JPH086075A - 液晶表示素子の製造方法 - Google Patents
液晶表示素子の製造方法Info
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- JPH086075A JPH086075A JP16263994A JP16263994A JPH086075A JP H086075 A JPH086075 A JP H086075A JP 16263994 A JP16263994 A JP 16263994A JP 16263994 A JP16263994 A JP 16263994A JP H086075 A JPH086075 A JP H086075A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 外部刺激に対する高速応答性および高コント
ラスト比という特性を有する強誘電性液晶素子を高歩留
りかつ低コストで製造することができるとともに、得ら
れる素子の電気化学特性(片安定性および双安定性)を
任意に安定して発現させることができる液晶表示素子の
製造方法を提供する。 【構成】 (A)強誘電性液晶4と未硬化の硬化性樹脂
5との混合物を、前記一対の基板間1,2に相分離した
状態で挟持する工程、および(B)前記一対の基板間
1,2に挟持された混合物中の未硬化の硬化性樹脂5を
硬化させて、強誘電性液晶4と硬化性樹脂5との相分離
を固定すると同時に、前記電極3,3’間に電圧を印加
して、前記強誘電性液晶4の電気光学特性を制御する工
程を有することを特徴とする液晶表示素子10の製造方
法。
ラスト比という特性を有する強誘電性液晶素子を高歩留
りかつ低コストで製造することができるとともに、得ら
れる素子の電気化学特性(片安定性および双安定性)を
任意に安定して発現させることができる液晶表示素子の
製造方法を提供する。 【構成】 (A)強誘電性液晶4と未硬化の硬化性樹脂
5との混合物を、前記一対の基板間1,2に相分離した
状態で挟持する工程、および(B)前記一対の基板間
1,2に挟持された混合物中の未硬化の硬化性樹脂5を
硬化させて、強誘電性液晶4と硬化性樹脂5との相分離
を固定すると同時に、前記電極3,3’間に電圧を印加
して、前記強誘電性液晶4の電気光学特性を制御する工
程を有することを特徴とする液晶表示素子10の製造方
法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、液晶表示素子の製造方
法に関する。さらに詳しくは、装飾ディスプレイや広告
表示体用として好適な、電界に対する高速応答性および
高コントラスト比を有する液晶表示素子を、歩留りよく
低コストで得ることができる製造方法に関する。
法に関する。さらに詳しくは、装飾ディスプレイや広告
表示体用として好適な、電界に対する高速応答性および
高コントラスト比を有する液晶表示素子を、歩留りよく
低コストで得ることができる製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、液晶表示素子の素材面の改良の観
点から液晶材料として強誘電性液晶を用い、これを高度
に配向制御し、かつこの液晶材料に電極が配設された二
枚の基板の間に挟持してなる液晶表示素子が、メモリー
性を有するとともに、電界等の外部刺激に対して高速応
答性を有することから注目され、液晶表示素子,液晶記
憶素子等として盛んに利用されるようになってきた。
点から液晶材料として強誘電性液晶を用い、これを高度
に配向制御し、かつこの液晶材料に電極が配設された二
枚の基板の間に挟持してなる液晶表示素子が、メモリー
性を有するとともに、電界等の外部刺激に対して高速応
答性を有することから注目され、液晶表示素子,液晶記
憶素子等として盛んに利用されるようになってきた。
【0003】しかし、強誘電性液晶物質のみからなる液
晶材料を用いて液晶光学素子を作製する場合、表示(コ
ントラスト)を出すためにセル厚を薄くする(数μm以
下にする)必要や、一軸配向処理を行う必要があるた
め、導通欠陥や複屈折干渉による色むらを生じたり、ま
た双安定性が不均一になりやすかった。また、一旦配向
が壊れると修復し難いといった問題があった。さらに、
素子が大面積になると、これらの問題は一層顕著となる
傾向があった。
晶材料を用いて液晶光学素子を作製する場合、表示(コ
ントラスト)を出すためにセル厚を薄くする(数μm以
下にする)必要や、一軸配向処理を行う必要があるた
め、導通欠陥や複屈折干渉による色むらを生じたり、ま
た双安定性が不均一になりやすかった。また、一旦配向
が壊れると修復し難いといった問題があった。さらに、
素子が大面積になると、これらの問題は一層顕著となる
傾向があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような問題を解決
するため、本出願人は先に、強誘電性液晶物質および架
橋性樹脂からなる強誘電性液晶物質組成物が、少なくと
も一方が透明な二枚の電極により挟持されており、この
強誘電性液晶物質が一軸配向処理されている液晶光学素
子およびその製法を提案している(特開平2−3629
9号公報)。この素子は、この提案以前の素子に比べ、
大面積化した場合でも電界に対する応答速度が速く、コ
ントラスト比の高いものが得られるとともに、着色,色
むらのない双安定性、および寸法安定性において優れた
ものが得られるという効果を発揮するものの、これらの
特徴を発現するために、液晶部の粒子を一定の大きさに
制御する必要があり、製法上制約がある。また、液晶と
相溶性の良い架橋性樹脂を用いた場合に液晶の特性(相
転移温度,応答時間,傾き角等)が大きく変化する等の
問題があった。
するため、本出願人は先に、強誘電性液晶物質および架
橋性樹脂からなる強誘電性液晶物質組成物が、少なくと
も一方が透明な二枚の電極により挟持されており、この
強誘電性液晶物質が一軸配向処理されている液晶光学素
子およびその製法を提案している(特開平2−3629
9号公報)。この素子は、この提案以前の素子に比べ、
大面積化した場合でも電界に対する応答速度が速く、コ
ントラスト比の高いものが得られるとともに、着色,色
むらのない双安定性、および寸法安定性において優れた
ものが得られるという効果を発揮するものの、これらの
特徴を発現するために、液晶部の粒子を一定の大きさに
制御する必要があり、製法上制約がある。また、液晶と
相溶性の良い架橋性樹脂を用いた場合に液晶の特性(相
転移温度,応答時間,傾き角等)が大きく変化する等の
問題があった。
【0005】一方、液晶表示素子の大画面化の観点か
ら、高分子中に数μmの液晶分子粒を多数分散したもの
や網目状高分子中に液晶を含ませた構造のもの等のいわ
ゆる高分子分散型の素子が提案されている。たとえば、
電極間に注入された未硬化の透光性樹脂を含んだ液晶材
料に対し、電極を介して外部電源より電界を印加する工
程と、未硬化樹脂を硬化する工程とを有する分散型液晶
電気光学装置の作製方法が開示されている(特開平6−
102490号公報)。しかし、この方法は、偏光板を
用いることなしに高透過率を得ることを目的とする分散
型液晶に関するものであり、ネマチック液晶を用いた高
抵抗の液晶セルを実現し、電圧保持率を向上させること
ができる効果を発揮するものの、一軸配向処理の困難さ
から強誘電性液晶を用いることができなかった。従っ
て、強誘電性液晶を用いた素子に比べると応答時間が数
十msecと遅く、高精細な表示を行うのが困難であっ
た。また、散乱(白色)−非散乱(透明)モードにより
光のON,OFFの表示を行うのでコントラストが低
く、コントラストを上げるためにセル厚を大きくする必
要があるので駆動電圧が高くなってしまい、同じ電圧で
比較すると応答速度を速くすることができなかった。さ
らに、コントラストを出すために高分子中に分散してい
る液晶粒の大きさを数μmに制御する必要があり、製法
上制約があった。
ら、高分子中に数μmの液晶分子粒を多数分散したもの
や網目状高分子中に液晶を含ませた構造のもの等のいわ
ゆる高分子分散型の素子が提案されている。たとえば、
電極間に注入された未硬化の透光性樹脂を含んだ液晶材
料に対し、電極を介して外部電源より電界を印加する工
程と、未硬化樹脂を硬化する工程とを有する分散型液晶
電気光学装置の作製方法が開示されている(特開平6−
102490号公報)。しかし、この方法は、偏光板を
用いることなしに高透過率を得ることを目的とする分散
型液晶に関するものであり、ネマチック液晶を用いた高
抵抗の液晶セルを実現し、電圧保持率を向上させること
ができる効果を発揮するものの、一軸配向処理の困難さ
から強誘電性液晶を用いることができなかった。従っ
て、強誘電性液晶を用いた素子に比べると応答時間が数
十msecと遅く、高精細な表示を行うのが困難であっ
た。また、散乱(白色)−非散乱(透明)モードにより
光のON,OFFの表示を行うのでコントラストが低
く、コントラストを上げるためにセル厚を大きくする必
要があるので駆動電圧が高くなってしまい、同じ電圧で
比較すると応答速度を速くすることができなかった。さ
らに、コントラストを出すために高分子中に分散してい
る液晶粒の大きさを数μmに制御する必要があり、製法
上制約があった。
【0006】本発明は、上述の問題に鑑みなされたもの
であり、外部刺激に対する高速応答性および高コントラ
スト比という特性を有する強誘電性液晶素子を高歩留り
かつ低コストで製造することができるとともに、得られ
る素子の電気化学特性(片安定性および双安定性)を任
意に安定して発現させることができる液晶表示素子の製
造方法を提供することを目的とする。
であり、外部刺激に対する高速応答性および高コントラ
スト比という特性を有する強誘電性液晶素子を高歩留り
かつ低コストで製造することができるとともに、得られ
る素子の電気化学特性(片安定性および双安定性)を任
意に安定して発現させることができる液晶表示素子の製
造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明によれば、それぞれの内面に電極を備えた一
対の対向する基板間に、液晶材料と硬化性樹脂とを相分
離した状態で挟持して有する液晶表示素子を製造する方
法において、(A)強誘電性液晶と未硬化の硬化性樹脂
との混合物を、前記一対の基板間に相分離した状態で挟
持する工程、および(B)前記一対の基板間に挟持され
た混合物中の未硬化の硬化性樹脂を硬化させて、強誘電
性液晶と硬化性樹脂との相分離を固定すると同時に、前
記電極間に電圧を印加して、前記強誘電性液晶の電気光
学特性を制御する工程を有することを特徴とする液晶表
示素子の製造方法が提供される。
め、本発明によれば、それぞれの内面に電極を備えた一
対の対向する基板間に、液晶材料と硬化性樹脂とを相分
離した状態で挟持して有する液晶表示素子を製造する方
法において、(A)強誘電性液晶と未硬化の硬化性樹脂
との混合物を、前記一対の基板間に相分離した状態で挟
持する工程、および(B)前記一対の基板間に挟持され
た混合物中の未硬化の硬化性樹脂を硬化させて、強誘電
性液晶と硬化性樹脂との相分離を固定すると同時に、前
記電極間に電圧を印加して、前記強誘電性液晶の電気光
学特性を制御する工程を有することを特徴とする液晶表
示素子の製造方法が提供される。
【0008】また、その好ましい態様として、前記
(A)工程における混合物を一対の基板間に挟持する方
法が、前記混合物を前記一対の基板の一方の内面に積層
した後、その一方の基板上に前記一対の基板の他方の基
板(対向基板)を積層するものであることを特徴とする
液晶表示素子の製造方法が提供される。
(A)工程における混合物を一対の基板間に挟持する方
法が、前記混合物を前記一対の基板の一方の内面に積層
した後、その一方の基板上に前記一対の基板の他方の基
板(対向基板)を積層するものであることを特徴とする
液晶表示素子の製造方法が提供される。
【0009】また、前記(A)工程と同時または後に、
強誘電性液晶のスメチック法線が液晶表示素子の縦方向
となるように一軸水平配向処理する工程(C)をさらに
有することを特徴とする液晶表示素子の製造方法が提供
される。
強誘電性液晶のスメチック法線が液晶表示素子の縦方向
となるように一軸水平配向処理する工程(C)をさらに
有することを特徴とする液晶表示素子の製造方法が提供
される。
【0010】また、前記一対の基板の外側に、少なくと
も一枚の偏光板を有することを特徴とする液晶表示素子
の製造方法が提供される。
も一枚の偏光板を有することを特徴とする液晶表示素子
の製造方法が提供される。
【0011】また、前記印加する電圧が、その波形が正
負対称である交流電圧であり、かつ前記(B)工程にお
ける電気光学特性の制御が、双安定性の発現であること
を特徴とする液晶表示素子の製造方法が提供される。
負対称である交流電圧であり、かつ前記(B)工程にお
ける電気光学特性の制御が、双安定性の発現であること
を特徴とする液晶表示素子の製造方法が提供される。
【0012】また、前記その波形が正負対称である交流
電圧の周波数が、5Hz〜100kHzであることを特
徴とする液晶表示素子の製造方法が提供される。
電圧の周波数が、5Hz〜100kHzであることを特
徴とする液晶表示素子の製造方法が提供される。
【0013】また、前記印加する電圧が、その波形が正
負非対称である交流電圧、または直流電圧であり、かつ
前記(B)工程における電気光学特性の制御が、片安定
性の発現であることを特徴とする液晶表示素子の製造方
法が提供される。
負非対称である交流電圧、または直流電圧であり、かつ
前記(B)工程における電気光学特性の制御が、片安定
性の発現であることを特徴とする液晶表示素子の製造方
法が提供される。
【0014】また、前記(B)工程中の、未硬化の硬化
性樹脂を硬化させる操作が、熱または光照射によるもの
であることを特徴とする記載の液晶表示素子の製造方法
が提供される。
性樹脂を硬化させる操作が、熱または光照射によるもの
であることを特徴とする記載の液晶表示素子の製造方法
が提供される。
【0015】さらに、前記光照射による操作が、紫外線
光照射によるものであることを特徴とする液晶表示素子
の製造方法が提供される。
光照射によるものであることを特徴とする液晶表示素子
の製造方法が提供される。
【0016】以下、本発明を具体的に説明する。 1.使用材料 (1)強誘電性液晶 本発明で用いられる強誘電性液晶としては、カイラルス
メチックC相(SmC* )を示す低分子又は高分子の強
誘電性液晶であれば特に制限はない。強誘電性低分子液
晶,強誘電性高分子液晶,またはこれらの混合物などが
ある。この強誘電性低分子液晶としては、例えば、一種
または二種以上の強誘電性低分子液晶、一種または二種
以上の強誘電性低分子液晶と他の低分子液晶等の混合物
からなる強誘電性低分子液晶などを挙げることができ
る。前記強誘電性高分子液晶としては、例えば一種また
は二種以上の強誘電性高分子液晶、一種または二種以上
の強誘電性低分子液晶と一種または二種以上の強誘電性
高分子液晶からなる強誘電性高分子液晶、一種または二
種以上の強誘電性低分子液晶と一種または二種以上の他
の高分子液晶等からなる強誘電性高分子液晶などを挙げ
ることができる。すなわち、前記強誘電性高分子液晶と
しては、ポリマー分子自体が強誘電性の液晶特性を示す
強誘電性高分子液晶(ホモポリマーもしくはコポリマー
またはそれらの混合物)、強誘電性高分子液晶と他の高
分子液晶および/または通常のポリマーとの混合物、強
誘電性高分子液晶と強誘電性低分子液晶との混合物、強
誘電性高分子液晶と強誘電性低分子液晶と高分子液晶お
よび/または通常のポリマーとの混合物、またはこれら
と通常の低分子液晶との混合物などの、すべての強誘電
性を示す高分子液晶を使用することができる。前記強誘
電性高分子液晶の中でも、例えば、側鎖型強誘電性高分
子液晶を好適に使用することができ、特にカイラルスメ
チックC相をとる側鎖型強誘電性高分子液晶を好適に使
用することができる。強誘電性液晶ポリマーには、例え
ば、アクリレート主鎖系液晶ポリマー,メタクリレート
主鎖系液晶ポリマー,クロロアクリレート主鎖系液晶ポ
リマー,オキシラン主鎖系液晶ポリマー,シロキサン主
鎖系液晶ポリマー,シロキサン−オレフィン主鎖系液晶
ポリマー,エステル主鎖系液晶ポリマーなどが含まれ
る。
メチックC相(SmC* )を示す低分子又は高分子の強
誘電性液晶であれば特に制限はない。強誘電性低分子液
晶,強誘電性高分子液晶,またはこれらの混合物などが
ある。この強誘電性低分子液晶としては、例えば、一種
または二種以上の強誘電性低分子液晶、一種または二種
以上の強誘電性低分子液晶と他の低分子液晶等の混合物
からなる強誘電性低分子液晶などを挙げることができ
る。前記強誘電性高分子液晶としては、例えば一種また
は二種以上の強誘電性高分子液晶、一種または二種以上
の強誘電性低分子液晶と一種または二種以上の強誘電性
高分子液晶からなる強誘電性高分子液晶、一種または二
種以上の強誘電性低分子液晶と一種または二種以上の他
の高分子液晶等からなる強誘電性高分子液晶などを挙げ
ることができる。すなわち、前記強誘電性高分子液晶と
しては、ポリマー分子自体が強誘電性の液晶特性を示す
強誘電性高分子液晶(ホモポリマーもしくはコポリマー
またはそれらの混合物)、強誘電性高分子液晶と他の高
分子液晶および/または通常のポリマーとの混合物、強
誘電性高分子液晶と強誘電性低分子液晶との混合物、強
誘電性高分子液晶と強誘電性低分子液晶と高分子液晶お
よび/または通常のポリマーとの混合物、またはこれら
と通常の低分子液晶との混合物などの、すべての強誘電
性を示す高分子液晶を使用することができる。前記強誘
電性高分子液晶の中でも、例えば、側鎖型強誘電性高分
子液晶を好適に使用することができ、特にカイラルスメ
チックC相をとる側鎖型強誘電性高分子液晶を好適に使
用することができる。強誘電性液晶ポリマーには、例え
ば、アクリレート主鎖系液晶ポリマー,メタクリレート
主鎖系液晶ポリマー,クロロアクリレート主鎖系液晶ポ
リマー,オキシラン主鎖系液晶ポリマー,シロキサン主
鎖系液晶ポリマー,シロキサン−オレフィン主鎖系液晶
ポリマー,エステル主鎖系液晶ポリマーなどが含まれ
る。
【0017】
【化1】
【0018】
【化2】
【0019】
【化3】
【0020】
【化4】
【0021】なお、上記の強誘電性液晶ポリマーの繰り
返し単位は、側鎖の骨格がビフェニル骨格,フェニルベ
ンゾエイト骨格,ビフェニルベンゾエイト骨格,フェニ
ル4−フェニルベンゾエイト骨格で置き換えられてもよ
く、これらの骨格中のベンゼン環が、ピリミジン環,ピ
リジン環,ピリダジン環,ピラジン環,テトラジン環,
シクロヘキサン環,ジオキサン環,ジオキサボリナン環
で置換されてもよく、フッ素,塩酸などのハロゲン基ま
たはシアノ基で置換されてもよく、1−メチルアルキル
基,2−フルオロアルキル基,2−クロロアルキル基,
2−クロロ−3−メチルアルキル基,2−トリフルオロ
メチルアルキル基,1−アルコキシカルボニルエチル
基,2−アルコキシ−1−メチルエチル基,2−アルコ
キシプロピル基,2−クロロ−1−メチルアルキル基,
2−アルコキシカルボニル−1−トリフルオロメチルプ
ロピル基などの光学活性基で置き換えられてもよく、ま
たスペーサの長さは、メチレン鎖長が2〜30の範囲で
変化してもよい。また、上記強誘電性液晶ポリマーは数
平均分子量が1,000〜200,000のものが好ま
しい。強誘電性低分子液晶化合物としては、例えばシッ
フ塩基系強誘電性低分子液晶化合物、アゾ及びアゾキシ
系強誘電性低分子液晶化合物、ビフェニル及びアロマテ
ィックスエステル系強誘電性低分子液晶化合物、ハロゲ
ン,シアノ基等の環置換基を導入した強誘電性低分子液
晶化合物、複素環を有する強誘電性低分子液晶化合物な
どが挙げられる。
返し単位は、側鎖の骨格がビフェニル骨格,フェニルベ
ンゾエイト骨格,ビフェニルベンゾエイト骨格,フェニ
ル4−フェニルベンゾエイト骨格で置き換えられてもよ
く、これらの骨格中のベンゼン環が、ピリミジン環,ピ
リジン環,ピリダジン環,ピラジン環,テトラジン環,
シクロヘキサン環,ジオキサン環,ジオキサボリナン環
で置換されてもよく、フッ素,塩酸などのハロゲン基ま
たはシアノ基で置換されてもよく、1−メチルアルキル
基,2−フルオロアルキル基,2−クロロアルキル基,
2−クロロ−3−メチルアルキル基,2−トリフルオロ
メチルアルキル基,1−アルコキシカルボニルエチル
基,2−アルコキシ−1−メチルエチル基,2−アルコ
キシプロピル基,2−クロロ−1−メチルアルキル基,
2−アルコキシカルボニル−1−トリフルオロメチルプ
ロピル基などの光学活性基で置き換えられてもよく、ま
たスペーサの長さは、メチレン鎖長が2〜30の範囲で
変化してもよい。また、上記強誘電性液晶ポリマーは数
平均分子量が1,000〜200,000のものが好ま
しい。強誘電性低分子液晶化合物としては、例えばシッ
フ塩基系強誘電性低分子液晶化合物、アゾ及びアゾキシ
系強誘電性低分子液晶化合物、ビフェニル及びアロマテ
ィックスエステル系強誘電性低分子液晶化合物、ハロゲ
ン,シアノ基等の環置換基を導入した強誘電性低分子液
晶化合物、複素環を有する強誘電性低分子液晶化合物な
どが挙げられる。
【0022】
【化5】
【0023】
【化6】
【0024】
【化7】
【0025】
【化8】
【0026】なお、前記化合物は、強誘電性低分子液晶
化合物の代表的な化合物であり、上記の強誘電性低分子
液晶化合物はなんら、これらの構造式に限定されるもの
ではない。また、本発明においては、本発明の目的に支
障のない範囲で、液晶材料にさらに他の液晶状ポリマー
や、オレフィン系樹脂,アクリル系樹脂,メタアクリル
系樹脂,ポリスチレン系樹脂,ポリエステル系樹脂,ポ
リカーボネート系樹脂,スチレン−ブタジエン系共重合
体,塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体などの
樹脂を混合して使用することも可能である。また、液晶
の膜厚を均一に保つためにスペーサーを混合してもよ
い。また、ゲストホスト型の液晶表示素子を得るために
二色性色素を混入させても良い。二色性色素としては、
アントラキノン系,アゾ系,ジアゾ系,メロシアニン系
等の色素を挙げることができる。
化合物の代表的な化合物であり、上記の強誘電性低分子
液晶化合物はなんら、これらの構造式に限定されるもの
ではない。また、本発明においては、本発明の目的に支
障のない範囲で、液晶材料にさらに他の液晶状ポリマー
や、オレフィン系樹脂,アクリル系樹脂,メタアクリル
系樹脂,ポリスチレン系樹脂,ポリエステル系樹脂,ポ
リカーボネート系樹脂,スチレン−ブタジエン系共重合
体,塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体などの
樹脂を混合して使用することも可能である。また、液晶
の膜厚を均一に保つためにスペーサーを混合してもよ
い。また、ゲストホスト型の液晶表示素子を得るために
二色性色素を混入させても良い。二色性色素としては、
アントラキノン系,アゾ系,ジアゾ系,メロシアニン系
等の色素を挙げることができる。
【0027】(2)硬化性樹脂 本発明に用いられる硬化性樹脂としては特に制限はない
が、たとえば、アクリル系樹脂,エポキシ系樹脂,不飽
和ポリエステル系樹脂,架橋性のシリコン系樹脂などの
樹脂が好適に用いられる。強誘電性液晶との混合物中の
硬化性樹脂の重量分率は通常1〜50%、好ましくは5
〜30%である。硬化性樹脂の量が50%を超えると液
晶部分が少ないため、コントラストが低下する。また、
1%未満であると電圧印加条件による液晶表示素子の電
気光学特性の制御が任意に発現できないことがある。強
誘電性液晶と硬化性樹脂との混合方法としては、たとえ
ば両者を共通溶媒に溶解させて、その溶液を混合するこ
とを挙げることができる。ここで、溶媒としてはメチレ
ンクロライド,クロロホルム,トルエン,キシレン,テ
トラヒドロフラン,アセトン,メチルエチルケトン,酢
酸エチル等の一般的有機溶媒を用いることができ、ま
た、これらの混合溶媒も用いることができる。この溶液
を蒸発させることで相分離した混合物を得ることができ
る。なお、相分離とは液晶と硬化性樹脂との混合物から
液晶成分のみの領域と硬化性樹脂成分のみの領域とが別
れた状態をいう。本発明の場合、液晶領域中に硬化性樹
脂が島状に存在している。一方、前記高分子分散型にお
ける分散とは高分子中に液晶が粒で存在している状態を
いい、本願における相分離とは異なる。
が、たとえば、アクリル系樹脂,エポキシ系樹脂,不飽
和ポリエステル系樹脂,架橋性のシリコン系樹脂などの
樹脂が好適に用いられる。強誘電性液晶との混合物中の
硬化性樹脂の重量分率は通常1〜50%、好ましくは5
〜30%である。硬化性樹脂の量が50%を超えると液
晶部分が少ないため、コントラストが低下する。また、
1%未満であると電圧印加条件による液晶表示素子の電
気光学特性の制御が任意に発現できないことがある。強
誘電性液晶と硬化性樹脂との混合方法としては、たとえ
ば両者を共通溶媒に溶解させて、その溶液を混合するこ
とを挙げることができる。ここで、溶媒としてはメチレ
ンクロライド,クロロホルム,トルエン,キシレン,テ
トラヒドロフラン,アセトン,メチルエチルケトン,酢
酸エチル等の一般的有機溶媒を用いることができ、ま
た、これらの混合溶媒も用いることができる。この溶液
を蒸発させることで相分離した混合物を得ることができ
る。なお、相分離とは液晶と硬化性樹脂との混合物から
液晶成分のみの領域と硬化性樹脂成分のみの領域とが別
れた状態をいう。本発明の場合、液晶領域中に硬化性樹
脂が島状に存在している。一方、前記高分子分散型にお
ける分散とは高分子中に液晶が粒で存在している状態を
いい、本願における相分離とは異なる。
【0028】(3)基板 本発明に用いられる一対の基板としては特に制限はな
く、液晶表示素子用に使用されている透明電極付のガラ
ス基板またはプラスチック基板等の各種の材質のものを
使用することができる。通常,生産性,汎用性,加工性
等の点から可撓性を有するプラスチック材料からなる基
板を好適に使用することができる。プラスチック材料と
しては、例えば一軸又は二軸延伸ポリエチレンテレフタ
レート等の結晶性ポリマー、ポリスルホン,ポリエーテ
ルスルホン,ポリアリレート等の非晶性ポリマー、ポリ
エチレン,ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリカ
ーボネート,ナイロン等のポリアミド等を挙げることが
できる。これらの中でも、特に一軸又は二軸延伸ポリエ
チレンテレフタレート,ポリエーテルスルホン等が好ま
しい。
く、液晶表示素子用に使用されている透明電極付のガラ
ス基板またはプラスチック基板等の各種の材質のものを
使用することができる。通常,生産性,汎用性,加工性
等の点から可撓性を有するプラスチック材料からなる基
板を好適に使用することができる。プラスチック材料と
しては、例えば一軸又は二軸延伸ポリエチレンテレフタ
レート等の結晶性ポリマー、ポリスルホン,ポリエーテ
ルスルホン,ポリアリレート等の非晶性ポリマー、ポリ
エチレン,ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリカ
ーボネート,ナイロン等のポリアミド等を挙げることが
できる。これらの中でも、特に一軸又は二軸延伸ポリエ
チレンテレフタレート,ポリエーテルスルホン等が好ま
しい。
【0029】(4)電極 本発明に用いられる、基板上に形成される液晶駆動用電
極群(走査電極,信号電極)の形成材料としては、導電
性を有する材料であれば特に制限されるものではない。
具体的には、例えば、酸化インジウム又は酸化インジウ
ムと酸化錫との混合物からなるITO(Indium Tin Oxi
de)膜等の透明電極を挙げることができる。
極群(走査電極,信号電極)の形成材料としては、導電
性を有する材料であれば特に制限されるものではない。
具体的には、例えば、酸化インジウム又は酸化インジウ
ムと酸化錫との混合物からなるITO(Indium Tin Oxi
de)膜等の透明電極を挙げることができる。
【0030】(5)偏光板 本発明において、必要に応じて用いられる偏光板として
は、通常の市販品を使用することができる。なお、液晶
組成物に色素を混入したゲストホスト型とした場合に
は、表示の際に必要とする偏光板は一枚でよい。
は、通常の市販品を使用することができる。なお、液晶
組成物に色素を混入したゲストホスト型とした場合に
は、表示の際に必要とする偏光板は一枚でよい。
【0031】2.液晶表示素子の製造方法 本発明の液晶表示素子の製造方法は、強誘電性液晶と未
硬化の硬化性樹脂との混合物を一対の基板間に挟持する
工程(A)と、硬化性樹脂を硬化させると同時に電極間
に電界を印加する工程(B)とに大別される。
硬化の硬化性樹脂との混合物を一対の基板間に挟持する
工程(A)と、硬化性樹脂を硬化させると同時に電極間
に電界を印加する工程(B)とに大別される。
【0032】(1)挟持工程(A) 二枚の基板間に液晶を挟持する方法としては、たとえば
注入法,塗布積層法等を挙げることができる。ここで、
長尺のプラスチック基板を用いた場合、以下の工程で塗
布・積層を効率よく製造することができる。 製膜工程 前記強誘電性液晶と硬化性樹脂とを、前述の有機溶媒に
溶解した溶液(濃度:5〜60%)をバーコーター方
式,ダイレクトグラビアロール方式,マイクログラビア
方式,スプレー方式,印刷法等を用い基板に塗布し、溶
媒を蒸発させる事で膜を形成することができる。この膜
厚としては通常0.5〜10μm、好ましくは1〜4μ
m程度の範囲に設定するのが好ましい。
注入法,塗布積層法等を挙げることができる。ここで、
長尺のプラスチック基板を用いた場合、以下の工程で塗
布・積層を効率よく製造することができる。 製膜工程 前記強誘電性液晶と硬化性樹脂とを、前述の有機溶媒に
溶解した溶液(濃度:5〜60%)をバーコーター方
式,ダイレクトグラビアロール方式,マイクログラビア
方式,スプレー方式,印刷法等を用い基板に塗布し、溶
媒を蒸発させる事で膜を形成することができる。この膜
厚としては通常0.5〜10μm、好ましくは1〜4μ
m程度の範囲に設定するのが好ましい。
【0033】積層工程 一方の基板と対向基板をロールによる押圧で積層する。
ここで、押圧を加えるロールは加熱してもよい。
ここで、押圧を加えるロールは加熱してもよい。
【0034】長尺プラスチック基板を用いると、基板へ
の液晶組成物の塗布、対向基板への積層を連続して行う
ことができるため、生産性の面から好ましい。
の液晶組成物の塗布、対向基板への積層を連続して行う
ことができるため、生産性の面から好ましい。
【0035】(2)硬化工程、および電圧印加工程
(B) 次に、膜形成時にその膜に対して強度、安定性を持たせ
るために硬化処理を行う。樹脂の種類によって、加熱処
理,UV光の照射,可視光の照射等で樹脂を硬化するこ
とができる。この硬化処理によって混合物の相分離が固
定される。特に、UV光は硬化処理時間が短く、任意の
時刻に硬化できるので特に好ましい。さらに、この時、
電極間に電圧を印加し、その条件(直流,交流,電圧,
周波数等)を変化させることで強誘電性液晶の電気光学
特性(片安定性および双安定性)を任意に制御すること
が可能となる。
(B) 次に、膜形成時にその膜に対して強度、安定性を持たせ
るために硬化処理を行う。樹脂の種類によって、加熱処
理,UV光の照射,可視光の照射等で樹脂を硬化するこ
とができる。この硬化処理によって混合物の相分離が固
定される。特に、UV光は硬化処理時間が短く、任意の
時刻に硬化できるので特に好ましい。さらに、この時、
電極間に電圧を印加し、その条件(直流,交流,電圧,
周波数等)を変化させることで強誘電性液晶の電気光学
特性(片安定性および双安定性)を任意に制御すること
が可能となる。
【0036】その電気光学特性が制御される機構は完全
には明らかではないが、硬化性樹脂を硬化させ、同時に
電圧を印加することで、液晶の状態(双極子の向き)を
固定するため、液晶と硬化性樹脂との界面で相互作用が
発生し、いわゆる配向膜のように界面の液晶分子の向き
が固定されて片安定性または双安定性を発現しているも
のと考えられる。このため配向が破壊されても電圧を印
加することにより配向を修復することもできる。換言す
れば、従来の高分子分散型素子の場合印加する電圧は、
表示性能(コントラスト,透過率等)を決める因子であ
り、電圧を除去すると無電界時に戻るのに対し、本発明
の場合は液晶分子の向きに関する電気光学特性を安定状
態(双安定,片安定)に保持することができるという相
違がある。例えば本発明において通常の双安定性を発現
させたい場合には、印加する電圧を交流とする。その電
圧としては液晶が応答できる範囲、即ち1V/μm〜1
00V/μmの範囲ならよく、その周波数は5Hz以上
100kHz以下とする。5Hzよりも小さいと良好な
相安定性を発現しないことがあり、100kHzを超え
ると液晶分子の誘電異方性の影響でやはり双安定性が発
現しないことがある。波形としては正負対称であれば正
弦波,矩形波など何でもよい。このような交流電圧の印
加は、硬化性樹脂と液晶界面での不均一な吸着現象を防
止し、素子の電気的な特性を正負対称にするものと考え
られる。
には明らかではないが、硬化性樹脂を硬化させ、同時に
電圧を印加することで、液晶の状態(双極子の向き)を
固定するため、液晶と硬化性樹脂との界面で相互作用が
発生し、いわゆる配向膜のように界面の液晶分子の向き
が固定されて片安定性または双安定性を発現しているも
のと考えられる。このため配向が破壊されても電圧を印
加することにより配向を修復することもできる。換言す
れば、従来の高分子分散型素子の場合印加する電圧は、
表示性能(コントラスト,透過率等)を決める因子であ
り、電圧を除去すると無電界時に戻るのに対し、本発明
の場合は液晶分子の向きに関する電気光学特性を安定状
態(双安定,片安定)に保持することができるという相
違がある。例えば本発明において通常の双安定性を発現
させたい場合には、印加する電圧を交流とする。その電
圧としては液晶が応答できる範囲、即ち1V/μm〜1
00V/μmの範囲ならよく、その周波数は5Hz以上
100kHz以下とする。5Hzよりも小さいと良好な
相安定性を発現しないことがあり、100kHzを超え
ると液晶分子の誘電異方性の影響でやはり双安定性が発
現しないことがある。波形としては正負対称であれば正
弦波,矩形波など何でもよい。このような交流電圧の印
加は、硬化性樹脂と液晶界面での不均一な吸着現象を防
止し、素子の電気的な特性を正負対称にするものと考え
られる。
【0037】一方、別の目的によって素子に片安定性を
持たせたい場合には、上記電圧を正負非対称にする。例
えば前記交流に直流成分を重畳してもよく、最も簡単に
は直流電圧のみでよい。この電圧の大小によって片安定
性の強弱を制御することも可能である。
持たせたい場合には、上記電圧を正負非対称にする。例
えば前記交流に直流成分を重畳してもよく、最も簡単に
は直流電圧のみでよい。この電圧の大小によって片安定
性の強弱を制御することも可能である。
【0038】硬化処理と同時に電圧を印加するというの
は、硬化処理中は常に電圧を印加しておく必要があると
いうことを意味する。硬化反応中に発生する界面が素子
の特性を決定するため、時間的にずれるとこの特徴は発
現できない。しかし、硬化処理と同時に電圧印加を開
始,終了する必要はなく、開始する時間が硬化処理より
先に始まっても、または終了する時間が硬化処理の後で
あっても問題はない。
は、硬化処理中は常に電圧を印加しておく必要があると
いうことを意味する。硬化反応中に発生する界面が素子
の特性を決定するため、時間的にずれるとこの特徴は発
現できない。しかし、硬化処理と同時に電圧印加を開
始,終了する必要はなく、開始する時間が硬化処理より
先に始まっても、または終了する時間が硬化処理の後で
あっても問題はない。
【0039】このように電圧を印加しながら硬化処理を
行った素子は、配向が壊れても室温で再度交流電圧を印
加することで配向修復が可能な素子になる。
行った素子は、配向が壊れても室温で再度交流電圧を印
加することで配向修復が可能な素子になる。
【0040】また、液晶と硬化性樹脂が相溶した場合、
液晶の特性(応答時間,傾き角,相転移等)が変化する
が、両者が相分離することで液晶の特性を低下させるこ
とはない。さらに、硬化処理前に硬化性樹脂が一対の基
板間を貫通するようにドメインを形成させると、硬化処
理後にはこのドメインが一対の基板を固定接着すること
になり、曲げ変形を与えても液晶の配向は壊されない液
晶表示素子を得ることができる。ここで、相分離を発生
させる方法としては、強誘電性液晶と硬化性樹脂との混
合物を溶解する溶媒を硬化性樹脂に対して貧溶媒の物を
用い、溶液塗布後の蒸発過程において硬化性樹脂を先に
析出させて相分離させる方法などがある。
液晶の特性(応答時間,傾き角,相転移等)が変化する
が、両者が相分離することで液晶の特性を低下させるこ
とはない。さらに、硬化処理前に硬化性樹脂が一対の基
板間を貫通するようにドメインを形成させると、硬化処
理後にはこのドメインが一対の基板を固定接着すること
になり、曲げ変形を与えても液晶の配向は壊されない液
晶表示素子を得ることができる。ここで、相分離を発生
させる方法としては、強誘電性液晶と硬化性樹脂との混
合物を溶解する溶媒を硬化性樹脂に対して貧溶媒の物を
用い、溶液塗布後の蒸発過程において硬化性樹脂を先に
析出させて相分離させる方法などがある。
【0041】(3)配向工程(C) 本発明においては、必要に応じて、前記(A)工程と同
時または後に配向処理を施すことが好ましい。すなわ
ち、その液晶のスメチック層法線が液晶素子の縦方向と
なるように一軸水平配向処理を施すことが好ましい。こ
のようにすることで、横方向の視野角が向上する。配向
処理方法としては、特に制限はなくラビング法,斜方蒸
着法,剪断法,曲げ変形による配向法を用いることがで
きる。特に、プラスチック基板を用いた場合、曲げ変形
による配向法および電圧印加しながらの曲げ配向法を用
いると、ラビング膜などの配向制御膜を不要とすること
ができるため好ましい。この曲げ変形による配向は、各
種の装置および方式を用いて行うことができるが、通
常、少なくとも一本の自由回転ローラを用いて、基板を
移動させながら曲げ変形処理する方法、好ましくは少な
くとも二本の自由回転ローラ間を連続的に移動させなが
ら曲げ変形処理する方法を好適に使用することができ
る。
時または後に配向処理を施すことが好ましい。すなわ
ち、その液晶のスメチック層法線が液晶素子の縦方向と
なるように一軸水平配向処理を施すことが好ましい。こ
のようにすることで、横方向の視野角が向上する。配向
処理方法としては、特に制限はなくラビング法,斜方蒸
着法,剪断法,曲げ変形による配向法を用いることがで
きる。特に、プラスチック基板を用いた場合、曲げ変形
による配向法および電圧印加しながらの曲げ配向法を用
いると、ラビング膜などの配向制御膜を不要とすること
ができるため好ましい。この曲げ変形による配向は、各
種の装置および方式を用いて行うことができるが、通
常、少なくとも一本の自由回転ローラを用いて、基板を
移動させながら曲げ変形処理する方法、好ましくは少な
くとも二本の自由回転ローラ間を連続的に移動させなが
ら曲げ変形処理する方法を好適に使用することができ
る。
【0042】このような配向方法において、前記曲げ変
形処理における基板の曲げの度合は、曲率半径で表し
て、通常、5〜1,000mm、好ましくは10〜50
0mmの範囲内となる度合に設定して行うのが好まし
い。この曲率半径が、小さすぎると、基板を損傷した
り、細いパターンの電極を断線する恐れがあり、一方、
大きすぎると、液晶部分に充分な剪断応力が印加され
ず、良好な配向状態が得られないことがある。この配向
方法において、曲げ変形処理による強誘電性液晶の配向
は、曲げ変形処理を、基板を移動しながら行うことによ
って、より有効にかつ効率よく行うことができ、特に基
板を少なくとも二本の自由回転ローラ間を連続的に移動
させることによって曲げ変形処理することにより、さら
に有効に、かつ高速量産的に行うことができる。
形処理における基板の曲げの度合は、曲率半径で表し
て、通常、5〜1,000mm、好ましくは10〜50
0mmの範囲内となる度合に設定して行うのが好まし
い。この曲率半径が、小さすぎると、基板を損傷した
り、細いパターンの電極を断線する恐れがあり、一方、
大きすぎると、液晶部分に充分な剪断応力が印加され
ず、良好な配向状態が得られないことがある。この配向
方法において、曲げ変形処理による強誘電性液晶の配向
は、曲げ変形処理を、基板を移動しながら行うことによ
って、より有効にかつ効率よく行うことができ、特に基
板を少なくとも二本の自由回転ローラ間を連続的に移動
させることによって曲げ変形処理することにより、さら
に有効に、かつ高速量産的に行うことができる。
【0043】この曲げ変形処理における基板の移動速度
としては、曲げ部分の曲率半径、温度、強誘電性液晶の
種類等に依存するので、一様に限定することができない
が、通常は、電極付基板上に液晶層を形成する工程に適
合した連続製造プロセスのライン速度に合せた速度で充
分であり、したがって、曲げ変形処理による配向工程を
含めた各工程のライン速度を同一の速度に設定すること
ができ、これにより、液晶表示素子の連続高速生産プロ
セスを効率よく実現することができ、量産性を著しく高
めることができる。
としては、曲げ部分の曲率半径、温度、強誘電性液晶の
種類等に依存するので、一様に限定することができない
が、通常は、電極付基板上に液晶層を形成する工程に適
合した連続製造プロセスのライン速度に合せた速度で充
分であり、したがって、曲げ変形処理による配向工程を
含めた各工程のライン速度を同一の速度に設定すること
ができ、これにより、液晶表示素子の連続高速生産プロ
セスを効率よく実現することができ、量産性を著しく高
めることができる。
【0044】前記連続的生産プロセス等において、曲げ
変形処理における基板の移動速度の具体的な大きさとし
ては、たとえば、通常、0.1〜50m/分(0.16
〜83.9cm/秒)程度の範囲内とするのが好適であ
る。なお、上記に例示の曲げ変形処理における基板の移
動速度は、主として、液晶層の形成条件によって決定さ
れたものである。したがって、曲げ変形処理のみに適合
した移動速度は、特に制限はなく、上記の範囲よりもさ
らに広い範囲の大きさとすることもできるが、その移動
速度があまり大きすぎると、基板の種類によっては曲げ
変形時に割れなどの損傷を受けることがあり、一方、あ
まり小さすぎると、配向は充分に得られるが、製造時間
が長くなり、実用性が低くなる。
変形処理における基板の移動速度の具体的な大きさとし
ては、たとえば、通常、0.1〜50m/分(0.16
〜83.9cm/秒)程度の範囲内とするのが好適であ
る。なお、上記に例示の曲げ変形処理における基板の移
動速度は、主として、液晶層の形成条件によって決定さ
れたものである。したがって、曲げ変形処理のみに適合
した移動速度は、特に制限はなく、上記の範囲よりもさ
らに広い範囲の大きさとすることもできるが、その移動
速度があまり大きすぎると、基板の種類によっては曲げ
変形時に割れなどの損傷を受けることがあり、一方、あ
まり小さすぎると、配向は充分に得られるが、製造時間
が長くなり、実用性が低くなる。
【0045】前記曲げ変形処理による配向処理において
は、必ずしも精密な温度設定を必要としないが、広範囲
の、特に非常に大きいライン速度(製品の巻取り速度に
対応する速度)においても極めて良好な配向を得るため
には、基板の強誘電性液晶の温度を、該強誘電性液晶
が、スメチックA相、カイラルスメチックC相、等方相
とスメチックA相(SmA相)との混相、または等方相
とカイラルスメチックC相(SmC*相)との混相のい
ずれかの相状態をとる温度範囲内の温度とし、曲げ変形
処理を施すのが好ましく、特に、等方相をとる温度から
スメチックA相、カイラルスメチックC相などの液晶相
をとる温度範囲内の温度まで冷却(徐冷)しながら曲げ
変形処理を行うのが好ましい。
は、必ずしも精密な温度設定を必要としないが、広範囲
の、特に非常に大きいライン速度(製品の巻取り速度に
対応する速度)においても極めて良好な配向を得るため
には、基板の強誘電性液晶の温度を、該強誘電性液晶
が、スメチックA相、カイラルスメチックC相、等方相
とスメチックA相(SmA相)との混相、または等方相
とカイラルスメチックC相(SmC*相)との混相のい
ずれかの相状態をとる温度範囲内の温度とし、曲げ変形
処理を施すのが好ましく、特に、等方相をとる温度から
スメチックA相、カイラルスメチックC相などの液晶相
をとる温度範囲内の温度まで冷却(徐冷)しながら曲げ
変形処理を行うのが好ましい。
【0046】また、電圧を印加しながらの曲げ変形によ
る配向法は、印加する電圧(正電圧、負電圧)は、交
流、直流のいずれでも良く、連続的又は間欠的に印加す
る。好ましい電圧は0.1〜150MV/m、特に好ま
しくは5〜150MV/mである。この場合、電圧が低
すぎると配向が不十分になり、電圧が高過ぎると液晶光
学素子の絶縁破壊を発生することがある。電圧と曲げ変
形による剪断とを加える方法は、たとえば電圧印加用ロ
ール又は電極付ベルト付きロールで併用して行うか、又
は、液晶素子のコモン電極、セグメント両電極に直接電
源を接続して手作業で剪断を加えて行うものを挙げるこ
とができる。電圧と曲げ変形による剪断力を印加すると
きの温度は、液晶材料が何らかの液晶相を示す温度であ
ればよく、液晶材料が等方相又は等方相と液晶相の混相
を示す温度よりも低い温度、通常室温でよい。強誘電性
液晶では、等方相を示す温度からの冷却(徐冷)を行う
ことが好ましいが、徐冷しなくてもよい。すなわち、室
温でも極めて良好な配向を瞬時に得ることができる。こ
れは電圧の印加により曲げ変形による剪断に対する液晶
分子の再配向過程が極めて容易に行われるためであると
考えられる。
る配向法は、印加する電圧(正電圧、負電圧)は、交
流、直流のいずれでも良く、連続的又は間欠的に印加す
る。好ましい電圧は0.1〜150MV/m、特に好ま
しくは5〜150MV/mである。この場合、電圧が低
すぎると配向が不十分になり、電圧が高過ぎると液晶光
学素子の絶縁破壊を発生することがある。電圧と曲げ変
形による剪断とを加える方法は、たとえば電圧印加用ロ
ール又は電極付ベルト付きロールで併用して行うか、又
は、液晶素子のコモン電極、セグメント両電極に直接電
源を接続して手作業で剪断を加えて行うものを挙げるこ
とができる。電圧と曲げ変形による剪断力を印加すると
きの温度は、液晶材料が何らかの液晶相を示す温度であ
ればよく、液晶材料が等方相又は等方相と液晶相の混相
を示す温度よりも低い温度、通常室温でよい。強誘電性
液晶では、等方相を示す温度からの冷却(徐冷)を行う
ことが好ましいが、徐冷しなくてもよい。すなわち、室
温でも極めて良好な配向を瞬時に得ることができる。こ
れは電圧の印加により曲げ変形による剪断に対する液晶
分子の再配向過程が極めて容易に行われるためであると
考えられる。
【0047】この配向処理を施した液晶表示素子をパラ
ニコル状態の二枚の偏光板に挟持した場合、印加電圧の
極性(符号)を変えることで、透明(白色)状態と着色
状態との間で状態変化(スイッチング)する。すなわ
ち、液晶の分子の平均的方向は、図2に示すように、素
子面内において印加電圧の極性変化による電界の向きに
応じて状態A又は状態Bとなる。偏光板がパラニコルの
状態の場合、状態Aでは表示は透明(白)となり、状態
Bでは表示は着色する。この着色の程度はコーン角2θ
に依存し、2θ=45°の時に最大となる。
ニコル状態の二枚の偏光板に挟持した場合、印加電圧の
極性(符号)を変えることで、透明(白色)状態と着色
状態との間で状態変化(スイッチング)する。すなわ
ち、液晶の分子の平均的方向は、図2に示すように、素
子面内において印加電圧の極性変化による電界の向きに
応じて状態A又は状態Bとなる。偏光板がパラニコルの
状態の場合、状態Aでは表示は透明(白)となり、状態
Bでは表示は着色する。この着色の程度はコーン角2θ
に依存し、2θ=45°の時に最大となる。
【0048】
【実施例】以下、本発明を実施例によってさらに具体的
に説明する。 [実施例1]下記化9に示す強誘電性液晶とスリーボン
ド社製のUV硬化型樹脂3026の重量比10:2の混
合物をメチルエチルケトン(MEK)に溶かし、濃度3
0重量%の溶液を調製した。この溶液をマイクログラビ
アコーターを用いて、ITO付きポリエーテルスルホン
(PES)基板(厚さ100μm)に塗布した。溶媒蒸
発後の液晶層の膜厚は2μmであった。この後、同じI
TO付きPES基板をゴムローラ,金属ローラから成る
ラミネータで積層を行い、液晶パネルを作製した。この
後、図3に示すように、パネルに50V,20Hzの矩
形波を印加しながら速度1m/minで移動させ、パネ
ルに曲げ変形による剪断を与えて配向を行った。このパ
ネルを二枚の偏光板(パラニコル状態)で挟持した時
に、表示が白色となる状態である状態A(図2参照)と
なるように直流電圧+10Vを印加しながらUV光(ア
イグラフィック社製 卓上型UV光源を使用)を照射
し、樹脂の硬化処理を行った。照射条件は強度100m
W/cm2 で20秒間照射した。硬化処理後の液晶表示
素子は電圧を除去すると、常に初期状態(白色表示)を
示した(素子1)。また、パネルを二枚の偏光板(パラ
ニコル状態)で挟持した時に、表示が青色となる状態で
ある状態Bとなるように直流電圧−10Vを印加しなが
ら素子1の場合に用いたUV光を素子1の場合と同一の
条件で照射して硬化処理を行い、電圧を除去すると、液
晶表示素子は常に初期状態(青色表示)を示した(素子
2)。これら素子に10msecの矩形波を印加した時
の光学応答の形態を図4(a),(b)に示す。素子1
において、−10Vの矩形波を印加(領域)すると透
過光量の小さい青色表示を呈するが、電圧が除去(領域
)されると、透過光量の大きい白色表示に戻ってい
き、+10Vを印加(領域)した時の透過光量と同じ
になった。そして+10Vの電圧を除去(領域)して
も、透過光量は減少することはなく、白色表示を呈して
いた。一方、素子2においては+10Vの矩形波の印加
(領域)で透過光量の大きい白色表示を呈するが、電
圧除去(領域)すると透過光量の小さい青色表示に戻
り、−10Vを印加(領域)した時の透過光量と同じ
になった。そして+10Vの電圧を除去(領域)して
も、透過光量は変化しなかった。以上のように液晶表示
素子の片安定の向きを任意に設定することができた。な
お、透過光量の測定は発光ダイオードとフォトダイオー
ドを対に設置した間に、両面に偏光板をパラニコル状態
で付したパネルを設置し、発光ダイオードからパネルを
通して透過してくる光をフォトダイオードで検出し、そ
の出力電流値を透過光量とした。さらに、上記で作製し
た液晶表示素子においては、曲げ変形で配向が破壊した
場合でもこの素子に50V,20Hzの交流矩形波を印
加することで配向を修復することができた。この修復領
域と配向が壊れなかった領域との表示の不均一性は目視
では認められず、パラニコルに配置した偏光板でのコン
トラスト比は両方の領域で7を示した。
に説明する。 [実施例1]下記化9に示す強誘電性液晶とスリーボン
ド社製のUV硬化型樹脂3026の重量比10:2の混
合物をメチルエチルケトン(MEK)に溶かし、濃度3
0重量%の溶液を調製した。この溶液をマイクログラビ
アコーターを用いて、ITO付きポリエーテルスルホン
(PES)基板(厚さ100μm)に塗布した。溶媒蒸
発後の液晶層の膜厚は2μmであった。この後、同じI
TO付きPES基板をゴムローラ,金属ローラから成る
ラミネータで積層を行い、液晶パネルを作製した。この
後、図3に示すように、パネルに50V,20Hzの矩
形波を印加しながら速度1m/minで移動させ、パネ
ルに曲げ変形による剪断を与えて配向を行った。このパ
ネルを二枚の偏光板(パラニコル状態)で挟持した時
に、表示が白色となる状態である状態A(図2参照)と
なるように直流電圧+10Vを印加しながらUV光(ア
イグラフィック社製 卓上型UV光源を使用)を照射
し、樹脂の硬化処理を行った。照射条件は強度100m
W/cm2 で20秒間照射した。硬化処理後の液晶表示
素子は電圧を除去すると、常に初期状態(白色表示)を
示した(素子1)。また、パネルを二枚の偏光板(パラ
ニコル状態)で挟持した時に、表示が青色となる状態で
ある状態Bとなるように直流電圧−10Vを印加しなが
ら素子1の場合に用いたUV光を素子1の場合と同一の
条件で照射して硬化処理を行い、電圧を除去すると、液
晶表示素子は常に初期状態(青色表示)を示した(素子
2)。これら素子に10msecの矩形波を印加した時
の光学応答の形態を図4(a),(b)に示す。素子1
において、−10Vの矩形波を印加(領域)すると透
過光量の小さい青色表示を呈するが、電圧が除去(領域
)されると、透過光量の大きい白色表示に戻ってい
き、+10Vを印加(領域)した時の透過光量と同じ
になった。そして+10Vの電圧を除去(領域)して
も、透過光量は減少することはなく、白色表示を呈して
いた。一方、素子2においては+10Vの矩形波の印加
(領域)で透過光量の大きい白色表示を呈するが、電
圧除去(領域)すると透過光量の小さい青色表示に戻
り、−10Vを印加(領域)した時の透過光量と同じ
になった。そして+10Vの電圧を除去(領域)して
も、透過光量は変化しなかった。以上のように液晶表示
素子の片安定の向きを任意に設定することができた。な
お、透過光量の測定は発光ダイオードとフォトダイオー
ドを対に設置した間に、両面に偏光板をパラニコル状態
で付したパネルを設置し、発光ダイオードからパネルを
通して透過してくる光をフォトダイオードで検出し、そ
の出力電流値を透過光量とした。さらに、上記で作製し
た液晶表示素子においては、曲げ変形で配向が破壊した
場合でもこの素子に50V,20Hzの交流矩形波を印
加することで配向を修復することができた。この修復領
域と配向が壊れなかった領域との表示の不均一性は目視
では認められず、パラニコルに配置した偏光板でのコン
トラスト比は両方の領域で7を示した。
【0049】
【化9】
【0050】[実施例2]パネルの硬化処理を行う際に
印加する電圧を±50V100HZの正負対称の交流電
圧とした以外は実施例1と同様に液晶表示素子を作製し
た(素子3)。このようにして作製した液晶表示素子は
電圧を除去しても電圧印加時の表示状態が残る双安定性
を発現することができた。この素子の電気光学応答を図
4(c)に示す。電圧を印加した時表示状態が電圧を除
去した後もそのまま残っている。
印加する電圧を±50V100HZの正負対称の交流電
圧とした以外は実施例1と同様に液晶表示素子を作製し
た(素子3)。このようにして作製した液晶表示素子は
電圧を除去しても電圧印加時の表示状態が残る双安定性
を発現することができた。この素子の電気光学応答を図
4(c)に示す。電圧を印加した時表示状態が電圧を除
去した後もそのまま残っている。
【0051】[実施例3]実施例1と同様に作製した液
晶パネルにおいて、以下のように硬化処理を行った。す
なわち、正負非対称の交流電圧(+30Vと−5Vの矩
形波:100Hz)を印加しながら、実施例1で用いた
UV光を実施例1の場合と同一の条件で照射して硬化処
理を行った。この電圧においては、分子の平均的方向は
図2で示される状態Aにあった。処理後の液晶表示素子
は、電圧を解除すると常に状態Aになるという片安定性
を有していた。逆に状態Bとなるように正負非対称の交
流電圧(+5Vと−30Vの矩形波:100Hz)を印
加して、前述のUV光を前述の条件で照射して硬化処理
を行ったところ、状態Bの片安定の液晶表示素子が得ら
れた。
晶パネルにおいて、以下のように硬化処理を行った。す
なわち、正負非対称の交流電圧(+30Vと−5Vの矩
形波:100Hz)を印加しながら、実施例1で用いた
UV光を実施例1の場合と同一の条件で照射して硬化処
理を行った。この電圧においては、分子の平均的方向は
図2で示される状態Aにあった。処理後の液晶表示素子
は、電圧を解除すると常に状態Aになるという片安定性
を有していた。逆に状態Bとなるように正負非対称の交
流電圧(+5Vと−30Vの矩形波:100Hz)を印
加して、前述のUV光を前述の条件で照射して硬化処理
を行ったところ、状態Bの片安定の液晶表示素子が得ら
れた。
【0052】[実施例4]実施例1の強誘電性液晶の代
わりに強誘電性液晶(MERCK社製ZLI−4654
−000)を用いて、実施例1と同様にして複数の液晶
パネルを作製した。この液晶パネルに電圧(直流10
V,直流−10V,正負非対称の交流(+30Vと−5
の矩形波:周波数100Hz)、正負非対称の交流(+
5Vと−30Vの矩形波:周波数100Hz)、または
正負対称の交流(±50V:100Hz))をそれぞれ
印加しながら、実施例1で用いたUV光を実施例1の場
合と同一の条件で照射して硬化処理を行った。その結
果、直流電圧(+10Vまたは−10V)および正負非
対称の交流電圧(+30Vと−5Vの矩形波(周波数1
00HZ)および+5Vと−30Vの矩形波(周波数1
00Hz))を印加した場合には実施例1および実施例
3の場合と同様な片安定性を有する液晶表示素子を得る
ことができた。そして、±50V,100Hzの交流電
圧を印加した場合には実施例2の場合と同様な双安定性
を有する液晶表示素子を得ることができた。
わりに強誘電性液晶(MERCK社製ZLI−4654
−000)を用いて、実施例1と同様にして複数の液晶
パネルを作製した。この液晶パネルに電圧(直流10
V,直流−10V,正負非対称の交流(+30Vと−5
の矩形波:周波数100Hz)、正負非対称の交流(+
5Vと−30Vの矩形波:周波数100Hz)、または
正負対称の交流(±50V:100Hz))をそれぞれ
印加しながら、実施例1で用いたUV光を実施例1の場
合と同一の条件で照射して硬化処理を行った。その結
果、直流電圧(+10Vまたは−10V)および正負非
対称の交流電圧(+30Vと−5Vの矩形波(周波数1
00HZ)および+5Vと−30Vの矩形波(周波数1
00Hz))を印加した場合には実施例1および実施例
3の場合と同様な片安定性を有する液晶表示素子を得る
ことができた。そして、±50V,100Hzの交流電
圧を印加した場合には実施例2の場合と同様な双安定性
を有する液晶表示素子を得ることができた。
【0053】[実施例5]実施例1の強誘電性液晶を用
い、硬化性樹脂としてビスフェノールA型ジグリシジル
エーテル(油化シェルエポキシ社製エピコート828
D)、硬化剤に4,4−ジアミノジフェニルメタン(半
井化学薬品社製DDM)を前者:後者=6:4(重量
比)の物を用いた。液晶と硬化性樹脂の重量比10:3
の混合物をMEKに溶かし、濃度30重量%の溶液を調
製した。この溶液をパーコーターを用いてITO付きP
ES基板(100μm厚)に塗布した。溶媒蒸発後の液
晶層の膜厚は3μmであった。この後、実施例1と同様
に同じITO付きPES基板と積層し、配向処理を行っ
た。樹脂の硬化処理は、恒温槽中で60℃、30分間下
記の条件で行った。すなわち、電圧(直流10V、直流
−10V、または正負対称の交流(±50V:100H
z))をそれぞれ印加しながら、実施例1で用いたUV
光を実施例1の場合と同一の条件で照射した。その結
果、直流電圧の場合には片安定性を有する液晶表示素子
を、正負対称の交流電圧の場合には双安定性を有する液
晶表示素子をそれぞれ得ることができた。
い、硬化性樹脂としてビスフェノールA型ジグリシジル
エーテル(油化シェルエポキシ社製エピコート828
D)、硬化剤に4,4−ジアミノジフェニルメタン(半
井化学薬品社製DDM)を前者:後者=6:4(重量
比)の物を用いた。液晶と硬化性樹脂の重量比10:3
の混合物をMEKに溶かし、濃度30重量%の溶液を調
製した。この溶液をパーコーターを用いてITO付きP
ES基板(100μm厚)に塗布した。溶媒蒸発後の液
晶層の膜厚は3μmであった。この後、実施例1と同様
に同じITO付きPES基板と積層し、配向処理を行っ
た。樹脂の硬化処理は、恒温槽中で60℃、30分間下
記の条件で行った。すなわち、電圧(直流10V、直流
−10V、または正負対称の交流(±50V:100H
z))をそれぞれ印加しながら、実施例1で用いたUV
光を実施例1の場合と同一の条件で照射した。その結
果、直流電圧の場合には片安定性を有する液晶表示素子
を、正負対称の交流電圧の場合には双安定性を有する液
晶表示素子をそれぞれ得ることができた。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、液晶部
の粒子の大きさを制御する等の製法上の制約がないため
外部刺激に対する応答速度が速いとともに、コントラス
ト比が高く、かつ大面積化が可能な強誘電性液晶表示素
子を歩留りよく低コストで提供することができる。ま
た、片安定性および双安定性を任意に安定して発現させ
た素子を得ることができる。このため配向が破壊されて
も電圧を印加することにより配向を修復することもでき
る。
の粒子の大きさを制御する等の製法上の制約がないため
外部刺激に対する応答速度が速いとともに、コントラス
ト比が高く、かつ大面積化が可能な強誘電性液晶表示素
子を歩留りよく低コストで提供することができる。ま
た、片安定性および双安定性を任意に安定して発現させ
た素子を得ることができる。このため配向が破壊されて
も電圧を印加することにより配向を修復することもでき
る。
【図1】本発明によって得られる液晶表示素子を模式的
に示す断面図である。
に示す断面図である。
【図2】本発明において配向処理を施した素子のスイッ
チングの原理を模式的に示す説明図である。
チングの原理を模式的に示す説明図である。
【図3】本発明の実施例において、パネルに曲げ変形に
よる剪断を与えて配向を行った場合を模式的に示す説明
図である。
よる剪断を与えて配向を行った場合を模式的に示す説明
図である。
【図4】本発明の実施例によって得られた液晶表示素子
の電気光学応答特性を模式的に示す説明図である。
の電気光学応答特性を模式的に示す説明図である。
1 一方の基板 2 対向基板 3,3’ 電極 4 強誘電性液晶 5 硬化性樹脂
Claims (9)
- 【請求項1】 それぞれの内面に電極を備えた一対の対
向する基板間に、液晶材料と硬化性樹脂とを相分離した
状態で挟持して有する液晶表示素子を製造する方法にお
いて、(A)強誘電性液晶と未硬化の硬化性樹脂との混
合物を、前記一対の基板間に相分離した状態で挟持する
工程、および(B)前記一対の基板間に挟持された混合
物中の未硬化の硬化性樹脂を硬化させて、強誘電性液晶
と硬化性樹脂との相分離を固定すると同時に、前記電極
間に電圧を印加して、前記強誘電性液晶の電気光学特性
を制御する工程を有することを特徴とする液晶表示素子
の製造方法。 - 【請求項2】 前記(A)工程における混合物を一対の
基板間に挟持する方法が、前記混合物を前記一対の基板
の一方の内面に積層した後、その一方の基板上に前記一
対の基板の他方の基板(対向基板)を積層するものであ
ることを特徴とする請求項1記載の液晶表示素子の製造
方法。 - 【請求項3】 前記(A)工程と同時または後に、強誘
電性液晶のスメチック法線が液晶表示素子の縦方向とな
るように一軸水平配向処理する工程(C)をさらに有す
ることを特徴とする請求項1または2記載の液晶表示素
子の製造方法。 - 【請求項4】 前記一対の基板の外側に、少なくとも一
枚の偏光板を有することを特徴とする請求項1〜3のい
ずれか1項記載の液晶表示素子の製造方法。 - 【請求項5】 前記印加する電圧が、その波形が正負対
称である交流電圧であり、かつ前記(B)工程における
電気光学特性の制御が、双安定性の発現であることを特
徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の液晶表示素
子の製造方法。 - 【請求項6】 前記その波形が正負対称である交流電圧
の周波数が、5Hz〜100kHzであることを特徴と
する請求項5記載の液晶表示素子の製造方法。 - 【請求項7】 前記印加する電圧が、その波形が正負非
対称である交流電圧、または直流電圧であり、かつ前記
(B)工程における電気光学特性の制御が、片安定性の
発現であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1
項記載の液晶表示素子の製造方法。 - 【請求項8】 前記(B)工程中の、未硬化の硬化性樹
脂を硬化させる操作が、熱または光照射によるものであ
ることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の
液晶表示素子の製造方法。 - 【請求項9】 前記光照射による操作が、紫外線光照射
によるものであることを特徴とする請求項8記載の液晶
表示素子の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16263994A JPH086075A (ja) | 1994-06-21 | 1994-06-21 | 液晶表示素子の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16263994A JPH086075A (ja) | 1994-06-21 | 1994-06-21 | 液晶表示素子の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH086075A true JPH086075A (ja) | 1996-01-12 |
Family
ID=15758449
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP16263994A Pending JPH086075A (ja) | 1994-06-21 | 1994-06-21 | 液晶表示素子の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH086075A (ja) |
-
1994
- 1994-06-21 JP JP16263994A patent/JPH086075A/ja active Pending
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