JPH0859854A - 二軸延伸ポリプロピレン系フィルム及びその製造法 - Google Patents

二軸延伸ポリプロピレン系フィルム及びその製造法

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JPH0859854A
JPH0859854A JP19877294A JP19877294A JPH0859854A JP H0859854 A JPH0859854 A JP H0859854A JP 19877294 A JP19877294 A JP 19877294A JP 19877294 A JP19877294 A JP 19877294A JP H0859854 A JPH0859854 A JP H0859854A
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Japan
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film
fine powder
polymer
polypropylene
fine
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Application number
JP19877294A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Sato
佐藤  寛
Yasuyuki Furutani
靖恭 古峪
Katsuro Kuze
勝朗 久世
Tsutomu Isaka
勤 井坂
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 フィルムの狭角拡散透過率が7.0%以下、
耐ブロッキング性が300g/20mm以下、静摩擦係
数が0.40〜0.80および空気抜け速さが110秒
以下である二軸延伸ポリプロピレン系フィルムとその製
造法を開示する。 【効果】 透明性や耐ブロッキング性に優れ、かつ、フ
ィルムの巻き取り状態におけるフィルム同士のずれを抑
えてロール巻回状態での取り扱い性の良好なポリプロピ
レン系フィルムを提供し得ることとなった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は改質されたポリプロピレ
ン系フィルム及びその製造法に関し、特に透明性、耐ブ
ロッキング性および滑り性に優れ、且つ、フィルム巻き
取り後の巻き特性に優れたポリプロピレン系フィルム及
びその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレン系フィルムは、透明性や
機械的特性等において非常に優れたものであることか
ら、食品や繊維製品等をはじめとする様々の物品の包装
材料として広く用いられている。しかしながらポリプロ
ピレン系フィルムにしても欠点がない訳ではなく、滑り
性や耐ブロッキング性等において改良の余地が残されて
いる。そこで滑り性や耐ブロッキング性等を改善する手
段として様々の方法が提案されており、その1つとして
ポリプロピレン系フィルム中に無機質微粉末の様な不溶
性の微粒子を滑剤として含有せしめ、フィルムの表面に
微細な突起を形成する方法が知られている。しかしなが
らこの方法では、滑り性や耐ブロッキング性に関しては
一応の改質効果が得られるものの、用いる滑剤の種類や
粒子径等によってはフィルムの透明性や機械的強度に悪
影響が現れたり、更にはフィルムを巻き取った時にフィ
ルム同士のずれが生じ易くなり、ロール状態での取扱い
性が低下するといった問題が生じてくる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な事
情に着目してなされたものであって、その目的は、ポリ
プロピレン系フィルムが本来有している優れた透明性や
機械的特性等を損なうことなく、滑り性や耐ブロッキン
グ性等を改善し、更には、巻き取り状態でのフィルム同
士のずれを抑制してロール状態での取扱い性の改善され
たポリプロピレン系フィルムを提供しようとするもので
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明に係る二軸延伸ポリプロピレン系フィル
ムの構成は、フィルムの狭角拡散透過率が7.0%以
下、耐ブロッキング性が300g/20mm以下、静摩
擦係数が0.40〜0.80、空気抜け速さが110秒
以下であるところに要旨を有するものである。また、本
発明に係る製造法の構成は、ポリプロピレン系重合体
に、無機質微粉末、有機質耐熱性微粉末および前記ポリ
プロピレン系重合体と溶融状態で実質的に相溶しない熱
可塑性樹脂微粉末よりなる群から選択され、且つ下記方
法によって求められる水滴保持時間が10秒以上である
微粉末を均一に分散せしめ、製膜した後縦・横方向に延
伸するところに要旨が存在する。この製造法を実施する
際に用いられる上記微粒子としては、ポリプロピレン系
重合体100重量部に対し、平均粒子径が0.1〜1.
5μmの微粉末0.05〜1重量部と、平均粒子径が
1.5μm超7μm以下の微粉末0.01〜0.5重量
部を併用することによって、上記特性を満足する高品質
のフィルムをより確実且つ容易に得ることができる。
【0005】[水滴保持時間]微粒子を水平で平滑な台
上で2枚の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの間に狭持
させ、上側フィルムを手で軽く押さえて厚さ2mmの平
滑な微粒子層を形成した後、上側フィルムを静かに取り
外す。得られた微粒子層表面にスポイドで直径3mmの
水滴を高さ1cmのところから落とし、該水滴が微粒子
層に吸収され水滴が消失するまでの時間を水滴保持時間
とする。
【0006】
【作用】本発明に係るポリプロピレン系フィルムのベー
ス成分は、プロピレンを主たるモノマー単位として含む
ものであり、プロピレンの単独重合体のほか、プロピレ
ンと共重合可能な種々のモノマーを少量共重合せしめた
共重合体を使用することができる。
【0007】具体的な例を挙げると、融点が140℃以
上、好ましくは融点150℃以上のプロピレンを主体と
した重合体が使用され、例えばアイソタクティック指数
が約85重量%以上のアイソタクティックポリプロピレ
ン、エチレン含有量が約7重量%以下のエチレン−プロ
ピレン共重合体、プロピレン含有率が約90重量%以上
のプロピレンと炭素数が4〜8のオレフィンとの共重合
体、あるいはこれら重合体の混合物等が挙げられるが、
もちろんこれらに限定されない。またこれら重合体に
は、必要により帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤
等を配合したものであっても構わない。また、本発明に
おけるポリプロピレン系フィルムの層構成は基本的には
単層であるが、さらに他の層を組み合わせた積層構造の
ものであってもよい。
【0008】本発明のポリプロピレン系フィルムは狭角
拡散透過率が7.0%以下、より好ましくは6.5%以
下でなければならない。しかして、この値が7.0%を
超えるものではフィルムの透明性が悪く、高度な透明性
を要求される例えば包装用フィルム等として、市場で受
け入られなくなるからである。
【0009】また、本発明のポリプロピレン系フィルム
は、耐ブロッキング性が300g/20mm以下、より
好ましくは250g/20mm以下でなければならな
い。しかして、耐ブロッキング性が300g/20mm
を超えるものでは、フィルム同士のブロッキング性が大
きくなって例えばフィルムをロール状で保管したときに
フィルム同士のブロッキングが発生し、該ロール巻きフ
ィルムからのフィルムの巻き出しがスムーズに行なえな
くなるからである。
【0010】さらに本発明のポリプロピレン系フィルム
は、静摩擦係数が0.40〜0.80、より好ましくは
0.45〜0.70の範囲でなければならず、該静摩擦
係数が0.80を超えるものではフィルムの滑り性が低
下し、例えばフィルムの巻き取り性が悪くなるので好ま
しくない。逆に静摩擦係数が0.40未満では、フィル
ムの滑り性は良好でフィルムの巻き取り性が問題になる
ことはないが、フィルム同士の滑りが良すぎるためフィ
ルムを巻き取った時にフィルム同士のずれが発生し易く
なり、ロール巻き状態での取扱い性が低下する。
【0011】さらに本発明のポリプロピレン系フィルム
は、空気抜け速さが110秒以下、より好ましくは10
0秒以下でなければならならない。ここで空気抜け速さ
とは、フィルムを巻き取ったときにフィルムの間に巻き
込まれる空気量の尺度となるものであり、空気抜け速さ
の数値が高いものほどフィルム間に巻き込まれる空気量
は多くなる。そして、この空気抜け速さが110秒を超
えるものでは、たとえ静摩擦係数が前記好適範囲内のも
のであっても、フィルムを巻き取った時にフィルム間に
巻き込まれる空気量が多くなり、巻き込まれた該空気に
よってフィルム同士のずれが発生し、ロール状態での取
扱い性が低下するからである。
【0012】本発明に係る二軸延伸ポリプロピレン系フ
ィルムは、上記した特性の全てを同時に満足させること
により、厳しい市場の要求を満足し且つフィルムの巻き
特性に優れロール状態での取扱いの良好なものとなるの
である。
【0013】上記した特性は、ポリプロピレン系ポリマ
ー中に無機質微粉末や有機質微粉末、あるいはポリプロ
ピレン系ポリマーと溶融状態で実質的に相溶しない熱可
塑性樹脂よりなる微粉末等の、いわゆるブロッキング防
止剤を添加することによって得ることができる。
【0014】無機質微粉末の具体的例としては、炭酸カ
ルシウム、タルク、カオリン、雲母、シリカ、粘土粉、
酸化チタン、ゼオライト等が挙げられ、また有機質耐熱
性微粉末としては、ポリプロピレン系ポリマーの溶融成
形温度で非溶融で、且つ同温度に耐える耐熱性を有する
ものであれば特に制限はなく、付加重合法で得たもので
あってもよいし、重縮合や重付加反応法で得たものでも
よい。該微粒子を構成するポリマーは非架橋タイプであ
っても架橋タイプであってもかまわないが、耐熱性の点
からすると架橋タイプの方が推奨される。
【0015】付加重合法で得たものとしては、アクリル
系単量体(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリ
ル酸エステルなど)、スチレン系単量体(例えば、スチ
レン、アルキル置換スチレンなど)などと、架橋性単量
体(例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルスルホン、エ
チレングリコールジメタクリレート、トリメリチロール
プロパントリメチルアクリレート、ペンタエリスリトー
ルテトラメチルアクリレートなど)との共重合体などが
挙げられる。重縮合法や重付加反応法で得たものとして
は、メラミン樹脂系、ベンゾグアナミン樹脂系、フェノ
ール樹脂系、シリコーン樹脂系などの架橋高分子粒子な
どが挙げられる。これらの中でも、アクリル系単量体、
スチレン系単量体あるいはこれらの共重合体から得た架
橋高分子粒子が特に好ましい。上記架橋高分子粒子は単
独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
【0016】これら架橋高分子粒子の製法にも特に制限
がなく、乳化重合法および懸濁重合法等によって製造し
たものを使用することができ、また、上記架橋高分子の
粒子径や粒径分布を調整するため、粉砕や分級などの手
段を取り入れることも可能である。
【0017】ポリプロピレン系ポリマーと溶融状態で実
質的に相溶しない熱可塑性樹脂よりなる微粉末として
は、フィルム構成ポリマーよりも高融点で且つ該ポリマ
ーと実質的に相溶しない熱可塑性樹脂が使用される。該
熱可塑性樹脂粉末の融点がフィルム構成ポリマーの融点
よりも低く、あるいはこれらが該ポリマーと相溶性を有
するものでは、溶融混練時に該熱可塑性樹脂粉末がフィ
ルム構成ポリマー中に溶融混合され、微粉末としての配
合効果が発揮されなくなる。
【0018】なお、熱可塑性樹脂粉末に要求される上記
融点および相溶性の程度を決める一応の基準としては、
融点はフィルム構成ポリマーの融点よりも30℃程度以
上、より好ましくは50℃以上高融点のものであり、ま
た相溶性は、その尺度となる溶解度係数の差が1.5倍
程度、より好ましくは2.0以上のものであり、こうし
た要件にかなう熱可塑性樹脂としては、ナイロン−6、
ナイロン−6,6等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテ
レフタレートあるいはエチレンテレフタレートを主たる
重合単位とする共重合体等のポリエステル樹脂およびポ
リカーボネート樹脂、更にはアクリル系重合体、アクリ
ル系単量体とビニル系単量体との共重合体等が挙げられ
る。これらの微粉末は、球状あるいはラグビーボール状
で且つ粒度分布のシャープなものを用いるのが好まし
く、単分散のものが特に好ましい。
【0019】上記した微粉末として特に好ましいのは、
(メタ)アクリル系モノマーおよび/またはスチレン系
モノマーを含むモノマー成分よりなるポリマー微粒子で
ある。即ち(メタ)アクリル系モノマーまたはスチレン
系モノマーのホモポリマー、(メタ)アクリル系モノマ
ーのコポリマー(コポリマー以上のターポリマーも含
む。以下同じ)、スチレン系モノマーのコポリマー、
(メタ)アクリル系モノマーとスチレン系モノマーのコ
ポリマー等である。中でも好ましいのは、架橋タイプの
(メタ)アクリル系−スチレン系コポリマーであり、こ
れらは、透明性、滑り性、耐熱性、水滴保持時間等のバ
ランスにおいて一層優れたものを与える。
【0020】(メタ)アクリル系モノマー成分として
は、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸ビニル等のアクリル酸またはそのエステ
ル誘導体、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸ま
たはそのエステル誘導体が挙げられる。これらのモノマ
ーは1種であっても2種以上を併用しても構わない。ま
た、少量であればアクリル酸やメタクリル酸の金属塩、
アミド誘導体、ヒドロキシルエチルエステルやジメチル
アミノエチルエステル等の特殊な構造のエステル誘導体
等を用いてもかまわない。
【0021】スチレン系モノマー成分としては、スチレ
ン、メチルスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン
またはその誘導体が挙げられる。また、全モノマー成分
の20重量%以下であれば、酢酸ビニル、塩化ビニル、
塩化ビニリデン、アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル等の重合性ビニルモノマーを共重合しても構わない。
架橋方法としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコ
ールのジアクリル酸エステルやジメタクリル酸エステル
等の多官能性モノマーを微粒子ポリマー生成時に共重合
させるか、ポリマー生成後に架橋させる等の手段が挙げ
られる。
【0022】更に、これらの微粒子は、前記の方法で測
定される水滴保持時間が10秒以上、好ましくは1分以
上のものを用いることにより、前記要求特性を全て満足
するフィルムを容易に得ることができる。
【0023】水滴保持時間を10秒以上にするための手
段としては、次に示す様な方法が推奨される。 乳化重合法や懸濁重合法を採用して直接微粒子化する
方法で調整する場合は、重合時に用いる界面活性剤や自
己乳化性を付与するモノマーを用いて最適化する。 乳化重合法や懸濁重合法を採用して直接微粒子化する
方法で調整する場合の他の方法として、水等の溶媒から
微粒子を分離する時の洗浄を充分に行い、界面活性剤等
の親水性添加物や残留モノマーを除去する。 疎水性のモノマーやポリマーで微粒子表面を被覆す
る。 シランカップリング剤やチタネートカップリング剤等
の表面処理剤で表面処理を行う。 微粒子の表面に疎水性基を偏在させる。
【0024】上記微粉末は、単独でポリプロピレン系樹
脂中に配合し得るほか、必要により2種以上を併用する
ことも有効であるが、該微粉末としてポリプロピレン系
樹脂100重量部に対し、平均粒径が0.1〜1.5μ
mの微粉末0.05〜1重量%と平均粒径が1.5〜
7.0μmで前記微粉末よりも粒径の大きい微粉末0.
01〜0.5重量%を併用すると、前記した特性を一段
と優れたものにすることができるので好ましい。上記し
た微粉末の平均粒径や配合割合の最適値は、ポリプロピ
レン系樹脂の種類や分子量、フィルムの厚みや積層構造
等によって変化するので、目的とするフィルム特性に合
せて前記した範囲内で適宜任意に設定するのが良い。
【0025】本発明に係る二軸延伸ポリプロピレン系フ
ィルムには、本発明の前記諸効果を損なわない範囲で高
級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、ワックス、金属
石けん等の潤滑剤を併用する等によって滑り性をさらに
向上させることも有効であり、これら潤滑剤の併用はむ
しろ好ましい実施態様である。また、通常ポリプロピレ
ン系フィルムに配合される公知の安定剤、帯電防止剤、
紫外線吸収剤、加工助剤、可塑剤等の併用も勿論有効で
ある。
【0026】上記した有機ポリマー微粒子や添加剤等を
ポリプロピレン系樹脂と混合する方法も特に限定されな
いが、一般的なのは、V型ブレンダ、スクリュー型ブレ
ンダ、ドライブレンダ、リボンブレンダ、ヘンシェルミ
キサーなどの混合機にて均一混合した後、混練ペレット
化する方法である。
【0027】本発明においては、押出し成形等によって
成形した未延伸のキャスティングフィルムを縦延伸した
後、テンター等を用いて横方向に延伸した二軸延伸フィ
ルムとすることによってその特徴が効果的に発揮され
る。尚、該フィルムの層構造には特に制限がなく、単層
および2層以上の積層構造の何れであってもよいが、積
層構造の場合は、前記微粉末を最表面層に添加すること
により本発明の特徴を最も効果的に発揮させることがで
きるが、勿論これに限定される訳ではない。
【0028】本発明に係るポリプロピレン系フィルムの
合計厚みは通常5〜150μmであり、その表面には必
要によりコロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処
理等を施すことによって接着性を向上させる等、適宜の
表面処理を施すことは用途展開上有用である。
【0029】
【実施例】以下実施例によって本発明を更に詳述する
が、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・
後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て
本発明の技術範囲に包含される。なお、実施例で用いた
測定方法は次の通りである。
【0030】(1)狭角拡散透過値:東洋精機製作所製
の視覚透明度試験機を用いて測定。測定値が小さい程、
透明度が高いことを示している。 (2)静摩擦係数:ASTM−D−1894に準拠し、
23℃×65%RHで測定した。 (3)耐ブロッキング性:80mm×20mmの2枚の
フィルムを、上端を20mmずらして重ね合わせ、50
℃の雰囲気中でフィルムを重ねた部分に48時間2kg
/cm2 の荷重をかけた後荷重を除去して20mm幅に
切断する。そして23℃、65%RHの雰囲気中で東洋
精機(株)製のテンシロンを用いて、20mm/分の速
度でずらした時の応力を測定した。
【0031】(4)空気抜け速さ:図1に示す如く、台
盤1の上にフィルム4をB面(平坦面)を上にして載せ
る。次いで、フィルム押え2をフィルム4の上から載
せ、固定することによって張力を与えながらフィルム4
を固定する。次いで、フィルム押え2の上に、フィルム
5をA面(易滑面)を下にして載せる。次いでフィルム
5の上にフィルム押え8を載せ、更にネジ3を用いてフ
ィルム押え8,2および台盤1を固定する。次に、フィ
ルム押え2に設けられた空洞2aと真空ポンプ6とを、
フィルム押え2に設けられた細孔2cおよびパイプ7を
介して接続する。そして、真空ポンプ6を駆動すると、
フィルム5には、空洞2aに吸い付けられることによっ
て張力が加わる。また、同時にフィルム4とフィルム5
の重なり合った面もフィルム押え2に円周状に設けられ
た細孔2dを介して減圧され、フィルム4とフィルム5
はその重なり合った面において、外周部から密着し始め
る。密着する様子は、重なり合った面の上部から干渉縞
を観察することによって容易に知ることができる。そし
て、フィルム4とフィルム5の重合面の外周部に干渉縞
が生じてから重なり合った面の前面に干渉縞が拡がり、
その動きが止まるまでの時間(秒)を測定し、この時間
(秒)をもって空気抜け速さとする。空気抜け速さの値
が小さいほど、つまり時間(秒)が短いほどフィルムの
巻き特性は良好となる。
【0032】(5)巻き特性評価:ロール状に巻き取っ
たフィルムの端面を下にして直立した状態から30°傾
け(図2参照)、フィルムの下端面のずれ状態を観察し
て下記の基準で評価した。 ○:端面ずれが全く生じない。 △:端面がわずかにずれる。 ×:端面が大きくずれて竹子状になる。
【0033】実施例1 メルトインデックス2.5g/10分のポリプロピレン
100重量部に対して、水滴保持時間が10分以上の架
橋アクリルースチレン系共重合体微粒子[メチルメタク
リレート/n−ブチルアクリレート/スチレン/ジビニ
ルベンゼン=36/27/36/1(重量比)からなる
モノマー成分を乳化重合法で重合調製し、乳化液から共
重合体粒子を分離する際に水洗を5回繰返して微粒子表
面に付着している界面活性剤を充分に除去したもの]に
ついて、平均粒径が1.3μmのもの[微粒子(1)]
0.13重量部と、2.7μmのもの[微粒子(2)]
0.03重量部(いずれもほぼ単分散の粒径分布を示す
球状の微粒子)を、グリセリン樹脂酸エステル0.3重
量部およびエルカ酸アミド0.3重量部と共に混合した
組成物を用いて、樹脂温度270℃で溶融押出しを行
い、20℃の冷却ロールで急冷して、厚さ0.90mm
の未延伸シートを得た。この未延伸シートを、縦延伸機
のロール周速差を利用して、延伸温度120℃で縦方向
に4.5倍延伸し、引続きテンター式延伸機により延伸
温度155℃で横方向に8倍延伸した。次いで160℃
で熱処理を行い、厚さ約25μmの二軸延伸フィルムと
した後、片面にコロナ処理を施した。得られたフィルム
の特性値を表1に示す。
【0034】本実施例で得られたフィルムは、透明性、
滑り性、耐ブロッキング性および空気抜け速さの何れに
おいても優れたものであり、かつ、フィルムの巻き取り
後の特性も優れており、高度な透明性を要求される包装
材料として高品質のものであった。
【0035】比較例1〜2 比較例1では、実施例1の平均粒子径2.7μmの架橋
アクリル系重合体粒子を、また比較例2では、実施例1
の平均粒子径1.3μmの架橋アクリル系重合体粒子の
配合を、夫々省略した以外は実施例1と同じ方法でフィ
ルムを得た。得れらたフィルムの特性を表1に示す。比
較例1で得られたフィルムは空気抜け速さが大きく、比
較例2で得たフィルムは静摩擦係数、耐ブロッキング性
および空気抜け速さが大きくフィルムの巻き特性に劣り
形状の良くないロール状巻回物しか得られず、包装材料
としての品質が低い。
【0036】比較例3 実施例1において、乳化液から共重合体粒子を分離する
際の水洗を1回だけとし、得られた水滴保持時間が2秒
以内の架橋アクリルースチレン系共重合体粒子[(1)
および(2)の平均粒径、粒度分布、粒子形状、粒子組
織は実施例1と同じ]を用いた以外は実施例1と同じ方
法でフィルムを得た。特性値は表1に示す通りであり、
本比較例で得たフィルムは透明性に劣り低品質である。
【0037】比較例4 実施例1において、平均粒径1.3μmの微粒子(1)
の配合量を1.0重量部に変えた以外は実施例1と同じ
方法でフィルムを得た。特性値は表1に示す通りであ
り、本比較例で得たフィルムは透明性が著しく悪く、か
つ、静摩擦係数が低過ぎてフィルムの滑りが著しくて巻
き特性に劣るため、包装材料としては品質が劣る。
【0038】比較例5 実施例1の方法にいおて、架橋アクリル系重合体粒子の
配合を省略し、それに代えて、平均粒径が0.8μmで
ほぼ単分散の粒度分布を有する球状シリカ粒子0.20
重量%および平均粒径3.0μmでほぼ単分散の球状シ
リカ粒子0.025重量%を配合した以外は、実施例1
と同じ方法で二軸延伸フィルムを得た。結果は表1に示
す通りであり、本比較例で得たフィルムの巻き特性は良
好であるが透明性に劣り、透明性が高度に要求される包
装材料としては適性を欠く。
【0039】実施例2 前記実施例1の方法において、架橋アクリル−スチレン
系共重合体粒子に代えて、水滴保持時間が8分である平
均粒径が0.95μm[微粒子(1)]と2.5μm
[微粒子(2)]のほぼ単分散の粒度分布を示す球状の
架橋アクリル系粒子[組成:メチルメタクリレート/ト
リメチロールプロパントリメタクリレート=98/2
(重量比)]を用い、かつ、その添加量を0.15重量
部と0.030重量部にした以外は、実施例1と同じ方
法でフィルムを得た。特性値は表1に示す通りであり、
本実施例で得られたフィルムは、透明性、滑り性、耐ブ
ロッキング性および空気抜け速さの何れにおいても優れ
たものであり、かつ、フィルム巻き取り後の巻き特性も
良好で、高度な透明性を要求される包装材料として高品
質のものであった。
【0040】比較例6 上記実施例2において、水滴保持時間が2秒以内の架橋
アクリル系粒子(1)(2)を用いた以外は、実施例2
と同じ方法でフィルムを得た。特性値は表1に示す通り
であり、本比較例で得られたフィルムの巻き特性は良好
であるが透明性に劣り、適度の透明性が要求される包装
材料としては不適当であった。
【0041】比較例7 前記比較例2において、平均粒径2.5μmの架橋アク
リル系重合体粒子の配合を省略した以外は実施例2と同
じ方法でフィルムを得た。特性値は表1に示す通りであ
り、本比較例で得られたフィルムは、透明性は良好であ
るが、空気抜け速さが大きくて、フィルムの巻き特性に
劣り、形状の良くないロール状巻回物しか得られず包装
材料としては低品質のものであった。
【0042】比較例8 前記比較例2において、平均粒径2.5μmの架橋アク
リル系粒子の配合を省略し、且つ平均粒径0.95μm
の架橋アクリル系粒子の配合量を1.0重量部に変えた
以外は、実施例2と同じ方法でフィルムを得た。特性値
は表1に示す通りであり、本比較例で得られたフィルム
は、透明性が著しく悪く、かつ、静摩擦係数が低すぎて
フィルムが滑り過ぎるため巻き特性に劣り、包装材料と
しては低品質のものであった。
【0043】実施例3 前記実施例1の方法において、架橋アクリル−スチレン
系共重合体粒子に代えて、ポリマー型のシランカップリ
ング剤で表面処理して得た水滴保持時間が10分以上
で、平均粒径が0.80μmおよび2.8μmのほぼ単
分散の粒径分布を示す球状の架橋ポリスチレン系粒子
[懸濁重合法により調製:組成:スチレン/ジビニルベ
ンゼン=98/2(重量比)]を夫々0.15重量部と
0.05重量部を用いた以外は、実施例1と同じ方法で
フィルムを得た。特性値は表1に示す通りであり、本実
施例で得られたフィルムは、透明性、滑り性、耐ブロッ
キング性および空気抜け速さの何れにおいても優れてお
り、かつ、フィルム巻き取り後の巻き特性にも優れたも
のであり、高度な透明性が要求される包装材料として高
品質のものであった。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、ポ
リプロピレン系フィルムの狭角拡散透過率、静摩擦係
数、耐ブロッキング性および空気抜け速さをそれぞれ特
定範囲に制御することにより、透明性や耐ブロッキング
性に優れ、かつ、フィルムの巻き取り状態におけるフィ
ルム同士のずれを抑えてロール巻回状態での取り扱い性
の改善されたポリプロピレン系フィルムを提供し得るこ
ととなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】フィルムの空気抜け速さを測定するための装置
の模式図である。
【図2】実施例で採用したフィルムの巻き特性評価の試
験法を示す説明図である。
【符号の説明】
1 台盤 2,8 フィルム押え 2a 空洞 2c,2b 細孔 3 ネジ 4,5 フィルム 6 真空ポンプ 7 パイプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29K 105:16 B29L 7:00 (72)発明者 井坂 勤 大阪市北区堂島浜2丁目2番8号 東洋紡 績株式会社本社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィルムの狭角拡散透過率が7.0%以
    下、耐ブロッキング性が300g/20mm以下、静摩
    擦係数が0.40〜0.80および空気抜け速さが11
    0秒以下であることを特徴とする二軸延伸ポリプロピレ
    ン系フィルム。
  2. 【請求項2】 ポリプロピレン系重合体に、無機質微粉
    末、有機質耐熱性微粉末および前記ポリプロピレン系重
    合体と溶融状態で実質的に相溶しない熱可塑性樹脂微粉
    末よりなる群から選択され、且つ下記方法によって求め
    られる水滴保持時間が10秒以上である微粉末を均一に
    分散せしめ、製膜した後、縦・横方向に延伸し、請求項
    1に記載のフィルムを得ることを特徴とする二軸延伸ポ
    リプロピレン系フィルムの製造法。 [水滴保持時間]微粒子を水平で平滑な台上で2枚の二
    軸延伸ポリプロピレンフィルムの間に狭持させ、上側フ
    ィルムを手で軽く押さえて厚さ2mmの平滑な微粒子層
    を形成した後、上側フィルムを静かに取り外す。得られ
    た微粒子層表面にスポイドで直径3mmの水滴を高さ1
    cmのところから落とし、該水滴が微粒子層に吸収され
    水滴が消失するまでの時間を水滴保持時間とする。
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