得られ
る。

【００２０】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に係る超音波発生装置の圧電セラミックス振動子を支持
体に固定する固定材を絶縁性を有し、ショア硬度（Ｄ）
７０以としたため、環境温度が変化しても圧電セラミッ
クス振動子と支持体の伸縮量の差から生ずる応力を吸収
でき、圧電セラミックス振動子と支持体の剥離が生じ難
い。その結果、これらの剥離による破砕力に密接に関係
する出力音圧の低下を防止することが可能になり、装置
の耐久性を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る超音波発生装置の断面図である。

【図２】図１に示す超音波発生装置の圧電セラミックス
振動子の配列状態を示した平面図である。

【図３】図１に示す超音波発生装置の一部を拡大，分解
して示した断面図である。

【図４】図１に示す超音波発生装置の一部を拡大して示
した断面図である。

【図５】本発明の実施例で得た超音波発生装置の温度サ
イクル試験の結果を示す、温度サイクル数と出力音圧の
比率の関係表である。

【図６】従来の超音波発生装置と、その使用状態を説明
するための断面図である。

【符号の説明】

１支持体２振動子３ａリード線３ｂ信号用リード線４エアバッキング５マッチング層６収納体７患者８結石１０支持体１１穴１２振動子１２ａ圧電セラミックス振動子１２ｂ圧電セラミックス振動子１３ａ凸面側給電電極膜１３ｂ凹面側給電電極膜１４ａ信号用リード線１４ｂアース用リード線１５エアバッキング１６マッチング層１７アース線１８固定材

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】両面に一対の給電電極膜を備えた複数の
圧電セラミックス振動子と、これら圧電セラミックス振
動子の超音波放射面側に配置され、電気的な絶縁性物質
により形成されたマッチング層と、前記複数の圧電セラ
ミックス振動子を収納支持する支持体より成り、前記各
圧電セラミックス振動子の一対の給電電極膜間に駆動電
圧を印加させて超音波を発生させるようにした超音波発
生装置において、絶縁性を有すると共にショア硬度
（Ｄ）７０以下の特性を備える固定材を用いて、前記支
持体と前記複数の圧電セラミックス振動子とを接着固定
したことを特徴とする超音波発生装置。