JPH0950916A - 薄膜形磁気素子 - Google Patents

薄膜形磁気素子

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JPH0950916A
JPH0950916A JP7200145A JP20014595A JPH0950916A JP H0950916 A JPH0950916 A JP H0950916A JP 7200145 A JP7200145 A JP 7200145A JP 20014595 A JP20014595 A JP 20014595A JP H0950916 A JPH0950916 A JP H0950916A
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JP
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coil
magnetic
thin
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magnetic element
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JP7200145A
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Inventor
Yasuaki Motoi
康朗 本井
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Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】薄膜導体から形成されたコイルを備える薄膜積
層形のインダクタや変圧器等の磁気素子の単位面積当た
りのインダクタンス値を向上させる。 【構成】磁気素子50の薄膜導体からなるコイル10を複数
の単位コイル11から構成し、単位コイル11を正方形等の
ほぼ方形のスパイラル状に形成してそれらを互いに密接
させて格子状に配列し、互いに隣合う単位コイル11の電
流Iに対する巻き方向が図では左巻き単位コイル11fと
右巻き単位コイル11rとで示すように互いに逆になるよ
うに複数の単位コイル11を相互接続することにより、磁
場Fmを小面積の単位領域DsやDtごとに発生させて内部の
磁路の平均的な長さを短縮し、電流Iによる所定の磁化
力により従来より強い磁場Fmを発生させて磁気素子50の
インダクタンス値を増加させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は薄膜導体から形成された
コイルや磁性薄膜からなる磁心を備えてなり小形の安定
化電源装置等への組み込み用に適するインダクタまたは
変圧器である薄膜形ないしは薄膜積層構造の磁気素子に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年における半導体集積回路装置の高集
積化技術による著しい小形化の進展に伴って小容量電子
装置類の小形化による合理化が進められているが、それ
に磁気素子を組み込む必要がある場合はその体格が大き
い点が合理化上の隘路になっているため磁気素子の小形
化に対する要望が高まっている。例えば、前述の安定化
電源装置では電子回路部分を小チップサイズの集積回路
に作り込むことが可能なのに対して、高周波用のインダ
クタや変圧器である従来構造の磁気素子は体格がそれよ
り1桁以上も大きいのがふつうである。
【0003】このため、薄膜化ないし薄膜積層構造の採
用により磁気素子を従来よりずっと薄形にして、その上
に集積回路装置のチップを実装し,ないしチップ上に半
導体製造技術を利用して組み込むことにより、1チップ
形の電子装置に纏めることが試みられている。この目的
に適する薄膜形の磁気素子としては、ソレノイド形やミ
アンダ形のコイルを採用したものも知られているが、ス
パイラル形のコイルを用いるのが小形で高インダクタン
スが得られる点で有利である。また、内鉄形の構造のも
のも知られているが、薄膜コイルを両側から磁性薄膜の
磁心で挟み込む外鉄形構造の方が外部への磁気漏洩がな
い点で優れている。図6にかかる構造の従来技術による
磁気素子の若干例を展開斜視図により簡略に示す。
【0004】図6(a) に示す磁気素子の従来例では、薄
膜導体からスパイラルに形成されたコイル10を両側から
磁性薄膜の磁心20によって絶縁膜30を介して挟み込む構
造とされる。コイル10の一方の端子はそのスパイラルの
外側から直接導出されるが、他方の端子はスパイラルの
内側からコイル10とは絶縁膜30により絶縁された薄膜導
体からなる接続導体40を介して導出される。図6(b) に
示す磁気素子の異なる従来例では、コイル10が上下2層
に重なるスパイラルに形成され、スパイラルの内側が層
間の絶縁膜30の窓を介して相互に接続され、端子が上下
のスパイラルの外側からそれぞれ導出される。この2層
構成のコイル10が両側から磁心20により絶縁膜30を介し
て挟み込まれる点は図6(a) の例と同じである。これら
いずれの従来例でも、薄膜導体から形成された面状のコ
イル10と,上下1対の磁性薄膜の磁心20と,薄い絶縁膜
30とを積層してなるごく薄形の薄膜積層構造でしかも磁
気漏洩がごく少ない外鉄形構造の磁気素子が得られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述の従来の薄膜形の
磁気素子はそのコイルや磁心の成膜や形成に半導体製造
技術を利用することにより通常の構造よりもずっと小形
でかつ薄形に構成できる利点があるが、単位面積あたり
のインダクタンス値をまだ必ずしも充分に大きくできな
い問題があり、とくに数MHz以上の高周波領域でこのイ
ンダクタンス値が急速に低下してくる傾向がある。前述
の安定化電源等の電子装置では、その使用周波数を高め
ることによっても磁気素子の小形化を図りたいのである
が、高周波領域でインダクタンス値が急速低下するので
は周波数をある限界以上に高めてもほとんど効果が得ら
れないことになる。
【0006】また、図6(a) の従来例ではコイル10のス
パイラルの内側から端子を導出するための接続導体40を
流れる電流によってその付近の磁心20内の磁場が乱れて
磁気素子のインダクタンス値が低下しやすい。また、接
続導体40のコイル10との間に存在する浮遊容量によって
磁気素子の内部キャパシタンスが増加するので、磁気素
子の実効インダクタンス値がさらに低下する問題があ
る。図6(b) の構造ではこの欠点は改善されるが、コイ
ル10が2層構造であるために磁気素子を製造する際にそ
れだけ余分に工程を要する問題がある。
【0007】本発明の目的はかかる問題点を解決して単
位面積あたりのインダクタンス値を高周波領域において
も高くとれる磁気素子を極力簡単な工程で構成できるよ
うにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば上記目的
は、薄膜導体から形成される磁気素子のコイルがそれぞ
れほぼ方形のスパイラルに形成された単位コイルを格子
状に二次元配列して,隣合う単位コイルの巻き方向が互
いに逆方向になるようそれらを相互に接続して構成され
た薄膜形磁気素子により達成される。なお、上記単位コ
イルはもちろんすべて同じ大きさに形成するのがよく、
巻数もほぼ揃えるのが望ましい。また、各単位コイルの
面形状は場合により矩形としてもよいが,ふつうはほぼ
正方形とするのが最も都合がよく、これを格子状に二次
元配列する際には互いに密接して配置することで差し支
えない。さらに、複数の単位コイルの相互間接続はすべ
て直列接続とし,あるいは必要に応じて直並列接続とす
ることができる。
【0009】本発明による磁気素子は場合により磁心が
ない空心でも使用できるが、磁心を設けるのがふつうで
あり、この場合はコイルを両面側から複数個の単位コイ
ルに共通な磁性薄膜からなる面状の磁心で挟み込んだ外
鉄形の構造とするのがよく、さらに単位コイルに対する
接続用の少なくとも一部の薄膜導体を磁心のコイルと逆
の面側に配設するのが有利である。また、磁気素子の高
周波領域における単位面積あたりのインダクタンス値を
極力高める上では、磁心をコイルの方形に対し対角線状
に切られたスリットにより磁心部分に分離して,隣合う
磁心部分の磁化容易軸を互いに直角方向に配向させ、あ
るいは磁心にコイルの方形に対してほぼ十字状にスリッ
トを切り、さらには磁心をごく薄い磁性薄膜と絶縁膜と
を交互に積層した多層構造とするのが有利である。
【0010】
【作用】本発明は前項の構成にいうように磁気素子のコ
イルを複数個のスパイラル形のほぼ方形に形成した単位
コイルから構成し、それらを格子状に配列して隣接する
単位コイルでは巻き方向が互いに逆方向になるように相
互接続することにより、各単位コイルより小面積の磁気
分布上の単位領域ごとに磁場を発生させて所期の課題を
達成するものである。単位コイルが正方形の場合は、こ
の単位領域は隣接する2個の単位コイルの各方形の三角
形の4半分に跨がる範囲内,または各単位コイルの4半
分の範囲内に形成され、単位コイルの2分の1または約
4分の1の面積をもち、もちろん隣合う単位領域では磁
場の方向が互いに異なる。
【0011】このように、従来のコイルより元々小さな
単位コイルよりもさらに小さい単位領域ごとに磁場が発
生するので、単位領域の内部の磁路の平均的な長さが従
来と比べてずっと短くなる。従って、本発明ではコイル
を流れる電流に基づく所定の磁化力によって従来よりも
強い磁場を発生させて、磁気素子の単位面積あたりのイ
ンダクタンス値を増加させることができる。また、外鉄
形磁気素子では磁心を複数の単位コイルに共通に設ける
が磁場が単位領域ごとに発生する点に変わりはないので
同じ効果が得られる。さらに、単位領域が小さいため磁
心内に発生する渦電流の流路長が従来よりずっと短くな
り、周知のとおり渦流損はこの流路長の短縮とともに急
激に減少するので、本発明では磁気素子の渦流損を減少
させるとともにインダクタンス値の高周波特性を向上さ
せることができる。
【0012】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。図1に磁気素子のコイルを4個の単位コイルから
構成する二つの実施例を示し、図2に磁気素子のコイル
の別の二つの実施例を示し、図3に磁心にスリットを設
ける二つの実施例を示し、図4に磁心を多層構造とする
実施例を示し、図5に本発明の磁気素子を変圧器に適用
した実施例を示す。
【0013】図1(a) と図1(b) に示すように、本発明
の磁気素子に用いられるコイル10はいずれも薄膜導体か
ら方形,図の例では正方形のスパイラルパターンにそれ
ぞれ形成された計4個の単位コイル11fと11rと互いに
密接させて格子状に配列してなるが、図1(a) の実施例
ではこれら単位コイル11fと11rがコイル10の1対の端
子PとNの相互間にすべて直列に接続されるのに対し、
図1(b) の実施例では各1個の単位コイル11fと11rを
直列に接続した2個の直列回路が端子PとNの相互間に
並列に接続される点が異なる。
【0014】本発明ではさらにこれら単位コイル11fと
11rを隣同士では必ずスパイラルに流れる電流の巻き方
向が互いに逆方向になるように接続する。図ではコイル
10の端子Pから端子Nに向けて各単位コイルのスパイラ
ルに流れる電流Iが左巻きの場合と右巻きの場合がそれ
ぞれ単位コイルの符号11fと11rの添字fとrにより区
別されている。このように隣接する単位コイル11fと11
rの電流の巻き方向を逆にするために、図1(a) では図
の上下に並ぶ各2個の単位コイル11fと11rをスパイラ
ルの外側で接続し,上側の2個の単位コイル11fと11r
をスパイラルの内側で接続し,かつ下側の2個の単位コ
イル11fと11rのスパイラルの内側からそれぞれ端子P
とNを導出し、図1(b) の場合は上下に並ぶ各2個の単
位コイル11fと11rをスパイラルの内側で接続し,左右
に並ぶ各2個の単位コイル11fと11rをスパイラルの外
側で接続した上で端子PとNを導出する。
【0015】これら図1(a) と図1(b) に示すコイル10
はいずれも通例のようにCu, Al等の薄膜導体を蒸着法や
スパッタ法により数〜数十μmの膜厚に成膜した上でフ
ォトエッチングにより図示のパターンに形成される。代
表的な薄膜導体では数μmのCuの薄膜に 0.1μm程度の
Auのコーティングを施すのがよい。なお、図で破線で示
す接続導体は後述のように例えば図の裏面側に配設され
る。
【0016】図1(c) に以上の図1(a) と図1(b) に示
したコイル10により磁場が発生する様子を示す。図には
コイル10の外輪郭が太線の大きな正方形で, その4個の
単位コイル11の外輪郭が細線の小さな正方形でそれぞれ
示されており、かつ発生する磁場Fmの方向が矢印で示さ
れている。隣接する2個の単位コイル11の電流の巻き方
向が逆なので、これら単位コイル11の正方形内の互いに
接する範囲に磁場Fmが同じ方向に発生する結果、図のよ
うに単位コイル11の外輪郭に対して45度傾いた正方形の
領域Ds内で磁場Fmがほぼ一定の方向に発生する。この領
域Dsは隣接する単位コイル11の正方形内の三角形の4半
分の2個分に跨がる範囲であって、その面積は各単位コ
イル11の2分の1である。以下これを磁場分布上の単位
領域Dsと呼ぶこととする。コイル10の中央部にはこの小
さな正方形の単位領域Dsが図示のように4個できること
になる。
【0017】さらに、各単位コイル11の隣接する単位コ
イル11と接しない範囲には磁場Fmの方向がほぼ一定な三
角形の単位領域Dtが図示のように2個ずつ, 従ってコイ
ル10では合計8個できることになり、これらは各単位コ
イル11の正方形内の三角形の4半分なのでその面積は4
分の1である。このようにコイル10の面内は正方形の単
位領域Dsと三角形の単位領域Dtに分割され、隣合う単位
領域DsとDtでは内部に発生する磁場Fmの方向が図のよう
に90度ずつ異なってくる。
【0018】この図1(c) の磁場分布からわかるよう
に、本発明の磁気素子ではコイル10を構成する単位コイ
ル11よりさらに小さな単位領域DsやDtごとに磁場Fmが発
生し、これら領域内部の磁路の平均長が従来よりずっと
短くなるので、単位コイル11の電流Iによる磁化力が従
来と同じ条件でより強い磁場Fmを発生させて磁気素子の
単位面積あたりのインダクタンス値を高めることができ
る。
【0019】図1(d) と図1(e) にそれぞれ図1(a) と
図1(b) に示したコイル10を1対の磁性薄膜の磁心20に
より上下から挟み込んだ外鉄形構造のインダクタである
磁気素子50を展開斜視図で示す。磁心20は複数の単位コ
イル11に対して共通に設けることでよく、それ用の磁性
薄膜にはCoFeSiB系等の高抵抗でかつ高透磁率の磁性材
料を用いてスパッタ法等によりアモルファス状態に成膜
するのがよい。なお、実際にはコイル10と各磁心20との
間に薄い絶縁膜を介在させるが、図の簡略化のために省
略されていることを了承されたい。
【0020】この外鉄形の磁気素子50では単位コイル11
に対する接続用の少なくとも一部の薄膜導体, とくにそ
のスパイラルの内側用の接続導体40を図示のように磁心
20の外側, つまりコイル10と逆の面側に配設するのがよ
い。図の例では接続導体40は下側の磁心20のさらに下側
に配設されており、磁心20の適所に明けられた窓21の中
で単位コイル11のスパイラルの内側と接続されている。
図1(d) の例ではこの接続導体40により磁気素子50の端
子PとNが導出される。
【0021】これら図1(d) や図1(e) の実施例のよう
に磁心20を複数個の単位コイル11に対して共通に設ける
外鉄形の磁気素子50でも、図1(c) に示したように磁場
Fmが単位領域DsやDtごとに発生する点に変わりはないの
で、磁場Fmを従来より強めて磁気素子50の単位面積あた
りのインダクタンス値を向上できる。なお、磁心40を設
けることにより空心の場合よりインダクタンス値を高め
得る反面、磁心40内に渦電流損失が発生するのは避けら
れないが、本発明では前述の単位領域DsやDtがコイル10
よりずっと小さく, 従って渦電流の流路長が短いので、
渦流損の発生を最低に抑制するとともに高インダクタン
ス値を維持できる周波数領域を従来よりずっと高周波側
に延ばすことができる。
【0022】図2を参照してコイル10の異なる実施態様
を説明する。図2(a) に示す例ではコイル10はすべて直
列接続された6個の単位コイル11fや11rからなり全体
では矩形状に形成される。左下側と上側と右下側の各2
個の単位コイル11fと11rはスパイラルの外側で相互に
接続され、それらのスパイラルの内側は図の裏面側で相
互接続され,ないしはそれから端子PやNが導出され
る。なお、各単位コイル11fと11rを図の左右方向に長
い矩形状に形成することにより、コイル10の全体形状を
ほぼ正方形にするようにしてもよい。
【0023】図2(b) に示す例では、コイル10は合計16
個の単位コイル11fや11rからなる全体では正方形状に
形成され、図の各列に属する4個の単位コイル11fや11
rがそれぞれ直列に接続された4個の直列回路が1対の
端子PとNの相互間に並列に接続される。単位コイル11
fや11rのスパイラルの外側は相互接続,ないしそれか
ら端子PやNが導出され、スパイラルの内側は図の裏面
側で相互接続される。なお、図2(a) と図2(b) の実施
例のいずれでも隣合う単位コイル11fと11rの電流Iに
対する巻き方向が逆になるのは前述のとおりである。
【0024】図3を参照して磁心20に渦流損を減少させ
るためのスリットを設ける実施例を説明する。図は細線
の正方形で示す単位コイル11が図1の実施例と同様に4
個の場合について示す。図3(a) に示す実施例では磁心
20に各単位コイル11の方形の対角線に対応するスリット
22dを設けて、磁心20を図1(c) の単位領域DsとDtに対
応する正方形の磁心部分23sと三角形の磁心部分23tと
に分割するとともに、隣合う磁心部分23sや23tではそ
れら用の磁性薄膜の図では双方向の矢印で示す磁化容易
軸Aeを互いに直角方向に配向させる。渦流損を減少させ
るにはこの磁化容易軸Aeを各磁心部分23sや23t内の磁
場Fmと直交させるのがよい。
【0025】この磁化容易軸Aeの方向は磁心部分23sや
23t用の磁性薄膜をスパッタ法等により成膜する際に磁
場を所定方向に掛けることによって簡単に指定できるの
で、磁化容易軸Aeが図の左右方向と上下方向の磁心部分
23sと23tを2工程に分けて成膜し, かつ例えばリフト
オフ法によりそれぞれパターンニングすることにより図
の複合構造の磁心20が得られる。このように図3(a) の
実施例では、磁心部分23sと23t用の磁性薄膜の磁化容
易軸Aeをその内部の磁場Fmの方向に適合させて磁心20内
の発生渦流損を大幅に減少させることができる。
【0026】図3(b) に示す実施例では、磁心20にスリ
ット22cを各単位コイル11の方形に対してほぼ十字状に
設ける。この十字状のスリット22cは磁心20を複数個の
磁心部分に完全分割してしまうように切ってもよいが、
図示の例では図1(c) の単位領域DsとDtごとに部分的に
磁場Fmと同じ方向に設けられる。スリット22cをごく細
く切るには磁心20にフォトエッチングを施すのがよい。
この図3(b) の実施例では、スリット22cにより単位領
域DsとDtに磁場Fmと直角方向に流れる渦電流の通路を分
断することにより、磁心20用の磁性薄膜を2工程に分け
て成膜することなく渦流損を大幅に減少させることがで
きる。
【0027】図4に磁心20のさらに異なる実施例を示
す。この実施例では磁心20がごく薄い磁性薄膜24と絶縁
膜25を交互に積層した多層構造とされる。この磁心20の
成膜に際しては、例えばスパッタ法により 0.1〜0.3 μ
mの前述のCoFeSiB系等の磁性薄膜24と, 0.05〜0.06μ
mの酸化シリコンの絶縁膜25を交互に数十層に積層して
数μmの厚みの多層膜とすることでよい。各磁性薄膜24
がごく薄いので渦電流はほとんど流れず、磁心20の渦流
損は無視できる程度まで減少する。
【0028】図5に本発明を変圧器である磁気素子51に
適用した実施例を展開斜視図により示す。この磁気素子
51は図1(a) と同じ構造の一次コイル10pと図1(b) と
同じ構造の巻数が少ない二次コイル10sを重ね合わせて
上下から1対の磁心20により挟み込んでなり、一次コイ
ル10pや二次コイル10sと磁心20との間には薄い酸化シ
リコン等の絶縁膜30が, 一次コイル10pと二次コイル10
sの相互間には前者の表面の凹凸を吸収するいわゆる平
坦化膜である例えばポリイミド樹脂のやや厚い絶縁膜31
がそれぞれ配設される。
【0029】このような薄膜積層構造の磁気素子51は例
えば集積回路装置のチップ60の上に半導体プロセスを利
用して作り込まれ、その一次コイル10pと二次コイル10
sを構成する単位コイルのスパイラルの内側がチップ60
の絶縁性の保護膜の表面上に配設され集積回路と接続さ
れた配線および接続用の薄膜導体40と下側の磁心20の窓
21を介して接続される。この薄膜導体40はもちろん別の
絶縁膜30により下側の磁心20と絶縁される。このように
構成される磁気素子51は例えば集積回路装置のチップ50
と一体化された安定化電源に好適である。
【0030】
【発明の効果】以上に説明したとおり本発明の薄膜形磁
気素子では、ほぼ方形のスパイラルにそれぞれ形成され
た複数個の単位コイルを格子状に配列し、隣合う単位コ
イルを電流の巻き方向が互いに逆方向になるように相互
に接続して磁気素子のコイルとするので、磁気素子より
小さな単位コイルよりさらに小面積の磁気分布上の単位
領域ごとに磁場を発生させ、各単位領域内の磁路長を短
縮してコイル電流による一定の磁化力に対して従来より
も格段に強い磁場を発生させることにより、磁気素子の
単位面積あたりのインダクタンス値を増加させることが
できる。
【0031】さらに、コイルを1対の磁心の間に挟み込
んだ外鉄形の磁気素子の場合でも、磁心を複数個の単位
コイルに対し共通に設けるが単位領域ごとに磁場が発生
する点は上述と同じなので、インダクタンス値を増加さ
せる上述の効果が得られる。また磁心内に発生する渦流
損についても、磁気分布上の単位領域がごく小さく,従
って磁心内に流れる渦電流の流路長が短くなるので、従
来と比べてごく僅かであり、これに応じて磁気素子の高
レベルのインダクタンス値とQ値を保証できる周波数領
域を従来よりずっと高周波側に伸ばすことができる。
【0032】なお、単位コイルをほぼ正方形の面形状に
形成する本発明の実施態様は、磁気分布上の単位領域の
大きさを揃えて単位コイルの2分の1ないしは約4分の
1の小面積領域とすることにより、磁気素子の単位面積
あたりのインダクタンス値を増加させる効果を一層確実
にすることができる。また、コイルの面積内に複数の単
位コイルを互いに密接して配列する実施態様は、磁気素
子のもつ面積を有効に利用しながらそのインダクタンス
値を増加させる効果がある。
【0033】複数の単位コイルに共通な1対の磁心によ
りコイルを挟み込んだ外鉄形構造の磁気素子はもちろん
空心の場合よりもインダクタンス値が増加する利点があ
り、この場合に単位コイルのスパイラルの内側端に対す
る接続用の薄膜導体を磁心のコイルとは逆の面側に配設
する実施態様は、接続導体や端子用の引き出し導体に流
れる電流による磁心内の磁場分布の乱れをほぼ皆無にし
てインダクタンス値を増加させる効果を一層確実にする
とともに、磁気素子の内部キャパシタンス値を減少させ
てインダクタンス値の高周波特性を向上する効果があ
る。
【0034】さらに、磁心を単位コイルの方形に対して
対角線状に切られたスリットにより磁心部分に分離し
て、隣合う磁心部分の磁化容易軸を互いに直角に配向す
る実施態様, 磁心に単位コイルの方形に対してほぼ十字
状にスリットを切る実施態様,および磁心をごく薄い磁
性薄膜と絶縁膜とを交互に積層した多層構造とする実施
態様はいずれも高周波領域における磁心の渦流損失を減
少させて磁気素子のインダクタンス値を一層増加させ,
かつQ値を高める効果を有する。
【0035】以上のような種々な利点を備える本発明に
よる薄膜形磁気素子は、安定化電源装置等の小容量電子
装置を小形化を図る上でとくに有利であり、集積回路装
置と一体化した1チップ形の電子装置の実用化に貢献し
得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気素子の実施例をコイルが4個の単
位コイルから構成される場合について示し、同図(a) は
単位コイルを直列接続したコイルの平面図、同図(b) は
単位コイルを直並列接続したコイルの平面図、同図(c)
はコイルによる発生する磁場の分布図、同図(d) は同図
(a) のコイルを備えるインダクタの展開斜視図、同図
(e) は同図(b) のコイルを備えるインダクタの展開斜視
図である。
【図2】磁気素子用のコイルの図1(a) や図1(b) と異
なる実施例を示し、同図(a) は直列接続した6個の単位
コイルからなるコイルの平面図、同図(b) は直並列接続
した16個の単位コイルからなるコイルの平面図である。
【図3】磁心にスリットを切る実施例を示し、同図(a)
は対角線状のスリットを備える磁心の平面図、同図(b)
は十字状のスリットを備える磁心の平面図である。
【図4】磁心を多層構造とする実施例を示す磁心の要部
の断面図である。
【図5】本発明の磁気素子を変圧器に適用した実施例を
示す展開斜視図である。
【図6】磁気素子の従来例を示し、同図(a) は単層のコ
イルを備えるインダクタの展開斜視図、同図(b) は2層
のコイルを備えるインダクタの展開斜視図である。
【符号の説明】
10 磁気素子のコイル 10p 変圧器の一次コイル 10s 変圧器の二次コイル 11 単位コイル 11f 左巻きの単位コイル 11r 右巻きの単位コイル 20 磁心 21 接続用の窓 22c 十字状のスリット 22d 対角線状のスリット 23s 正方形状の磁心部分 23t 三角形状の磁心部分 24 多層構造の磁心用の磁性薄膜 25 多層構造の磁心用の絶縁膜 30,31 絶縁膜 40 単位コイル用の接続導体 50 磁気素子としてのインダクタ 51 磁気素子としての変圧器 60 集積回路装置のチップ Ds 磁気分布上の正方形状の単位領域 Dt 磁気分布上の三角形状の単位領域 I 単位コイルを流れる電流 Fm 磁場 N コイルの負側端子 P コイルの正側端子

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】薄膜導体から形成される磁気素子のコイル
    がそれぞれほぼ方形のスパイラルに形成された単位コイ
    ルを格子状に配列して,隣合う単位コイルの巻き方向が
    互いに逆方向になるよう相互に接続して構成されること
    を特徴とする薄膜形磁気素子。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の素子において、各単位コ
    イルがほぼ正方形の面形状に形成されることを特徴とす
    る薄膜形磁気素子。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の素子において、複数個の
    単位コイルが互いに密接して配列されることを特徴とす
    る薄膜形磁気素子。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の素子において、複数個の
    単位コイルに共通な磁性薄膜からなる面状の磁心によっ
    てコイルが両面側から挟み込まれた外鉄形の構造とされ
    ることを特徴とする薄膜形磁気素子。
  5. 【請求項5】請求項4に記載の素子において、単位コイ
    ルに対する接続用の少なくとも一部の薄膜導体が磁心の
    コイルと逆の面側に配設されることを特徴とする薄膜形
    磁気素子。
  6. 【請求項6】請求項4に記載の素子において、磁心がコ
    イルの方形に対して対角線状に切られたスリットにより
    磁心部分に分離され、隣合う磁心部分の磁化容易軸が互
    いに直角に配向されることを特徴とする薄膜形磁気素
    子。
  7. 【請求項7】請求項4に記載の素子において、磁心にコ
    イルの方形に対してほぼ十字状にスリットが切られるこ
    とを特徴とする薄膜形磁気素子。
  8. 【請求項8】請求項4に記載の素子において、磁心が磁
    性薄膜と絶縁膜とを交互に積層した多層構造とされるこ
    とを特徴とする薄膜形磁気素子。
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