以下、図面を参照して本開示に係る実施形態について説明する。以下の図面は、模式的なものである。従って、細部は省略されることがあり、また、寸法比率等は現実のものと必ずしも一致しない。また、複数の図面相互の寸法比率も必ずしも一致しない。
第2実施形態以降の説明においては、基本的に、先に説明された実施形態との相違部分についてのみ述べる。特に言及がない事項については、先に説明された実施形態と同様とされてよい。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る超音波装置1の概略構成を示す模式図である。
超音波装置1は、例えば、HIFU治療に利用されるものである。例えば、超音波装置1は、患者101の患部103(又は結石等の異物。以下、同様。)へ超音波を集束させる。これにより生じる熱等によって、患部103が変性する。超音波装置1は、人体のいずれの部位を治療対象として構成されてもよいし、また、いずれの疾患を治療対象として構成されてもよい。換言すれば、超音波装置1が放射する超音波の周波数及び強度、並びに超音波装置1の各部の寸法等は適宜に設定されてよい。なお、超音波は、一般に、20kHz以上の音波とされている。超音波の周波数について、一般的な上限は特にないが、例えば、5GHzとされてよい。
超音波装置1は、患者101に隣接して配置され、超音波の放射を直接的に担う超音波放射器具3(以下、単に「放射器具3」ということがある。)と、放射器具3への電力供給等を行う装置本体5とを有している。
(超音波放射器具)
放射器具3は、超音波を発生させる発生部7と、発生部7と患者101との間に介在する袋9とを有している。発生部7は、例えば、患者101側に面する凹面7aから超音波を放射する。凹面7aの形状は、例えば、概略、球面(その内面)の一部を切り取った形状である。従って、凹面7aから放射された超音波は、球の中心付近(別の観点では患部103)に集束する。袋9は、少なくとも超音波装置1の使用時において、液体LQが封入されている。液体LQは、例えば、凹面7aと患者101の体表との間における音響インピーダンスの急激な変化を緩和することに寄与している。なお、以下では、凹面7aの説明において、便宜上、地球表面上の仮想線の概念に倣って緯線及び経線の用語を用いることがある。
液体LQは、例えば、水である。また、例えば、液体LQは、水と、適宜な添加剤とを含むものであってもよい。添加剤は、例えば、音響インピーダンスを調整するためのものであってよい。液体LQの音響インピーダンスは、例えば、1×106kg/(m2・s)以上2×106kg/(m2・s)以下、又は1.3×106kg/(m2・s)以上1.7×106kg/(m2・s)以下とされてよい。参考に、種々の物質の音響インピーダンスを例示すると、水:約1.5×106kg/(m2・s)、空気:約0、脂肪:約1.4×106kg/(m2・s)、筋肉:約1.7×106kg/(m2・s)である。
(発生部)
図2は、発生部7の要部構成を説明するための模式図である。図2において、紙面上方が患者101側である。すなわち、図2は、凹面7a側から発生部7を見た斜視図である。
発生部7は、例えば、それぞれ超音波を放射する複数の平板素子11と、複数の平板素子11を保持している支持体13とを有している。支持体13は、例えば、フレーム状(枠状、骨組構造状)であり、複数の平板素子11を患者101側に露出させるように複数の平板素子11の外縁を保持している。なお、発生部7は、この他、例えば、図示されている構成を患者101とは反対側から覆う適宜な形状の筐体等を有していてもよい。
(平板素子の配置)
平板素子11は、概略、平板状に構成されている。別の観点では、平板素子11は、患者101側に面し、超音波を放射する概略平面状の放射面11aを有している。複数の平板素子11は、放射面11aが共通の集束領域(患部103)に面するように互いに並列に互いに傾斜して配置されており、既述の凹面7aを構成している。従って、凹面7aは、曲面によって構成されているのではなく、複数の平面(放射面11a)の組み合わせによって構成されている。このように、放射面11aは平面状であるが、製造誤差等に起因する微小な傾きや凹凸を有していてもよい。
複数の平板素子11の配置パターンは、適宜に設定されてよい。図示の例では、複数の平板素子11は、凹面7aの周方向(凹面7aの外周に沿った方向)に配列されて環状の素子列8(矢印で示す)を構成している。素子列8は、凹面7aの平面視で多重の環状に(例えば同心状に)複数列で設けられてもよいし(図示の例)、1列のみで設けられてもよい。各素子列8内における平板素子11のピッチは一定であってもよいし(図示の例)、一定でなくてもよい。各素子列8内に含まれる平板素子11の数は適宜に設定されてよい。また、この数は、複数の素子列8同士において、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。平板素子11の、凹面7aの周方向における位置(例えば図心の位置)は、全ての素子列8同士において、又は互いに隣り合う素子列8同士において、互いに一致していてもよいし、互いに異なっていてもよいし、素子列8内の一部について一致するとともに他部について異なっていてもよい。
なお、本実施形態の説明において、環状は、所定領域を囲む形状を意味し、円形に限定されず、例えば、多角形であってもよい。また、確認的に記載すると、上記において多重の環状は、2重以上の意味であり、少なくとも2つの環状の形状において、一方の環状の形状が他方の環状の形状を囲んでいることを指す。同心状は、内側の環の中心(又は図心)と外側の環の中心とが概ね一致していることを指す。
図示の例では、3列の素子列8が設けられている。各素子列8が含んでいる平板素子11の数は、凹面7aの内側の素子列8から順に、19、24及び29となっている。19及び29は、奇数であり、また、素数である。従って、複数の平板素子11によって構成されている1以上の素子列8は、平板素子11の数が奇数(ただし複数)及び/又は素数(ただし2を除く)の列を含んでいるということができる。また、図示の例では、平板素子11の数が素子列8同士で異なることからも明らかなように、平板素子11の、凹面7aの周方向における位置は、少なくとも一部の平板素子11について、素子列8同士で互いに異なっている。
図示の例では、凹面7aの最も奥の領域(後述する中央部65)は平板素子11の非配置領域とされている。このような領域には、適宜な電子部品等が配置されてもよい。例えば、患部103の位置を検出するための超音波センサ、患部103の位置を示すために患者101の体表に付されたマーカの位置を検出する視覚センサ、及び/又は複数の平板素子11から放射した超音波の反射波を受信する受信部が設けられてよい。また、凹面7aの最も奥の領域は、開口を有していても良い。
(平板素子の平面形状)
図3は、平板素子11の平面図である。
平板素子11の平面形状及び当該平面形状の寸法は適宜に設定されてよい。例えば、複数の平板素子11は、互いに同一の形状及び大きさとされてもよいし、形状及び/又は大きさが互いに異なる2種以上の平板素子11を含んでいてもよい。また、平板素子11の平面形状は、隣り合う平板素子11同士の間の隙間が比較的小さくなる形状(球面を分割したような形状)であってもよいし(図2及び図3の例)、そのような形状でなくてもよい。後者としては、例えば、円形を挙げることができる。
図2及び図3の例では、平板素子11の平面形状は、平板素子11同士の隙間が比較的小さくなる形状の一例である台形状とされている。なお、台形以外の多角形によっても、平板素子11同士の隙間を小さくするように凹面7aを構成できることは、例えば、正多面体(プラトンの立体)、半正多面体(アルキメデスの立体)及びプラトンの立体、並びに種々の技術分野において実現されているドーム形状から明らかである。
より詳細には、平板素子11の台形は、図3に符号を付すように、例えば、凹面7aの内側に上底11dを有し、凹面7aの外側に下底11eを有し、互いに等しい長さの1対の脚11fを有している等脚台形である。上底11dの長さ及び下底11eの長さ、並びに台形の高さh(上底11dと下底11eとの距離)は適宜に設定されてよく、いずれの長さが他の長さに対して長くてもよい。図示の例では、台形の高さは上底11dの長さ及び下底11eの長さそれぞれよりも大きい。その相違の程度は適宜に設定されてよく、例えば、台形の高さは、下底11eの長さの1.1倍以上とされてよい。また、例えば、台形は、複数の平板素子11同士において合同(形状及び寸法が同じ)である。
なお、平板素子11の台形は、上位概念化して捉えることができる。例えば、平板素子11は、第1縁部(上底11d)、第2縁部(下底11e)及び1対の第3縁部(1対の脚11f)を有している。第1縁部は、平板素子11の外縁のうち凹面7aの内側の部分を構成している。第2縁部は、平板素子11の外縁のうち凹面7aの外側の部分を構成して第1縁部に対向しており、第1縁部よりも長い。1対の第3縁部は、第1縁部の両端と第2縁部の両端とをつないでいる。このように上位概念化した場合において、例えば、第1縁部(上底11d)及び第2縁部(下底11e)は、直線に限られず、例えば、凹面7aの中心側に中心を有する円弧であってもよい。
既述のように、複数の平板素子11は、凹面7aの周方向に配列されて環状の素子列8を構成している。各素子列8において、隣り合う平板素子11同士で台形の脚11f同士が隣り合っている。隣り合う脚11f同士は、互いに平行であってもよいし、互いに平行でなくてもよい。後者の場合、凹面7aの内側及び外側のいずれにおいて脚11f同士の間隔が相対的に広くなっていてもよい。また、隣り合う素子列8同士においては、一方の素子列8の平板素子11の台形の上底11dと他方の素子列8の平板素子11の台形の下底11eとが隣り合っている。
図示の例のように、隣り合う平板素子11の間の隙間を小さくする場合、平板素子11の平面形状と、複数の平板素子11の配置パターンとは、互いに関わっている。従って、台形以外の形状で平板素子11同士の隙間を小さくする場合、本実施形態の平板素子11の配置以外の配置とされてもよいことは明らかである。逆に、本実施形態と同様の平板素子11の配置において、等脚台形以外の形状で平板素子11の間の隙間を小さくすることもできる。そのような形状としては、例えば、三角形及び等脚でない台形を挙げることができる。三角形の場合は、複数の三角形は、素子列8内で交互に向きが変えられつつ凹面7aの周方向に配列されてよい。
(平板素子の構造)
図3に示すように、1つの平板素子11は、複数の圧電素子15(振動素子)を有している。圧電素子15は、超音波を発生させる振動を生じる部分である。圧電素子15の数、位置、平面形状及び大きさ等は適宜に設定されてよい。
図示の例では、複数の圧電素子15は、平板素子11の平面方向(平面に沿う方向。以下、同様。)に沿って概ね一様な密度で分布して配置されている。より詳細には、複数の圧電素子15は、一定のピッチで縦横に配列されている。ただし、複数の圧電素子15は、互いに隣り合う列同士で半ピッチずれていてもよいし、複数の同心円に沿って配列されていてもよいし、放射状に配列されていてもよいし、一様でない密度で配置されていてもよい。複数の圧電素子15の配列方向と、平板素子11の外縁の各部が延びる方向との相対関係も適宜に設定されてよい。
複数の圧電素子15の配置領域(例えば複数の圧電素子15が収まる最小の凸多角形)の面積は、例えば、平板素子11の面積(又は患者101側から見て支持体13から露出している面積)の1/5以上、1/2以上又は2/3以上又は4/5以上とされてよい。4/5以上は、複数の圧電素子15が平板素子11の全面に配置された状態と捉えられてよい。複数の圧電素子15が平板素子11の全面に亘って配置されていない場合において、複数の圧電素子15の配置領域は、平板素子11内の中央側又は外縁側等の適宜な範囲に位置してよい。配置領域の形状も任意である。
また、図示の例では、圧電素子15の平面形状は、円形とされている。別の観点では、当該平面形状は、線対称又は回転対称の形状である。ただし、当該平面形状は、楕円又は多角形等の他の形状とされてよく、また、非対称の形状であってもよい。圧電素子15の平面形状が円形でない場合において、当該平面形状と平板素子11の平面形状との相対的な向きも適宜に設定されてよい。
(平板素子の積層構造)
図4は、図3のIV-IV線における断面図である。この図において、紙面下方は患者101側である。この図では、1枚の平板素子11に加えて、支持体13の一部も図示されている。この図では、図示の都合上、一部又は全部の層の厚さは誇張されている。
平板素子11は、圧電素子15を有している素子基板19と、素子基板19に対して患者101側に重ねられているキャビティ部材21とを有している。素子基板19は、圧電素子15となっている領域が撓み変形することによって振動する。この振動が素子基板19の患者101側に位置する流体に伝えられて超音波が生成される。キャビティ部材21は、素子基板19のうち複数の圧電素子15に個別に重なる複数のキャビティ21c(開口、孔)を有している。このキャビティ21cは、例えば、超音波の指向性の程度を上げることに寄与する。
複数のキャビティ21c及び後述する第2電極33(個別電極)が設けられていることなどにより、平板素子11の主面(板の最も広い面。表裏)は、凹凸を有しており、平面ではない。このことから理解されるように、平板素子11が平板状であるという場合、厳密に平板である必要は無い。例えば、平板素子11は、主要な構成要素として厚さが一定で平面を成す層(例えば後述する23、25及び27)を有することをもって平板状と捉えられてよい。また、例えば、平板素子11は、両主面のそれぞれにおいて、複数の凸部の頂部(又は凹部の最深部)が同一平面に収まるときに平板状と捉えられてよい。また、例えば、平板素子11は、平板素子11の面積から求めた円相当径に対して各主面の凹凸の算術平均粗さが5%以下、2%以下又は1%以下のときに平板状と捉えられてよい。なお、図4では、平板素子11の主面の凹凸は誇張されている。
(素子基板)
素子基板19は、例えば、患者101側(キャビティ部材21側)から順に、振動層23、第1導体層25、圧電体層27及び第2導体層29を含んでいる。第1導体層25は、例えば、第1電極31を含んでいる。第2導体層29は、例えば、複数の第2電極33を含んでいる。第1電極31及び第2電極33は、圧電体層27を挟んでいる。これらの1対の電極に交流電圧が印加されることによって、素子基板19の圧電素子15となっている領域は撓み変形を伴う振動を生じる。なお、素子基板19は、図示の層の他、例えば、第2導体層29を覆う絶縁層等の適宜な層を含んでいてよい。本開示の説明において、「層」は、「板」を含む概念である。
素子基板19において、圧電素子15と捉えられる領域は、適宜に定義されてよい。本実施形態の説明では、便宜的に、素子基板19のうちキャビティ21cと重なっている領域(より厳密にはキャビティ21cの素子基板19側の開口面と重なっている領域)を圧電素子15として定義する。なお、この他、第2電極33(個別電極)と重なる領域を圧電素子15として定義することも可能である。
各圧電素子15は、キャビティ21c側(患者101側)に面している第1面15aと、キャビティ21cとは反対側に面している第2面15bとを有している。第1面15aは、例えば、振動層23のキャビティ部材21側の面によって構成されている。第2面15bは、例えば、第2導体層29のキャビティ部材21とは反対側の面、及び圧電体層27のキャビティ部材21とは反対側の面のうち第2導体層29から露出している領域によって構成されている。なお、例えば、図示の例とは異なり、第2導体層29を覆う絶縁層が設けられている場合は、当該絶縁層によって第2面15bが構成されてよい。第1面15aは、圧電素子15の振動によって、患者101側へ向かう超音波が生じる面であり、圧電素子15における超音波の放射面である。また、第1面15aは、平面状であり、平板素子11の放射面11aの一部を構成している。すなわち、複数の圧電素子15(振動素子)の平面状の放射面によって、平板素子11の平面状の放射面11aが構成されている。なお、第1面15aは、製造誤差等に起因する微小な傾きや凹凸を有していてもよい。
(振動層)
振動層23は、例えば、素子基板19の概ね全体に広がっている。換言すれば、振動層23は、複数の圧電素子15に亘る広さのベタ状に形成されている。振動層23の厚さは概ね一定である。振動層23は、例えば、後述するように、圧電体層27の平面方向の変形を規制して、面外振動を生じさせることに寄与する。振動層23は、その広さ全体に亘って一体的に形成されていてもよいし、分割して形成されていてもよい。振動層23は、キャビティ部材21と重なっている。振動層23は、キャビティ部材21のうちのキャビティ21cの周囲部分によって支持されていると捉えられてもよい。
振動層23は、例えば、絶縁材料又は半導体材料によって形成されている。振動層23の材料は、無機材料でも有機材料でもよい。より具体的には、例えば、振動層23の材料は、圧電体層27の材料(後述)と同一又は異なる圧電体とされてよい。また、例えば、振動層23の材料は、シリコン(Si)、二酸化ケイ素(SiO2)、窒化シリコン(SiN)又はサファイア(Al2O3)とされてもよい。振動層23は、互いに異なる材料からなる複数の層が積層されて構成されていてもよい。例えば、振動層23は、シリコン層と、その上面及び/又は下面に重なるSiO2層とによって構成されていてもよい。
(第1導体層及び第1電極)
第1導体層25は、図示の例では、第1電極31のみを含んでいる。第1電極31は、複数の圧電素子15に亘る広さを有する共通電極とされている。共通電極は、例えば、素子基板19の概ね全体に亘るベタ状に形成されており、その厚さは略一定である。第1電極31は、例えば、圧電体層27を貫通する不図示の貫通導体を介して、平板素子11の袋9とは反対側に配置された不図示の配線(例えばケーブル)と電気的に接続されている。
第1導体層25の材料は、例えば、適宜な金属とされてよい。例えば、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)若しくはクロム(Cr)又はこれらを含む合金が用いられてよい。第1導体層25は、互いに異なる材料からなる複数の層が積層されて構成されていてもよい。また、第1導体層25の材料は、前記のような金属を含む導電ペーストを焼成して得られるものであってもよい。すなわち、第1導体層25の材料は、ガラス粉末及び/又はセラミック粉末等の添加剤(別の観点では無機絶縁物)を含むものであってもよい。
(圧電体層)
圧電体層27は、例えば、素子基板19の概ね全体に広がっている。換言すれば、圧電体層27は、複数の圧電素子15に亘る広さのベタ状に形成されている。圧電体層27の厚さは概ね一定である。
圧電体層27の材料は、単結晶であってもよいし、多結晶であってもよいし、無機材料であってもよいし、有機材料であってもよいし、強誘電体であってもなくてもよいし、焦電体であってもなくてもよい。無機材料としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛系材料及び非鉛系無機圧電材料が挙げられる。非鉛系無機圧電材料としては、例えば、ペロブスカイト型化合物材料が挙げられる。有機材料としては、例えば、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)が挙げられる。
また、圧電体層27の材料は、例えば、圧電磁器板(別の観点では焼結体)とされてもよいし、圧電薄膜とされてもよい。圧電磁器板は、圧電性を有する複数の結晶粒子(及び結晶粒界)により構成される板状の無機多結晶体であり、圧電セラミックス板ともいう。圧電磁器板を構成する結晶粒子は、通常アスペクト比が小さく、等方的に分布している。圧電薄膜とは、圧電性を有する薄膜状の無機単結晶体、無機多結晶体、または有機材料(ポリマー)である。多結晶体の圧電薄膜は、通常、厚さ方向にのびる柱状晶により構成されている。圧電薄膜は通常、高い配向性を有しており、それにより高い圧電特性を有する。
圧電体層27は、例えば、少なくとも圧電素子15を構成している領域において、分極軸(単結晶では電気軸又はX軸ともいう。)が、圧電体層27の厚み方向(第1電極31と第2電極33との対向方向)に概ね平行になっている。なお、圧電体層27のうち、圧電素子15を構成している領域以外の領域は、分極されていてもよいし、分極されていなくてもよい。また、分極されている場合において、圧電素子15を構成している領域と同様の方向に分極されていてもよいし、異なる方向に分極されていてもよい。
(第2導体層及び第2電極)
第2導体層29は、例えば、既述の複数の第2電極33の他、複数の第2電極33に接続されている不図示の配線を有していてよい。複数の第2電極33は、例えば、第2導体層29が含む不図示の配線を介して、平板素子11の袋9とは反対側に配置された不図示の他の配線(例えばケーブル)と電気的に接続されている。
複数の第2電極33は、例えば、圧電素子15毎に設けられた個別電極とされている。ここでいう個別電極は、複数の電極が互いに分離した形状とされていることを意味し、互いに別個の電位を付与可能にされている必要は無い。例えば、2以上の第2電極33(例えば1つの平板素子11内の全ての第2電極33)は互いに接続されていてよい。接続は、例えば、第2導体層29が有する不図示の配線によってなされていてもよいし、他の手段(例えばボンディングワイヤ)によってなされていてもよい。なお、複数の第2電極33は、個別に、又は2以上の第2電極33を含むグループ毎に互いに異なる電位が付与可能とされていてもよい。
第2電極33の平面形状及び大きさは、適宜な形状とされてよい。例えば、第2電極33の平面形状は、圧電素子15の平面形状(キャビティ21cの開口形状)と相似形又は類似する形状であってもよいし、異なる形状であってもよいし、円形若しくは楕円形であってもよいし、多角形であってもよい。また、例えば、平面視において、第2電極33の外縁は、キャビティ21cの開口縁部に対して、その全体が内側に位置していてもよいし、その全体が概ね一致していてもよいし、その全体が外側に位置していてもよいし、一部のみが一致又は内側に位置していてもよい。本実施形態では、第2電極33は、円形のキャビティ21cの開口縁部よりも内側に位置する円形である。
第2導体層29の材料は、第1導体層25の材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、いずれの場合についても、既述の第1導体層25の材料の説明は、第2導体層29の材料の説明に援用されてよい。
(圧電素子の動作)
第1電極31及び第2電極33によって、これらに挟まれている圧電体層27に分極の向きと同じ向きで電界が印加されると、圧電体層27は、平面方向において収縮する。この収縮は、振動層23によって規制されるから、圧電素子15は、バイメタルのようにキャビティ21c側へ撓む(変位する)。逆に、分極の向きと逆の向きで電界が印加されると、圧電素子15は、キャビティ21cとは反対側へ撓む。
上記のような圧電素子15の変位によって、圧電素子15の周囲の媒質(例えば流体)においては圧力波が形成される。そして、所定の波形で電圧が変化する電気信号(駆動信号)が第1電極31及び第2電極33に入力されることによって、その電気信号の波形(別の観点では周波数及び振幅)を反映した超音波が生成される。
上記の撓み変形の振動は、換言すれば、圧電素子15において、平面視の中央が振動の腹となり、外縁(例えばキャビティ21cの縁部付近)が振動の節となる1次モードの面外振動(屈曲振動)である。この振動に関して、圧電素子15は、例えば、共振周波数が超音波の周波数帯に位置するように構成されている。共振周波数の設定は、例えば、圧電素子15を構成する層の材料の選択(別の観点ではヤング率及び密度の選択)、並びに圧電素子15の径及び各層の厚さの設定(別の観点では質量及び曲げ剛性の設定)等によってなされる。圧電素子15の周囲の流体の影響、及び圧電素子15を支持する部分(例えばキャビティ部材21)の剛性等の影響が考慮されてもよい。
電気信号は、例えば、圧電素子15をキャビティ21c側へ変位させる電圧印加と、圧電素子15をキャビティ21cとは反対側へ変位させる電圧印加とが繰り返されるものであってよい。すなわち、電気信号は、極性(正負)が反転する(電圧(電界)の向きが圧電体層27の分極軸の方向において交互に入れ替わる)ものであってよい。また、例えば、電気信号は、圧電素子15をキャビティ21c側へ変位させる電圧印加のみ、又は圧電素子15をキャビティ21cとは反対側へ変位させる電圧印加のみが繰り返されるものであってもよい。この場合、撓みと、復元力による撓みの解消との繰り返しによって、超音波が生成される。
(キャビティ部材)
キャビティ部材21は、例えば、キャビティ21cを無視して考えたときに、複数の圧電素子15に亘る広さを有する、厚さが一定の部材である。キャビティ部材21の材料は任意であり、例えば、絶縁材料であってもよいし、半導体材料であってもよいし、導電材料であってもよいし、無機材料であってもよいし、有機材料であってもよいし、圧電体であってもよいし、素子基板19内のいずれかの層の材料と同一であってもよい。具体的には、キャビティ部材21の材料としては、金属、樹脂、セラミックを挙げることができる。また、キャビティ部材21は、複数の材料又は複数の層から構成されていてもよい。例えば、キャビティ部材21は、素子基板19に重なる金属層(金属板含む)に絶縁層が成膜されて構成されていてもよいし、ガラス繊維にエポキシ樹脂を含浸させたガラスエポキシ樹脂によって構成されていてもよい。
キャビティ21cの形状は適宜に設定されてよい。例えば、キャビティ21cの形状は、横断面(素子基板19に平行な断面)の形状がキャビティ21cの貫通方向の位置によらずに一定の形状であってもよいし(図示の例)、素子基板19側ほど拡径する、又は縮径するテーパ面を有する形状であってもよい。本実施形態の説明では、素子基板19のうちキャビティ21cと重なる領域を圧電素子15としているから、既述の圧電素子15の平面形状についての説明は、キャビティ21cの横断面の形状の説明に援用されてよい。
キャビティ21cの深さ(貫通方向の長さ。別の観点ではキャビティ部材21の厚さ)は、適宜に設定されてよい。例えば、キャビティ21cの深さは、キャビティ21cの径(円形でない場合は例えば円相当径)に対して、1/20以上、1/10以上、1/2以上又は1倍以上とされてよく、10倍以下、5倍以下、1倍以下、1/2以下又は1/10以下とされてよく、前記の下限と上限とは、矛盾しない限り、適宜に組み合わされてよい。
(支持体)
図2に戻って、支持体13は、例えば、複数の平板素子11の外縁を保持する形状とされている。より詳細には、支持体13は、例えば、隣り合う平板素子11の隙間(別の観点では境界)の形状と同様の形状を有している。そして、図4に示すように、平板素子11は、その外縁側部分が支持体13の内面13a(患部103側の面)又は外面13b(患部103とは反対側の面)に対して重ねられて固定される。
平板素子11は、支持体13の内面13a及び外面13bのいずれに配置されてもよい。ただし、本実施形態の説明では、基本的に(図4以外の図面においても)、平板素子11が外面13bに配置される態様を例に取る。この場合、平板素子11の縁部を保持している支持体13は、別の観点では、平板素子11毎に、複数の圧電素子15を患部103側に露出させる開口13hを有していると捉えることができる。開口13hの形状及び面積は適宜に設定されてよい。例えば、開口13hの面積は、平板素子11の面積の6割以上又は8割以上である。
支持体13は、例えば、凹面7aの平面視において概略同心状に構成された3つの部位によって構成されている。1つは、格子状に構成され、かつ全体として環状の領域(複数の平板素子11の配置領域)に亘っている格子部61である。他の1つは、格子部61の外側につながっている環状の縁部63である。残りの1つは、格子部61の内側につながっている中央部65である。複数の平板素子11は、これらの部位によって外縁が保持されている。
格子部61は、互いに隣り合う平板素子11の間(境界)に位置して互いに隣り合う縁部を保持する部位である。従って、その形状は、概略、複数の平板素子11同士の境界の形状と同様である。縁部63は、複数の平板素子11の外縁のうち、複数の平板素子11全体の外縁となる縁部(最外周の素子列8の平板素子11の下底11e)を保持する部位である。従って、縁部63の形状は、少なくとも環状の内縁を有している形状である。中央部65は、複数の平板素子11の外縁のうち、複数の平板素子11全体の内縁となる縁部(最内周の素子列8の平板素子11の上底11d)を保持する部位である。従って、中央部65の形状は、少なくとも環状の外縁を有している形状である。具体的には、以下のとおりである。
格子部61は、例えば、凹面7aの周方向に配列されている複数の仕切部67と、凹面7aの周方向に延びる1以上(図示の例では2つ)の環状部69とを有している。環状部69は、複数の仕切部67に交差する第2の仕切部となっている。仕切部67は、各素子列8内において互いに隣り合う平板素子11の互いに隣り合う縁部(脚11f)を保持する。環状部69は、互いに隣り合う素子列8の互いに隣り合う上底11d及び下底11eを保持する。
最内周の素子列8に対応する仕切部67は、中央部65の外縁と最内周の環状部69とに掛け渡されている。最外周の素子列8に対応する仕切部67は、最外周の環状部69と縁部63の内縁とに掛け渡されている。それ以外の素子列8(図示の例では中央の1列)に対応する仕切部67は、互いに隣り合う環状部69に掛け渡されている。なお、既述のように、素子列8は、1列のみであってもよい。この場合、仕切部67は、中央部65と縁部63とに掛け渡される。すなわち、環状部69は不要である。
仕切部67及び環状部69の数、位置、概略の平面形状及び凹面7aに沿う方向における概略寸法は、複数の平板素子11の数、位置、平面形状及び凹面7aに沿う方向における寸法の説明から類推されてよい。従って、ここでは、これらの説明は適宜に省略することがある。
各素子列8に対応する複数の仕切部67の形状及び/又は寸法(凹面7aに沿う方向及び/又は凹面7aに交差する方向)は、互いに同一であってもよいし(図示の例)、互いに異なっていてもよい。また、素子列8同士において、複数の仕切部67の形状及び/又は寸法(凹面7aに沿う方向及び/又は凹面7aに交差する方向)は、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい(図示の例)。複数の環状部69の形状及び/又は寸法(凹面7aに沿う方向及び/又は凹面7aに交差する方向)は、互いに同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい(径は当然に互いに異なる)。
仕切部67の形状は、例えば、凹面7aの平面視において凹面7aの径方向(凹面7aの中央から外周へ向かう方向であり、経線に沿う方向)に直線状に延びる棒状である。別の観点では、仕切部67は、凹面7aの内側から外側への方向における長さが、幅(凹面7aの周方向における長さ)及び厚さ(凹面7aに直交する方向の長さ)に比較して長い形状とされている。ただし、仕切部67は、幅が径方向の長さよりも大きくされていてもよいし、凹面7aの背後への長さが幅よりも十分に長い板状とされていたりしてもよい。仕切部67の横断面(棒の長さ方向に直交する断面。凹面7aの経線に概略直交する断面)の形状は、適宜な形状とされてよく、例えば、概略、矩形状である。
環状部69の形状は、例えば、概略、円周状に延びる長尺状(湾曲した棒状)である。別の観点では、環状部69は、凹面7aの周方向に沿う長さが幅(凹面7aの平面視において凹面7aの径方向における長さ)及び厚さ(凹面7aに直交する方向の長さ)に比較して長い形状とされている。ただし、環状部69は、凹面7aの背後への長さが幅よりも十分に長い板状とされていてもよい。また、凹面7aの平面視において、環状部69の内縁及び/又は外縁は、円形状であってもよいし(湾曲していてもよいし)、平板素子11の上底11d又は下底11eに平行な辺を有する多角形状であってもよい。環状部69の横断面(長さ方向に直交する断面。凹面7aの緯線に概略直交する断面)の形状は、適宜な形状とされてよく、例えば、概略、矩形状である。
縁部63の形状及び寸法は、最外周の平板素子11の下底11e(外周側の縁部)を保持できる限り、適宜に設定されてよい。図示の例では、縁部63は、環状の平板状とされている。その内縁及び外縁は、概略、円形である。縁部63の内縁は、円形状であってもよいし(湾曲していてもよいし)、最外周の平板素子11の下底11eに平行な辺を有する多角形状であってもよい。縁部63の図示の例以外の形状としては、例えば、環状部69と同様又は類似した形状(湾曲した棒状)、並びに平板でない板状を挙げることができる。平板でない板状は、例えば、湾曲・屈曲している部位及び/又は互いに異なる板厚の部位を有している。
中央部65の形状及び寸法は、最内周の平板素子11の上底11d(内周側の縁部)を保持できる限り、適宜に設定されてよい。図示の例では、縁部63は、概略円形の平板状とされている。その外縁は、円形状であってもよいし(湾曲していてもよいし)、最内周の平板素子11の上底11dに平行な辺を有する多角形状であってもよい。中央部65の図示の例以外の形状としては、例えば、環状部69と同様又は類似した形状(湾曲した棒状)、並びに平板でない板状を挙げることができる。平板でない板状については上記のとおりである。
なお、平板素子11を凹面7aの中央側の領域まで配置する態様においては、中央部65は不要であり、格子部61が凹面7aの中心まで広がっていてよい。また、既述のように、凹面7aの中央側の領域には各種の電子部品等が設けられてよい。中央部65は、その電子部品等の機能を考慮した形状とされてもよい。例えば、超音波センサ又は超音波受信部が設けられる場合においては、中央部65は、超音波を通過させる開口を有していてもよい。
支持体13の材料は適宜なものとされてよい。例えば、支持体13の材料は、金属、セラミック若しくは樹脂又はこれらの組み合わせとされてよい。
(支持体の形状の細部)
図5は、支持体13の外面13b(患部103とは反対側の面)の一例の一部を示す斜視図である。この図では、支持体13は、平板素子11の取り付け前の状態とされている。なお、この図では、図示を容易にするために、仕切部67の幅の変化を描いていない。
支持体13の平板素子11が配置される面(ここでは外面13b)には、平板素子11が概略嵌合される凹部13rが形成されていてもよい。換言すれば、支持体13には、平板素子11を位置決めする位置決め部が設けられてよい。この場合、平板素子11の支持体13に対する位置決め精度を向上させ、ひいては、超音波の集束の精度を向上させることができる。
凹部13rの深さは、平板素子11の厚さよりも小さくてもよいし、同等でもよいし、大きくてもよい。凹部13rの内周面と平板素子11の外周面(側面)との遊びは適宜に設定されてよい。位置決め部として、凹部13rに代えて、平板素子11の配置領域の周囲に位置する凸部が設けられてもよい。また、支持体13は、このような位置決め部を有していなくてもよい。
仕切部67及び環状部69の横断面の形状は、図5の例では、凹部13rが設けられていることから、概略矩形において外面13b側に凸部が形成された形状である。ただし、図5以外の図面及びその説明においては、凹部13r(及びその周囲の凸部)の存在は基本的に無視するものとする。
図6は、図2の領域VIを拡大して示す平面図又は展開図である。ここでは、便宜上、複数の素子列8を凹面7aの内側(紙面下方、中央部65側)から順に、素子列8A、8B及び8Cと呼称するものとする。
図6の例では、少なくとも1つの素子列8において、仕切部67は、幅(凹面7aの周方向の長さであり、紙面左右方向における長さ)が凹面7aの内側から外側への方向(凹面7aの径方向であり、紙面上下方向。便宜上、長さ方向ということがある。)における位置によって異なっている。より詳細には、例えば、素子列8B及び8Cにおける仕切部67の幅は、凹面7aの外側ほど幅が狭くなっている。その変化率は一定である。換言すれば、素子列8B及び8Cにおける仕切部67は、凹面7aの内側が下底側となる等脚台形状とされている。台形の脚の傾きの程度は適宜に設定されてよい。なお、仕切部67の幅が、仕切部67の厚さ方向(紙面に垂直な方向)に変化している場合には、幅が最も大きい部分の寸法を幅とみなしてよい。
図示の例では、素子列8Aにおける仕切部67は、その幅が長さ方向において一定となっている。ただし、素子列8Aにおいても、仕切部67の幅は、長さ方向の位置によって異なっていてもよい。
幅が長さ方向の位置によって異なり、かつ図示の例とは異なる仕切部67の形状としては、例えば、図示の例とは逆に、凹面7aの外側ほど幅が広くなる形状(例えば台形状)を挙げることができる。また、例えば、幅の変化が連続的でない形状を挙げることができる。換言すれば、仕切部67の側面(図6で台形の脚となっている部分)が階段状になっているものなど、側面に段差が形成されている形状を挙げることができる。また、例えば、側面が曲面状になっている形状を挙げることができる
また、図6の例では、複数の素子列8同士で、複数の仕切部67の形状及び寸法の少なくとも一方が互いに異なっている。より詳細には、図示の例では、各仕切部67において、凹面7aの内側(径方向の中央側端部)における幅をw1とし、凹面7aの外側(径方向の外周側端部)における幅をw2としたとき、凹面7aの外側に位置する仕切部67(径方向の外周側に位置する素子列8における仕切部67)ほど、w1-w2が大きくなっている。
図示の例では、最内周の仕切部67において、概ねw1=w2であり、ひいては、全ての仕切部67において、w1-w2≧0である。ただし、内周側の少なくとも1つの素子列8において、又は全ての素子列8において、w1-w2<0である態様で、外側の仕切部67ほどw1-w2が大きくなるという関係が満たされても構わない。また、外側の仕切部67ほどw1-w2が大きくなるという関係が満たされるとき、少なくとも最外周の素子列8においてはw1-w2≧0となるようにw1及びw2が設定されてもよい。図示の例では、複数の素子列8同士で、仕切部67の幅w2(別の観点では最小の幅)が概ね同等とされている。ただし、素子列8同士で幅w2は互いに異なっていても構わない。
(平板素子と支持体との固定構造)
図4に戻る。平板素子11の支持体13に対する固定方法は適宜なものとされてよい。図示の例では、平板素子11と支持体13とは、両者の間に介在している接合材17によって接合されている。接合材17は、有機材料であってもよいし、無機材料であってもよく、また、絶縁材料であってもよいし、導電材料であってもよい。例えば、接合材17は、樹脂又は金属とされてよい。
また、例えば、接合材17は、硬化後に弾性体となるもの(例えば弾性接着剤)とされてもよい。具体的には、例えば、接合材17は、シリコーン系又はウレタン系のものとされてよい。これらは、1液性のものであってもよいし、2液性のものであってもよい。また、例えば、弾性体としての接合材17は、硬化後の引張試験において引き裂かれた時の伸び率が35%以上となるものとされてよい。
平板素子11(その側面)同士は、互いに離れていてもよいし(図5に示した例)、互いに当接していてもよい。また、平板素子11同士は直接に固定されていてもよいし(例えば両者に密着する接合材17が設けられてもよいし)、直接に固定されていなくてもよい。
平板素子11と支持体13との固定、及び/又は平板素子11同士の直接的な固定には、接合材17による方法に代えて、又は加えて、他の方法が利用されてもよい。他の方法としては、例えば、係合(係止)、かしめ、圧入、螺合、溶接及び溶着が挙げられる。
(寸法等の一例)
既に述べたように、放射器具3において、超音波の周波数及び放射器具3の各部の寸法等は適宜に設定されてよい。以下に、一例を挙げる。放射器具3が生じる超音波の周波数は0.5MHz以上2MHz以下とされてよい。発生部7の直径(凹面7aの外縁を含む平面における直径)は、50mm以上200mm以下とされてよい。平板素子11の円相当径又は台形の1辺の長さは、5mm以上20mm以下とされてよい。圧電素子15の円相当径は、0.2mm以上2mm以下とされてよい。素子基板19の厚さは、50μm以上200μm以下とされてよい。振動層23の厚さ及び圧電体層27の厚さのそれぞれの厚さは、前記の素子基板19の厚さと矛盾しない範囲で、20μm以上100μm以下とされてよい。第1導体層25(第1電極31)及び第2導体層29(第2電極33)それぞれの厚さは、0.05μm以上5μm以下とされてよい。支持体13の厚さは、素子基板19の厚さ以上とされてよい。
(袋)
図1に戻って、袋9の形状、大きさ及び材料は適宜に設定されてよい。例えば、袋9の形状は、球形等の全体として外側に膨らむ形状とされてよい。また、例えば、放射器具3が人体の特定の部位を対象としたものである場合においては、当該特定の部位の凹部及び/又は凸部に合わせて凸部及び/又は凹部を有する形状であってもよい。
袋9の材料は、少なくとも、液体LQを通さない性質(いわゆる遮水性)及び可撓性を有している。また、袋9の材料は、弾性体であってもよい。例えば、袋9の材料として、熱硬化性エラストマー(いわゆるゴム)、熱可塑性エラストマー(狭義のエラストマー)及びこれらのエラストマーを含まない樹脂(狭義の樹脂。ただし、可撓性を有するもの)が用いられてよい。熱硬化性エラストマーとしては、加硫ゴム(狭義のゴム)及び熱硬化性樹脂系エラストマーを挙げることができる。
袋9は、既述のように、少なくとも、超音波装置1の使用時において液体LQが封入されている。袋9(放射器具3)は、例えば、流通段階で液体LQが封入されているものであってもよいし、使用時に液体LQが封入されるものであってもよい。また、袋9(放射器具3)は、例えば、液体LQを袋9内に供給(及び/又は排出)するための開閉可能なポートを有さないものであってもよいし、有しているものであってもよい。ポートの開閉構造には、公知の種々のものが利用されてよい。
袋9は、発生部7側に開口9aを有している。そして、発生部7のうち、凹面7aを含む一部は、開口9aを介して袋9内の液体LQに接している。一方、発生部7の凹面7aとは反対側の面を含む一部は、袋9の液体LQに接しておらず、放射器具3の周囲の気体(例えば空気)に接している。
開口9aの縁部と、発生部7との間からの液体LQの漏れを低減するための構造は公知の種々の封止構造とされてよい。例えば、袋9及び発生部7は、接着剤によって接着されたり、袋9及び発生部7の少なくとも一方の溶融によって溶接・溶着されたりするなど、密に接合されていてもよい。また、例えば、袋9が弾性体からなる場合は、発生部7の外周面に袋9の開口9a付近の内周面を押し当てた状態で、袋9の開口9a付近を外側から紐又はリング状の締め付け具によって締め付けてもよい。また、例えば、発生部7の外周面に袋9の開口9a付近の内周面を押し当てた状態で、袋9の開口9a付近に外側からリング状のパッキンを押し当て、その外側から紐又はリング状の締め付け具によってパッキンを締め付けてもよい。また、例えば、袋9に、開口9a付近を構成する可撓性でない(剛体の)リング状の部材を設け、このリング状の部材の内側に雌ねじを設け、発生部7の外面に雄ねじを設け、両者を螺合させてもよい。そして、この螺合の構造に適宜にパッキンを配してもよい。
図2では、発生部7の構成として、支持体13及び平板素子11のみを示した。袋9は、例えば、支持体13の縁部63に対して取り付けられてよい。図2では、縁部63は、平板状の部材として示されたが、袋9との固定に適した形状を有していてもよい。また、縁部63と袋9との間に介在する適宜な形状の部材が設けられてもよい。図1の模式図では、発生部7と開口9aとの接続位置が、凹面7aとその背面との間に位置しているが、接続位置は、凹面7aよりも患者101側等に位置してもよいし、凹面7aの背面よりも患者101とは反対側に位置してもよい。また、袋9が発生部7に対して患者101と反対側に回り込んでいてもよく、液体LQが発生部7に対して患者101と反対側に回り込んでいてもよい。その場合、例えば、圧電素子15の第2面15bを取り囲む覆いを設けて、圧電素子15の第2面15bを液体LQから隔離する構造とすればよい。
(圧電素子の周囲の流体)
図7は、図4の一部を拡大して示す図である。上記の説明から理解されるように、圧電素子15においては、患者101側の第1面15aが液体LQに接しており、その反対側の第2面15bが気体GS(例えば空気)に接している。
(装置本体)
図1に戻って、装置本体5は、例えば、放射器具3に駆動信号を入力する駆動制御部41と、放射器具3を移動させる移動部43と、ユーザの入力操作を受け付ける入力部45と、ユーザに情報を提示する出力部47とを有している。
駆動制御部41は、例えば、ケーブル49を介して発生部7の第1電極31及び複数の第2電極33と接続されている。駆動制御部41は、駆動信号を第1電極31及び第2電極33に入力する駆動部51と、駆動部51を制御する制御部53とを有している。なお、駆動制御部41と放射器具3内の電気回路との役割分担は適宜に設定されてよい。例えば、以下に述べる駆動部51の動作の一部又は全部は、放射器具3によって実行されてもよい。別の観点では、駆動部51の一部又は全部は放射器具3に設けられていてもよい。
駆動部51は、例えば、商用電源等からの電力を制御部53によって指定された波形(例えば周波数及び電圧(振幅))を有する交流電力に変換して第1電極31及び第2電極33に入力する。駆動信号は、放射を意図している超音波の周波数と概ね同等の周波数を有するとともに、意図している超音波の振幅に対応する電圧を有している交流電力である。駆動信号は、矩形波(パルス)、正弦波、三角波又は鋸波のように適宜な形状とされてよい。
制御部53は、特に図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び外部記憶装置等を含むコンピュータを含んで構成されている。CPUがROM及び/又は外部記憶装置に記憶されているプログラムを実行することによって、各種の制御を行う機能部が構築される。制御部53は、例えば、入力部45からの信号に基づいて、駆動部51が出力する駆動信号の波形(例えば周波数及び電圧(振幅))を設定し、また、駆動部51からの駆動信号の出力の開始及び停止を制御する。
移動部43は、例えば、特に図示しないが、放射器具3を保持する保持機構と、当該保持機構に放射器具3を移動させるための動力を付与する駆動源(例えばモータ)とを含んで構成されている。このような移動部43は、例えば、多関節ロボット、スカラロボット又は直交ロボットと同様の構成とされてよい。移動部43は、制御部53からの制御指令に基づいて放射器具3を患者101に対して相対移動させる。この相対移動は、例えば、放射器具3を患者101に近づける移動、及び/又は超音波の焦点を患部103に位置させるための位置決めのための移動を含んでよい。制御部53は、入力部45からの信号に基づいて、及び/又は患部103の位置等を特定する不図示のセンサからの信号に基づいて移動部43を制御する。なお、移動部43が設けられず、又は移動部43のうちの駆動源が設けられず、人力によって放射器具3が運搬及び位置決めされても構わない。
入力部45は、例えば、キーボード、マウス、機械式スイッチ及び/又はタッチパネルを含んで構成されている。入力部45は、例えば、放射器具3から放射する超音波の周波数及び振幅を設定するための操作、並びに超音波の放射の開始及び停止を指示するための操作を受け付ける。出力部47は、例えば、表示装置及び/又はスピーカを含んで構成されている。出力部47は、例えば、現時点で設定されている超音波の周波数及び振幅の情報等を提示する。
以上のとおり、本実施形態では、超音波放射器具3は、複数の平板素子11を有している。複数の平板素子11は、超音波を放射する放射面11aをそれぞれ有しており、放射面11aを共通の集束領域(患部103)に向けて互いに並列に配置されている。複数の平板素子11それぞれは、放射面11a内の複数の位置に、超音波を生成する振動を生じる複数の振動素子(圧電素子15)を有している。
従って、発生部7は、凹面の曲率中心側へ超音波を集束させることができる。また、平板素子11は、通常の回路基板等を作製する方法と同様の方法によって作製することができる。その結果、製造コストが削減される。また、例えば、集束させた超音波を比較的広い集束領域(患部103)に対して均等に照射することが容易化される。
図8(a)及び図8(b)は、上記の広い集束領域への超音波の照射の効果を説明するための模式図である。具体的には、図8(a)及び図8(b)は、本実施形態及び比較例における超音波の集束の様子を模式的に示している。
まず、比較例として、図8(b)に示すように、曲面状の放射面151aを有する素子151を考える。放射面151aは、例えば、一枚の板状のレンズ部材によって構成されており、レンズ部材の背後に複数の圧電素子15(厳密には圧電素子15に相当するもの。ここでは不図示。)が配列されている。そして、レンズ部材は、複数の圧電素子15の生じた超音波を焦点P1に集束させる。焦点P1は、理論上は点であり、比較的狭い範囲に超音波が集束される。
一方、図8(a)に示すように、平板素子11から照射された超音波は、平板素子11から放射されたそのままの幅(ビームの幅)で集束領域R1へ照射される。そして、複数の平板素子11の超音波が集束される。従って、集束領域R1は、理論上は、平板素子11から放射された超音波の幅と同程度の幅を有する領域となる。そして、この集束領域R1の幅内では、超音波の強度は概ね同等である。患部103の大きさ及び疾患の種類等によっては、このような集束領域R1の形成が効率的及び/又は安全である。
ここで、本実施形態とは異なり、1つの圧電素子15によって1つの平板素子11を構成した場合、平板素子11(圧電素子15)の面積が大きくなるほど、平板素子11(圧電素子15)の共振周波数は低くなる。従って、平板素子11の所定の振動モードの共振周波数と超音波の所望の駆動周波数とを近づけつつ、平板素子11の面積で規定される超音波のビーム幅を広くすることが難しい。すなわち、所望の駆動周波数と所望のビーム幅とを得ることが難しい。しかし、本実施形態では、各平板素子11が複数の圧電素子15を有していることから、圧電素子15の共振周波数と、平板素子11の面積とを別個に設定することができる。その結果、所望の駆動周波数と所望のビーム幅とを得ることが容易化される。ひいては、図8(a)を参照して説明した平板素子11による効果を所望の駆動周波数において得ることが容易化される。
また、本実施形態では、放射器具3は、複数の放射面11aが凹面7aを構成する配置で複数の平板素子11の外縁を保持している支持体13を有している。複数の平板素子11は、凹面7aの周方向に複数列で配列されて複数の環状の素子列8を構成している。支持体13は、周方向に配列されている複数の仕切部67を有しており、各仕切部67は、周方向において互いに隣り合っている平板素子11同士の互いに隣り合っている縁部(脚11f参照)を保持している。少なくとも1つの素子列8内において、複数の仕切部67それぞれの凹面7aの周方向における幅が凹面7aの内側から外側への位置によって異なっている。すなわち、凹面7aの外周に沿った方向を周方向とし、凹面7aの中央から外周へ向かう方向を径方向とすると、複数の平板素子11が凹面7aの周方向に沿って配列されて構成された環状の素子列8を、径方向に複数列有している。支持体13は、素子列8の各々において、周方向に互いに隣り合う平板素子11の間に位置する複数の仕切部67を有しており、各仕切部67は、周方向において互いに隣り合っている平板素子11同士の互いに隣り合っている縁部を保持している。少なくとも1つの素子列8内における複数の仕切部67のそれぞれは、各仕切部67内における径方向の位置によって、周方向の長さが異なっている。
この場合、例えば、圧電素子15の振動エネルギーが仕切部67に伝わったときに、仕切部67が特定の周波数で大きく振動する蓋然性を低減できる。具体的には、仕切部67の形状における対称性の低下により振動モードの縮退を解いて複数の振動モードの共振周波数を互いに異ならせることができる。その結果、特定の周波数において振幅が大きくなる蓋然性を低減できる。
また、本実施形態では、周方向において互いに隣り合っている平板素子11同士の互いに隣り合っている縁部(脚11f)は直線状であり、かつ複数の仕切部67それぞれの凹面7aの周方向における幅が凹面7aの内側から外側への位置によって異なっている。すなわち、環状の素子列8を径方向に1列以上有しており、周方向において互いに隣り合っている平板素子11同士の互いに隣り合っている縁部は直線状であり、複数の仕切部67のそれぞれは、各仕切部67内における径方向の位置によって、周方向の長さが異なっている。
互いに隣り合っている平板素子11の互いに隣り合っている縁部(脚11f)が直線状である場合、例えば、両縁部を互いに平行にして、平板素子11の面積を最大限大きくすることが考えられる(このような態様も本開示に係る技術に含まれてよい。)。また、そのような平板素子11の境界に位置する仕切部67としても、その幅が一定にされたものが考えられる(このような態様も本開示に係る技術に含まれてよい。)。しかし、本実施形態では、あえて仕切部67の幅を一定でなくし、上記の振動モードの縮退を解く効果を得ている。
また、本実施形態では、複数の素子列8同士で、複数の仕切部67の形状及び寸法の少なくとも一方が互いに異なっている。
この場合、例えば、各仕切部67の形状における対称性が低下することによって特定の周波数で振幅が大きくなる蓋然性が低減されたのと同様の作用効果が支持体13の全体において奏される。例えば、同一の振動モードに関して、一の素子列8における仕切部67の共振周波数と、他の素子列8における仕切部67の共振周波数とがずれるから、特定の周波数において双方の素子列8における仕切部67が共に大きく振動する蓋然性は低減される。
また、本実施形態では、複数の仕切部67それぞれにおいて、凹面7aの内側における幅をw1とし、凹面7aの外側における幅をw2としたとき、凹面7aの外側に位置する仕切部67ほど、w1-w2が大きい。すなわち、複数の仕切部67それぞれにおいて、径方向の中央側端部における周方向の長さをw1とし、径方向の外周側端部における周方向の長さをw2としたとき、径方向の外周側に位置する素子列8における仕切部67ほど、w1-w2が大きい。
この場合、w1-w2が外側の仕切部67ほど大きくなることによって、外側の仕切部67ほど外側へ振動エネルギーが伝わりやすい。従って、複数の素子列8における複数の仕切部67が一体的に振動する蓋然性を低減しつつ、かつ振動エネルギーを支持体13の外縁部分から外部へ逃がすことができる。ひいては、支持体13から意図していない超音波が放射される蓋然性を低減することができる。
また、本実施形態では、平板素子11は台形状である。上位概念で表現すれば、平板素子11の外縁は、当該外縁のうち凹面7aの内側(径方向の中央側)の部分を構成している第1縁部(上底11d)と、外縁のうち凹面7aの外側(径方向の外周側)の部分を構成しており、第1縁部に対向しており、第1縁部よりも長い第2縁部(下底11e)と、第1縁部の両端と第2縁部の両端とをつないでいる1対の第3縁部(脚11f)と、を有している。第2縁部の長さは、第1縁部と第2縁部との距離(台形の高さ)よりも短い。
この場合、例えば、平板素子11を凹面7aに高密度で配置することができる。具体的には、凹面7aは、球状面の半分以下の部分であるから、緯線の曲率は経線の曲率よりも大きい。従って、つなぎ合わされた複数の平面(平板素子11)を球状面に近似させようとする場合においては、経線に沿う方向よりも緯線に沿う方向において球状面の分割数を多くした方が複数の平面がなす形状が球状面に近似する。換言すれば、下底11eの長さを台形の高さよりも短くすることによって、球状面に沿って配置された平板素子11同士の隙間を小さくすることができる。すなわち、高密度で平板素子11を配置することができる。
また、本実施形態では、1列以上の素子列8は、平板素子11の数が奇数である列(図2の例では最内周及び最外周の素子列8)を含んでいる。
この場合、平板素子11の配置における対称性が低下するため、サイドローブの低減に有効である。
また、本実施形態では、1列以上の素子列8は、平板素子11の数が素数(偶数でない素数。すなわち、2を除く素数)である列(図2の例では最内周及び最外周の素子列8)を含んでいる。
この場合、平板素子11の配置における対称性が更に低下するため、サイドローブの低減に更に有効である。
また、本実施形態では、複数の平板素子11それぞれは、素子基板19と、キャビティ部材21とを有している。素子基板19は、複数の圧電素子15を含んでおり、集束領域R1側の面が複数の圧電素子15に亘って平面状である。キャビティ部材21は、素子基板19の集束領域R1側の面に重なっており、複数の圧電素子15に個別に重なる複数の開口(キャビティ21c)を有している。複数の平板素子11は、支持体13に対して集束領域R1側とは反対側から重なっている。支持体13は、平板素子11毎に、複数の圧電素子15の全体に重なる開口13hを有している。
この場合、例えば、圧電素子15の第1面15aから第1面15aの法線に対して大きく傾斜する方向への波はキャビティ21cの内面によって遮られる(例えば反射される。)。従って、平板素子11から放射する超音波の指向性を向上させることができる。また、支持体13の開口13hの内面も同様の効果を奏することができる。また、複数のキャビティ21cは、複数の圧電素子15に個別に重なっているから、複数の圧電素子15からの超音波が互いに干渉する蓋然性を低減することができる。その結果、例えば、意図していない振幅、周波数又は方向の超音波成分が生じる蓋然性が低減される。また、キャビティ部材21は、素子基板19に重なっているから、例えば、素子基板19のうちのキャビティ21cに重なっている領域(圧電素子15)の周囲の振動を抑制して、圧電素子15の共振周波数を高くすることに寄与する。その結果、比較的高い周波数の音波である超音波を発生させること、及び/又は超音波の周波数帯の中でも比較的周波数が高いものを発生させることが容易化される。
また、本実施形態では、放射器具3は、液体が封入される袋9を有している。複数の平板素子11の集束領域R1側の面は、袋9内の液体に接している。複数の平板素子11の集束領域R1とは反対側の面は、気体に接している。
従って、例えば、平板素子11の放射面11a(別の観点では圧電素子15の第1面15a)が直接に液体LQに接していることから、圧電素子15において発生した振動が直接的に液体LQに伝えられる。その結果、液体LQを介して効率的に超音波を患者101へ照射することができる。具体的には、第1面15aと液体LQとの間に固体が介在している場合においては、第1面15aと固体との界面及び/又は固体と液体LQとの界面で超音波が反射したり、超音波が固体を介して第1面15aの平面方向へ漏れたりしてしまう。しかし、本実施形態では、そのような超音波の反射及び/又は漏れは低減される。その一方で、圧電素子15の第2面15bは気体GSに接していることから、第2面15bが固体に接している態様に比較して、第2面15bの撓み変形を抑制しようとする力が小さくなるため、振動を効率的に生じさせることができる。また、圧電素子15の第2面15bが気体GSに接していることから、第2面15bが液体に接している態様に比較して、第2面15b側からの超音波の漏洩を低減することができる。
<第2実施形態>
図9は、第2実施形態に係る放射器具203の構成を示す、図4に相当する断面図である。
放射器具203は、支持体(及び接合材17)の形状のみが第1実施形態の放射器具3と相違する。具体的には、第1実施形態の支持体13が平板素子11毎に複数の圧電素子15に重なる開口13hを有していたのに対して、本実施形態に係る支持体213は、複数の圧電素子15に個別に重なる複数の開口213hを有している。開口213hの平面形状及び平面視における寸法は、キャビティ21cの平面形状及び平面視における寸法と同じであってもよいし(図示の例)、異なっていてもよい。また、いずれにせよ、キャビティ21cの形状及び寸法の説明は、開口213hの形状及び寸法に援用されてよい。
第1実施形態と同一の符号を付した接合材17は、特に符号を付さないが、キャビティ21c及び開口213hに重なる開口を有している。当該開口の平面形状及び寸法は、基本的には、キャビティ21c及び/又は開口213hの平面形状及び寸法と同じである。ただし、異なっていても構わない。また、接合材17が必ずしも設けられなくてもよいことは、第1実施形態と同様である。
なお、支持体213は、第1実施形態の支持体13と同様に、平板素子11の縁部を保持している。ただし、支持体213は、仕切部67及び環状部69として概念できる部分を有していない。
以上のとおり、第2実施形態では、複数の平板素子11は、支持体213に対して集束領域R1(図8(a)参照)側とは反対側から重なっている。支持体213は、複数の圧電素子15に個別に重なる複数の開口213hを有している。
この場合、例えば、支持体213の開口213hは、キャビティ21cと同様の作用を奏する。その結果、キャビティ21cについて既に述べた効果が向上する。例えば、複数の圧電素子15からの超音波が互いに干渉する蓋然性が低減される効果が向上する。また、素子基板19のうちの圧電素子15の周囲の振動を抑制して圧電素子15の共振周波数を高くする効果が向上する。さらに、第1実施形態に比較すると、キャビティ部材21が支持体13に接合されていなかった部分の変位が支持体213に拘束されることになり、不要振動が生じる蓋然性が低減される。また、キャビティ部材21と支持体213との接合面積が増加するから、両者は互いに補強し合うことになる。その結果、例えば、支持体213においても不要振動が生じる蓋然性を低減できる。
<第3実施形態>
図10は、第3実施形態に係る放射器具303の構成を示す、図4に相当する断面図である。
放射器具303は、キャビティ部材21が設けられていない点のみが第2実施形態の放射器具203と相違する。別の観点では、第3実施形態では、素子基板19のみによって平板素子311が構成されている。
そして、素子基板19と支持体213とは、両者に接している接合材17を介して重なっている。なお、接合材17が設けられなくてもよいことは第1実施形態と同様であり、この場合、素子基板19と支持体213とは直接に接してよい。
このような実施形態においては、例えば、部材の数を減らして構造を簡素化できる。その結果、例えば、コスト削減が期待される。また、例えば、第2実施形態では、素子基板19とキャビティ部材21との接合と、キャビティ部材21と支持体213との接合との2つの接合があるから、素子基板19と支持体213との位置関係に関しては、各接合における誤差が積算される。一方、本実施形態では、素子基板19と支持体213との間の接合は1つであるから、両者の位置ずれが低減される。
<第4実施形態>
図11は、第4実施形態に係る放射器具403の構成を示す、図4に相当する断面図である。
図11では、複数の第2電極33と、放射器具403内の電気回路とを接続する構造の例が示されている。この接続構造を介して、駆動部51からの駆動信号が複数の第2電極33に入力される。図11では、平板素子の構成として、第3実施形態の平板素子311が示されている。ただし、本実施形態で示す接続構造は、第1又は第2実施形態に適用されても構わない。
第1実施形態の説明では、第2導体層29は、複数の第2電極33の他に、複数の第2電極33に接続されている不図示の配線を有してよいことを述べた。図11では、このような配線の一例である複数の引出電極71が図示されている。引出電極71は、第2電極33毎に設けられている。引出電極71は、例えば、第2電極33の径よりも小さい幅で第2電極33から延び出る形状を有している。引出電極71の具体的な長さ、幅及び延び出る方向は適宜に設定されてよい。引出電極71は、例えば、開口213h(第1及び第2実施形態ではキャビティ21c。以下、同様。)の外側まで延び出ている。
引出電極71の少なくとも一部の上には、バンプ73が配置されている。バンプ73は、例えば、はんだ等の導電性の接合材によって構成されていてもよいし、接合材としては用いられない適宜な1つ以上の金属(例えばCu、Ag及び/又はTi等)によって構成されていてもよい。はんだは、鉛フリーはんだを含む。バンプ73は、例えば、引出電極71のうち、開口213hの外側に位置する部分の上に配置されている。なお、バンプ73は設けられなくても構わない。
引出電極71(その少なくとも一部。図示の例では開口213hの外側に位置する部分)及びバンプ73は、駆動信号が入力される受給端子75を構成している。受給端子75は、平板素子311の平面視において、複数の圧電素子15の間に位置している。換言すれば、受給端子75は、複数の圧電素子15を包含する最小の円形又は凸多角形を仮定したときに、凸多角形内の、複数の圧電素子15の非配置領域に位置している。受給端子75は、その少なくとも一部が、互いに隣り合う圧電素子15同士の間の領域に位置していてもよい。この場合の互いに隣り合う圧電素子15は、図3の例では、縦方向、横方向及び斜め方向のいずれの方向において互いに隣り合う圧電素子15であってもよい。
第1実施形態の説明では、上記のような配線(引出電極71)に対して、平板素子11の袋9とは反対側に配置された不図示の配線(例えばケーブル)が電気的に接続されてよいことを述べた。図11では、放射器具403は、引出電極71(受給端子75)に接続される構成として、平板素子311に対して集束領域R1(図8(a))とは反対側に位置している背面部材77と、平板素子311と背面部材77とを電気的に接続しているポゴピン79とを有している。
背面部材77は、例えば、リジッド式のプリント配線板を含んで構成されている。プリント配線板は、例えば、平板素子311に対向している絶縁性の基板80と、基板80の平板素子311側の面に重なっている配線83(導体層)とを有している。駆動部51からの駆動信号は、ケーブル49(図1)を介して配線83に供給され、ひいては、ポゴピン79を介して第2電極33に入力される。プリント配線板の材料及び基本構造は、公知の種々のプリント配線板と同様とされてよい。背面部材77は、例えば、不図示の固定具(例えばねじ)によって支持体213に固定され、ひいては、平板素子311に対して固定的とされている。
なお、背面部材77は、一般的なプリント配線板を含まない特殊な構造とされても構わない。この場合も、背面部材77は、例えば、実質的に剛体とみなせる構造(リジッド式)とされ、また、平板素子311側に露出している導体(配線83)を有している。背面部材77は、支持体213及び複数の平板素子311に対して集束領域R1とは反対側に位置する筐体に固定されたり、当該筐体の一部として扱われる部材とされたりしてもよい。背面部材77は、平板素子311毎に設けられていてもよいし、複数(放射器具403が含む全部又は一部)の平板素子311に対して共通して設けられていてもよいし、1つの平板素子311に対して複数設けられてもよい。
ポゴピン79は、コンタクトプローブ及びスプリングピン等の他の種々の呼称を有している部品である。ポゴピン79は、例えば、基本的な構成として、プランジャ85と、プランジャ85の後端側(図の上方)部分を収容しているバレル87と、バレル87に対してプランジャ85を当該プランジャ85の先端側(図の下方)へ付勢するスプリング89とを有している。プランジャ85は、バレル87に対して軸方向に移動可能である。ひいては、ポゴピン79は、全体として伸縮可能である。スプリング89は、その復元力によってポゴピンを伸長させる。プランジャ85及びバレル87(並びにスプリング89)は、例えば、金属(すなわち導体)によって構成されている。
ポゴピン79の具体的な構成は、図示の例に限定されず、公知の種々の構成、又は公知の構成を応用した構成とされてよい。例えば、図示の例では、スプリング89は、バレル87に収容されているが、収容されていなくてもよい。図示の例では、スプリング89とプランジャ85とが直接に当接しているが、両者の間に球体が介在してもよい。
バレル87は、例えば、配線83に固定され、ひいては、配線83に電気的に接続されている。プランジャ85は、その先端が受給端子75(より詳細にはバンプ73)に接している。スプリング89は、その復元力によってプランジャ85を受給端子75に向けて付勢している。これにより、配線83と受給端子75とが電気的に接続されている。
バレル87と配線83との固定は、適宜な方法によりなされてよい。例えば、両者は、はんだ等の導電性の接合材によって接合されてよい。また、例えば、バレル87は、嵌合、圧入及び/又は係合等によって、配線83に当接した状態で背面部材77に固定されていてもよい。プランジャ85は、その先端がバンプ73に対して押し付けられているだけであってもよいし、接合されていてもよい。
第1実施形態の説明では、2以上の第2電極33は、互いに同一の電位が付与されてもよいし、互いに異なる電位が付与されてもよいことを述べた。図示の例では、複数のポゴピン79は、互いに同一の配線83に接続されており、ひいては、複数の第2電極33には同一の電位が付与されている。もちろん、複数のポゴピン79は、互いに異なる配線83に接続されてよい(複数の第2電極33は互いに異なる電位が付与されてよい。)。
以上のとおり、本実施形態では、放射器具403は、複数の平板素子311に電気的に接続されている複数の導通部品(ポゴピン79)を有している。複数の平板素子311それぞれは、集束領域R1とは反対側に露出しているとともに平板素子311の平面視において複数の振動素子(圧電素子15)間に位置している受給端子75を有している。複数のポゴピン79それぞれは、受給端子75に対して集束領域R1とは反対側から接している(接合されている態様を含む)供給端子(プランジャ85)と、プランジャ85を受給端子75に向けて付勢している弾性部材(スプリング89)と、を有している。
従って、例えば、平板素子311の電気的接続の信頼性が向上する。具体的には、例えば、はんだによってバンプ73を構成し、バンプ73を直接に配線83に接合する態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれてよい。)に比較すると、圧電素子15の振動に起因する応力がスプリング89によって吸収される。その結果、例えば、圧電素子15の振動によってバンプ73、引出電極71及び/又は配線83に繰り返し加えられる応力が緩和され、ひいては、疲労破壊による断線が生じる蓋然性が低減される。また、例えば、バンプ73に可撓性の配線を接続する態様(当該態様も本開示に係る技術に含まれてよい。)に比較すると、スプリング89の復元力によって受給端子75が押さえ付けられていることから、受給端子75の位置における平板素子311の振動が低減されやすい。その結果、例えば、圧電素子15の振動によって引出電極71に繰り返し生じる変形が低減され、ひいては、疲労破壊による断線が生じる蓋然性が低減される。
本実施形態の導通部品(ポゴピン79)の構成等は適宜に変形されてよい。
例えば、特に図示しないが、プランジャ85は、先端部が広がっていてもよい。換言すれば、例えば、先端部は、バレル87に対して出し入れされる部分に比較して、径(別の観点では横断面)が大きくされていてもよい。この場合、例えば、受給端子75とポゴピン79とが位置ずれに起因して非接触となる蓋然性が低減される。すなわち、両者の接続の信頼性が向上する。このような態様における先端部の拡径の程度は適宜に設定されてよい。
また、1つのプランジャ85は、その先端部が複数の受給端子75に亘る大きさとされ、複数の受給端子75に当接していてもよい。この場合、ポゴピン79の数を低減することができる。このような態様において、1つのプランジャ85の先端部が接する受給端子75の数は適宜に設定されてよく、例えば、1つの平板素子311が有する全ての受給端子75であってもよいし、1つの平板素子311が有する受給端子75のうちの一部であってもよい。1つのプランジャ85の先端と複数の受給端子75との間に、複数の受給端子75に亘る広さを有する導体を介在させてもよい。
図示の例では、全ての第2電極33に対して個別に受給端子75が設けられた。ただし、複数(1つの平板素子311が有する全て又は一部)の第2電極33同士を第2導体層29が含む配線によって接続することによって、複数の第2電極33に対して共通に受給端子75を設けてもよい。そして、この受給端子75に対してポゴピン79が押し当てられてもよい。
導通部品は、ポゴピン79に限定されない。例えば、その全体が板ばね又はコイルばねからなるばね端子であっても構わない。この場合、ばね端子のうち受給端子75に接する一部が供給端子と捉えられ、残りの部分が弾性部材と捉えられてよい。
第2電極33の接続について述べたが、第1電極31についても、上記のような弾性部材を含む端子構造が適用されてもよい。例えば、特に図示しないが、圧電体層27を貫通しているとともに下端が第1電極31と接続されている貫通導体と、当該貫通導体の上端に接続されている受給端子とを設け、当該受給端子に対してポゴピンが押し当てられてもよい。
本実施形態において、ポゴピン79は導通部品の一例である。プランジャ85は供給端子の一例である。スプリング89は弾性部材の一例である。
本開示に係る技術は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
例えば、超音波放射器具及び超音波装置は、治療に用いられるものに限定されない。例えば、患者の断面二次画像を撮像する超音波診断装置に利用されてもよい。また、例えば、医療の分野に限られず、種々の分野において、エネルギーの付与及び/又は距離の測定に利用されてよい。
複数の平板素子は、凹面を構成するように配置されていなくてもよい。例えば、複数の平板素子は、ブラインドの複数のスラットのように同一平面上に配置され、かつ共通の集束領域を向くように前記平面に対する角度を互いに異ならせて配置されてよい。
振動素子(圧電素子)は、圧電体自体が撓み変形する態様のものに限定されない。例えば、振動素子は、放射面を構成する振動板と、その背後で放射面に交差する方向に伸縮して振動板を撓み変形させる圧電体とを有する構成であってもよい。また、圧電体自体が撓み変形する圧電素子は、実施形態に示したユニモルフ型のものに限定されず、例えば、互いに分極方向が異なる圧電体が積層されたバイモルフ型のものであってもよい。