JPH0862472A - ケーブル用遮水材 - Google Patents

ケーブル用遮水材

Info

Publication number
JPH0862472A
JPH0862472A JP6222551A JP22255194A JPH0862472A JP H0862472 A JPH0862472 A JP H0862472A JP 6222551 A JP6222551 A JP 6222551A JP 22255194 A JP22255194 A JP 22255194A JP H0862472 A JPH0862472 A JP H0862472A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
cable
modulus
polymer particles
binder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP6222551A
Other languages
English (en)
Inventor
Masanari Umeda
政成 梅田
Yukio Sakuraba
幸雄 桜場
Shinsuke Niiyama
慎介 仁井山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Riko Co Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Riko Co Ltd
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Riko Co Ltd, Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Riko Co Ltd
Priority to JP6222551A priority Critical patent/JPH0862472A/ja
Publication of JPH0862472A publication Critical patent/JPH0862472A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 T字型およびL字型の遮水性に優れるのみな
らず、光ファイバーケーブルへの巻き付け作業に際して
べとつかず、また乾燥状態での吸水性ポリマー粒子の脱
落もないケーブル用遮水材(遮水性テープ)を提供する
こと。 【構成】 ケーブル用遮水材(遮水性テープ)は、シー
ト基材12の表面に吸水性組成物層14が保持されるも
のであって、その吸水性組成物層14中の吸水性ポリマ
ー粒子16が、モジュラス15〜60kg/cm2 の範
囲の合成ゴム又は熱可塑性エラストマ合成樹脂の有機バ
インダ18を介してシート基材12上に担持されてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光ファイバーケーブル
をはじめとする各種ケーブルの水の侵入を効果的に防止
するケーブル用遮水材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、通信ケーブル、特に光ファイバー
ケーブルの障害のほとんどが、ケーブル内への水の侵入
によるものであり、その水の侵入によって光ファイバー
の強度が劣化したり、あるいは侵入した水が凍結して光
ファイバーを圧迫し、光伝送特性を損なわせる等の問題
を生じさせる。そこでこの光ファイバーケーブル内への
水の侵入を防止したり、たとえ水が侵入してもその侵入
長さを短くする特性を備えた遮水材(遮水性テープ、止
水性テープ、あるいは吸水性テープなどと一般に称され
ている。)が種々提供されている。
【0003】例えば、特開平1−207377号公報に
は、フィルム状基材の表面に、スチレン・ブタジエン・
スチレン樹脂もしくは水素添加型スチレン・ブタジエン
・スチレン樹脂からなる樹脂バインダによって吸水性ポ
リマー粒子層を形成した2層構造の遮水性テープが開示
されている。
【0004】また特開平1−240547号公報には、
シート状基材の表面に吸水性樹脂粉末と、合成樹脂また
は合成ゴムからなる有機バインダと、無機充填剤と、ア
ニオン系またはノニオン系界面活性剤と、有機溶剤から
構成された吸水性ポリマー粒子層を形成した同じく2層
構造の遮水性テープが開示されている。
【0005】そしてこのような2層構造の遮水性テープ
を光ファイバーケーブルに用いるに際しては、周囲にス
ロットを有するスロットロッドのスロット内に光ファイ
バー心線テープを装着し、スロットロッドの周りに前述
の遮水性テープを、吸水性ポリマー粒子層側を内側にし
て押え巻するようにしている。そしてその外側には外被
が巻かれているが、いざその外被にクラックが生じて水
が侵入してくると、その侵入してきた水によって遮水性
テープに担持されていた吸水性ポリマー粒子が水を吸収
して速やかに膨潤し、スロット内に脱落して広がる。こ
れにより水の侵入が長時間にわたって遮断されるもので
ある。
【0006】そしてこのような遮水性テープに要求され
る特性として最も重要なものは、T字型およびL字型の
遮水性である。ここに、T字型の遮水性とは、ケーブル
の外被に何らかの力が加わり、外被に穴又はクラックが
でき、そこから水が侵入したときに、そのケーブルの長
手方向への水の侵入を遮断しようとする特性をいう。ま
たL字型の遮水性とは、ケーブルが外力で切断された場
合にケーブルの断面から水が侵入したときに、そのケー
ブルの長手方向への水の侵入を遮断しようとする特性を
いう。実用上光ファーバーケーブルに対してはT字型お
よびL字型の両方の遮水性が要求される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、シート
状基材(もしくはフィルム状基材)の表面(片面もしく
は両面)に吸水性組成物(吸水性ポリマー粒子)を塗布
した遮水性テープの場合、T字型もしくはL字型の遮水
特性を良くしようとすると、一般的にはそれだけ吸湿性
が高いことになる。したがってこの遮水性テープをスロ
ットロッドの周りに巻きつけるときにその作業環境雰囲
気の湿気によって遮水性テープが吸湿し、その吸湿した
際に組成物中の吸水性ポリマー粒子が粘着性(べとつ
き)を帯び、光ファイバーケーブルへの巻き付け作業に
支障を来したり、その巻き付け用のガイドローラを汚す
場合がある等の問題があった。
【0008】そして前述の特許公開公報に示されるもの
は、いずれも吸湿時にコーティング層がべとつき、ケー
ブル作成時に作業性が低下することを改良するものとし
て提示されたものであるが、しかしこれらの遮水性テー
プはいずれをもってしても、吸湿時のべとつきによる、
ケーブル作成時の作業性低下を充分に改善するものでは
なかった。
【0009】一方遮水性テープが乾燥状態にある場合、
あるいは光ファイバーケーブルへの巻き付け作業環境が
乾燥状態にある場合には、吸水性組成物層中の吸水性ポ
リマー粒子の樹脂粉末がケーブル巻き付け作業時に脱落
するといった問題が生じていた。このように従来技術を
もってしても、T字型およびL字型の遮水性能に優れ、
かつ光ファーバーケーブルへの巻き付け作業性にも優れ
た遮水性テープは存在しなかった。
【0010】本発明は、このような問題点を解決するた
めになされたものであり、その目的とするところは、T
字型およびL字型の遮水性能に優れ、また光ファイバー
ケーブルへの巻き付け作業時のべとつきがなく、巻き付
け不良やガイドローラの汚れ等を生じることもなく、し
かも乾燥時にも吸水性ポリマー粒子の粉末が脱落するこ
ともないケーブル用遮水材を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明のケーブル用遮水材は、シート基材の少なくと
も片側表面に吸水性組成物層が形成されているものであ
って、該吸水性組成物層中の吸水性ポリマー粒子がモジ
ュラス15〜60kg/cm2 の範囲の有機バインダを
介して前記シート基材上に担持されていることを要旨と
するものである。
【0012】ここにシート基材は、ポリエステル繊維,
ポリアミド繊維,ポリプロピレン繊維,ポリエチレン繊
維,ポリアクリル繊維,レーヨン,ビニロン等の不織
布、織物あるいは編物等が挙げられる。これらの合成繊
維の任意の二種類からなる合成繊維を組み合わせたもの
であってもよい。不織布の繊度としては、1〜10デニ
ール、また目付け量としては、10〜70g/m2 程度
が適当である。また吸水性組成物層は、吸水性ポリマー
粒子,有機バインダ,その他界面活性剤,酸化劣化防止
剤,無機充填剤等の添加物が配合されている。
【0013】ここに吸水性ポリマー粒子としては、ポリ
アクリル酸塩架橋体,澱粉−アクリル酸グラフト重合体
の中和物,架橋ポリビニルアルコール変性物,架橋イソ
ブチレン−無水マレイン酸共重合体,ポリエチレンオキ
サイド架橋体,アクリルアミド−アクリル酸架橋重合
体,その他が挙げられる。この吸水性ポリマー粒子は、
水と接触した時にバラバラになってシート基材より脱落
しなければならないが、その粒子形状や粒子径に特に限
定はなく、粒子形状としては、真円形状のものでもいび
つ形状のものでもよい。また粒子径も吸水膨潤速度が遅
くならず、かつシート基材からの脱落が遅れない程度の
大きさ(45〜425μm)の範囲が好ましく、さらに
光ファイバーケーブルのスロットなどの微小間隙の遮水
性を損なわないようにするため45μm以下の粒子径の
ものもある程度(5重量%以上)含まれていることが望
ましい。そしてこれらの吸水性ポリマー粒子は、単独に
あるいは二種類以上を組み合わせて用いるものであって
もよい。また有機バインダとしては、主にゴム系材料と
熱可塑性エラストマー合成樹脂系材料とがある。
【0014】ゴム系材料としては、スチレンブタジエン
ゴム,ブチルゴム,ブタジエンゴム,イソプレンゴム,
エチレン−プロピレンゴム,クロロスルホン化ポリエチ
レンゴム,シリコンゴム,クロロプレンゴム,ポリウレ
タンゴム,アクリルゴム,塩素化ブチルゴム,エピクロ
ルヒドリンゴム,その他が挙げられる。また熱可塑性エ
ラストマー合成樹脂系材料としては、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体,エチレン−プロピレン共重合体,アクリ
ロニトリル−ブタジエン共重合体,スチレン−ブタジエ
ン共重合体,ポリエステル樹脂,ポリアミド樹脂,ウレ
タン樹脂,その他の熱可塑性エラストマ系のものが挙げ
られる。この有機バインダもこれらのゴム材料や合成樹
脂材料を単独に、あるいは二種類以上組み合わせて用い
てもよく、またランダム重合させたものを混在させたも
のであってもよい。
【0015】そしてこの有機バインダのモジュラスとし
ては、遮水性特性(T字型およびL字型)の面で、15
kg/cm2 以下であるとT字型の遮水性が損なわれ、
また60kg/cm2 以上であるとL字型の遮水性が損
なわれる。したがって遮水性特性の面では有機バインダ
のモジュラスとしては、15〜60kg/cm2 の範囲
とした。また光ファイバーケーブルへの巻き付け作業性
の面では、有機バインダのモジュラスが15kg/cm
2 以下であると作業雰囲気の湿気を吸湿してべとつき易
く、また乾燥状態では吸水性ポリマー粒子が脱落し易い
ので好ましくない。好ましくは、有機バインダのモジュ
ラスは、30〜50kg/cm2 の範囲で遮水性(T字
型およびL字型)および作業環境性(粘着性および粒子
脱落性)が改善され、さらに実務的に最適な数値範囲を
示すならば、30〜40kg/cm2 の範囲で最も安定
した遮水性および作業環境特性が得られる。
【0016】さらに本発明では、有機バインダの親水性
を向上させるため界面活性剤を適量配合したり、あるい
は、有機バインダが熱により劣化して変色・硬化するの
を防止するため酸化防止剤を配合するのもよい。界面活
性剤としては、アニオン系界面活性剤,ノニオン系界面
活性剤,カチオン系界面活性剤,カルボン酸金属塩,多
価アルコール,アミノアルコール,線状ポリエーテル,
糖類、糖アルコール,ソルビタン脂肪酸エステル,多価
アルコールのグリシジルエーテル,アルキルホスフェー
トアルカリ金属塩,ポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル等が挙げられる。また光ファイバーケーブル巻き付け
作業時の粘着性(べとつき性)を改善するためシリカな
どの無機充填剤を少量配合してもよい。
【0017】
【実施例】以下に本発明の実施例を図面を参照して詳細
に説明する。図1は、本発明のケーブル用遮水材の一例
を示す拡大断面図である。図示されるように、このケー
ブル用遮水材10は、厚さ0.15mm 程度のポリエス
テル系スパンボンド不織布からなるシート基材12の片
側表面に、吸水性組成物の層14が形成されてなるもの
である。この不織布のポリエステル単糸は繊度2デニー
ル、目付け量としては45g/m2 を目安としている。
一方シート基材上に形成される吸水性組成物は、吸水性
ポリマー粒子16と有機バインダ18とが混練されてな
るもので、これにさらに前述のような界面活性剤,酸化
劣化防止剤,無機充填剤などの添加剤が適宜配合されて
いる。
【0018】この遮水材10は、バインダ樹脂のような
有機バインダをトルエン,メチルエチルケトン,酢酸エ
チル等の有機溶剤に攪拌機を使用して溶解・分散させ、
次にこれに吸水性ポリマー粒子を混合し、さらにその他
の添加剤も必要に応じて混合する。しかる後、これを不
織布などのシート基材12の表面にバーコータ、ロール
コータ等を使用してコーティングして吸水性組成物層1
4を形成することにより製作されている。吸水性組成物
の付着量としては、150g/m2 を目安としている。
【0019】次に、各種の吸水性組成物の配合量を変え
た供試試料により試験を行ったので、その結果を以下に
説明する。供試試料としては次の1〜10を用意した。
尚、以下の説明において、「%」は「重量%」を意味
し、「部」は「重量部」を意味するものとする。
【0020】供試試料1:吸水性組成物としては、イソ
ブチレン−マレイン酸共重合体の金属塩の架橋体である
吸水性樹脂ポリマー(クラレ社製商品名「KIゲル20
1K−F3」)200部に対してブチルゴム(エッソ社
製商品名「エッソブチル#268」)100部を配合
し、その他添加剤として界面活性剤であるポリエチレン
グリコール(日本油脂社製商品名「PEG600」)を
4部配合し、これを繊度2デニール,目付量45g/m
2, 厚さ0.15mm のポリエステル系スパンボンド不
織布のシート基材12上に塗布した。このときの吸水性
組成物層14の厚さも 0.15mmtで、合計0.3mm
tの厚さの遮水性テープ10が得られた。
【0021】供試試料2:吸水性組成物としては、イソ
ブチレン−マレイン酸共重合体の金属塩の架橋体である
吸水性樹脂ポリマー(クラレ社製商品名「KIゲル20
1K−F3」)200部に対して、スチレン−ブタジエ
ン−スチレン熱可塑性エラストマー(シェル化学社製商
品名「カリフレックスTR−1101」)20部および
ブチルゴム(エッソ社製商品名「エッソブチル#26
8」)80部を配合し、その他添加剤としてポリエチレ
ングリコール(日本油脂社製商品名「PEG600」)
の界面活性剤4部およびフェノール系酸化劣化防止剤
0.5 部を配合し、これを前述のポリエステル系スパン
ボンド不織布のシート基材12上に塗布して遮水性テー
プを製作した。供試試料1との主なる違いは、有機バイ
ンダの組成物を変えてバインダモジュラスの値を若干高
くした点である。
【0022】供試試料3:吸水性組成物としては、イソ
ブチレン−マレイン酸共重合体の金属塩の架橋体である
吸水性樹脂ポリマー(クラレ社製商品名「KIゲル20
1K−F3」)200部に対して、スチレン−ブタジエ
ン−スチレン熱可塑性エラストマー(シェル化学社製商
品名「カリフレックスTR−1101」)40部および
ブチルゴム(エッソ社製商品名「エッソブチル#26
8」)60部を配合し、その他添加剤としてポリエチレ
ングリコール(日本油脂社製商品名「PEG600」)
の界面活性剤4部およびフェノール系酸化劣化防止剤
0.5部 を配合し、これを前述のポリエステル系スパン
ボンド不織布のシート基材12上に塗布して遮水性テー
プを製作した。供試試料2との主なる違いは、有機バイ
ンダの組成物であるスチレン−ブタジエン−スチレン熱
可塑性エラストマーとブチルゴムとの配合比率を変えて
バインダモジュラスの値をさらに高くした点である。
【0023】供試試料4:吸水性組成物としては、イソ
ブチレン−マレイン酸共重合体の金属塩の架橋体である
吸水性樹脂ポリマー(クラレ社製商品名「KIゲル20
1K−F3」)200部に対して、スチレン−ブタジエ
ン−スチレン熱可塑性エラストマー(シェル化学社製商
品名「カリフレックスTR−1101」)60部および
ブチルゴム(エッソ社製商品名「エッソブチル#26
8」)40部を配合し、その他添加剤としてポリエチレ
ングリコール(日本油脂社製商品名「PEG600」)
の界面活性剤4部およびフェノール系酸化劣化防止剤1
部を配合し、これを前述のポリエステル系スパンボンド
不織布のシート基材12上に塗布して遮水性テープを製
作した。供試試料2および供試試料3との主なる違い
は、有機バインダの組成物であるスチレン−ブタジエン
−スチレン熱可塑性エラストマーとブチルゴムとの配合
比率をさらに変えてバインダモジュラスの値をさらに高
くした点である。
【0024】供試試料5:吸水性組成物としては、イソ
ブチレン−マレイン酸共重合体の金属塩の架橋体である
吸水性樹脂ポリマー(クラレ社製商品名「KIゲル20
1K−F3」)200部に対して、スチレン−ブタジエ
ン−スチレン熱可塑性エラストマー(シェル化学社製商
品名「カリフレックスTR−1101」)80部および
ブチルゴム(エッソ社製商品名「エッソブチル#26
8」)20部を配合し、その他添加剤としてポリエチレ
ングリコール(日本油脂社製商品名「PEG600」)
の界面活性剤4部およびフェノール系酸化劣化防止剤1
部を配合し、これを前述のポリエステル系スパンボンド
不織布のシート基材12上に塗布して遮水性テープを製
作した。供試試料2、供試試料3および供試試料4との
主なる違いは、有機バインダの組成物であるスチレン−
ブタジエン−スチレン熱可塑性エラストマーとブチルゴ
ムとの配合比率をさらに変えてさらにバインダモジュラ
スの値を高くした点である。
【0025】供試試料6:吸水性組成物としては、イソ
ブチレン−マレイン酸共重合体の金属塩の架橋体である
吸水性樹脂ポリマー(クラレ社製商品名「KIゲル20
1K−F3」)200部に対して、スチレン−ブタジエ
ン−スチレン熱可塑性エラストマー(シェル化学社製商
品名「カリフレックスTR−1101」)100部配合
し、その他添加剤としてポリエチレングリコール(日本
油脂社製商品名「PEG600」)の界面活性剤4部お
よびフェノール系酸化劣化防止剤1部を配合し、これを
前述のポリエステル系スパンボンド不織布のシート基材
12上に塗布して遮水性テープを製作した。供試試料1
との主なる違いは、有機バインダの組成物をブチルゴム
からスチレン−ブタジエン−スチレン熱可塑性エラスト
マーに変えてバインダモジュラスの値をさらに高くした
点である。
【0026】供試試料7〜10は、前述の供試試料4と
ほぼ同程度のバインダモジュラスとなるように配慮して
いるが、その吸水性組成物の配合剤や配合量を変化させ
たものである。 供試試料7:供試試料4と較べて、界面活性剤の添加を
止めたものである。 供試試料8:供試試料4と較べて、界面活性剤の添加量
を10部に増したものである。 供試試料9:供試試料4と較べて、吸水性樹脂ポリマー
をイソブチレン−マレイン酸共重合体の金属塩の架橋体
に代えてアクリル酸金属塩の重合物架橋体(日本触媒化
学社製商品名「アクアリックCS−6HM」)を採用し
ている。 供試試料10:供試試料4と較べて、無機充填剤として
シリカ(日本シリカ社製商品名「ニプシールVN3」)
を10部を追加配合したものである。
【0027】次の表には、その組成表および試験結果を
まとめて示す。試験中のバインダモジュラスの判定、T
型およびL型の遮水性、並びに粘着性(べとつき性)お
よび粒子脱落性のような巻き付け作業性は、次の方法で
測定した。
【0028】
【表1】
【0029】(1)バインダモジュラス 上述の有機バインダにより2mm厚シートの所定の引張
試験サンプルを作成し、これをJIS K6254の低
変形引張試験によりモジュラスを測定した。
【0030】(2)T字型遮水性 図2にT字法の遮水性測定装置の斜視図を示す。この図
2に示した装置では、スロット型ロッドを模した幅1.
6mm、深さ2.0mmのスロット40aを有するスロ
ットバー40にまず厚さ0.4mm 、幅1mmの光ファ
イバー心線テープを4枚入れる。そしてそのスロットバ
ー40のスロット40a上に遮水性テープ10を、その
吸水性組成物層14側をそのスロット40aに対面させ
た状態で設け、さらにその上をシール用ビニルテープ4
2で覆い光ファイバーケーブルと似た構造の模擬ケーブ
ル44を作成する。
【0031】そしてさらにこの模擬ケーブル44のスロ
ット40aの両端をオープンにして水平に置き、その真
ん中に当たる場所のシール用ビニルテープ42を1cm
にわたって剥ぎ取り、その上に給水パイプ46を設け、
この給水パイプ46に高さ1mまで人工海水を満たした
状態でコック(図示せず)を開いて遮水性テープ10に
浸透させ、24時間後にその模擬ケーブル44のスロッ
ト40a内にどの程度の長さまで水が走ってせき止めら
れたかによってT字方向の水走り性を評価した。水の走
った長さの短いものが遮水性に優れ、1m(100c
m)を超えると使用に耐え得ないと判定される。
【0032】(3)L字型遮水性 図3にL字法の遮水性測定装置の斜視図を示す。この図
3に示した装置では、スロット型ロッドを模した幅1.
6mm、深さ2.0mmのスロット40aを有するスロ
ットバー40にまず厚さ0.4mm、 幅1mmの光ファ
イバー心線テープを4枚入れる。そしてそのスロットバ
ー40のスロット40a上に遮水性テープ10を、その
吸水性組成物層14側をそのスロット40aに対面させ
た状態で設け、さらにその上にシール用ビニルテープ4
2で覆い光ファイバーケーブルと似た構造の模擬ケーブ
ル44を作成する。そしてこのスロットバー40のスロ
ット40aの一端に給水パイプ48を設け、この給水パ
イプ48に高さ1mまで人工海水を満たした状態でコッ
ク(図示せず)を開いてスロット40a内に注水し、2
4時間後にその水がスロット40a内にどの程度の長さ
まで走ってせき止められたかによってL字方向の水走り
性を評価した。水の走った長さの短い方がL字型の遮水
性に優れ、10mを超えると使用に耐え得ず、また8m
以下でほぼ良好であると判定される。
【0033】(4)粘着性(べとつき性) シート基材0.15mmtの上に吸水性組成物層0.15
mmtを設けた遮水性テープ0.3mmtを図4に示すよ
うに2枚重ね合わせ、10kg/cm2 の荷重で加圧し
て貼り合わせた後、25℃×65%RH(相対湿度)又
は40℃×95%RHの高湿度雰囲気下に10時間放置
(この実施例では、実際には40℃×95%RHを採
用)する。しかる後遮水性テープを180°剥離試験に
より互いに引き剥がし、そのときに一方の遮水性テープ
のシート基材面に他方の遮水性テープの吸水性組成物層
からくっついてきた吸水性組成物の量を目視により判断
し、良否を判定した。10%以下であれば良(0)、1
0〜50%の範囲であれば普通(△)、50%以上であ
れば不良(×)と判定するものである。
【0034】(5)粒子脱落性 この粒子脱落性は、図5に示したホースラッピング機を
使用して粉落ちの度合を調べた。すなわちある一定条件
(例えば、28℃×65%RH)の乾燥雰囲気状態で外
径20mmのホース50を回転数120rpm,ライン
速度2.74m/min. で回しながら送り、その周り
にテープ幅30mmの遮水性テープ10をラップ幅5m
mで巻き付け、ホース100mにわたって遮水性テープ
10を巻き付けたときの遮水性テープ10より脱落する
吸水性組成物を掻き集め、その粒子脱落量を測定するこ
とにより粒子脱落性を判定するものである。粒子脱落量
が100mg以下であればきわめて良好(◎)、100
〜200mgの範囲であれば良好(○)、200mg以
上であれば不良(×)と判定した。
【0035】しかして上記した表より明かなように、初
めに遮水性をみた場合に、遮水材の吸水性組成物中のバ
インダモジュラスが12kg/cm2(供試試料1) で
はT字型の遮水性が105cmと1m以上の値を示し良
くなく、一方バインダモジュラスが62kg/cm
2(供試試料6) では、L字型の遮水性が10mの値を
示し良くなかった。またバインダモジュラスが50kg
/cm2 (供試試料5)では、L字型の遮水性が8mの
値を示し、かろうじて合格と判断された。したがってT
字型およびL字型の両方の遮水性を満足するためには、
バインダモジュラスの値としておよそ15〜60kg/
cm2、好ましくは15〜50kg/cm2の範囲にある
ことが望まれる。
【0036】一方巻き付け作業性をみた場合、粘着性
(べとつき性)テストではバインダモジュラスがやはり
12kg/cm2(供試試料1) では悪い結果となり、
粒子脱落性テストでも同様の結果となった。またバイン
ダモジュラス23kg/cm2(供試試料2)では、粘
着性および粒子脱落性ともに若干良くはなったが、未だ
充分ではないと判定された。したがって遮水性(T字型
およびL字型)が良く、かつ巻き付け作業性(粘着性お
よび粒子脱落性)が良いとされるバインダモジュラスの
値としては、およそ30〜60kg/cm2好ましくは
30〜50kg/cm2の範囲にあることが望まれる。
【0037】遮水性(T字型およびL字型)および巻き
付け作業性(粘着性および粒子脱落性)のいずれもが最
も安定して得られたのは、供試試料3および4であり、
そのバインダモジュラスの範囲は、30〜40kg/c
2 であることがわかった。
【0038】一方供試試料7〜10からも判るように、
バインダモジュラスが44kg/cm2 程度と良好な値
であっても、界面活性剤を配合しなければ(供試試料
7)、L字型の遮水性が若干悪くなるし、界面活性剤の
配合量を増やせば(供試試料8)、L字型の遮水性が良
化することがわかる。
【0039】また供試試料9から言えることは、吸水性
ポリマー粒子の材料を変えてもバインダモジュラスの値
が変わらない限り直接的には遮水性(T字型およびL字
型)および巻き付け作業性(粘着性および粒子脱落)に
は影響しないように思われる。さらに供試試料10のよ
うに、シリカなどの無機充填剤を配合すると、巻き付け
作業時の粘着性(べとつき性)が改善される傾向にある
ことも明らかになった。
【0040】以上本発明では各種実施例(供試試料)に
ついて試験を行なったが、上記実施例に何ら限定される
ものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各種の
改良変更は可能である。例えば各種の組成物を変えた
り、配合量を変えたりしても本発明がバインダモジュラ
スに着目した点を考慮すれば、本発明に含まれることは
勿論である。
【0041】
【発明の効果】以上実施例について説明したように、本
発明のケーブル用遮水材によれば、シート基材上の吸水
性組成物中のバインダモジュラスを調整することにより
T字型およびL字型の遮水性能が優れるばかりでなく、
光ファイバーケーブルへのこの遮水材の巻き付け作業に
際してのべたつきがなく、また乾燥状態で吸水性ポリマ
ー粒子が脱落することもない。しかも本発明の遮水材
は、シート基材上に吸水性組成物が塗布された2層構造
となっているため、浸水があったときに直接的に光ファ
イバーケーブルのスロット中に脱落して遮水効果を発揮
する。したがって吸水性組成物の塗布量を低く押さえて
も遮水性を満足でき、またその塗布量を押さえることに
より遮水材としての厚さを薄くできて光ファイバーケー
ブルへの巻き付け後のケーブル外径を小さく抑えること
ができ、光ファイバーケーブルとしての経済的効果も大
きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかる遮水材の拡大断面図
である。
【図2】T字法の遮水性測定装置の斜視図である。
【図3】L字法の遮水性測定装置の斜視図である。
【図4】遮水材(遮水性テープ)の粘着性(べとつき
性)測定を説明するための概略構成図である。
【図5】遮水材(遮水性テープ)の粒子脱落性測定を説
明するための概略構成図である。
【符号の説明】
10 遮水材(遮水性テー
プ) 12 シート基材 14 吸水性組成物層 16 吸水性ポリマー粒子 18 有機バインダ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 仁井山 慎介 神奈川県横浜市栄区田谷町1番地 住友電 気工業株式会社横浜製作所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シート基材の少なくとも片側表面に吸水
    性組成物層が形成されているものであって、該吸水性組
    成物層中の吸水性ポリマー粒子がモジュラス15〜60
    kg/cm2 の範囲の有機バインダを介して前記シート
    基材上に担持されていることを特徴とするケーブル用遮
    水材。
JP6222551A 1994-08-23 1994-08-23 ケーブル用遮水材 Pending JPH0862472A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6222551A JPH0862472A (ja) 1994-08-23 1994-08-23 ケーブル用遮水材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP6222551A JPH0862472A (ja) 1994-08-23 1994-08-23 ケーブル用遮水材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0862472A true JPH0862472A (ja) 1996-03-08

Family

ID=16784225

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP6222551A Pending JPH0862472A (ja) 1994-08-23 1994-08-23 ケーブル用遮水材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0862472A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101486535B1 (ko) * 2014-07-02 2015-01-27 (주)로이포스 전선케이블용 차수테이프 제조방법

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101486535B1 (ko) * 2014-07-02 2015-01-27 (주)로이포스 전선케이블용 차수테이프 제조방법

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1715013B1 (en) Waterproof and airtight double-sided pressure-sensitive adhesive tape
JP2011519989A (ja) 接着テープ
KR20100068212A (ko) 도막 보호 시트 및 그 제조 방법
JPH0862472A (ja) ケーブル用遮水材
JPH08248279A (ja) ケーブル用遮水材
JPH08171819A (ja) 層撚型通信ケーブル用遮水材およびそれを用いた層撚型通信ケーブル
JPH07306346A (ja) ケーブル用遮水材
JP2860551B2 (ja) ケーブル用導電性止水テープ
JPH07306343A (ja) ケーブル用遮水材
JP3012384B2 (ja) ケーブル用薄手止水テープ
JPH08170070A (ja) 低目付けタイプ通信ケーブル用遮水材およびそれを用いた通信ケーブル
JP3389047B2 (ja) 止水テープ
JPH07256757A (ja) ケーブル用遮水材の製造方法
JPH0862473A (ja) ケーブル用遮水材
JP3389049B2 (ja) 止水テープ
JPH04357624A (ja) ケーブル用止水テープ
JP3389048B2 (ja) 止水テープ
JP2005129351A (ja) ケーブル用遮水材
JP2002265929A (ja) 止水テープ
JPH07306345A (ja) ケーブル用遮水材
JPH07306344A (ja) ケーブル用遮水材
JP3009913B2 (ja) 光フアイバーケーブル
JPH06235849A (ja) 走水防止材
JP3389050B2 (ja) 止水テープ
JP3529628B2 (ja) 光ケ一ブルの製造方法