JPH0869919A - インダクタ素子 - Google Patents

インダクタ素子

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JPH0869919A
JPH0869919A JP22878494A JP22878494A JPH0869919A JP H0869919 A JPH0869919 A JP H0869919A JP 22878494 A JP22878494 A JP 22878494A JP 22878494 A JP22878494 A JP 22878494A JP H0869919 A JPH0869919 A JP H0869919A
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JP
Japan
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inductor
magnetic
inductor conductor
conductor
magnetic body
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Application number
JP22878494A
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English (en)
Inventor
Takeshi Ikeda
毅 池田
Tsutomu Nakanishi
努 中西
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T I F KK
Original Assignee
T I F KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 インダクタ導体が有する抵抗や浮遊容量を増
やすことなくインダクタンスのみを増加させることがで
きるインダクタ素子を提供すること。 【構成】 半導体基板10上にはその表面で隣接する位
置にインダクタ導体12が形成されている。このインダ
クタ導体12は磁性体14により覆われており、インダ
クタ導体12のインダクタンスがこの磁性体14の透磁
率に比例して大きくなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体基板上に形成し
たインダクタ素子に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、コイルは重要な回路構成部品で
あり、構成する回路によっては必要不可欠な部品といえ
る。例えば、LC共振を利用した発振回路や送受信機に
含まれる同調回路は、コイルを使用してはじめて実現で
きるものである。
【0003】また、近年では回路の集積化が進んでお
り、上述したコイル、すなわちインダクタ部分も含めて
集積化することができれば回路全体の大幅な小型化が可
能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したよ
うにインダクタ部分を含めて集積化を行う場合には、半
導体基板上でインダクタ部分が占める面積も小さくする
必要があり、充分な特性が得られないおそれがある。
【0005】図12は、集積化により半導体基板上に形
成したインダクタの等価回路を示す図であり、同図
(A)には理想的な場合が、同図(B)には実際の各種
条件を加味した場合が示されている。
【0006】当然ながら、同図(A)に示すように所定
のインダクタンスを有するインダクタ90のみが得られ
れば、このインダクタを回路の一部として使用して所望
の回路を容易に構成することができる。しかし、一般的
なプロセスルールを用いて集積化を行って微小なインダ
クタ導体を形成した場合には、上述したインダクタ90
が有するインダクタンスLは小さくなり、これに対して
インダクタ導体が有する抵抗R1およびインダクタ導体
と半導体基板との間に生じる浮遊容量Cが相対的に大き
くなる。また、半導体基板上にチャネルが形成される場
合にはその抵抗R2も加わることになる。したがって、
インダクタ導体に入力された信号(特に高周波信号)
は、抵抗R1およびR2によって信号の周波数に関係な
く減衰するとともに、その一部が信号の周波数に応じて
容量C側に分岐してしまうため、インダクタ90には残
りのわずかしか信号が伝わらず、インダクタ90の特性
を充分引き出すことができない。あるいは、別の見方を
すれば、インダクタ自体の性能はL/Rが大きいほど良
いといえるが、上述した抵抗R1,R2が大きくインダ
クタンスLが小さい場合にはこのL/Rの値が小さくな
り、インダクタンスによる特性が充分現れないことにな
る。
【0007】実際に、一般的なプロセスルールを用いて
インダクタ導体を形成する場合には、その線幅が1μm
前後になるためインダクタ導体が有する抵抗が大きくな
ってしまい、高周波領域で使用する場合であってもリア
クタンスの殆どを抵抗成分が占めることになる。一方、
抵抗成分を小さくしようとすると、インダクタ導体の断
面積を大きくして、しかもインダクタ導体の全長を短く
する必要があるが、断面積を大きくした場合にはインダ
クタ導体の占有面積が大きくなるためコスト高を招くと
ともに浮遊容量が大きくなり、全長を短くした場合には
それに伴いインダクタンスも小さくなってしまう。
【0008】本発明は、このような点に鑑みて創作され
たものであり、その目的は、インダクタ導体が有する抵
抗や浮遊容量を増やすことなくインダクタンスのみを増
加させることができるインダクタ素子を提供することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、請求項1のインダクタ素子は、半導体基板上に
ほぼ平面状に形成されたインダクタ導体と、前記インダ
クタ導体の少なくとも一部を覆うことにより磁路を形成
する絶縁性の磁性体と、を備え、前記磁性体で前記イン
ダクタ導体の少なくとも一部を覆うことにより前記イン
ダクタ導体に大きなインダクタンスを持たせることを特
徴とする。
【0010】請求項2のインダクタ素子は、半導体基板
上にほぼ平面状に形成されたインダクタ導体と、前記イ
ンダクタ導体の少なくとも一部を絶縁膜を介して覆うこ
とにより磁路を形成する導電性の磁性体と、を備え、前
記磁性体で前記インダクタ導体の少なくとも一部を覆う
ことにより前記インダクタ導体に大きなインダクタンス
を持たせることを特徴とする。
【0011】請求項3のインダクタ素子は、請求項1ま
たは2のインダクタ素子において、前記インダクタ導体
は渦巻き形状に形成されており、各周回部分の合間に非
磁性体材料を充填することを特徴とする。
【0012】請求項4のインダクタ素子は、請求項1〜
3のいずれかのインダクタ素子において、前記磁性体
は、前記半導体基板の表面であって前記インダクタ導体
との間に形成された第1の磁性体膜と、前記インダクタ
導体の表面側であって前記第1の磁性体膜とほぼ対向し
て形成された第2の磁性体膜とにより構成されることを
特徴とする。
【0013】請求項5のインダクタ素子は、請求項1〜
3のいずれかのインダクタ素子において、前記磁性体
は、前記半導体基板の表面であって前記インダクタ導体
との間に形成された第1の磁性体膜により構成されるこ
とを特徴とする。
【0014】請求項6のインダクタ素子は、請求項1〜
3のいずれかのインダクタ素子において、前記磁性体
は、前記半導体基板上に形成された前記インダクタ導体
のさらに表面側に形成された第2の磁性体膜により構成
されることを特徴とする。
【0015】請求項7のインダクタ素子は、請求項1〜
6のいずれかのインダクタ素子において、前記磁性体に
よって前記インダクタ導体を覆う面積を変えることによ
り、異なるインダクタンスを持たせることを特徴とす
る。
【0016】請求項8のインダクタ素子は、請求項1〜
7のいずれかのインダクタ素子において、前記磁性体
は、薄膜形成技術により形成することを特徴とする。
【0017】
【作用】請求項1または2の発明では、半導体基板上に
インダクタ導体を形成するとともにさらにその少なくと
も一部を絶縁性あるいは導電性の磁性体で覆っている。
一般に、磁性体は非磁性体に比べて透磁率が大きく、し
かも磁性体に覆われたインダクタ導体のインダクタンス
はこの透磁率に比例するため、大きなインダクタンスを
得ることができる。
【0018】特に、磁性体によってインダクタ導体を覆
う場合には、インダクタ導体が有する抵抗や浮遊容量を
ほとんど変えることなくインダクタンスのみを増加させ
ることができる。
【0019】また、請求項3の発明では、インダクタ導
体を渦巻形状に形成するとともに、この渦巻形状の各周
回部分の合間に非磁性体を充填しているため、各周回部
分間に生じる漏れ磁束を最小限に抑えることができ、さ
らに大きなインダクタンスを得ることができる。
【0020】また、請求項4の発明では、上述した絶縁
性あるいは導電性の磁性体を第1および第2の磁性体膜
により構成しており、これら第1および第2の磁性体膜
によってインダクタ導体の両面の少なくとも一部を覆っ
ており、半導体基板上に第1の磁性体膜、インダクタ導
体、第2の磁性体膜の順に形成すればよいことから、製
造工程の簡略化が可能となる。
【0021】また、請求項5または6の発明では、請求
項4の第1の磁性体膜あるいは第2の磁性体膜のみを用
いて磁性体を構成しており、インダクタ導体の片側の面
のみをいずれかの磁性体膜で覆った場合であっても、こ
の磁性体膜の透磁率に応じてインダクタ導体が有するイ
ンダクタンスが増加する。また、この場合には、インダ
クタ導体を形成する前あるいは後に磁性体膜を形成する
工程を1工程追加するだけでよいため、製造工程の簡略
化が可能となる。
【0022】また、請求項7の発明では、インダクタ導
体を覆う磁性体の面積を変えることにより、同一のイン
ダクタ導体を用いた場合であっても、異なるインダクタ
ンスを持たせることが可能になり、大きさがほぼ同じで
インダクタンスが異なる製品体系を形成しやすくなる。
【0023】また、請求項8の発明では、上述した絶縁
性あるいは導電性の磁性体を薄膜形成技術により形成し
ている。したがって、ICやLSI等の半導体基板上に
超小型のインダクタ導体を形成するような場合であって
も、容易に製造することができる。
【0024】
【実施例】以下、本発明を適用した一実施例のインダク
タ素子について、図面を参照しながら具体的に説明す
る。
【0025】図1は、半導体基板上に形成された本実施
例のインダクタ素子100の概略を示す図である。
【0026】図1に示すように、本実施例の半導体基板
10表面には、ほぼ平面状に渦巻形状のインダクタ導体
12が形成されており、さらにこのインダクタ導体12
が絶縁性の磁性体14により覆われている。
【0027】上述した半導体基板10は、例えばn形シ
リコン基板(n−Si基板)やその他の半導体材料(例
えばゲルマニウムやアモルファスシリコン等の非晶質材
料)が用いられる。また、インダクタ導体12は、アル
ミニウムや金等の金属薄膜あるいはポリシリコン等の半
導体材料を渦巻き形状に形成している。
【0028】なお、図1に示した半導体基板10には、
インダクタ導体12以外にもトランジスタ,ダイオード
等の能動素子や抵抗,コンデンサ等の受動素子が形成さ
れており、インダクタ導体12と他の各素子とが配線さ
れてICやLSI等が構成されているが、説明を簡単な
ものとするため、インダクタ導体12のみに着目して図
示してある。
【0029】図2は、図1に示したインダクタ導体部分
の断面を示す図である。
【0030】図2において、インダクタ導体12近傍に
着目すると、半導体基板10表面に絶縁性の磁性体膜1
6aを介してインダクタ導体12が形成されており、さ
らにその表面に絶縁性の磁性体膜16bが被覆形成され
ている。これら2つの磁性体膜16a,16bによって
図1に示した磁性体14が構成される。
【0031】図3は、図2に示したインダクタ導体12
近傍の磁束の流れを示す図であり、インダクタ導体12
近傍の断面を拡大した図である。
【0032】同図に示すように、両面に形成された磁性
体膜16a,16bによってインダクタ導体12が覆わ
れており、これら2つの磁性体膜16a,16bによっ
て磁路が形成される。したがって、インダクタ導体12
とほぼ垂直方向に発生した磁束は、これら2つの磁性体
膜16a,16bの内部を通って再びインダクタ導体1
2に戻ってくる。このため、空気等に比べて透磁率が大
きな磁性体膜16a,16bによって磁路が形成される
ため、インダクタ導体12が有するインダクタンスがこ
の透磁率に比例して増加する。
【0033】図4は、インダクタ導体の両側に磁性体膜
を形成する製造工程を示す図であり、薄膜形成技術によ
ってインダクタ導体の両面に磁性体膜を形成する場合が
示されている。
【0034】(1) まず、半導体基板10を用意し(図4
(A))、その表面に絶縁性の磁性体膜20を各種薄膜
形成技術を利用して形成する(図4(B))。
【0035】例えば、磁性体膜20としては、ガンマ・
フェライトやバリウム・フェライト等の各種磁性体膜を
用いることができる。特に、磁気記憶媒体として一般的
なガンマ・フェライトは、半導体基板10の面方向と平
行に微小磁石を並べたような磁化方向を有しており、図
3に示したような磁路を形成する際に好都合となる。ま
た、バリウム・フェライトを用いる場合には、塗布によ
り磁性体膜を形成することができるため、製造が容易と
なる。
【0036】なお、磁性体膜の材質や形成方法について
は各種のものが考えられ、例えばFeO等を真空蒸着し
て磁性体膜を形成する方法や、その他分子線エピタキシ
ー法(MBE法),化学気相成長法(CVD法),スパ
ッタ法等を用いて磁性体膜を形成する方法等が考えられ
る。
【0037】(2) 次に、このようにして半導体基板10
上に形成した磁性体膜20の不必要な部分を除去して、
インダクタ導体12よりも一回り大きな下側の磁性体膜
16aを形成し(図4(C))、さらにその表面にイン
ダクタ導体12と同じ材質の金属薄膜13を形成する
(図4(D))。
【0038】(3) 次に、この金属薄膜13の不要な部分
をフォトリソグラフィ等によって除去して、所定形状の
インダクタ導体12を形成する(図4(E))。インダ
クタ導体12は、最も一般的な場合には渦巻き形状に形
成されており、所定のインダクタンスを有する形状とす
る。
【0039】なお、インダクタ導体12は、一般には金
属薄膜によって形成されるため上述した金属薄膜13を
用いたが、ポリシリコン等の半導体材料で形成するよう
にしてもよい。
【0040】(4) 次に、インダクタ導体12の各周回部
分の合間に絶縁性の非磁性体材料17を充填する(図5
(F))。このように、インダクタ導体12の各周回部
分の合間を絶縁性の非磁性体材料17で覆って磁性体膜
16aあるいはこれから形成する磁性体膜16bを排除
することにより、各周回部分間に生じる漏れ磁束を最小
限に抑えることができるため、インダクタ導体12が発
生する磁束を有効に利用して大きなインダクタンスを得
ることができる。
【0041】(5) 次に、インダクタ導体12および露出
した磁性体膜16aあるいは半導体基板10の表面に絶
縁性の磁性体膜22を形成する(図5(G))。
【0042】(4) 最後に、インダクタ導体12および磁
性体膜16aを覆う部分を残して、磁性体膜22を部分
的に除去して、磁性体膜16aとほぼ同じ面積を有する
磁性体膜16bを形成する(図5(H))。
【0043】なお、上述した磁性体膜20,22を部分
的に除去する手法としては、半導体製造工程の一部とし
て汎用されているエッチングによる方法やレーザ光照射
による方法が考えられる。エッチングによる方法は、半
導体製造工程に含ませることができるため、半導体製造
工程によってインダクタ導体12やその他の部品を含む
ICやLSIを製造する際に同時に磁性体膜20,22
の部分的除去も行うことができ、製造工程の簡略化が可
能となる利点がある。また、レーザ光照射による方法
は、磁性体膜20,22の一部を正確な寸法精度で除去
することができる利点がある。
【0044】次に、磁性体14の透磁率をどの程度に設
定すればよいかを検討した結果を説明する。
【0045】図6は、検討に使用したインダクタ導体1
2の平面図である。また、図7は図6のA−A線拡大断
面図である。これらの図に示すように、検討に使用した
インダクタ導体12は二層メタルの製造プロセスを用い
て形成する場合を考える。これは、一層メタルの場合に
はインダクタ導体12の中心部からの配線の引出しが困
難であり、ジャンパ線や半導体基板10内に形成したチ
ャネルを利用しなければならないからである。
【0046】上述した二層メタルとした場合には、製造
プロセスにもよるが、図7に示すように第1層メタル3
0の膜厚dの方が第2層メタル32の膜厚bよりも薄く
なる。したがって、図6に示すように、第2層メタル3
2をインダクタ導体12のスパイラル部分に使用し、第
1層メタル30をインダクタ導体12の引出し部分に使
用する。但し、第1層メタル30の引出し部分以外は第
2層メタル32と多数のコンタクトホール34(図6で
は一部を除いて省略してある)を介して接続されてお
り、スパイラル部分の抵抗値をできるだけ少なくするよ
うになっている。
【0047】このような構造を有するインダクタ導体1
2において、図7に示す各種寸法を例えばa=1.2μ
m、b=1.15μm、C=1.0μm、D=0.6μ
m、E=1.5μmとして考える。
【0048】ここで、インダクタ導体12と半導体基板
10との間の浮遊容量を考える場合、第1層メタル30
と半導体基板10の対向する部分間(図7において第1
層メタルの一点鎖線を付した部分と半導体基板10の表
面との間)に生じる容量C1の他、第1層メタル30お
よび第2層メタル32の各サイド部分と半導体基板10
との間(図7において第1層メタル30および第2層メ
タル32の2点鎖線を付した部分と半導体基板10の表
面との間)に生じる容量C2を考慮する必要がある。
【0049】例えば、上述した各種寸法を適用した場合
には、第1層メタル30と半導体基板10の対向する部
分の単位面積あたりの容量は、約0.4×10-4pF/
μm2 となる。一方、第1層メタル30および第2層メ
タル32の各サイド部分と半導体基板10との間の単位
長さあたり(インダクタ導体12の長手方向の単位長さ
あたり)の容量C2は、約1.0×10-4pF/μmと
なる。
【0050】図8は、図6及び図7に示す構造を有する
インダクタ導体12を用いた場合において、所望のイン
ダクタスンを得ようとすると他の素子定数がどのように
なるかを示したものであり、浮遊容量については上述し
たC1とC2を別々に計算している。
【0051】図8に示すように、例えばインダクタンス
Lを250nHにしようとした場合には、浮遊容量C1
は約600mpF、浮遊容量C2は約1400mpF、
抵抗Rは約100Ωとなる。1GHz程度の高周波信号
を考えた場合には、浮遊容量や抵抗によるリアクタンス
は、インダクタンスによるリアクタンスの数十倍程度で
あることがわかる。したがって、このインダクタ導体1
2に信号を入力してもそのほとんどが浮遊容量に吸収さ
れたり、抵抗によって減衰したりして、インダクタとし
ての機能を充分に果たすことができない。
【0052】このため、浮遊容量や抵抗値そのものを小
さくすることが望まれる。ところが、プロセスルールを
変更したり、インダクタ導体12と半導体基板10との
間に形成する酸化膜を他の材質に変更する等により、浮
遊容量や抵抗値を5分の1程度に小さくすることは可能
であるが、その程度の特性改善では本質的な解決策には
ならず、しかも一般に汎用されているプロセス以外を使
用することになるためコストの上昇は避けられない。
【0053】これに対し、図1に示すように、インダク
タ導体12を磁性体14で覆った場合には、上述した浮
遊容量や抵抗値をほとんど変えることなく(正確には、
磁性体14を介在させることにより誘電率が変わるため
浮遊容量も変化する)、磁性体14の透磁率に比例して
インダクタ導体12が有するインダクタンスのみを上げ
ることができる。したがって、比透磁率が数百程度の磁
性体材料(例えば、フェライトの透磁率が数百程度)を
用いることによりインダクタンスを数百倍に上げること
ができ、インダクタンスによるリアクタンスを浮遊容量
や抵抗によるリアクタンスの十倍以上にすることが可能
となり、インダクタ導体12を歪が少ない実用的な素子
として使用することができる。
【0054】このように、本実施例のインダクタ素子1
00は、インダクタ導体12を磁性体14で覆うことに
より、インダクタ導体12が有するインダクタンスをこ
の磁性体14の透磁率に比例して数百倍(磁性体材料の
透磁率によってはそれ以上)大きくすることが可能であ
り、インダクタ導体の抵抗や浮遊容量に隠れていたイン
ダクタ本来の特性を引き出すことが可能となる。
【0055】図9は、本実施例の変形例を示す図であ
り、図2および図3に対応する断面が示されている。
【0056】図9(A)では、半導体基板10表面に直
接インダクタ導体12が形成されており、さらにその表
面に絶縁性の磁性体膜16bが被覆形成されている。し
たがって、図2に示した磁性体膜16aが省略されたも
のであり、インダクタ導体12の表面側の片面のみに、
磁性体膜16bが形成されている。
【0057】このような構造は、例えば図4および図5
に示した工程を用いて製造することができ、その中で図
4(A),(B)に示した磁性体膜20(磁性体膜16
a)を形成する工程を省略すればよい。
【0058】図9(B)は、同図(A)に示したインダ
クタ導体近傍の磁束の流れを示す図であり、一方のイン
ダクタ導体12近傍の断面を拡大したものである。同図
(B)に示すように、インダクタ導体12の表面側のみ
に形成された磁性体膜16bが磁路となるため、この磁
路に沿った磁束分布となり、インダクタ導体12によっ
て発生した磁束はこの磁路を含む近傍の領域を通ってイ
ンダクタ導体12に戻ってくる。このように、磁路の一
部にのみ磁性体膜16bを形成した場合であっても、こ
の磁性体膜16bの透磁率に応じてインダクタ導体12
が有するインダクタンスを大きくすることができる。
【0059】図10は、本実施例の他の変形例を示す図
であり、図9に示した場合とは反対に半導体基板10と
インダクタ導体12との間に挟み込むように形成した磁
性体膜16aのみを残して、図2に示した磁性体膜16
bを省略した場合が示されている。
【0060】図10(A)に示すように、半導体基板1
0表面に絶縁性の磁性体膜16aが形成されており、さ
らにその上にインダクタ導体12が形成されている。こ
のとき同図(B)に示すように、磁性体膜16aの一部
を掘り下げて凹部を形成した後にインダクタ導体12を
形成するようにしてもよい。
【0061】このような構造は、例えば図4および図5
に示した工程を用いて製造することができ、その中で図
5(G),(H)に示した磁性体膜22(磁性体膜16
b)を形成する工程のみを省略すればよい。また、磁性
体膜16aの一部を掘り下げる場合には、図4(B)あ
るいは同図(C)に示した磁性体膜20あるいは磁性体
膜16aを形成した後インダクタ導体12等に対応する
部分のみエッチング等により若干掘り下げればよい。
【0062】図10(C)は、同図(B)に示したイン
ダクタ導体近傍の磁束の流れを示す図であり、インダク
タ導体12近傍の断面を拡大したものである。
【0063】同図(C)に示すように、半導体基板10
とインダクタ導体12との間に形成された磁性体膜16
aが磁路となるため、この磁路に沿った磁束分布とな
り、インダクタ導体12によって発生した磁束はこの磁
路を含む近傍の領域を通ってインダクタ導体12に戻っ
てくる。このように、磁路の一部にのみ磁性体膜16a
を形成した場合であっても、この磁性体膜16aの透磁
率に応じてインダクタ導体12が有するインダクタンス
を大きくすることができる。
【0064】図11は、本実施例の他の変形例を示す図
である。同図に示すインダクタ素子は、インダクタ導体
12を覆う磁性体14の面積を変えており、同図(A)
には磁性体14の面積を1/2にしたインダクタ素子
が、同図(B)には磁性体14の面積を1/4にしたイ
ンダクタ素子が、同図(C)には磁性体14の面積を3
/4より若干小さくしたインダクタ素子がそれぞれ示さ
れている。このように、インダクタ導体12を覆う磁性
体14の面積を変えることにより、インダクタ導体12
が有するインダクタンスもその面積に応じて変化する。
【0065】したがって、インダクタンスが異なる数種
類のインダクタ素子を製造する場合には、図11に示す
ようにインダクタ導体12は同じものを使用し、磁性体
14の面積のみを変えるだけでよく、インダクタンスが
異なる製品体系が形成しやすいという利点がある。
【0066】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が
可能である。
【0067】例えば、上述した実施例においては、イン
ダクタ導体12の形状は渦巻き形状としたが、高周波信
号を使用する場合等においては必ずしも渦巻き形状に限
定する必要はなく、蛇行形状や曲線形状あるいはほぼ直
線形状でもよく、磁性体14で覆った後に所望のインダ
クタンスを得られればよい。
【0068】また、上述した実施例では、磁性体膜16
a,16bとして絶縁性材料を用いたが、メタル粉(M
P)のような導電性材料を用いるようにしてもよい。但
し、このような導電性の磁性体膜を上述した絶縁性の磁
性体膜16a等に置き換えて使用すると、インダクタ導
体12の各周回部分が短絡されてインダクタ導体として
機能しなくなるため、インダクタ導体と導電性の磁性体
膜との間を電気的に絶縁する必要がある。この絶縁方法
としては、インダクタ導体12を酸化して絶縁酸化膜を
形成する方法や、化学気相法等によりシリコン酸化膜あ
るいは窒化膜を形成する方法等がある。このような各種
の方法により絶縁膜を形成するには、例えば図4および
図5を用いて説明した製造工程において、絶縁性磁性体
膜を導電性磁性体膜に置き換えるとともに、磁性体膜を
形成する工程とインダクタ導体を形成する工程との間に
絶縁膜を製造する工程を挿入すればよい。
【0069】特に、メタル粉等の導電性材料は、ガンマ
−フェライト等の絶縁性材料に比べると透磁率が大きい
ため、大きなインダクタンスを確保することができる利
点がある。
【0070】また、上述した実施例では、インダクタ導
体12を半導体基板10の表面に形成する場合を例にと
り説明したが、各インダクタ導体12等は半導体基板1
0の一部をエッチング等により掘り下げて埋没させるよ
うにしてもよい。
【0071】
【発明の効果】上述したように、請求項1または2の発
明によれば、透磁率が大きな磁性体によってインダクタ
導体の少なくとも一部を絶縁性あるいは導電性の磁性体
で覆っており、インダクタ導体の浮遊容量や抵抗値をほ
とんど変えることなくインダクタンスを大きくすること
ができる。
【0072】また、請求項3の発明によれば、インダク
タ導体を渦巻形状に形成するとともに、この渦巻形状の
各周回部分の合間に非磁性体を充填しているため、各周
回部分間に生じる漏れ磁束を最小限に抑えることがで
き、さらに大きなインダクタンスを得ることができる。
【0073】また、請求項4の発明によれば、上述した
絶縁性あるいは導電性の磁性体を第1および第2の磁性
体膜により構成しており、これら第1および第2の磁性
体膜によってインダクタ導体の両面の少なくとも一部を
覆っており、半導体基板上に第1の磁性体膜、インダク
タ導体、第2の磁性体膜の順に形成すればよいことか
ら、製造工程の簡略化が可能となる。
【0074】また、請求項5または6の発明によれば、
請求項4の第1の磁性体膜あるいは第2の磁性体膜のみ
を用いて磁性体を構成しており、インダクタ導体の片側
の面のみをいずれかの磁性体膜で覆った場合であって
も、この磁性体膜の透磁率に応じてインダクタ導体が有
するインダクタンスを大きくすることができる。また、
この場合には、インダクタ導体を形成する前あるいは後
に磁性体膜を形成する工程を1工程追加するだけでよい
ため、製造工程の簡略化が可能となる。
【0075】また、請求項7の発明によれば、インダク
タ導体を覆う磁性体の面積を変えることにより、同一の
インダクタ導体を用いた場合であっても、異なるインダ
クタンスを持たせることが可能になり、大きさがほぼ同
じでインダクタンスが異なる製品体系を形成しやすくな
る。
【0076】また、請求項8の発明によれば、上述した
絶縁性あるいは導電性の磁性体を薄膜形成技術により形
成している。したがって、ICやLSI等の半導体基板
上に超小型のインダクタ導体を形成するような場合であ
っても、容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例のインダクタ素子の概略構造を示す図
である。
【図2】図1に示したインダクタ導体部分の断面を示す
図である。
【図3】図2に示したインダクタ導体近傍の磁束の流れ
を示す図である。
【図4】インダクタ導体の両側に磁性体膜を形成する製
造工程を示す図である。
【図5】インダクタ導体の両側に磁性体膜を形成する製
造工程を示す図である。
【図6】浮遊容量や抵抗値とインダクタンスとの比較検
討に使用したインダクタ導体の平面図である。
【図7】図6のA−A線拡大断面図である。
【図8】浮遊容量や抵抗値とインダクタンスとの比較結
果を示す図である。
【図9】本実施例の変形例を示す図である
【図10】本実施例の他の変形例を示す図である。
【図11】本実施例の他の変形例を示す図である。
【図12】集積化により半導体基板上に形成したインダ
クタの等価回路を示す図である。
【符号の説明】
10 半導体基板 12 インダクタ導体 14 磁性体 16a,16b 磁性体膜

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体基板上にほぼ平面状に形成された
    インダクタ導体と、 前記インダクタ導体の少なくとも一部を覆うことにより
    磁路を形成する絶縁性の磁性体と、 を備え、前記磁性体で前記インダクタ導体の少なくとも
    一部を覆うことにより前記インダクタ導体に大きなイン
    ダクタンスを持たせることを特徴とするインダクタ素
    子。
  2. 【請求項2】 半導体基板上にほぼ平面状に形成された
    インダクタ導体と、 前記インダクタ導体の少なくとも一部を絶縁膜を介して
    覆うことにより磁路を形成する導電性の磁性体と、 を備え、前記磁性体で前記インダクタ導体の少なくとも
    一部を覆うことにより前記インダクタ導体に大きなイン
    ダクタンスを持たせることを特徴とするインダクタ素
    子。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、 前記インダクタ導体は渦巻き形状に形成されており、各
    周回部分の合間に非磁性体材料を充填することを特徴と
    するインダクタ素子。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかにおいて、 前記磁性体は、前記半導体基板の表面であって前記イン
    ダクタ導体との間に形成された第1の磁性体膜と、前記
    インダクタ導体の表面側であって前記第1の磁性体膜と
    ほぼ対向して形成された第2の磁性体膜とにより構成さ
    れることを特徴とするインダクタ素子。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれかにおいて、 前記磁性体は、前記半導体基板の表面であって前記イン
    ダクタ導体との間に形成された第1の磁性体膜により構
    成されることを特徴とするインダクタ素子。
  6. 【請求項6】 請求項1〜3のいずれかにおいて、 前記磁性体は、前記半導体基板上に形成された前記イン
    ダクタ導体のさらに表面側に形成された第2の磁性体膜
    により構成されることを特徴とするインダクタ素子。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかにおいて、 前記磁性体によって前記インダクタ導体を覆う面積を変
    えることにより、異なるインダクタンスを持たせること
    を特徴とするインダクタ素子。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかにおいて、 前記磁性体は、薄膜形成技術により形成することを特徴
    とするインダクタ素子。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002217034A (ja) * 2001-01-19 2002-08-02 Kawasaki Steel Corp 平面磁気素子
JP2002222712A (ja) * 2001-01-26 2002-08-09 Kawasaki Steel Corp Lc複合素子
JP2008072120A (ja) * 2006-09-12 2008-03-27 Commissariat A L'energie Atomique 圧電制御された集積磁性装置
US9153547B2 (en) 2004-10-27 2015-10-06 Intel Corporation Integrated inductor structure and method of fabrication

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