JPH0859353A - セラミック成形用有機バインダー、その製法及びこれを用いた用途 - Google Patents

セラミック成形用有機バインダー、その製法及びこれを用いた用途

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JPH0859353A
JPH0859353A JP7140293A JP14029395A JPH0859353A JP H0859353 A JPH0859353 A JP H0859353A JP 7140293 A JP7140293 A JP 7140293A JP 14029395 A JP14029395 A JP 14029395A JP H0859353 A JPH0859353 A JP H0859353A
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宣仁 勝村
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Shosaku Ishihara
昌作 石原
Madoka Kinoshita
円 木下
Takeshi Fujita
毅 藤田
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】セラミック成形用有機バインダーとその製法及
びこれを用いた多層セラミック基板等の用途を提供す
る。 【構成】(A)エチレンオキサイド含有率が70重量%
以上のアルキレンオキサイドを付加重合せしめた平均分
子量が30,000以上の水溶性高分子量化合物1〜3
0重量部の存在下、(C)水又は水及び水溶性有機溶剤
中で(B)少なくとも一種類以上のビニル系単量体10
0重量部をラジカル重合開始剤で分散(共)重合させて
なる重合体とからなるバインダー及びその製法。(D)
セラミック微粉末100重量部と、(E)セラミック成
形用有機バインダー5から30重量部とからなるセラミ
ックグリーンシートに、導体層による所定の穴埋め及び
配線パタ−ンを有するセラミックグリーンシート層を介
して積層体を焼結してなる多層配線セラミック基板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低公害、省資源、防災
安全性及び安全衛生の観点からアルミナ等のいわゆるセ
ラミックを成形する際に、即ちセラミックス前駆体から
なる成形体、グリーンシートを製造するために用いられ
る有機系バインダーに関するものであり、特に水系で脱
バインダー性に優れたセラミック用有機系バインダーに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】
(イ)従来、セラミック用バインダーとして、一般にポ
リビニルブチラール樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂
等の有機バインダーが用いられている。このバインダー
をアルコール、ケトン、塩素系溶剤、芳香族系溶剤等の
有機系溶剤に溶解し、又は分散し、これをセラミック微
粉末と混合し、ボールミル等で長時間混練、分散し、ス
リップ状となす。これを、脱泡後、ドクターブレード法
等で一定の厚みのシートをポリエステルフイルム等の基
材上にキャスティングして、加熱乾燥させてグリーンシ
ートを成形する方法等が採用されている。
【0003】(ロ)セラミック用水溶性バインダーとし
て、アセタール化度10モル%以下である水溶性ポリビ
ニルアセタールとして特開昭56−76405号公報、
アセタール化度10〜30モル%の冷水可溶性ポリビニ
ルアセタールとして特開昭64−29408号公報、疎
水基或は特定のイオン性親水基を側鎖に有する変性ポリ
ビニルアルコールを水系有機バインダとして特開昭59
−156959号公報等で知られている。
【0004】(ハ)水溶性ポリ(メタ)アクリル酸エステ
ル系バイダーとして特公平1−53233号公報、特公
平1−44668号公報、特開平1−286955号公
報が知られている。これらは、(メタ)アクリル酸エステ
ルと(メタ)アクリル酸の共重合体をアンモニア、トリ
メチルアミン等のトリアルキルアミン、ジメチルアミノ
アルコール、モノエタノールアミン等のアミン類で中和
(pH調整)している。
【0005】また、(ニ)界面活性剤を用いてビニル単
量体を乳化重合して得られたエマルジョン系バインダー
に(メタ)アクリル酸を用い、アンモニアで中和(pH
調整)しているものとして特開昭60−180955号
公報、特開昭60−180956号公報、特開昭61−
151060号公報、特開平1−286955号公報、
架橋構造を有するものとして特開昭63−260855
号公報が知られている。
【0006】また、(ホ)(a)αーオレフィン重合
体、(b)(メタ)アクリル酸エステル単独又は(メ
タ)アクリル酸エステル単量体及びスチレン系単量体、
(c)重合開始剤からなる膨潤物を、重合用分散剤(例
えば、水溶性高分子ポリビニルアルコール)を含む水系
媒体中に分散させて懸濁重合させる系をバインダーとし
て、特開平3−131604号公報が知られている。
【0007】(ヘ)特開昭59−128266号公報に
は、(a)水溶性高分子成分100重量部に対し、
(b)疎水性高分子成分が1から1000重量部を含有
するセラミック成形用複合バインダーが知られている。
【0008】一方、(ト)特開昭59−995号公報、
特開昭60−254697号公報では、多層セラミック
回路板基板の製造方法が知られ、その中に熱解重合型樹
脂を含むバインダーとしてポリメタクリル酸エステル系
樹脂が開示されている。
【0009】(チ)特願平5−306245号公報に
は、(a)少なくとも一種以上のビニル系単量体の重合
体と(b)水溶性高分子と(c)水又は水及び水溶性有
機溶剤から形成されたセラミック成形用有機バインダが
知られている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、(イ)
のバインダーでは有機溶剤としてブチルアルコール、イ
ソプロピルアルコール、トリクロロエチレン、トルエン
等が用いられている。しかし、引火による爆発性、火災
の危険性、成形時、乾燥時の臭気、特にハロゲン系溶剤
は、蒸発ガスによる環境汚染、人体への有害性の公害問
題等があり、これらを防ぐために防爆設備、廃ガス処理
設備、溶剤回収設備等の設置が必要である等の、多くの
問題がある。(ロ)、(ハ)の場合は水溶性であるため
に吸湿性が大きく、セラミックグリーンシートの特性の
バラツキが生じる等の欠点がある。(ニ)の場合、カル
ボキシル基を有するエマルジョンを用いたセラミックグ
リーンシートは引張り強さが弱く、光沢性、平滑性に劣
る等の欠点がある。また、いずれのバインダーも脱バイ
ンダー性に劣るため、焼成後のセラミックシート及びセ
ラミック基板の強度が劣る等の問題がある。また、
(ホ)の場合、(a)成分と(b)成分との相溶性が悪
く、セラミック前駆体組成物の機械的特性がよくない。
またαーオレフィン重合体やポリビニルアルコール等の
熱分解性が悪いポリマーを使用しているため、脱バイン
ダー性に劣り、焼成後のセラミック、セラミックシート
及びセラミック基板の強度が劣る等の問題がある。
(ヘ)の場合、水系分散体として乳化重合で得られた疎
水性高分子ラテックスを水に溶かした水溶性高分子溶液
に添加する方法であるが、水溶性高分子は熱分解性の悪
い高分子が多いため、水溶性高分子をバインダーとして
用いるには、添加量はできるだけ少ないことが重要であ
る。又水溶性高分子が多く存在すると、グリーンシート
が吸湿しやすいので機械的特性等のバラツキが大きい。
又乳化重合で得られた疎水性高分子ラテックスには界面
活性剤が含まれているため、セラミック粉末の種類によ
って凝集したり、脱泡時に泡が多く発生する等、作業性
が良くない。
【0011】一方、(ト)に用いられているポリメタク
リル酸エステル系樹脂をセラミック成形用有機バインダ
ーとして使用するには、例えば、メチルエチルケトンな
どのケトン系溶剤、ブチルアルコールなどのアルコール
系溶剤等の蒸気圧が高い有機溶剤を使用するため、火災
に対する安全性に欠ける。(チ)ではグリーンシートを
多層化する水溶性高分子が少ないので、シ−ト間の接着
性が劣ること、記載されている水溶性高分子化合物では
熱分解性が必ずしも十分ではないこと、特に低温焼結性
セラミックの100cm2以上で且つ30層以上の多層
配線基板を製造するには熱分解性の優れた材料構成から
なることが必要である。その他、グリーンシートを作成
する際の脱泡時間が長くなるという問題がある。
【0012】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは鋭
意検討した結果、(A)少なくとも一種類以上の1)エ
チレンオキサイド含有率が70重量%以上のアルキレン
オキサイドを付加重合せしめた平均分子量が30,00
0以上の水溶性高分子量化合物、2)活性水素基を2個
を有する有機化合物に、エチレンオキサイド含有率が7
0重量%以上のアルキレンオキサイドを付加重合せしめ
た平均分子量が30,000以上の水溶性高分子量化合
物、3)活性水素基を2個を有する有機化合物に、エチ
レンオキサイド含有率が70重量%以上のアルキレンオ
キサイドを付加重合せしめた平均分子量が1000以上
のポリヒドロキシル化合物と、多価カルボン酸又はその
低級アルキルエステルとの反応物であって、エチレンオ
キサイド含有率が68重量%以上を含有し、かつ重合度
が4.5〜21、平均分子量が30,000以上の水溶
性高分子量化合物1〜30重量部成分を重合用分散安定
剤として用い、その(A)成分の存在下、(C)水又は
水と水溶性有機溶剤中(B)少なくとも一種類以上のビ
ニル系単量体100重量部をラジカル重合開始剤で分散
重合によってセラミック成形用有機バインダ−が得られ
る。得られたセラミック成形用有機バインダーは、環境
性、安全性、更に脱バインダー性(熱分解性)に優れ、
水系セラミック有機バインダーとして有用であることを
見出し、本発明を完成した。
【0013】すなわち、本発明は、環境性、安全性、熱
分解性の優れたセラミック形成用有機バインダの成分と
して、(B)成分である、少なくとも一種類以上のビニ
ル系単量体100重量部、好ましくは少なくとも一種類
以上の(メタ)アクリル酸エステル(但し、炭素数が1
〜18個のアルキル基、炭素数が1〜12個の環状アル
キル基又はアリール基のエステル)100重量を,上記
(A)成分である重合用分散安定剤の存在下、(C)水
又は水と水溶性有機溶剤に分散した溶液中にて、ラジカ
ル重合開始剤で分散(共)重合(又は懸濁重合)させる
ことによりセラミック成形用有機バインダーが得られ、
上記の目的が達成される。
【0014】又(D)セラミック粉末100重量部、
(E)セラミック成形用有機バインダー5から30重量
部、必要に応じて(F)分散剤、可塑剤とからなるセラ
ミック前駆体組成物ことを特徴とするセラミック前駆体
組成物のスラリーを基材の表面に薄膜状にコーティング
することによりグリーンシートが得られ、治具にシート
を固定し、穴あけ加工を施し、導電体を穴埋め、及びシ
−ト上にパターン状に導電体層を形成し、数層から数1
0層になるように積層接着させ、所定の条件下で焼結す
る(脱バインダ工程、ついで残留炭素を少なくする工
程)ことによって多層セラミック基板が得られ、上記の
目的が達成される。
【0015】又(D)成分であるセラミック粉末は、特
に限定されるものではないが、高密度化のために微細な
配線や微細な穴あけを要するグリーンシート化する際に
は、セラミック粉末の平均粒径が20.0ミクロン以下
の微粉末であることが望ましい。
【0016】又、(D)成分である、平均粒径が20.
0ミクロン以下であるセラミック微粉末100重量部
と、(E)成分である、上記セラミック成形用有機バイ
ンダー5から30重量部と、必要に応じて(F)成分で
ある、分散剤、可塑剤とからなるセラミック前駆体組成
物で構成され、この上にパターン状及び穴埋めに導電体
層を形成し、数層から数10層になるように積層熱圧着
させ、焼結する(脱バインダ工程、ついで残留炭素を少
なくする工程)ことによって多層セラミック基板が得ら
れる。更に高密度化のためには、グリーンシート層が、
平均粒径が10.0ミクロン以下の(D)成分である、
セラミック微粉末100重量部と、(E)成分である、
上記セラミック成形用有機バインダー5から30重量部
と、必要に応じて(F)成分である、分散剤、可塑剤と
からなるセラミック前駆体組成物で構成され、複数の導
体層を上記グリーンシート層を介して積層体を焼結して
なる多層配線セラミック基板の製造法によって上記の目
的が達成される。
【0017】以下に、本発明を詳細に説明する。
【0018】本発明は、(A)成分である前記ポリエチ
レンオキサイド系樹脂1〜30重量部、前記(A)重合
用分散安定剤として用い、(C)水又は水及び水溶性有
機溶剤中に分散重合させてなる(B)少なくとも一種類
以上のビニル系単量体100重量部の重合体が配合され
てなることにある。
【0019】即ち(B)成分である少なくとも一種類以
上の(メタ)アクリル酸エステル(但し、炭素数が1〜
18個のアルキル基、炭素数が1〜12個の環状アルキ
ル基又はアリール基のエステル);100重量部を、
(A)成分である上記水溶性高分子量化合物1〜30重
量部〔(B)成分100重量部に対して〕を溶解した水
又は水と水溶性有機溶剤の混合液中にて、重合開始剤存
在下で分散(共)重合(又は懸濁重合ともいう)させる
ことを特徴とするセラミック成形用有機バインダー及び
その製法に関するものである。
【0020】本発明に用いられる水溶性高分子量化合物
とは水に溶けるのもである。本発明に用いられる(A)
成分である水溶性高分子量化合物として、1)エチレン
オキサイド含有率が70重量%以上のアルキレンオキサ
イドを付加重合せしめた平均分子量が30,000以上
の水溶性高分子量化合物、2)活性水素基を2個を有す
る有機化合物に、エチレンオキサイド含有率が70重量
%以上のアルキレンオキサイドを付加重合せしめた平均
分子量が30,000以上の水溶性高分子量化合物、
3)活性水素基を2個を有する有機化合物に、エチレン
オキサイド含有率が70重量%以上のアルキレンオキサ
イドを付加重合せしめた平均分子量が1000以上のポ
リヒドロキシル化合物と、多価カルボン酸又はその低級
アルキルエステルとの反応物であって、エチレンオキサ
イド含有率が68重量%以上を含有し、かつ重合度が
4.5〜21、平均分子量が30,000以上の水溶性
高分子量化合物が挙げられる。エチレンオキサイド含有
率は70重量%以上、好ましくは、70〜98重量%、
更に好ましくは75〜95重量%で、エチレンオキサイ
ド含有率が70重量%未満では水に溶解しにくくなる。
【0021】該水溶性高分子量化合物の成分として用い
られるアルキレンオキサイドは、例えば、エチレンオキ
サイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、
スチレンオキサイド等が挙げられ、その使用量はアルキ
レンオキサイド100重量部に対して、0.05〜20
重量部の範囲が好ましく、又該付加重合反応に用いられ
る水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、等の苛性アルカ
リである触媒の使用量は、出発物質及びアルキレンオキ
サイド100重量部に対して0.01〜1重量部の範囲
が好ましい。また従来のポリアルキレンオキサイド系の
平均分子量20,000以上の高分子量の合成法とし
て、例えばポリエチレンオキサイドはエイレンオキサイ
ドにジエチル亜鉛、炭酸ストロンチウム、トリエチルア
ルミニウム等のような特殊な触媒で重合し、特殊な重合
条件下、例えば溶媒としてn−ヘキサン、1,4−ジオ
キサン、n−ヘプタンを用いている。
【0022】又、活性炭化水素基を2個を有する有機化
合物としては、例えばエチレングリコール、ジエエチレ
ングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ジプロピレング
リコール、1.4−ブタンジオ−ル、1,6−へキサン
ジオ−ル、ネオペンチルグリコール、ビスフェノール
A、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ポリテトラエチレングリコール、等が挙げられる。
また多価カルボン酸又はその低級アルキルエステルは、
マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン
酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル
酸、イタコン酸、もしくはダイマー酸、及びこれらのモ
ノエステル、ジアルキルエステル、もしくはカルボン酸
の無水物等が挙げられる。
【0023】本発明に用いられる(B)成分はセラミッ
ク成形用有機バインダーの主成分であり、セラミック粉
末とセラミック粉末同士を接着するものであり、例え
ば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アク
リレート、nープロピル(メタ)アクリレート、イソプ
ロピル(メタ)アクリレート、nーブチル(メタ)アク
リレート、イソブチル(メタ)アクリレート、nーアミ
ル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレ
ート、nーヘキシル(メタ)アクリレート、nーオクチ
ル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリ
レート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メ
タ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ス
テアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メ
タ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレー
ト、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)
アクリレート等が挙げられる。これらの成分うち、熱分
解性の点から、メタクリル酸エステル系、更にはメタク
リル酸nーブチル、メタクリル酸タ−シャリーブチル、
メタクリル酸エチル、メタクリル酸nープロピル、メタ
クリル酸iープロピル、メタクリル酸nーオクチル、メ
タクリル酸メチルが良い。
【0024】また、必要に応じて少なくとも一種類以上
の組合せで、(B)成分中に2ーヒドルキシエチル(メ
タ)アクリレート、2ーヒドロキシプロピル(メタ)ア
クリレート等のヒドロキシル(メタ)アクリレートを3
0重量%以下の範囲で使用することもできる。30重量
%を越える場合には、分散(懸濁)重合中に分散(懸
濁)液に分散しているポリマ粒子同志の凝集が起こるこ
とにより安定な分散(懸濁)液を得ることができず、実
用に供することができない。同様に、必要に応じて少な
くとも一種類以上の組合せで、エチレン、イソブチレ
ン、メタクリロニトリル等のエチレン系単量体、スチレ
ン(St)、αーメチルスチレン(α−MSt)等のス
チレン系単量体、マレイン酸ジエステル、フマル酸ジエ
ステル、イタコン酸ジエステル、シトラコン酸ジエステ
ル等の不飽和ジエステル系単量体等を50重量%以下で
使用できる。50重量%を越える場合には、この共重合
体をバインダーとしセラミック焼結体としたときに、脱
バインダー性が劣るため焼結体の強度が低く、また誘電
率が高く成り実用に供することができない。(B)成分
に上記ビニル単量体を共重合する目的は、熱分解性の向
上や機械的特性の改質を図るためである。
【0025】本発明に用いられる溶剤としては、例え
ば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ
プロパノール(IPA)等のアルコール類、エチレング
リコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエ
ーテル、エチレングリコールブチルエーテル(EM)等
のエチレングリコール誘導体、ジエチレングリコールメ
チルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、
ジエチレングリコールブチルエーテル等のジエチレング
リコール誘導体、プロピレングリコールメチルエーテル
(PM)、プロピレングリコールエチルエーテル、プロ
ピレングリコールブチルエーテル等のプロピレングリコ
ール誘導体、酢酸メチル、酢酸エチル等の酢酸エステル
誘導体、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)等の乳酸エス
テル誘導体等のような水溶性溶剤が挙げられる。少なく
とも一種以上の水または水及び水溶性溶剤から選ばれ
る。又水に溶けにくいアルコール系溶剤を一部添加して
も良い。水及び水溶性溶剤を使用する場合の混合割合
は、水100〜50重量%、水溶性溶剤0〜50、好ま
しくは水95〜70重量%、水溶性有機溶剤5〜30重
量%である。
【0026】水溶性有機溶剤の働きは、分散重合を行う
際に水溶性有機溶剤が存在すると、生成される重合体の
粒子が微粒子化しやすく、分散重合がスム−スに進行し
やすい。又重合釜への重合物の付着が少ない。
【0027】重合開始剤としては、例えば、2,2’−
アゾビス(イソブチロニトリル)〔AIBN)、2,
2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、
2,2’−アゾビス(イソブチルバレロニトリル)等の
アゾ化合物、タシャリーブチルハイドロパ−オキサイド
(t−BHPO)、ベンゾイルパーオキサイド、tーブ
チルパーオキサイド等の過酸化物、過硫酸アンモニウム
(APS)、過硫酸カリウム(KPS)のようなの過硫
酸塩等の水溶性重合開始剤が特に制限なく使用できる。
使用量は、モノマーの総量100重量部に対して0.0
5〜5重量部を使用することが望ましい。また、必要に
応じてタシャリードデシルメルカプタン、チオグリコー
ル酸、α−メチルスチレンオリゴマ等の連鎖移動剤、酸
素ガス等を用いることによってバインダの分子量が制御
できる。
【0028】この反応は、重合触媒の種類にもよるが、
通常40〜90℃で行うことができる。低温では、高分
子量の生成物を与え、高温では低分子量の重合体が得ら
れる。
【0029】本発明に用いられる上記バインダであるビ
ニル単量体の重合体の平均重量分子量は10万〜100
万、好ましくは20万〜55万である。10万未満では
グリーンシートの機械的特性が十分に得られず、100
万を超えるとバインダー樹脂の流動性が低くなり、グリ
ーンシートの機械的特性が十分に得られにくい。
【0030】本発明により得られた重合体の粒子径は電
子顕微鏡、マイクロトラック法等で測定できる。
【0031】本発明に用いられるセラミック用有機バイ
ンダとして使用する場合には、ポリマの平均粒径(粒径
分布の中心)が5ミクロン以下、好ましくは3.0ミク
ロン以下が良い。このようなポリマ粒径を製造するに
は、重合用分散安定剤として、上記(A)成分であるポ
リエチレンオキサイド系水溶性高分子化合物が平均分子
量3万以上であることが良い。好ましくは10〜40万
が良い。(A)成分の使用量は、上記ビニル単量体の総
量100重量部に対して1〜30重量部である。好まし
くは、3〜20重量部、更に好ましくは3〜15重量
部、又セラミック成形用有機バインダを低温焼結用ガラ
スセラミックに用いるには、(A)成分であるポリエチ
レンオキサイド系水溶性高分子化合物をできるだけ少な
い使用量が好ましく、1〜9.5重量部が良い。又上記
(A)成分の使用量約10〜30重量部を多くしてグリ
−ンシ−トを多層化すると、シ−ト間の接着が良好にな
るほか、セラミック前駆体組成物であるスラリ−の脱
泡、脱水又は脱水及び水溶性有機溶剤の時間が短くなる
等のメリットがある。(A)成分の1重量部未満の場合
には、全く分散しない、又はポリマー粒子が大きくなり
粒子同士の癒着によるブロック化が起こる。30重量部
を越える場合には、(A)成分と(B)成分の重合体と
からなる重合体組成物は相溶しにくくなるため、シ−ト
の機械的強度の低下、更には脱バインダー性が劣るた
め、焼結体の強度が低く、また誘電率が高く成り実用に
供することができない。
【0032】(A)成分はポリマ−であるため、作成さ
れたグリーンシート外観が、低分子の界面活性剤を使用
した場合よりも非常に平滑で、表面からセラミック粉末
が脱落しにくく、又脱泡時に泡立ちが少なく作業性に優
れている。一般の水溶性高分子化合物を使用した場合、
湿度によるグリーンシートの機械的特性のバラツキ、ひ
いては穴開け加工精度を低下させる原因になる。しか
し、ポリエチレンオキシド系樹脂(融点50数℃〜65
℃、平均分子量10〜100万)は、フイルム形態では
吸湿性が低く、更に(B)成分の重合体と混合してバイ
ンダーとして用いても湿度にあまり左右されにくいこと
を見出した。また、本発明によって得られた水系有機バ
インダーの性能は、同成分よりなる有機溶剤系から作成
されたグリーンシートと同等以上であることを見出し
た。更には単独のポリエチレンオキサイド樹脂よりも
(A)であるエチレンオキサイドに30重量%より少な
いプロピレンオキサイドを共重合させて得られた重合体
は熱分解性に優れ、残留炭素が少ない。
【0033】本発明に用いられる重合用分散安定剤の働
きは、分散(懸濁)重合により(B)成分のビニル単量
体から得られた重合体の微粒子が安定に存在させること
であり、又分散剤が高分子量化合物であるためセラミッ
ク用有機バインダの一部としての働きもする。そこで、
重合用分散剤は、例えばガラスセラミック多層基板のよ
うに低温で脱バインダーを行う場合には熱分解性、耐湿
性の優れた性能も兼ね備えことが必要である。
【0034】本発明に用いられるセラミック用有機バイ
ンダの基本的な性能は、前記有機バインダを用いて作製
されたグリーンシートの機械的特性(ハンドリング性)
が良く、熱分解性に優れ(焼結時の残留炭素が少ないこ
と)ていることが必要である。そのためには、重合用分
散剤の添加量が出来るだけ少ない方が良い。
【0035】又(F)成分として用いられる界面活性剤
は、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムなどの高級アルコ
−ル硫酸エステル塩のアニオン界面活性剤、ポリオキシ
エチレンアルキルエ−テル等のエ−テル型非イオン界面
活性剤、カルボキシベタイン型、アミノカルボン酸塩の
両性界面活性剤等であり、この界面活性剤の添加量は
0.5〜8重量部、好ましくは1〜5重量部である。特
に好ましい界面活性剤としては非イオン界面活性剤、界
面活性剤の添加量は0.5重量部未満の場合には分散効
果が良くない。8重量部を超えると、バインダとして使
用時に泡が発生してスラリ−の取扱いにくい等の問題が
ある。
【0036】又、バインダとともに使用される可塑剤
は、基本的には水又は水系溶剤と共沸しにくいもので、
且つビニル単量体から得られたポリマと相溶性が良いこ
とである。例えば、ジブチルフタレート(DBPと略
す)、ジー2ーエチルヘキシルフタレート(DOP)、
ジイソノニルフタレート(DINP)、ジイソデシルフ
タレート(DIDP)、ジヘプチルフタレート(DH
P)、ジーnーオクチルフタレート(NーDOP)ブチ
ルベンジルフタレート(BBP)、エチルフタリルエチ
ルグリコレート等のフタル酸エステル系、ジー2ーエチ
ルヘキシルアジペート(DOA)、ジブチルジグリコー
ルアジペート(BXA)等の脂肪族エステル系、トリプ
ロピレングリコールメチルエーテル(TPM)、ジプロ
ピレングリコールーnーブチルエーテル(DPnB)、
トリプロピレングリコールーnーブチルエーテル(TP
nB)、プロピレングリコールフェニルエーテル(PP
h)等のプロピレン系グリコールエーテルが挙げられ
る。好ましくは、DOP、DINP、DIDP、DH
P、NーDOPが良い。上記可塑剤はそれぞれの形態に
応じて添加すれば良く、特に制限されるものでない。即
ち、セラミック用有機バインダーを使用して成形された
セラミック前駆体組成物の機械的特性が保持され、ハン
ドリング性が優れていれば良い。即ち、可塑剤の添加量
を変えるることによって得られたグリーンシートの機械
的特性を可塑剤で調整できる。一つの目安として、グリ
ーンシートのハンドリング性と穴開け加工精度を得るた
めには、伸びが5から25%程度が必要である。可塑剤
の添加方法はビニル単量体の分散重合時、又は重合後で
もよい。好ましくはポリマの粒子同志の癒着を防止する
ためにも重合時に添加するのが良い。
【0037】本発明に用いられるセラミック成形用有機
バインダーの固形分濃度は30重量%以下、15重量%
以上とする。50重量%を超えると(B)成分の粒径が
大きくなり、15重量%未満では作業性が低下する。
【0038】本発明に用いられるセラミック成形用有機
バインダーの製造方法は、(B)成分であるモノマーの
総量100重量部を、(C)水又は水と水溶性有機溶剤
の混合液中に(A)成分1〜30重量部((B)成分で
あるビニル単量体の総量100重量部に対して)を溶解
し、この溶液中で(B)成分であるビニル単量体を激し
く撹拌しながら分散(懸濁)して重合触媒存在下、激し
く撹拌しながら加熱、重合又は共重合反応を行う。
【0039】本発明に用いられるセラミック粉末の平均
粒径が20.0ミクロン以下、好ましくは10ミクロン
以下、更に好ましくは5ミクロン以下である。セラミッ
ク粉末としては、例えば、Al23、SiO2、3Al2
3・SiO2、PbO、Al 23・MgO、B23、C
aO、BaO、ZrO2、ZnO、Na2O、P25、K
2O、Li2O等から少なくとも1種以上より選ばれたも
のである。更に詳しく言えば、アルミナ(Al23)、
アノ−サイト(Anorthite、CaO・AlO・
2SiO2)、ムライト(Mulli−te,3Al2
3・2SiO2)、コージェライト(Cordierit
e,2MgO・2Al23・5SiO2)、スポジュ−
メン(Spodumene,Li2O・Al23・Si
2)のうち少なくとも一種のセラミック粉末、SiO2
−B23−Na2O系、SiO2−B23−K2O系、S
iO2−B23−Li2O系、SiO2−B23−Zn
O、系等のホウ珪酸ガラスのうち、少なくとも1種以上
のガラスセラミック粉末より選ばれる。又これらのガラ
スセラミックが銅の融点より低温で焼成可能な非結晶性
又は結晶性ガラスセラミック、抗折強度が強いことが好
ましく、さらには焼結後にクリストバライト(Cris
tobalite)が生成しにくい成分が好ましい。こ
のセラミック微粒子は球状、粉砕状のもの等が使用され
る。微細なスルーホール加工を必要とする場合には、グ
リーンシート用セラミック粉末の平均粒径は、一般的に
10ミクロン以下、更に好ましくは5ミクロン以下が望
ましい。
【0040】又本発明に用いられるセラミック原料とし
ては、BaTiO3等の高誘電体材料、抵抗体材料等も
挙げられ、特に制限されるものではない。
【0041】本発明に用いられるセラミック用分散助剤
としては、ポリアクリル酸のアンモニウム等のポリアク
リル酸の塩、ホスヘ−トエステル(Phosphate
ester)、ポリエチレングリコ−ル、ポリビニル−
2−ピロリドン及び共重合体、グリセロ−ルトリオレ−
ト(Glycerol trioleaste)等があ
げられる(Advaces in ceramics、
Vol.21、Ceramic Powder Sci
ence p537〜547、1987)。また3,6
−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオ−ル、2,
4,7,9,−テトラメチル−5デシン−4,7−ジオ
−ル、そのエチレンオキサイドを付加した液状等の非イ
オン界面活性剤(エチレンオキサイド含有量として、付
加モル数:1.3、3.5、10、30、重量%:2
0、40、65、85)、2,4,7,9,−テトラメ
チル−5デシン−4,7−ジオ−ルとポリオキシエチレ
ンアルキルフェニルエ−テルとをエチレングリコ−ルに
高濃度に溶解した液状の非イオン界面活性剤、さらに必
要に応じてその他の界面活性剤としては、例えば、ラウ
リル硫酸ナトリウムなどの高級アルコ−ル硫酸エステル
塩のアニオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキル
エ−テル、ポリオキシエチレンポリプロピレンアルキル
エ−テル等のエ−テル型非イオン界面活性剤、カルボキ
シベタイン型、アミノカルボン酸塩の両性界面活性剤等
が挙げられる。
【0042】セラミック用分散助剤は、セラミック粉末
同志が凝集しにくくし、スラリ−の流動を容易にするも
のである。セラミック用分散助剤は溶剤(水、水及び水
溶性溶剤)に溶解又は分散した溶液に、セラミック粉末
を添加して使用する。使用する場合、ボ−ルミルを用い
て湿式混合を1から5時間行ない、次にセラミック用有
機バインダを所定量添加し、更にこのセラミック前駆体
組成物をボ−ルミルを用いて湿式混合を少なくとも10
時間以上行なってもよい。
【0043】本発明に用いられるセラミック前駆体組成
物の製造法は、(D)成分であるセラミック粉末100
重量部と、(E)成分である、バインダーとして(メ
タ)アクリル系樹脂分散液5から30重量部と、必要に
応じて、各種セラミック用分散助剤のうちから選ばれた
分散剤とからなるセラミック前駆体組成物をボールミル
を用いて湿式混合を少なくとも5時間以上行ない、セラ
ミック前駆体組成物スラリーにし、脱泡工程を経たの
ち、押出成形法、射出成形法、ドクターブレード法、カ
レンダ−ロ−ル法等によつて成形される。製法は特に制
限されるものではない。
【0044】本発明に用いられるセラミックの製造法
は、上記の製法で得られたセラミック前駆体組成物を3
50〜1800℃の温度で少なくとも5時間以上空気中
或いは非還元性雰囲気中で焼成することによって得るこ
とができる。
【0045】本発明に用いられる多層セラミック基板は
つぎの製造法によって得られる。(D)成分である、平
均粒径が20.0ミクロン以下のセラミック微粉末10
0重量部と、(E)成分である、バインダーとして(メ
タ)アクリル系樹脂懸濁液5から30重量部と、必要に
応じて(F)成分である、各種セラミック用分散剤のう
ちから選ばれた分散剤をセラミック粉末とからなるセラ
ミック前駆体組成物をボ−ルミルをもちいて湿式混合を
5〜50時間行ない、セラミック前駆体組成物スラリ−
にし、脱泡工程を経たのち、室温から120℃のキャス
ト温度でドクタ−ブレ−ド法等によつてグリ−ンシ−ト
が成形される。必要に応じて得られたグリ−ンシ−トの
機械的特性を向上させるために、更に100〜120℃
にて30分から90分乾燥しても良い。得られた厚さ
0.05〜2mmのグリ−ンシ−トを所定の大きさ(例
えば、10〜200mm×10〜200mm角)に切断
し、必要な層、所定の位置にスル−ホ−ルを打ち抜く。
スル−ホ−ルの直径は制限されるものではないが、最小
40ミクロンまで可能である。この打ち抜かれたグリ−
ンシ−ト上に、例えば、W(融点3410℃)、Mo
(融点2620℃)、Ag(融点961.9)、Au
(融点1064℃)、Pt(融点1769℃)、Pd
(融点1554℃)、Cu(融点1083.4℃)、N
i(融点1453℃)等の一種類以上の導体を主成分と
した導体ペ−ストをスクリ−ン印刷法によって所定の位
置に印刷する。こうして導体をスクリ−ンマスクを介し
て印刷したグリ−ンシ−トに所定の回路を形成し、この
回路形成されたグリ−ンシ−ト数層から数十層を積層
し、温度80〜150℃、圧力0.98MPa〜29.
4MPa(10〜300kgf/cm2)で熱プレス圧
着する。得られた積層体を所定の形状、大きさになるよ
うに切断する。これを上記の導体の種類によって焼成温
度が異なる(一般には導体の融点以下で焼成)が、室温
〜1800℃の温度で少なくとも5時間以上空気中或い
は非還元性雰囲気中で焼成することによってセラミック
基板が得られる。
【0046】多層ガラスセラミック回路基板を製造する
には、焼成の際、空気中又は非還元性雰囲気中、その昇
温過程で室温又は350〜450℃で焼成し、更に60
0〜900℃で焼成して脱バインダした後、必要に応じ
て残留炭素を飛散させるために窒素、水素(H2)と水
蒸気(H2O)又は窒素と水蒸気の体積比が10~7〜1
0~4或いは窒素ガス及び水蒸気(水蒸気分圧0.005
〜0.5気圧に制御した不活性雰囲気)の雰囲気中下
で、900℃から上記導体の融点以下で焼結することに
よって多層セラミック回路基板が得られる。
【0047】本発明により得られるセラミック成形用有
機バインダーは、水単独又は水及び水溶性有機溶剤とか
らなるもので、非水溶性有機溶剤を全く又はほとんど使
用することなく必要性がなく、セラミックの分散性、表
面の平滑性、密度、伸び、及び強度において優れたセラ
ミックグリーンシートを生成することができ、低公害、
省資源の観点から有利である。また、該グリーンシート
を積層、焼成することにより緻密で、表面平滑性及び強
度おいてに優れた多層セラミック基板が得られる。
【0048】本発明の微粒子化した水系有機バインダの
使用により、1000℃以下の温度で焼結可能であり、
所望のグリ−ンシ−ト積層法によって容易に低誘電率で
あるガラスセラミック基板の多層化ができ、導体として
中性又は還元雰囲気で焼成できるCu、Ni、をはじ
め、Ni、Au、Ag、Pd等の金属や合金等が使用で
きるようになり、実装密度を高くすることができるよう
になる。
【0049】また本発明による多層ガラスセラミック基
板は、熱分解性の優れた有機バインダ−を使用すること
ができるため、焼結後の残留炭素を少なくでき、ガラス
セラミックの機械的強度、誘電率に優れ、かつ、低吸湿
性の優れた水系有機バインダ−を使用することができる
ため、微細配線化に必要なグリ−シ−トの穴あけ精度に
優れた多層ガラスセラミック基板を実用に供すことが可
能になる。ここで本発明による基板の機械的強度は抗折
強度で約1500kg/cm2以上、好ましくは200
0kg/cm2以上であり、1500kg/cm2未満で
は信頼性不十分となる。また高速化を図るには誘電率7
を超えないためであり、好ましくは5.5以下が良い。
さらには、多層ガラスセラミック基板の特性としては、
熱膨張係数4.0×10~6/℃以下、絶縁抵抗1013Ω
・cm以上が望ましい。
【0050】以上の諸特性を兼備することが、配線密度
の増大による微細配線化とともに、配線抵抗の低減化、
高速化に対応した基板材料の低誘電率化、及び高密度配
線化の要求に答えられるようになる。
【0051】
【作用】本発明の特徴は、上記セラミック成形用有機バ
インダーが水系セラミック有機バインダ−として有用で
あり、且つセラミック微粉末間の結合には上記セラミッ
ク成形用有機バインダーがその機能を発揮し、グリ−ン
シ−トの諸特性、即ち、柔軟性、成形性、分散性、表面
状態、穴あけ寸法精度を満たすものである。更に回路パ
タ−ン付グリ−ンシ−トの積層体の諸特性、即ち、積層
圧着性、機械的強度等を満たすものである。
【0052】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこ
れに限定されるものではない。
【0053】単に%とある場合は重量%を意味する。
【0054】セラミック粉末100重量部、セラミック
成形用有機バインダー5〜30重量部を加え合わせセラ
ミック前駆体組成物をえた。これをボールミルにて混練
した。このようにしてセラミック前駆体組成物スラリー
を作製した後、更にこのスラリーから減圧で空気を脱泡
した。このように調製した均一なスラリー混合液の粘度
を調整して、ドクターブレード型キャスト装置を用い、
ポリエステルフィルム上に塗布して乾燥してグリーンシ
ートを作製した。シートの諸物性は、成形性、柔軟性、
分散性について評価した。
【0055】(成形性)ポリエステルフィルム上に塗布
して乾燥後、目視により評価した。
【0056】○:ポリエステルシートでのグリーンシー
トの剥離がよく、割れが無いこと。
【0057】△:若干割れのあるグリーンシートである
こと。
【0058】×:ヒビ割れてグリーンシートにならない
こと。
【0059】(柔軟性)グリーンシートの中央部を直径
のことなる5種のガラス芯棒のそれぞれで抑え、これを
中心とする180°の折り曲げ試験を行った。シートに
割れが入る直前の芯棒の直径(mmφ)で、柔軟性を示し
た。芯棒の直径は2、3、4、6、8mmである。
【0060】(分散性) 〇:グリーンシート中セラミック微粒子の分散状態で二
次凝集が少ないこと。
【0061】△:グリーンシート中セラミック微粒子の
分散状態で二次凝集が若干多いこと。
【0062】×:グリーンシート中セラミック微粒子の
分散状態で二次凝集が多いこと。
【0063】〈実施例1〉 (セラミック成形用有機バインダーの合成)撹拌機、温
度計、還流コンデンサ、滴下ロート及びガス導入管を備
えた2lのフラスコに窒素ガス気流下にイオン交換水1
89gを仕込み、そこに撹拌しながらポリエチレンオキ
サイド系樹脂(第一工業製薬製、パオゲンPP−15、
平均分子量:約10〜14万)21gを添加して10重
量%ポリエチレンオキサイド系樹脂の水溶液を得た。次
にイオン交換水452.8gを添加してから重合開始ま
で窒素ガス1.0l/分流量で重合系を置換しながら、
次にメタクリル酸n−ブチル300g、可塑剤ジイソデ
シルフタレート(DIDP)21g、過硫酸アンモニウ
ム0.45gを溶かした5%水溶液9gを仕込み後、約
1時間窒素ガスを流し続けた。フラスコ内の溶液を60
℃にし、分散重合を5時間続けた。重合を完結するた
め、重合温度70、75、80℃と段階的に温度を上げ
ながら重合し、2時間続けた。重合溶液を室温まで冷却
し、固形分濃度32%のセラミックス成形用有機バイン
ダーを得た。
【0064】(グリーンシートの作製)アルミナ粉末を
主成分として、全体の組成としてはムライト 94.9
重量%、アルミナ 5.1重量%の成分を有する粒径5
ミクロン以下のセラミック粉末100重量部に、イオン
交換水32重量部、分散助剤0.25重量部を添加し、
混合したのち、かき混ぜながらセラミックス成形用有機
バインダー18重量部を加え合わせセラミック前駆体組
成物を得た。これをアルミナ製内張り容器、アルミナ製
ボールを用いたボールミルにて24時間混練した。この
ようにしてセラミック前駆体組成物スラリーを作製した
後、更にこのスラリーから加温減圧で脱泡した。このよ
うに調製した均一なスラリー混合液の粘度を調整して
2,000〜5,000cpsとし、ドクターブレード
型キャスト装置を用い、ポリエステルフィルム上に塗布
して120℃で乾燥してグリーンシートを作製した。シ
ートの諸物性は表1に示すように、成形性、柔軟性、分
散性ともに良好であった。
【0065】(多層配線セラミック基板の作製)グリー
ンシートをパンチ金型を用いて、200mm×200mm角
に切断し、ガイド用の穴を施した。その後、このガイド
用の穴を利用してグリーンシートを固定し、パンチ法に
より所定位置に径0.1mmのスルーホールを打ち抜い
た。粒径5ミクロン以下のタングステン粉末:エチルセ
ルロース:α−テレピネオール:2,2,4−トリメチ
ルペンタンジオ−ルモノイソブチレ−ト=100:2:
18(重量比)の導体ペーストをグリーンシートにあけ
たスルーホールに充填し、次にスクリーン印刷法により
所定回路パターンをグリーンシート表面に印刷した。こ
のように導体を印刷し、回路形成されたグリーンシート
をガイド用の穴の位置を合わせて40枚を積層し、12
0℃、100kgf/cm2の圧力にて熱プレス圧着を行な
った。得られた積層体を必要な形状に切断し、150mm
×150mm角のグリーンシート積層板とし、窒素−水素
−水蒸気の混合雰囲気焼成炉内で1600℃で2時間焼
成した。焼成の際には昇温過程で脱バインダを充分に行
なった。このグリーンシート積層法によって120mm×
120mm角、厚さ7mmの多層配線セラミック基板を作製
した。
【0066】〈実施例2〜15〉 (セラミック成形用有機バインダーの合成)水溶性高分
子量化合物の種類及び量、モノマーの配合比、重合開始
剤の種類及び量、分散媒の種類及び量を表1に示すごと
く替えた他は実施例1と同様に実験を行ない、セラミッ
ク成形用有機バインダーを得た。
【0067】(グリーンシートの作製)セラミック成形
用有機バインダー及びその添加量を替えた他は実施例1
と同様にして実験を行ない、グリーンシートを作製し、
その諸特性を表1に示した。
【0068】
【表1】
【0069】(多層配線セラミック基板の作製)実施例
1と同様にして実験を行ない、グリーンシートより多層
配線セラミック基板を作製した。
【0070】〈実施例12〜31〉 (セラミック成形用有機バインダーの合成)水溶性高分
子量化合物の種類及び量、モノマーの配合比、重合開始
剤の種類及び量、分散媒の種類及び量を表2,3に示す
ごとく替えた他は実施例1と同様に実験を行ない、セラ
ミック成形用有機バインダーを得た。
【0071】
【表2】
【0072】
【表3】
【0073】(グリーンシートの作製)ガラスセラミッ
ク用として、ホウケイ酸ガラス(SiO284重量%、
29重量%、Al3 3%、K2O 4重量%成
分組成、粒径5ミクロン以下)粉末50重量部、ムライ
ト50重量部を、分散助剤A6114(商品名、固形分
40%、東亜合成化学製)0.125重量部、イオン交
換水32g、イソプロピルアルコ−ル13.5重量部を
混合し、これに表2記載のセラミック成形用有機バイン
ダー5〜30重量部を加え合わせセラミック前駆体組成
物を得た。これをアルミナ製内張り容器、アルミナ製ボ
ールを用いたボールミルにて24時間混練した。以下、
実施例1と同様にして実験を行ない、グリーンシートを
作製し、その諸特性を表2,3に示した。
【0074】(多層配線セラミック基板の作製)粒径5
ミクロン以下の銅粉末:ビヒクル〔エチルセルロース:
2,2,4−トリメチルペンタンジオ−ルモノイソブチ
レ−ト〕=89:11〔10:90〕(重量%)の導体
ペーストを用い、窒素−水素−水蒸気の焼成雰囲気で、
焼成温度を350から850℃、20時間脱バインダ
後、窒素雰囲気で950〜1040℃、2時間本焼成し
た以外は、実施例1と同様にして実験を行ない、グリー
ンシートより多層配線セラミック基板を作製した。
【0075】得られた多層ガラスセラミック基板の諸特
性は、何れも誘電率5.5以下、抗折強度2000kg
/cm2以上、熱膨張係数3.5×10~6/℃以下、絶
縁抵抗>1013Ω・cmを満たしていた。
【0076】〈実施例32〉 (セラミック成形用有機バインダーの合成)撹拌機、温
度計、還流コンデンサ、滴下ロート及び窒素ガス導入管
を備えた2lのフラスコに窒素ガス気流下にイオン交換
水189.0g、パオゲンPP−15(平均分子量;約
10〜14万)21gを撹拌しつつ、添加し、均一に溶
解し、さらにイオン交換水336.2gを添加し、30
分間実施例1と同様に窒素ガス置換した。撹拌しなが
ら、IPA225.1g、メタクリル酸n−ブチル30
0g、可塑剤ジイソノニルフタレート31.5g、重合
開始剤過硫酸アンモニウム0.45gを添加し、30分
から1時間で窒素ガスを置換した。重合温度を60℃で
4時間加熱し続け、更に重合温度を段階的に又は徐々に
80℃まで昇温して2時間重合し、反応を完結した。こ
れを室温まで冷却し、固形分濃度32%のセラミックス
成形用有機バインダーを得た〔ポリマー50%平均粒
径;3.0ミクロン以下、懸濁液の粘度;7Pa・s、
重量平均分子量;40万。〕 (グリーンシートの作製)ガラスセラミック用として、
ホウケイ酸ガラス(SiO284重量%、B239重量
%、Al23 3%、K2O 4重量%成分組成、粒径5
ミクロン以下)粉末63.1重量部、ムライト36.9
重量部をイオン交換水40重量部(必要に応じてイオン
交換水の一部をIPA等の水溶性溶剤に置き換えてもよ
い)、セラミック分散剤A6114(商品名、固形分4
0%、東亜合成化学製)0.1重量部を混合し、これを
アルミナ製内張り容器、アルミナ製ボールを用いたボー
ルミルにて2時間混練した。更にセラミックス成形用有
機バインダー20重量部を加え合わせセラミック前駆体
組成物を得た。これをアルミナ製内張り容器、アルミナ
製ボールを用いたボールミルにて24時間混練した。こ
のようにしてセラミック前駆体組成物スラリーを作製し
た後、更にこのスラリーを減圧133.3Pa〜666
5Pa(1mmHg〜50mmHg)下で脱泡した。こ
のように調製した均一なスラリー混合液を、更に加温減
圧下で水及び有機溶剤を飛散させながら粘度を調整して
3Pa・s〜10Pa・sとし、ドクターブレード型キ
ャスト装置を用い、ポリエステルフィルム上にキャステ
ィングして120℃で乾燥して厚さ0.2mmのグリー
ンシートを作製した。シートの諸物性は表3に示すよう
に、成形性、柔軟性、分散性ともに良好であった。
【0077】(多層配線セラミック基板の作製)得られ
たグリーンシートをパンチ金型を用いて、200mm×2
00mm角に切断し、ガイド用の穴を施した。その後、こ
のガイド用の穴を利用してグリーンシートを固定し、パ
ンチ法により所定位置に径0.1mmのスルーホールを打
ち抜いた。粒径5ミクロン以下のCu粉末:ビヒクル
〔エチルセルロース:2,2,4−トリメチルペンタン
ジオ−ルモノイソブチレ−ト〕=89:11〔10:9
0〕(重量%)の導体ペーストを用い、グリーンシート
に開けたスルーホールに充填し、次にスクリーン印刷法
により所定回路パターンをグリーンシート表面に印刷し
た。このように導体を印刷し、回路形成されたグリーン
シートをガイド用の穴の位置を合わせて40枚を積層
し、120℃、圧力9.80MPa(100kgf/c
2)にて熱プレス圧着を行なった。得られた積層体を
必要な形状に切断し、150mm×150mm角のグリーン
シート積層体とし、窒素ー水素ー水蒸気(圧力比;0.
6気圧:0.2気圧:0.2気圧)の混合雰囲気焼成炉
内で350〜850℃で20時間脱津バインダ後、95
0〜1040℃で2時間焼成した。焼成の際には昇温過
程で脱バインダを充分に行なった。このグリーンシート
積層法によって120mm×120mm角、厚さ7mmの多層
配線セラミック基板を作製した。
【0078】得られた多層ガラスセラミック基板の諸特
性は、誘電率5.2、抗折強度2000kg/cm2
熱膨張係数3.5×10~6/℃、絶縁抵抗>1013Ω・
cmであった。
【0079】〈比較例1〉 (バインダー樹脂)オクチルアクリルアミドを4.0モ
ル%,トリメチルー3ー(1ーメタクリルアミドープロ
ピル)アンモニウムクロリド2.0モル%を含有するポ
リ酢酸ビニル系共重合体で、その酢酸ビニル成分の8
8.7モル%がケン化され、かつ20℃における4%水
溶液粘度が34センチポイズである変性PVAをバイン
ダーとした。
【0080】(グリーンシートの作製)アルミナ粉末を
主成分として全体の組成としてはAl23 33%、S
iO233%、ほうけい酸ガラス 34%の成分を有する
粒径5ミクロン以下のセラミック粉末100重量部、前
記バインダー樹脂を6部、分散剤としてポリオキシエチ
レンノニルフェノールエーテルを1部、イオン交換水5
0部を加え合わせセラミック前駆体組成物をえた。これ
をアルミナ製内張り容器、アルミナ製ボールを用いたボ
ールミルにて24時間混練した。以下実施例1と同様に
して実験を行ない、グリーンシートを作製し、その諸特
性を表4に示した。
【0081】
【表4】
【0082】〈比較例2〉 (バインダー樹脂)アクリル酸、アクリル酸ブチル、ア
クリル酸エチル重合比(50/25/25)重量平均分
子量約10万の共重合体のモノエタノールアミン塩20
gを分散剤として水/メタノール重合比(5/5)80
gの混合溶媒中でアクリル酸エチルを過硫酸アンモニウ
ム0.4gを重合開始剤として乳化重合し、固形分50
%のラテックスを得た。
【0083】(グリーンシートの作製)前記ラテックス
を24部、イオン交換水18部を用いた他は、比較例1
と同様にして実験を行ない、グリーンシートを作製し、
その諸特性を表4に示した。
【0084】〈比較例3〉 (バインダー樹脂)分散剤として非イオン系界面活性剤
を乳化剤としてアクリル酸ブチル、アクリル酸、メタア
クリル酸重合比(70/15/15)の組成を有するラ
テックスを得た。
【0085】(グリーンシートの作製)前記ラテックス
10部(固形分)、中和剤としてモノエタノールアミン
及びイオン交換水25部を用いた他は、比較例1と同様
にして実験を行ない、グリーンシートを作製し、その諸
特性を表4に示した。
【0086】〈比較例4〉 (バインダー樹脂)ポリオキシエチレンオクチルフェニ
ルエーテルの塩化グリシンベタインエステル4重量部、
ポリオキシプロピレンポリオキシエチレングリコールの
ジメタクリル酸エステル4重量部を乳化剤として、重合
開始剤として2,2′ーアゾビス(N,N′ージメチレ
ンイソブチルアミジン)塩酸塩を用い、アクリル酸エチ
ル75重量部、メタクリル酸メチル75重量部、Nーメ
チロールアクリル酸アミド4.5重量部の組成を有する
ラテックスを得た。
【0087】(グリーンシートの作製)前記ラテックス
10部(固形分)、可塑剤としてポリエチレングリコー
ル(分子量200)3部およびエチルカルビトール2
部、イオン交換水25部を用いた他は、比較例1と同様
にして実験を行ない、グリーンシートを作製し、その諸
特性を表4に示した。
【0088】〈比較例5〉 (バインダー樹脂)(B)成分である疎水性高分子の水系
分散体:メタクリル酸エステル(MMA/nーBMA/
LMA/CHMA=10/60/10/20、固形分4
8%)のエマルジョンと(A)成分である10%水溶性高
分子PVA(重合500、ケン化度88.5モル%、)を
1/1重量比で混合し、グリーンシート用有機バインダ
(複合バインダ)を得た。
【0089】(グリーンシートの作製)アルミナ粉末を
主成分として全体の組成としてはAl2333%、Si
2 33%、ほうけい酸ガラス 34%の成分を有する
粒径5ミクロン以下のセラミック粉末100重量部、前
記ラテックス16部(固形分)水50重量部、ポリアク
リル酸アンモニウム塩の分散助剤0.3部を、ボールミ
ルで2時間混合したのち、複合バインダを固形分で10
部添加し粉体と均一に混合した以外は。比較例1と同様
にして実験を行ない、グリーンシートを作製し、その諸
特性を表4に示した。
【0090】但し、表1,2,3,4,5中の略称は以
下の通りとする。
【0091】nーBMA:nーブチルメタクリレート,
iーBMA:イソブチルメタクリレート、tーBMA:
タ−シャリ−ブチルメタクリレート、HEMA:2ーヒ
ドロキシエチルメタクリレート、St:スチレン,EM
A:エチルメタクリレート、LMA:ラウリルメタクリ
レ−ト、CHMA:シクロヘキシルメタクリレ−ト、M
MA:メチルメタクリレート、PEO:ポリエチレンオ
キサイド、PVA:ポリビニルアルコ−ル、EL:乳酸
メチル,IPA:イソプロピルアルコール、BPO:ベ
ンゾイルパ−オキサイド、AIBN:2,2’−アゾビ
ス(イソブチロニトリル)、APS:過硫酸アンモニウ
ム、KPS:過硫酸カリウム、tーBHPO:ターシャ
リーブチルハイドロパーオキシド。
【0092】次いで実施例1、6、11、16、20、
22、24、26、30、32及び比較例1〜5で得ら
れた有機バインダーを白金ルツボ中に入れ、600℃の
電気炉中で窒素雰囲気下3時間で灰化させ、その重量を
測定した。また、実施例1,6,11で得られたグリー
ンシート5枚を120℃、100kgf/cm2にて熱プレ
ス圧着を行った。この時の剥離数を目視により観察し
た。さらに、窒素ー水素ー水蒸気(圧力比;0.6気
圧:0.2気圧:0.2気圧)雰囲気で1600℃、2
時間焼成してセラミックシートを得た。実施例16、2
0、22、24、26、30、32及び比較例1〜5で
得られたグリーンシート5枚を120℃、100kgf/
cm2にて熱プレス圧着を行った。この時の剥離数を目視
により観察した。さらに、この積層体を窒素ー水素ー水
蒸気(圧力比;0.65気圧:1×10~4気圧:0.3
5気圧)雰囲気で350から850℃、20時間脱バイ
ンダ後、窒素雰囲気で950〜1040℃、2時間本焼
成した。これらのシートの密度を測定し、表面状態を目
視により観察した。その結果を表5に示す。
【0093】
【表5】
【0094】
【発明の効果】本発明により得られるセラミック成形用
有機バインダーは、非水溶性有機溶剤を全く又は使用す
ることなく、セラミックの分散性、表面の平滑性、密
度、機械的強度において優れたセラミックグリーンシー
トを生成することができ、低公害、省資源の観点から、
有利である。特にドクターブレード法において、有機溶
媒系から安全で衛生的な水系への移行が可能であり、又
機械的強度の改良等優れた特性を可ね備えたものであっ
て、セラミック用バインダーとして有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石原 昌作 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地株式 会社日立製作所生産技術研究所内 (72)発明者 木下 円 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地株式 会社日立製作所生産技術研究所内 (72)発明者 藤田 毅 神奈川県秦野市堀山下1番地 株式会社日 立製作所汎用コンピュータ事業部内 (72)発明者 千石 則夫 神奈川県秦野市堀山下1番地 株式会社日 立製作所汎用コンピュータ事業部内 (72)発明者 小林 二三幸 神奈川県秦野市堀山下1番地 株式会社日 立製作所汎用コンピュータ事業部内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)エチレンオキサイド含有率が70重
    量%以上のアルキレンオキサイドを付加重合せしめた平
    均分子量が30,000以上の水溶性高分子量化合物1
    〜30重量部成分を重合用分散安定剤として用い、
    (C)水又は水及び水溶性有機溶剤中で(B)少なくと
    も一種類以上のビニル系単量体100重量部を分散重合
    させてなる重合体とからなることを特徴とするセラミッ
    ク成形用有機バインダー。
  2. 【請求項2】(A)活性水素基を2個を有する有機化合
    物に、エチレンオキサイド含有率が70重量%以上のア
    ルキレンオキサイドを付加重合せしめた平均分子量が3
    0,000以上の水溶性高分子量化合物1〜30重量部
    を重合用分散安定剤として用い、(C)水又は水及び水
    溶性有機溶剤中で(B)少なくとも一種類以上のビニル
    系単量体の重合体100重量部を分散重合させてなる重
    合体とからなることを特徴とするセラミック成形用有機
    バインダー。
  3. 【請求項3】(A)活性水素基を2個を有する有機化合
    物に、エチレンオキサイド含有率が70重量%以上のア
    ルキレンオキサイドを付加重合せしめた平均分子量が1
    000以上のポリヒドロキシル化合物と、多価カルボン
    酸又はその低級アルキルエステルとの反応物であって、
    エチレンオキサイド含有率が68重量%以上を含有し、
    かつ重合度が4.5〜21、平均分子量が30,000
    以上の水溶性高分子量化合物1〜30重量部を重合用分
    散安定剤として用い、(C)水又は水及び水溶性有機溶
    剤中で(B)少なくとも一種類以上のビニル系単量体1
    00重量部を分散重合させてなる重合体とからなること
    を特徴とするセラミック成形用有機バインダー。
  4. 【請求項4】請求項1記載の(B)成分であるビニル系
    単量体が(メタ)アクリル酸エステルであることを特徴
    とするセラミック成形用有機バインダー。
  5. 【請求項5】請求項4記載の(B)成分である(メタ)
    アクリル酸エステルが、炭素数が1〜18個のアルキル
    基又は/及び炭素数が3〜12個の環状アルキル基又は
    /及びアリール基のエステルであることを特徴とするセ
    ラミック成形用有機バインダー。
  6. 【請求項6】請求項1記載の(B)成分が、(メタ)ア
    クリル酸エステルが炭素数が1〜18個のアルキル基又
    は/及び炭素数が3〜12個の環状アルキル基又は/及
    びアリール基及びヒドロキシアルキル基のエステル50
    %以上と、それと共重合可能なビニル系単量体50%以
    下とからなることを特徴とするセラミック成形用有機バ
    インダー。
  7. 【請求項7】少なくとも一種類以上のビニル系単量体、
    水溶性高分子量化合物である分散安定剤、重合開始剤及
    び水又は水及び水溶性有機溶剤の存在下で分散重合させ
    る際において、(A)成分であるエチレンオキサイド含
    有率が70重量%以上のアルキレンオキサイドを付加重
    合せしめた平均分子量が30,000以上の水溶性高分
    子量化合物1〜30重量部を重合用分散安定剤として用
    い、(C)水又は水及び水溶性有機溶剤中で(B)少な
    くとも一種類以上のビニル系単量体100重量部をラジ
    カル重合開始剤で分散重合することを特徴とするセラミ
    ック成形用有機バインダーの製法。
  8. 【請求項8】少なくとも一種類以上のビニル系単量体、
    水溶性高分子量化合物分である分散安定剤、重合開始剤
    及び水又は水及び水溶性有機溶剤の存在下で分散重合さ
    せる際において、 (A)成分である活性水素基を2個を有する有機化合物
    に、エチレンオキサイド含有率が70重量%以上のアル
    キレンオキサイドを付加重合せしめた平均分子量が3
    0,000以上の水溶性高分子量化合物1〜30重量部
    を重合用分散安定剤として用い、(C)水又は水及び水
    溶性有機溶剤中で(B)少なくとも一種類以上のビニル
    系単量体100重量部をラジカル重合開始剤で分散重合
    することを特徴とするセラミック成形用有機バインダー
    の製法。
  9. 【請求項9】少なくとも一種類以上のビニル系単量体、
    水溶性高分子量化合物である分散安定剤、重合開始剤及
    び水又は水及び水溶性有機溶剤の存在下で分散重合させ
    る際において、 (A)成分である活性水素基を2個を有する有機化合物
    に、エチレンオキサイド含有率が70重量%以上のアル
    キレンオキサイドを付加重合せしめた平均分子量が10
    00以上のポリヒドロキシル化合物と、多価カルボン酸
    又はその低級アルキルエステルとの反応物であって、エ
    チレンオキサイド含有率が68重量%以上を含有し、か
    つ重合度が4.5〜21、平均分子量が30,000以
    上の水溶性高分子量化合物1〜30重量部を重合用分散
    安定剤として用い、該水溶性高分子量化合物存在下、
    (C)水又は水及び水溶性有機溶剤中で(B)少なくと
    も一種類以上のビニル系単量体100重量部をラジカル
    重合開始剤で分散重合することを特徴とするセラミック
    成形用有機バインダーの製法。
  10. 【請求項10】(D)セラミック粉末100重量部と、
    (E)バインダーとして請求項1、2又は3記載のセラ
    ミック成形用有機バインダー5から30重量部とからな
    ることを特徴とするセラミック前駆体組成物。
  11. 【請求項11】(D)セラミック粉末100重量部と、
    (E)バインダーとして請求項1、2又は3記載のセラ
    ミック成形用有機バインダー5から30重量部とからな
    るセラミック前駆体組成物を焼結してなることを特徴と
    するセラミック。
  12. 【請求項12】(D)成分である、平均粒径が20.0
    ミクロン以下であるセラミック微粉末100重量部と、
    (E)成分である、バインダーとして請求項1、2又は
    3記載のセラミック成形用有機バインダー5から30重
    量部とからなるセラミック前駆体組成物の薄膜よりなる
    セラミックグリーンシート。
  13. 【請求項13】(D)成分である、平均粒径が20.0
    ミクロン以下であるセラミック微粉末100重量部と、
    (E)成分である、バインダーとして請求項1、2又は
    3記載のセラミック成形用有機バインダー5から30重
    量部とからなるセラミックグリーンシートを焼結してな
    るセラミックシート。
  14. 【請求項14】セラミックグリーンシート層が、(D)
    成分である、平均粒径が20.0ミクロン以下であるセ
    ラミック微粉末100重量部と、(E)成分である、バ
    インダーとして請求項1、2又は3記載のセラミック成
    形用有機バインダー5から30重量部とからなるセラミ
    ック前駆体組成物で構成され、複数の導体層を上記セラ
    ミックグリーンシート層を介して積層体とし、これを焼
    結してなる多層配線セラミック基板。
  15. 【請求項15】請求項11、13又は14記載の(D)
    成分と(E)成分とからなるセラミック前駆体組成物で
    構成され、セラミックグリーンシート層を積層体とし、
    これを焼結して得られるセラミック、セラミックシート
    及び多層配線セラミック基板が、誘電率7以下、且つ抗
    折強度1500kg/cm2以上の特性を有するセラミ
    ックスからなるセラミック基板。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008156230A (ja) * 2008-03-21 2008-07-10 Kao Corp 成形体の製造方法
JP2011230943A (ja) * 2010-04-26 2011-11-17 Kyocera Corp セラミックグリーンシートおよびその製造方法
JP2018002991A (ja) * 2016-07-08 2018-01-11 互応化学工業株式会社 水系焼成用バインダー樹脂組成物、水系焼成用ペースト、及び水系焼成用バインダー樹脂組成物の製造方法

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