JPH0861789A - 冷凍システムの制御装置 - Google Patents
冷凍システムの制御装置Info
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- JPH0861789A JPH0861789A JP21708795A JP21708795A JPH0861789A JP H0861789 A JPH0861789 A JP H0861789A JP 21708795 A JP21708795 A JP 21708795A JP 21708795 A JP21708795 A JP 21708795A JP H0861789 A JPH0861789 A JP H0861789A
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- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F25—REFRIGERATION OR COOLING; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS; MANUFACTURE OR STORAGE OF ICE; LIQUEFACTION SOLIDIFICATION OF GASES
- F25B—REFRIGERATION MACHINES, PLANTS OR SYSTEMS; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS
- F25B2600/00—Control issues
- F25B2600/21—Refrigerant outlet evaporator temperature
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- Feedback Control In General (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 温度膨脹弁に代えて電動膨脹弁を用いる場合
の制御の安定性を改善する。 【解決手段】 冷凍システムは、冷媒を蒸発させるため
の蒸発器4、蒸発器4に流入する冷媒を減圧し、かつそ
の流量を制御するための電動膨脹弁3を備え、電動膨脹
弁は制御回路7で制御される。蒸発器入口に第1の温度
センサー5を設け、蒸発器出口に第2の温度センサー6
を設ける。第2の温度センサー6の出力は位相遅れを与
えるための一次遅れ回路を通される。制御回路7は、第
1の温度センサー5の出力信号と一次遅れ回路を通され
た第2の温度センサー6の出力信号との差信号に基づい
て電動膨脹弁3を制御する。
の制御の安定性を改善する。 【解決手段】 冷凍システムは、冷媒を蒸発させるため
の蒸発器4、蒸発器4に流入する冷媒を減圧し、かつそ
の流量を制御するための電動膨脹弁3を備え、電動膨脹
弁は制御回路7で制御される。蒸発器入口に第1の温度
センサー5を設け、蒸発器出口に第2の温度センサー6
を設ける。第2の温度センサー6の出力は位相遅れを与
えるための一次遅れ回路を通される。制御回路7は、第
1の温度センサー5の出力信号と一次遅れ回路を通され
た第2の温度センサー6の出力信号との差信号に基づい
て電動膨脹弁3を制御する。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は冷凍サイクルの冷媒流量
制御にかかわり、特に蒸発器出口における冷媒の過熱度
を一定に保つ電気駆動冷媒流量制御手段の制御装置に関
する。
制御にかかわり、特に蒸発器出口における冷媒の過熱度
を一定に保つ電気駆動冷媒流量制御手段の制御装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】冷凍サイクルにおける電気駆動冷媒流量
制御手段としては電子膨脹弁、電動膨脹弁と称する減圧
装置が用いられる。従来の冷媒流量制御の構成を図5に
示し、この図に基づきその概要を説明する。1は圧縮機
で、電気駆動冷媒流動制御手段が用いられるときはイン
バータによる回転数可変のものが用いられることが多
い。2は凝縮機、3は電気信号により弁開度が設定され
る電動膨脹弁、4は蒸発器、5は蒸発温度を検出するた
めの第1の温度センサー、6は蒸発器出口の過熱蒸気温
度を検出するための第2の温度センサー、7は制御回路
である。
制御手段としては電子膨脹弁、電動膨脹弁と称する減圧
装置が用いられる。従来の冷媒流量制御の構成を図5に
示し、この図に基づきその概要を説明する。1は圧縮機
で、電気駆動冷媒流動制御手段が用いられるときはイン
バータによる回転数可変のものが用いられることが多
い。2は凝縮機、3は電気信号により弁開度が設定され
る電動膨脹弁、4は蒸発器、5は蒸発温度を検出するた
めの第1の温度センサー、6は蒸発器出口の過熱蒸気温
度を検出するための第2の温度センサー、7は制御回路
である。
【0003】上記の構成からなる冷媒流量制御方法にお
いて、圧縮機1の回転数も制御の対象となる場合及び蒸
発器4または凝縮機2の負荷についても制御の対象とな
る場合など制御すべき要素が複数になるときも含め蒸発
器の蒸発温度とその出口における過熱蒸気温度との温度
差を設定値に保つという制御方法が通常採用されてい
る。すなわち、第1の温度センサー5と第2の温度セン
サー6との差と、冷媒過熱度設定値との差を検出し、前
記制御回路において、検出温度差ΔTにもとづく信号を
発生させ、この電気信号を電動膨脹弁3に出力させて、
その弁開度を設定し、冷媒流量を制御している。
いて、圧縮機1の回転数も制御の対象となる場合及び蒸
発器4または凝縮機2の負荷についても制御の対象とな
る場合など制御すべき要素が複数になるときも含め蒸発
器の蒸発温度とその出口における過熱蒸気温度との温度
差を設定値に保つという制御方法が通常採用されてい
る。すなわち、第1の温度センサー5と第2の温度セン
サー6との差と、冷媒過熱度設定値との差を検出し、前
記制御回路において、検出温度差ΔTにもとづく信号を
発生させ、この電気信号を電動膨脹弁3に出力させて、
その弁開度を設定し、冷媒流量を制御している。
【0004】この制御方法はもともと温度膨脹弁の機能
を生かす制御方法でもあった。電気駆動弁の採用は、そ
れ以前の温度膨脹弁に比較してその制御方式において更
にすぐれた方法がとり得ると考えられたためである。た
とえば、温度膨脹弁の制御信号が圧力差であるのに対
し、上記の電動膨脹弁を駆動させるための信号は電気的
信号であるから、検出温度差ΔTに第1の比例定数K1
を乗じた第1の信号(以下比例項と呼ぶ)、検出温度差
ΔTの時刻についての積分値に第2の比例定数K2 を乗
じた第2の信号(以下積分値と呼ぶ)、及び検出温度差
ΔTの時刻についての微分値に第3の比例定数K3 を乗
じた第3の信号(以下微分項と呼ぶ)を発生させ、これ
によりPID制御が可能である。これに対して上記の温
度膨脹弁はP動作が基本である。
を生かす制御方法でもあった。電気駆動弁の採用は、そ
れ以前の温度膨脹弁に比較してその制御方式において更
にすぐれた方法がとり得ると考えられたためである。た
とえば、温度膨脹弁の制御信号が圧力差であるのに対
し、上記の電動膨脹弁を駆動させるための信号は電気的
信号であるから、検出温度差ΔTに第1の比例定数K1
を乗じた第1の信号(以下比例項と呼ぶ)、検出温度差
ΔTの時刻についての積分値に第2の比例定数K2 を乗
じた第2の信号(以下積分値と呼ぶ)、及び検出温度差
ΔTの時刻についての微分値に第3の比例定数K3 を乗
じた第3の信号(以下微分項と呼ぶ)を発生させ、これ
によりPID制御が可能である。これに対して上記の温
度膨脹弁はP動作が基本である。
【0005】PID制御方式は次の式で示される。 E=K1ΔT+K2∫(ΔT)dt+K3{d(ΔT)/dt} ……(1) ここで E :電気駆動弁に与える開度指令信号 ΔT:検出温度差(T2−T1)−ΔT0 T1 :第1の温度センサーの検知温度 T2 :第2の温度センサーの検知温度 ΔT0 :冷媒過熱度の設定値 K1 :比例項の比例定数 K2 :積分項の比例定数 K3 :微分項の比例定数
【0006】このように冷媒流量制御方法において、電
動膨脹弁は蒸発器の冷媒過熱度を制御する場合、K1・
ΔTの比例項の他にK2・∫(ΔT)dtの積分項及びK3
・d(ΔT)/dtの微分項を有するので、温度膨脹弁に
比して良好な制御を行ない得るものと信ぜられていた。
ところが実際の制御においては、冷凍サイクルの運転に
あたって過熱度制御が不可能となったり、応答性がいち
じるしく悪くなったりする。
動膨脹弁は蒸発器の冷媒過熱度を制御する場合、K1・
ΔTの比例項の他にK2・∫(ΔT)dtの積分項及びK3
・d(ΔT)/dtの微分項を有するので、温度膨脹弁に
比して良好な制御を行ない得るものと信ぜられていた。
ところが実際の制御においては、冷凍サイクルの運転に
あたって過熱度制御が不可能となったり、応答性がいち
じるしく悪くなったりする。
【0007】そこで、その対策として、従来から例えば
次のような提案がなされている。 冷凍サイルの負荷条件が大きく変化すると、蒸発器
の冷媒過熱度制御を適正に行なえなくなると考え、その
理由として次のような考え方を示した。圧力差ΔP1 で
冷凍サイクルが運転されている時、ある検出温度差ΔT
の変化に応じて、一般的(1)式に従うと弁開度Eαか
らEβに増加した場合を考える。
次のような提案がなされている。 冷凍サイルの負荷条件が大きく変化すると、蒸発器
の冷媒過熱度制御を適正に行なえなくなると考え、その
理由として次のような考え方を示した。圧力差ΔP1 で
冷凍サイクルが運転されている時、ある検出温度差ΔT
の変化に応じて、一般的(1)式に従うと弁開度Eαか
らEβに増加した場合を考える。
【0008】この時冷媒の流量増加量はΔM1 であると
する。次に冷凍サイクルの運転のポイントが変化して動
作点の圧力差ΔP2 に移動したとする。このとき、検出
温度差ΔTの変化に応じて弁開度が上記と同様にEα→
Eβに(1)式に従って変化する。このときの変化流量
はΔM2 である。しかしΔP〜ΔMの曲線は弁開度をパ
ラメータとして変化する故、同一検出温度差ΔTが等し
くとも冷媒流量ΔMは等しい値にはならない。
する。次に冷凍サイクルの運転のポイントが変化して動
作点の圧力差ΔP2 に移動したとする。このとき、検出
温度差ΔTの変化に応じて弁開度が上記と同様にEα→
Eβに(1)式に従って変化する。このときの変化流量
はΔM2 である。しかしΔP〜ΔMの曲線は弁開度をパ
ラメータとして変化する故、同一検出温度差ΔTが等し
くとも冷媒流量ΔMは等しい値にはならない。
【0009】即ち、上記のような運転条件による流量制
御弁の流量特性が考慮されていないため、同一膨脹弁の
開度変化量の指令にもかかわらず冷媒流量の変化量が大
きく異なることが応答性の悪いことの主要原因であると
いう考えである。この考え方からは膨脹弁開度を決める
信号の比例項、積分項、微分項の中に含まれる係数が冷
凍サイクルの運転条件によらず一定となっていると運転
条件によって冷媒流量の変化量が変わることがある。そ
こで、冷凍サイクルの凝縮温度も検出し、蒸発器入口温
度と合わせて冷凍サイクルの運転条件を求めて前記の各
係数を補正するようにした制御方法が提案されている
(特開昭61−89454号参照)。
御弁の流量特性が考慮されていないため、同一膨脹弁の
開度変化量の指令にもかかわらず冷媒流量の変化量が大
きく異なることが応答性の悪いことの主要原因であると
いう考えである。この考え方からは膨脹弁開度を決める
信号の比例項、積分項、微分項の中に含まれる係数が冷
凍サイクルの運転条件によらず一定となっていると運転
条件によって冷媒流量の変化量が変わることがある。そ
こで、冷凍サイクルの凝縮温度も検出し、蒸発器入口温
度と合わせて冷凍サイクルの運転条件を求めて前記の各
係数を補正するようにした制御方法が提案されている
(特開昭61−89454号参照)。
【0010】 また、温度膨脹弁との相似から次のよ
うな考え方も提案されている。例えば圧縮機回転数が固
定された図6のシステムにおいて、蒸発器の熱負荷上昇
があり、制御系の外乱として入力された時蒸発温度が若
干上昇し、出口冷媒温度が大きく上昇する。この場合蒸
発器の熱容量は大きいので応答に遅れを生じる。このた
め蒸発器出口の冷媒過熱度は遅れをともなって増大し、
その過熱度信号にもとづき電子膨脹弁開度が大きくなり
冷媒流量を増加させる。しかし蒸発器内冷媒の輸送遅れ
と熱容量が原因で、冷媒流量増大の効果が蒸発器出口に
到達するまでにかなりの時間を要する。また蒸発器内冷
媒の温度検出に用いた温度センサにも応答遅れが存在す
る。
うな考え方も提案されている。例えば圧縮機回転数が固
定された図6のシステムにおいて、蒸発器の熱負荷上昇
があり、制御系の外乱として入力された時蒸発温度が若
干上昇し、出口冷媒温度が大きく上昇する。この場合蒸
発器の熱容量は大きいので応答に遅れを生じる。このた
め蒸発器出口の冷媒過熱度は遅れをともなって増大し、
その過熱度信号にもとづき電子膨脹弁開度が大きくなり
冷媒流量を増加させる。しかし蒸発器内冷媒の輸送遅れ
と熱容量が原因で、冷媒流量増大の効果が蒸発器出口に
到達するまでにかなりの時間を要する。また蒸発器内冷
媒の温度検出に用いた温度センサにも応答遅れが存在す
る。
【0011】すなわち蒸発器と温度センサの応答遅れが
原因で、冷媒流量のフィードバック制御系の不安定条件
が成立する。この不安定条件は電子膨脹弁を用いる場
合、遅れ補償要素を弁駆動電気回路内に挿入することに
より安定化できるという考え方である。この考え方は、
上記の考え方のPID動作のシステムの要素をもち込
む他に位相遅れ−進め要素を持ち込む。この技術思想は
次のような提案となる。
原因で、冷媒流量のフィードバック制御系の不安定条件
が成立する。この不安定条件は電子膨脹弁を用いる場
合、遅れ補償要素を弁駆動電気回路内に挿入することに
より安定化できるという考え方である。この考え方は、
上記の考え方のPID動作のシステムの要素をもち込
む他に位相遅れ−進め要素を持ち込む。この技術思想は
次のような提案となる。
【0012】熱負荷変化入力と冷媒流量変化入力に対し
て共に応答遅れの大きな蒸発器出口冷媒過熱度信号によ
って冷媒流量をフィードバック制御しているためにこの
ような過熱度応答性が悪くなるのだから、膨脹弁の流量
を過熱度信号によってフィードバック制御する系にさら
にサーミスター等で検出される熱交換の為蒸発器に流入
する空気温度信号で弁流量を直接フィードフォワード制
御する系を加えると応答も速やかになり大幅に過熱度応
答を改善できる。
て共に応答遅れの大きな蒸発器出口冷媒過熱度信号によ
って冷媒流量をフィードバック制御しているためにこの
ような過熱度応答性が悪くなるのだから、膨脹弁の流量
を過熱度信号によってフィードバック制御する系にさら
にサーミスター等で検出される熱交換の為蒸発器に流入
する空気温度信号で弁流量を直接フィードフォワード制
御する系を加えると応答も速やかになり大幅に過熱度応
答を改善できる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】しかし上記2種類の技
術思想は、電気駆動流量制御減圧手段の過熱度信号を温
度膨脹弁のときの過熱度信号とほぼ同一の性質のものと
して捕え、その過熱度信号の本質に立ち入らず、これを
そのままにして他の信号を補助的に導入することによっ
て制御性を改善しようとし、かえって制御システムを複
雑にし、所期の効果をあげ得ない。
術思想は、電気駆動流量制御減圧手段の過熱度信号を温
度膨脹弁のときの過熱度信号とほぼ同一の性質のものと
して捕え、その過熱度信号の本質に立ち入らず、これを
そのままにして他の信号を補助的に導入することによっ
て制御性を改善しようとし、かえって制御システムを複
雑にし、所期の効果をあげ得ない。
【0014】実際には、上記のような複雑な制御システ
ムによっても、温度膨脹弁に比して過熱度制御という観
点からは格段にすぐれた制御システムが得られていると
はいえない。コンピュータを用いたサンプリングホール
ド型の最適レギュレータを用いて古典的なPID方式に
代るすぐれた制御の提案もあるが、現在のところこの場
合も過熱度信号の取扱いについては改善されていない。
ムによっても、温度膨脹弁に比して過熱度制御という観
点からは格段にすぐれた制御システムが得られていると
はいえない。コンピュータを用いたサンプリングホール
ド型の最適レギュレータを用いて古典的なPID方式に
代るすぐれた制御の提案もあるが、現在のところこの場
合も過熱度信号の取扱いについては改善されていない。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は以上の問題点を
解決する為になされたもので、冷媒を蒸発させるための
蒸発器と、蒸発器に流入する冷媒を減圧し、かつその流
量を制御するための電気的駆動制御手段と、電気的駆動
制御手段に駆動信号を出力する制御手段とを備える冷凍
システムの制御装置において、蒸発器入口に設けられた
第1の温度センサーと、蒸発器出口に設けられた第2の
温度センサーと、第2の温度センサーの出力に位相遅れ
を与えるための一次遅れ回路と、第1の温度センサーの
出力信号と一次遅れ回路の出力信号との差信号を発生す
る手段と、前記差信号と冷媒過熱度設定信号との偏差信
号を発生する手段とを有し、制御手段は前記偏差信号に
基づいて電気的駆動制御手段を制御することを特徴とす
る。
解決する為になされたもので、冷媒を蒸発させるための
蒸発器と、蒸発器に流入する冷媒を減圧し、かつその流
量を制御するための電気的駆動制御手段と、電気的駆動
制御手段に駆動信号を出力する制御手段とを備える冷凍
システムの制御装置において、蒸発器入口に設けられた
第1の温度センサーと、蒸発器出口に設けられた第2の
温度センサーと、第2の温度センサーの出力に位相遅れ
を与えるための一次遅れ回路と、第1の温度センサーの
出力信号と一次遅れ回路の出力信号との差信号を発生す
る手段と、前記差信号と冷媒過熱度設定信号との偏差信
号を発生する手段とを有し、制御手段は前記偏差信号に
基づいて電気的駆動制御手段を制御することを特徴とす
る。
【0016】また、本発明は、冷媒を蒸発させるための
蒸発器と、蒸発器に流入する冷媒を減圧し、かつその流
量を制御するための電気的駆動制御手段と、電気的駆動
制御手段に駆動信号を出力する制御手段とを備える冷凍
システムの制御装置において、蒸発器入口に設けられた
第1の温度センサーと、蒸発器出口に設けられた第2の
温度センサーと、第1の温度センサーの出力の位相を進
めるための位相進め回路と、第2の温度センサーの出力
に位相遅れを与えるための一次遅れ回路と、位相進め回
路の出力信号と一次遅れ回路の出力信号との差信号を発
生する手段と、前記差信号と冷媒過熱度設定信号との偏
差信号を発生する手段とを有し、制御手段は前記偏差信
号に基づいて電気的駆動制御手段を制御することを特徴
とする。
蒸発器と、蒸発器に流入する冷媒を減圧し、かつその流
量を制御するための電気的駆動制御手段と、電気的駆動
制御手段に駆動信号を出力する制御手段とを備える冷凍
システムの制御装置において、蒸発器入口に設けられた
第1の温度センサーと、蒸発器出口に設けられた第2の
温度センサーと、第1の温度センサーの出力の位相を進
めるための位相進め回路と、第2の温度センサーの出力
に位相遅れを与えるための一次遅れ回路と、位相進め回
路の出力信号と一次遅れ回路の出力信号との差信号を発
生する手段と、前記差信号と冷媒過熱度設定信号との偏
差信号を発生する手段とを有し、制御手段は前記偏差信
号に基づいて電気的駆動制御手段を制御することを特徴
とする。
【0017】
【作 用】本発明は上記の問題点を取り除くため、蒸発
温度を表す電気信号T1(本来は、比例定数を乗じた表
現とすべきであるが簡単のためにT1 と表記する。以下
T 2 、ΔTの表現についても同様とする)と、蒸発器出
口の過熱蒸気温度を表す電気信号T2 との差ΔTを制御
の基本信号として直接に用いることをやめ、上記の電気
信号T2 を一次遅れ回路に通し、それから出たものをT
2'(一次遅れ回路を通して出た信号)とし、蒸発温度を
表す電気信号T1 をその温度センサーの時定数を減少せ
しめる位相進め回路を通し、それから出たものをT1'
(位相進め回路を通して出た信号)としT2'−T1' を
ΔT' としΔT' をΔTに替えて制御の基本信号として
用い、安定した制御を可能にさせる。ここで、温度セン
サーを適当に選ぶことによってT1 を位相進め回路を通
さないで用いても比較的安定した制御が可能である場合
もあることを付言し、(後の実施例で詳細に示す。)こ
の場合も本発明に含まれるものとする。
温度を表す電気信号T1(本来は、比例定数を乗じた表
現とすべきであるが簡単のためにT1 と表記する。以下
T 2 、ΔTの表現についても同様とする)と、蒸発器出
口の過熱蒸気温度を表す電気信号T2 との差ΔTを制御
の基本信号として直接に用いることをやめ、上記の電気
信号T2 を一次遅れ回路に通し、それから出たものをT
2'(一次遅れ回路を通して出た信号)とし、蒸発温度を
表す電気信号T1 をその温度センサーの時定数を減少せ
しめる位相進め回路を通し、それから出たものをT1'
(位相進め回路を通して出た信号)としT2'−T1' を
ΔT' としΔT' をΔTに替えて制御の基本信号として
用い、安定した制御を可能にさせる。ここで、温度セン
サーを適当に選ぶことによってT1 を位相進め回路を通
さないで用いても比較的安定した制御が可能である場合
もあることを付言し、(後の実施例で詳細に示す。)こ
の場合も本発明に含まれるものとする。
【0018】
【実施例】以下、実施例に基づいて説明するが、本発明
のシステムにおける安定性の判断基準について述べる。 (冷凍システムの安定性)フィードバック制御をする冷
凍システム制御の安定性判断は、簡単化されたナイキス
トの安定判別法が一般的な方法であり、ここでもそれを
用いる。すなわちラプラス変換を行なった一巡伝達関数
H(s)であるフィードバックを施した制御回路は、上記
の一巡伝達関数H(s)が、S平面の右半分に極をもたな
い限り、H(s)のSをjωとし、このωを0から∞まで
変化させたときのベクトル軌跡が(−1+j・O)の点
を左に見る場合安定である。伊沢計介著自動制御入門
(オーム社)第135頁参照。
のシステムにおける安定性の判断基準について述べる。 (冷凍システムの安定性)フィードバック制御をする冷
凍システム制御の安定性判断は、簡単化されたナイキス
トの安定判別法が一般的な方法であり、ここでもそれを
用いる。すなわちラプラス変換を行なった一巡伝達関数
H(s)であるフィードバックを施した制御回路は、上記
の一巡伝達関数H(s)が、S平面の右半分に極をもたな
い限り、H(s)のSをjωとし、このωを0から∞まで
変化させたときのベクトル軌跡が(−1+j・O)の点
を左に見る場合安定である。伊沢計介著自動制御入門
(オーム社)第135頁参照。
【0019】上記の安定性判断を冷凍システムに適用す
るには、冷凍システムの蒸発器動特性を明確に知る必要
がある。そこで蒸発器の動特性については別項にその詳
細を述べる。ここではその動特性をもとに、温度膨脹弁
従来の制御方法による電気駆動流量制御減圧手段、本発
明の一実施例としての電気駆動流量制御減圧手段の比較
をし、本発明の方法によってすぐれた安定性が得られる
ことを示す。ただし電気駆動流量制御減圧手段の例とし
て本実施例ではパルスモーター駆動の膨脹弁をその代表
として用い「電動膨脹弁」と表現する。
るには、冷凍システムの蒸発器動特性を明確に知る必要
がある。そこで蒸発器の動特性については別項にその詳
細を述べる。ここではその動特性をもとに、温度膨脹弁
従来の制御方法による電気駆動流量制御減圧手段、本発
明の一実施例としての電気駆動流量制御減圧手段の比較
をし、本発明の方法によってすぐれた安定性が得られる
ことを示す。ただし電気駆動流量制御減圧手段の例とし
て本実施例ではパルスモーター駆動の膨脹弁をその代表
として用い「電動膨脹弁」と表現する。
【0020】従来の制御方法による電動膨脹弁の安定性
の悪さは、それを温度膨脹弁の単なる代替として使用す
ることによる不具合と考えられるので、まず温度膨脹弁
の制御動作について探究する。その結果、温度膨脹弁に
設けた、蒸発器出口の過熱蒸気温度を検知するための感
熱筒(サーモバルブ)に過熱蒸気の温度が伝わり、それ
によって感熱筒内部の充填気体の圧力変化にいたるまで
の伝達関数は近似的に1次遅れ回路が3個直結されてい
るものと見ることができ、一方冷凍システムの動特性は
他の系と比較して複雑なものである故、大きな時定数を
含む系として近似できる。すなわち温度膨脹弁において
は上記の感温筒の特性が実は冷凍システムの大きな時定
数に応ずる動作をし、それによって安定性に寄与してい
るということが判明した。
の悪さは、それを温度膨脹弁の単なる代替として使用す
ることによる不具合と考えられるので、まず温度膨脹弁
の制御動作について探究する。その結果、温度膨脹弁に
設けた、蒸発器出口の過熱蒸気温度を検知するための感
熱筒(サーモバルブ)に過熱蒸気の温度が伝わり、それ
によって感熱筒内部の充填気体の圧力変化にいたるまで
の伝達関数は近似的に1次遅れ回路が3個直結されてい
るものと見ることができ、一方冷凍システムの動特性は
他の系と比較して複雑なものである故、大きな時定数を
含む系として近似できる。すなわち温度膨脹弁において
は上記の感温筒の特性が実は冷凍システムの大きな時定
数に応ずる動作をし、それによって安定性に寄与してい
るということが判明した。
【0021】一方、蒸発温度は温度膨脹弁の場合は蒸発
圧力として直接にダイヤフラムに作用させている故、時
定数を上記感温筒の時定数に比較して甚だ小さな値と見
ることができる。図7は後述するような通常の温度膨脹
弁のベクトル軌跡−ナイキスト線図である。この場合位
相余裕は45°となって十分安定である。(位相余裕は
ベクトル軌跡が原点を中心とし(−1+j・O)点を通
る単位円と交わった点と(−1+j・O)点とが原点に
対して張る角をいう。ベクトル軌跡が(−1+j・O)
に近づけば位相余裕は減少する) 後述のような温度膨脹弁において感温筒のもつ遅れ作用
を除去した場合のベクトル軌跡−ナイキスト線図の1例
を図8に示す。この場合は位相余裕が18°に減少す
る。上記いずれの場合も蒸発温度にかかわる伝達係数の
時定数を0と近似した。
圧力として直接にダイヤフラムに作用させている故、時
定数を上記感温筒の時定数に比較して甚だ小さな値と見
ることができる。図7は後述するような通常の温度膨脹
弁のベクトル軌跡−ナイキスト線図である。この場合位
相余裕は45°となって十分安定である。(位相余裕は
ベクトル軌跡が原点を中心とし(−1+j・O)点を通
る単位円と交わった点と(−1+j・O)点とが原点に
対して張る角をいう。ベクトル軌跡が(−1+j・O)
に近づけば位相余裕は減少する) 後述のような温度膨脹弁において感温筒のもつ遅れ作用
を除去した場合のベクトル軌跡−ナイキスト線図の1例
を図8に示す。この場合は位相余裕が18°に減少す
る。上記いずれの場合も蒸発温度にかかわる伝達係数の
時定数を0と近似した。
【0022】後述するように電動膨脹弁を従来の制御方
法に従ってT2−T1 すなわち温度差ΔTに相当する電
気信号により直接制御したもののベクトル軌跡−ナイキ
スト線図が図9である。図中(−X1,−Y1 )と表示
した軌跡は蒸発温度によるもの、(X2,Y2 )と表示
した軌跡が過熱蒸気温度によるものである。その和が
(Xa,Ya )であるから、ΔTによる直接制御はその
ベクトル軌跡がωの増加にともなって(−1+j・O)
を右側に見ており不安定である。
法に従ってT2−T1 すなわち温度差ΔTに相当する電
気信号により直接制御したもののベクトル軌跡−ナイキ
スト線図が図9である。図中(−X1,−Y1 )と表示
した軌跡は蒸発温度によるもの、(X2,Y2 )と表示
した軌跡が過熱蒸気温度によるものである。その和が
(Xa,Ya )であるから、ΔTによる直接制御はその
ベクトル軌跡がωの増加にともなって(−1+j・O)
を右側に見ており不安定である。
【0023】すなわち従来の制御方法は不安定であるこ
とがわかる。電動膨脹弁の過熱蒸気側信号の伝達関数側
に20秒の一次遅れを与える本発明の一実施例のベクト
ル軌跡−ナイキスト線図を図3に示す。他の条件は図9
と同様とする。図3において過熱蒸気側の信号によるベ
クトル軌跡(X2,Y2 )は原点近傍にあるためこの図
には示されてない。従って蒸発温度側信号のベクトル軌
跡(−X1,−Y1 )と和のベクトル軌跡(Xa,Ya )
が重なっている。あきらかに図9の場合に比較して安定
性が増し位相余裕17°が得られる。
とがわかる。電動膨脹弁の過熱蒸気側信号の伝達関数側
に20秒の一次遅れを与える本発明の一実施例のベクト
ル軌跡−ナイキスト線図を図3に示す。他の条件は図9
と同様とする。図3において過熱蒸気側の信号によるベ
クトル軌跡(X2,Y2 )は原点近傍にあるためこの図
には示されてない。従って蒸発温度側信号のベクトル軌
跡(−X1,−Y1 )と和のベクトル軌跡(Xa,Ya )
が重なっている。あきらかに図9の場合に比較して安定
性が増し位相余裕17°が得られる。
【0024】ただし安定性の比較の上で図8のケースと
大差がないので、更に安定性を増す実施例のベクトル軌
跡−ナイキスト線図を図4に示す。これは蒸発温度にか
かわる安定性を増すため蒸発温度T1 に相当する電気信
号に位相進め回路を入れT1の温度センサーの時定数を
実質的に小さくしたものである。この場合、位相余裕が
54°となって、著しく安定性が増す。この場合も前記
ベクトル軌跡(X2,Y2 )は小さいので図に示されて
いない。
大差がないので、更に安定性を増す実施例のベクトル軌
跡−ナイキスト線図を図4に示す。これは蒸発温度にか
かわる安定性を増すため蒸発温度T1 に相当する電気信
号に位相進め回路を入れT1の温度センサーの時定数を
実質的に小さくしたものである。この場合、位相余裕が
54°となって、著しく安定性が増す。この場合も前記
ベクトル軌跡(X2,Y2 )は小さいので図に示されて
いない。
【0025】次に上記の解析にもとづき電気信号を処理
するための位相遅れ及び位相進め回路を実現するための
手段を説明する。 (一次遅れ回路の例)一次遅れ回路を図10に基づいて
説明する。図10のEinにT2 電気信号を入力し、Eou
t からT2' 電気信号をとり出す。これによって一次遅
れ回路で処理した信号T2' が得られる。すなわちR1,
R2 を抵抗、C1 をコンデンサーとすると、この回路の
伝達関数G1(s)は、
するための位相遅れ及び位相進め回路を実現するための
手段を説明する。 (一次遅れ回路の例)一次遅れ回路を図10に基づいて
説明する。図10のEinにT2 電気信号を入力し、Eou
t からT2' 電気信号をとり出す。これによって一次遅
れ回路で処理した信号T2' が得られる。すなわちR1,
R2 を抵抗、C1 をコンデンサーとすると、この回路の
伝達関数G1(s)は、
【0026】
【数1】
【0027】数値例を示すと、C1〜2μfd,R1〜
0.5MΩ,R2〜9.5MΩのときTI=1、β=20 すなわちGI(jω)=(1+jω)/(1+j20ω) 20秒の一次遅れとなる。
0.5MΩ,R2〜9.5MΩのときTI=1、β=20 すなわちGI(jω)=(1+jω)/(1+j20ω) 20秒の一次遅れとなる。
【0028】(位相進め回路)位相進め回路については
図11に基づいて説明する。図11のEinにT1 に相当
する電気信号を入力し、Eout からT1' に相当する電
気信号をとり出すことによって、蒸発温度に相当する電
気信号は位相進め処理が行なわれる。R1,R2 をそれ
ぞれ抵抗、C2 をコンデンサーとし、この回路の伝達係
数GD(s)は
図11に基づいて説明する。図11のEinにT1 に相当
する電気信号を入力し、Eout からT1' に相当する電
気信号をとり出すことによって、蒸発温度に相当する電
気信号は位相進め処理が行なわれる。R1,R2 をそれ
ぞれ抵抗、C2 をコンデンサーとし、この回路の伝達係
数GD(s)は
【0029】
【数2】
【0030】数値例としてはC2〜1μfd,R2〜1M
Ω、R1=10KΩとすると、α≒0.01 1+STD で温度センサーの時定数を相殺し、αTD〜
0.01秒の時定数が得られる。なおアンプにより1/
α倍に増幅しておく必要がある。本発明の具体的な作用
及び効果を説明する前に本発明の技術思想の背景となる
冷凍システムの蒸発器(すなわち外界から熱を吸収する
ための熱交換器)とそれに流れ込む冷媒量制御システム
を含むサブシステムの基本式を導く、ただし計算の都合
上、下記のような記号を用いる。また念のため特にこと
わらない限り用いる単位については〔 〕内に示す。
Ω、R1=10KΩとすると、α≒0.01 1+STD で温度センサーの時定数を相殺し、αTD〜
0.01秒の時定数が得られる。なおアンプにより1/
α倍に増幅しておく必要がある。本発明の具体的な作用
及び効果を説明する前に本発明の技術思想の背景となる
冷凍システムの蒸発器(すなわち外界から熱を吸収する
ための熱交換器)とそれに流れ込む冷媒量制御システム
を含むサブシステムの基本式を導く、ただし計算の都合
上、下記のような記号を用いる。また念のため特にこと
わらない限り用いる単位については〔 〕内に示す。
【0031】 記号 (説明) 〔単位〕 A 蒸発器の断面積 〔m2 〕 C 比熱 〔Jkg-1K-1〕 C1 圧縮機の特性値 C2 膨脹弁の特性値 di 蒸発器の内径 〔m〕 do 蒸発器の外径 〔m〕 h 比エンタルピー 〔Jkg-1〕 hi 蒸発器に入る冷媒の比エンタルピー 〔Jkg-1〕 L 蒸発器の長さ 〔m〕 m 二相部にある冷媒の質量 〔kg〕 p 圧力 〔Pa〕 t 時間 〔s〕 T 温度 〔K〕 To 蒸発器において熱交換するために入る外部空気の温度 〔K〕 TSL 蒸発器終端部の加熱ガスの温度 〔K〕 x 蒸発器の入口から蒸発器に沿う座標 〔m〕 y 二相部の長さ(遷移点の座標) 〔m〕 v 冷媒の比体積 〔m3kg-1〕 α 二相部の1つのシステムと見たときのシステム平均ボイド率 αo 蒸発器の外面と空気との熱伝達係数 〔W・m-2K-1〕 αi 二相部における蒸発器内面と冷媒との熱伝達係数 〔W・m-2K-1〕 αis 過熱部における蒸発器内面と冷媒との熱伝達係数 〔W・m-2K-1〕 φ 質量流量 〔kgs-1〕 φi 膨脹弁に入る質量流量 〔kgs-1〕 ρ 密度 〔kgm-3〕
【0032】下添字としては b 感温筒を示す e 蒸発器を示す(Te:蒸発温度) l 液を示す s 過熱蒸気を示す(Ts:過熱蒸気温度) v 蒸気を示す w 蒸気器の壁を示す 定常状態を示す場合添字oを用いる。
【0033】伝達関数を示すためにHを用いる。いずれ
もラプラス変換をしたものとする。 H1(s)=Te(s)/φi(s) H2(s)=TSL(s)/φi(s) (TSLは蒸発器終端の冷
媒温度) Hj1(s)=1/(1+τ1S) 蒸発温度センサーの
伝達関数 Hj2(s)=1/(1+τ2S)(1+τ3S) 過熱蒸発
温度センサーと吸込パイプ壁面を熱が通過するための伝
達関数 Hc2(s)=1/(1+τ4S) 制御伝達関数
もラプラス変換をしたものとする。 H1(s)=Te(s)/φi(s) H2(s)=TSL(s)/φi(s) (TSLは蒸発器終端の冷
媒温度) Hj1(s)=1/(1+τ1S) 蒸発温度センサーの
伝達関数 Hj2(s)=1/(1+τ2S)(1+τ3S) 過熱蒸発
温度センサーと吸込パイプ壁面を熱が通過するための伝
達関数 Hc2(s)=1/(1+τ4S) 制御伝達関数
【0034】微分の符号としては ρl'≡dρl(s)/dTe(s) ρv'≡dρv(s)/dTe(s) hl'≡dhl(s)/dTe(s) hv'≡dhv(s)/dTe(s) αi'≡dαi(s)/dψi(s) αis'≡dαi(s)/dψv(s)
【0035】但し τ1 温度センサーの時定数(秒) τ2 過熱蒸気温度センサーの時定数(秒) τ3 吸込パイプ壁面の時定数(秒) τ4 制御の時定数(秒)
【0036】この説明に用いる蒸発器を図15にもとづ
き次のようにモデル化する。内径di の一本の長いパイ
プがある(パイプの有効長さL)。このパイプの外部に
フインを付け、外部面積は内部面積のR倍である。従っ
て単位長さあたりの外部面積は πdo=R・πdi 蒸発器を二相部及び過熱部の二領域にわける。二相部の
長さyは二相流特有の振動をしているので、このモデル
においては適当な時間平均をyとする。
き次のようにモデル化する。内径di の一本の長いパイ
プがある(パイプの有効長さL)。このパイプの外部に
フインを付け、外部面積は内部面積のR倍である。従っ
て単位長さあたりの外部面積は πdo=R・πdi 蒸発器を二相部及び過熱部の二領域にわける。二相部の
長さyは二相流特有の振動をしているので、このモデル
においては適当な時間平均をyとする。
【0037】(基本方程式) (A)二相部 質量の平衡式 φi−φv=d(ml+mv)/dt ……(1) ml=(1−α)Aρl・y ……(2) mv=αAρv・y ……(3) 冷媒のエネルギー平衡式 φihi−φvhv+αiπdiy(Tw−Te) =d(mlhl+mvhv)/dt ……(4) 二相部の壁の熱平均 ρwCwAw(dTw/dt)=αoπdo(To−Tw)−αiπdi(Tw−Te) ……(5) 蒸発器より流出するφv はコンプレッサー流量でありT
e によりコンプレッサー特性で変化するため φv(s)=C1Te(s) ……(6)
e によりコンプレッサー特性で変化するため φv(s)=C1Te(s) ……(6)
【0038】(B)過熱部 過熱蒸気の温度Ts は時間と場所の関数故 dTs/dt=∂Ts/∂t+∂Ts/∂X・dX/dt dX/dtは移動速度φv/ρvAで表される。それ故 ρvCvA(∂Ts/∂t)+Cvφv(∂Ts/∂X)=αisπdi(Tws−Ts) ……(7) 軸方向の熱伝達を省略した形で、蒸発器壁のエネルギー
平衡式は ρwCwAw(∂Tw/∂t)=αoπdo(To−Tws)−αisπdi(Tws−Ts) ……(8) 上記(1)〜(8)を基本方程式とする。
平衡式は ρwCwAw(∂Tw/∂t)=αoπdo(To−Tws)−αisπdi(Tws−Ts) ……(8) 上記(1)〜(8)を基本方程式とする。
【0039】(二相部の計算)変動部分だけについて基
本方程式を書き直す。(2)式から ml(s)=(1−α)A〔ρloy(s)+yoρl'Te(s)〕 ……(L2) (3)式から mv(s)=αA〔ρvoy(s)+yoρv'Te(s)〕 ……(L3) 上記の式と下の記号を用い、(1)式の変動分は φi(s)−φv(s)=(My(s)+M'yoTe(s))S ……(L1) ただし M =(1−α)Aρlo+αAρvo ……(D1) M'=(1−α)Aρl'+αAρv' ……(D2) E =(1−α)Aρlohlo+αAρvohvo ……(D3) E'=(1−α)Aρlohl'+αAρvohv' ……(D4) E"=(1−α)Aρl'hio+αAρv'hvo ……(D5)
本方程式を書き直す。(2)式から ml(s)=(1−α)A〔ρloy(s)+yoρl'Te(s)〕 ……(L2) (3)式から mv(s)=αA〔ρvoy(s)+yoρv'Te(s)〕 ……(L3) 上記の式と下の記号を用い、(1)式の変動分は φi(s)−φv(s)=(My(s)+M'yoTe(s))S ……(L1) ただし M =(1−α)Aρlo+αAρvo ……(D1) M'=(1−α)Aρl'+αAρv' ……(D2) E =(1−α)Aρlohlo+αAρvohvo ……(D3) E'=(1−α)Aρlohl'+αAρvohv' ……(D4) E"=(1−α)Aρl'hio+αAρv'hvo ……(D5)
【0040】(4)式から hiφi(s)−hvoφv(s)−φvohv'Te(s) +αioπdiyo(Tw(s)−Te(s)) +αioπdiy(s)(Two−Teo) +αi'πdiyo(Two−Teo)φi(s) =ESy(s)+(E'+E”)yoSTe(s) ……(L4) (5)式から
【0041】
【数3】
【0042】(L5)を(L4)に代入、(6)を用
い、更に次のように記号を定義する。
い、更に次のように記号を定義する。
【0043】
【数4】
【0044】この記号で(L5)を変形し λl(s)φi(s)+λ2(s)y(s)=λ3(s)Te(s) ……(A) (6)と(L1)から φi(s)−MSy(s)=(C1+M'yoS)Te(s) ……(B) (A)と(B)よりy(s)を消去すると次のように伝達
関数H1(s)が得られる。
関数H1(s)が得られる。
【0045】H1(s)≡Te(s)/φi(s) ={λ1(s)Ms+λ2(s)}/{Msλ3(s)+(C1+
M'yoS)λ2(s)} 上記において基本方程式から定常部の関係を導くことは
簡単のため省略した。 (過熱部の計算)基本方程式及び式を見やすくするため
に用いた次の表記法により、H2(s)の導出を行なう。
M'yoS)λ2(s)} 上記において基本方程式から定常部の関係を導くことは
簡単のため省略した。 (過熱部の計算)基本方程式及び式を見やすくするため
に用いた次の表記法により、H2(s)の導出を行なう。
【0046】
【数5】
【0047】なお上記の計算においてyo が変化する境
界である故、Δyo の変化に対するΔTsoを考慮してい
る。更に次の表記を用いる。 β5≡exp{−(γ2/γ1)(L−yo)} ……(D14) β7≡{γ4/(γ2−γ3)}〔exp{−(γ3/γ1)(L−yo)} −exp{−(γ2/γ1)(L−yo)}〕 ……(D15) 上記から TSL(s)=β5Te(s)+β7φv(s)=(β5+C1β7)
Te(s) が得られ、移動境界の補正をすると TSL(s)=(β5+C1β7)Te(s)−β6y(s) ……(E) 二相部の(B)式を援用しy(s)を消去するとH2(s)
が得られる。
界である故、Δyo の変化に対するΔTsoを考慮してい
る。更に次の表記を用いる。 β5≡exp{−(γ2/γ1)(L−yo)} ……(D14) β7≡{γ4/(γ2−γ3)}〔exp{−(γ3/γ1)(L−yo)} −exp{−(γ2/γ1)(L−yo)}〕 ……(D15) 上記から TSL(s)=β5Te(s)+β7φv(s)=(β5+C1β7)
Te(s) が得られ、移動境界の補正をすると TSL(s)=(β5+C1β7)Te(s)−β6y(s) ……(E) 二相部の(B)式を援用しy(s)を消去するとH2(s)
が得られる。
【0048】
【数6】
【0049】(計算に都合のよい、H1(s)及びH2(s)
の導出)上記のH1(s)及びH2(s)をSの多項式の分子
及び分母をもつ形式に整理する。このために、その係数
の関係は次のようにあらわされる。 u1 ≡αioπdiyo u2 ≡αoπdo/ρwCwAw u3 ≡(αoπdo+αioπdi)/ρwCwAw u4 ≡(E'+E”)yo u5 ≡φvohv'+C1hvo u6 ≡αioπdi(Two−Teo) u7 ≡hi+αi'πdiyo(Two−Teo) u8 ≡u6yoαi'πdi/ρwCwAw H1(s)={C(1)S2+C(2)S+C(3)}/{C(4)S3
+C(5)S2+C(6)S+C(7)}
の導出)上記のH1(s)及びH2(s)をSの多項式の分子
及び分母をもつ形式に整理する。このために、その係数
の関係は次のようにあらわされる。 u1 ≡αioπdiyo u2 ≡αoπdo/ρwCwAw u3 ≡(αoπdo+αioπdi)/ρwCwAw u4 ≡(E'+E”)yo u5 ≡φvohv'+C1hvo u6 ≡αioπdi(Two−Teo) u7 ≡hi+αi'πdiyo(Two−Teo) u8 ≡u6yoαi'πdi/ρwCwAw H1(s)={C(1)S2+C(2)S+C(3)}/{C(4)S3
+C(5)S2+C(6)S+C(7)}
【0050】ただし C(1) ≡Mu7−E C(2) ≡M(u3u7−u8)+u6−Eu3 C(3) ≡u3u6 C(4) ≡Mu4−EyoM' C(5) ≡M(u1+u5+u3u4)+u6yoM'−C1E−
u3EyoM' C(6) ≡M(u1u2+u3u5)+C1u6+(u6yoM'−
C1E)u3 C(7) ≡C1u3u6
u3EyoM' C(6) ≡M(u1u2+u3u5)+C1u6+(u6yoM'−
C1E)u3 C(7) ≡C1u3u6
【0051】また u9 ≡ρvCvA u10≡(αoπdo+αisoπdi)/ρwCwAw u11≡αisoπdi u12≡αoπdo/ρwCwAw β5 =exp〔{−C(9)S2 −C(10)S−C(11)}/{S
+C(8)}〕
+C(8)}〕
【0052】ただし C(8) ≡u10 C(9) ≡(L−yo)u9/γ1 C(10)≡(L−yo)(u9u10+u11)/γ1 C(11)≡(L−yo)u11u12/γ1 伝達関数H2(s)は上記のβ5 及びH1(s)を用いて次の
ように表される。
ように表される。
【0053】
【数7】
【0054】ただし C(12)≡u9 C(13)≡u9u10+u11−γ3 C(14)≡C1u14u13 C(15)≡C1u12u13u14 C(16)≡u9 C(17)≡C(13)−C1u13 C(18)≡−C1u12u13 C(19)≡β6yoM'/M C(20)≡C1β6/M C(21)≡β6/M
【0055】本発明の制御方法が有効に作用することを
制御システムの伝達関数を求め、ベクトル軌跡−ナイキ
スト線図を援用して説明する。図1は本発明の実施例の
ブロック線図である。前項に従って伝達関数は次の通り
である。
制御システムの伝達関数を求め、ベクトル軌跡−ナイキ
スト線図を援用して説明する。図1は本発明の実施例の
ブロック線図である。前項に従って伝達関数は次の通り
である。
【0056】
【数8】
【0057】制御システムは簡単のため膨脹弁の流量制
御系についてはその比例動作部分のみを表示した。図1
のブロック線図は、従来の制御システムに一次遅れ要素
Hc2を付加したシステムである。
御系についてはその比例動作部分のみを表示した。図1
のブロック線図は、従来の制御システムに一次遅れ要素
Hc2を付加したシステムである。
【0058】従来の制御システムをブロック線図の図1
2に示す。図12は、設定過熱度信号と実際の過熱度信
号を比較し、コントローラ(伝達関数Hc)を経て電動
膨脹弁の開度を指定する信号となり、電動膨脹弁を経て
流量φi 信号となる。次いで蒸発器においては蒸発温度
に加わる伝達関数H1 と過熱蒸気温度にかかわる伝達関
数H2 を経て、一方は蒸発温度信号Te 、他方は過熱温
度信号TSLとなる。Te は温度センサーを含む測定部の
伝達関数(Hj1)によって電気的信号に変換されT1 と
なり、他方TSLは温度センサーを含む測定部の伝達関数
(Hj2)によって電気的信号に変換されT2 となる。こ
れをただちにT2−T1(=ΔT)とし、このΔTをフィ
ードバックする。これに対して図1は、上記の図12の
T2−T1 によって制御するという考え方と違いを明確に
するため設定過熱度と比較のためにフィードバックする
信号については伝達関数Hj2 によってT2 となった信
号を一次遅れ回路(伝達関数Hc2)を通してT2' とし
そのT2' とT1 との間の差T2−T1 を用いることにし
たものである。
2に示す。図12は、設定過熱度信号と実際の過熱度信
号を比較し、コントローラ(伝達関数Hc)を経て電動
膨脹弁の開度を指定する信号となり、電動膨脹弁を経て
流量φi 信号となる。次いで蒸発器においては蒸発温度
に加わる伝達関数H1 と過熱蒸気温度にかかわる伝達関
数H2 を経て、一方は蒸発温度信号Te 、他方は過熱温
度信号TSLとなる。Te は温度センサーを含む測定部の
伝達関数(Hj1)によって電気的信号に変換されT1 と
なり、他方TSLは温度センサーを含む測定部の伝達関数
(Hj2)によって電気的信号に変換されT2 となる。こ
れをただちにT2−T1(=ΔT)とし、このΔTをフィ
ードバックする。これに対して図1は、上記の図12の
T2−T1 によって制御するという考え方と違いを明確に
するため設定過熱度と比較のためにフィードバックする
信号については伝達関数Hj2 によってT2 となった信
号を一次遅れ回路(伝達関数Hc2)を通してT2' とし
そのT2' とT1 との間の差T2−T1 を用いることにし
たものである。
【0059】前に述べたように温度センサーの時定数を
蒸発温度側をτ1 、過熱蒸気温度側をτ2 とし、蒸発温
度の温度センサーの伝達関数をHj1(s)、過熱蒸気温度
の温度センサーの伝達関数をHj2(s)で表す。 Hj1(s)=1/(1+τ1S) Hj2(s)=1/(1+τ2S)(1+τ3S)
蒸発温度側をτ1 、過熱蒸気温度側をτ2 とし、蒸発温
度の温度センサーの伝達関数をHj1(s)、過熱蒸気温度
の温度センサーの伝達関数をHj2(s)で表す。 Hj1(s)=1/(1+τ1S) Hj2(s)=1/(1+τ2S)(1+τ3S)
【0060】ただしτ3 は吸入管の熱伝達にかかわる時
定数である。一次遅れ制御部の伝達関数は前に述べたよ
うに Hc2(s)=1/(1+τ4S) 電動膨脹弁の伝達関数はKc であるから、図1に示すブ
ロック線図の一巡伝達関数は、Kc〔H2・Hj2Hc2−H
1・Hj1〕である。
定数である。一次遅れ制御部の伝達関数は前に述べたよ
うに Hc2(s)=1/(1+τ4S) 電動膨脹弁の伝達関数はKc であるから、図1に示すブ
ロック線図の一巡伝達関数は、Kc〔H2・Hj2Hc2−H
1・Hj1〕である。
【0061】このベクトル軌跡は、S=jωとしてωを
0から∞に変化させることによって得られる。φi=0.
0117、τ1=1、τ2=2、τ3=8.12、τ4=2
0、Kc=−0.0039という定数をいれて、前項で求
めた一巡伝達関数によって計算した結果は図3である。
図1に示したTSL側に一次遅れ要素を導入した結果は、
Hc2 を付加しない従来例のτ4 以外は同じ定数を用い
た結果の図9に比較し安定性が増したことを示す。次
に、図2のブロック線図に示す本発明の一実施例一次遅
れ回路(伝達関数Hc2)及び位相進め回路(伝達関数H
c1)を入れた場 合について説明する。
0から∞に変化させることによって得られる。φi=0.
0117、τ1=1、τ2=2、τ3=8.12、τ4=2
0、Kc=−0.0039という定数をいれて、前項で求
めた一巡伝達関数によって計算した結果は図3である。
図1に示したTSL側に一次遅れ要素を導入した結果は、
Hc2 を付加しない従来例のτ4 以外は同じ定数を用い
た結果の図9に比較し安定性が増したことを示す。次
に、図2のブロック線図に示す本発明の一実施例一次遅
れ回路(伝達関数Hc2)及び位相進め回路(伝達関数H
c1)を入れた場 合について説明する。
【0062】図2のブロック線図はHc1 及びHc2 を入
れた効果を明確にするため他の部分については図1のブ
ロック線図と同一にしたものである。すなわち図1のH
j1 を出た信号T1 を更に位相進め回路によりT1' とし
フィードバック信号ΔT' =T2'−T1' とする。すな
わち、現在の過熱度と設定過熱度との差すなわち偏差に
Kc を乗じた補止流量が蒸発器に加えられ、この結果は
二方にわかれる。一方はH2(s)を通って過熱蒸気温度
TSLとなり、これが吸入管と温度センサーを通って(伝
達関数Hj2)、更に本発明による制御Hc2(s)を施され
過熱蒸気温度を代表する電気信号となる。
れた効果を明確にするため他の部分については図1のブ
ロック線図と同一にしたものである。すなわち図1のH
j1 を出た信号T1 を更に位相進め回路によりT1' とし
フィードバック信号ΔT' =T2'−T1' とする。すな
わち、現在の過熱度と設定過熱度との差すなわち偏差に
Kc を乗じた補止流量が蒸発器に加えられ、この結果は
二方にわかれる。一方はH2(s)を通って過熱蒸気温度
TSLとなり、これが吸入管と温度センサーを通って(伝
達関数Hj2)、更に本発明による制御Hc2(s)を施され
過熱蒸気温度を代表する電気信号となる。
【0063】他方は、H1(s)を通って蒸発温度Te と
なり、温度センサー(伝達関数Hj1)を通って電気信号
となり、更に本発明による位相進め回路のHc1(s)が施
され蒸発温度を代表する電気信号となる。更に上記両者
の電気信号の差を設定過熱度を電気信号に変換したもの
と比較して偏差を得る。
なり、温度センサー(伝達関数Hj1)を通って電気信号
となり、更に本発明による位相進め回路のHc1(s)が施
され蒸発温度を代表する電気信号となる。更に上記両者
の電気信号の差を設定過熱度を電気信号に変換したもの
と比較して偏差を得る。
【0064】計算は設定過熱度を温度単位としたため偏
差も温度単位で比較する。Kc については比例部分のみ
を用いる。ただし過熱度が設定温度より大きくなると、
偏差は負となり、この場合弁の開口面積を大きくしなけ
ればならない。従ってKc はマイナス符号をもつ。Kc
の性質の一例を図13に示す。Kc の絶対値|Kc|は
偏差1Kあたりの流量変化(開口面積と流量は比例関係
にある)である。図13の場合、例えば静止過熱度(S
Sと表示している)が3Kの場合、設定過熱度を5Kと
すれば、5−3=2Kで所定の流量φi を出すように設
定する。
差も温度単位で比較する。Kc については比例部分のみ
を用いる。ただし過熱度が設定温度より大きくなると、
偏差は負となり、この場合弁の開口面積を大きくしなけ
ればならない。従ってKc はマイナス符号をもつ。Kc
の性質の一例を図13に示す。Kc の絶対値|Kc|は
偏差1Kあたりの流量変化(開口面積と流量は比例関係
にある)である。図13の場合、例えば静止過熱度(S
Sと表示している)が3Kの場合、設定過熱度を5Kと
すれば、5−3=2Kで所定の流量φi を出すように設
定する。
【0065】すなわち Kc=−φi/2 φi=0.015kgs-1のとき、Kc=−0.0075で
ある。 Hc1(s)=(1+STD )/(1+αTDS) (α<1)及び Hc2(s)=(1+STI )/(1+βTIS) (β<1) とし、前の実施例とあわせるため、定数としてφi=0.
0117、τ1=0.01、τ2=2、τ3=8.12、τ4
=20、Kc=0.0039をとるとそのベクトル軌跡は
図4に示される。位相余裕54°ですぐれた安定性を示
す。
ある。 Hc1(s)=(1+STD )/(1+αTDS) (α<1)及び Hc2(s)=(1+STI )/(1+βTIS) (β<1) とし、前の実施例とあわせるため、定数としてφi=0.
0117、τ1=0.01、τ2=2、τ3=8.12、τ4
=20、Kc=0.0039をとるとそのベクトル軌跡は
図4に示される。位相余裕54°ですぐれた安定性を示
す。
【0066】これは、温度膨脹弁による安定性を示した
図7よりもすぐれたものである。図7に示すベクトル軌
跡−ナイキスト線図を計算するための温度膨脹弁のブロ
ック線図を図14に示す。図14のブロック線図によれ
ば、温度膨脹弁の場合、設定過熱度とフィードバックさ
れた過熱度信号との偏差によって膨脹弁の開度が決ま
り、流量φi が決まり、次いで蒸発器において一方は蒸
発温度にかかわる伝達係数H1 により蒸発温度Te とな
るが、温度膨脹弁のダイヤフラムに加わる実際の信号の
形は“蒸発圧力”として作用する。他方に蒸発器出口の
過熱蒸気温度を吸入管を経た感温筒でとらえその温度と
平衡する感温筒内の気体の圧力に変換した信号となる上
記の二つの圧力信号の差の圧力信号がフィードバック信
号となっている。
図7よりもすぐれたものである。図7に示すベクトル軌
跡−ナイキスト線図を計算するための温度膨脹弁のブロ
ック線図を図14に示す。図14のブロック線図によれ
ば、温度膨脹弁の場合、設定過熱度とフィードバックさ
れた過熱度信号との偏差によって膨脹弁の開度が決ま
り、流量φi が決まり、次いで蒸発器において一方は蒸
発温度にかかわる伝達係数H1 により蒸発温度Te とな
るが、温度膨脹弁のダイヤフラムに加わる実際の信号の
形は“蒸発圧力”として作用する。他方に蒸発器出口の
過熱蒸気温度を吸入管を経た感温筒でとらえその温度と
平衡する感温筒内の気体の圧力に変換した信号となる上
記の二つの圧力信号の差の圧力信号がフィードバック信
号となっている。
【0067】図14のブロック線図の一巡伝達関数は Kc〔H2・Hb・C2Pb'−H1C2Pe'〕 の形である。H1 、H2 は前述の形である。C2 は温度
膨脹弁の特性値、Pe'は蒸発圧力の温度微分、Pb' は
感温筒圧力の温度微分、Hb(s)は簡単のためにパラメ
ータ表示をやめ Hb(s)=1/(33.05S3+103.8S2+20.4
S+1) とした。これ等はいずれも冷凍システムに用いる冷媒に
R22を用いる場合を考えて、具体的な数値をいれて計
算した。また蒸発温度側の信号は蒸発圧力を用いる故、
“温度信号”の場合と異なりτ1=0とした。
膨脹弁の特性値、Pe'は蒸発圧力の温度微分、Pb' は
感温筒圧力の温度微分、Hb(s)は簡単のためにパラメ
ータ表示をやめ Hb(s)=1/(33.05S3+103.8S2+20.4
S+1) とした。これ等はいずれも冷凍システムに用いる冷媒に
R22を用いる場合を考えて、具体的な数値をいれて計
算した。また蒸発温度側の信号は蒸発圧力を用いる故、
“温度信号”の場合と異なりτ1=0とした。
【0068】なお、上記の実施例において具体的数値を
入れている場合は、特に明記しないときは冷媒としてR
22を用いるシステムを想定した数値を用いた。しかし
本発明は使用冷媒をR22に限るものではない。
入れている場合は、特に明記しないときは冷媒としてR
22を用いるシステムを想定した数値を用いた。しかし
本発明は使用冷媒をR22に限るものではない。
【0069】
【発明の効果】上記のように本発明によれば、電動膨脹
弁に代表される、電気駆動流量制御減圧手段による制御
の安定性が著しく改善される。本発明によって電気駆動
流量制御減圧手段のもっとも弱点とされた「温度膨脹弁
に比較してその過熱度制御を行なう場合の安定性を欠
く」という欠点を克服することができ、温度膨脹弁の有
しない他のすぐれた機能を発揮させ、システム全体とし
ての制御性を高めることが可能となる。
弁に代表される、電気駆動流量制御減圧手段による制御
の安定性が著しく改善される。本発明によって電気駆動
流量制御減圧手段のもっとも弱点とされた「温度膨脹弁
に比較してその過熱度制御を行なう場合の安定性を欠
く」という欠点を克服することができ、温度膨脹弁の有
しない他のすぐれた機能を発揮させ、システム全体とし
ての制御性を高めることが可能となる。
【0070】今までの説明はこの発明における制御と他
の冷凍システムの制御系との相互作用について詳細に触
れていない。ただし本発明は蒸発器の熱交換の有効性を
目的とするもの故、他の制御システムに有害な影響を与
えることはなく、ほとんどの制御論理と併用可能であ
る。従って本発明方法は空調機、自動車冷房、ショーケ
ース等の一般の冷却システムにも利用し得る。
の冷凍システムの制御系との相互作用について詳細に触
れていない。ただし本発明は蒸発器の熱交換の有効性を
目的とするもの故、他の制御システムに有害な影響を与
えることはなく、ほとんどの制御論理と併用可能であ
る。従って本発明方法は空調機、自動車冷房、ショーケ
ース等の一般の冷却システムにも利用し得る。
【図1】本発明による一次遅れ回路を組み込んだ電気駆
動膨脹弁による制御のブロック線図。
動膨脹弁による制御のブロック線図。
【図2】本発明による一次遅れ回路及び一次進め回路を
組み込んだ同様のブロック線図。
組み込んだ同様のブロック線図。
【図3】本発明の一実施例の一次遅れ回路をつけた場合
のベクトル軌跡。
のベクトル軌跡。
【図4】本発明の他の実施例の一次遅れ回路及び位相進
め回路をつけた場合のベクトル軌跡。
め回路をつけた場合のベクトル軌跡。
【図5】インバータ能力制御圧縮機をとりつけた冷媒流
量制御の説明図。
量制御の説明図。
【図6】固定回転数圧縮機をとりつけた時の電気駆動流
量制御手段による制御の説明図。
量制御手段による制御の説明図。
【図7】温度膨脹弁の制御安定性を示すベクトル軌跡。
【図8】温度膨脹弁の感温筒部を他の温度センサーに置
き換えた場合の制御安定性を示すベクトル軌跡。
き換えた場合の制御安定性を示すベクトル軌跡。
【図9】従来の電気駆動流量制御減圧手段の従来の制御
方法による制御安定性を示すベクトル軌跡。
方法による制御安定性を示すベクトル軌跡。
【図10】一次遅れ回路の概略図。
【図11】一次進め回路の概略図。
【図12】電動膨脹弁の従来の制御のブロック線図。
【図13】電動膨脹弁の一例の流量特性線図。
【図14】温度膨脹弁の制御のブロック線図。
【図15】蒸発器のモデル図。
Claims (2)
- 【請求項1】 冷媒を蒸発させるための蒸発器と、前記
蒸発器に流入する冷媒を減圧し、かつその流量を制御す
るための電気的駆動制御手段と、前記電気的駆動制御手
段に駆動信号を出力する制御手段とを備える冷凍システ
ムの制御装置において、 前記蒸発器入口に設けられた第1の温度センサーと、前
記蒸発器出口に設けられた第2の温度センサーと、前記
第2の温度センサーの出力に位相遅れを与えるための一
次遅れ回路と、前記第1の温度センサーの出力信号と前
記一次遅れ回路の出力信号との差信号を発生する手段
と、前記差信号と冷媒過熱度設定信号との偏差信号を発
生する手段とを有し、前記制御手段は前記偏差信号に基
づいて前記電気的駆動制御手段を制御することを特徴と
する冷凍システムの制御装置。 - 【請求項2】 冷媒を蒸発させるための蒸発器と、前記
蒸発器に流入する冷媒を減圧し、かつその流量を制御す
るための電気的駆動制御手段と、前記電気的駆動制御手
段に駆動信号を出力する制御手段とを備える冷凍システ
ムの制御装置において、 前記蒸発器入口に設けられた第1の温度センサーと、前
記蒸発器出口に設けられた第2の温度センサーと、前記
第1の温度センサーの出力の位相を進めるための位相進
め回路と、前記第2の温度センサーの出力に位相遅れを
与えるための一次遅れ回路と、前記位相進め回路の出力
信号と前記一次遅れ回路の出力信号との差信号を発生す
る手段と、前記差信号と冷媒過熱度設定信号との偏差信
号を発生する手段とを有し、前記制御手段は前記偏差信
号に基づいて前記電気的駆動制御手段を制御することを
特徴とする冷凍システムの制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7217087A JP2781160B2 (ja) | 1995-08-25 | 1995-08-25 | 冷凍システムの制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7217087A JP2781160B2 (ja) | 1995-08-25 | 1995-08-25 | 冷凍システムの制御装置 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP61308617A Division JPS63163739A (ja) | 1986-12-26 | 1986-12-26 | 冷凍システムの制御方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0861789A true JPH0861789A (ja) | 1996-03-08 |
JP2781160B2 JP2781160B2 (ja) | 1998-07-30 |
Family
ID=16698637
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP7217087A Expired - Lifetime JP2781160B2 (ja) | 1995-08-25 | 1995-08-25 | 冷凍システムの制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2781160B2 (ja) |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS58106363A (ja) * | 1981-12-17 | 1983-06-24 | 松下電器産業株式会社 | 冷媒流量制御装置 |
-
1995
- 1995-08-25 JP JP7217087A patent/JP2781160B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS58106363A (ja) * | 1981-12-17 | 1983-06-24 | 松下電器産業株式会社 | 冷媒流量制御装置 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2781160B2 (ja) | 1998-07-30 |
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