JPH0858592A - 運転整理支援装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 運転整理を自動的に提案できる運転整理支援
装置として、処理の効率化と確実化を図る。 【構成】 シミュレーションにより予測ダイヤを作成す
る予測シミュレーション部２、予測ダイヤの内容から計
画ダイヤに対して所定の設定時間以上遅れた部分を検出
する遅延検出部３、検出された遅延部分毎に運転整理項
目を作成する運転整理提案部８、この運転整理項目を表
示する入出力装置５、同項目の選択を指示する入出力装
置５、および、選択され運転整理項目により計画ダイヤ
を変更する計画ダイヤ変更部１２を備えた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、予測ダイヤの結果か
ら列車の遅れを回復させるための運転整理を提案する運
転整理支援装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図６は例えば第２９回鉄道におけるサイ
バネティクス利用国内シンポジウム論文集１９９２．第
１１８頁に記載された、運行シミュレーションの技術を
利用した予測ダイヤ作成装置１の構成を示すブロック図
である。図において、２はある列車の遅れにより他の列
車がどのように遅れを出すかを予測する、即ち予測ダイ
ヤをシミュレーションにより作成する予測シミュレーシ
ョン部、３は予測ダイヤの内容から当初の計画ダイヤに
対して一定時間以上遅れた部分を検出してその部分に目
印を表示する遅延検出部で、予測シミュレーション部２
および遅延検出部３により予測ダイヤ作成部４を構成す
る。

【０００３】５は予測ダイヤ等の表示を行うディスプレ
イとダイヤ変更等の入力操作を行うキーボードとからな
る入出力装置、６は運行管理システムとの間に接続され
たデータ入出力装置で、予測シミュレーションに必要な
計画ダイヤや実績ダイヤのデータの入力、ダイヤ変更に
係るデータの出力等の処理を行う。

【０００４】次に、この予測ダイヤ作成装置１を使用し
て運転整理を行う場合の操作手順について説明する。指
令員が必要に応じて入出力装置５のキーボードを操作す
ると、予測シミュレーション部２が動作して運行管理シ
ステムから送られてくるその時点の実績ダイヤにもとづ
き予測ダイヤを作成して入出力装置５のディスプレイ上
に表示する。同時に、計画ダイヤに対して一定時間以上
遅れる列車が同画面上に目印で表示される。指令員はこ
の目印の列車の遅れ状況を参考にして、マニアルや経験
等にもとづきその遅れを回復させるためのダイヤ変更案
である運転整理案を検討する。運転整理案が決まると、
運行管理システムの運転整理メニューの画面で運転整理
に必要な列車番号、駅名、整理項目等を入力して計画ダ
イヤを変更する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来は
予測ダイヤ作成装置を使用してその予測ダイヤ表示を見
ながら指令員が運転整理案を考え出し、その結果を運転
整理メニューに入力して計画ダイヤの変更を行っていた
ので、運転整理の処理に長時間を要し、指令員の熟練度
等によっては運転整理の提案内容が不適切であったり、
入力操作ミスが生じる等の問題点があった。

【０００６】この発明は以上のような問題点を解消する
ためになされたもので、運転整理を自動的に提案できる
ようにして、処理の効率化と確実化を図ることを目的と
する。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この発明の請求項１に係
る運転整理支援装置は、列車の実績ダイヤと計画ダイヤ
とを入力し予測されるダイヤをシミュレーションにより
作成する予測シミュレーション部、この予測シミュレー
ション部で作成された予測ダイヤの内容から上記計画ダ
イヤに対して所定の設定時間以上遅れた部分を検出する
遅延検出部、この遅延検出部で検出された遅延部分毎に
当該遅延を回復させるためのダイヤ変更案である運転整
理を作成する運転整理提案部、この運転整理提案部で作
成された運転整理内容を表示する表示部、この表示部で
表示された運転整理から選択すべき運転整理を指示する
選択指示部、およびこの選択指示部により選択された運
転整理にもとづき上記計画ダイヤを変更する計画ダイヤ
変更部を備えたものである。

【０００８】また、請求項２に係る運転整理支援装置の
運転整理提案部は、遅延要因、ダイヤ情報および各駅情
報の各データを格納するデータ格納部、上記各データの
組み合わせにもとづき想定される運行上の条件式および
各条件式に対して一意に定まる運転整理を格納する条件
式格納部、および入力された遅延部分に関するデータを
上記データ格納部から読み出す手段と、読み出されたデ
ータが合致する条件式を上記条件式格納部に格納された
条件式の中から抽出する手段と、抽出された条件式に対
する運転整理を上記条件式格納部から読み出し出力する
手段とからなる推論部を備えたものである。

【０００９】また、請求項３に係る運転整理支援装置の
予測シミュレーション部は、所定の設定時間毎にシミュ
レーションを実行して予測ダイヤを作成し、この予測ダ
イヤにもとづき以下一連の操作を行うようにしたもので
ある。

【００１０】また、請求項４に係る運転整理支援装置の
表示部は、運転整理内容を列車スジ形式で表示するよう
にしたものである。

【００１１】

【作用】この発明の請求項１に係る運転整理支援装置に
おいては、特にその運転整理提案部が予測ダイヤの検出
された遅延部分に対する運転整理を自動的に作成する。
そして、指令員は、その作成された運転整理の中から採
用すべきものを選択指示部により選択する。

【００１２】また、請求項２に係る運転整理支援装置の
運転整理提案部においては、入力された遅延部分に関す
るデータをデータ格納部から読み出し、そのデータが合
致する条件式を条件式格納部に格納された条件式の中か
ら抽出する。そして、抽出された条件式に対する運転整
理を条件式格納部から読み出し出力する。これにより、
運転整理の提案が自動的に画一的になされる。

【００１３】また、請求項３に係る運転整理支援装置の
予測シミュレーション部においては、所定の設定時間毎
にシミュレーションを実行し、遅延部分が検出された場
合は、その回復のための運転整理を提案し、それに従っ
て計画ダイヤを変更する。従って、常時、遅延回復の処
理がなされる。

【００１４】また、請求項４に係る運転整理支援装置の
表示部においては、運転整理内容を列車スジ形式で表示
するので、表示内容の把握が容易確実となる。

【００１５】

【実施例】

実施例１．図１はこの発明の実施例１による運転整理支
援装置７の構成を示すブロック図である。図において、
２〜６は従来のものとほぼ同等のものであるので、詳細
な説明は省略する。８は予測ダイヤ作成部４で検出され
た遅延部分に対応して運転整理を自動的に提案する運転
整理提案部で、以下にその内部構成を説明する。９はデ
ータ格納部で、そのうち、９ａは停車時分オーバー、駅
間走行時分オーバーなど、計画ダイヤに対する遅れを発
生する原因である遅延要因に関するデータを格納してい
る。９ｂは始発、終着駅、各駅の計画発着時刻、前・次
運用列車番号など、列車のダイヤ情報に関するデータを
格納している。また、９ｃは駅ダイヤ、車庫・他線区・
折り返し設備等の有無など、各駅情報に関するデータを
格納している。

【００１６】１０は想定される運行上の条件式および各
条件式に対して一意に定まる運転整理を格納する条件式
格納部で、これら条件式については以下で、具体例を挙
げて更に詳しく説明する。１１はデータ格納部９のデー
タにもとづき、条件式格納部１０から条件式を抽出する
とともに運転整理を作成出力する推論部で、その機能動
作については以下のフローチャートにより詳細に説明す
る。１２は運転整理提案部８から出力された運転整理提
案にもとづき計画ダイヤを変更して運行管理システムの
運転整理メニューに入力するデータを作成する計画ダイ
ヤ変更部である。

【００１７】次に動作について説明する。予測シミュレ
ーション部２は、データ入出力装置６を介して運行管理
システムから送出された列車の実績ダイヤと計画ダイヤ
とにもとづき所定の設定時間（例えば１０分程度）間隔
でシミュレーションを実行して予測ダイヤを作成し、入
出力装置５のディスプレイに表示する。図２はこの予想
ダイヤの表示内容の一例で、列車スジ形式によりＡ列車
とＢ列車とについての表示を行っている。なお、図
中、”Ａ_レ”と表示されているのは”Ａ列車”の意味で
ある。予測ダイヤが作成されると、遅延検出部３が直ち
に動作して、その予測ダイヤ中で計画ダイヤに対して所
定の設定時間（例えば５分程度）以上遅れた部分を検出
し、その遅延部分を同時にディスプレイ上に表示する。
ここでは、図２にＰ１、Ｐ２で示す目印・がこれらに該
当するものとする。この内、Ｐ１はＢ列車についてのも
の、Ｐ２はＡ列車についてのものである。

【００１８】図４は、遅延検出部３で検出された遅延部
分（予測ダイヤ上の目印）に従って運転整理の提案を行
う運転整理提案部８の処理の流れを示すフローチャート
である。以下、図２に示す予測ダイヤを例にして順次説
明していくものとする。先ず、予測開始時刻ｔ後、最初
に現れる遅延部分である目印を探す（Ｓ１）。ここで
は、Ｐ１がサーチされ、該当するＢ列車を基準に処理を
進めることになる。

【００１９】次に、このＢ列車の遅延を回復させるため
の運転整理を提案する（Ｓ２）が、この運転整理の提案
処理の細部を更に図５のフローチャートにより説明す
る。図５において、先ず、目印の列車に関するデータを
集める（Ｔ１）。これはデータ格納部９ａ、９ｂ、９ｃ
に格納された遅延要因、ダイヤ情報、各駅情報に関する
データから収集される。そして、条件式格納部１０にお
ける検討対象条件式の存在を確認して（Ｔ２でＹＥ
Ｓ）、集めたデータをその条件式にあてはめ（Ｔ３）、
満足するか即ち合致するか否かを判断する（Ｔ４）。満
足しなければ（Ｔ４でＮＯの場合）Ｔ２に戻って次の条
件式についての判断を続ける。条件式を満足すると（Ｔ
４でＹＥＳの場合）、当該条件式に対して一意に決まっ
ており、同じく条件式格納部１０に格納されている運転
整理を読み出し（Ｔ５）、ディスプレイに表示してＴ２
に戻る。

【００２０】以上の処理を格納されているすべての条件
式について繰り返し条件式がなくなると（Ｔ２でＮＯ）
処理を終了してメインのフローチャート（図４）に戻
る。なお、得られた運転整理のディスプレイの表示は、
図４のフローを終了した時点で、それまでに得られたす
べての運転整理を一括して表示するようにしてもよい。

【００２１】図４の具体例に戻り、Ｂ列車の遅延Ｐ１に
関しては、満足する条件式は存在せず、従って運転整理
の提案もなかったとして次の処理に進む。次の目印をサ
ーチし（Ｓ３）、ここではＰ２（図２）が存在する（Ｓ
４でＹＥＳ）ので、Ｓ５に進む。ここで、目印の列車、
即ちＡ列車が基準列車、即ちＢ列車の影響がなければ
（Ｓ５でＮＯの場合）Ｓ３に戻るが、図２のダイヤでは
影響がある（Ｓ５でＹＥＳ）ので、Ｓ６に進み、再び図
５の処理を実行してＰ２、即ちＡ列車の遅延に対する運
転整理を提案する。なお、上記の「影響がある」という
のは、目印の列車が基準列車と待避、折り返し、連絡、
連結、解放などの関係をもっていることをいう。

【００２２】図５の説明の繰り返しは省略するが、ここ
では２つの条件式Ｅ１、Ｅ２を満足し、そのそれぞれに
対して運転整理項目Ｋ１、Ｋ２が得られた。即ち、条件
式Ｅ１は「基準列車Ｂ_レの遅延のためＮ列車（図２の場
合Ｎ＝１）の遅延が発生する」というもので、これに対
応する運転整理項目Ｋ１は（Ｂ列車をａ駅から運休にす
る）という内容の図３に示す表示がなされる。また、条
件式Ｅ２は「次駅において、Ａ_レが待避せず運行した場
合の到着予測時刻＜Ｂ_レの到着予想時刻」というもの
で、これに対応する運転整理項目Ｋ２は（ｂ駅とｃ駅と
の間でＡ列車をＢ列車より先に運行させる）という内容
の同じく図３に示す表示がなされる。

【００２３】Ｓ３に戻り、次に目印をサーチするが、図
２のダイヤでは目印はないので（Ｓ４でＮＯ）処理を終
了する。前述したが、この図４に示す処理を終了した時
点で、それまでに得られたすべての運転整理項目Ｋ１、
Ｋ２を一括、ディスプレイに表示するようにしてもよ
い。

【００２４】指令員は、表示された運転整理項目の中か
ら最適と思われるものを選択し、選択指示部としての入
出力装置５からその指示を行う。ここでは、運転整理項
目Ｋ２を選択したとする。

【００２５】この選択された項目で運転整理をした後、
予測シミュレーション部２でシミュレーションを行い、
得られた予測ダイヤをディスプレイに表示する。図２の
点線で示すスジがこれに該当し、Ａ列車については、遅
延部分を示す目印がなくなっている。指令員が表示内容
を確認すると今回の運転整理の内容が計画ダイヤ変更部
１２を経て運行管理システムに送出され、運行管理シス
テムの運転整理メニューに入力され計画ダイヤの変更処
理がなされる。

【００２６】なお、以上の運転整理の動作は、予測シミ
ュレーション部２で所定の設定時間間隔でシミュレーシ
ョンを行い予測ダイヤを作成する毎に実行される。この
ように、指令員は表示された運転整理項目の選択を指示
入力するのみで足り、他はすべて自動的に処理されるの
で、経験則や広範囲な知識データを基に十分な条件式を
想定格納しておくことにより、効率的で適正確実な運転
整理処理が可能となる。

【００２７】実施例２．実施例１では運転整理項目を選
択した後、再度シミュレーションを実行して予測ダイヤ
を表示し、これを指令員が確認するようにしたが、運転
整理項目を選択後直ちにその内容を運行管理システムに
送出し、変更後の予測ダイヤをスジ形式で表示するよう
にしてもよい。

【００２８】実施例３．また、実施例１では、所定の設
定時間間隔でシミュレーションを実行し、これにもとづ
き、以下一連の処理を行うようにしたが、指令員が種々
な事情のもと任意のタイミングで運転整理処理動作の開
始を指示する方式としてもよい。

【００２９】実施例４．また、実施例１では、図３に示
すように、運転整理項目を文字形式で表示するようにし
たが、図２に示すような列車スジ形式で表示するように
してもよく、更に他の表現形式のものとしてもよい。

【００３０】実施例５．また、実施例１では、遅延要
因、ダイヤ情報および各駅情報の各データをもとに予め
設定され条件式の中から満足するものを抽出し、この抽
出された条件式に対して一意に定まる運転整理を読み出
すことにより運転整理の提案を行うようにしたが、この
発明の適用上、必ずしも上記方式に限られるものではな
い。例えば、いわゆる”ｉｆ〜ｔｈｅｎ〜ｅｌｓｅ”形
式のロジックを使用するものでもよく、また、いわゆる
エキスパートシステム等のツール類を利用する方式のも
のであってもよい。

【００３１】

【発明の効果】以上のように、この発明の請求項１に係
る運転整理支援装置は、所定の予測シミュレーション
部、遅延検出部、運転整理提案部、表示部、選択指示
部、および計画ダイヤ変更部を備えたので、提案された
運転整理項目を選択指示するだけで、運転整理が自動的
に処理され、処理時間が短縮されるとともに処理内容が
適正となり、処理の効率化確実化が実現する。

【００３２】また、請求項２に係る運転整理支援装置の
運転整理提案部は、所定のデータ格納部、条件式格納
部、および推論部を備えたので、運転整理項目を漏れな
く確実に抽出することが可能となる。

【００３３】また、請求項３に係る運転整理支援装置の
予測シミュレーション部は、所定の設定時間毎にシミュ
レーションを実行するようにしたので、予測ダイヤにお
ける遅延発生を見落とすことなく、常時、遅延回復の処
理がなされ、信頼性の高い運転整理支援装置が得られ
る。

【００３４】また、請求項４に係る運転整理支援装置の
表示部は、運転整理内容を列車スジ形式で表示するよう
にしたので、表示内容の把握が容易確実となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この発明の実施例１による運転整理支援装置
の構成を示すブロック図である。

【図２】 図１の装置による予測ダイヤの表示例を示す
図である。

【図３】 図１の装置により提案された運転整理項目の
表示例を示す図である。

【図４】 図１の装置の全体の処理の流れを示すフロー
チャートである。

【図５】 図４の運転整理提案の部分の処理の流れを示
すフローチャートである。

【図６】 従来の予測ダイヤ作成装置の構成を示すブロ
ック図である。

【符号の説明】

２ 予測シミュレーション部、３ 遅延検出部、４ 予
測ダイヤ作成部、５ 入出力装置、６ データ入出力装
置、７ 運転整理支援装置、８ 運転整理提案部、９
データ格納部、１０ 条件式格納部、１１ 推論部、１
２ 計画ダイヤ変更部。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 列車の実績ダイヤと計画ダイヤとを入力
   し予測されるダイヤをシミュレーションにより作成する
   予測シミュレーション部、この予測シミュレーション部
   で作成された予測ダイヤの内容から上記計画ダイヤに対
   して所定の設定時間以上遅れた部分を検出する遅延検出
   部、この遅延検出部で検出された遅延部分毎に当該遅延
   を回復させるためのダイヤ変更案である運転整理を作成
   する運転整理提案部、この運転整理提案部で作成された
   運転整理内容を表示する表示部、この表示部で表示され
   た運転整理から選択すべき運転整理を指示する選択指示
   部、およびこの選択指示部により選択された運転整理に
   もとづき上記計画ダイヤを変更する計画ダイヤ変更部を
   備えた運転整理支援装置。
2. 【請求項２】 運転整理提案部は、遅延要因、ダイヤ情
   報および各駅情報の各データを格納するデータ格納部、
   上記各データの組み合わせにもとづき想定される運行上
   の条件式および各条件式に対して一意に定まる運転整理
   を格納する条件式格納部、および入力された遅延部分に
   関するデータを上記データ格納部から読み出す手段と、
   読み出されたデータが合致する条件式を上記条件式格納
   部に格納された条件式の中から抽出する手段と、抽出さ
   れた条件式に対する運転整理を上記条件式格納部から読
   み出し出力する手段とからなる推論部を備えたことを特
   徴とする請求項１記載の運転整理支援装置。
3. 【請求項３】 予測シミュレーション部は、所定の設定
   時間毎にシミュレーションを実行して予測ダイヤを作成
   し、この予測ダイヤにもとづき以下一連の操作を行うよ
   うにしたことを特徴とする請求項１または２に記載の運
   転整理支援装置。
4. 【請求項４】 表示部は、運転整理内容を列車スジ形式
   で表示するようにしたことを特徴とする請求項１ないし
   ３のいずれかに記載の運転整理支援装置。