JPH0868373A - 多気筒内燃機関の点火時期制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】筒内圧センサの検出信号に基づいてノッキング
発生の有無を検出して行われる点火時期制御において、
ノッキング発生を確実に回避しつつ、筒内圧センサの異
常時にも点火時期制御を継続させ得るようにする。 【構成】気筒別に設けられた筒内圧センサそれぞれにつ
いて異常検出を行う（Ｓ１）。そして、異常センサ数
（Ｓ２）が所定値を越える場合には、全ての気筒の点火
時期制御を禁止すべく、ノック制御可能フラグに０をセ
ットする（Ｓ３→Ｓ４）。一方、前記異常センサ数が所
定値以下である場合には、センサが異常である気筒につ
いては、他のセンサが正常である気筒のノッキング検出
結果に基づいて点火時期制御を継続させるべく、前記ノ
ック制御可能フラグに１をセットする（Ｓ３→Ｓ５）。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は多気筒内燃機関の点火時
期制御装置に関し、詳しくは、各気筒毎のノッキング検
出結果に基づいて各気筒別に点火時期を制御する装置に
関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から、各気筒毎に筒内圧センサを備
え、これら筒内圧センサの検出信号に基づいてノッキン
グ発生の有無を各気筒毎に検出し、この検出結果に基づ
いて各気筒毎に点火時期を進角・遅角補正する点火時期
制御装置が知られている（特公平４−５７３４号公報等
参照）。

【０００３】また、上記点火時期制御装置においては、
筒内圧センサに異常が生じると、かかるセンサ異常が発
生した気筒については、他のセンサが正常な気筒の中で
一番遅角側に制御されている気筒の点火時期に基づいて
点火を制御するフェイルセーフ制御が行われる場合があ
った。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のよう
に筒内圧センサが異常となっても他の正常な筒内圧セン
サの検出結果を用いて点火時期制御を継続させる構成に
おいて、異常発生の気筒数が多くなってくると、ノッキ
ング検出率の低下（ノッキング検出が可能な気筒数の減
少）によって、センサが異常となった気筒における適切
な点火時期を、センサが正常でなる気筒における点火時
期制御の結果から特定することが困難となり、以て、セ
ンサ異常となった気筒において確実にノッキング発生を
回避することができなくなり、特に、機関の高回転運転
時にノッキングが発生すると機関の破損を招く惧れが生
じるという問題があった。

【０００５】本発明は上記問題点に鑑みなされたもので
あり、筒内圧センサに異常が生じても点火時期制御が極
力継続されるようにする一方、筒内圧センサの異常によ
るノッキング検出率の低下によってノッキングを生じさ
せてしまうことを回避できる点火時期制御装置を提供す
ることを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】そのため請求項１の発明
にかかる多気筒内燃機関の点火時期制御装置は、図１に
示すように構成される。図１において、複数の筒内圧検
出手段は各気筒毎に設けられるものであり、ノッキング
検出手段は、前記筒内圧検出手段で検出される筒内圧に
基づいて各気筒毎にノッキングの発生の有無を検出す
る。

【０００７】そして、点火時期制御手段は、ノッキング
検出手段による検出結果に基づいて点火時期を各気筒別
に制御する。一方、異常検出手段は、前記複数の筒内圧
検出手段それぞれについて異常の有無を検出する。そし
て、点火時期制御停止手段は、異常検出手段で異常の発
生が検出された筒内圧検出手段の数が所定値未満である
ときには、異常検出された筒内圧検出手段を用いた点火
時期制御のみを停止し、前記異常の発生が検出された筒
内圧検出手段の数が前記所定値以上であるときには、前
記点火時期制御手段による点火時期制御を全気筒につい
て停止させる。

【０００８】請求項２の発明にかかる多気筒内燃機関の
点火時期制御装置では、前記点火時期制御停止手段にお
ける前記所定値が、機関運転条件に応じて設定される構
成とした。請求項３の発明にかかる多気筒内燃機関の点
火時期制御装置では、前記点火時期制御手段が、前記異
常検出手段で異常の発生が検出された筒内圧検出手段の
数が所定値未満であるときに、異常検出された筒内圧検
出手段が対応する気筒の点火時期を、他の正常な筒内圧
検出手段によるノッキング検出結果に基づいて制御する
構成とした。

【０００９】

【作用】請求項１の発明にかかる多気筒内燃機関の点火
時期制御装置によると、各気筒毎に設けられた筒内圧検
出手段それぞれについて異常検出がなされ、異常検出さ
れた筒内圧検出手段の数が所定値未満であるときには、
正常である筒内圧検出手段を用いてノッキング検出に基
づく点火時期制御が継続されるが、異常検出された筒内
圧検出手段の数が前記所定値以上になると、たとえ正常
な筒内圧検出手段が残っていてもノッキング検出に基づ
く点火時期制御が全気筒で停止される。

【００１０】請求項２の発明にかかる多気筒内燃機関の
点火時期制御装置では、ノッキング検出に基づく点火時
期制御を全気筒で停止させるか否かの判断基準となる筒
内圧検出手段の異常数を機関運転条件に応じて変化させ
る構成とし、運転条件によって変化するノッキング許容
度に対応して、ノッキング検出に基づく点火時期制御を
極力継続させることができるようにした。

【００１１】請求項３の発明にかかる多気筒内燃機関の
点火時期制御装置では、異常検出された筒内圧検出手段
の数が所定値未満であるときには、筒内圧検出手段が正
常である気筒の点火時期制御をそのまま継続する一方、
筒内圧検出手段が異常であると判別された気筒において
は、前記正常気筒におけるノッキング検出結果に基づい
て点火時期制御を行わせ、結果的に、筒内圧検出手段の
異常が検出された気筒を含めて全気筒で点火時期の進
角，遅角制御が継続される構成とした。

【００１２】

【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。一実施例
の全体システムを示す図２において、６気筒内燃機関１
のシリンダヘッド２には、各気筒毎に点火栓３が設けら
れている。これらの点火栓３は、コントロールユニット
４からの点火時期制御信号により、それぞれのパワート
ランジスタ５及び点火コイル６を介して高電圧を印加さ
れ、これにより火花点火して混合気を着火燃焼させる。
前記コントロールユニット４は、ＣＰＵ，ＲＯＭ，ＲＡ
Ｍ，Ｉ／Ｏを含んで構成されるマイクロコンピュータを
備えている。

【００１３】前記コントロールユニット４は、カムシャ
フト７に直結されたクランク角センサ８からのクランク
角信号に基づいて算出される機関回転数Ｎｅ、及び、エ
アフローメータ（図示省略）により検出される吸入空気
流量Ｑと前記機関回転数Ｎｅとにより算出される基本燃
料噴射量Ｔｐ（＝Ｋ×Ｑ／Ｎｅ：Ｋは定数）に基づいて
基本点火時期（基本点火進角値）を設定する。尚、前記
基本燃料噴射量Ｔｐは、燃料噴射弁（図示省略）の燃料
噴射制御のために算出されるものであり、機関負荷を表
している。

【００１４】また、各気筒に点火栓３の座金として取付
けられた圧電型の筒内圧センサ９（筒内圧検出手段）か
らの信号が前記コントロールユニット４による点火時期
の制御に用いられる。前記筒内圧センサ９は環状の枠内
にピエゾ圧電素子を有していて、点火栓３の座金として
締付けられるものであり、シリンダ内の燃焼圧力が点火
栓３に作用すると、その締付力が増減変化し、これによ
り圧電素子の発生電荷が燃焼圧力に応じて変化するもの
である。具体的には、燃焼圧力が作用すると、筒内圧セ
ンサ９に対する締付力が弱まり、センサ出力が増加す
る。

【００１５】No.1〜No.6の気筒それぞれの筒内圧センサ
９からの信号は、コントロールユニット４に入力され、
コントロールユニット４では、前記筒内圧センサ９から
の信号からバンドパスフィルタなどにより必要な周波数
成分をピックアップしてノッキングの発生の有無を気筒
毎に検出する（ノッキング検出手段）。そして、ノッキ
ング発生が検出された気筒については、点火時期を徐々
に遅角補正する一方、ノッキングの非発生気筒について
は点火時期を徐々に進角補正し、ノッキングが発生しな
い範囲で点火時期を極力進角させる点火時期制御を行う
（点火時期制御手段）。

【００１６】更に、コントロールユニット４は、図３及
び図４のフローチャートに示すように、各筒内圧センサ
９の異常検出を行い、該異常検出結果に基づいて、前記
ノッキング検出に基づく点火時期補正処理を制御する。
尚、本実施例において、点火時期制御手段，異常検出手
段，点火時期制御停止手段としての機能は、前記図３及
び図４のフローチャートに示すように、コントロールユ
ニット４がソフトウェア的に備えている。

【００１７】図３のフローチャートにおいて、まず、ス
テップ１（図中にはＳ１と記してある。以下同様）で
は、各筒内圧センサ９毎に異常の有無を判別する。例え
ば、各筒内圧センサ９の検出信号が予測される機関の筒
内圧変化に対応して変化しているか否かに基づいて判別
し、以て、検出信号の異常を判別する。尚、センサの異
常検出方法を上記の方法に限定するものではなく、断線
・ショート検出であっても良い。

【００１８】ステップ２では、前記ステップ１における
異常検出の結果を受けて、異常判定された筒内圧センサ
９の個数を計数する。そして、ステップ３では、前記異
常判定された筒内圧センサ９の個数が所定値を越えてい
るか否かを判別する。ここで、異常判定されたセンサ個
数が所定値を越えている場合には、ステップ４へ進み、
ノッキング検出に基づく点火時期制御を全気筒について
停止すべく、ノック制御可能フラグに０をセットする。

【００１９】一方、異常判定されたセンサ個数が所定値
以下である場合には、ステップ５へ進み、正常な筒内圧
センサ９を用いた点火時期制御を継続させるべく、前記
ノック制御可能フラグに１をセットする。即ち、前記ノ
ック制御可能フラグは、０がセットされているときに
は、たとえ正常な筒内圧センサ９があってもノッキング
検出に基づく点火制御を全気筒について停止させること
を示し、１がセットされているときにはたとえ異常判定
されている筒内圧センサ９があっても正常判定されてい
る筒内圧センサ９を用いた点火制御を継続させることを
示す。

【００２０】前記ノック制御可能フラグは、図４のフロ
ーチャートにおいて制御情報として用いられる。図４の
フローチャートにおいて、ステップ11では、前記ノック
制御可能フラグの判別を行う。ここで、前記ノック制御
可能フラグに０がセットされているときには、ステップ
12へ進み、たとえ正常な筒内圧センサ９があっても、ノ
ッキング検出に基づく点火制御を行わず、全気筒で基本
点火時期に基づく点火制御を実行する。

【００２１】一方、ステップ11で前記ノック制御可能フ
ラグに１がセットされていると判別されたときには、た
とえ異常検出された筒内圧センサ９があったとしても、
ノッキング検出に基づく点火時期制御を継続させるべ
く、ステップ13へ進む。ステップ13では、点火気筒が筒
内圧センサ９の異常検出がなされた気筒であるか否かを
判別し、筒内圧センサ９が正常である気筒である場合に
は、ステップ14へ進み、その気筒に備えられた筒内圧セ
ンサ９の検出信号に基づいてノッキング発生の有無を判
別する。そして、次のステップ15では、前記ノッキング
発生の有無の判別結果に基づいて当該気筒の点火時期を
進角・遅角補正する。

【００２２】また、ステップ13で点火気筒が筒内圧セン
サ９の異常検出がなされた気筒であると判別された場合
には、ステップ16へ進み、他の筒内圧センサ９が正常な
気筒においてノッキング発生の有無に基づいて制御され
た点火時期に基づいて当該気筒の点火時期を制御する。
具体的には、他のセンサが正常な気筒の中で一番遅角側
に制御されている気筒の点火時期を更に微小角度だけ遅
角補正した点火時期を、前記センサ異常の判定がなされ
ている気筒の点火時期として点火を制御する。又は、他
のセンサが正常な気筒の中で特定気筒の点火時期をその
まま前記センサ異常の判定がなされている気筒の点火時
期として点火制御させる。

【００２３】上記構成によると、各気筒毎に設けられた
筒内圧センサ９の中で異常であるセンサ数が所定値より
も少ないときには、センサ異常が発生した気筒において
も、他の正常な筒内圧センサ９の検出結果に基づいた点
火時期制御が継続されることで、基本点火時期に対する
進角補正が可能であり、燃費，出力の向上が図られる。

【００２４】また、筒内圧センサ９の異常数が前記所定
値を越えると、ノッキング検出率（実際にノッキングが
検出される気筒数）が低下するため、正常なセンサを用
いて検出されたノッキングの有無に基づき制御された点
火時期に基づいてセンサ異常が発生している気筒の点火
を制御した場合に、当該センサ異常気筒において確実に
ノッキング発生を回避することができなくなるが、本実
施例では、この場合に、ノッキング検出結果に基づく点
火制御をセンサが正常な気筒を含めて全気筒で停止させ
るから、ノッキング検出率の低下によってノッキングを
生じさせてしまうことを回避でき、また、気筒間で出力
段差が生じることもない。

【００２５】ところで、前記図３のフローチャートのス
テップ３で異常センサの個数と比較される所定値は、固
定値（例えば６気筒機関で４、４気筒機関で２）であっ
ても良いが、図５に示すように、機関負荷を表す基本燃
料噴射量Ｔｐと機関回転数Ｎｅとをパラメータとするマ
ップに適性値を記憶させておき、そのときの基本燃料噴
射量Ｔｐと機関回転数Ｎｅとに応じて設定する構成とす
ることが好ましい。

【００２６】即ち、機関運転条件によってノッキング発
生の許容度が異なり、高回転，高負荷時には、ノッキン
グ発生が機関に大きなダメージを与えることになるが、
低回転，低負荷時には、比較的ノッキング発生の許容度
が大きいため、高回転，高負荷時ほど所定値を小さく
し、比較的センサ異常数が少なくときでもノッキング検
出に基づく点火時期制御を停止させ、ノッキング発生を
確実に回避できるようにする一方、低回転，低負荷時に
は前記所定値を比較的大きくし、点火時期の進角補正に
よる燃費，出力の向上を優先させるようにする。

【００２７】尚、本実施例では、点火栓３に対して座金
として取付けられるタイプの筒内圧センサを用いたが、
かかるタイプに限定されるものでないことは明らかであ
る。

【００２８】

【発明の効果】以上説明したように、請求項１の発明に
かかる多気筒内燃機関の点火時期制御装置によると、ノ
ッキング検出率の低下によってノッキング発生を確実に
回避することができなくなってしまうことを未然に防止
でき、ノッキング検出に基づく点火時期制御による燃
費，出力の向上効果を得つつ、ノッキング発生を確実に
回避できるという効果がある。

【００２９】請求項２の発明にかかる点火時期制御装置
によると、運転条件に応じて変化するノッキングの許容
度に対応して、ノッキング検出に基づく点火時期制御を
最大限に継続させることができ、ノッキング検出に基づ
く点火時期制御による燃費，出力の向上効果を運転条件
毎に最大限に引き出せるという効果がある。請求項３の
発明にかかる点火時期制御装置によると、筒内圧検出手
段の異常数が少ないときに、異常検出がなされた気筒を
含めて全気筒で点火時期制御を継続させることができ、
ノッキング検出に基づく点火時期制御による燃費，出力
の向上効果を有効に発揮させることができるという効果
がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】請求項１の発明にかかる装置の基本構成を示す
ブロック図。

【図２】本発明の一実施例のシステム構成図。

【図３】実施例における点火時期制御を示すフローチャ
ート。

【図４】実施例における点火時期制御を示すフローチャ
ート。

【図５】実施例においてセンサ異常数の閾値を設定する
マップを示す線図。

【符号の説明】

１ 内燃機関 ３ 点火栓 ４ コントロールユニット ８ クランク角センサ ９ 筒内圧センサ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｆ０２Ｐ 5/15 5/152 5/153 11/00 Ａ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】各気筒毎に設けられた複数の筒内圧検出手
   段と、 該筒内圧検出手段で検出される筒内圧に基づいて各気筒
   毎にノッキングの発生の有無を検出するノッキング検出
   手段と、 該ノッキング検出手段による検出結果に基づいて点火時
   期を各気筒別に制御する点火時期制御手段と、 前記複数の筒内圧検出手段それぞれについて異常の有無
   を検出する異常検出手段と、 該異常検出手段で異常の発生が検出された筒内圧検出手
   段の数が所定値未満であるときには、異常検出された筒
   内圧検出手段を用いた点火時期制御のみを停止し、前記
   異常の発生が検出された筒内圧検出手段の数が前記所定
   値以上であるときには、前記点火時期制御手段による点
   火時期制御を全気筒について停止させる点火時期制御停
   止手段と、 を含んで構成されたことを特徴とする多気筒内燃機関の
   点火時期制御装置。
2. 【請求項２】前記点火時期制御停止手段における前記所
   定値が、機関運転条件に応じて設定されることを特徴と
   する請求項１記載の多気筒内燃機関の点火時期制御装
   置。
3. 【請求項３】前記点火時期制御手段が、前記異常検出手
   段で異常の発生が検出された筒内圧検出手段の数が所定
   値未満であるときに、異常検出された筒内圧検出手段が
   対応する気筒の点火時期を、他の正常な筒内圧検出手段
   によるノッキング検出結果に基づいて制御することを特
   徴とする請求項１又は２に記載の多気筒内燃機関の点火
   時期制御装置。