JPH086557Y2 - 廃棄物回収容器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、例えば使い捨てタイプの注射器等の医療廃
棄物を回収し、加熱滅菌処理するのに用いる廃棄物回収
容器に関する。

（従来の技術） 従来、病院等で発生する医療廃棄物は適当な容器に回
収され、それを回収業者が滅菌処理場まで運搬し、ここ
で、上記廃棄物を上記回収容器と共に、滅菌等のために
加熱処理し、この処理後、これらを破砕して、処理する
ことが行われている。

（考案が解決しようとする問題点） ところで、上記従来構成によれば、次のような問題が
ある。

第１に、廃棄物を回収容器と共に加熱処理するとき、
上記廃棄物から発生した悪臭が回収容器から漏れるおそ
れがあり、これは廃棄物処理の作業性を低下させること
となって好ましくない。

第２に、上記加熱処理時に、その周囲の高温で回収容
器が燃焼すると、これに収容されている廃棄物につい
て、所望の加熱処理ができなくなるおそれがある。

第３に、上記諸点に鑑み、上記回収容器を、悪臭が漏
れない密閉の回収容器にすると共に、不燃性材料で成形
することが考えられる。しかし、このようにすると、回
収容器の各部強度が過大になるなどして、この回収容器
が高価になると共に、重くなって取り扱いがしにくくな
り、更に、加熱処理後の粉砕処理が困難になるおそれが
ある。

（考案の目的） この考案は、上記のような事情に注目してなされたも
ので、上記諸問題を解決することを目的とする。

第１に、廃棄物を回収容器と共に加熱処理するとき、
上記廃棄物から発生する悪臭によって、作業性が低下さ
せられないようにする。

第２に、廃棄物を回収容器と共に加熱処理するとき、
この加熱処理が十分にできるようにする。

第３に、上記目的を達成するものでありながら、安
価、軽量で、かつ、上記加熱処理後の粉砕処理が容易に
できる回収容器の提供を目的とする。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本考案は、箱状に形成さ
れ、その開口部２を開閉蓋３によって閉塞するようにし
た紙製容器本体1aの外周面に不燃性被膜1bを形成してな
る構成を採用するものである。

（実施例） 第１図は本考案の一実施例たる廃棄物回収容器１を示
すものであって、第２図に示すように、箱状に形成され
た紙製容器本体1aと、該容器本体1aの外周面にセラミッ
ク等の不燃材料をコーティングするなどして一体的に形
成された不燃性被膜1bとから構成されている。

また第１図に示すように、上記容器本体1aの開口部２
は、該容器本体1aに一体形成された開閉蓋３と２枚のフ
ラップ4,4とで閉塞されるようになっている。

さらに、上記容器本体1aの底部は、該容器本体1aに一
体形成された４枚の底板５を互いに重合させることによ
って閉塞されている。そして上記各底板５には、その対
角線に沿って谷折線６が形成され、該谷折線６を境にし
て各底板５を二つ折りすることによって、回収容器１を
折り畳むことができ、運搬及び保管の便を計っている。

第３図は廃棄物回収容器１の変形例を示すものであっ
て、一枚のシート状素材を折り曲げ、その折り曲げによ
り重合した部分を固定金具６により一体的に連結するこ
とによって、箱状に形成されており、第１図に示す廃棄
物回収容器１とは、容量が大きくなっている点が異なる
だけである。そして回収容器１の両側板7,7には谷折線
８が形成され、その底板９には山折線10が形成されてお
り、その谷折線８及び山折線10を境にして両側板7,7及
び底板９を二つ折りすることによって、回収容器１を折
り畳むことができるようになっている。

上記廃棄物回収容器１内に回収された医療廃棄物Ａの
処理法の一例を第４図に基づいて説明する。図示する装
置は、上部に加熱滅菌炉12を配置し、下部に粉砕機13を
配置した加熱滅菌粉砕装置であって、加熱滅菌炉12の開
閉蓋12aを仮想線に示すように、開放した後、該加熱滅
菌炉12の加熱滅菌室14内に医療廃棄物Ａを回収した廃棄
物回収容器１を投入する。次に開閉蓋12aを閉鎖した
後、ヒータ15により医療廃棄物Ａを後述のように加熱滅
菌するのに適した温度である150〜300℃程度まで加熱す
る。これによって回収容器１内の医療廃棄物Ａは溶解ま
たは軟化し、該廃棄物Ａに付着する病原菌が完全に死滅
させられる。このとき、回収容器１の開口部２は開閉蓋
３によって密閉されているので、医療廃棄物Ａから発生
した悪臭、煙が回収容器１外へほとんど漏れない。しか
も容器本体1aは紙製であるから、紙材特有の吸臭性によ
って医療廃棄物Ａから発生した悪臭を吸収することがで
きる。さらに容器本体1aが不燃性被膜1bによって保護さ
れているから加熱滅菌温度範囲では、容器本体1aが燃焼
せず、溶解または軟化した医療廃棄物Ａが回収容器１か
ら漏出することがない。

続いて加熱滅菌室14内に冷却空気を導入して医療廃棄
物Ａを冷却した後、駆動装置16により加熱滅菌炉12の底
板12bを仮想線で示すように開放し、医療廃棄物Ａを粉
砕機13内に落下させる。該粉砕機13では、駆動モータ17
によって回転させられる回転刃18と、固定刃19とで医療
廃棄物Ａが粉砕され、集塵箱20内に粉砕廃棄物Ｂが排出
されるものである。なお、廃棄物回収容器１は主として
紙材で形成されているから、きわめて容易に粉砕するこ
とができる。

第５図は上記加熱滅菌粉砕装置による加熱滅菌の実験
結果を示すものであって、80℃の加熱滅菌室14内に廃棄
物Ａを投入し、実験（イ）では最高温度160℃で２分間
保持し、実験（ロ）では最高温度180℃で２分間保持
し、実験（ハ）では最高温度200℃で２分間保持した。

その実験の結果、実験（イ）ではウイルス菌が死滅
し、実験（ロ），（ハ）では有芽胞菌、サーモフイラス
菌、枯草菌が死滅することが確認された。また実験
（イ）〜（ハ）のすべてにおいて、医療廃棄物Ａを回収
した廃棄物回収容器１が燃焼させられることがなかっ
た。

（考案の効果） 本考案によれば、容器本体を紙製としたため、この容
器本体に廃棄物を収容して加熱処理するとき、上記廃棄
物から発生した悪臭は、紙材特有の吸臭性によって吸収
される。

よって、上記容器本体から悪臭の漏れることが抑制さ
れて、廃棄物処理の作業性が低下することが防止され
る。

また、上記容器本体の外周面には不燃性被膜を形成し
てあるため、上記加熱処理時に、上記容器本体が燃焼す
ることが抑制される。

よって、上記加熱処理時に、容器本体中の廃棄物が上
記容器本体から漏出することが防止されて、この加熱処
理が十分になされることとなる。

しかも、回収容器は、上記諸効果を奏するばかりでな
く、これを構成する容器本体は紙製であるため、安価、
軽量であって、取り扱いが容易であり、しかも、加熱処
理後の粉砕処理も容易にできるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例たる廃棄物回収容器の一部切
欠き斜視図、第２図は同横断面図、第３図は廃棄物回収
容器の変形例を示す斜視図、第４図は廃棄物回収容器に
回収した廃棄物を処理するための加熱滅菌粉砕装置の縦
断面図、第５図は同装置による加熱滅菌の実験結果を示
すグラフである。 １…廃棄物回収容器、1a…容器本体、1b…不燃性被膜、
２…開口部、３…開閉蓋、Ａ…廃棄物。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】箱状に形成され、その開口部を開閉蓋によ
   って閉塞するようにした容器本体を備えた廃棄物回収容
   器であって、上記容器本体を紙製とし、この容器本体の
   外周面に不燃性被膜を形成した廃棄物回収容器。