JPH0868436A - 発泡アルミニウム製衝撃エネルギー吸収部材及び製造方法 - Google Patents

発泡アルミニウム製衝撃エネルギー吸収部材及び製造方法

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JPH0868436A
JPH0868436A JP22573994A JP22573994A JPH0868436A JP H0868436 A JPH0868436 A JP H0868436A JP 22573994 A JP22573994 A JP 22573994A JP 22573994 A JP22573994 A JP 22573994A JP H0868436 A JPH0868436 A JP H0868436A
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JP
Japan
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aluminum
absorbing member
compressive stress
energy absorbing
impact
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Application number
JP22573994A
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English (en)
Inventor
Hisashi Hori
久司 堀
Sadanobu Ishikawa
定宣 石川
Shiyouji Oono
昭自 大野
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Nippon Light Metal Co Ltd
Original Assignee
Nippon Light Metal Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 衝突時の反力が小さく、衝撃エネルギーの吸
収能が大きな衝撃吸収部材を得る。 【構成】 嵩比重Gi が0.05〜0.6g/ccの範
囲にある発泡アルミニウム材を複数積層した構造を持
ち、積層体全体の変形量Rp ,圧縮応力σp ,厚さW
p ,定数ap ,bp と単一発泡アルミニウム材の変形量
i ,圧縮応力σi ,嵩比重Gi に応じて一義的に定ま
る定数ai ,bi 及び厚さWi との間に、近似式として の関係が成立している。 【効果】 特性が異なる発泡アルミニウムの積層によ
り、自動車用バンパー,衝撃吸収パッド,路側フェン
ス,内装材,保護容器等の用途に応じて衝撃吸収能を調
整することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、衝撃吸収パッド,保護
容器,道路フェンス,自動車用バンパー,各種交通機関
の内装材等として使用される衝撃吸収部材に関する。
【0002】
【従来の技術】外部から加わった衝撃エネルギーを塑性
変形として吸収する衝撃吸収部材として、金属発泡体が
使用されている。金属発泡体は、弾性変形を利用するゴ
ム,バネ等と異なり、復元性のない塑性変形、すなわち
発泡体自体が破壊される過程で衝撃エネルギーを吸収す
る。塑性変形を利用するとき、弾性復元力等によって一
旦吸収されたエネルギーを相手材に与えることがないの
で、大きな衝撃吸収能を呈する。この種の金属発泡体と
して、たとえば特開昭47−8053号公報では、予め
塑性変形させておくことにより初期衝撃吸収能を高めて
いる。また、特開昭49−40214号公報では、力が
加わる方向に対して直角に穿孔し、空隙率を5〜60%
の範囲に調節することにより、圧縮強度を低下させた衝
撃吸収材が紹介されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】金属発泡体は、大きな
衝撃吸収能を呈するものの、依然として衝突時の反力が
大きい。衝突時の反力は、特開昭49−40214号公
報記載のように金属発泡体を穿孔することにより低減で
きる。しかし、穿孔方向と平行な衝撃に対しては穿孔に
よる効果が小さく、エネルギー吸収能に異方性がある。
また、予め塑性変形させた金属発泡体は、初期変形抵抗
が小さくなるものの、全体としてのエネルギー吸収量が
減少する。本発明は、このような問題を解消すべく案出
されたものであり、特性が異なる金属発泡体を積層する
ことにより、エネルギー吸収量が大きく、衝突時の反力
が小さい衝撃エネルギー吸収部材を提供することを目的
とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の衝撃エネルギー
吸収部材は、その目的を達成するため、嵩比重Gi
0.05〜0.6g/ccの範囲にある発泡アルミニウ
ム材を複数積層した構造を持ち、積層体全体の変形量R
p ,圧縮応力σp ,厚さWp ,定数ap ,bp と単一発
泡アルミニウム材の変形量Ri ,圧縮応力σi ,嵩比重
i に応じて一義的に定まる定数ai ,bi 及び厚さW
i との間に、次式の関係が成立していることを特徴とす
る。
【0005】
【数2】
【0006】この衝撃エネルギー吸収部材は、衝撃吸収
パッド,保護容器,道路フェンス,自動車用バンパー,
各種交通機関の内装材等として使用される。第1発泡ア
ルミニウム材と第2発泡アルミニウム材とは、ろう付け
や接着剤によって一体的に貼り合わされる。このとき、
各発泡体の空隙部がろう材や接着剤で充填されないよう
に、中実のアルミニウム板又は箔を介して重ね合わせる
ことが望ましい。各種材料を圧縮変形させるとき、図1
に示すように材料の性状に応じて変形率と圧縮応力との
関係が異なる。なお、図1における変形率は、[(圧縮
前の厚さ)−(圧縮後の厚さ)]/(圧縮前の厚さ)×
100(%)で表す。衝撃吸収材料として汎用されてい
るポリウレタンフォームでは、加えられた圧縮力に応じ
て弾性変形する領域が非常に小さく、僅かな圧縮力で降
伏強度Aに達する。その後、ほぼ一定した圧縮応力の下
で変形率が上昇するプラトー域ABになる。変形率がB
点を越えると、圧縮応力が急激に立ち上がりC点に達す
る。衝撃エネルギーの吸収量は、図1で示される圧縮応
力の積分値に比例する。
【0007】ポリウレタンフォームは、O−Aの弾性変
形が少ないことから、衝撃反力が小さい利点がある。し
かし、圧縮応力の積分値、すなわち衝撃エネルギーの吸
収量が少なく、優れた衝撃エネルギー吸収材とはいえな
い。発泡アルミニウムは、ポリウレタンフォームに比較
し降伏強度が高いことから、O−Aの弾性変形量が多く
なっている。弾性変形領域を越えると、一定した圧縮応
力の下で変形が進行するプラトー域A−Bになる。プラ
トー域A−Bでは、発泡アルミニウムのセル壁が逐次圧
潰されて塑性変形が進行する。大半のセル壁が圧潰され
ると、圧縮応力が急激に立ち上がり、C点に達する。
【0008】プラトー域A−Bの圧縮応力は、ポリウレ
タンフォームに比較して高いレベルにある。そのため、
圧縮応力の積分値、すなわち衝撃エネルギーの吸収量
は、ポリウレタンフォームに比較して非常に大きく、発
泡アルミニウムが衝撃エネルギー吸収材として適してい
ることが判る。アルミシートの表面にハニカムの六角柱
状空間が直交するように、2枚のアルミシートの間にハ
ニカムを挟んだアルミニウムハニカムは、アルミシート
の面に直交する圧縮力を加えたとき、図1に材料3とし
て示す変形率−圧縮応力曲線をとる。このときの降伏強
度Aは発泡アルミニウムよりも更に高く、降伏強度Aを
超えた時点で圧縮応力が一旦下がり、ハニカムが逐次崩
壊するプラトー域A−Bに至る。
【0009】このようなアルミニウムハニカムは、弾性
変形域O−Aが大きいことから反力が大きく初期衝撃吸
収が劣る衝撃吸収部材となる。また、アルミシートの面
と平行に圧縮応力が加わると、全く異なった変形率−圧
縮応力曲線が示される。すなわち、アルミニウムハニカ
ムで作成した衝撃吸収部材は、衝撃吸収能の異方性が大
きく、所期の衝撃吸収能を得るために相手材に対する取
付け姿勢に制約を受ける。周方向及び軸方向に関してそ
れぞれ複数個の切れ目を付けたアルミニウム円筒を衝撃
吸収部材として使用すると、図1に材料4として示す変
形率−圧縮応力曲線が得られる。このとき、加える圧縮
応力は円筒の軸方向に一致させた。降伏強度Aを超えた
領域にみられる複数の波は、円筒に付けた切れ目ごとに
アルミ素材が圧潰されていく状態を示す。この場合も降
伏強度Aが高く、初期の衝撃吸収に問題がある。また、
円筒の軸方向と半径方向では変形率−圧縮応力曲線が大
きく異なり、アルミニウムハニカムと同様に衝撃吸収能
の異方性に起因する問題をもつ衝撃吸収部材となる。
【0010】以上のように各種材料を対比するとき、降
伏強度が小さく、しかも圧縮応力の積分値が大きい発泡
アルミニウムは、衝突時の反力が小さく、初期衝撃吸収
に優れ、衝撃エネルギーの吸収量が大きいことが要求さ
れる衝撃吸収部材として適している。本発明は、衝撃吸
収部材として優れた特性を呈する発泡アルミニウムの長
所を更に活用すべく開発されたものである。同一材料で
できた発泡アルミニウムは、一般的にいって空隙率に応
じて降伏強度が異なる。そこで、空隙率が異なる発泡ア
ルミニウムを重ね合わせた衝撃吸収部材では、圧縮力が
加わると降伏強度の小さいものから順に圧潰される。そ
のため、衝突時の反発力が小さく、優れた初期衝撃吸収
能が呈される。そして、プラト域A−Bでの圧縮応力
は、降伏強度が大きな発泡アルミニウムに依るところが
大きいことから、結果として圧縮応力の積分値、ひいて
は衝撃エネルギーの吸収量も大きくなる。
【0011】空隙率が異なる発泡アルミニウムは、必要
に応じ適宜の枚数で積層される。積層に際し、嵩比重を
空隙率の目安として各種発泡アルミニウムを重ね合わせ
ることが実用的である。すなわち、嵩比重Gi が0.0
5〜0.6g/ccの範囲にある発泡アルミニウム材を
複数積層するとき、積層体全体の変形量Rp ,圧縮応力
σp ,厚さWp ,定数ap ,bp と単一発泡アルミニウ
ム材の変形量Ri ,圧縮応力σi ,嵩比重Gi に応じて
一義的に定まる定数ai ,bi 及び厚さWi との間に次
式の関係が成立するように各発泡アルミニウム材の物性
を選択する。
【0012】
【数3】 発泡アルミニウムの嵩比重は、アルミニウム溶湯に添加
する発泡剤の種類,粒径,添加量,発泡条件,溶湯の冷
却条件等によって調整される。発泡剤には、SiC,A
23 ,MgO,C等が使用される。発泡処理される
アルミニウムとしては、特別にその材質が制約されるも
のではないが、Al−Si系,Al−Cu系,Al−M
g系,Al−Mn系,純Al系等の全てのアルミニウム
材料が使用される。
【0013】
【作用】嵩比重が異なる発泡アルミニウムを積層した衝
撃吸収部材に圧縮力を加えると、先ず嵩比重が小さい、
換言すれば降伏強度が低い第1発泡アルミニウムが塑性
変形を開始する。塑性変形の開始点は、降伏強度の低下
に応じ衝突の極く早い段階に設定できる。これにより、
衝突時の反力を小さくし、早い段階から衝撃エネルギー
を塑性変形として吸収できる。後続する段階では、降伏
強度の大きな第2発泡アルミニウムが塑性変形する。そ
のため、図1に示したプラトー域A−Bが圧縮応力の高
いレベルになり、圧縮応力の積分値、すなわち衝撃エネ
ルギーの吸収量が大きくなる。
【0014】このとき、第1発泡アルミニウムの嵩比重
と及び第2発泡アルミニウムの嵩比重との組合せを前掲
した条件下で適宜選択することにより、衝突時の反力を
十分に下げ、しかも衝撃エネルギー吸収量が大きなエネ
ルギー吸収部材が得られる。また、嵩比重が相互に異な
る発泡アルミニウムの積層枚数を変えることにより、使
用目的に応じた特性を付与することも可能となる。以上
のことから、図1に示した圧縮応力−変形率曲線を各発
泡アルミニウムについて予め測定し、要求値に見合う空
隙率をもつ第1発泡アルミニウム1及び第2発泡アルミ
ニウムを選択することにより、優れた特性を呈する衝撃
エネルギー吸収部材が得られる。
【0015】
【実施例】 実施例1:(変形率−圧縮応力曲線の策定) 種々の嵩比重Gn (g/cc)をもつ発泡アルミニウム
材料について、変形率En (%)と圧縮応力σn (N/
mm2 )との関係を実験により求めたところ、図2に示
す関係があることが判った。たとえば、嵩比重が0.0
5g/ccの発泡アルミニウム材料では、図2にG0.05
として示す変形率−圧縮応力曲線をもっていた。この変
形率−圧縮応力曲線は、式(1)で示されると見做し、
定数an 及びbn を、個々の嵩比重をもった発泡アルミ
ニウム材料について実験で得られたグラフの数値を次式
(1)に代入することにより算出する。算出結果を表1
に示す。
【0016】
【数4】
【0017】各種発泡アルミニウム材の組合せを設計す
るときは、目標とする吸収エネルギー量から具体的な寸
法を定める。そこで、圧縮応力と変形量との関係が必要
とされる。変形率En (%)と変形量Rn (mm)との
関係は、発泡アルミニウム材料の厚さをWn (mm)と
すると、次式(2)で表される。 En =Rn /Wn ×100 ・・・・(2) 設計上では具体的に変形量Rp が必要なため、圧縮応力
σp と変形量Rp との関係をみつけるには、図3に例示
するように各々の嵩比重Gn に対応するσn とRn との
関係のグラフが必要になる。式(1)及び式(2)か
ら、次式(3)が得られる。すなわち、圧縮応力σn
対応する変形量Rn と厚さWn との関係が式(3)とし
て求められる。
【0018】
【数5】
【0019】ここで、an 及びbn は、各嵩比重Gn
対応して実験式で求められている。したがって、Wn
任意に定めると、それに対応したσn −Rn の曲線が式
(3)の計算から描くことができる(図4)。また、全
体の厚さWp は、設計上の使用条件で決定される。した
がって、指定された厚さWp よりも小となるようにWn
を任意に決定し、それぞれ単独の変形率−圧縮応力曲線
を描く(図4)。図4において、Wp =100mmで変
形量−圧縮応力の関係Wp (Gp )=W100 (G100
が欲しいとき、σn のときのRn =ΣRi が目標の線W
p に乗るようにWi を何本か選定する。具体的には、図
4でσ1 のとき、R3 =R1 +R2 となるようにW25
びW75の2本を選択する。すなわち、Wp を得るのに、
25及びW75の2本を重ねればよいことが判る。これを
一般式でいうと、次式(4)になるようにWi (Gi
を選択する。
【0020】
【数6】
【0021】そして、この関係を満足する曲線の組合せ
をみつけるのに、σ1 ,σ2 ・・・σn をトライアンド
エラーで計算し、Rn =ΣRi となるような曲線を選
ぶ。本発明者等は、多数の実験から、式(4)に従って
目標範囲内にある値Rp が得られることを確認した。式
(3)から変換された式(5)と式(4)から、目標値
p を表す式(6)が求められる。式(6)が本発明の
結果求められた近似的な一般式である。
【0022】
【数7】
【0023】式(6)における定数ai (an )及びb
i (bn )は、式(1)の図2の実測値を代入すること
により、嵩比重Gi (Gn )との関連で実験データから
次のように求められた。
【0024】
【表1】
【0025】表1のデータと式(3)の関係から、たと
えばGn が0.1のとき厚さWn を決めると、圧縮応力
σn 及び変形量Rn のグラフが自由にWn を変化させて
多数描けることが判る。嵩比重Gn を種々変化させたグ
ラフの中から所定のグラフを選び出して合成することに
より、目標値に近似した値Rp を得ることができる。具
体的には、目標値の曲線Wp の厚さWp を設計値の総厚
さ100mm等と定め、次いでGi に対応する定数a
i ,bi を使用して厚さWn を100mm以下で変化さ
せた式(3)を各Gi に対してグラフ化し、単一部材に
関する図4の曲線を多数描く。このとき、ある定数σn
の値に関して単一部材の曲線が目標の曲線よりも必ず左
側にくるように、曲線Wn (Gn )の組合せを選択す
る。これにより、目標値Rp =R1 +R2 +・・・+R
n =ΣRi が成立するよう曲線Wiをいくつか選択す
る。このとき、トータルの厚さWp により制約される範
囲で、厚さWn と嵩比重Gn をもつ曲線の組合せは無数
に存在する。そこで、製造上の容易性を考慮し、最も目
標値に近く、組合せが最も簡単なものを選択して重ね合
わせる。これにより、嵩比重の異なった且つ厚さの異な
ったものを重ね合わせ、所定の目標値Wp をもつ製品が
得られる。
【0026】実施例2:(空隙率が異なる発泡アルミニ
ウムを重ね合わせた特性の調査) 平均粒径10μmのSiC粒子15重量%を含有させた
アルミニウム合金AC4Cを、溶湯の粘性を上げ発泡反
応を促進させるため740℃で溶解した。得られたアル
ミニウム溶湯に空気注入シャフトを挿入し、溶湯温度7
00〜650℃で空気注入シャフトを回転させながら圧
縮空気を溶湯中に吹き込み、発泡層を形成した。この発
泡層をベルト状の回転冷却体上で連続凝固させた後、切
断し、幅600mm,長さ2000mm及び厚み100
〜200mmの発泡アルミニウムを製造した。このと
き、圧縮空気の吹込み流量,空気注入シャフトの回転速
度等を変更することにより、発泡アルミニウムの嵩比重
を0.05〜0.55g/ccの範囲に調整した。
【0027】嵩比重0.05g/ccの発泡アルミニウ
ムを一辺80mmの立方体に切り出し、衝撃力を加えて
変形率−圧縮応力の関係を調査した。調査結果を示す図
5に見られるように、L方向,LT方向,ST方向の何
れに関しても、実質的に同じ変形率−圧縮応力曲線であ
った。このことから、発泡アルミニウムは、衝撃エネル
ギーの吸収能に関し異方性がないことが判る。次に、得
られた発泡アルミニウムを、図6に示すように重ね合わ
せた。すなわち、各発泡アルミニウムを100mm×1
00mmの大きさにサイジングし、第1発泡アルミニウ
ム1と第2発泡アルミニウム2との合計厚みが100m
mとなるように各発泡体1,2の厚みを調節した。ま
た、発泡ウレタンを使用した接着剤層3で、第1発泡ア
ルミニウム1と第2発泡アルミニウム2とを貼り合わせ
た積層体を得た(表2の試験番号1及び2)。
【0028】接着面に直行する衝撃力Fを積層体に加
え、エネルギー吸収量を測定した。衝撃吸収部材として
の使用を考慮したとき、エネルギー吸収能が80%変形
率で1.0×10-4J/mm2 以上、降伏強度を0.1
N/mm2 以下であることが必要である。各組合せ材料
の測定結果を示す表2から明らかなように、嵩比重に関
し本発明で規定した条件下で各発泡アルミニウムを組み
合わせた衝撃エネルギー吸収部材は、何れも十分に高い
エネルギー吸収能を示し、降伏強度が低くなっている。
これに対し、嵩比重が小さい試験番号6の発泡アルミニ
ウムを単体として使用したものでは、降伏強度が小さく
衝突時の反力が低くなっているものの、エネルギー吸収
能が小さい欠点を持っていた。また、エネルギー吸収能
を大きくするため嵩比重を大きく設定した試験番号7〜
10の発泡アルミニウムを単体として使用したもので
は、降伏強度が高く、衝突時の反力が大きかった。な
お、ポリウレタンフォームを使用したものでは、何れの
発泡アルミニウムに比較しても格段に衝撃吸収能が低い
値を示した。
【0029】
【表2】
【0030】試験番号2〜4の衝撃吸収部材について、
変形率−圧縮応力曲線を調査した。調査結果を示す図7
に見られるように、変形率−圧縮応力曲線は、図1に示
した単一層では得られない曲線形状になっており、80
%変形率でのエネルギー吸収量が1.0×10-4J/m
2 以上で降伏強度が0.1N/mm2 以下の要求特性
を満足している。なお、何れの衝撃吸収部材も、変形率
1%程度で降伏点がみられた。嵩比重が異なる4種類の
発泡アルミニウムを積層した試験番号5の衝撃吸収部材
は、図8に示す変形率−圧縮応力曲線をもっていた。こ
の衝撃吸収部材は、衝突時の反力が十分に小さく、衝撃
エネルギーの吸収量が1ケタ大きくなっていた。このこ
とから、非常に優れた特性を呈する衝撃吸収部材として
使用されることが判った。
【0031】実施例3:(側面衝突テスト用パッドの試
作) 自動車の側面に取り付けられる衝突時の緩衝パッドとし
て、図9に示すような嵩比重0.05g/cc及び厚み
100mmの発泡アルミニウム3枚と嵩比重0.10g
/cc及び厚み100mmの発泡アルミニウム2枚と接
着剤で貼り合わせた。設計値として全厚さWp は500
mmである。この組合せは、変形率−圧縮応力曲線が図
10に示した斜線領域に入るように、100mm厚さの
嵩比重が異なる2種類の圧縮応力と変形量曲線から選択
した。得られた衝撃吸収部材を油圧プレスで加圧し、変
形率−圧縮応力曲線を求めた。測定結果を示す図10に
示すように、重ね合わせた発泡アルミニウムは設計計算
で求めた組合せが目標どおり図10の斜線範囲領域に入
った。このことから、発泡アルミニウムを積層した衝撃
吸収部材は、設計値を満足する車両用緩衝パッドとして
優れた特性を呈することが確認された。
【0032】実施例4:(自動車用バンパーとしての使
用) 図11に示すように、バンパーの表面材4に嵩比重0.
05g/ccの発泡アルミニウム5を鋳込んだ。発泡ア
ルミニウム5は、鋳込みによって形成されたものである
ため、表面材4の内面形状に倣って成形された。しか
し、鋳込みに限らず、表面材4の内面形状に対応するよ
うに発泡アルミニウムを切削加工し、得られた発泡アル
ミニウムを表面材4に接着しても良い。発泡アルミニウ
ム5の平坦な面に板厚1.0mmのA1100アルミ板
6を接着し、アルミ板6に嵩比重0.25g/ccの発
泡アルミニウム7を接着した。アルミ板6を介して発泡
アルミニウム5と7とを接着しているので、セル同士の
接着が回避される。発泡アルミニウム7の背面に、アル
ミニウム押出し形材の補強部材8を接着等で取り付け
た。発泡アルミニウム5,7が内装されたバンパーは、
降伏強度が小さく、衝撃エネルギーの吸収量が大きな値
を示した。このことから、衝突時に運転手や同乗車に与
える衝撃が少なく、衝突から運転手や同乗車を保護する
バンパーとして優れた特性を呈することが確認された。
【0033】実施例5:(道路フェンスとしての使用) 図12に示すように、既設のコンクリートフェンス9
に、嵩比重0.54g/ccの発泡アルミニウム10,
11,嵩比重0.25g/ccの発泡アルミニウム12
及び嵩比重0.05g/ccの発泡アルミニウム13の
合計4枚を接着した。使用した各発泡アルミニウム10
〜13は、セルの皮14で板状の表面が形成されている
ことから、その表面に接着剤を直接塗布して貼り合わせ
ることにより積層した。このようにして得られた道路フ
ェンスは、衝突時の反力が小さく、しかも衝撃エネルギ
ーの吸収能が高い値を示した。なお、図12では、各種
発泡アルミニウム10〜13を重ね合わせることにより
道路フェンスを形成しているが、これに拘束されること
なくゴム,合成樹脂フォーム,アルミ形材等を発泡アル
ミニウムと併用することもできる。
【0034】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の衝撃吸
収部材は、嵩比重が異なる発泡アルミニウムを重ね合わ
せることにより、降伏強度が低く、しかも圧縮応力積分
値を増大させている。そのため、衝突時に生じる反力が
押さえられ、大きな吸収量で衝撃エネルギーが吸収さ
れ、自動車用バンパー,衝撃パッド,衝撃緩衝用道路フ
ェンスを構築することができる。また、組み合わせる発
泡アルミニウムの嵩比重の選択によって衝突時の反力や
衝撃エネルギーの吸収能を調節できるため、使用目的に
要求される特性を満足する衝撃吸収部材となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 各種材料についての変形率−圧縮応力曲線
【図2】 嵩比重が異なるものについての変形率と圧縮
応力との関係
【図3】 嵩比重が異なるものについての変形量−圧縮
応力曲線
【図4】 目標値を得るための変形量−圧縮応力曲線
【図5】 発泡アルミニウムの衝撃吸収能に異方性がな
いことを示すグラフ
【図6】 嵩比重が異なる2種の発泡アルミニウムを貼
り合わせた衝撃吸収部材
【図7】 積層状態に応じた衝撃吸収部材の変形率−圧
縮応力曲線
【図8】 発泡アルミニウムを4層積層した衝撃吸収部
材の変形率−圧縮応力曲線
【図9】 側面衝突テスト用パッドの積層構造を示す斜
視図(a)及び断面図(b)
【図10】 同パッドの変形率−圧縮応力曲線
【図11】 車両用バンパーに組み込まれた衝撃吸収部
材の水平断面図(a)及び側断面図(b)
【図12】 道路フェンスに適用した衝撃緩衝部材の斜
視図(a)及び断面図(b)
【符号の説明】
1:第1発泡アルミニウム 2:第2発泡アルミニウ
ム 3:接着剤層 F衝撃力 4:表面材 5,7:発泡アルミニウム
6:アルミ板 8:補強部材 9:既設のコン
クリートフェンス 10〜13:発泡アルミニウム
14:セルの皮

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 嵩比重Gi が0.05〜0.6g/cc
    の範囲にある発泡アルミニウム材を複数積層した構造を
    持ち、積層体全体の変形量Rp ,圧縮応力σp ,厚さW
    p ,定数ap ,bp と単一発泡アルミニウム材の変形量
    i ,圧縮応力σi ,嵩比重Gi に応じて一義的に定ま
    る定数ai ,bi 及び厚さWi との間に、近似式として 【数1】 の関係が成立している発泡アルミニウム製衝撃エネルギ
    ー吸収部材。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の発泡アルミニウム製衝撃
    エネルギー吸収部材を使用した自動車用バンパー。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の発泡アルミニウム製衝撃
    エネルギー吸収部材を使用した衝撃吸収パッド。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の発泡アルミニウム製衝撃
    エネルギー吸収部材を使用した路側フェンス。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の発泡アルミニウム製衝撃
    エネルギー吸収部材を使用した内装材。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の発泡アルミニウム製衝撃
    エネルギー吸収部材でできた保護容器。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の要件を満足し、且つ嵩比
    重が相互に異なる複数の発泡アルミニウム材を接着剤で
    貼り合わせる発泡アルミニウム製衝撃エネルギー吸収部
    材の製造方法。
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