JP2021101510A - 超音波放射器具及び超音波装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】不要な振動を低減できる超音波放射器具を提供する。【解決手段】超音波放射器具の素子基板19は、超音波を生成する複数の振動素子15を有する。キャビティ部材21は、複数の振動素子に個別に重なる複数のキャビティ21cを有する。振動素子の有する振動層23は、素子基板19の第1面19a側に重なっている。キャビティ部材は、素子基板の第2面19b側に重なっている。振動層は、第1面に沿う伸長を規制して振動素子を第2面側へ撓ませる強度及び第1面に沿う収縮を規制して振動素子を第1面側への撓ませる強度の少なくとも一方を有する。これにより振動素子同士の干渉を低減する。【選択図】図4

Description

本開示は、人体等の対象物へ向けて超音波を放射する超音波放射器具及び当該超音波放射器具を有する超音波装置に関する。
人体等の対象物へ向けて超音波を放射する超音波装置が知られている(例えば特許文献1)。このような超音波装置は、例えば、患部等に超音波を照射して治療を行うための超音波治療装置、又は患部等の断面2次画像を取得するための超音波診断装置として利用されている。超音波治療装置としては、例えば、HIFU(High Intensity Focused Ultrasound)治療に利用される装置が知られている。特許文献1では、超音波を発生させる振動を生じるための構成として、複数の空間(キャビティ)を有する基板と、振動層と、圧電素子とがこの順で重ねられた構成が開示されている。
特開2016−184821号公報
本開示の一態様に係る超音波放射器具は、厚み方向の一方側に面する第1面及び前記厚み方向の他方側に面する第2面を有しているとともに、前記第1面に沿う方向における複数の位置に、超音波を生成する振動を生じる複数の振動素子を有している素子基板と、前記複数の振動素子に個別に重なっている複数のキャビティを有しているキャビティ部材と、を備えており、前記複数の振動素子それぞれは、圧電体層と、前記圧電体層に対して前記第1面側に重なっている第1電極と、前記圧電体層に対して前記第2面側に重なっている第2電極と、前記第1電極に対して前記第1面側に重なっている振動層と、によって構成されており、前記振動層は、前記圧電体層の前記第1面に沿う伸長を規制して前記振動素子を前記第2面側へ撓ませる強度、及び前記圧電体層の前記第1面に沿う収縮を規制して前記振動素子を前記第1面側へ撓ませる強度の少なくとも一方を有しており、前記キャビティ部材は、前記素子基板に対して前記第2面側に重なっている。
本開示の一態様に係る超音波装置は、上記超音波放射器具と、超音波の周波数帯内の周波数を有する交流電力を前記板状素子に供給する駆動制御部と、を有している。
第1実施形態に係る超音波装置の概略構成を示す模式図である。 図1の超音波装置の超音波発生部の概略構成を示す斜視図である。 図2の超音波発生部の板状素子の平面図である。 図3のIV−IV線における断面図である。 図2の超音波発生部の支持体の外面の一部を示す斜視図である。 図3の板状素子の固定構造を示す断面図である。 図6の領域VIIの拡大図である。 図8(a)及び図8(b)は超音波の集束態様の一例及び他の例を示す模式図である。 図9(a)は個別電極の接続の変形例を示す模式的な平面図であり、図9(b)は図9(a)のIXb−IXb線における断面図である。
以下、図面を参照して本開示に係る実施形態について説明する。以下の図面は、模式的なものである。従って、細部は省略されることがある。また、寸法比率は現実のものと必ずしも一致しない。複数の図面相互の寸法比率も必ずしも一致しない。特定の寸法が実際よりも大きく示され、特定の形状が誇張されることもある。
図1は、実施形態に係る超音波装置1の概略構成を示す模式図である。
超音波装置1は、例えば、HIFU治療に利用されるものである。例えば、超音波装置1は、患者101の患部103(又は結石等の異物。以下、同様。)へ超音波を集束させる。これにより生じる熱等によって、患部103が変性する。超音波装置1は、人体のいずれの部位を治療対象として構成されてもよいし、また、いずれの疾患を治療対象として構成されてもよい。換言すれば、超音波装置1が放射する超音波の周波数及び強度、並びに超音波装置1の各部の寸法等は適宜に設定されてよい。なお、超音波は、一般に、20kHz以上の音波とされている。超音波の周波数について、一般的な上限は特にないが、例えば、5GHzとされてよい。
超音波装置1は、患者101に隣接して配置され、超音波の放射を直接的に担う超音波放射器具3(以下、単に「放射器具3」ということがある。)と、放射器具3への電力供給等を行う装置本体5とを有している。
(超音波放射器具)
放射器具3は、超音波を発生させる発生部7と、発生部7と患者101との間に介在する袋9とを有している。発生部7は、例えば、患者101側に面する凹面7aから超音波を放射する。凹面7aの形状は、例えば、概略、球面(その内面)の一部を切り取った形状である。従って、凹面7aから放射された超音波は、球の中心付近(別の観点では患部103)に集束する。袋9は、少なくとも超音波装置1の使用時において、液体LQが封入されている。液体LQは、例えば、凹面7aと患者101の体表との間における音響インピーダンスの急激な変化を緩和することに寄与している。
液体LQは、例えば、水である。また、例えば、液体LQは、水と、適宜な添加剤とを含むものであってもよい。添加剤は、例えば、音響インピーダンスを調整するためのものであってよい。液体LQの音響インピーダンスは、例えば、1×10kg/(m・s)以上2×10kg/(m・s)以下、又は1.3×10kg/(m・s)以上1.7×10kg/(m・s)以下とされてよい。参考に、種々の物質の音響インピーダンスを例示すると、水:約1.5×10kg/(m・s)、空気:約0、脂肪:約1.4×10kg/(m・s)、筋肉:約1.7×10kg/(m・s)である。
(発生部)
図2は、発生部7の要部構成を説明するための模式図である。図2において、紙面上方が患者101側である。すなわち、図2は、凹面7a側から発生部7を見た斜視図である。
発生部7は、例えば、それぞれ超音波を放射する複数の板状素子11と、複数の板状素子11を保持している支持体13とを有している。支持体13は、例えば、フレーム状(枠状、骨組構造状)であり、複数の板状素子11を患者101側に露出させるように複数の板状素子11の外縁を保持している。発生部7は、この他、例えば、図示されている構成を患者101とは反対側から覆う適宜な形状の筐体等を有していてもよい。
(板状素子の配置)
板状素子11は、例えば、概略、平板状に構成されている。その板形状の表裏(最も広い1対の面)の一方の面は、患者101に向けて超音波を放射する放射面11aとなっている。複数の板状素子11は、放射面11aが共通の集束領域(患部103)に面するように互いに並列に互いに傾斜して(互いに異なる向きで)配置されており、既述の凹面7aを構成している。従って、凹面7aは、曲面によって構成されているのではなく、複数の平面(放射面11a)の組み合わせによって構成されている。
複数の板状素子11の配置パターンは、適宜に設定されてよい。図示の例では、複数の板状素子11は、凹面7aの周方向(凹面7aの外周に沿った方向)に配列されて環状の素子列8(矢印で示す)を構成している。素子列8は、凹面7aの平面視で多重(2重以上)の環状に(例えば同心状に)複数列で設けられてもよいし(図示の例)、1列のみで設けられてもよい。各素子列8内における板状素子11のピッチは一定であってもよいし(図示の例)、一定でなくてもよい。各素子列8内に含まれる板状素子11の数は適宜に設定されてよい。また、この数は、複数の素子列8同士において、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
図示の例では、凹面7aの最も奥の領域(後述する中央部65)は板状素子11の非配置領域とされている。このような領域には、適宜な電子部品等が配置されてもよい。例えば、患部103の位置を検出するための超音波センサ、患部103の位置を示すために患者101の体表に付されたマーカの位置を検出する視覚センサ、及び/又は複数の板状素子11から放射した超音波の反射波を受信する受信部が設けられてよい。また、凹面7aの最も奥の領域は、開口を有していてもよい。当該開口は、例えば、上記の視覚センサによって検出される可視光及び/又は超音波センサによって検出される超音波を通過させるためのものであってもよい。また、凹面7aの最も奥の領域は、板状素子11の配置領域とされてもよい。
(板状素子の平面形状)
図3は、板状素子11の平面図である。
板状素子11の平面形状及び当該平面形状の寸法は適宜に設定されてよい。例えば、複数の板状素子11は、互いに同一の形状及び大きさとされてもよいし、形状及び/又は大きさが互いに異なる2種以上の板状素子11を含んでいてもよい。また、板状素子11の平面形状は、隣り合う板状素子11同士の間の隙間が比較的小さくなる形状(球面を分割したような形状)であってもよいし(図2及び図3の例)、そのような形状でなくてもよい。後者としては、例えば、円形を挙げることができる。
図2及び図3の例では、板状素子11の平面形状は、板状素子11同士の隙間が比較的小さくなる形状の一例である台形状とされている。なお、台形以外の多角形によっても、板状素子11同士の隙間を小さくするように凹面7aを構成できることは、例えば、正多面体(プラトンの立体)、半正多面体(アルキメデスの立体)及びプラトンの立体、並びに種々の技術分野において実現されているドーム形状から明らかである。
より詳細には、板状素子11の台形は、図3に符号を付すように、例えば、凹面7aの内側に上底11dを有し、凹面7aの外側に下底11eを有し、互いに等しい長さの1対の脚11fを有している等脚台形である。上底11dの長さ及び下底11eの長さ、並びに台形の高さ(上底11dと下底11eとの距離)は適宜に設定されてよく、いずれの長さが他の長さに対して長くてもよい。
既述のように、複数の板状素子11は、凹面7aの周方向に配列されて環状の素子列8を構成している。各素子列8において、隣り合う板状素子11同士で台形の脚11f同士が隣り合っている。隣り合う脚11f同士は、互いに平行であってもよいし、互いに平行でなくてもよい。後者の場合、凹面7aの内側及び外側のいずれにおいて脚11f同士の間隔が相対的に広くなっていてもよい。また、隣り合う素子列8同士においては、一方の素子列8の板状素子11の台形の上底11dと他方の素子列8の板状素子11の台形の下底11eとが隣り合っている。
(板状素子の構造)
図3に示すように、1つの板状素子11は、複数の振動素子15(具体的には圧電素子)を有している。振動素子15は、超音波を発生させる振動を生じる部分である。振動素子15の数、位置、平面形状及び大きさ等は適宜に設定されてよい。
図示の例では、複数の振動素子15は、板状素子11の平面方向(平面に沿う方向。以下、同様。)に沿って概ね一様な密度で分布して配置されている。より詳細には、複数の振動素子15は、一定のピッチで縦横に配列されている。ただし、複数の振動素子15は、互いに隣り合う列同士で半ピッチずれていてもよいし、複数の同心円に沿って配列されていてもよいし、放射状に配列されていてもよいし、一様でない密度で配置されていてもよい。複数の振動素子15の配列方向と、板状素子11の外縁の各部が延びる方向との相対関係も適宜に設定されてよい。
複数の振動素子15の配置領域(例えば複数の振動素子15が収まる最小の凸多角形)の面積は、例えば、板状素子11の面積(又はそのうち患者101側から見て支持体13から露出している面積)の1/5以上、1/2以上又は2/3以上又は4/5以上とされてよい。4/5以上は、複数の振動素子15が板状素子11の全面に配置された状態と捉えられてよい。複数の振動素子15が板状素子11の全面に亘って配置されていない場合において、複数の振動素子15の配置領域は、板状素子11内の中央側又は外縁側等の適宜な範囲に位置してよい。配置領域の形状も任意である。
また、図示の例では、振動素子15の平面形状は、円形とされている。別の観点では、当該平面形状は、線対称又は回転対称の形状である。ただし、当該平面形状は、楕円又は多角形等の他の形状とされてよく、また、非対称の形状であってもよい。振動素子15の平面形状が円形でない場合において、当該平面形状と板状素子11の平面形状との相対的な向きも適宜に設定されてよい。
(板状素子の積層構造)
図4は、図3のIV−IV線における断面図である。この図において、紙面下方は患者101側である。
板状素子11は、例えば、その平面方向に沿って(放射面11aに沿って)広がる2以上の層状(板状を含む。以下、同様。)の部材を含んで構成されている。具体的には、例えば、板状素子11は、振動素子15を有している素子基板19と、素子基板19に重ねられているキャビティ部材21とを有している。この他、特に図示しないが、板状素子11は、素子基板19とキャビティ部材21との間に介在する接着剤又は絶縁層を有していてもよい。
板状素子11は、例えば、素子基板19側を患者101側に向けている。素子基板19は、振動素子15となっている領域が撓み変形することによって振動する。この振動が素子基板19の患者101側に位置する流体に伝えられて超音波が生成される。キャビティ部材21は、素子基板19のうち複数の振動素子15に個別に重なる複数のキャビティ21c(開口、孔)を有している。キャビティ部材21は、例えば、キャビティ21cの縁部によって振動素子15の固定端を規定することに寄与し、ひいては、振動素子15の固有振動数(共振周波数)を調整することに寄与する。
複数のキャビティ21c及び後述する第2電極33(個別電極)が設けられていることなどにより、板状素子11の主面(板の最も広い面。表裏)は、凹凸を有しており、平面ではない。このことから理解されるように、板状素子11が板状又は平板状であるという場合、厳密に板又は平板である必要は無い。例えば、板状素子11は、互いに直交する3方向のうちの1方向における長さ(厚さ)が他の2方向における長さそれぞれに対して、1/3以下、1/5以下、1/10以下又は1/20以下のときに板状と捉えられてよい。また、例えば、板状素子11は、主要な構成要素として厚さが一定で平面を成す層(例えば後述する23、25及び27)を有することをもって平板状と捉えられてよい。また、例えば、板状素子11は、両主面のそれぞれにおいて、複数の凸部の頂部(又は凹部の最深部)が同一平面に収まるときに平板状と捉えられてよい。また、例えば、板状素子11は、板状素子11の面積から求めた円相当径に対して各主面の凹凸の算術平均粗さが5%以下、2%以下又は1%以下のときに平板状と捉えられてよい。
(素子基板)
素子基板19は、厚み方向の一方側に面している第1面19a、及び当該第1面19aとは反対側に面している第2面19bを有している。図示の例では、第1面19aは、患者101側の面(別の観点ではキャビティ部材21とは反対側の面)であり、放射面11aを構成している。本実施形態では、放射面11aと第1面19aとは同じものと捉えられてよい。素子基板19は、例えば、平板状に構成されている。
素子基板19は、例えば、その平面方向に沿って(第1面19aに沿って)広がる2以上の層状部材を含んで構成されている。具体的には、例えば、素子基板19は、第1面19a側から順に、振動層23、第1導体層25、圧電体層27及び第2導体層29を含んでいる。第1導体層25は、例えば、第1電極31を含んでいる。第2導体層29は、例えば、複数の第2電極33を含んでいる。第1電極31及び第2電極33は、圧電体層27を挟んでいる。これらの1対の電極に交流電圧が印加されることによって、素子基板19の振動素子15となっている領域は撓み変形を伴う振動を生じる。なお、素子基板19は、図示の層の他、例えば、第2導体層29を覆う絶縁層等の適宜な層を含んでいてよい。
素子基板19において、振動素子15と捉えられる領域は、適宜に定義されてよい。本実施形態の説明では、便宜的に、素子基板19のうちキャビティ21cと重なっている領域(より厳密にはキャビティ21cの素子基板19側の開口面と重なっている領域)を振動素子15として定義する。なお、この他、第2電極33(個別電極)と重なる領域を振動素子15として定義することも可能である。
各振動素子15は、第1面19aの一部を構成している第1素子面15aと、第2面19bの一部を構成している第2素子面15bとを有している。第1面19aは、振動層23によって構成されている。第1素子面15aは、第1面19aのうちキャビティ21cと重なる領域によって構成されている。第2面19bは、第2導体層29、及び圧電体層27のうち第2導体層29から露出している領域によって構成されている。第2素子面15bは、第2面19bのうちキャビティ21cから露出している領域によって構成されている。なお、例えば、図示の例とは異なり、第2導体層29を覆う絶縁層が設けられている場合は、当該絶縁層によって第2面19bが構成されてよい。
(振動層)
振動層23は、例えば、複数の振動素子15に亘る広さで(例えば素子基板19の概ね全体に亘る広さで)、基本的に隙間無く広がっている。振動層23の厚さは、例えば、概ね一定である。振動層23は、例えば、後述するように、圧電体層27の平面方向の変形を規制して、面外振動を生じさせることに寄与する。
振動層23は、例えば、絶縁材料又は半導体材料によって形成されている。振動層23の材料は、無機材料でも有機材料でもよい。より具体的には、例えば、振動層23の材料は、圧電体層27の材料(後述)と同一又は異なる圧電体とされてよい。また、例えば、振動層23の材料は、シリコン(Si)、二酸化ケイ素(SiO)、窒化シリコン(SiN)又はサファイア(Al)とされてもよい。振動層23は、互いに異なる材料からなる複数の層が積層されて構成されていてもよい。
(第1導体層及び第1電極)
第1導体層25は、図示の例では、第1電極31のみを含んでいる。第1電極31は、例えば、共通電極として構成されている。共通電極は、例えば、複数の振動素子15に亘る広さ(素子基板19の概ね全体に亘る広さ)で、基本的に隙間無く広がっている。第1電極31の厚さは、例えば、概ね一定である。第1電極31は、例えば、圧電体層27を貫通する不図示の貫通導体等を介して、板状素子11の袋9とは反対側に配置された不図示の配線(例えば後述する配線部材35)と電気的に接続されている。
第1導体層25の材料は、例えば、適宜な金属とされてよい。例えば、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)若しくはクロム(Cr)又はこれらを含む合金が用いられてよい。第1導体層25は、互いに異なる材料からなる複数の層が積層されて構成されていてもよい。また、第1導体層25の材料は、前記のような金属を含む導電ペーストを焼成して得られるものであってもよい。すなわち、第1導体層25の材料は、ガラス粉末及び/又はセラミック粉末等の添加剤(別の観点では無機絶縁物)を含むものであってもよい。
(圧電体層)
圧電体層27は、例えば、複数の振動素子15に亘る広さで(例えば素子基板19の概ね全体に亘る広さで)、基本的に隙間無く広がっている。圧電体層27の厚さは、例えば、概ね一定である。ただし、圧電体層27は、図示の例とは異なり、複数の振動素子15に対して個別に設けられた、互いに分離された複数の部位を有する構成であってもよい。
圧電体層27の材料は、単結晶であってもよいし、多結晶であってもよいし、無機材料であってもよいし、有機材料であってもよいし、強誘電体であってもなくてもよいし、焦電体であってもなくてもよい。無機材料としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛系材料及び非鉛系無機圧電材料が挙げられる。非鉛系無機圧電材料としては、例えば、ペロブスカイト型化合物材料が挙げられる。有機材料としては、例えば、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)が挙げられる。
また、圧電体層27の材料は、例えば、圧電磁器板(別の観点では焼結体)とされてもよいし、圧電薄膜とされてもよい。圧電磁器板は、圧電性を有する複数の結晶粒子(及び結晶粒界)により構成される板状の無機多結晶体であり、圧電セラミックス板ともいう。圧電磁器板を構成する結晶粒子は、通常アスペクト比が小さく、等方的に分布している。圧電薄膜とは、圧電性を有する薄膜状の無機単結晶体、無機多結晶体、または有機材料(ポリマー)である。多結晶体の圧電薄膜は、通常、厚さ方向に延びる柱状晶により構成されている。圧電薄膜は通常、高い配向性を有しており、それにより高い圧電特性を有する。
圧電体層27は、例えば、少なくとも振動素子15を構成している領域において、分極軸(単結晶では電気軸又はX軸ともいう。)が、圧電体層27の厚み方向(第1電極31と第2電極33との対向方向)に概ね平行になっている。なお、圧電体層27のうち、振動素子15を構成している領域以外の領域は、分極されていてもよいし、分極されていなくてもよい。また、分極されている場合において、振動素子15を構成している領域と同様の方向に分極されていてもよいし、異なる方向に分極されていてもよい。
(第2導体層及び第2電極)
第2導体層29は、例えば、既述の複数の第2電極33の他、複数の第2電極33に接続されている不図示の配線を有していてもよい。複数の第2電極33は、例えば、第2導体層29が含む後述の引出電極(又は配線)を介して、板状素子11の袋9とは反対側に配置された不図示の他の配線(例えば後述する配線部材35)と電気的に接続されている。
複数の第2電極33は、例えば、振動素子15毎に設けられた個別電極とされている。ここでいう個別電極は、複数の電極が互いに分離した形状とされていることを意味し、互いに別個の電位を付与可能にされている必要は無い。例えば、2以上の第2電極33(例えば1つの板状素子11内の全ての第2電極33)は互いに電気的に接続されていてよい。接続は、例えば、第2導体層29が有する配線(後述する図9参照)によってなされていてもよいし、他の手段(例えば後述する配線部材35)によってなされていてもよい。なお、複数の第2電極33は、個別に、又は2以上の第2電極33を含むグループ毎に互いに異なる電位が付与可能とされていてもよい。
第2電極33の平面形状及び大きさは、適宜な形状とされてよい。例えば、第2電極33の平面形状は、振動素子15の平面形状(キャビティ21cの開口形状)と相似形又は類似する形状であってもよいし、異なる形状であってもよいし、円形若しくは楕円形であってもよいし、多角形であってもよい。また、例えば、平面視において、第2電極33の外縁は、キャビティ21cの開口縁部に対して、その全体が内側に位置していてもよいし、その全体が概ね一致していてもよいし、その全体が外側に位置していてもよいし、一部のみが一致又は内側に位置していてもよい。本実施形態では、第2電極33は、円形のキャビティ21cの開口縁部よりも内側に位置する円形である。
第2導体層29の材料は、第1導体層25の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、いずれの場合についても、既述の第1導体層25の材料の説明は、第2導体層29の材料の説明に援用されてよい。
(振動素子の動作)
第1電極31及び第2電極33によって、これらに挟まれている圧電体層27に分極の向きと同じ向きで電界が印加されると、圧電体層27は、平面方向において収縮する。この収縮は、振動層23によって規制されるから、振動素子15は、バイメタルのように振動層23側(第1面19a側)へ撓む(変位する)。逆に、分極の向きと逆の向きで電界が印加されると、圧電体層27は、平面方向において伸長する。この伸長は、振動層23によって規制されるから、振動素子15は、バイメタルのように振動層23とは反対側(第2面19b側)へ撓む(変位する)。
上記のような振動素子15の変位によって、振動素子15の周囲の媒質(例えば流体)においては圧力波が形成される。そして、所定の波形で電圧が変化する電気信号(駆動信号)が第1電極31及び第2電極33に入力されることによって、その電気信号の波形(別の観点では周波数及び振幅)を反映した超音波が生成される。
上記の撓み変形の振動は、換言すれば、振動素子15において、平面視の中央が振動の腹となり、外縁(例えばキャビティ21cの縁部付近)が振動の節となる1次モードの面外振動(屈曲振動)である。この振動に関して、振動素子15は、例えば、共振周波数が超音波の周波数帯に位置するように構成されている。共振周波数の設定は、例えば、振動素子15を構成する層の材料の選択(別の観点ではヤング率及び密度の選択)、並びに振動素子15の径及び各層の厚さの設定(別の観点では質量及び曲げ剛性の設定)等によってなされる。振動素子15の周囲の流体の影響、及び振動素子15を支持する部分(例えばキャビティ部材21)の剛性等の影響が考慮されてもよい。
電気信号は、例えば、振動素子15を第1面19a側へ変位させる電圧印加と、振動素子15を第2面19b側へ変位させる電圧印加とが繰り返されるものであってよい。すなわち、電気信号は、極性(正負)が反転する(電圧(電界)の向きが圧電体層27の分極軸の方向において交互に入れ替わる)ものであってよい。また、例えば、電気信号は、振動素子15を第1面19a側へ変位させる電圧印加のみ、又は振動素子15を第2面19b側へ変位させる電圧印加のみが繰り返されるものであってもよい。この場合、撓みと、復元力による撓みの解消との繰り返しによって、超音波が生成される。
ここで、第2導体層29の上から圧電体層27を覆う不図示の絶縁層が設けられていると仮定する。当該絶縁層と振動層23とは、圧電体層27に重ねられている点で共通し、また、圧電体層27に重なる方向が互いに逆である。絶縁層と振動層23とは、例えば、圧電体層27の伸縮と撓み変形の向きとの関係から区別可能である。具体的には、既述のように、振動層23は、圧電体層27の平面方向における伸長を規制して振動素子15を振動層23とは反対側(第2面19b側)に撓ませる強度を有しており、これは、絶縁層が設けられている態様においても同様である。従って、圧電体層27が伸長するときに振動素子15が撓む側とは反対側に位置している層が振動層23である。また、既述のように、振動層23は、圧電体層27の平面方向における収縮を規制して振動素子15を振動層23側(第1面19a側)に撓ませる強度を有しており、これは、絶縁層が設けられている態様においても同様である。従って、圧電体層27が収縮するときに振動素子15が撓む側に位置している層が振動層23である。なお、振動層23において、圧電体層27の平面方向における伸長を規制して第2面19b側への撓み変形を生じるための強度(例えば圧縮応力に関する縦弾性係数)と、圧電体層27の平面方向における収縮を規制して第1面19a側への撓み変形を生じるための強度(例えば引張応力に関する縦弾性係数)とは、通常、互いに同一である。ただし、例えば、両者が同一でない材料も存在し、そのような材料が用いられても構わない。
(キャビティ部材)
キャビティ部材21は、例えば、キャビティ21cを無視して考えたときに、複数の振動素子15に亘る広さを有する、厚さが一定の部材である。キャビティ部材21の広さは、素子基板19の広さに対して、同等であってもよいし(図4の例)、異なっていてもよい。
キャビティ部材21の材料は任意であり、例えば、絶縁材料であってもよいし、半導体材料であってもよいし、導電材料であってもよいし、無機材料であってもよいし、有機材料であってもよいし、圧電体であってもよいし、素子基板19内のいずれかの層の材料と同一であってもよい。具体的には、キャビティ部材21の材料としては、金属、樹脂、セラミックを挙げることができる。また、キャビティ部材21は、複数の材料又は複数の層から構成されていてもよい。例えば、キャビティ部材21は、素子基板19に重なる金属層(金属板を含む)に絶縁層が成膜されて構成されていてもよいし、ガラス繊維にエポキシ樹脂を含浸させたガラスエポキシ樹脂によって構成されていてもよい。
キャビティ部材21の材料の線膨張係数は、例えば、圧電体層27の材料の線膨張係数よりも大きくされてよい。このような関係を満たすキャビティ部材21の材料及び圧電体層27の材料の組み合わせは種々存在する。例えば、圧電体は、通常、線膨張係数が小さいから、キャビティ部材21を金属(例えばステンレス鋼)によって構成することによって、上記の関係を満たすことができる。ただし、上記とは異なり、キャビティ部材21の材料の線膨張係数は、圧電体層27の材料の線膨張係数に対して、同等とされてもよいし、小さくされてもよい。
キャビティ部材21の材料の熱伝導率は、例えば、キャビティ21c内を満たす物質(換言すれば第2素子面15bに接する物質)の熱伝導率よりも大きくされてよい。キャビティ21c内を満たす物質が空気である場合においては、上記要件を満たすキャビティ部材21の材料としては種々の材料を挙げることができる。また、キャビティ部材21の材料の熱伝導率は、キャビティ21c内の物質の熱伝導率の100倍以上又は500倍以上とされてよい。キャビティ21c内の物質が空気である場合において、上記の倍率を満たすキャビティ部材21の材料としては、例えば、金属(例えばステンレス鋼)を挙げることができる。
キャビティ21cの形状は適宜に設定されてよい。例えば、キャビティ21cの形状は、横断面(素子基板19に平行な断面)の形状がキャビティ21cの貫通方向の位置によらずに一定の形状であってもよいし(図示の例)、素子基板19側ほど拡径する、又は縮径するテーパ面を有する形状であってもよい。本実施形態の説明では、素子基板19のうちキャビティ21cと重なる領域を振動素子15としているから、既述の振動素子15の平面形状についての説明は、キャビティ21cの横断面の形状の説明に援用されてよい。
キャビティ21cの深さ(貫通方向の長さ。別の観点ではキャビティ部材21の厚さ)は、適宜に設定されてよい。例えば、キャビティ21cの深さは、キャビティ21cの径(円形でない場合は例えば円相当径)に対して、1/20以上、1/10以上、1/2以上又は1倍以上とされてよく、10倍以下、5倍以下、1倍以下、1/2以下又は1/10以下とされてよく、前記の下限と上限とは、矛盾しない限り、適宜に組み合わされてよい。
(支持体)
図2に戻って、支持体13は、例えば、複数の板状素子11の外縁を保持する形状とされている。より詳細には、支持体13は、例えば、隣り合う板状素子11の隙間(別の観点では境界)の形状と同様の形状を有している。換言すれば、支持体13は、複数の板状素子11に対して個別に重なる複数の開口13hを有している。板状素子11は、例えば、その外縁側部分が支持体13の患者101とは反対側の面に対して重ねられ、開口13hを介して患者101側へ放射面11aを露出させている。
支持体13は、例えば、凹面7aの平面視において概略同心状に構成された3つの部位によって構成されている。1つは、複数の開口13hが形成されることによって格子状に構成され、かつ複数の板状素子11が配列されている領域に亘って帯状かつ環状に広がっている格子部61である。他の1つは、格子部61の外縁から外側に広がっている鍔状の縁部63である。残りの1つは、格子部61の内縁につながっている板状の中央部65である。複数の板状素子11は、これらの部位によって外縁が保持されている。
特に図示しないが、中央部65に開口が形成されたり、縁部63の内縁から外縁までの径が小さくされたりすることによって、支持体13は、格子部61のみによって構成されているといえる形状とされてもよい。また、中央部65が設けられている領域が板状素子11の配置領域とされてよいこと(換言すれば格子部61が中央に広がってよいこと)は、既に述べたとおりである。
開口13hの形状及び面積は適宜に設定されてよい。例えば、開口13hの形状は、板状素子11の外縁の形状と相似形又は類似する形状であってもよいし(図示の例)、異なる形状であってもよい。また、例えば、開口13hは、患者101側の前面13aから反対側の背面13bへ向かって縮径又は拡径する形状であってもよいし、そのような縮径又は拡径がなされない形状であってもよい。また、例えば、開口13hの面積(縮径又は拡径する場合は例えば最小面積)は、板状素子11の面積の6割以上又は8割以上とされてよい。
支持体13の材料は適宜なものとされてよい。例えば、支持体13の材料は、金属、セラミック若しくは樹脂又はこれらの組み合わせとされてよい。金属は、例えば、ステンレス鋼とされてよい。支持体13の材料の熱伝導率は、キャビティ部材21の材料の熱伝導率に対して、大きくてもよいし、同等でもよいし、小さくてもよい。キャビティ21c内の物質の熱伝導率に対するキャビティ部材21の材料の熱伝導率の説明は、キャビティ21c内の物質の熱伝導率に対する支持体13の材料の熱伝導率に援用されてよい。支持体13の材料は、キャビティ部材21の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
(板状素子と支持体との固定構造)
図5は、支持体13の背面13b(患部103とは反対側の面)の一例の一部を示す斜視図である。この図では、支持体13は、板状素子11の取り付け前の状態とされている。また、図6は、板状素子11と支持体13との固定構造を示す断面図である。この図は、図4と同様の断面において、素子基板19の細部の図示を省略するとともに、図4よりも若干広い範囲を示す図となっている。この図に示される板状素子11の1対の側面11sは、図3のIV−IV線に照らせば、1対の脚11fであるが、いずれの2つの側面の組み合わせと捉えられてもよい。
支持体13の板状素子11が配置される面(ここでは患者101とは反対側の背面13b)には、板状素子11が収容される凹部13rが形成されていてもよい。別の観点では、支持体13は、板状素子11(より詳細には本実施形態ではその外縁部)に対して当該板状素子11の厚さ方向に重なる重複部13eと、重複部13eから板状素子11側に突出する仕切部13fとを有している。もちろん、支持体13は、このような凹部13r(仕切部13f)を有さない形状であってもよい。
仕切部13fは、互いに隣り合う板状素子11同士の間に位置している。より詳細には、図示の例では、支持体13は、支持体13の周方向において互いに隣り合う板状素子11同士の間に位置する仕切部13faと、支持体13の径方向において互いに隣り合う板状素子11同士の間に位置する仕切部13fbとを有している。仕切部13faは、例えば、支持体13の径方向に延びている。仕切部13fbは、例えば、支持体13の周方向に延びている。
凹部13rは、例えば、板状素子11が嵌合する形状及び大きさとされ、板状素子11の位置決めに寄与してよい。ここでいう「嵌合」は、例えば、板状素子11の側面と凹部13rの壁面との間に、板状素子11のその平面方向への移動を許容する隙間(遊び)が存在するものを含む。この隙間は、例えば、後述する第1接着剤37の配置に寄与してよい。隙間の大きさは、例えば、板状素子11をその平面方向において凹部13r内のいずれの位置に移動させても板状素子11の外縁の全体が開口13hの外側に位置する大きさである。ただし、凹部13rは、そのような板状素子11の位置決めに寄与する大きさよりも大きくてもよい。
凹部13rをその深さ方向に見た形状は、例えば、板状素子11の平面形状及び/又は開口13hをその開口方向に見た形状と相似形又は類似する形状とされてよい。従って、板状素子11の平面形状についての既述の説明は、凹部13rの形状に援用されてよい。また、凹部13rの形状は、その壁面が、板状素子11の側面に当接して板状素子11を位置決めする部位と、板状素子11の側面から離れて後述する第1接着剤37を配置する隙間を形成する部位とを有する形状であってもよい。凹部13rの壁面は、鉛直壁であってもよいし、凹部13rを縮径又は拡径させる傾斜壁であってもよい。凹部13rの深さは、板状素子11の厚さよりも小さくてもよいし、同等でもよいし、大きくてもよい。
仕切部13fは、一定の幅及び/又は一定の高さで延びる形状であってもよいし、幅及び/又は高さを変化させつつ延びる形状であってもよいし、直線状に延びていてもよいし、適宜に屈曲していてもよい。また、複数の仕切部13faは、互いに同一の形状であってもよいし、互いに異なる形状であってもよい。複数の仕切部13fbも同様である。
図7は、図6の領域VIIの拡大図である。
この図に示すように、板状素子11と支持体13とは、板状素子11の側面11sに接着された第1接着剤37によって互いに接着されている。第1接着剤37は、板状素子11の側面の全体に接着していてもよいし、一部にのみ接着していてもよい。また、特に図示しないが、板状素子11の放射面11aと重複部13eとの間にも接着剤(不図示)が配置されてもよい。第1接着剤37の材料は、有機材料であってもよいし、無機材料であってもよく、また、絶縁材料であってもよいし、導電材料であってもよい。例えば、第1接着剤37は、樹脂又は金属とされてよい。
(配線部材)
図7に示されているように、発生部7は、第2電極33に接続されている配線部材35を有している。配線部材35は、例えば、板状素子11と装置本体5との間の信号伝達に寄与している。
配線部材35は、例えば、いわゆる絶縁電線によって構成されている。すなわち、配線部材35は、線状の配線導体35aと、配線導体35aを覆っている絶縁体35bとを有している。配線導体35a及び絶縁体35bの材料は、例えば、公知のものと同様とされて構わない。特に図示しないが、この他、配線部材35は、その少なくとも一部又は全部が、絶縁体35bを覆う保護被膜を有するケーブルであってもよい。この場合において、複数の第2電極33から延びる複数の絶縁電線が纏められて共に保護被膜によって覆われていてもよい。また、配線部材35の一部又は全部は、FPC(Flexible Printed Circuits)によって構成されていてもよい。
図示の例では、第2導体層29は、第2電極33毎に、第2電極33から延び出る引出電極34を有している。図7の紙面中央側では、第2電極33と引出電極34との境界を点線で示している。引出電極34は、導電性のバンプ39によって配線部材35(より詳細にはその配線導体35a)と接合されている。これにより、第2電極33と配線部材35とが接続されている。なお、図示の例とは異なり、引出電極34を設けず、第2電極33の一部と配線部材35とが接続されても構わない。
引出電極34の具体的な形状及び寸法は適宜に設定されてよい。例えば、引出電極34は、平面視において第2電極33の外縁から突出する形状である。引出電極34の幅(突出方向に交差する方向の長さ)は、例えば、第2電極33の径(上記交差する方向の長さ)よりも小さい。また、引出電極34の面積は、例えば、第2電極33の面積よりも小さい。また、引出電極34は、例えば、キャビティ21c内に収まっている。
バンプ39は、例えば、はんだ又は導電性接着剤によって構成されている。はんだは、鉛フリーはんだを含む。導電性接着剤は、例えば、導電性の粒子を含有する樹脂によって構成されている。バンプ39の具体的な形状及び寸法は適宜に設定されてよい。
配線部材35は、キャビティ21cの内部からキャビティ21cの外部へ延び出ている。配線部材35の第2電極33とは反対側の端部は、例えば、発生部7が有している不図示のコネクタに対して直接に又は間接に(例えば不図示の回路基板を介して間接に)接続されている。上記コネクタは、装置本体5(より詳細には後述するケーブル49)と接続されている。なお、同一の電位が付与される複数の配線部材35は、上記の回路基板又はコネクタに至る過程で複数の配線導体35aが互いに纏められて互いに接続されてもよいし、上記の回路基板又はコネクタを介して互いに接続されてもよい。
配線部材35が延びる具体的な経路は適宜に設定されてよい。例えば、配線部材35は、キャビティ21cから凹面7aの径方向に延びてもよいし、キャビティ21cから凹面7aの周方向に延びてもよい。また、1つの板状素子11の複数のキャビティ21cから延びる複数の配線部材35は、第2電極33に接続されている一端から他端に至るまでの間において、互いに別個に延びていてもよいし、共に保護被膜に覆われることなどによって途中から纏められて延びていてもよい。複数の板状素子11から延びる複数の配線部材35は、第2電極33に接続されている一端から他端に至るまでの間において、互いに別個に延びていてもよいし、共に保護被膜に覆われることなどによって途中から纏められて延びていてもよい。
配線部材35は、キャビティ部材21に対して接合されていてもよい。また、この場合において、配線部材35が接合される位置及び長さ、並びに接合の方法等は適宜に設定されてよい。
図示の例では、配線部材35は、キャビティ21cの内壁に対して接合されている。この接合位置に加えて、又は代えて、例えば、配線部材35は、キャビティ部材21の素子基板19とは反対側の面に接合されていてもよいし、及び/又はキャビティ部材21の側面に接合されていてもよい。キャビティ21cの内壁以外の接合箇所において、1つの板状素子11の複数の第2電極33から延びる複数の配線部材35は、互いに個別にキャビティ部材21に対して接合されていてもよいし、共に保護被膜に覆われることなどによって纏められた状態でキャビティ部材21に対して接合されていてもよい。
また、図示の例では、配線部材35は、第2接着剤71によってキャビティ部材21に対して接合されている。この他、例えば、特に図示しないが、配線部材35は、配線部材35の一部(例えば絶縁体35b又はこれを覆う不図示の保護被膜)が溶融されることによってキャビティ部材21に対して接合されていてもよい。図示の例では、第2接着剤71は、配線部材35とキャビティ部材21との間に介在して両者を接着している。このような接着に加えて、又は代えて、第2接着剤71は、配線部材35の上からキャビティ部材21を覆うことによって、配線部材35をキャビティ部材21に接着していてもよい。
第2接着剤71の材料は、有機材料であってもよいし、無機材料であってもよく、また、絶縁材料であってもよいし、導電材料であってもよい。例えば、第2接着剤71は、樹脂又は金属とされてよい。第2接着剤71は、第1接着剤37と同一の材料であってもよいし、異なる材料であってもよく、また、第1接着剤37とつながっていてもよいし、分離されていてもよい。第2接着剤71が第1接着剤37と同一材料からなり、かつ両者がつながっている場合、これらは製造過程において共に供給されるものであってもよい。
配線部材35は、キャビティ部材21に対する接合に加えて、又は代えて、支持体13に対して接合されていてもよい。また、この場合において、配線部材35が接合される位置及び長さ、並びに接合の方法等は適宜に設定されてよい。
図示の例では、配線部材35は、仕切部13fの頂面に対して接合されている。この接合位置に加えて、又は代えて、例えば、配線部材35は、仕切部13fの内壁に接合されていてもよいし、中央部65の患者101とは反対側の面に接合されていてもよいし、及び/又は縁部63の患者101とは反対側の面に接合されていてもよい。1つの板状素子11の複数の第2電極33から延びる複数の配線部材35、及び/又は複数の板状素子11から延びる複数の配線部材35は、互いに個別に支持体13に対して接合されていてもよいし、共に保護被膜に覆われることなどによって纏められた状態で支持体13に対して接合されていてもよい。
また、図示の例では、配線部材35は、第3接着剤73によって支持体13に対して接合されている。この他、例えば、特に図示しないが、配線部材35は、配線部材35の一部(例えば絶縁体35b又はこれを覆う不図示の保護被膜)が溶融されることによって支持体13に対して接合されていてもよい。図示の例では、第3接着剤73は、配線部材35と支持体13との間に介在して両者を接着している。このような接着に加えて、又は代えて、第3接着剤73は、配線部材35の上から支持体13を覆うことによって、配線部材35を支持体13に接着していてもよい。
第3接着剤73の材料は、有機材料であってもよいし、無機材料であってもよく、また、絶縁材料であってもよいし、導電材料であってもよい。例えば、第3接着剤73は、樹脂又は金属とされてよい。第3接着剤73は、第1接着剤37及び/又は第2接着剤71と同一の材料であってもよいし、異なる材料であってもよく、また、第1接着剤37及び/又は第2接着剤71とつながっていてもよいし、分離されていてもよい。第3接着剤73が第1接着剤37及び/又は第2接着剤71と同一材料からなり、かつ両者がつながっている場合、これらは製造過程において共に供給されるものであってもよい。
特に図示しないが、素子基板19のキャビティ部材21側の面は、適宜な位置(例えば外縁付近)にキャビティ部材21から露出する領域を有してよい。当該領域には、圧電体層27を貫通する貫通導体を介して第1電極31と接続されている端子が設けられてよい。この端子には、引出電極34と同様に、配線部材35が接続されてよい。すなわち、第1電極31に配線部材35が電気的に接続されてよい。この第1電極31に接続されている配線部材35についても、上述した第2電極33に接続されている配線部材35についての説明が適宜に援用されてよい。
例えば、第1電極31に接続されている配線部材35も、キャビティ部材21及び/又は支持体13に接合されてよい。その接合位置及び接合方法は任意である。複数の板状素子11の第1電極31に接続されている複数の配線部材35は、複数の板状素子11から不図示の回路基板又は不図示のコネクタに至るまでの間において、互いに別個に延びていてもよいし、途中から共に保護被膜に覆われることなどによって纏められて延びていてもよい。また、第1電極31に接続されている配線部材35と、第2電極33に接続されている配線部材35とは互いに別個に延びていてもよいし、途中から共に保護被膜に覆われることなどによって纏められて延びていてもよい。
(寸法等の一例)
既に述べたように、放射器具3において、超音波の周波数及び放射器具3の各部の寸法等は適宜に設定されてよい。以下に、一例を挙げる。放射器具3が生じる超音波の周波数は0.5MHz以上2MHz以下とされてよい。発生部7の直径(凹面7aの外縁を含む平面における直径)は、50mm以上200mm以下とされてよい。板状素子11の円相当径又は台形の1辺の長さは、5mm以上20mm以下とされてよい。振動素子15の円相当径は、0.2mm以上2mm以下とされてよい。素子基板19の厚さは、50μm以上200μm以下とされてよい。振動層23の厚さ及び圧電体層27の厚さのそれぞれの厚さは、前記の素子基板19の厚さと矛盾しない範囲で、20μm以上100μm以下とされてよい。第1導体層25(第1電極31)及び第2導体層29(第2電極33)それぞれの厚さは、0.05μm以上5μm以下とされてよい。支持体13の厚さは、素子基板19の厚さ以上とされてよい。
(袋)
図1に戻って、袋9の形状、大きさ及び材料は適宜に設定されてよい。例えば、袋9の形状は、球形等の全体として外側に膨らむ形状とされてよい。また、例えば、放射器具3が人体の特定の部位を対象としたものである場合においては、当該特定の部位の凹部及び/又は凸部に合わせて凸部及び/又は凹部を有する形状であってもよい。
袋9の材料は、少なくとも、液体LQを通さない性質(いわゆる遮水性)及び可撓性を有している。また、袋9の材料は、弾性体であってもよい。例えば、袋9の材料として、熱硬化性エラストマー(いわゆるゴム)、熱可塑性エラストマー(狭義のエラストマー)及びこれらのエラストマーを含まない樹脂(狭義の樹脂。ただし、可撓性を有するもの)が用いられてよい。熱硬化性エラストマーとしては、加硫ゴム(狭義のゴム)及び熱硬化性樹脂系エラストマーを挙げることができる。
袋9は、既述のように、少なくとも、超音波装置1の使用時において液体LQが封入されている。袋9(放射器具3)は、例えば、流通段階で液体LQが封入されているものであってもよいし、使用時に液体LQが封入されるものであってもよい。また、袋9(放射器具3)は、例えば、液体LQを袋9内に供給(及び/又は排出)するための開閉可能なポートを有さないものであってもよいし、有しているものであってもよい。ポートの開閉構造には、公知の種々のものが利用されてよい。
袋9は、発生部7側に開口9aを有している。そして、発生部7のうち、凹面7aを含む一部は、開口9aを介して袋9内の液体LQに接している。一方、発生部7の凹面7aとは反対側の面を含む一部は、袋9の液体LQに接しておらず、放射器具3の周囲の気体(例えば空気)に接している。従って、振動素子15においては、患者101側の第1素子面15aが液体LQに接しており、その反対側の第2素子面15bが気体(例えば空気)に接している。開口9aの縁部と、発生部7との間からの液体LQの漏れを低減するための構造は適宜なものとされてよい。
第1素子面15aに接する物質(本実施形態では例えば空気)の物性値と、第2素子面15bに接する物質(本実施形態では液体LQ)の物性値との関係は適宜に設定されてよい。例えば、第2素子面15bに接する物質(別の観点ではキャビティ21cを満たす物質)の熱伝導率は、第1素子面15aに接する物質(別の観点では振動層23に接する物質)の熱伝導率よりも小さくされてよい。
(装置本体)
装置本体5は、例えば、放射器具3の駆動及びその制御を行う駆動制御部41と、放射器具3を移動させる移動部43と、ユーザの入力操作を受け付ける入力部45と、ユーザに情報を提示する出力部47とを有している。
駆動制御部41は、例えば、ケーブル49を介して発生部7に接続されている。駆動制御部41は、超音波の発生に係る信号を発生部7に入力する駆動部51と、駆動部51を制御する制御部53とを有している。
超音波を発生させるために第1電極31及び第2電極33に駆動信号を入力する動作に関して、駆動部51と発生部7内の電気回路との役割分担は適宜に設定されてよい。ここでは、説明を簡単にするために、発生部7の電気回路は、駆動部51からの信号を第1電極31及び第2電極33に伝達するだけの役割を有するものとして説明する。ただし、以下に説明する駆動部51の機能の少なくとも一部は、発生部7に設けられてもよい。
駆動部51は、例えば、商用電源等からの電力を制御部53によって指定された波形(例えば周波数及び電圧(振幅))を有する交流電力に変換して第1電極31及び第2電極33に入力する。駆動信号は、放射を意図している超音波の周波数と概ね同等の周波数を有するとともに、意図している超音波の振幅に対応する電圧を有している交流電力である。駆動信号は、矩形波(パルス)、正弦波、三角波又は鋸波のように適宜な形状とされてよい。
制御部53は、特に図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び外部記憶装置等を含むコンピュータを含んで構成されている。CPUがROM及び/又は外部記憶装置に記憶されているプログラムを実行することによって、各種の制御を行う機能部が構築される。制御部53は、例えば、入力部45からの信号に基づいて、駆動部51が出力する駆動信号の波形(例えば周波数及び電圧(振幅))を設定し、また、駆動部51からの駆動信号の出力の開始及び停止を制御する。
移動部43は、例えば、特に図示しないが、放射器具3を保持する保持機構と、当該保持機構に放射器具3を移動させるための動力を付与する駆動源(例えばモータ)とを含んで構成されている。このような移動部43は、例えば、多関節ロボット、スカラロボット又は直交ロボットと同様の構成とされてよい。移動部43は、制御部53からの制御指令に基づいて放射器具3を患者101に対して相対移動させる。この相対移動は、例えば、放射器具3を患者101に近づける移動、及び/又は超音波の焦点を患部103に位置させるための位置決めのための移動を含んでよい。制御部53は、入力部45からの信号に基づいて、及び/又は患部103の位置等を特定する不図示のセンサからの信号に基づいて移動部43を制御する。なお、移動部43が設けられず、又は移動部43のうちの駆動源が設けられず、人力によって放射器具3が運搬及び位置決めされても構わない。
入力部45は、例えば、キーボード、マウス、機械式スイッチ及び/又はタッチパネルを含んで構成されている。入力部45は、例えば、放射器具3から放射する超音波の周波数及び振幅を設定するための操作、並びに超音波の放射の開始及び停止を指示するための操作を受け付ける。出力部47は、例えば、表示装置及び/又はスピーカを含んで構成されている。出力部47は、例えば、現時点で設定されている超音波の周波数及び振幅の情報等を提示する。
以上のとおり、本実施形態では、超音波放射器具3は、素子基板19と、キャビティ部材21とを有している。素子基板19は、厚み方向の一方側に面している第1面19a及び厚み方向の他方側に面している第2面19bを有しているとともに、第1面19aに沿う方向における複数の位置に、超音波を生成する振動を生じる複数の振動素子15を有している。キャビティ部材21は、複数の振動素子15に個別に重なっている複数のキャビティ21cを有している。複数の振動素子15それぞれは、圧電体層27と、第1電極31と、第2電極33と、振動層23とを有している。第1電極31は、圧電体層27に対して第1面19a側に重なっている。第2電極33は、圧電体層27に対して第2面19b側に重なっている。振動層23は、第1電極31に対して第1面19a側に重なっている。振動層23は、圧電体層27の第1面19aに沿う伸長を規制して振動素子15を第2面19b側へ撓ませる強度、及び圧電体層27の第1面19aに沿う収縮を規制して振動素子15を第1面19a側への撓ませる強度の少なくとも一方を有している。キャビティ部材21は、素子基板19に対して第2面19b側に重なっている。
従って、例えば、振動素子15同士の干渉を低減することができる。具体的には、例えば、以下のとおりである。素子基板19においては、圧電体層27の平面方向における伸長及び/又は収縮(伸縮)によって振動素子15の撓み変形が生じる。キャビティ部材21が素子基板19に対して圧電体層27側に接合されていると、キャビティ部材21が素子基板19に対して振動層23側に接合されている態様に比較して、キャビティ部材21によって上記の伸縮に係る干渉を低減しやすい。ひいては、超音波の生成に係る振動に関して、振動素子15同士の干渉を低減することができる。そして、振動素子15同士の干渉を低減することによって、例えば、振動エネルギーの損失を低減することができる。また、例えば、超音波の周波数にずれが生じる蓋然性を低減することができる。
また、本実施形態では、放射器具3は、複数の板状素子11と、支持体13とを有している。複数の板状素子11は、素子基板19と、キャビティ部材21とをそれぞれ有している。支持体13は、複数の第1面19a又は複数の第2面19b(本実施形態では前者)が互いに異なる方向から同一の位置(患部103)に向けられる配置で複数の板状素子11を保持している。
この場合、例えば、超音波を放射する凹面7aは、一体的に形成されるのではなく、複数の板状素子11によって構成される。その結果、例えば、発生部7の製造方法を容易化することができる。例えば、板状素子11が平板状である場合においては、通常の回路基板等を作製する方法と同様の方法によって板状素子11を作製することができる。
また、例えば、各板状素子11が複数の振動素子15を有していることから、板状素子11の設計の自由度が向上する。具体的には、例えば、以下のとおりである。板状素子11全体が振動する態様の場合、板状素子11の面積が大きくなるほど、板状素子11の共振周波数は低くなる。従って、板状素子11の所定の振動モードの共振周波数と超音波の所望の駆動周波数とを近づける観点において、板状素子11の大きさは制限される。一方、本実施形態では、振動素子15の共振周波数を超音波の駆動周波数に近づければよいから、板状素子11の面積を大きくすることができる。
また、本実施形態では、板状素子11は、平板状である。
この場合、例えば、既述のように、通常の回路基板の製造方法を板状素子11の製造方法に適用することができるなど、発生部7の製造方法が容易化される。また、例えば、超音波を比較的広い集束領域へ照射することができる。
図8(a)及び図8(b)は、上記の広い集束領域への超音波の照射の効果を説明するための模式図である。具体的には、図8(a)及び図8(b)は、本実施形態及び他の例における超音波の集束の様子を模式的に示している。
まず、他の例として、図8(b)に示すように、曲面状の放射面151aを有する素子151を考える。放射面151aは、例えば、一枚の板状のレンズ部材によって構成されており、レンズ部材の背後に複数の振動素子15(厳密には振動素子15に相当するもの。ここでは不図示。)が配列されている。そして、レンズ部材は、複数の振動素子15が生じた超音波を焦点P1に集束させる。焦点P1は、理論上は点であり、比較的狭い範囲に超音波が集束される。
一方、図8(a)に示すように、板状素子11から照射された超音波は、理想的には、板状素子11から放射されたそのままの幅(ビームの幅)で集束領域R1へ照射される。そして、複数の板状素子11の超音波が集束される。従って、集束領域R1は、理論上は、板状素子11から放射された超音波の幅と同程度の幅を有する領域となる。そして、この集束領域R1の幅内では、超音波の強度は概ね同等である。患部103の大きさ及び疾患の種類等によっては、このような集束領域R1の形成が効率的及び/又は安全である。
ここで、既に述べたように、本実施形態では、各板状素子11が複数の振動素子15を有していることから、板状素子11の面積は、超音波の周波数(別の観点では振動素子15の共振周波数)とは別個に設定可能である。その結果、例えば、所望の超音波の周波数と所望のビーム幅(板状素子11の面積)との組み合わせを得ることが容易である。
また、本実施形態では、複数の第1面19a及び複数の第2面19bのうち、複数の第1面が放射面11aとして同一の位置(集束領域R1)に向けられている。
この場合、例えば、複数の第2面19bが同一の位置に向けられている態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれてよい。)に比較して、構成を簡素化しやすい。例えば、本実施形態とは逆に、第2面19bを患部103に向ける場合、液体LQがキャビティ21c内に位置することになる。従って、例えば、キャビティ21c内に露出している電極(ここでは第2電極33)を絶縁膜で覆う必要性が高くなる。一方、本実施形態のように、第1面19aを患部103に向ける場合、液体LQは、振動層23に接触するから、絶縁膜によって第2電極33を覆う必要性を低減したり、又はそのような絶縁膜の材料及び厚さに係る自由度を向上させたりすることができる。なお、本実施形態とは逆に、第2面19bを患部103に向ける場合においては、例えば、キャビティ21cによって超音波の指向性を調整することができるという効果が奏される。
また、本実施形態では、圧電体層27、第1電極31及び振動層23それぞれは、複数の振動素子15に亘って隙間無く広がっている。また、複数の第2電極33は、互いに間隔を空けて複数の振動素子15に個別に位置している。
この場合、例えば、圧電体層27、第1電極31及び振動層23の少なくともいずれか一つが振動素子15毎に設けられている態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれてよい)に比較して、振動素子15同士の干渉が生じやすいから、当該干渉の低減に上述した効果が有効である。また、例えば、圧電体層27、第1電極31及び振動層23の構成が簡素であり、また、素子基板19の剛性も確保しやすい。一方で、例えば、複数の第2電極33を個別電極とすることによって、振動素子15同士の干渉を低減して超音波の周波数の精度を向上させることができる。実施形態とは逆に、圧電体層27と振動層23との間に位置する第1電極31を個別電極とし、圧電体層27の振動層23とは反対側(患者101とは反対側)に位置する第2電極33を共通電極とした態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれてよい)に比較して、例えば、第1電極31及び第2電極33を配線部材35に接続するための素子基板19内の導体の配置を簡素化しやすい。さらに、第2面19b(第2電極33側)が患者101とは反対側であることによって、例えば、個別電極毎に配線部材35によって患者101とは反対側へ熱を逃がすことができる。
また、本実施形態では、キャビティ部材21の線膨張率は、圧電体層27の線膨張率よりも大きくされてよい。
この場合、例えば、第1面19a(圧電体層27側)が集束領域R1(患部103)に向けられている態様において、超音波の集束性が低下する蓋然性を低減できる。具体的には、例えば、キャビティ部材21と圧電体層27とを加熱して接合することを考える。例えば、熱硬化性樹脂によって両者を接合することを考える。この場合において、接合後、温度が低下すると、圧電体層27は、全体としてはキャビティ部材21から圧縮力を受けるが、振動素子15においてはキャビティ部材21のキャビティ21c間の部分から引っ張り力を受ける。その結果、振動素子15は第1素子面15a側が凹となるように撓む。ひいては、第1素子面15aから放射される超音波を集束させることができる。
また、本実施形態では、キャビティ部材21の熱伝導率は、キャビティ21c内を満たす物質(例えば空気)の熱伝導率よりも大きくされてよい。
この場合、例えば、キャビティ21c内に位置する第2電極33及び配線部材35の熱をキャビティ21cの外部へ逃がしやすくなる。第2電極33及び配線部材35の熱は、例えば、これらに数mA〜数十mAの電流が流れることによって生じる。第2電極33及び配線部材35から熱を逃がし、これらの温度上昇を低減することによって、例えば、これらの抵抗値が上昇する蓋然性を低減することができる。ひいては、消費電力が増大する蓋然性を低減したり、及び/又は音圧が低下する蓋然性を低減したりすることができる。
また、本実施形態では、キャビティ21c内を満たす物質の熱伝導率は、複数の振動素子15に対して第1面19a側から接する物質(本実施形態では液体LQ)の熱伝導率よりも小さくされてよい。
この場合、例えば、キャビティ21c内の放熱性が相対的に低いということであり、上述したキャビティ部材21による放熱性向上の効果が有効である。
また、本実施形態では、キャビティ部材21と支持体13とが接合されている。
上記のように、本実施形態では、キャビティ部材21の熱伝導率が相対的に高くされていることによって、キャビティ21c内の放熱性が向上し、ひいては、種々の効果が奏される。そして、キャビティ部材21と支持体13とが接合されていることによって、キャビティ部材21を伝わる熱を支持体13へ逃がすことができ、キャビティ21c内の放熱性が更に向上し、ひいては、上述した種々の効果が向上する。
また、本実施形態では、放射器具3は、配線部材35を有している。配線部材35は、第1電極31に接続されている配線導体35a及び第2電極33に接続されている配線導体35aの少なくとも一方を含み、支持体13に接合されている。
この場合、例えば、第1電極31、第2電極33及び/又は配線導体35aにおいて生じる上述した熱を配線部材35から支持体13へ逃がしやすくなる。その結果、例えば、既述のように、第1電極31、第2電極33及び/又は配線導体35aの抵抗値を下げ、消費電力の低減及び音圧の向上を図ることができる。
(変形例)
図9(a)は、複数の第2電極33(別の観点では個別電極)の接続構造に関して変形例を示す模式的な平面図である。図9(b)は図9(a)のIX−IX線における断面図である。
実施形態の説明でも言及したように、第2導体層29に含まれる複数の第2電極33は、第2導体層29が含む複数の層状配線75によって互いに接続されていてよく、図9(a)及び図9(b)は、そのような構造の一例を示している。複数の層状配線75の位置及び複数の第2電極33の接続関係は適宜に設定されてよい。図示の例では、複数の層状配線75は、紙面上下方向に並んでいる複数の第2電極33同士を直列に接続しているとともに、その直列に接続された第2電極33を含む列同士を並列に接続している。そして、これらの互いに接続された複数の第2電極33は、第2導体層29が含むパッド状の端子77に接続されている。
特に図示しないが、キャビティ部材21は、例えば、層状配線75の厚さよりも厚い不図示の接着剤によって圧電体層27に接着されており、層状配線75に対して直接に、又は接着剤を介して間接に層状配線75に重なっている。ただし、キャビティ部材21の圧電体層27側の面に、層状配線75が収容される凹溝が形成されていてもよい。
キャビティ部材21は、例えば、端子77を露出させるように、素子基板19に重ならない空所21d(例えば切欠き又は開口)を有している。空所21d内においては、キャビティ21c内と同様に、端子77と配線部材35の配線導体35aとがバンプ39によって接合されている。ここでは、配線部材35は、図7に例示した態様とは異なり、空所21dの壁面には接合されずに、キャビティ部材21の圧電体層27とは反対側の面に接合されている。ただし、実施形態の説明においても言及したように、配線部材35は、上記の面に加えて、又は代えて、空所21dの壁面に接合されていてもよい。
この変形例からも明らかなように、複数の個別電極(ここでは第2電極33)は、互いに完全に分離されている必要は無い。複数の個別電極は、互いに間隔を空けていればよい。換言すれば、複数の個別電極は、その間に導体層(ここでは第2導体層29)の非配置領域を挟んでいればよい。例えば、図示の例では、紙面上下方向に並ぶ複数の個別電極は、間隔S1を挟んでいる。紙面左右方向に並ぶ複数の個別電極は、間隔S2を挟んでいる。
本開示に係る技術は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
例えば、超音波放射器具及び超音波装置は、治療に用いられるものに限定されない。例えば、患者の断面二次画像を撮像する超音波診断装置に利用されてもよい。また、例えば、医療の分野に限られず、種々の分野において、エネルギーの付与及び/又は距離の測定に利用されてよい。
板状素子は、単体で用いられてよい。換言すれば、複数の板状素子を保持する支持体は設けられなくてもよい。また、板状素子は、平板状でなく、曲面状であってもよい。この場合において、超音波放射器具は、図8(b)のように焦点に超音波を集束させることが意図されているものであってもよい。
複数の板状素子が設けられる場合において、複数の板状素子は、超音波を放射する放射面が同一の位置(集束領域)に向けられるように(別の観点では放射面が互いに異なる方向に面するように)配置されるものに限定されない。例えば、複数の板状素子は、放射面が互いに同一の方向に面するように配置されるものであってもよい。
また、複数の放射面を同一の位置に向ける場合において、複数の板状素子は、凹面を構成するように配置されていなくてもよい。例えば、複数の板状素子は、ブラインドの複数のスラットのように同一平面上に配置され、かつ共通の集束領域を向くように前記平面に対する角度を互いに異ならせて配置されてよい。
実施形態では、支持体は、複数の振動素子を露出させる開口13hを有した。このような開口13hに代えて、複数の振動素子に個別に重なる複数の開口が設けられてもよい。この場合、その複数の開口の周囲において支持体と板状素子とが接着されていてもよい。
実施形態では、板状素子は、支持体の患者とは反対側の面に重ねられたが、逆に、支持体の患者側の面に重ねられてもよいし、そのような重なりを有さなくてもよい。また、板状素子は、支持体に対して、キャビティ部材側及び素子基板側のいずれを向けてもよい。
1…超音波装置、3…超音波放射器具、11…板状素子、19…素子基板、19a…第1面、19b…第2面、15…振動素子、21…キャビティ部材、23…振動層、27…圧電体層材、31…第1電極、33…第2電極。

Claims (10)

  1. 厚み方向の一方側に面する第1面及び前記厚み方向の他方側に面する第2面を有しているとともに、前記第1面に沿う方向における複数の位置に、超音波を生成する振動を生じる複数の振動素子を有している素子基板と、
    前記複数の振動素子に個別に重なっている複数のキャビティを有しているキャビティ部材と、
    を備えており、
    前記複数の振動素子それぞれは、
    圧電体層と、
    前記圧電体層に対して前記第1面側に重なっている第1電極と、
    前記圧電体層に対して前記第2面側に重なっている第2電極と、
    前記第1電極に対して前記第1面側に重なっている振動層と、によって構成されており、
    前記振動層は、前記圧電体層の前記第1面に沿う伸長を規制して前記振動素子を前記第2面側へ撓ませる強度、及び前記圧電体層の前記第1面に沿う収縮を規制して前記振動素子を前記第1面側へ撓ませる強度の少なくとも一方を有しており、
    前記キャビティ部材は、前記素子基板に対して前記第2面側に重なっている
    超音波放射器具。
  2. 前記素子基板と、前記キャビティ部材とをそれぞれ有している複数の板状素子と、
    複数の前記第1面又は複数の前記第2面が互いに異なる方向から同一の位置に向けられる配置で前記複数の板状素子を保持している支持体と、
    を有している請求項1に記載の超音波放射器具。
  3. 前記複数の第1面及び前記複数の第2面のうち前記複数の第1面が前記同一の位置に向けられている
    請求項2に記載の超音波放射器具。
  4. 前記圧電体層、前記第1電極及び前記振動層それぞれが、前記複数の振動素子に亘って隙間無く広がっており、
    複数の前記第2電極が互いに間隔を空けて前記複数の振動素子に個別に位置している
    請求項3に記載の超音波放射器具。
  5. 前記キャビティ部材の線膨張率が前記圧電体層の線膨張率よりも大きい
    請求項3又は4に記載の超音波放射器具。
  6. 前記キャビティ部材の熱伝導率が前記キャビティ内を満たす物質の熱伝導率よりも大きい
    請求項3〜5のいずれか1項に記載の超音波放射器具。
  7. 前記キャビティ内を満たす物質の熱伝導率が前記複数の振動素子に対して前記第1面側から接する物質の熱伝導率よりも小さい
    請求項6に記載の超音波放射器具。
  8. 前記キャビティ部材と前記支持体とが接合されている
    請求項6又は7に記載の超音波放射器具。
  9. 前記第1電極に接続されている配線導体及び前記第2電極に接続されている配線導体の少なくとも一方を含み、前記支持体に接合されている配線部材を更に有している
    請求項2〜8のいずれか1項に記載の超音波放射器具。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の超音波放射器具と、
    超音波の周波数帯内の周波数を有する交流電力を前記板状素子に供給する駆動制御部と、
    を有している超音波装置。
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