JPH0858519A - エアバッグ用ガス発生器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 燃焼ガスの冷却及び浄化を効果的に行うこと
ができるガス発生器を提供すること。 【構成】本ガス発生器は、ハウジングと、該ハウジング
内の点火手段収容室、燃焼室、及びクーラント・フィル
タ室と、点火手段収容室内の点火手段、燃焼室内のキャ
ニスタ、及びクーラント・フィルタ室内のクーラント及
びフィルタとを有するエアバッグ用ガス発生器におい
て、前記キャニスタは、燃焼ガスの冷却及び燃焼残渣の
捕集を果たすクーラントを内部に具備することを特徴と
する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、衝撃から乗員を保護す
るエアバッグ用ガス発生器に係り、特にそのキャニスタ
の構成に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来のエアバッグ用ガス発生器として、
図６に示すものがある。このガス発生器は、ガスの排出
口３０を有するハウジング３１と、このハウジング３１
内の中央部に画成される点火手段収容室３２と、この点
火手段収容室３２の外側に画成される燃焼室３３と、こ
の燃焼室３３の外側に画成されるクーラント・フィルタ
室３４と、前記点火手段収容室３２内に配設される点火
手段、すなわち機械式センサ３５及び雷管３６と、この
点火手段により点火されてガスを発生するガス発生剤４
０（図７）を内部に充填し、前記燃焼室３３内に配設さ
れるキャニスタ３７と、前記クーラント・フィルタ室３
４内に配設され、キャニスタで発生したガスの冷却、浄
化を果たすクーラント３８及びフィルタ３９とを有して
いる。

【０００３】そして、機械式センサ３５が衝撃を感知す
るとその突刺ピン（図示せず）が雷管３６を打ち、これ
により雷管３６が発火して伝火薬室４２内の伝火薬４３
に点火する。伝火薬４３の着火により高温・高圧の火炎
が生成され、この火炎は通路４４を通り燃焼室３３内に
入りキャニスタ３７の壁を破り内部のガス発生剤４０に
点火する。これによりガス発生剤４０が燃焼してガスを
生成し、このガスは噴出口４５よりクーラント・フィル
タ室３４内に入り、クーラント３８を通過する間にガス
の冷却が行われ、また燃焼残渣が除去され、更にフィル
タ３９を通過する間に残りの燃焼残渣が除去され、冷
却、浄化されたガスがガスの排出口３０を経てエアバッ
グ（図示せず）内に流入するようになっている。

【０００４】ガス発生剤の燃焼により、燃焼ガスと共に
燃焼残渣が生成され、この燃焼残渣は燃焼ガスに同伴さ
れる。この燃焼残渣がエアバッグ内に流入した場合、エ
アバッグに焦げや穴開き等の不具合が生じる虞がある。
また、ガス発生剤が燃焼するときの温度は１１００℃以
上になる。そこで、燃焼ガスの冷却を行うと共に、燃焼
残渣を捕集して燃焼ガスの浄化を行う上記クーラント及
びフィルタが使用される。

【０００５】図７に上記キャニスタ３７の一部を拡大し
て示す。キャニスタ３７内部にクッション４１が配設さ
れている。このクッション４１はガス発生剤４０の移動
乃至振動を抑制しガス発生剤の損壊を防止するように機
能する。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記従来のガス発生器
においては、クーラントの配設はクーラント・フィルタ
室に限られ、この一箇所に配設されたクーラントにより
燃焼ガスの冷却・浄化が集中して行われるために、燃焼
ガスの効果的な冷却及び燃焼残渣の効果的な捕集に関
し、問題があった。

【０００７】十分な冷却を行うためには、クーラントの
容量を増やさなければならず、その場合ガス発生器の容
積、重量が増大する。

【０００８】また、捕集効果を上げるために、曲折した
ガス流路を設けて燃焼ガスの圧損を生じさせるガス発生
器が提案されているが、このものは構造が複雑となるな
どの問題点がある。

【０００９】よって、本発明は、上記従来技術の有する
問題点を解消する新規なエアバッグ用ガス発生器を提供
することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明のエアバッグ用ガ
ス発生器は、ガスの排出口を有するハウジングと、該ハ
ウジング内の中央部に画成される点火手段収容室と、該
点火手段収容室の外側に画成される燃焼室と、該燃焼室
の外側に画成されるクーラント・フィルタ室と、前記点
火手段収容室内に配設される点火手段と、前記燃焼室内
に配設され点火手段により点火されてガスを発生するガ
ス発生剤を内部に充填するキャニスタと、前記クーラン
ト・フィルタ室内に配設されキャニスタで発生した燃焼
ガスの冷却、浄化を果たすクーラント及びフィルタとを
有するエアバッグ用ガス発生器において、前記キャニス
タは、燃焼ガスの冷却及び燃焼残渣の捕集を果たすクー
ラントを内部に具備することを特徴とする。

【００１１】本ガス発生器においては、クーラント・フ
ィルタ室内のクーラントに加えて、キャニスタ内にもク
ーラントが配設される。本発明によれば、２段階にわた
り燃焼ガスの冷却及び燃焼残渣の捕集が行われる。すな
わち、キャニスタ内で発生した燃焼ガスは、先ずキャニ
スタ内のクーラントを通過し、その間に燃焼ガスが冷却
され、また燃焼残渣が捕集される（第１段階）。冷却・
浄化された燃焼ガスは、次にクーラント・フィルタ室内
に入り、ここで更にこの室内のクーラントにより冷却・
浄化される（第２段階）。クーラントで捕集しきれなか
った細かい燃焼残渣は、クーラント・フィルタ室内のフ
ィルタにより効果的に捕集される。

【００１２】キャニスタ内のクーラントと、クーラント
・フィルタ室内のクーラントとは、同一材質である必要
はない。クーラントは、一般に、ステンレス鋼線を編み
型に入れて整形することにより作られるが、これに限ら
ず、例えばセラミック繊維を編んで整形したものや、環
状の金網を多層に重ねたものや、あるいはステンレス切
削繊維を焼結したものなどをキャニスタ内のクーラント
に使用することができる。

【００１３】キャニスタ内クーラントの形状を、リング
形、円筒形などとすることができる。また、分断片から
なるリング形又は円筒形クーラントであってもよい。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づき説明
する。

【００１５】図１は、本ガス発生器の半断面図である。
このガス発生器は、ガスの排出口１を有するハウジング
２と、このハウジング２内の中央部に画成される点火手
段収容室３と、この点火手段収容室３の外側に画成され
る燃焼室４と、この燃焼室４の外側に画成されるクーラ
ント・フィルタ室５と、前記点火手段収容室３内に配設
される点火手段、すなわち点火器６及び伝火薬７と、前
記燃焼室４内に配設され、点火手段により点火されてガ
スを発生するガス発生剤８を内部に充填するキャニスタ
９と、前記クーラント・フィルタ室５内に配設され、キ
ャニスタで発生した燃焼ガスの冷却、浄化を果たすクー
ラント１０及びフィルタ１１とを有している。

【００１６】点火手段収容室３は、中央筒部１３により
画成され、燃焼室４は、この中央筒部１３と、その外側
で中央筒部を囲む内筒部１４により画成され、クーラン
ト・フィルタ室５は、この内筒部１４と、その外側で内
筒部を囲む外壁部１５により画成されている。クーラン
ト・フィルタ室５は、更にリテーナ１６により上段の室
と下段の室に分けられている。

【００１７】点火手段収容室３と燃焼室４間には、点火
手段収容室３内で発生した火炎を燃焼室４内に伝えるた
めの通路１７が配設され、また燃焼室４とクーラント・
フィルタ室５間には、燃焼室４内で発生した燃焼ガスの
噴出口１８が円周方向に複数個配設され、更にクーラン
ト・フィルタ室５とエアバッグ（図示せず）間には、前
記排出口１が円周方向に複数個配設されている。

【００１８】キャニスタ９は、ガス発生剤８の燃焼によ
り発生した燃焼ガスの冷却及び燃焼残渣の捕集を果たす
クーラント２０を内部に備えている。このクーラント２
０は、環状をなし、噴出口１８に隣接して配置されてい
る。このクーラント２０はまた、上記機能に加えて、ガ
ス発生剤８の移動乃至振動を抑制しガス発生剤の損壊を
防止するクッションとしての機能も果たすようになって
いる。

【００１９】キャニスタ９は、図２に示すように、環状
空間を形成する薄肉のアルミニウム製外殻容器１９を有
している。この外殻容器１９内に以下の順序で構成部品
が組込まれ、キャニスタ９とされる。外殻容器１９の底
部に環状のクッション２１（図１）が配設され、次に筒
状のプレフィルタ１２が配設され、その内側にディスク
状のガス発生剤８が積層して配設される。なおガス発生
剤は、これ以外にもペレット状のガス発生剤を使用する
ことができる。次に、ガス発生剤８の上に環状クーラン
ト２０が配設され、最後にカバー２２によりキャニスタ
内部が気密に閉じられる。このようにして組立られたキ
ャニスタ９は、クッション２３を介して燃焼室４内に配
設される。

【００２０】このように構成された本ガス発生器におい
て、衝撃をセンサ（図示せず）が感知するとその信号が
点火器６に送られて点火器６が作動し、これによって伝
火薬７が着火して高温の火炎を生成する。この火炎は、
通路１７を通って燃焼室４内に入りキャニスタの外殻容
器１９の壁を破りその中のガス発生剤８に点火する。こ
れによりガス発生剤８が燃焼してガスを生成する。この
ガスは、プレフィルタ１２を通り、その間に燃焼残渣が
除去され、またクーラント２０を通過し、その間にガス
の冷却が行われ、それと共に燃焼残渣が除去される。冷
却・浄化された燃焼ガスは、噴出口１８よりクーラント
・フィルタ室５内に噴出し、クーラント１０を通過する
間に更に冷却されまた燃焼残渣が除去され、更にフィル
タ１１を通過する間に残りの燃焼残渣が除去される。燃
焼室４において第１段階の冷却・浄化がされ、クーラン
ト・フィルタ室５で第２段階の冷却・浄化がされた燃焼
ガスは、ガス排出口１を経てエアバッグ（図示せず）内
に入り、エアバッグを膨張させる。これにより、乗員と
硬い構造物の間にクッションを形成し、衝撃から乗員を
保護する。

【００２１】図３は、本ガス発生器の別の実施例を示
す。この場合、クーラント２０′の配置が図１に示すも
のと上下逆になっており、噴出口１８から離れた位置に
ある。ガス発生器作動のとき、燃焼ガスは、クーラント
２０′に入り、燃焼室４の天井壁に衝突して再びクーラ
ント２０′に入り、噴出口１８より噴出する。これによ
れば、燃焼ガスはクーラントを往復することになり、ク
ーラントにより効果的に冷却・浄化される。

【００２２】図４は、本ガス発生器の更に別の実施例を
示す。この場合、クーラント２０″は円筒形状に形成さ
れ、図１に示すプレフィルタ１２の配設位置にプレフィ
ルタに代わり配設されている。これによれば、図１、３
に示すものと比べ、プレフィルタを廃止することがで
き、またガス発生剤を増量することができる。

【００２３】図５は、分断片からなるリング形のクーラ
ントを示す。これによれば、分断片の数を調節すること
により、クーラントの量を容易に調整することができ
る。従って、同一のキャニスタ容器においてガス発生剤
の量を調節し、それに応じてクーラントの量を調整する
ことが可能となり、その結果出力の異なるキャニスタを
容易に組立てることができる。

【００２４】

【発明の効果】本発明によれば、燃焼ガスの冷却及び浄
化を２段階に亘り行うように構成されているので、燃焼
ガスの冷却及び浄化を効果的に行うことができる。その
ため、クーラント・フィルタ室に配設されるクーラント
の量を低減することができる。

【００２５】キャニスタ内に備わるクーラントは、ガス
発生剤のクッションとしても機能することができる。そ
のため、従来、キャニスタ内に備わっていたクッション
を廃止することができる。

【００２６】上記クーラント量の低減、上記クッション
の廃止などにより、全体としてガス発生器の重量を低減
することができ、またガス発生器の小型化も達成され
る。

【００２７】また、燃焼ガスの冷却及び浄化が効果的に
行われることで、本ガス発生器をシリコンノンコートバ
ッグに適用することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本ガス発生器の一実施例の半断面図である。

【図２】同ガス発生器に備わるキャニスタの要部分解斜
視図である。

【図３】本ガス発生器の別の実施例の半断面図である。

【図４】本ガス発生器の更に別の実施例の半断面図であ
る。

【図５】本ガス発生器に適用可能なクーラントの例を示
す斜視図である。

【図６】従来のガス発生器の断面図である。

【図７】同ガス発生器の要部拡大断面図である。

【符号の説明】

１ 排出口 ２ ハウジング ３ 点火手段収容室 ４ 燃焼室 ５ クーラント・フィルタ室 ８ ガス発生剤 ９ キャニスタ １０ クーラント １１ フィルタ ２０ クーラント

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ガスの排出口を有するハウジングと、該ハ
   ウジング内の中央部に画成される点火手段収容室と、該
   点火手段収容室の外側に画成される燃焼室と、該燃焼室
   の外側に画成されるクーラント・フィルタ室と、前記点
   火手段収容室内に配設される点火手段と、前記燃焼室内
   に配設され点火手段により点火されてガスを発生するガ
   ス発生剤を内部に充填するキャニスタと、前記クーラン
   ト・フィルタ室内に配設されキャニスタで発生した燃焼
   ガスの冷却、浄化を果たすクーラント及びフィルタとを
   有するエアバッグ用ガス発生器において、 前記キャニスタは、燃焼ガスの冷却及び燃焼残渣の捕集
   を果たすクーラントを内部に具備することを特徴とする
   エアバッグ用ガス発生器。